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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055543
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】移載システム、移載設備および仕切材
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B65G1/00 511B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162562
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】上田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】塚本 邦博
(72)【発明者】
【氏名】松本 紘輔
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE05
3F022EE09
3F022LL28
3F022LL38
3F022MM01
3F022MM36
3F022MM40
3F022MM51
(57)【要約】
【課題】作業エリアを仕切った場合でも、省スペース化を図ることができる移載システム、移載設備および仕切材を提供する。
【解決手段】移載システム(1)は、平面視で移載部(12)に対して搬送部(11)とは反対側に設定される作業エリア(25)と、その外部とを仕切る仕切部(24)を備える。仕切部(24)は、作業エリア(25)を挟んで移載部(12)と対向して設置される第1部分(24a)と、平面視で作業エリア(25)側から見て第1部分(24a)に対して鈍角に傾いて設置され、作業エリア(25)への出入口扉が設けられた第2部分(24b)と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向へ物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部の一端側に設置され、前記物品を保持して移載する移載部と、
平面視で前記移載部に対して前記搬送部とは反対側に設定される作業エリアと、その外部とを仕切る仕切部であって、
前記作業エリアを挟んで前記移載部と対向して設置される第1部分と、
平面視で前記作業エリア側から見て前記第1部分に対して鈍角に傾いて設置され、前記作業エリアへの出入口扉が設けられた第2部分と、を含む仕切部と、
を備える移載システム。
【請求項2】
前記仕切部の外側であって、かつ前記第1部分を挟んで前記作業エリアとは反対側に、前記移載システムの制御機器が設置される、請求項1に記載の移載システム。
【請求項3】
前記出入口扉は、前記第1部分とは反対側で軸支される請求項1または2に記載の移載システム。
【請求項4】
前記鈍角は、130度以上140度以下である請求項1または2に記載の移載システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の移載システムを複数備える移載設備であって、
前記移載システムは、各々の前記搬送部が互いに略平行になるように、平面視で前記第1方向と直交する第2方向へ複数並んで設置される移載設備。
【請求項6】
前記第2方向へ沿って一定間隔で支柱が突設された、前記移載システムを設置する設置空間をさらに備え、
前記移載システムは、互いに隣り合う前記支柱の間に、複数設置される請求項5に記載の移載設備。
【請求項7】
前記移載システムは、互いに隣り合う第1移載システムと第2移載システムとを含み、
前記第1移載システムの前記出入口扉は、前記第2移載システム側に設置され、前記第2移載システムの前記出入口扉は、前記第1移載システム側に設置される請求項5に記載の移載設備。
【請求項8】
第1方向へ物品を搬送する搬送部の一端側に設置され前記物品を保持して移載する移載部に対して、前記搬送部とは反対側に設定される作業エリアと、その外部とを仕切る仕切材であって、
前記作業エリアを挟んで前記移載部と対向して設置される第1部分と、
平面視で前記作業エリア側から見て前記第1部分に対して鈍角に傾いて設置され、前記作業エリアへの出入口扉が設けられた第2部分と、
を備える仕切材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流における物品の移載システム、移載設備および仕切材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流倉庫等においては、多種多量の物品を効率よく出荷先別に出荷容器へ選別仕分けするために、ロボットアーム等のピッキング装置(移載装置)を備える移載システムが用いられている。この種の移載システムに関し、特許文献1には、安全柵により、移載装置と、これを使用する作業者の作業エリアとを仕切る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-139109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の安全柵では、その扉が移載装置に対向して設けられていた。このため、従来技術では、安全柵、ひいては移載システムの設置スペースが大きくなるのを抑制することができずに、移載システムの省スペース化を図ることが困難であるという問題点を生じた。
