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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005553
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46D 1/04 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A46D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105769
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】西野 将嗣
(72)【発明者】
【氏名】西村 彦人
(72)【発明者】
【氏名】堀越 諒
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB19
3B202EB00
3B202EG01
(57)【要約】
【課題】3Dプリント技術を採用した製造でも製造中の刷毛部の変形を抑制でき、簡便に製造可能であるうえ、使用性に優れた歯ブラシを提供することを目的とする。
【解決手段】ヘッド部12と、ヘッド部12の後端側に設けられた把持部14とを備える歯ブラシ1において、ヘッド部12の正面12aに複数の刷毛部20を設け、少なくとも一組の隣り合う刷毛部20の間に、両端がそれら隣り合う刷毛部20のそれぞれと結合され、且つヘッド部12の正面12aから離間した結合部22を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部と、前記ヘッド部の後端側に設けられた把持部とを備える歯ブラシであって、
前記ヘッド部の正面に複数の刷毛部が設けられ、
少なくとも一組の隣り合う前記刷毛部の間に、両端がそれら隣り合う前記刷毛部のそれぞれと結合された結合部が設けられており、
前記結合部は前記ヘッド部の正面から離間している、歯ブラシ。
【請求項2】
前記ヘッド部を前記刷毛部の毛先側から見た正面視において、前記ヘッド部の短軸方向と交差する方向に延びる前記結合部の数Nが3本以上であるか、又は、前記ヘッド部の長軸方向と交差する方向に延びる前記結合部の数Nが3本以上である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記刷毛部の総数nに対する、前記ヘッド部を前記刷毛部の毛先側から見た正面視において前記ヘッド部の短軸方向と交差する方向に延びる前記結合部の数Nの比率が、30%以上150%以下であるか、又は、前記刷毛部の総数nに対する、前記ヘッド部を前記刷毛部の毛先側から見た正面視において前記ヘッド部の長軸方向と交差する方向に延びる前記結合部の数Nの比率が、30%以上150%以下である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記刷毛部の総数に対する前記結合部の総数の比率が、30%以上150%以下である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記刷毛部の毛丈をL(mm)とし、前記刷毛部の毛先から前記結合部の上端までの距離をd(mm)、前記刷毛部の毛先から前記結合部の下端までの距離をd(mm)としたとき、
毛丈Lに対する距離d1の割合が10%以上50%以下であり、毛丈Lに対する距離d2の割合が20%以上60%以下である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
口腔状態は人によって千差万別であり、歯ブラシの機能、性能に対する要望も多様であるため、個々の使用者に合わせた多品種の歯ブラシの提供が求められつつある。
【0003】
近年では、CAD等のデータを元に、3次元形状の立体造形物を製造する3Dプリント技術(三次元積層造形技術)が脚光を浴びている。特許文献1には、3Dプリント技術を用いてフィラメント状成形体を造形することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-1257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3Dプリント技術を歯ブラシの製造に利用すれば、個々の使用者に合わせた様々な歯ブラシを容易に製造できる可能性がある。
しかし、本発明者らが検討したところ、歯ブラシの刷毛部のような細長い造形物を複数並べて形成しようとすると、造形工程中に刷毛部が変形したり、隣り合う刷毛部同士が近づいたり、互いに密着したりするため、造形が困難であるうえ、歯ブラシの使用性も低下することが分かった。
刷毛部を太くすれば造形行程中の刷毛部の変形を抑えることは可能であるが、刷毛部が太いと硬くなって撓みにくくなるため、使用性が低下する要因となる。
【0006】
本発明は、3Dプリント技術を採用した場合でも製造中の刷毛部の変形を抑制でき、簡便に製造可能であるうえ、使用性に優れた歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成を含む。
[1]ヘッド部と、前記ヘッド部の後端側に設けられた把持部とを備える歯ブラシであって、
前記ヘッド部の正面に複数の刷毛部が設けられ、
少なくとも一組の隣り合う前記刷毛部の間に、両端がそれら隣り合う前記刷毛部のそれぞれと結合された結合部が設けられており、
前記結合部は前記ヘッド部の正面から離間している、歯ブラシ。
[2]前記ヘッド部を前記刷毛部の毛先側から見た正面視において、前記ヘッド部の短軸方向と交差する方向に延びる前記結合部の数が3本以上であるか、又は、前記ヘッド部の長軸方向と交差する方向に延びる前記結合部の数が3本以上である、[1]に記載の歯ブラシ。
