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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055552
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/50 20180101AFI20240411BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240411BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240411BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240411BHJP
【FI】
F21S43/50
F21S43/237
F21W103:10
F21W103:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162581
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檀浦 宗一郎
(57)【要約】
【課題】発光状態において立体的な見栄えを実現することが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、発光体と、発光体からの光を少なくとも前後方向の正面側に出射するインナーレンズと、インナーレンズに対して正面側に離れた位置に配置され、インナーレンズから出射される光の一部を遮光する遮光パターンが形成された光透過部材とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体と、
前記発光体からの光を少なくとも前後方向の正面側に出射するインナーレンズと、
前記インナーレンズに対して正面側に離れた位置に配置され、前記インナーレンズから出射される光の一部を遮光する遮光パターンが形成された光透過部材と
を備える車両用灯具。
【請求項2】
前記遮光パターンは、前記光透過部材のうち前記インナーレンズに対向する面に形成される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記インナーレンズは、前後方向に延びた形状であり、前後方向の正面側の端部に配置される端面と、前記端面から背面側に延びる側面のうち前記端面に接続される部分とに亘って光を出射する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記発光体及び前記インナーレンズの一部を覆うインナーパネルを更に備え、
前記インナーレンズは、前記側面のうち光を出射する部分が前記インナーパネルから正面側に突出して設けられる
請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光透過部材は、正面視において前記遮光パターンが前記インナーレンズの内側に配置される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記発光体及び前記インナーレンズを収容するハウジングを更に備え、
前記光透過部材は、前記ハウジングとの間で灯室を形成するアウターレンズである
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
光源と、
前記発光体に対向する対向面を有し、前記光源からの光を導光して前記対向面から前記発光体に出射すると共に、前記光源からの光を前記対向面に導光するまでの間に前記発光体とは異なる他の光学部材に向けて光を側面から出射する棒状導光体と
を更に備え、
前記発光体は、前記棒状導光体から出射された光により発光する
請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に設けられるエンブレム等の加飾部品を発光させる車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-180094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、発光部の表面等にエンブレムのパターンを取り付けて発光させる構成である。このため、パターンが平面的な見栄えとなる。これに対して、パターンを立体的な見栄えとして発光させることが求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、発光状態において立体的な見栄えを実現することが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、発光体と、前記発光体からの光を少なくとも前後方向の正面側に出射するインナーレンズと、前記インナーレンズに対して正面側に離れた位置に配置され、前記インナーレンズから出射される光の一部を遮光する遮光パターンが形成された光透過部材とを備える。
【0007】
上記の車両用灯具において、前記遮光パターンは、前記光透過部材のうち前記インナーレンズに対向する面に形成される。
【0008】
上記の車両用灯具において、前記インナーレンズは、前後方向に延びた形状であり、前後方向の正面側の端部に配置される端面と、前記端面から背面側に延びる側面のうち前記端面に接続される部分とに亘って光を出射する。
