(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055540
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】カメラモジュール
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20240411BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240411BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240411BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61B1/04 530
A61B1/00 680
G02B23/24 B
G02B23/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162559
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】久原 隆
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040GA03
4C161AA15
4C161BB01
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161FF40
4C161FF45
4C161JJ06
4C161LL02
4C161PP08
(57)【要約】
【課題】信号ケーブルの破損抑止と接続作業の容易化とを両立可能なカメラモジュールを提供する。
【解決手段】導体の一端を第1面からパッドに案内する案内形状を有する絶縁部材を用いてケーブルと撮像素子とを接続する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面を有する撮像素子と、
第1導電パッド部と第2導電パッド部とを含み、前記撮像素子において前記撮像面と反対の背面に配置されている導電部と、
前記背面と交差する第1方向に延びる第1導線部と、前記第1方向に延びる第2導線部とを含み、前記撮像素子と信号を送受信するケーブル部と、
前記背面に平行な第2方向に延びる第1面と、前記第1面と平行な第2面と、前記第1面から前記第2面に貫通する案内形状を有し前記第1導線部の一端を前記第1導電パッド部に案内する第1案内孔部と、前記案内形状を有し前記第1案内孔部において前記第1導線部が案内されている状態で前記第2導線部の一端を前記第2導電パッド部に案内する第2案内孔部とを有する絶縁部材と、
前記第1導電パッド部に案内された前記第1導線部と前記第1導電パッド部とを導通接続する第1接続部と、
前記第2導電パッド部に案内された前記第2導線部と前記第2導電パッド部とを導通接続する第2接続部と、を備える、
カメラモジュール。
【請求項2】
前記案内形状は、
前記第1面において第1半径であり、前記第1方向において前記第1面と前記第2面との間の位置において前記第1半径よりも小さい第2半径である、
請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記案内形状は、
前記第1面及び前記第2面において前記第1半径を有し、前記第1方向において前記第1面と前記第2面との間の位置において前記第2半径を有する一葉双曲面である、
請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記ケーブル部は、
前記第1導線部を被覆する第1絶縁被覆部と、前記第2導線部を被覆する第2絶縁被覆部とを有し、
前記第1絶縁被覆部及び前記第2絶縁被覆部は、前記第1半径よりも小さく、かつ前記第2半径よりも大きい径である、
請求項2又は3に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記撮像素子は、
最も長い辺の長さが1mm以下である、
請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記第1導電パッド部は、第1パッド及び第2パッドであり、
前記第2導電パッド部は、前記背面において前記第1パッドと前記第2パッドとを結ぶ線に交差する第1仮想線上に配置されている第3パッド及び第4パッドであり、
前記第1導線部は、前記第1パッドに導通接続される第1導線と、前記第2パッドに導通接続される第2導線とであり、