[3]前記刷毛部の総数nに対する、前記ヘッド部を前記刷毛部の毛先側から見た正面視において前記ヘッド部の短軸方向と交差する方向に延びる前記結合部の数Nの比率が、30%以上150%以下であるか、又は、前記刷毛部の総数nに対する、前記ヘッド部を前記刷毛部の毛先側から見た正面視において前記ヘッド部の長軸方向と交差する方向に延びる前記結合部の数Nの比率が、30%以上150%以下である、[1]又は[2]に記載の歯ブラシ。
[4]前記刷毛部の総数に対する前記結合部の総数の比率が、30%以上150%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の歯ブラシ。
[5]前記刷毛部の毛丈をL(mm)とし、前記刷毛部の毛先から前記結合部の上端までの距離をd(mm)、前記刷毛部の毛先から前記結合部の下端までの距離をd(mm)としたとき、
毛丈Lに対する距離d1の割合が10%以上50%以下であり、毛丈Lに対する距離d2の割合が20%以上60%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の歯ブラシ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、3Dプリント技術を採用した製造でも製造中の刷毛部の変形を抑制でき、簡便に製造可能であるうえ、使用性に優れた歯ブラシを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の一例の歯ブラシの概略構成を示した側面図である。
図2図1の歯ブラシのヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
図3】隣り合う刷毛部の間が結合部によって結合された様子を示した側面図である。
図4】隣り合う刷毛部を結合部で結合する態様の他の例を示した側面図である。
図5】数Nにカウントされる結合部を説明する説明図であって、図5(A)は刷毛部の配列パターンが千鳥配列である場合、図5(B)は刷毛部の配列パターンが格子配列である場合である。
図6】数Nにカウントされる結合部を説明する説明図であって、図6(A)は刷毛部の配列パターンが千鳥配列である場合、図6(B)は刷毛部の配列パターンが格子配列である場合である。
図7】隣り合う刷毛部を結合部で結合するパターンを説明する説明図である。
図8】他の一例の歯ブラシのヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
図9】他の一例の歯ブラシのヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
図10】他の一例の歯ブラシのヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
図11】他の一例の歯ブラシのヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
図12】他の一例の歯ブラシのヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
図13】他の一例の歯ブラシのヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
図14】他の一例の歯ブラシのヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の歯ブラシについて、一例を示し、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
図1は、実施形態の一例の歯ブラシ1の概略構成を示した側面図である。
図2は、歯ブラシ1のヘッド部近傍を拡大して示した正面図である。
本実施形態の歯ブラシ1は、ヘッド部12、ヘッド部12の後端側に設けられた把持部14、及びヘッド部12と把持部14とを繋ぐネック部16を有するハンドル体10を備えている。ハンドル体10におけるヘッド部12の正面12aには、その正面12aから立ち上がる複数の刷毛部20が設けられている。
【0012】
以下、ハンドル体10におけるヘッド部12の先端から把持部14の後端に向かう方向を「長軸方向」とする。
また、ヘッド部12の正面12aに平行で且つ長軸方向に垂直な方向を「短軸方向」とする。
また、ヘッド部12の正面12aに垂直な方向を「厚さ方向」とする。
【0013】
図2に示す例では、ヘッド部12の正面12aを把持部14の毛先側から見た正面視で、長軸方向に平行な格子線と短軸方向に平行な格子線とからなる正方格子のそれぞれの点の位置に、複数の刷毛部20が設けられている。なお、ヘッド部12の正面12aにおける複数の刷毛部20の配置パターンは、正方格子パターンには限定されず、例えば、正三角格子(千鳥配列)、菱形格子、矩形格子、平行体格子等のパターンであってもよい。
【0014】
刷毛部20の総数nは、10本以上が好ましく、25本以上がより好ましく、50本以上がさらに好ましく、75本以上が特に好ましく、100本以上が最も好ましい。刷毛部20の総数nが前記下限値以上であれば、充分な清掃力が得られやすい。
刷毛部20の総数nは、500本以下が好ましく、400本以下がより好ましく、300本以下がさらに好ましく、200本以下が特に好ましい。
刷毛部20の総数nが前記上限値以下であれば、刷毛部20の総数nに応じて、ヘッド部12のサイズが大きくなっても、一般的なマニュアル歯ブラシと同様に、ヘッド部12が大きくなり過ぎず、口腔内での操作が容易になる。刷毛部20の総数nの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば75~300本が好ましい。
【0015】
隣り合う刷毛部20間の距離は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましく、また1.0mm以下が好ましく、0.75mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。隣り合う刷毛部20間の距離の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.1~1.0mmが好ましい。