【0005】
本発明は、作業エリアを仕切った場合でも、省スペース化を図ることができる移載システム、移載設備および仕切材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る移載システムは、第1方向へ物品を搬送する搬送部と、前記搬送部の一端側に設置され、前記物品を保持して移載する移載部と、平面視で前記移載部に対して前記搬送部とは反対側に設定される作業エリアと、その外部とを仕切る仕切部であって、前記作業エリアを挟んで前記移載部と対向して設置される第1部分と、平面視で前記作業エリア側から見て前記第1部分に対して鈍角に傾いて設置され、前記作業エリアへの出入口扉が設けられた第2部分と、を含む仕切部と、を備える。
【0007】
また、本発明の他の態様に係る移載設備は、前記移載システムを複数備える移載設備であって、前記移載システムは、各々の前記搬送部が互いに略平行になるように、平面視で前記第1方向と直交する第2方向へ複数並んで設置される。
【0008】
また、本発明の他の態様に係る仕切材は、第1方向へ物品を搬送する搬送部の一端側に設置され前記物品を保持して移載する移載部に対して、前記搬送部とは反対側に設定される作業エリアと、その外部とを仕切る仕切材であって、前記作業エリアを挟んで前記移載部と対向して設置される第1部分と、平面視で前記作業エリア側から見て前記第1部分に対して鈍角に傾いて設置され、前記作業エリアへの出入口扉が設けられた第2部分と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、作業エリアを仕切った場合でも、省スペース化を図ることができる移載システム、移載設備および仕切材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る移載システムの概要を示す斜視図である。
図2】上記移載システムの概要を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態2に係る移載設備の概要を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態3に係る移載設備の概要を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る移載システムについて、図1および図2を参照して説明する。なお、以下の説明では、例えば、物品を2つの第1および第2容器の間で移載する移載システムを構成した場合を例示して説明する。また、第1および第2容器は、各々移載システム1の外部に出荷される出荷容器を構成し得る。
【0013】
(移載システムの概要)
図1は、本発明の実施形態1に係る移載システム1の概要を示す斜視図である。図2は、上記移載システム1の概要を示す平面図である。移載システム1は、物流倉庫等において物品2の移載を行う。図1および図2に示すように、本実施形態1の移載システム1は、搬送部11と、移載部12と、仕切部24とを備える。また、移載システム1は、カメラ部13と、支持部14・14と、制御部15と、端末部16とを含む。
【0014】
(搬送部)
搬送部11は、物品2を収容する第1容器17および第2容器18をY方向(前後方向、第1方向)へ搬送するものである。具体的には、搬送部11は、Z方向下側に設けられた搬入用コンベア11a・11bと、Z方向上側に設けられた搬出用コンベア11c・11dとを含む。搬入用コンベア11a・11bによって第1容器17および第2容器18がY方向前側にそれぞれ搬送される。また、搬出用コンベア11c・11dによって第1容器17および第2容器18がY方向後側にそれぞれ搬送される。
【0015】
さらに、搬送部11は、移動機構11eおよび筐体11fを含む。移動機構11eは、搬入用コンベア11aからの第1容器17を第1移載位置P1に順次移動させると共に、搬入用コンベア11bからの第2容器18を第2移載位置P2に順次移動させる。また、移動機構11eは、第1移載位置P1に配置された第1容器17を搬出用コンベア11cに順次移動させると共に、第2移載位置P2に配置された第2容器18を搬出用コンベア11dに順次移動させる。筐体11fは、移動機構11eを収容する。
【0016】
(移載部)
移載部12は、搬送部11のY方向前端側(一端側)に設置され、第1移載位置P1に配置された第1容器17に収容された物品2を保持して、第2移載位置P2に配置された第2容器18へ移載するものである。移載部12は、搬送部11の移動機構11eおよび筐体11fのZ方向上側に、架台等(図示せず)によって設置される。