前記第2導線部は、前記第3パッドに導通接続される第3導線と、前記第4パッドに導通接続される第4導線とであり、
前記第1案内孔部は、前記第1導線の一端を前記第1パッドに向けて案内する第1孔と、前記第2導線の一端を前記第2パッドに向けて案内する第2孔とであり、
前記第2案内孔部は、前記第1面において前記第1孔と前記第2孔とを結ぶ線に交差する第2仮想線上に配置され、前記第3導線の一端を前記第3パッドに向けて案内する第3孔、及び前記第4導線の一端を前記第4パッドに向けて案内する第4孔であり、
前記第1接続部は、前記第1パッドに案内された前記第1導線と前記第1パッドとを導通接続する第1接続部材と、前記第2パッドに案内された前記第2導線と前記第2パッドとを導通接続する第2接続部材とであり、
前記第2接続部は、前記第3パッドに案内された前記第3導線と前記第3パッドとを導通接続する第3接続部材と、前記第4パッドに案内された前記第4導線と前記第4パッドとを導通接続する第4接続部材とであり、
前記絶縁部材は、
前記第2方向における形状が前記第1孔と前記第2孔とを結ぶ線と前記第2仮想線とを対角線とする四角形である、
請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記撮像面に光を入射するレンズと、を備える、
請求項1に記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
四角形で形成され、撮像面と反対の背面に複数のパッドが設けられる撮像素子と、背面に略垂直な方向に延在する複数の平行な電線を一体に固定し、それぞれの電線の導体を背面と平行な対向端面からそれぞれのパッド(撮像素子の端子)に応じて突出させた電線位置決め固定体と、複数のパッドのそれぞれに、導体の先端を導通接続する導電材と、を備えるカメラモジュールが開示されている(特許文献1参照)。このようなカメラモジュールが用いられる電子内視鏡においては、背面に端子を有する撮像素子が、対物光学系との位置関係(つまり、ピント出し)を正確に調整した状態で金属製のシールドパイプ内に固着されている。そして、撮像素子の端子は、半田付け等により信号ケーブルの心線と接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信号ケーブルの各心線の先端を撮像素子の背面の端子(つまり、パッド)に接続する作業は、端子に対する信号ケーブルの各心線の先端の位置合わせ、信号ケーブルの破損抑止の必要性などから、煩雑化しやすいという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、信号ケーブルの破損抑止と接続作業の容易化とを両立可能なカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、撮像面を有する撮像素子と、第1導電パッド部と第2導電パッド部とを含み、前記撮像素子において前記撮像面と反対の背面に配置されている導電部と、前記背面と交差する第1方向に延びる第1導線部と、前記第1方向に延びる第2導線部とを含み、前記撮像素子と信号を送受信するケーブル部と、前記背面に平行な第2方向に延びる第1面と、前記第1面と平行な第2面と、前記第1面から前記第2面に貫通する案内形状を有し前記第1導線部の一端を前記第1導電パッド部に案内する第1案内孔部と、前記案内形状を有し前記第1案内孔部において前記第1導線部が案内されている状態で前記第2導線部の一端を前記第2導電パッド部に案内する第2案内孔部とを有する絶縁部材と、前記第1導電パッド部に案内された前記第1導線部と前記第1導電パッド部とを導通接続する第1接続部と、前記第2導電パッド部に案内された前記第2導線部と前記第2導電パッド部とを導通接続する第2接続部と、を備える、カメラモジュールを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、信号ケーブルの破損抑止と接続作業の容易化とを両立可能なカメラモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るカメラの先端を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係るカメラモジュールの側面図である。
【
図4A】
図4Aは、実施の形態1に係るガイド部材の上面図である。
【
図4B】