【0009】
上記の車両用灯具において、前記発光体及び前記インナーレンズの一部を覆うインナーパネルを更に備え、前記インナーレンズは、前記側面のうち光を出射する部分が前記インナーパネルから正面側に突出して設けられる。
【0010】
上記の車両用灯具において、前記光透過部材は、正面視において前記遮光パターンが前記インナーレンズの内側に配置される。
【0011】
上記の車両用灯具において、前記発光体及び前記インナーレンズを収容するハウジングを更に備え、前記光透過部材は、前記ハウジングとの間で灯室を形成するアウターレンズである。
【0012】
上記の車両用灯具において、光源と、前記発光体に対向する対向面を有し、前記光源からの光を導光して前記対向面から前記発光体に出射すると共に、前記光源からの光を前記対向面に導光するまでの間に前記発光体とは異なる他の光学部材に向けて光を側面から出射する棒状導光体とを更に備え、前記発光体は、前記棒状導光体から出射された光により発光する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発光状態において立体的な見栄えを実現することが可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す分解斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す正面図である。
図3図3は、図2におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図4図4は、図2におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。
図5図5は、図2におけるC-C断面に沿った構成を示す図である。
図6図6は、エンブレム発光部及び遮光パターンを正面側から見た状態の一例を示す図である。
図7図7は、車両用灯具を点灯させた状態の一例を示す図である。
図8図8は、車両用灯具を点灯させた状態の一例を示す図である。
図9図9は、車両用灯具を点灯させた状態の一例を示す図である。
図10図10は、エンブレム発光部の発光状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、前後方向及び左右方向は水平方向に平行であるとする。また、車両の左右方向の中央側を車両内側と表記し、車両の左右方向の側部側を車両外側と表記する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を示す分解斜視図である。図2は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を示す正面図である。図3は、図2におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。図4は、図2におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。図5は、図2におけるC-C断面に沿った構成を示す図である。図1から図5に示すように、車両用灯具100は、ハウジング10と、前照灯ユニット20と、灯具ユニット30と、インナーパネル40とを備える。車両用灯具100は、左右方向について対称な構成となっている。本実施形態において、車両用灯具100は、車両前部に設けられる。したがって、以下の説明では、前方が正面側、後方が背面側である。
【0018】
ハウジング10は、車両前部において左右方向の両側に亘って設けられる。ハウジング10は、アウターレンズ(光透過部材)11と共に1つの灯室Rを形成する。灯室Rは、車両前部の左右方向の中央部を含み、左右方向の両側に亘って形成される。灯室Rは、正面視において左右方向に矩形状に延びた構成である。
【0019】
前照灯ユニット20は、灯室Rに収容される。前照灯ユニット20は、車両前部の左右にそれぞれ配置される。前照灯ユニット20は、車両前方に前照灯パターンを照射する。前照灯ユニット20は、ロービームユニット21及びハイビームユニット22を有する。
【0020】
ロービームユニット21は、車両前方に前照灯パターンとしてロービームパターンを照射する。ロービームユニット21は、光源23と、照射部24とを有する。光源23は、例えばLED等の半導体型光源、レーザ光源等が用いられる。照射部24は、光源23から出射された光を配光制御し、ロービームパターンとして車両前方に照射する。照射部24としては、例えばリフレクタ、投影レンズ等が用いられる。
【0021】
ハイビームユニット22は、車両前方に前照灯パターンとしてハイビームパターンを照射する。ハイビームユニット22は、例えばロービームユニット21に対して車両外側に配置される。ハイビームユニット22は、光源25と、照射部26とを有する。光源25は、例えばLED等の半導体型光源、レーザ光源等が用いられる。照射部26は、光源25から出射された光を配光制御し、ハイビームパターンとして車両前方に照射する。照射部26としては、例えばリフレクタ、投影レンズ等が用いられる。
【0022】
灯具ユニット30は、クリアランスランプユニット31と、エンブレム発光ユニット32と、ターンランプユニット33とを有する。
【0023】