【0017】
移載部12は、物品2を保持するピッキングヘッド12aと、該ピッキングヘッド12aをZ方向へ昇降させると共に、平面視においてピッキングヘッド12aをX方向およびY方向の2方向へ移動させる駆動部12bとを含む。ピッキングヘッド12aは、例えば、物品2を吸着する1つまたは複数の吸着パッド等から構成される。ピッキングヘッド12aは、第1容器17に収容される物品2に対して上方から吸着し、物品2を吊った状態で保持する。
【0018】
駆動部12bは、固定レール12c、第1可動レール12d、第2可動レール12e、および支持アーム12fを含む。固定レール12cは、X方向に沿って設置される。第1可動レール12dは、Z方向に沿って設置され、固定レール12cに沿ってX方向に往復移動する。第2可動レール12eは、Y方向に沿って設置され、第1可動レール12dに沿ってZ方向に往復移動する。
【0019】
支持アーム12fは、Z方向に沿って設置され、第2可動レール12eに沿ってY方向に往復移動する。また、支持アーム12fは、Z方向下側にピッキングヘッド12aが取り付けられている。これにより、移載部12は、駆動部12bの動作を制御することにより、ピッキングヘッド12aをXYZの3方向へ往復移動させることができる。
【0020】
移載部12は、例えば6軸ロボット等の移載ユニットに比べて、構造がシンプルであり、多列のコンベヤレイアウトにも適応し易い。このため、移載部12を用いることにより、移載システム1のレイアウト設計の自由度が向上する。
【0021】
(カメラ部)
カメラ部13は、移載部12の上方に配置され、物品2を撮影する。カメラ部13は、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bを含む。第1カメラ13aは、第1移載位置P1に配置された第1容器17を撮影することにより、第1容器17に収容された1または複数の物品2を撮影する。第2カメラ13bは、第2移載位置P2に配置された第2容器18を撮影することにより、第2容器18に収容された1または複数の物品2を撮影する。なお、カメラ部13は、ライト等を含めてもよく、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bは、各々ライト等により所定の照度で照らした状態で、物品2を撮影してもよい。
【0022】
(支持フレーム)
支持フレーム14は、カメラ部13を支持する枠体である。支持フレーム14は、平面視で移載部12に対しY方向と直交するX方向(左右方向、第2方向)に隣接してそれぞれ設置される支持部14a・14aと、支持部14a・14a間に架設される梁部材14b・14bとを含む。Y方向前側の梁部材14bの適所には、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bが設置される。なお、梁部材14bは、1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0023】
支持部14a・14aのそれぞれは、2本の柱部材14c・14d、桁部材14e、および補強部材14fを含む。柱部材14c・14dは、Y方向に配列され、固定部材14g・14hにより、移載システム1の設置場所に固定される。桁部材14eおよび補強部材14fは、柱部材14c・14d間に架設される。
【0024】
なお、梁部材14b・14bは、桁部材14e上に設置されてもよいし、柱部材14c・14dに設置されてもよい。また、補強部材14fは、2本以上であってもよいし、省略してもよい。また、支持部14a・14aのそれぞれが4本以上の柱部材によって立設されている場合、梁部材14b・14bを省略してもよい。この場合、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bは、支持部14a・14aの適所にそれぞれ設置すればよい。
【0025】
(制御部および端末部)
制御部15は、移載システム1における各部を制御する制御装置等を含む。端末部16は、移載システム1に対する操作を作業者S(図2)が行う、キーボード16aなどの操作受付部と、所定の情報を表示するモニタ16bとを有している。これらの制御部15および端末部16は、移載システム1の制御機器の一例であり、仕切部24の外側であって、かつ仕切部24の第1部分24aを挟んで後述の作業エリア25とは反対側に、設置されている。
【0026】
具体的にいえば、制御部15は、図示しない電気配線を各々介して搬送部11、移載部12、カメラ部13、および端末部16に接続されている。制御部15は、搬送部11および移載部12から各々動作状態などの所定の情報を取得するとともに、搬送部11および移載部12への指示信号などの所定の指令信号を各々出力する。制御部15は、カメラ部13の第1カメラ13aおよび第2カメラ13bに対して、オン・オフ信号などの所定の指示信号を各々出力するとともに、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bから各々撮影データを取得する。制御部15は、端末部16から作業者Sの操作に応じた指示信号などを受信するとともに、搬送部11、移載部12、およびカメラ部13から取得した情報を端末部16に送信する。