図4Bは、実施の形態1に係るガイド部材の側面図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態1に係る案内形状により案内される電線を例示した図である。
【
図5B】
図5Bは、実施の形態1に係る案内形状により案内される電線を例示した図である。
【
図5C】
図5Cは、実施の形態1に係る案内形状により案内される電線を例示した図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る撮像素子の背面と案内形状との関係を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係るカメラモジュールの下方斜視図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係るカメラモジュールの側方視点図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るカメラモジュールを具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システム11を示す斜視図である。
図1は、カメラ13とビデオプロセッサ15とを含む内視鏡システム11の斜視図である。なお、本開示において、「上(上方向)」、「下(下方向)」は、水平面に置かれたビデオプロセッサ15の上方向と下方向とにそれぞれ対応する(
図1参照)。また、「前(先端、先端方向、前方向)」、「後(後端、後端方向、後方向)」は、挿入部17が配置されているカメラ13先端側に向かう方向とプラグ部19の基端側に向かう方向(言い換えると、カメラ13からビデオプロセッサ15に向かう方向)にそれぞれ対応する。
【0011】
図1に示すように、内視鏡システム11は、カメラ13と、観察対象(例えば、血管など生体内の管や腔の内部等)を撮影して得られた静止画又は動画に対して画像処理等を行うビデオプロセッサ15と含む。カメラ13は、例えば、医療用の軟性鏡、内視鏡、産業用の小型カメラに相当する。カメラ13は、略前後に延びる方向に延在し、観察対象に挿入される挿入部17と、挿入部17の後部が接続されるプラグ部19と、を備える。
【0012】
ビデオプロセッサ15は、前壁21と、前壁21に開口するソケット部23とを有する。ソケット部23は、カメラ13のプラグ部19の後部と電気的に接続される。これにより、カメラ13は、ビデオプロセッサ15との間で電力と各種信号(映像信号、制御信号など)とを送受信する。
【0013】
上述した電力、各種の制御信号は、軟性部25の内部に挿通されたケーブル27(
図3参照)を介してプラグ部19から軟性部25に導かれる。撮像素子31(
図3参照)から出力された画像信号は、ケーブル27を介してプラグ部19からビデオプロセッサ15に伝送される。ビデオプロセッサ15は、画像信号に対し、例えば色補正や階調補正等の画像処理を行い、画像処理後の画像信号(例えば、撮像画像)を表示装置(図示略)に出力する。表示装置は、例えば、液晶表示パネル等の表示デバイスを有するモニタ装置であり、カメラ13によって撮像された被写体の撮像画像(例えば、被写体である人体の血管内の様子を示す撮像画像)を表示する。
【0014】
挿入部17は、可撓性の軟性部25と、軟性部25の先端に連なる先端部29とを有する。軟性部25は、各種の内視鏡検査、内視鏡手術等の方式に対応する適切な長さであり、軟性部25の後端は、プラグ部19に接続されている。軟性部25は、例えば、螺旋状に巻回された金属薄板の外周にネット部材を被せ、さらに、ネット部材の外周に被覆が被せられている。軟性部25は、可撓性を有する。さらに、軟性部25は、先端部29とプラグ部19との間を接続する部材でもある。
【0015】
カメラ13は、細径の体腔への挿入が可能な細径である。細径の体腔とは、人体の血管に限定されず、例えば、尿管、すい管、胆管、細気管支等を含む。つまり、カメラ13は、人体の血管、尿管、すい管、胆管、細気管支等へ挿入することができる。換言すると、カメラ13は、血管内の病変の観察に適用することができる。また、カメラ13は、動脈硬化性プラークの同定に適用できる。さらに、カメラ13は、心臓カテーテル検査にも適用できる。さらに、カメラ13は、血栓や動脈硬化性の黄色プラークの検出に適用することができる。なお、内視鏡システム11のユーザは、カメラ13の撮像画像における色調(白色、淡黄色、黄色)や、表面(平滑、不整)によって動脈硬化病変を観察することができる。また、内視鏡システム11のユーザは、カメラの撮像画像における色調(赤色、白色、暗赤色、黄色、褐色、混色)によって血栓を観察することができる。