【0016】
各々の刷毛部20の形状としては、歯ブラシの毛として採用されている形状を特に制限なく採用することができる。例えば先端部分が毛先に向かうにつれて細くなるようにテーパー状となった刷毛部であってもよく、毛先側が分岐した刷毛部であってもよい。
刷毛部20をその高さ方向に垂直な方向に切断したときの断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形、四角形以外の多角形を例示できる。
【0017】
刷毛部20の毛丈L(図3)、すなわちヘッド部12の正面12aから刷毛部20の毛先までの長さは、6mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、9mm以上がさらに好ましく、また20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、12mm以下がさらに好ましい。刷毛部20の毛丈Lの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば8~15mmが好ましい。
【0018】
刷毛部20の太さtは、刷毛部20の断面形状に応じて適宜設定することができる。
刷毛部20の断面形状が円の場合、刷毛部20の太さtは円の直径である。
刷毛部20の断面形状が楕円の場合、刷毛部20の太さtは、楕円の長径と短径とする。
刷毛部20の断面形状が直交する二辺の四角形の場合(例えば、正方形、長方形)、刷毛部20の太さtは、直交する二辺の長さとする。
刷毛部20の断面形状が前述の四角形以外の多角形の場合(直交しない辺を2つ以上有する多角形(例えば、三角形、平行四辺形、菱形などの多角形))、刷毛部20の太さtは、多角形に外接する外接円の直径とする。
【0019】
刷毛部20の断面形状が円の場合、刷毛部20の太さtは、0.20mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましく、0.30mm以上がさらに好ましく、また2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.50mm以下がさらに好ましい。前記刷毛部20の太さtの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.20~2.0mmが好ましい。
【0020】
刷毛部20の断面形状が楕円の場合、短径は、0.20mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましく、0.30mm以上がさらに好ましく、また2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.50mm以下がさらに好ましい。短径の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.20~2.0mmが好ましい。
長径は、0.30mm以上が好ましく、0.35mm以上がより好ましく、0.40mm以上がさらに好ましく、また2.1mm以下が好ましく、1.1mm以下がより好ましく、0.60mm以下がさらに好ましい。長径の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.30~2.1mmが好ましい。
【0021】
刷毛部20の断面形状が四角形の場合、二辺の長さは、それぞれ独立に、0.20mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましく、0.30mm以上がさらに好ましく、また2.1mm以下が好ましく、1.1mm以下がより好ましく、0.60mm以下がさらに好ましい。下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.20~2.1mmが好ましい。
【0022】
刷毛部20の断面形状が四角形以外の多角形の場合、刷毛部20の太さtは、0.20mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましく、0.30mm以上がさらに好ましく、また3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。前記刷毛部20の太さtの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.20~3.0mmが好ましい。
刷毛部20の毛丈L、太さt等の寸法が前記した範囲内であれば、適度な弾力を有する刷毛部20としやすく、清掃力と使用感に優れた歯ブラシ1が得られやすい。
【0023】
図1図3に示すように、歯ブラシ1では、長軸方向に隣り合うすべての組の2本の刷毛部20の間に、両端がそれら隣り合う刷毛部20のそれぞれと結合された結合部22が設けられている。
また、短軸方向に隣り合うすべての組の2本の刷毛部20の間にも、両端がそれら隣り合う刷毛部20のそれぞれと結合された結合部22が設けられている。
結合部22は、いずれもヘッド部12の正面12aからは離間して設けられる。
なお、結合部22は、長軸方向に隣り合う一部の組の2本の刷毛部20の間だけに設けられていてもよい。同様に、結合部22は、短軸方向に隣り合う一部の組の2本の刷毛部20の間だけに設けられていてもよい。つまり、本発明の歯ブラシは、結合部が設けられていない刷毛部を有するものであってもよい。
【0024】
隣り合う刷毛部20が結合部22で結合されると、それらの隣り合う刷毛部20は結合部22によって支えられて互いの距離が一定に保持され、1本の独立した刷毛部に比べて変形しにくくなる。