クリアランスランプユニット31及びエンブレム発光ユニット32は、共通の光源34及び導光体35を有する。光源34は、例えばLED等の半導体型光源、レーザ光源等が用いられる。光源34は、発光面34aが前方に向くように配置される。光源34は、発光面34aから前方に光を出射する。光源34は、例えば灯室Rの左右にそれぞれ2つずつ設けられる。左右のそれぞれにおいて、2つの光源34は、基板39の上下に並んで配置される。なお、基板39は、クリアランスランプユニット31と、エンブレム発光ユニット32と、ターンランプユニット33とに共通で設けられる。
【0024】
導光体35は、導光体35は、光源34から出射された光を導光する。導光体35は、例えば導光体カバー12により前方以外の部分が覆われた状態で設けられる。導光体35は、クリアランス導光部(棒状導光体)36と、エンブレム導光部(発光体)37とを有する。
【0025】
クリアランス導光部36は、光源34に対向する入射面36aを有する。クリアランス導光部36は、入射面36aから前方に延び、クリアランスランプユニット31の後述する上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52に沿うように車両内側に湾曲される。クリアランス導光部36は、正面視において、当該上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52に重なるように配置される。クリアランス導光部36は、光源34から入射面36aに入射した光を導光し、当該上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52に向けて前方に出射する。クリアランス導光部36は、長手方向について入射面36aとは反対側の端部に端面(対向面)36bを有する(図3等参照)。端面36bは、エンブレム導光部37の入射面60に対向して配置される。端面36bは、入射面60との間に間隔を空けて配置される。
【0026】
エンブレム導光部37は、例えば円環状に形成される。エンブレム導光部37は、灯室Rの左右方向の中央部であって、正面視で後述するエンブレム発光部53に重なるように配置される。エンブレム導光部37は、クリアランス導光部36との間に間隔を空けて配置される(図3等参照)。エンブレム導光部37は、光源34からクリアランス導光部36を介して導光される光が入射する。エンブレム導光部37は、後述するエンブレム発光部53に向けて前方に出射する。
【0027】
クリアランスランプユニット31は、灯室Rにおいて、車両前部の左右にそれぞれ配置される。クリアランスランプユニット31は、上側クリアランス発光部51と、下側クリアランス発光部52とを有する。本実施形態において、上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52としては、例えばインナーレンズ等、光を透過する部材が用いられる。上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52は、導光体35のクリアランス導光部36から出射された光により発光する。
【0028】
上側クリアランス発光部51は、正面視で前照灯ユニット20の照射部24、26の上方に配置され、左右方向に延びている。下側クリアランス発光部52は、正面視で前照灯ユニット20の照射部24、26の下方に配置され、左右方向に延びている。上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52は、前後方向に厚みを有する形状であり、それぞれインナーパネル40のベース部41から車両前方に突出して設けられる。
【0029】
左右の上側クリアランス発光部51は、それぞれ第1水平部51aと、傾斜部51bと、第2水平部51cとを有する。第1水平部51aは、車両外側の端部から車両内側に向けて水平方向に延びている。傾斜部51bは、第1水平部51aから左右方向の車両中央に向けて斜め下方に延びている。第2水平部51cは、傾斜部51bから車両内側に向けて水平方向に延びている。第2水平部51cの車両内側の端部は、後述するエンブレム発光部53に接続される。
【0030】
また、左右の下側クリアランス発光部52は、それぞれ第1水平部52aと、傾斜部52bと、第2水平部52cとを有する。第1水平部52aは、車両外側の端部から車両内側に向けて水平方向に延びている。傾斜部52bは、第1水平部52aから左右方向の車両中央に向けて斜め上方に延びている。第2水平部52cは、傾斜部52bから車両内側に向けて水平方向に延びている。第2水平部52cの車両内側の端部は、後述するエンブレム発光部53に接続される。
【0031】
傾斜部51b、52bが設けられることにより、上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52は、左右方向の車両外側から車両中央にかけて、上下方向に近づくように形成される。
【0032】
上側クリアランス発光部51は、後面51rがクリアランス導光部36に対向して配置される。後面51rには、クリアランス導光部36から出射された光が入射する。上側クリアランス発光部51は、前面51f及び上面51eから光を出射する。上側クリアランス発光部51は、インナーパネル40から突出した前面51f及び上面51eから光を出射することにより発光状態となる。
【0033】
