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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055538
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20240411BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162557
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多胡 恵二
【テーマコード(参考)】
2H189
2H391
【Fターム(参考)】
2H189AA04
2H189DA71
2H189HA16
2H189LA02
2H189LA14
2H189LA19
2H189LA20
2H189LA22
2H189NA02
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB21
2H391AC03
2H391AD01
2H391CA15
2H391FA01
(57)【要約】
【課題】表示装置の性能を向上させる技術を提供する。
【解決手段】第1前面、および前記第1前面の反対側にある第1背面を備えている基板10と、前記第1前面と対向する第2背面、および前記第2背面の反対側にある第2前面を備えている基板20と、基板10の前記第1前面と基板20の前記第2背面との間に配置された液晶層LQLと、基板10の前記第1背面上に接着層31を介して接着固定された導光板30と、基板20の前記第2前面上に接着層41を介して接着固定された導光板40と、導光板40の第1側面と対向する位置に配置された光源部50と、基板10、基板20、液晶層LQL、導光板30および導光板40の積層方向において、液晶層LQLと重なる着色膜1と、を有する表示装置を用いる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1前面、および前記第1前面の反対側にある第1背面を備えている第1基板と、
前記第1前面と対向する第2背面、および前記第2背面の反対側にある第2前面を備えている第2基板と、
前記第1基板の前記第1前面と前記第2基板の前記第2背面との間に配置された液晶層と、
前記第1基板の前記第1背面上に第1接着層を介して接着固定された第1導光板と、
前記第2基板の前記第2前面上に第2接着層を介して接着固定された第2導光板と、
前記第2導光板の第1側面と対向する位置に配置された光源部と、
前記第1基板、前記第2基板、前記液晶層、前記第1導光板および前記第2導光板の積層方向において、前記液晶層と重なる着色膜と、
を有する、表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記着色膜は、前記第2導光板の前記第2前面側に配置されている、表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の表示装置において、
前記着色膜は、前記第2導光板と前記第2接着層との間に配置されている、表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の表示装置において、
前記着色膜は、前記第1導光板の前記第1背面側に配置されている、表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の表示装置において、
前記着色膜は、前記第1接着層と前記第1導光板との間に配置されている、表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の表示装置において、
前記着色膜は、前記第2基板と前記液晶層との間に配置されている、表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の表示装置において、
前記第2基板と前記液晶層との間には、遮光層が配置されており、
前記着色膜は、前記第2基板と前記遮光層との間に配置されている、表示装置。
【請求項8】
請求項6記載の表示装置において、
前記第2基板と前記液晶層との間には、順に電極膜および配光膜が配置されており、
前記着色膜は、前記電極膜と前記配光膜との間に配置されている、表示装置。
【請求項9】
請求項1記載の表示装置において、
前記着色膜は、前記第2基板と前記第2接着層との間に配置されている、表示装置。
【請求項10】
請求項1記載の表示装置において、
前記着色膜は、前記積層方向から見て複数並んで設けられており、
複数の前記着色膜のそれぞれは、互いに異なる色を有している、表示装置。
【請求項11】
請求項10記載の表示装置において、
複数の前記着色膜のうち、一方と重なる位置に所定の文字を表示し、他方と重なる位置に左右が反転した文字を表示する、表示装置。
【請求項12】
請求項1記載の表示装置において、