【0027】
(ガード)
本実施形態1の移載システム1では、移載部12は、ピッキングヘッド12aをXYZの3方向へ往復移動させる動作を行う。このため、図1および図2に示すように、移載部12の周囲には、安全性の観点から、作業者Sなどが移載部12と接触する可能性を大幅に低減するためのガードが設けられている。具体的には、本実施形態1では、ガードとして、上記制御機器側からY方向後方に向かって、仕切部24と、横ガード部21と、後ガード部41とが順次設けられている。
【0028】
(仕切部)
図1および図2に示すように、移載システム1において、平面視で移載部12に対して搬送部11とは反対側に設定される作業エリア25と、その外部とを仕切るように仕切部24が設けられている。仕切部24は、2つの支持部14a・14aと接続されている。
【0029】
作業エリア25は、作業者Sが物品2を保持して移載する手作業移載を行うためのスペースである。つまり、本実施形態1の移載システム1は、移載部12が物品2を保持して移載する自動移載と、作業者Sが作業エリア25内に入って物品2を保持して移載する手作業移載との両方を実行可能となっている。また、仕切部24は、作業エリア25の周囲に作業エリア25に隣接して設けられている。
【0030】
仕切部24は、仕切材として、第1部分24aと、第2部分24bと、第3部分24cと、第4部分24dとを備える。第1部分24aは、X方向と平行に配置された部分であって、作業エリア25を挟んで移載部12と対向して設置される。第2部分24bは、X方向およびY方向に対して各々所定角度をなすように配置された部分であって、平面視で作業エリア25側から見て第1部分24aに対して鈍角θ1(図2)に傾いて設置される。第3部分24cは、Y方向と平行に配置された部分であって、第2部分24bと一方の支持部14aに含まれた横ガード部21とに連続的に設けられている。第4部分24dは、Y方向と平行に配置された部分であって、第1部分24aと他方の支持部14aに含まれた横ガード部21とに連続的に設けられている。
【0031】
具体的には、第1部分24aは、透明板24a1を含む。この透明板24a1は、枠状に構成された枠体24a2によって保持されている。また、第1部分24aは、枠体24a2のZ方向下側で透明板24a1の両端部に設けられた2つの固定部材24a3・24a3により、移載システム1の設置場所に固定される。
【0032】
第2部分24bは、透明板24b1を含む。この透明板24b1は、枠状に構成された枠体24b2によって保持されている。また、第2部分24bは、枠体24b2のZ方向下側で透明板24b1の両端部に設けられた2つの固定部材24b3・24b3により、移載システム1の設置場所に固定される。
【0033】
また、第2部分24bは、その全体が作業エリア25への作業者Sの出入口扉を構成している。つまり、第2部分24bでは、例えば、第3部分24c側の固定部材24b3の上方に、回動軸部24b4が設けられている。また、第2部分24bでは、図2に点線にて示すように、その枠体24b2が回動軸部24b4に軸支されて、R方向(図2)に回動可能に構成されている。具体的には、回動軸部24b4は、固定部材24b3上に設置されたベアリング(図示せず)を備えており、枠体24b2の一部分を該ベアリングにて回動自在に支持している。
【0034】
そして、第2部分24bでは、第1部分24a側の端部が作業者Sの操作に応じて回動軸部24b4を中心に回動することにより、仕切部24が開口する。このように、第2部分24bは、第1部分24aとは反対側で軸支されて上記出入口扉として機能する。これにより、複数の移載システム1を並べて設置した場合でも、第1部分24a側から作業者Sが仕切部24内へ出入りし易くなると共に、移載システム1が並ぶ方向(Y方向)への第2部分24b(出入口扉)の突出量を低減することができる。
【0035】
さらに、第2部分24bでは、鈍角θ1として、例えば、130度以上140度以下の角度範囲に設定されている。このような角度範囲に鈍角θ1を設定することにより、仕切部24の外側へ回動させて第2部分24b(出入口扉)を開いた際の当該出入口扉の突出量を効果的に低減することができる。
【0036】
なお、第2部分24bにおいて、鈍角θ1として、130度未満の角度に設定した場合には、第2部分24bのサイズが大きくなって、出入口扉を開いた際の当該出入口扉の突出量を効果的に低減できないおそれがある。さらに、第1部分24aのサイズが小さくなって、制御部15および端末部16の設置箇所を容易に確保し難くなるおそれがある。一方、鈍角θ1として、140度超える角度に設定した場合には、第2部分24bのサイズが小さくなって、作業者Sの出入りが容易でない出入口扉を構成するおそれがある。
【0037】