【0016】
また、カメラ13は、腎盂・尿管がんや、特発性腎出血の診断・治療に適用することができる。この場合、カメラ13は、尿道から膀胱内に挿入され、さらに尿管内にまで進めて、尿管と腎盂の中を観察するために適用することができる。
【0017】
また、カメラ13は、十二指腸に開口するファーター乳頭へ挿入することができる。胆汁は、肝臓から造られ胆管を通って、また、膵液は、膵臓から造られ膵管を通って十二指腸にあるファーター乳頭から排出される。カメラ13を胆管および膵管の開口部であるファーター乳頭から挿入することにより、胆管または膵管の観察に適用できる。
【0018】
さらに、カメラ13は、気管支への挿入が可能である。カメラ13は、背臥位となった検体(被施術者等)の口腔または鼻腔から挿入され、咽頭、喉頭を経由し、声帯を視認しながら気管へと挿入される。気管支は分岐するたびに細くなるため、例えばカメラ13の最大外径を2mm未満とすることにより、亜区域気管支までの内腔の確認に内視鏡システム11を適用することが可能となる。
【0019】
図2は、
図1に示したカメラ13の先端を示す斜視図である。カメラ13は、先端部29にモールド部33を有する。モールド部33には、管状のシース35が接続される。シース35は、先端部29と同一の外径で形成され、モールド部33の少なくとも一部を覆っている。モールド部33は、例えばレンズ37と撮像素子31(
図3参照)とを埋入して柱状に成形されているモールド樹脂に相当する。シース35は、モールド部33の後端から部分的に延出している小径延出部(図示略)の外周に接着剤等によって固定される。シース35の内部には、ケーブル27(
図3参照)が挿通される。
【0020】
先端部29の先端面の中央部には、四角形の対物カバーガラス39が設けられている。先端面には、対物カバーガラス39の各辺の外側に、ライトガイド41を構成する4つの光ファイバ43の光出射端面が配置されている。
【0021】
続いて、
図3を参照して、本実施の形態に係るカメラモジュール45について説明する。
図3は、カメラ13に搭載されるカメラモジュール45の側面図である。カメラモジュール45は、対物カバーガラス39と、レンズ37と、素子カバーガラス47と、撮像素子31と、導電材69と、ガイド部材63と、ケーブル27とを有する。レンズ37は、先端部29の最も対物側(
図2参照)に配置されている対物カバーガラス39の後方に設けられている。レンズ37は、例えば、単一レンズである。レンズ37の後方には、撮像素子31が配置されている。また、レンズ37と撮像素子31との間には、撮像素子31の撮像面31aを保護するための素子カバーガラス47が配置されている。つまり、カメラモジュール45は、撮像素子31の撮像面側に、レンズ37が配置されている。そして、カメラモジュール45においては、対物カバーガラス39と、レンズ37と、カメラモジュール45と、およびケーブル27の一部とが、カメラ13の先端を形成するモールド部33(
図2参照)に埋入されている。
【0022】
撮像素子31は、例えば、1辺が1mm以下(例えば、0.5mm~1mm程度)、かつ四角形(例えば、正方形)である。撮像素子31は、撮像面とは反対の背面49に、複数の導電性のパッド51(パッド51a、51b、51c、51d)が設けられている(
図6参照)。パッド51には、ケーブル27が導通接続される。
【0023】
ケーブル27は、電線53(電線53a、53b、53c、53d)と、シールド線55とを有する。電線53aは、線状の導体57aの外周が、絶縁被覆75aにより覆われている。電線53b、53c、53dも電線53aと同様に、それぞれ、線状の導体57b、57c、57dの外周が、絶縁被覆75b、75c、75dにより覆われている。シールド線55は、アルミや銅等の素線が被覆に覆われることなく配線されている。シールド線55と電線53a、53b、53c、53dとは、シールド層59によりひとまとまりに覆われている。より具体的に、電線53a、53b、53c、53dは、シールド層59により、同一円上に配置される。また、より具体的に、シールド層59は、電線53a、53b、53c、53dをそれぞれ四隅に一つずつ配置してシールド線55とひとまとまりに覆っている。電線53a、53b、53c、53dの先端は、シールド層59により、撮像素子31の投影面内に配置することができる。以後の説明において、電線53a、53b、53c、53dを区別する必要のない場合には、「電線53」と称し、導体57a、57b、57c、57dを区別する必要のない場合には、「導体57」と称し、絶縁被覆75a、75b、75c、75dを区別する必要のない場合には、「絶縁被覆75」と称する場合がある。