前記着色膜は、カラーレジストまたはカラーフィルムからなる、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶層を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶層を用いた表示装置として、特許文献1及び特許文献2にあるような観察者が、表示画像と背景とを重ね合わせて認識することが可能な透明表示装置がある。
【0003】
特許文献1(特開2020-181050号公報)には、透明表示装置において液晶層の紫外線による破壊または劣化を抑制するために、液晶層を覆う紫外線カット層を設けることが記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2021-092702号公報)には、透明表示装置において、液晶層を挟む基板の光透過率を向上させることにより、透明表示装置の透明度を向上させる構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-181050号公報
【特許文献2】特開2021-092702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、観察者が、表示画像と背景とを重ね合わせて認識することが可能な透明表示装置の開発を行っている。通常、透明表示装置の表示パネルは無色透明である。このため、表示パネルのデザイン性(デザインの自由度)をさらに広げたい要望がある。
【0007】
また、透明表示装置に表示する文字などの画像は白色で表させる場合、観察者が透明表示装置越しに視認する背景が白色である場合などでは、画像の視認性が低いという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、表示装置の性能を向上させる技術を提供することにある。
【0009】
その他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
一実施の形態である表示装置は、第1前面、および前記第1前面の反対側にある第1背面を備えている第1基板と、前記第1前面と対向する第2背面、および前記第2背面の反対側にある第2前面を備えている第2基板と、前記第1基板の前記第1前面と前記第2基板の前記第2背面との間に配置された液晶層と、前記第1基板の前記第1背面上に第1接着層を介して接着固定された第1導光板と、前記第2基板の前記第2前面上に第2接着層を介して接着固定された第2導光板と、前記第2導光板の第1側面と対向する位置に配置された光源部と、前記第1基板、前記第2基板、前記液晶層、前記第1導光板および前記第2導光板の積層方向において、前記液晶層と重なる着色膜と、を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る透明表示装置の第1構成例を示す斜視図である。
図2図1のA-A線における断面図である。
図3】実施の形態に係る透明表示装置の使用例を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係る透明表示装置の第2構成例を示す断面図である。
図5】実施の形態に係る透明表示装置の第3構成例を示す断面図である。
図6】実施の形態に係る透明表示装置の第4構成例を示す断面図である。
図7】実施の形態に係る透明表示装置の第5構成例を示す断面図である。
図8】実施の形態に係る透明表示装置の第5構成例を示す拡大断面図である。
図9】実施の形態に係る透明表示装置の第5構成例を示す拡大断面図である。
図10】実施の形態に係る透明表示装置の第6構成例を示す断面図である。
図11】実施の形態に係る透明表示装置の変形例の使用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0014】
以下の実施の形態では、ガラス板と組み合わせて利用される表示パネルの例として、液晶分子による可視光の散乱を利用して画像を表示させる液晶表示装置を取り上げて説明する。
【0015】
また、液晶表示装置は、液晶層に含まれる分子の配向を変化させることにより、表示画像を形成する装置であるが、光源を必要とする。以下で説明する実施の形態では、光源が、表示パネルとは別に設けられる。このため、以下では、表示パネルと、表示パネルに可視光を供給する光源モジュールとを区別して説明する。
【0016】
(実施の形態)
<第1構成例>
本実施の形態の第1構成例である透明表示パネルの特徴について説明する。図1は、本実施の形態の表示装置の第1構成例である透明表示パネル(透明表示装置)を示す斜視図である。図1を含む以下の図面において、表示パネルP1の厚さ方向に沿った方向をZ方向、Z方向に直交するX-Y平面において、表示パネルP1の一辺の延在方向をX方向、X方向に交差する方向をY方向として説明する。図2は、図1のA-A線における断面図である。図2では、光の伝搬の様子を分かり易くするため、一部のハッチングの図示を省略している。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態の表示パネルP1は、基板(アレイ基板)10、基板(対向基板)20、導光板(第1導光板、第1カバーガラス)30、導光板(第2導光板、第2カバーガラス)40、光源部50、および駆動回路70を有している。