3Dプリント技術による造形においては、造形した複数の刷毛部20を未硬化の樹脂が入ったトレイから引き揚げる際、表面張力により、未硬化の樹脂は刷毛部20と刷毛部20の間に入り込んで露出面積を小さくしようとするため、その影響で刷毛部20同士が引きつけられて集まる傾向がある。しかし、結合部22によって刷毛部20間の距離が一定に保持されることにより、未硬化の樹脂が入ったトレイから引き揚げる際も、刷毛部20同士が互いに密着することを抑制できる。
また、トレイから引き上げた刷毛部20をアルコールなどの溶剤に漬け、未硬化の不要な樹脂を溶かした後に、エアーを吹き付けて溶剤を飛ばす際においても、エアーによって刷毛部20が曲がりにくくなる。
さらに、恒温槽で熱を加えて硬化させる際に刷毛部20が下向きになるように配置しても、刷毛部20が曲がりにくくなる。
このように、造形工程中の刷毛部20の変形が抑制されるため、歯ブラシ1は3Dプリント技術を用いた製造が容易である。
また、歯ブラシ1の使用時には、結合部22で結合された刷毛部20同士は連動して撓むため、使用性に優れた歯ブラシ1となる。
【0025】
図3に示すように、この例の結合部22は、隣り合う刷毛部20の間に、ヘッド部12の正面12aと平行な方向に延びるように設けられている。すなわち、この例の結合部22は、両側の刷毛部20に対して垂直に結合するように設けられている。このような態様は、3Dプリント技術で精度良く造形しやすい利点がある。
なお、結合部22は、ヘッド部12の正面12aに対して傾斜するように設けられていてもよい。
【0026】
図3に示すように、刷毛部20の毛丈をL(mm)とし、刷毛部20の毛先から結合部22の上端までの距離をd(mm)、刷毛部20の毛先から結合部22の下端までの距離をd(mm)とする。また、毛丈Lに対する距離dの割合(%)をQ(Q=d/L×100)、毛丈Lに対する距離dの割合(%)をQ(Q=d/L×100)とする。
【0027】
割合Qは、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、また50%以下が好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。
割合Qが前記範囲内であれば、造形工程中の刷毛部20の変形を抑制しやすい。また、結合部22で繋がった刷毛部20が連動して撓みやすく、歯ブラシ1の使用性が向上する。特に、安定して正確な造形が容易になり、刷毛部20に適度な弾力性を与えやすく、刷掃力と使用感の良さを両立しやすい。割合Qの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば10~50%が好ましい。
【0028】
割合Qと同様の理由から、割合Qは、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、また60%以下が好ましく、55%以下がより好ましく、45%以下がさらに好ましい。割合Qの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば20~60%が好ましい。
【0029】
刷毛部20間の結合部22の長さは、隣り合う刷毛部20の距離に応じて設定することができる。結合部22の長さは、0.10mm以上が好ましく、0.15mm以上がより好ましく、0.20mm以上がさらに好ましく、また1.0mm以下が好ましく、0.75mm以下がより好ましく、0.50mm以下がさらに好ましい。結合部22の長さの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.10~1.0mmが好ましい。
【0030】
結合部22をその長さ方向に垂直な方向に切断したときの断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形、四角形以外の多角形を例示できる。
結合部22の太さTは、結合部22の断面形状に応じて適宜設定することができる。
結合部22の断面形状が円の場合、結合部22の太さTは円の直径である。
結合部22の断面形状が楕円の場合、結合部22の太さTは、楕円の長径と短径とする。
結合部22の断面形状が直交する二辺の四角形の場合(例えば、正方形、長方形)、結合部22の太さTは、四角形の直交する二辺の長さとする。
結合部22の断面形状が前述の四角形以外の多角形の場合(直交しない辺を2つ以上有する多角形(例えば、三角形、平行四辺形、菱形などの多角形))、結合部22の太さTは、多角形に外接する外接円の直径とする。
【0031】
結合部22の断面形状が円形の場合、結合部22の太さTは、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましく、また2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。前記結合部22の太さTの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.1~2.0mmが好ましい。
【0032】
結合部22の断面形状が楕円の場合、短径は、0.10mm以上が好ましく、0.20mm以上がより好ましく、0.30mm以上がさらに好ましく、また1.5mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.50mm以下がさらに好ましい。結合部22の短径の下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.10~1.5mmが好ましい。
長径は、0.15mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましく、0.35mm以上がさらに好ましく、また2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。結合部22の長径の下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.15~2.0mmが好ましい。