【0024】
ケーブル27は、ケーブル27の後端側の基端が、プラグ部19(
図1参照)に導入される。プラグ部19に導入されたケーブル27は、導体57a、57b、57c、57dが、それぞれ、プラグ部19に収容されている回路基板(図示略)の所定の回路端子に導電接続される。また、シールド線55は、回路基板のGND端子に導電接続される。撮像素子31から出力された撮像データは、プラグ部19に導入されたケーブル27を介してビデオプロセッサ15に伝送される。
【0025】
シールド層59は、カメラ13の外部からの静電気による、撮像素子31等の電子部品の静電破壊を防止する。シールド層59として、例えば、アルミ等の金属箔や、細径の導線等を網目状に編んだ編組シールドを用いてもよい。また、シールド層59として、アルミ等の金属箔と編組シールドとを二層で設けてもよい。複数の電線53とシールド線55とを覆ったシールド層59の外周は、さらに軟質の絶縁性樹脂等のチューブ状のケーブルシース61により覆われる。つまり、ケーブル27は、中心側より複数の電線53とシールド線55と、電線53及びシールド線55を覆うシールド層59と、シールド線55の外周を覆うケーブルシース61とを含む三層構造である。
【0026】
ところで、撮像画像のデータの伝送に用いられるケーブル27の先端においては、電線53aが、パッド51aに接続される。電線53b、53c、53dも電線53aと同様に、パッド51b、51c、51dにそれぞれ接続される。カメラモジュール45は、電線53a、53b、53c、53dを、パッド51a、51b、51c、51d(
図6参照)に案内するためのガイド部材63を備える。導体57a、57b、57c、57dは、ガイド部材63によって背面49に設けられたパッド51a、51b、51c、51dに案内される。以後の説明において、パッド51a、51b、51c、51dを区別する必要のない場合には、「パッド51」と称する場合がある。
【0027】
続いて、
図4Aと
図4Bとを参照して、ガイド部材63について説明する。
図4Aは、第1面63Aから視たガイド部材63の上面図である。
図4Bは、ガイド部材63の側面図である。ガイド部材63は、例えば、樹脂やガラス等の立体成型物である。本実施の形態では、例えば、ガイド部材63を立方体、円柱、直方体として成型することができる。また、ガイド部材63は、無色又は着色された成型物である。ガイド部材63は、
図3に示すように、第1面63A及び第2面63Bが、撮像素子31の最も短い辺の長さよりも小さいサイズの四角形であってもよい。
【0028】
図4Aには、第1面63A(
図3参照)の外形が正方形(四角形)であるガイド部材63を例示している。
図4Bは、第1面63Aに直交する方向の外形が正方形であるガイド部材63を例示している。ガイド部材63は、第1面63Aと、第1面63Aに平行な第2面63bとを有する。第2面63Bは、カメラモジュール45において、撮像素子31に対向して配置されている。第1面63Aは、ガイド部材63において第2面63Bと平行な面である。
【0029】
ガイド部材63は、第1面63Aから第2面63Bに貫通するガイド孔631、632、633、634を有する。なお、ガイド部材63が備えるガイド孔は、
図4A及び
図4Bに開示する数に限られない。例えば、ガイド孔631を含む複数のガイド孔(例えば、2つ、5つ等)がガイド部材63に設けられている場合、ガイド孔631が本実施の形態の第1案内孔部の一例であり、ガイド孔631以外の他のガイド孔(例えば、ガイド孔633等)が、本実施形態の第2案内孔部の一例である。また、ガイド孔631は、本実施形態の第1孔の一例であり、ガイド孔632は、本実施形態の第2孔の一例であり、ガイド孔633は、本実施形態の第3孔の一例であり、ガイド孔634は、本実施形態の第4孔の一例である。
【0030】
ガイド孔631、632、633、634は、それぞれ、第1面63Aにおいて第1径R1であり、第1面63Aと第2面63Bとの間の位置において第1径R1よりも小さい第2径R2である形状を有する。なお、第1面63Aと第2面63Bとの中間の位置において第1径R1よりも小さい第2径R2としてもよい。
【0031】