同様に、下側クリアランス発光部52は、後面52rがクリアランス導光部36に対向して配置される。後面52rには、クリアランス導光部36から出射された光が入射する。下側クリアランス発光部52は、インナーパネル40から突出した前面52f及び上面52eから光を出射する。下側クリアランス発光部52は、前面52f及び上面52eから光を出射することにより発光状態となる。
【0034】
上側クリアランス発光部51は、上面51eに左右方向に並ぶ上側パターン51pを有する。また、下側クリアランス発光部52は、上面52eに左右方向に並ぶ下側パターン52pを有する。図3では、下側パターン52pが示されているが、上側パターン51pについても同様の構成である。本実施形態において、上側パターン51p及び下側パターン52pは、例えば前後方向に延びる3本の線状部分が左右方向に間隔を空けて複数並んだ構成である。上側パターン51p及び下側パターン52pが設けられることにより、上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52が発光する際に、上面51e、52eにそれぞれ上側パターン51p及び下側パターン52pに対応する模様が視認される。
【0035】
エンブレム発光ユニット32は、灯室Rに配置され、車両のエンブレムを発光させる。エンブレム発光ユニット32は、上記のエンブレム導光部(発光体)37と、エンブレム発光部(インナーレンズ)53と、遮光パターン55とを有する。
【0036】
エンブレム発光部53は、左右の上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52の車両内側の端部に接続される。したがって、エンブレム発光部53は、インナーパネル40のベース部41から突出する部分において、上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52が一体となった見栄えを実現できる。エンブレム発光部53は、左右の上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52と同じタイミングで発光する。
【0037】
エンブレム発光部53は、灯室Rにおいて左右方向の中央に配置される。エンブレム発光部53には、インナーレンズが用いられる。エンブレム発光部53は、エンブレム保持部44に保持される。エンブレム保持部44は、インナーパネル40に取り付けられる。エンブレム発光部53は、エンブレム導光部37からの光を少なくとも前側に出射する。
【0038】
エンブレム発光部53は、前後方向に延びた形状である。エンブレム発光部53は、図5に示すように、板状部53aと、筒状部53bとを有する。板状部53aは、エンブレム発光部53の前側の端部に配置される。板状部53aは、正面視において例えば楕円形である。板状部53aは、後面53r及び前面53fを有する。後面53rには、導光体35のエンブレム導光部37から出射された光が入射する。前面53fは、後面53rから入射した光が出射する。
【0039】
筒状部53bは、板状部53aから後方に延びている。筒状部53bは、外周面(側面)53e及び内周面53iを有する。筒状部53bは、板状部53aに接続される部分の一部がインナーパネル40のベース部41から前方に突出している。以下、ベース部41から前方に突出する部分を突出部53gと表記する。筒状部53bの内周面53iには、導光体35のエンブレム導光部37から出射された光が入射する。入射した光は筒状部53bを前方に導光される。筒状部53bに入射される光の一部は、前面53fの外縁部から前方に出射される。また、筒状部53bに入射される光の一部は、突出部53gから前後方向に対して側方に出射される。
【0040】
エンブレム発光部53は、前面53fと外周面53eの突出部53gとに亘って光が出射することにより発光状態となる。このため、エンブレム発光部53は、立体的な見栄えとなるように発光する。
【0041】
遮光パターン55は、エンブレム発光部53の前方に配置される。遮光パターン55は、エンブレム発光部53から出射される光の一部を遮光する。遮光パターン55によりエンブレム発光部53からの光の一部が遮光されることにより、当該遮光パターン55に対応した発光パターンを形成することができる。
【0042】
遮光パターン55は、エンブレム発光部53の前方に配置される光透過部材に形成することができる。本実施形態においては、このような光透過部材として、アウターレンズ11が用いられる。遮光パターン55は、アウターレンズ11のうちエンブレム発光部53に対向する後面11rに形成される。
【0043】
図6は、エンブレム発光部53及び遮光パターン55を正面側から見た状態の一例を示す図である。図6に示すように、正面視において、遮光パターン55は、エンブレム発光部53の内側に位置するようにアウターレンズ11に形成される。換言すると、遮光パターン55は、正面視において、エンブレム発光部53の外郭線の外側にはみ出さないように形成される。
【0044】
ターンランプユニット33は、灯室Rにおいて、左右それぞれの前照灯ユニット20に対して車両外側に配置される。ターンランプユニット33は、光源38を有する。光源38は、例えばLED等の半導体型光源、レーザ光源等が用いられる。光源38は、発光面38aが前方に向くように配置される。光源38は、発光面38aから前方に光を出射する。光源38は、例えば灯室Rの左右にそれぞれ3つずつ設けられる。左右のそれぞれにおいて、3つの光源38は、基板39の上下に並んで配置される。