【0033】
結合部22の断面形状が四角形の場合、二辺の長さは、それぞれ独立に、0.10mm以上が好ましく、0.20mm以上がより好ましく、0.30mm以上がさらに好ましく、また2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.10~2.0mmが好ましい。
【0034】
結合部22の断面形状が四角形以外の多角形の場合、結合部22の太さTは、0.15mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましく、また2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。前記結合部22の太さTの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.15~2.0mmが好ましい。
結合部22の長さ及び太さT等の寸法が前記範囲内であれば、結合部22と刷毛部20が、弾力が異なる素材で構成されていても、安定して正確に造形でき、刷毛部20に適度な弾力性を与えることができる。
【0035】
結合部22の太さTに対する刷毛部20の太さtの比(t/T)は、0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、1.0以上がさらに好ましい。
t/Tが前記下限値以上であれば、結合部22が両側の刷毛部20をしっかりと支持しやすく、結合部22で結合された刷毛部20が連動して撓みやすくなる。
t/Tは、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。
t/Tが前記上限値以下であれば、刷毛部20の撓みに比べて結合部22の撓みが小さくなりやすく、造形工程中の刷毛部20の変形が抑制されやすくなる。t/Tの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.5~2.0が好ましい。
刷毛部20と結合部22の少なくとも一方の断面形状が楕円や直交する二辺の四角形の場合、その短径、長径、もしくは直交する二辺の長さのそれぞれを用いて算出したt/Tの値が、いずれも前述の下限と上限で示される範囲内であることが好ましい。
【0036】
一組の隣り合う刷毛部20を結合する結合部22の数は、図3及び図4(A)に示す例では1本であるが、1本には限定されず、図4(B)及び図4(C)のように2本以上であってもよい。一組の隣り合う刷毛部20を結合する結合部22の数は、1~5本が好ましく、1~3本がより好ましく、1~2本がさらに好ましい。前記結合部22の数が前記上限値以下であれば、結合部22で結合された刷毛部20がブラッシング時に撓みにくくなることを抑制しやすいため、歯ブラシ1の使用性が向上する。
【0037】
結合部22の総数Nは、3個以上が好ましく、8個以上がより好ましく、15個以上がさらに好ましく、20個以上が特に好ましく、30個以上が最も好ましい。結合部22の総数Nが前記下限値以上であれば、造形工程中に刷毛部20が変形しにくくなる。
結合部22の総数Nは、750個以下が好ましく、600個以下がより好ましく、450個以下がさらに好ましく、300本以下が特に好ましい。結合部22の総数Nが前記上限値以下であれば、結合部22が多くなることで刷毛部20全体が硬くなる傾向にあるものの、歯や歯茎に刷毛部20を押し付けた時に適度な撓みが生じ、心地良い使用感が得られる。結合部22の総数Nの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば20~600個が好ましい。
【0038】
刷毛部20の総数nに対する結合部22の総数Nの比率P(P=N/n×100)は、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。比率Pが前記下限値以上であれば、造形工程中の刷毛部20の変形を抑制しやすい。比率Pは、175%以下が好ましく、150%以下がより好ましく、100%以下がさらに好ましい。比率Pが前記上限値以下であれば、刷毛部20が撓みやすく、ブラッシング時の負荷を低減しやすい。比率Pの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば30~150%が好ましい。
【0039】
ヘッド部12を刷毛部20の毛先側から見た正面視において、ヘッド部12の短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが3本以上であるか、又は、ヘッド部12の長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが3本以上であることが好ましい。これにより、結合部22による、造形工程中に刷毛部20の変形が抑制され、使用時に結合された刷毛部20同士が連動して撓む効果が充分に得られやすい。
例えば、図5(A)及び図5(B)に示す例では、隣り合う刷毛部20を結合する4本の結合部22のうち、ヘッド部12の短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nは3本である。
また、図6(A)及び図6(B)に示す例では、隣り合う刷毛部20を結合する4本の結合部22のうち、ヘッド部12の長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数NBは3本である。
【0040】
なお、ヘッド部12の短軸方向と平行な方向に延びる結合部22(例えば図5(A)及び図5(B)における一番左側の結合部22、図6(A)における左下側の結合部22、図6(B)における左から2番目の結合部22)は、長軸方向と交差する方向に延びているため数Nにはカウントされるが、短軸方向とは交差しないため数Nにはカウントされない。