【0018】
表示装置として構成する場合、図1に示す表示パネルP1が備える各部分の他、例えば制御回路、表示パネルP1に接続されるフレキシブル基板、または筐体などが含まれる場合がある。図1では、表示パネルP1以外の部分は図示を省略している。
【0019】
表示パネルP1は、外部から供給される入力信号に応じて画像が形成される表示領域DAを有する。また、表示パネルP1は、平面視において表示領域DAの周囲を囲む周辺領域を有している。なお、図1に示す表示パネルP1の表示領域DAは四角形であるが、表示領域が多角形または円形など、四角形以外の形状であってもよい。表示領域DAは、表示面を視た平面視において、表示パネルP1が画像を表示する有効領域である。基板10、基板20、導光板30および導光板40のそれぞれは、平面視において表示領域DAと重なる位置にある。
【0020】
図1に示す例では、駆動回路70は基板10上に搭載されている。また、光源部50は導光板40の側面に接して設けられているが、光源部50から射出した光を導光板40の側面から導光板40内に導入できるような構造であればよく、光源部50の搭載箇所はこれに限られない。例えば、光源部50は基板10上に搭載されていてもよい。光源部50は、例えば複数の発光ダイオード素子を備えている。
【0021】
まず、図2に示す表示パネルP1において、光源部50から出射された光の光路について説明する。図2に示すように、光源部50は、複数の発光ダイオード素子からなる光源50aと、レンズ50bとを備えている。表示パネルP1は、液晶層LQLを介して対向するように貼り合せられた基板10および基板20を有している。基板10と基板20とは、表示パネルP1の厚さ方向であるZ方向に配列される。言い換えれば、基板10と基板20とは、表示パネルP1の厚さ方向(Z方向)において互いに対向する。基板10は、液晶層LQL(および基板20)と対向する前面(主面、面)を有する。また基板20は、基板10の前面(および液晶層LQL)と対向する背面(主面、面)を有する。
【0022】
基板10は、スイッチング素子(能動素子)としての複数のトランジスタ(トランジスタ素子)がアレイ状に配置されたアレイ基板である。このトランジスタは、例えばTFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)である。また、基板20は、アレイ基板である基板10に対して表示面側に設けられた基板である。基板20は、アレイ基板に対向配置された基板という意味で、対向基板と言い換えることができる。
【0023】
液晶LQを含む液晶層LQLは、基板10の前面と基板20の背面との間にある。液晶層LQLは、光学変調素子である。表示パネルP1は、上記したスイッチング素子を介して液晶層LQLの周辺に形成される電界の状態を制御することにより、そこを通過する光を変調する機能を備えている。基板10および基板20にある表示領域DAは、平面視において液晶層LQLと重なる。
【0024】
また、基板10と基板20とは、シール部(シール材)SLMを介して接着される。図2に示すように、シール部SLMは、平面視において表示領域DAの周囲を囲むように配置される。つまり、シール部SLMの内側には液晶層LQLがある。シール部SLMは、基板10と基板20との間に液晶を封入するシールとしての役割を果たす。また、シール部SLMは、基板10と基板20とを接着する、接着材としての役割を果たす。
【0025】
基板10の背面は、接着層31を介して導光板30が接着固定されている。また、基板20の前面は、接着層41を介して導光板40に接着固定されている。導光板30は、基板10の背面と対向する前面および前面の反対側の背面を備えている。導光板30は、接着層31を介して基板10に接着固定されている。少なくとも表示領域DAでは、導光板30と基板10との間の隙間は、接着層31により埋められている。図2に示す例では、導光板30の前面の全体に接着層31が接着している。
【0026】
ここでは図示していないが、接着層41と導光板40との間には、保護膜が形成されていてもよい。また、接着層41と導光板40との間には、低屈折率層が形成されていてもよい。すなわち、導光板40の背面と保護膜の前面との間の一部の領域には、低屈折率層(透明層)が介在していてもよい。保護膜は、可視光を透過させることのできる透明な材料からなる。保護膜の厚さは、例えば1μm程度である。低屈折率層は、基板10、基板20、導光板30、導光板40、接着層31および接着層41のいずれよりも屈折率が低い層である。低屈折率層は、表示領域DAの全体を覆うものではなく、平面視において表示領域DAの一部と重なるものである。
【0027】