また、上記の説明では、第2部分24bの全体を上記出入口扉として構成した場合について説明した。しかしながら、本実施形態は、これに限定されるものではなく、第2部分24bの一部分に出入口扉を設ける構成でもよい。すなわち、例えば、第2部分24bの上記枠体に対して、回動可能な透明板を設けて、当該透明板を上記出入口扉として構成してもよい。
【0038】
第3部分24cは、透明板24c1を含む。この透明板24c1は、枠状に構成された枠体24c2によって保持されている。また、第3部分24cは、枠体24c2のZ方向下側で透明板24c1の両端部に設けられた2つの固定部材24c3・24c3により、移載システム1の設置場所に固定される。
【0039】
第4部分24dは、透明板24d1を含む。この透明板24d1は、枠状に構成された枠体24d2によって保持されている。また、第4部分24dは、枠体24d2のZ方向下側で透明板24d1の両端部に設けられた2つの固定部材24d3・24d3により、移載システム1の設置場所に固定される。
【0040】
以上により、作業者Sが作業エリア25に不用意に進入して移載部12と接触する可能性を大幅に低減することができ、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。また、仕切部24が作業エリア25に隣接して設けられているので、仕切部24を設けることによる移載システム1の設置空間の増大を抑制することができる。
【0041】
なお、移載システム1が自動移載のみ実行可能である場合、作業エリア25は、移載部12を監視者が監視するための監視エリアとして設定されてもよい。
【0042】
(横ガード部)
また、本実施形態1では、支持部14a・14aのそれぞれは、移載部12とそのX方向の外部とを仕切る横ガード部21を含む。横ガード部21は、透明板22と透明板22を保持する枠部材23とを含む。これにより、作業者SがX方向から進入して移載部12と接触する可能性を大幅に低減することができ、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。
【0043】
さらに、支持部14a・14aのそれぞれに横ガード部21が設けられているので、移載部12とそのX方向の外部とを仕切るガード部を、支持部14a・14aのX方向外側に新たに設ける必要が無い。その結果、移載システム1の省スペース化を図ることができる。
【0044】
ところで、2つの支持部14a・14aは、移載部12に対し、X方向に隣接して設置されているから、移載部12のZ方向下側に位置する搬送部11の筐体11fとも隣接している。そこで、本実施形態では、支持部14aの下部の領域、すなわち、筐体11fと対向する領域では、横ガード部21が省略されている。これにより、横ガード部21を設ける領域を減らすことができる。一方、作業者Sが支持部14aの下部から進入して移載部12と接触することは、筐体11fによって防止できる。すなわち、支持部14aの下部の領域は、筐体11fが移載部12とそのX方向の外部との仕切となる。
【0045】
(後ガード部)
また、本実施形態1では、搬送部11のY方向前端に対し、X方向に隣接し、かつ、上記前端とそのX方向の外部とを仕切る後ガード部41・41が設けられている。後ガード部41は、透明板42と、透明板42を保持する枠部材43とを含む。後ガード部41・41のY方向前側は、支持部14・14のY方向後側にそれぞれ連結(接続)している。また、枠部材43のZ方向下側の隅部は、固定部材43aにより、移載システム1の設置場所に固定される。さらに、後ガード部41・41の間には補強部材44・45が設けられている。
【0046】
これにより、作業者Sが搬送部11から進入して移載部12と接触する可能性を大幅に低減するができ、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。また、後ガード部41が搬送部11に隣接して設けられているので、後ガード部41を設けることによる移載システム1の設置空間の増大を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態1の仕切部24、横ガード部21、および後ガード部41では、透明板24a1・24b1・24c1・24d1・22・42を実質的なガードとして設けている。これにより、本実施形態1では、移載システム1の作業者Sは、監視者として移載システム1の外部から搬送部11および移載部12を監視することができる。なお、透明板24a1・24b1・24c1・24d1・22・42の代わりに、柵、網、その他の形状のガードを用いてもよい。
【0048】
(移載システムの動作例)
上記構成の移載システム1において、制御部15は、まず、搬送部11の搬入用コンベア11a・11bに指示して、第1容器17および第2容器18をY方向後方からY方向前端に搬入し、これを継続する。また、制御部15は、搬送部11の搬出用コンベア11c・11dに指示して、第1容器17および第2容器18をY方向前端部からY方向後方に搬出し、これを継続する。
【0049】