ヘッド部12の長軸方向と平行な方向に延びる結合部22(例えば図5(A)及び図5(B)における左から2番目の結合部22、図6(A)及び図6(B)における左上側の結合部22)は、短軸方向と交差する方向に延びているため数Nにカウントされるが、長軸方向とは交差しないため数Nにはカウントされない。
ヘッド部12の短軸方向と交差し、且つ長軸方向とも交差する方向に延びる結合部22(例えば図5(A)、図5(B)、図6(A)及び図6(B)における右側2つの結合部22)は、数Nと数Nの両方にカウントするものとする。
また、図4(B)、図4(C)のような、正面視では1本の結合部に視えて、側面視では2本の結合部の場合は、2本とカウントする。3本以上の場合も同様にカウントする。
【0041】
結合部22で結合された刷毛部20は、「結合部の長さ方向と平行方向」よりも「結合部の長さ方向と垂直方向」の方が、結合部で繋がった刷毛部同士が連動して撓みやすくなる。すなわち、異方性のある撓みを示すことができる。
短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nは、3本以上が好ましく、10本以上がより好ましく、20本以上がさらに好ましい。数Nが前記下限値以上であれば、ブラッシング時に結合部22で結合された刷毛部20の短軸方向への連動した撓みを実感しやすい。
数Nは、50本以下が好ましく、40本以下がより好ましく、30本以下がさらに好ましい。数Nが前記上限値以下であれば、ブラッシング時に短軸方向への過度な撓みが抑制されやすく、長軸方向へのブラッシング負荷が低減される。数Nの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば3~50本が好ましい。
【0042】
長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nは、3本以上が好ましく、5本以上がより好ましく、10本以上がさらに好ましい。数Nが前記下限値以上であれば、ブラッシング時に結合部22で結合された刷毛部20の長軸方向への連動した撓みを実感しやすい。
数Nは、30本以下が好ましく、25本以下がより好ましく、20本以下がさらに好ましい。数Nが前記上限値以下であれば、ブラッシング時に長軸方向への過度な撓みが抑制されやすく、短軸方向へのブラッシング負荷が低減される。数Nの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば3~30本が好ましい。
数Nと数Nは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0043】
刷毛部20の総数nに対する、短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nの比率P(P=N/n×100)は、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。
比率Pが前記下限値以上であれば、ブラッシング時に結合部22で結合された刷毛部20の短軸方向への連動した撓みを実感しやすくなる。比率Pは、150%以下が好ましく、125%以下がより好ましく、100%以下がさらに好ましい。比率Pが前記上限値以下であれば、ブラッシング時に短軸方向への過度な撓みが抑制されやすく、長軸方向へのブラッシング負荷が低減される。比率Pの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば30~150%が好ましい。
【0044】
刷毛部20の総数nに対する、長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nの比率P(P=N/n×100)は、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。
比率Pが前記下限値以上であれば、ブラッシング時に結合部22で結合された刷毛部20の長軸方向への連動した撓みを実感しやすくなる。比率Pは、150%以下が好ましく、125%以下がより好ましく、100%以下がさらに好ましい。比率Pが前記上限値以下であれば、ブラッシング時に長軸方向への過度な撓みが抑制されやすく、短軸方向へのブラッシング負荷が低減される。比率Pの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば30~150%が好ましい。
【0045】
本発明では、比率Pが30~150%であり、且つ比率Pが30~150%であることがより好ましい。これにより、より安定した正確な造形が可能となり、造形後に結合部22を残したまま歯磨きに使用する場合に刷毛部20に適度な弾力性が得られやすくなる。その結果、歯や歯茎に刷毛部20を押し付けた時に適度な撓みが生じ、刷掃力と心地良い使用感が両立されやすい。
【0046】
図1~3に例示した歯ブラシ1においては、刷毛部20の総数nが127本、短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが118個、長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが112個、比率Pが92.9%、比率Pが88.2%である。
【0047】
歯ブラシ1の製造方法としては、3Dプリント技術を利用した方法を例示できる。
例えば、射出成形によってハンドル体10を成形した後、そのヘッド部12の正面12aに、3Dプリント技術によって刷毛部20及び結合部22を造形する方法であってもよく、3Dプリント技術によって歯ブラシ1全体を造形する方法であってもよい。
【0048】