導光板40は、基板20の前面と対向する背面および背面の反対側の前面を備えている。また、導光板40は、光源部50と対向する側面と、当該側面の反対側に位置する側面とを備えている。それらの側面のそれぞれは、導光板40の背面と前面との間において、導光板40の背面と前面とを繋ぐ面である。それらの側面のそれぞれは、導光板40の背面および前面のそれぞれに対し垂直な方向(Z方向)に沿う面である。導光板40は、接着層41を介して基板20に接着固定されている。少なくとも表示領域DAの一部では、導光板40と基板20との間の隙間は、接着層41により埋められている。すなわち、導光板40は、接着層41を介して基板20に貼り付けられている。
【0028】
接着層31および接着層41のそれぞれは、可視光を透過させることのできる透明な樹脂材料からなる。可視光透過性の接着層31および接着層41の例として、シート状に形成されたOCA(Optical Clear Adhesive)と呼ばれる透明接着シート、または、液体状の透明接着剤を硬化させて用いるOCR(Optical Clear Resin)などを例示できる。
【0029】
図2に示す表示パネルP1の場合、前面および背面の可視光透過性を確保するために、表示領域DAと重ならない位置に光源部50が配置された構造を備える。また、表示パネルP1は、導光板30、導光板40、基板10および基板20と、周囲の空気層との屈折率差を利用して光源光L1を反射させることにより、導光板40の側面のうち、光源部50と対向する側面の反対側の側面側へ光を届ける機構を備えている。光源光L1は、光源部50から照射される光である。導光板40の側面のうち、光源部50側とは反対側の側面を含む表示パネルP1の側面、つまり、基板10、基板20、導光板30、導光板40、接着層31、接着層41、およびシール部SLMを含む積層体の側面には、鏡面が当該側面に対向するようにミラー(反射テープ)43が貼り付けられている。
【0030】
光源部50から出射された光源光L1は、導光板30の背面および導光板40の前面で反射しながら、光源部50側の導光板40の側面から遠ざかる方向に伝搬する。その後、ミラー43により反射した光源光L1は、反対側(光源部50側の導光板40の側面を含む表示パネルP1の側面側)へ、導光板30の背面および導光板40の前面で反射しながら伝搬する。
【0031】
液晶LQは高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)であり、液晶性ポリマーと液晶分子を含んでいる。液晶性ポリマーの配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子の配向方向は、液晶LQにしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。液晶LQに電圧が印加されていない状態では、液晶性ポリマー及び液晶分子のそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LQLに入射した光源光L1は、液晶層LQL内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。液晶LQに電圧が印加された状態では、液晶性ポリマー及び液晶分子のそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶LQに入射した光源光L1は、液晶層LQL内で散乱される(散乱状態)。
【0032】
ここで、本実施の形態の主な特徴の一つとして、表示パネルP1は、平面視において表示領域DAの一部または全体と重なる着色膜1を備えている。本構成例では、着色膜1は、導光板40の前面を覆うように、導光板40の前面に接している。言い換えれば、着色膜1は導光板40の前面側に位置している。着色膜1は、導光板40の前面上に貼り付けまたは塗布により形成可能なカラーレジスト、または、導光板40の前面上に貼り付けにより形成可能なカラーフィルムからなる。着色膜1は、基板10、20、液晶層LQL、導光板30、40、接着層31および41が互いに重なる方向(Z方向、積層方向)において、着色膜1は、基板10、20、液晶層LQL、導光板30、40、接着層31および41と重なっている。
【0033】
着色膜1は、特定の範囲の波長の光だけを透過する材料からなる。言い換えれば、着色膜1は、他の特定の範囲の波長の光を透過し難くする材料からなる。すなわち、着色膜1は、カラーフィルターのようなものである。着色膜1の色は、着色膜1に透光性があれば何色であってもよいが、表示パネルP1に表示する画像に含まれる色とは異なる色であることが望ましい。さらに着色膜1の色は、製造プロセスの簡易化のためにも単色・1色のみを用いた色であることが好ましい。例えば、表示パネルP1が白い文字を表示するものである場合は、着色膜1の色は白以外の色とする。これにより、表示パネルP1に表示する画像の視認性が低下することを防げる。
【0034】
表示パネルP1は、光源光L1の伝搬経路における液晶LQの配向を制御することにより、透明状態と散乱状態とを制御する。散乱状態において光源光L1は液晶LQにより放出光L2として導光板40の前面側および導光板30の背面側から表示パネルP1の外部に出射される。放出光L2および背景光L3は、例えば導光板40の前面側にいる観察者に視認される。観察者は、放出光L2と、背景光L3とを組み合わせて認識することができる。このように透明表示パネルを用いた観察者は、表示画像と背景とを重ね合わせて認識することが可能である。