【0045】
ターンランプユニット33は、左右にターン発光部54を有する。ターン発光部54としては、例えばインナーレンズ等、光を透過する部材が用いられる。ターン発光部54は、上側クリアランス発光部51の車両外側の端部に対応する位置から、下側クリアランス発光部52の車両外側の端部に対応する位置にかけて、上下方向に延びた状態で配置される。なお、ターン発光部54と上側クリアランス発光部51の車両外側の端部との間、ターン発光部54と下側クリアランス発光部52の車両外側の端部との間には、それぞれ遮光部45が設けられる。ターン発光部54は、光源38から出射される光により発光する。ターン発光部54は、インナーパネル40から前方に突出して設けられる。ターン発光部54は、側面54eと前面54fとが外部から見える状態で設けられる。
【0046】
ターン発光部54は、後面54rが光源38の発光面38aと対向して配置される。後面54rは、発光面38aから出射された光が入射する。前面54fは、後面54rから入射した光が出射する。ターン発光部54は、前面54fから光が出射することにより発光状態となる。
【0047】
インナーパネル40は、灯室Rに左右方向の両側に亘って配置される。インナーパネル40は、ベース部41と、上側フレーム部42と、下側フレーム部43とを有する。ベース部41は、前後方向に垂直な状態又は交差した状態で配置される。ベース部41は、灯室Rにおいて、ロービームユニット21の照射部24、ハイビームユニット22の照射部26、上側クリアランス発光部51、下側クリアランス発光部52、エンブレム発光部53、ターン発光部54の周囲を覆うように配置される。
【0048】
ベース部41は、開口部41a、41b、41c、41d、41eを有する。開口部41aは、ロービームユニット21の照射部24、ハイビームユニット22の照射部26に対応する位置に設けられる。開口部41bは、上側クリアランス発光部51に対応する位置に設けられる。上側クリアランス発光部51は、開口部41bを前後方向に貫通し、開口部41bから前方に突出するように設けられる。開口部41cは、下側クリアランス発光部52に対応する位置に設けられる。下側クリアランス発光部52は、開口部41cを前後方向に貫通し、開口部41cから前方に突出するように設けられる。開口部41dは、エンブレム発光部53に対応する位置に設けられる。開口部41eは、ターン発光部54に対応する位置に設けられる。
【0049】
上側フレーム部42は、ベース部41の開口部41bの下縁部から前方に突出するように設けられる。上側フレーム部42は、開口部41bの左右方向の全体に亘って設けられる。上側フレーム部42は、上側クリアランス発光部51の下面51dに沿って配置される。上側フレーム部42は、上側クリアランス発光部51の第1水平部51a、傾斜部51b及び第2水平部51cのそれぞれに沿うように設けられる。換言すると、上側クリアランス発光部51は、左右方向の全体に亘って、下面51dが上側フレーム部42に覆われている。上側クリアランス発光部51は、上面51eと前面51fとが外部から見える状態で設けられる。上側フレーム部42は、図4に示すように、前側の端面42fが上側クリアランス発光部51の前面51fと面一状態となっている。
【0050】
また、下側フレーム部43は、ベース部41の開口部41cの下縁部から前方に突出するように設けられる。下側フレーム部43は、開口部41cの左右方向の全体に亘って設けられる。下側フレーム部43は、下側クリアランス発光部52の下面52dに沿って配置される。下側フレーム部43は、下側クリアランス発光部52の第1水平部52a、傾斜部52b及び第2水平部52cのそれぞれに沿うように設けられる。換言すると、下側クリアランス発光部52は、左右方向の全体に亘って、下面52dが下側フレーム部43に覆われている。下側クリアランス発光部52は、上面52eと前面52fとが外部から見える状態で設けられる。下側フレーム部43は、図4に示すように、前側の端面43fが下側クリアランス発光部52の前面52fと面一状態となっている。
【0051】
次に、上記のように構成された車両用灯具100の動作を説明する。図7から図9は、車両用灯具100を点灯させた状態の一例を示す図である。図7から図9は、車両用灯具100を正面側から見た状態を示している。車両用灯具100の各部を点灯させる信号が車両側から供給された場合、車両用灯具100は、車両からの信号を取得する。例えば、クリアランスランプユニット31を点灯させる信号を取得した場合、車両用灯具100は、信号に基づいて光源34の発光制御を行う。この発光制御により、光源34から光が出射される。光源34から出射される光は、導光体35のクリアランス導光部36により導光され、当該光の一部が上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52に向けて出射される。図7に示すように、上側クリアランス発光部51に入射する光により、上側クリアランス発光部51の上面51e及び前面51fが発光する。下側クリアランス発光部52に入射する光により、下側クリアランス発光部52の上面52e及び前面52fが発光する。このとき、上側クリアランス発光部51の上面51eは、上側パターン51pに対応する模様が視認される。また、下側クリアランス発光部52の上面52eは、下側パターン52pに対応する模様が視認される。このように、デザイン性の高い発光状態が実現される。