次に、制御部15は、搬送部11の移動機構11eに指示して、搬入された第1容器17および第2容器18を第1移載位置P1および第2移載位置P2にそれぞれ移動させる。次に、制御部15は、カメラ部13が撮影した第1容器17および第2容器18の撮影画像に基づき移載部12に指示して、第1移載位置P1の第1容器17に収容された物品2を保持して、第2移載位置の第2容器18に移載する。
【0050】
次に、制御部15は、搬送部11の移動機構11eに指示して、第1移載位置P1の第1容器17を搬出用コンベア11cに移動させると共に、搬入された別の第1容器17を第1移載位置P1に移動させて、移載部12に上記移載を指示し、これを繰り返す。搬出用コンベア11cに移動された第1容器17は、Y方向後方に搬出される。
【0051】
そして、第2容器18に所要の物品2が収容されると、制御部15は、搬送部11の移動機構11eに指示して、第1移載位置P1の第1容器17を搬出用コンベア11cに移動させると共に、第2移載位置P2の第2容器18を搬出用コンベア11dに移動させる。搬出用コンベア11cに移動された第1容器17と、搬出用コンベア11dに移動された第2容器18とは、Y方向後方に搬出される。
【0052】
(移載システム1の作用効果)
以上のように、本実施形態1の移載システム1では、作業エリア25は仕切部24(仕切材)によって外部と仕切られている。また、仕切部24では、第2部分24b(出入口扉)が鈍角θ1の角度範囲内の値において、第1部分24aに対して傾いて設置されている。このため、本実施形態1では、仕切部24の外側へ回動させて第2部分24bを開いた際の第2部分24bの突出量が低減される。これにより、本実施形態1では、仕切部24を用いて、作業エリア25を仕切った場合でも、省スペース化を図ることができる移載システム1を構成することができる。
【0053】
また、本実施形態1では、制御部15および端末部16が仕切部24の第1部分24aを挟んで後述の作業エリア25とは反対側に設置されている。これにより、仕切部24の外側に立った作業者Sが、移載部12の動作状況と端末部16のモニタ16bとを目視で同時に確認し易くなる。
【0054】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態2に係る移載設備3の概要を示す平面図である。
【0055】
図3に示すように、移載設備3は、図1および図2に示す移載システム1を複数備える。また、移載設備3では、移載システム1は、各々の搬送部11が互いに略平行になるように、平面視でY方向と直交するX方向へ複数並んで設置される。
【0056】
上述のように、移載システムにおいて自動移載作業を行うピッキング装置の周囲にガードを設ける場合、上記移載システムの設置空間が増大することになる。その結果、互いに隣り合う移載システムの間隔が増大することになる。
【0057】
これに対し、本実施形態2では、複数の移載システム1は、各々の搬送部11が互いに略平行になるように、X方向へ並んで設置されている。また、各移載システム1では、仕切部24を備えるため、互いに隣り合う移載システム1の間隔を狭くすることができる。これにより、本実施形態2では、複数の各移載システム1において、仕切部24を用いて、作業エリア25を仕切った場合でも、省スペース化を図ることができる移載設備3を構成することができる。
【0058】
ところで、物流倉庫等の建物51には、一般に、上階または天井を支える支柱としての支柱部材52が所定の間隔Pごとに突設されており、移載システムを設置する設置空間が設けられている。このため、物品2の移載の効率化の観点から、上記所定の間隔Pに設置可能な移載システムの台数が多いことが望ましい。
【0059】
しかしながら、上記ピッキング装置の周囲にガードを設ける場合、上記移載システムの設置空間が増大することになる。その結果、上記所定の間隔Pに設置可能な移載システムの台数が減少する可能性がある。
【0060】
これに対し、本実施形態では、互いに隣り合う支柱部材52・52が並ぶ方向をX方向として、複数の移載システム1が並んで設置されている。これにより、X方向に隣り合う移載システム1の間隔の増大を抑制できるので、上記所定の間隔Pに設置可能な移載システム1の台数が減少する可能性を抑えて、逆に設置可能な移載システム1の台数を増やすことができる。
【0061】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態3に係る移載設備3の概要を示す平面図である。
【0062】
図4に示すように、本実施形態3の移載設備3では、移載システム1は互いに隣り合う第1移載システム1と第2移載システム1とを含む。また、第1移載システム1の第2部分24bは、第2移載システム1側に設置され、第2移載システム1の第2部分24bは、第1移載システム1側に設置されてもよい。
【0063】
すなわち、本実施形態3の移載設備3では、隣接する2つの移載システム1において、仕切部24の第2部分24bが互いに対向するように構成されている。これにより、本実施形態3では、隣接する2つの移載システム1の各作業エリア25の間を作業者Sが移動し易くなる。