以上説明した歯ブラシ1においては、隣り合う刷毛部20の間に、両端がそれら刷毛部20と結合された結合部22が設けられている。結合部22で結合された刷毛部20は、1本の独立した刷毛部20に比べて変形しにくいため、歯ブラシ1は3Dプリント技術を用いた製造が容易である。また、変形を抑制する目的で刷毛部20を太くする必要がなく、歯ブラシ1の使用時には結合部22で結合された刷毛部20が連動して撓むため、歯ブラシ1は使用性に優れている。
【0049】
なお、本発明の歯ブラシは、前記した歯ブラシ1には限定されない。
例えば、本発明の歯ブラシは、ヘッド部12の正面12aと平行な方向に延びる1個の結合部22によって隣り合う刷毛部20が結合された構成には限定されない。図4(A)に示すように、ヘッド部12の正面12aに対して傾斜した方向に延びる結合部22によって隣り合う刷毛部20が結合された構成であってもよい。図4(B)に示すように、ヘッド部12の正面12aと平行な方向に延びる2個の結合部22によって隣り合う刷毛部20が結合された構成であってもよい。図4(C)に示すように、X字状にクロスした形状の結合部22によって隣り合う刷毛部20が結合された構成であってもよい。なお、図4(A)~図4(C)において、図3と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0050】
図4(A)に例示した構成は、3Dプリントの造形精度の影響で結合部22をある程度太くせざるを得ない場合でも、刷毛部20の弾力性を確保しやすい利点がある。
図4(B)に例示した構成は、各々の結合部22が細くても刷毛部20の変形を抑制しやすい利点がある。
図4(C)に例示した構成は、刷毛部20の弾力性を広い範囲で調整できる利点がある。
【0051】
また、歯ブラシ1では、長軸方向に隣り合う刷毛部20のすべての組と、短軸方向に隣り合う刷毛部20のすべての組が結合部22で結合されていたが、この構成には限定されない。長軸方向に隣り合う刷毛部のうち、結合部によって結合されていないものがあってもよい。短軸方向に隣り合う刷毛部のうち、結合部によって結合されていないものがあってもよい。また、隣り合ういずれの刷毛部とも結合部によって結合されていない刷毛部があってもよい。
【0052】
ヘッド部に設けられる複数の刷毛部を結合部によって結合するパターンは、特に限定されない。例えば、以下の(i)~(iv)のパターンや、それら2つ以上を組み合わせた結合パターンを例示できる。
(i)図7(A)及び図7(B)に示すように、刷毛部20の毛先側から見て、1本の刷毛部20が1本の刷毛部20のみと結合部22で結合されるパターン。なお、図7(A)は一般的な歯ブラシの刷毛部配列における「格子配列」、図7(B)は「千鳥配列」に相当する。
(ii)図7(C)及び図7(D)に示すように、刷毛部20の毛先側から見て、2本以上の刷毛部20が直線状又は屈曲した線状に連続して結合部22で結合されるパターン。
(iii)図7(E)~図7(H)に示すように、刷毛部20の毛先側から見て、3本以上の刷毛部20が結合部22によって囲まれた領域が形成されるように連続して結合部22で結合されるパターン。
(iv)図7(I)及び図7(J)に示すように、刷毛部20の毛先側から見て、3本以上の刷毛部20と結合部22で結合された刷毛部20を含むパターン。
【0053】
例えば、結合部を持つ刷毛部の総数nに対する結合部の総数Nの割合A(A=N/n×100)により、結合部によって結合する刷毛部の配列パターンを分類すると、例えば、以下の(1)~(3)の配列パターンに分類可能である。
(1)割合Aが100%未満であり、結合部によって囲まれた領域が無い配列パターン。
(2)割合Aが100%であり、結合部によって囲まれた領域が有る配列パターン(ただし、1本の刷毛部20と結合部22で結合されている刷毛部20が2本以下である。)。
(3)割合Aが100%超であり、結合部によって囲まれた領域が有る配列パターン(ただし、3本以上の刷毛部20と結合部22で結合された刷毛部20を含む。)。
【0054】
割合Aが高くなるほど、刷毛部20の毛腰が高くなり、撓みが小さくなる傾向がある。また、結合部22で結合された刷毛部20が偏平状であっても、高い毛腰を維持しながら狭い歯間に挿入しやすい。また、複数の刷毛部20が結合部22によって一つの大きな毛束となりやすく、高い毛腰で歯面を清掃することが容易になる。
【0055】
割合Aは、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、175%以下が好ましく、150%以下がより好ましく、100%以下がさらに好ましい。割合Aの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば30~150%が好ましい。
【0056】
配列パターン(1)は、ヘッド部の正面視において、結合部22が設けられていない箇所がほぼ等間隔となるようヘッド部に配置するのが好ましい。これにより、刷毛部20の間隔が疎な部分と密な部分の違いによって生じる変形を抑制することができる。
配列パターン(2)は、ヘッド部の正面視において、結合部によって囲まれた領域の配置が長軸方向の軸線(図示せず)に対して線対称であることが好ましい。これにより、左右どちらの手で把持しても、歯ブラシの向きを意識せずに口腔内の各部位を刷掃できる。配列パターン(2)は、ヘッド全体が1つで形成されてもよく、複数存在していてもよい。
配列パターン(3)は、ヘッド部の正面視において、結合部によって形成される形状の外周がヘッド部の外周(ヘッド部の外縁)に近い位置にあることが好ましい。これにより、小型のヘッド部であってもヘッド部の外周に近い刷毛部が連動して撓むことができるため、充分な刷掃力を発揮することができる。
【0057】
例えば、ヘッド部の正面から見たときの結合部によって形成される全体の形状が、歯ブラシ1のような四角形を充填した構造となる配置パターンの他、ハニカム構造となる配置パターン、三角形を充填した構造となる配置パターン、それらを組み合わせたパターン等を例示できる。