【0052】
また、クリアランス導光部36により導光される光の一部は、エンブレム導光部37に到達する。この光は、エンブレム導光部37により導光され、エンブレム発光部53に出射される。エンブレム発光部53に入射する光により、図7に示すように、エンブレム発光部53が発光する。このように、エンブレム発光部53は、上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52と同じタイミングで発光する。
【0053】
図10は、エンブレム発光部53の発光状態の一例を示す斜視図である。図10に示すように、エンブレム発光部53が発光する。エンブレム発光部53が発光することにより、アウターレンズ11に形成される遮光パターン55により一部が遮光された状態の発光パターンが形成される。本実施形態では、遮光パターン55がエンブレム発光部53の前面53fから前方に離れた位置に配置される。このため、遮光パターン55がエンブレム発光部53の前面53fに形成される場合(図中一点鎖線で示す)に比べて、前方に浮き出て見えるような発光状態となる。このように、発光状態において立体的な見栄えが実現される。
【0054】
また、エンブレム発光部53は、インナーパネル40のベース部41から前方に突出した部分、すなわち前面53fと外周面53eの突出部53gとが発光する。つまり、エンブレム発光部53は、前面53fと外周面53e(突出部g)で立体的な見栄えとなるように発光する。このように、遮光パターン55の見え方について立体的な見栄えが実現されると共に、エンブレム発光部53自体が立体的に発光するため、明確に立体的な見栄えを実現することができる。
【0055】
また、エンブレム発光部53は、上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52と共に立体的な見栄えとなるように発光する。したがって、更に明確に立体的な見栄えを実現することができ、デザイン性の高い発光状態を実現することができる。
【0056】
また、例えば、ロービームユニット21、ハイビームユニット22を点灯させる信号を取得した場合、車両用灯具100は、信号に基づいてロービームユニット21の光源23、ハイビームユニット22の光源25の発光制御を行う。光源23、25から出射された光は、照射部24、26により配光制御されて車両前方に照射される。これにより、車両前方にロービームパターン、ハイビームパターンが形成される。
【0057】
車両用灯具100において、ロービームユニット21、ハイビームユニット22を点灯させる際、クリアランスランプユニット31を併せて点灯させるように制御を行う場合がある。このような場合、図8に示すように、照射部24、26から車両前方に光が照射されると同時に、上側クリアランス発光部51、下側クリアランス発光部52、エンブレム発光部53が発光する。本実施形態では、上側クリアランス発光部51の下面51dに沿って上側フレーム部42が設けられ、下側クリアランス発光部52の下面52dに沿って下側フレーム部43が設けられる。このため、照射部24、26からの光と、上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52で発光する光とが明確に区別されて視認されることになる。
【0058】
また、例えば、ターンランプユニット33を点灯させる信号を取得した場合、車両用灯具100は、信号に基づいて光源38の発光制御を行う。この発光制御により、光源38から光が出射される。光源38から出射される光は、ターン発光部54に向けて出射される。ターン発光部54に入射する光により、図9に示すように、ターン発光部54の前面54fが発光する。本実施形態において、ターン発光部54は、上側クリアランス発光部51の車両外側の端部に対応する位置から、下側クリアランス発光部52の車両外側の端部に対応する位置にかけて上下方向に延びるように配置される。このため、例えば上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52が発光している状態でターン発光部54が発光する場合、当該ターン発光部54の前面54fが上側クリアランス発光部51の前面51fと下側クリアランス発光部52の前面52fとの間を接続するように発光する。このように、デザイン性の高い発光状態が実現される。また、ターン発光部54は、側面54eが外部から見える状態で設けられており、前面54fがインナーパネル40に対して灯室Rの前方に突出した状態で配置される。このため、発光状態においては、インナーパネル40から前方に突出した領域が発光しているように見える。このように、発光状態において高いデザイン性を実現できる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、エンブレム導光部37と、エンブレム導光部37からの光を少なくとも前後方向の正面側に出射するエンブレム発光部53と、エンブレム発光部53に対して正面側に離れた位置に配置され、エンブレム発光部53から出射される光の一部を遮光する遮光パターン55が形成されたアウターレンズ11とを備える。
【0060】
