(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055572
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】天井構造および野縁上金具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/10 20060101AFI20240411BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E04B9/10
E04B9/18 B
E04B9/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162615
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】393016837
【氏名又は名称】株式会社桐井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】下氏 亮介
(57)【要約】
【課題】天井下地の各部材の負担が少なく、部材同士がずれることなくブレースに応力を伝達できる天井構造および野縁上金具を提供する。
【解決手段】上部躯体から垂設された吊ボルトの下端部に支持される野縁受け5と野縁受け5の下部に連結される野縁6とを備えた天井下地材3と、上部躯体または吊ボルトの上端部と天井下地材3とに掛け渡されるブレース4とを備えた天井構造1であって、隣り合う野縁6,6間に設けられる追加野縁10と、追加野縁10に沿って延在する野縁上金具20とをさらに備え、野縁上金具20は、追加野縁10を上側から覆う下向きの溝部21と、溝部21から立ち上がる立上部22とを備えていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部躯体から垂設された吊ボルトの下端部に支持される野縁受けと前記野縁受けの下部に連結される野縁とを備えた天井下地材と、前記上部躯体または前記吊ボルトの上端部と前記天井下地材とに掛け渡されるブレースとを備えた天井構造であって、
隣り合う前記野縁間に設けられる追加野縁と、前記追加野縁に沿って延在する野縁上金具とをさらに備え、
前記野縁上金具は、前記追加野縁を上側から覆う下向きの溝部と、前記溝部から立ち上がる立上部と、前記野縁受けが配置される野縁受け収容部とを備え、
前記追加野縁は、前記野縁受けに沿って延在し、隣り合う前記野縁の側面間に掛け渡されており、
前記野縁上金具の前記溝部は、当該溝部の両側面を構成する第一縦板部および第二縦板部と、前記溝部の上面を構成する横板部とを備え、
前記立上部は、前記第一縦板部と連続して同一平面に形成される外側縦板部と、前記横板部から立ち上がる立上板部と、前記外側縦板部と前記立上板部を連結する連結横板部とを備えており、
前記野縁受け収容部は、前記横板部と前記立上板部とで区画され、
前記野縁受けの底面は前記横板部に当接し、前記野縁受けの側面は前記立上板部に当接しており、
前記野縁上金具の前記立上部の側部には、前記ブレースの下端部が取り付けられる
ことを特徴とする天井構造。
【請求項2】
上部躯体から垂設された吊ボルトの下端部に支持される野縁受けと前記野縁受けの下部に連結される野縁とを備えた天井下地材と、前記上部躯体または前記吊ボルトの上端部と前記天井下地材とに掛け渡されるブレースとを備えた天井構造であって、
隣り合う前記野縁間に設けられる追加野縁と、前記追加野縁に沿って延在する野縁上金具とをさらに備え、
前記野縁上金具は、前記追加野縁を上側から覆う下向きの溝部と、前記溝部から立ち上がる立上部とを備え、
前記追加野縁は、前記野縁に沿って延在し、隣り合う前記野縁受けに掛け渡され前記野縁に平行に配置されており、
前記野縁上金具の前記立上部の側部には、前記ブレースの下端部が取り付けられる
ことを特徴とする天井構造。
【請求項3】
上部躯体から垂設された吊ボルトの下端部に支持される野縁受けと前記野縁受けの下部に連結される野縁とを備えた天井下地材にブレースを取り付けるための野縁上金具であって、
隣り合う前記野縁間に設けられる追加野縁を上側から覆う下向きの溝部と、前記溝部から立ち上がる立上部と、前記立上部の側部に形成され前記野縁受けが配置される野縁受け収容部とを備え、
前記溝部、前記立上部および前記野縁受け収容部は、前記追加野縁に沿って延在しており、
前記溝部は、当該溝部の両側面を構成する第一縦板部および第二縦板部と、前記溝部の上面を構成する横板部とを備え、
前記立上部は、前記第一縦板部と連続して同一平面に形成される外側縦板部と、前記横板部から立ち上がる立上板部と、前記外側縦板部と前記立上板部を連結する連結横板部とを備えており、
前記野縁受け収容部は、前記横板部と前記立上板部とで区画されている
ことを特徴とする野縁上金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井構造および野縁上金具に関する。
【背景技術】
【0002】