【0035】
着色膜1は所定の色に着色されており、かつ透光性を有する膜である。したがって、放出光L2および背景光L3は、着色膜1を透過して観察者に視認される。このため観察者は、表示パネルP1越しに、着色膜1により着色された背景を視認する。これは、表示パネルP1が動作していないときなど、表示パネルP1に画像が表示されていない場合であっても同様である。
【0036】
<第2構成例>
図4に、本実施の形態の第2構成例である透明表示パネルの断面図を示す。図2では、着色膜1が導光板40の前面上に位置している構造を記載したが、図4に示すように、着色膜1は導光板40と接着層41との間に配置されていてもよい。
【0037】
<第3構成例>
図5に、本実施の形態の第3構成例である透明表示パネルの断面図を示す。図5に示すように、着色膜1は導光板30の背面に接するように配置されていてもよい。つまり、ここでは、着色膜1は導光板30の背面側に位置している。
【0038】
<第4構成例>
図6に、本実施の形態の第4構成例である透明表示パネルの断面図を示す。図6に示すように、着色膜1は接着層31と導光板30との間に配置されていてもよい。
【0039】
<第5構成例>
図7に、本実施の形態の第5構成例である透明表示パネルの断面図を示す。図7に示すように、着色膜1は基板20と液晶LQとの間に配置されていてもよい。この場合における具体的な例の断面図を、図8および図9のそれぞれに示す。図8および図9はそれぞれ別の例を示す断面図である。
【0040】
図2図4図7では図示を省略しているが、図8に示すように、液晶LQ(図示しない)と基板20との間には、液晶LQ側から順に配光膜60、保護膜61、電極膜62および遮光層BMが順に配置されている。配光膜60、保護膜61、電極膜62は、いずれも透光性材料からなる。遮光層BMは特許文献2に記載にあるように、基板10(TFT基板)に設けられる、図示しないTFTに接続される配線及びTFTに重なるように設けられ、放出光L2(図2)を取り出す為に複数の開口部を有するものである。図8に示す例では、遮光層BMと基板20との間に着色膜1が配置されている。また、遮光層BMの複数の開口部においては着色膜1と電極膜62とが接する配置となる。図8および図9には示していないが、配光膜60の背面側(下側)には液晶LQ(液晶層LQL)を介して基板10が配置されている。
【0041】
配光膜60は、表示パネルP1内を導光する光源光L1(図2参照)を配光する役割を有している。配光膜60は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。保護膜61は、例えばシリコン窒化物などの透明な無機絶縁膜である。電極膜62は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)などからなる透明電極である。遮光層BMは、黒色の樹脂などの光吸収率の高い材料で形成されている。
【0042】
図9に示す例では、配光膜60と電極膜62との間に着色膜1が配置されている。ここで、図9に示す例において、着色膜1は図8に示す保護膜61の役割を有している。すなわち、保護膜61の代わりに着色膜1を設けてもよい。遮光層BMの複数の開口部においては、基板20の背面と電極膜62が接する配置となり、基板20、電極膜62、着色膜1および配向膜60が積層されることとなる。
【0043】
<第6構成例>
図10に、本実施の形態の第6構成例である透明表示パネルの断面図を示す。図6に示すように、着色膜1は基板20と接着層41との間に配置されていてもよい。
【0044】
<本実施の形態の効果>
本実施の形態に係る透明表示装置の使用例を、図3の斜視図に示す。図3に示すように、表示パネルP1は土台BSによって支持され、配置された面(床面、水平面)に対して直立している。つまり、表示パネルP1の表示領域DAの面(表示面)は、横方向(水平方向、前方および後方)に向いている。光源部50は土台BS内に位置し、光源部50は下側から表示領域DAに光源光を導光させる。液晶を表示させた状態でこのように光源光を導光させることで、光を散乱させ、前方および後方のそれぞれに画像を表示する。図3では、例として「Yes」という文字を表示パネルP1に表示している。この文字は、例えば白色で表示されている。表示パネルP1は透明表示装置であるため、観察者には表示パネルP1の背景側からの光が透過して届く。すなわち、観察者は表示パネルP1に表示された画像のみでなく、表示パネルP1を挟んで向こう側に位置する背景も視認できる。表示パネルP1に表示された画像は、前方からだけでなく後方からも視認可能である。
【0045】
本実施の形態では、表示パネルP1と重なる着色膜1を設けている。これにより、背景光L3(図2参照)は着色される。よって、画像を表示しているときであっても、画像を表示しないとき(例えば電源が入っていないオフ状態)であっても、表示パネルP1越しに視認される背景は色付きとなる。したがって、表示パネルP1のデザイン性(デザインの自由度)を広げることができる。