【0058】
より具体的には、例えば図8に示す歯ブラシ2を例示できる。
歯ブラシ2では、ヘッド部12を正面視したときに、複数の刷毛部20が正方格子パターンに配置され、短軸方向に並ぶ刷毛部20と、短軸方向の両端において長軸方向に並ぶ刷毛部20がすべて結合部22で結合され、それ以外の長軸方向に並ぶ刷毛部20が一組ごとに結合部22で結合されている。
歯ブラシ2においては、
刷毛部20の総数nが127本、
短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが71個、
長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが120個、
比率Pが55.9%、
比率Pが94.5%である。
【0059】
また、図9に示す歯ブラシ3を例示できる。
歯ブラシ3では、ヘッド部12を正面視したときに、複数の刷毛部20が正方格子パターンに配置され、短軸方向に並ぶ刷毛部20がすべて結合部22で結合され、長軸方向に並ぶ刷毛部20は結合部22で結合されていない。
歯ブラシ3においては、
刷毛部20の総数nが127本、
短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが0個、
長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが120個、
比率Pが0%、
比率Pが94.5%である。
【0060】
また、図10に示す歯ブラシ4を例示できる。
歯ブラシ4では、ヘッド部12を正面視したときに、複数の刷毛部20が正方格子パターンに配置され、長軸方向に並ぶ刷毛部20がすべて結合部22で結合され、短軸方向に並ぶ刷毛部20は結合部22で結合されていない。
歯ブラシ4においては、
刷毛部20の総数nが127本、
短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが71個、
長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが0個、
比率Pが55.9%、
比率Pが0%である。
【0061】
また、図11に示す歯ブラシ5を例示できる。
歯ブラシ5では、ヘッド部12を正面視したときに、複数の刷毛部20が正三角格子(千鳥配列)パターンに配置され、長軸方向に並ぶ刷毛部20、短軸方向に並ぶ刷毛部20、及び、長軸方向と短軸方向の両方に対して傾斜して並ぶ刷毛部20がすべて結合部22で結合されている。
歯ブラシ5においては、
刷毛部20の総数nが123本、
短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが113個、
長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが208個、
比率Pが91.9%、
比率Pが169%である。
【0062】
また、図12に示す歯ブラシ6を例示できる。
歯ブラシ6では、ヘッド部12を正面視したときに、複数の刷毛部20が正三角格子(千鳥配列)パターンに配置され、結合部22によって囲われた領域の形状が六角形と三角形を組み合わせた形状になるように、複数の刷毛部20が結合部22で部分的に結合されている。
歯ブラシ6においては、
刷毛部20の総数nが123本、
短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが58個、
長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが112個、
比率Pが47.2%、
比率Pが91.1%である。
【0063】
また、図13に示す歯ブラシ7を例示できる。
歯ブラシ7では、ヘッド部12を正面視したときに、複数の刷毛部20が正三角格子(千鳥配列)パターンに配置され、結合部22によって囲われた領域が六角形となり、その六角形が長軸方向に連続して並ぶになるように、複数の刷毛部20が結合部22で部分的に結合されている。
歯ブラシ7においては、
刷毛部20の総数nが123本、
短軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが42個、
長軸方向と交差する方向に延びる結合部22の数Nが76個、
比率Pが34.1%、
比率Pが61.8%である。
【0064】
また、刷毛部20は、正方格子や正三角格子(千鳥配列)等の格子パターンに含まれないパターンで配置されていてもよい。
ただし、ヘッド部を正面視したときに各刷毛部が格子パターンで配置されていない場合には、ヘッド部を先端側から見たときに、刷毛部の基部の断面が、長軸方向において50%以上重なる刷毛部同士は、長軸方向において同じ列に並んでいる刷毛部と見なすものとする。
同様に、ヘッド部を先端側から見たときに、刷毛部の基部の断面が、短軸方向において50%以上重なる刷毛部同士は、短軸方向において同じ列に並んでいる刷毛部と見なすものとする。刷毛部同士の重なりが50%未満である場合、それら刷毛部の間には隙間があると見なすものとする。
【0065】
各刷毛部が格子パターンで配置されていない歯ブラシの具体例としては、例えば、図14に示す歯ブラシ8を例示できる。
例えば、図14に示すように、ヘッド部12を正面視したときに、複数の同心円の円周上に各刷毛部20が配置され、それぞれの円周上に並ぶそれぞれの隣り合う刷毛部20の間が結合部22によって結合された歯ブラシ8であってもよい。
【0066】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1~8…歯ブラシ、10…ハンドル体、12…ヘッド部、12a…正面、14…把持部、16…ネック部、20…刷毛部20…結合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14