【0064】
なお、上記の説明以外に、例えば、ロボットアームを有する移載部に本発明を適用する構成でもよい。
【0065】
〔まとめ〕
本発明の第1態様の移載システムは、第1方向へ物品を搬送する搬送部と、前記搬送部の一端側に設置され、前記物品を保持して移載する移載部と、平面視で前記移載部に対して前記搬送部とは反対側に設定される作業エリアと、その外部とを仕切る仕切部であって、前記作業エリアを挟んで前記移載部と対向して設置される第1部分と、平面視で前記作業エリア側から見て前記第1部分に対して鈍角に傾いて設置され、前記作業エリアへの出入口扉が設けられた第2部分と、を含む仕切部と、を備える。
【0066】
上記構成によれば、作業エリアと、その外部とを仕切る仕切部において、出入口扉が傾いて設置されるため、仕切部の外側へ回動させて出入口扉を開いた際の出入口扉の突出量が低減される。これにより、仕切部を用いて、作業エリアを仕切った場合でも、省スペース化を図ることができる移載システムを構成することができる。
【0067】
本発明の第2態様は、第1態様の移載システムであって、前記仕切部の外側であって、かつ前記第1部分を挟んで前記作業エリアとは反対側に、前記移載システムの制御機器が設置されてもよい。
【0068】
上記構成によれば、出入口扉の外側に立った作業者が、移載部の動作状況と制御機器とを目視で同時に確認し易くなる。
【0069】
本発明の第3態様は、第1態様または第2態様の移載システムであって、前記出入口扉は、前記第1部分とは反対側で軸支されてもよい。
【0070】
上記構成によれば、複数の移載システムを並べて設置した場合に、第1部分側から作業者が仕切部内へ出入りし易くなると共に、移載システムが並ぶ方向への出入口扉の突出量が低減される。
【0071】
本発明の第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの移載システムであって、前記鈍角は、130度以上140度以下であってもよい。
【0072】
上記構成によれば、前記角度範囲にすることで、仕切部の外側へ回動させて出入口扉を開いた際の出入口扉の突出量を効果的に低減することができる。
【0073】
本発明の第5態様の移載設備は、第1態様から第4態様のいずれか1つの移載システムを複数備える移載設備であって、前記移載システムは、各々の前記搬送部が互いに略平行になるように、平面視で前記第1方向と直交する第2方向へ複数並んで設置される。
【0074】
上記構成によれば、移載システムが前記仕切部を備えるため、互いに隣り合う移載システムの間隔を狭くすることができる。これにより、複数の各移載システムにおいて、仕切部を用いて、作業エリアを仕切った場合でも、省スペース化を図ることができる移載設備を構成することができる。
【0075】
本発明の第6態様は、第5態様の移載設備であって、前記第2方向へ沿って一定間隔で支柱が突設された、前記移載システムを設置する設置空間をさらに備え、前記移載システムは、互いに隣り合う前記支柱の間に、複数設置されてもよい。
【0076】
上記構成によれば、支柱の間に設置可能な移載システムの数を増やすことができる。
【0077】
本発明の第7態様は、第5態様または第6態様の移載設備であって、前記移載システムは、互いに隣り合う第1移載システムと第2移載システムとを含み、前記第1移載システムの前記出入口扉は、前記第2移載システム側に設置され、前記第2移載システムの前記出入口扉は、前記第1移載システム側に設置されてもよい。
【0078】
上記構成によれば、第1移載システムの作業エリアと第2移載システムの作業エリアとの間を作業者が移動し易くなる。
【0079】
本発明の第8態様の仕切材は、第1方向へ物品を搬送する搬送部の一端側に設置され前記物品を保持して移載する移載部に対して、前記搬送部とは反対側に設定される作業エリアと、その外部とを仕切る仕切材であって、前記作業エリアを挟んで前記移載部と対向して設置される第1部分と、平面視で前記作業エリア側から見て前記第1部分に対して鈍角に傾いて設置され、前記作業エリアへの出入口扉が設けられた第2部分と、を備える。
【0080】
上記構成によれば、出入口扉が傾いて設置されるため、仕切材の外側へ回動させて出入口扉を開いた際の出入口扉の突出量が低減される。これにより、作業エリアを仕切った場合でも、省スペース化を図ることができる仕切材を構成することができる。
【0081】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、各実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 移載システム
2 物品
3 移載設備
11 搬送部
12 移載部
24 仕切部(仕切材)
24a 第1部分
24b 第2部分(出入口扉)
25 作業スペース
15 制御部(制御機器)
16 端末部(制御機器)
52 支柱部材(支柱)
図1
図2
図3
図4