この構成によれば、遮光パターン55がエンブレム発光部53の前面53fから前方に離れた位置に配置される。このため、遮光パターン55がエンブレム発光部53に対して前方に浮き出て見えるような発光状態を実現することができる。これにより、発光状態において立体的な見栄えを実現することが可能となる。
【0061】
本実施形態に係る車両用灯具100において、遮光パターン55は、アウターレンズ11のうちエンブレム発光部53に対向する後面11rに形成される。この構成によれば、遮光パターン55を容易に形成することができる。
【0062】
本実施形態に係る車両用灯具100において、エンブレム発光部53は、前後方向に延びた形状であり、前後方向の正面側の端部に配置される前面53fと、前面53fから背面側に延びる外周面53eのうち前面53fに接続される突出部53gとに亘って光を出射する。この構成によれば、エンブレム発光部53は、前面53fと外周面53e(突出部g)で立体的な見栄えとなるように発光する。このように、遮光パターン55の見え方について立体的な見栄えが実現されると共に、エンブレム発光部53自体が立体的に発光するため、明確に立体的な見栄えを実現することができる。
【0063】
本実施形態に係る車両用灯具100において、エンブレム導光部37及びエンブレム発光部53の一部を覆うインナーパネル40を更に備え、エンブレム発光部53は、外周面53eのうち光を出射する突出部53gがインナーパネル40のベース部41から正面側に突出して設けられる。この構成によれば、エンブレム発光部53がベース部41から浮き出た状態で発光しているような見栄えを実現することができる。このため、立体的な見栄えを更に明確に実現することができる。
【0064】
本実施形態に係る車両用灯具100において、アウターレンズ11は、正面視において遮光パターン55がエンブレム発光部53の内側に配置される。このため、遮光パターン55の全体にエンブレム発光部53の光を照射することができる。
【0065】
本実施形態に係る車両用灯具100において、エンブレム導光部37及びエンブレム発光部53を収容するハウジング10を更に備え、アウターレンズ11は、ハウジング10との間で灯室Rを形成する。この構成によれば、遮光パターン55をアウターレンズ11に形成するため、容易に遮光パターン55を配置することができる。
【0066】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光源38と、エンブレム導光部37に対向する端面36bを有し、光源38からの光を導光して端面36bからエンブレム導光部37に出射すると共に、光源38からの光を端面36bに導光するまでの間にエンブレム導光部37とは異なる他の光学部材である上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52に向けて光を側面から出射するクリアランス導光部36とを更に備え、エンブレム導光部37は、クリアランス導光部36から出射された光により発光する。この構成によれば、エンブレム発光部53が上側クリアランス発光部51及び下側クリアランス発光部52と共に発光することにより、デザイン性の高い発光状態を実現することができる。
【0067】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、エンブレム導光部37を発光体として用いる場合を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。発光体としては、エンブレム導光部37に代えて、光源が用いられてもよい。また、発光体の形状は、環状に限定されず、板状等の他の形状であってもよい。
【0068】
上記実施形態において、車両用灯具100が車両前部に設けられる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。車両用灯具は、車両後部に設けられる構成であってもよい。この場合、正面側が後方、背面側が前方となる。
【符号の説明】
【0069】
R…灯室、10…ハウジング、11…アウターレンズ、11r,51r,52r,53r,54r…後面、12…導光体カバー、20…前照灯ユニット、21…ロービームユニット、22…ハイビームユニット、23,25,34,38…光源、24,26…照射部、30…灯具ユニット、31…クリアランスランプユニット、32…エンブレム発光ユニット、33…ターンランプユニット、34a,38a…発光面、35…導光体、36…クリアランス導光部、36a,60…入射面、36b,42f,43f…端面、37…エンブレム導光部、39…基板、40…インナーパネル、41…ベース部、41a,41b,41c,41d,41e…開口部、42…上側フレーム部、43…下側フレーム部、44…エンブレム保持部、45…遮光部、51…上側クリアランス発光部、51a,52a…第1水平部、51b,52b…傾斜部、51c,52c…第2水平部、51d,52d…下面、51e,52e…上面、51f,52f,53f,54f…前面、51p…上側パターン、52…下側クリアランス発光部、52p…下側パターン、53…エンブレム発光部、53a…板状部、53b…筒状部、53e…外周面、53g…突出部、53i…内周面、54…ターン発光部、54e…側面、55…遮光パターン、100…車両用灯具
図1
図2
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図10