このように、ガイド孔631、632、633、634は、それぞれ、第1面63Aからガイド部材63の中心部に向かうにつれて径が小さくなる形状である。第1面63Aからガイド部材63の中心部に向かうにつれてガイド孔631、632、633、634の径が小さくなる形状が、本実施形態の案内形状の一例である。案内形状としては、
図4Bに開示する以外にも、ガイド孔631、632、633、634をそれぞれ一葉双曲面とした形状、第1面63Aからガイド部材63の中心部において急激に径を小さくした砂時計形状、第1面63Aからガイド部材63の中心部に向かうにつれて径を小さくしたまま第2面63Bに貫通する漏斗形状、としてもよい。
図4Bは、案内形状として、第1面63Aと第2面63Bとにおいて第1径R1である一葉双曲面を有するガイド孔631、632、633、634(ガイド孔631、633は
図4Bに不図示である)を備えるガイド部材63を例示している。
【0032】
第1面63Aにおいて、ガイド孔633とガイド孔634とは、ガイド孔631とガイド孔632とを結ぶ線CLと交差する第1仮想線IM上に配置されている(
図4A参照)。ガイド孔631、632、633、634の配置に関して、ガイド部材63は、第1面63Aの形状を、線CLと第1仮想線IMとを対角線とする四角形とすることができる。なお、ガイド部材63が立方体又は直方体である場合、第2面63Bの形状を、線CLと第1仮想線IMとを対角線とする四角形とすることができる。ガイド部材63を、第1面63Aの形状を、線CLと第1仮想線IMとを対角線とする四角形とすることにより、例えば、電線53a、53b、53c、53dを、それぞれ、背面49の4隅に1つずつ配置されたパッド51a、51b、51c、51d(
図6参照)に対して的確に案内することができる。
【0033】
また、案内形状として、第1面63Aと第2面63Bとにおいて第1径R1である一葉双曲面を有するガイド孔630を備えるガイド部材63を用いることにより、第1面63Aと第2面63Bとのどちらが背面49に対向しているかに依らず、電線53をパッド51に対して的確に案内することができる。したがって、背面49に対する第1面63Aと第2面63Bとの向きを考慮せずともケーブル27と撮像素子31とを接続することができるため、ケーブル27と撮像素子31との接続作業をより容易にすることができる。
【0034】
続いて、
図5A、
図5B、及び
図5Cを参照して、ガイド孔631、632、633、634による電線53の案内態様について説明する。
図5A、
図5B、及び
図5Cは、実施の形態1に係る案内形状により案内される電線53を例示した図である。以後の説明において、ガイド孔631、632、633、634を区別する必要のない場合には、「ガイド孔630」と称する場合がある。また、
図5A、
図5B、及び
図5Cにおいて、ガイド孔630は、矢印Aと矢印Bとによって表される方向に延びているものとする。また、電線53は、第1面63A(
図3参照)からガイド孔630に挿入されると仮定して説明を行う。
【0035】
電線53は、第1面63A(
図3参照)に配置されたガイド孔630の開口からガイド孔630に挿入される。このとき、電線53の延びる方向がガイド孔630延びる方向と平行になるように、導体57がガイド孔630の開口に挿入されるとは限らない。例えば、
図5Aに示すように、ガイド孔630の周面630Aに導体57が接触した状態で電線53がガイド孔630に挿入されることがある。
【0036】
図5Bに示すように、周面630Aに接触した状態でガイド孔630に挿入された電線53は、導体57が周面630Aを摺接しながら矢印Bの方向(例えば、第1面63Aからガイド部材63の中央部に向かう方向)に移動することにより、第2面63Bに向けて案内される。上述したように、ガイド孔630は、第1面63Aの開口径(例えば、第1径R1)よりもガイド部材63の中央部の径(例えば、第2径R2)が小さい案内形状を有している。
【0037】
したがって、矢印Bの方向に向かう際に、電線53は、ガイド孔630の開口端部の周面630Aの表面を滑りながら移動するため、電線53の一部がガイド孔630の開口端部に引っかかることによる導体57、絶縁被覆75の破損を抑制することができる。また、電線53は、電線53の一部とガイド孔630の開口端部との引っかかりを抑制することができるため、撮像素子31とケーブル27との接続作業をより容易に行うことができる。
【0038】