【0046】
図3では、ハッチングを付して示すように、表示パネルP1の表示面の全体は、着色膜1により着色されている。ただし、着色膜1により着色される領域は表示パネルP1の表示面の一部であってもよい。例えば、着色膜1により着色された領域がイラストまたは文字などを表していてもよい。また、互いに異なる色の複数の着色膜1を並べることで、複数の色により構成されるイラストなどを表してもよい。
【0047】
また、透明表示装置に表示する文字などの画像を白色で表す場合、透明表示装置の表示パネルが無色透明であって、観察者が表示パネル越しに視認する背景が白色であると、画像の視認性が低くなるという課題がある。例えば、表示パネルに白色の文字を表示し、観察者が表示パネル越しに視認する背景が白色である場合、観察者にとって当該文字は見難くなる。ここでいう背景とは、例えば机、壁、書類または衣服などである。
【0048】
これに対し、本実施の形態では、着色膜1を設けることで、観察者が表示パネルP1を通して視認する背景光L3が着色される。これにより、観察者は例えば白色の表示画像(例えば文字)と、着色された背景とを容易に区別でき、画像の視認性を向上できる。
【0049】
上記の効果は、図1図10を用いて説明した構成例1~6のいずれにおいても得られる。すなわち、上記効果は、表示パネルP1を構成する積層構造のうち、どの位置に着色膜1を設けても得られる。
【0050】
<変形例>
図3には、例として文字を表示パネルP1の一方向(例えば前方)に向かって示す場合を示した。つまり、反対方向(例えば後方)から表示パネルP1を観察者が見た場合には、文字は左右反転した状態となるため、読み難くなる。
【0051】
ここで、図11に本変形例の透明表示装置である表示パネルP1の斜視図を示す。本変形例では、表示パネルP1の表示領域を領域1Aおよび領域1Bに分けており、領域1Aには前方へ向けて文字を表示し、領域1Bには後方へ向けて文字を表示する。つまり、表示パネルP1には、反転していない文字と反転している文字とを同時に表示する。言い換えれば、並んで配置された複数の着色膜のうち、一方と重なる位置に所定の文字を表示し、他方と重なる位置に左右が反転した文字を表示する。これにより、表示パネルP1を挟んで対面する複数(例えば2人)の観察者のそれぞれに反転していない文字を表示できる。つまり、一方の観察者は領域1Aの文字(画像)を視認し、当該観察者と対向する他方の観察者は領域1Bの文字(画像)を視認することで、いずれの観察者も反転していない文字を視認できる。
【0052】
図11では領域1Aおよび領域1Bのそれぞれに同じ文字列を表示しているが、領域1Aおよび領域1Bのそれぞれに表示する文字は互いに異なっていてもよい。例えば、領域1Aに特定の言語で文字列を表示し、領域1Bにその文字列を翻訳した文字列を表示してもよい。
【0053】
ここで、本変形例では、領域1Aおよび領域1Bのそれぞれに互いに異なる色の着色膜を設けている。それらの着色膜同士は、Z方向において互いに重なっておらず、X方向またはY方向において互いに隣接または離間している。すなわち、着色膜は、基板10、20、液晶層LQL、導光板30、40、接着層31および41(図1参照)が互いに重なる方向(Z方向、積層方向)から見て複数並んで設けられており、複数の着色膜のそれぞれは、互いに異なる色を有している。ただし、図示はしていないが、それらの着色膜同士は、Z方向において互いの一部同士が重なっていてもよい。領域1Aおよび領域1Bのそれぞれに設ける着色膜は、図1図10を用いて説明した構造例のどの位置に配置されていてもよく、互いに異なる構造例の位置に配置されていてもよい。
【0054】
このように、領域1Aおよび領域1Bのそれぞれを互いに異なる色の着色膜により色分けすることで、表示パネルP1を挟んで対面する複数(例えば2人)の観察者のそれぞれが表示パネルP1のどの位置を着目すべきか分かり易くすることができる。
【0055】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0056】
上記の各構成例には記載していないが、着色膜1は基板10と液晶LQとの間、または、基板10と基板10の下の接着層31との間に形成されていてもよい。
【0057】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、表示装置や表示装置が組み込まれた電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 着色膜
1A、1B 領域
10、20 基板
30、40 導光板
31、41 接着層
43 ミラー
50 光源部
50a 光源
50b レンズ
60 配光膜
61 保護膜
62 電極膜
70 駆動回路
BM 遮光層
BS 土台
DA 表示領域
L1 光源光
L2 放出光
L3 背景光
LQ 液晶
LQL 液晶層
P1 表示パネル
SLM シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11