上部構造体に連結された吊ボルトと、吊ボルトに吊り下げられた野縁受けと、野縁受けにクリップを介して取り付けられた野縁と、野縁の下面に敷設された天井板とを備えた吊り天井が知られている。吊り天井に、ブレースを取り付けるに際しては、ブレースが野縁受けを含む平面に沿って配置される場合は、野縁受けの側面に、ブレースの下端部をビス止め等にて固定している。ブレースが野縁を含む平面に沿って配置される場合は、隣り合う野縁受けの上部で掛け渡された連結部材の側面に、ブレースの下端部をビス止め等にて固定している(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された天井構造では、地震時等の揺れは、天井板から野縁、クリップ、野縁受け(ブレースが野縁を含む平面に沿って配置された場合は連結部材も含む)を介して、ブレースに伝達される。このように、多くの部材を介してブレースに応力が伝達されるため、各部に負担がかかる。特に、クリップは野縁と野縁受けに係止される簡易な構造であるので、部材同士がずれてしまう場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、天井下地の各部材の負担が少なく、部材同士がずれることなくブレースに応力を伝達できる天井構造および野縁上金具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための第一の発明は、上部躯体から垂設された吊ボルトの下端部に支持される野縁受けと前記野縁受けの下部に連結される野縁とを備えた天井下地材と、前記上部躯体または前記吊ボルトの上端部と前記天井下地材とに掛け渡されるブレースとを備えた天井構造である。かかる天井構造は、隣り合う前記野縁間に設けられる追加野縁と、前記追加野縁に沿って延在する野縁上金具とをさらに備え、前記野縁上金具は、前記追加野縁を上側から覆う下向きの溝部と、前記溝部から立ち上がる立上部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る天井構造によれば、立上部にブレースを固定すれば、天井板の揺れを追加野縁から野縁上金具を介してブレースに伝達できるので、野縁や野縁受けにかかる負担を低減できる。また、立上部に野縁受けを固定すれば、天井板の揺れを追加野縁から野縁上金具および野縁受けを介してブレースに伝達できる。したがって、他の野縁にかかる負担を低減できるとともに、揺れの伝達はクリップを介さないので、野縁と野縁受けがずれることを防止できる。
【0008】
本発明の天井構造においては、前記追加野縁は、前記野縁受けに沿って延在し、隣り合う前記野縁の側面間に掛け渡されているものが好ましい。このような構成によれば、ブレースを、野縁受けを含む平面に沿って配置することができる。
【0009】
また、本発明の天井構造においては、前記野縁上金具は、前記野縁受けが配置される野縁受け収容部をさらに備えているものが好ましい。このような構成によれば、野縁上金具が追加野縁と野縁受けとを連結することができる。
【0010】
さらに、本発明の天井構造においては、前記野縁上金具の前記溝部は、当該溝部の両側面を構成する第一縦板部および第二縦板部と、前記溝部の上面を構成する横板部とを備え、前記立上部は、前記第一縦板部と連続して同一平面に形成される外側縦板部と、前記横板部から立ち上がる立上板部と、前記外側縦板部と前記立上板部を連結する連結横板部とを備えており、前記野縁受け収容部は、前記横板部と前記立上板部とで区画され、前記野縁受けの底面は前記横板部に当接し、前記野縁受けの側面は前記立上板部に当接しているものが好ましい。このような構成によれば、追加野縁の上方に野縁受けを配置して連結することができる。
【0011】
また、本発明の天井構造においては、前記野縁上金具の前記立上部の側部には、前記ブレースの下端部が取り付けられるものが好ましい。このような構成によれば、ブレースを、追加野縁を含む平面に沿って配置することができる。
【0012】
さらに、本発明の天井構造においては、前記追加野縁は、前記野縁に沿って延在し、隣り合う前記野縁間で前記野縁に平行に配置されているものが好ましい。このような構成によれば、ブレースを、野縁を含む平面に沿って配置することができる。
【0013】
前記課題を解決するための第二の発明は、上部躯体から垂設された吊ボルトの下端部に支持される野縁受けと前記野縁受けの下部に連結される野縁とを備えた天井下地材にブレースを取り付けるための野縁上金具である。かかる野縁上金具は、隣り合う前記野縁間に設けられる追加野縁を上側から覆う下向きの溝部と、前記溝部から立ち上がる立上部と、前記立上部の側部に形成され前記野縁受けが配置される野縁受け収容部とを備え、前記溝部、前記立上部および前記野縁受け収容部は、前記追加野縁に沿って延在することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る野縁上金具によれば、立上部にブレースを固定すれば、天井板の揺れを追加野縁から野縁上金具を介してブレースに伝達できるので、野縁や野縁受けにかかる負担を低減できる。また、立上部に野縁受けを固定すれば、天井板の揺れを追加野縁から野縁上金具および野縁受けを介してブレースに伝達できる。したがって、他の野縁にかかる負担を低減できるとともに、揺れの伝達はクリップを介さないので、野縁と野縁受けがずれることを防止できる。