図5Cに示すように、電線53は、導体57が周面630Aを摺動しながら矢印Bの方向に移動し、第2面63Bまで案内される。本実施形態において、導体57は、電線53の延びる方向がガイド孔630延びる方向と平行になるようにガイド孔630を経由することが可能である。このように、本実施形態においては、ガイド孔630が有する案内形状により、電線53の挿入方向がガイド孔630と平行ではない方向であったとしても、電線53と第1面63Aの開口との接触による電線53の破損を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、絶縁被覆75の径の大きさを調節することにより、矢印Bの方向へ向かう電線53の移動を規制することが可能である。例えば、絶縁被覆75の径を、第1面63Aの開口径(例えば、第1径R1)よりも小さく、かつガイド部材63の中央部の径(例えば、第2径R2)よりも大きい第3径R3とすることにより、周面630Aと絶縁被覆75とを接触させる。このようにすることにより、絶縁被覆75の移動がガイド部材63の中央部で規制されるため、矢印Bの方向へ向かう電線53の移動を規制することができる。このように、ガイド孔630は、電線53をガイド孔630の任意の位置まで案内することができるため、パッド51に対して電線53を容易に案内できる。
【0040】
また、さらに、ケーブル27において導体57a、57b、57c、57dの長さを、ほぼ同じ長さとしてもよい。このようにすることにより、例えば、電線53aをガイド孔631によってパッド51aに向けて案内することで、電線53cが対応するガイド孔(例えば、ガイド孔633)に挿入される。そのため、電線53aがガイド孔631の周面に沿って移動している状態で電線53b、53c、53dを、それぞれ、ガイド孔632、633、634の周面に沿わせて案内することができ、ケーブル27に含まれる複数の電線53をパッド51に対してより容易に案内できる。
【0041】
続いて、
図6を参照して、パッド51とガイド孔630との関係について説明する。
図6は、背面49におけるパッド51a、51b、51c、51dの配置と、ガイド孔631、632、633、634との関係を示す説明図である。
図6に示すように、パッド51は、背面49の4隅に1つずつ配置されている。パッド51a、51b、51c、51dは、例えば、背面49の四隅に一つずつ配置される。
【0042】
なお、背面49に配置されるパッドは4つに限定されず、例えば、2つや3つなど、複数個設けるようにしてもよく、
図4Cに例示する数に限定されない。パッド51は、例えば電源、画像信号、GND(グランド)、CLK(例えば、ビデオプロセッサ15からのクロック、又はコマンドの入力)等の回路接続に用いられる。
【0043】
また、例えば、パッド51aを含む複数のパッド(例えば、2つ、5つ等)が背面49に設けられている場合、パッド51aが本実施の形態の第1導電パッド部の一例であり、パッド51a以外の他のパッド(例えば、パッド51c等)が、本実施形態の第2導電パッド部の一例である。また、パッド51aは、本実施形態の第1パッドの一例であり、パッド51bは、本実施形態の第2パッドの一例であり、パッド51cは、本実施形態の第3パッドの一例であり、パッド51dは、本実施形態の第4パッドの一例である。背面49に設けられているパッドが、本実施形態の導電部の一例である。
【0044】
ガイド部材63を線CLと第1仮想線IMとを対角線とする四角形に成型することにより、ガイド孔631、632、633、634は、パッド51a、51b、51c、51dに対応した位置に配置されることとなる。したがって、ガイド部材63を線CLと第1仮想線IMとを対角線とする四角形とすることにより、ガイド孔631、632、633、634に対応した位置にあるパッド51に対して電線53をより容易に案内することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態においては、背面49に設けられたパッド51の数に対応する導体57が設けられることとなる。例えば、パッド51aを含む複数のパッド(例えば、2つ、5つ等)が背面49に設けられている場合、パッド51aに接続される導体57aが本実施形態の第1導線部であり、パッド51a以外の他のパッド(例えば、パッド51c等)に接続される導体(例えば、導体57c)が、本実施形態の第2導線部の一例である。また、導体57aは、本実施形態の第1導線の一例であり、導体57bは、本実施形態の第2導線の一例であり、導体57cは、本実施形態の第3導線の一例であり、導体57dは、本実施形態の第4導線の一例である。ケーブル27は、本実施形態のケーブル部の一例である。
【0046】
また、本実施形態において、ガイド部材63は、複数のガイド孔630(ガイド孔631、632、633、634)を有する。ケーブル27の先端には、複数の導体57(導体57a、57b、57c、57d)が設けられている。導体57a、57b、57c、57dは、それぞれ、ケーブル27が延びる方向に沿って延びている。上述したように、電線53は、ガイド孔630が有する案内形状により、電線53の挿入方向がガイド孔630と平行ではない方向であったとしても、ガイド孔630と平行になるようにガイド孔630を通過することが可能である。したがって、導体57aがガイド孔631によって案内されている状態において導体57cをガイド孔633の周面に沿って移動させることにより、導体57aと導体57cとをそれぞれパッド51aと51cとに向けて案内することが可能である。つまり、導体57a、57b、57c、57dの先端をガイド孔631、632、633、634の周面に沿って移動させることにより、導体57a、57b、57c、57dを、パッド51a、51b、51c、51dに案内することが可能である。
【0047】
図7は、実施の形態1に係るカメラモジュール45の下方斜視図である。
図7に示すように、導体57a、57b、57c、57dは、第2面63Bから突出し、パッド51a、51b、51c、51dに案内される。そして、導体57aは、導電体69aによってパッド51aに導通接続される。導体57b、57c、57dも導体57aと同様に、導電体69b、69c、69dによって、パッド51b、51c、51dに導通接続される。導電体69a、69b、69c、69dとして、低融点導電材を用いてもよい。低融点導電材は、例えばペースト状のフラックスに半田粉を練り込んだクリーム半田である。クリーム半田を用いることにより、微細なパターンをパッド51や導体57に転写することができる。
【0048】
導電体は、背面49に設けられたパッド51の数に対応する数が設けられる。例えば、パッド51aを含む複数のパッド(例えば、2つ、5つ等)が背面49に設けられている場合、パッド51aと導体57aとを接続する導電体69aが本実施形態の第1接続部であり、パッド51a以外の他のパッド(例えば、パッド51c等)と、パッド51a以外の他のパッドに接続される導体(例えば、導体57c)とを接続する導電体(例えば、導電体69c)が、本実施形態の第2接続部の一例である。また、導電体69aは、本実施形態の第1接続部材の一例であり、導電体69bは、本実施形態の第2接続部材の一例であり、導電体69cは、本実施形態の第3接続部材の一例であり、導電体69dは、本実施形態の第4接続部材の一例である。
【0049】
図8は、実施の形態1に係るカメラモジュール45の側方視点図である。
図8は、ガイド部材63が無色の立体成型物である場合のカメラモジュール45を例示している。ガイド部材63が無色の立体成型物である場合、カメラモジュール45の側方から視て、ガイド部材63によってパッド51に向かって案内されている電線53a、53b、53c、53dの先端のガイド孔631、632、633、634における位置を視認することが可能となる。したがって、ガイド部材63が無色の立体成型物である場合、電線53a、53b、53c、53dの位置を視認しながらカメラモジュール45を組み立てることができるため、電線53a、53b、53c、53dの破損をより抑制することが可能となる。
【0050】
なお、電線53a、53b、53c、53dを、ガイド孔631、632、633、634の任意の位置に留め置いた状態でガイド孔631、632、633、634に接着剤を充填してもよい。この場合、接着剤としては光硬化性の接着剤、具体的には、例えばエポキシ系(一液性、二液性を含む)、アクリル系のものを用いてもよい。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示によれば、信号ケーブルの破損抑止と接続作業の容易化とを両立可能なカメラモジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
13 カメラ
27 ケーブル
31 撮像素子
37 レンズ
45 カメラモジュール
49 背面
51 パッド
53 電線
57 導体
63 ガイド部材
69a、69b、69c、69d 導電材