【0015】
本発明の野縁上金具においては、前記溝部は、当該溝部の両側面を構成する第一縦板部および第二縦板部と、前記溝部の上面を構成する横板部とを備え、前記立上部は、前記第一縦板部と連続して同一平面に形成される外側縦板部と、前記横板部から立ち上がる立上板部と、前記外側縦板部と前記立上板部を連結する連結横板部とを備えており、前記野縁受け収容部は、前記横板部と前記立上板部とで区画されているものが好ましい。このような構成によれば、追加野縁の上方に野縁受けを配置して連結することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る天井構造および野縁上金具よれば、天井下地の各部材の負担を少なくできるとともに、部材同士がずれることなくブレースに応力を伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る天井構造を示した斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る天井構造を示した分解斜視図である。
【
図3】(a)は本発明の実施形態に係る野縁上金具を示した平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る野縁上金具の固定状態を示した側面図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係る天井構造を示した斜視図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る天井構造を示した分解斜視図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係る野縁上金具の固定状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第一実施形態に係る天井構造および野縁上金具について図面を参照して詳細に説明する。第一実施形態では、追加野縁が野縁受けに沿った方向に配置される場合を例に挙げて説明する。
図1および
図2に示すように、かかる天井構造1は、天井板2と、天井下地材3と、ブレース4と、追加野縁10と、野縁上金具20とを備えている。
【0019】
天井板2は、天井の表面を構成する矩形の板材である。天井板2は、天井下地材3の下に敷設されて、天井下地材3の下面に固定されている。
【0020】
天井下地材3は、天井板2を支持する部材であって、天井裏に設けられている。天井下地材3は野縁受け5と野縁6を格子状に組み付けて構成されている。野縁受け5は、例えば断面コ字状の軽量鉄骨製のチャンネル材からなる。野縁受け5は、上階の梁材や床スラブ等の上部構造体(図示せず)に、吊ボルト(図示せず)を介して固定されている。野縁受け5は、所定間隔をあけて複数列平行配置されている。野縁6は、例えば断面コ字状の軽量鉄骨製のチャンネル材からなり、コ字の開口部が上向きになるように配置されている。野縁6は、野縁受け5の下側に直交して配置されている。野縁6は、クリップ(図示せず)を介して、野縁受け5に連結されている。
【0021】
ブレース4は、例えば断面コ字状の溝形鋼にて構成されている。ブレース4の上端部は上部躯体または吊ボルトの上端部に溶接または金具を介して固定されている。ブレース4の下端部は、天井下地材3に固定されている。本実施形態では、ブレース4の下端部は、
野縁受け5の側面にビス止め固定されている。
【0022】
追加野縁10は、
図2に示すように、通常の野縁6の他に設けられる野縁であって、野縁6と同等の断面形状を呈したチャンネル材にて構成されている。追加野縁10は、一対のフランジ部11,11とウエブ部12とを備えている(
図4参照)。追加野縁10は、野縁6と同じ向き(開口部が上向き)で同じ高さに配置されている、追加野縁10の下端の背面部(ウエブ部12)は、天井板2に当接して固定されている。追加野縁10は、野縁6と直交しており、野縁受け5に沿って(野縁受け5と平行に)延在している。追加野縁10は、隣り合う野縁6,6の側面間に掛け渡されている。つまり、追加野縁10の端面は、野縁6の側面に当接している。追加野縁10は、ブレース4の野縁受け5への取付位置の近傍に配置されている。具体的には、隣り合う野縁6,6間の野縁間空間のうち、ブレース4の取付位置の下方の野縁間空間には追加野縁10は設けられず、この空間に隣り合う両側の野縁間空間に追加野縁10がそれぞれ設けられている。追加野縁10は、天井板2に固定され、直交する野縁6には固定されていない。
【0023】
野縁上金具20は、
図1および
図2に示すように、追加野縁10に固定される金具であり、直接または野縁受け5を介してブレース4を連結する。本実施形態では、野縁上金具20は、野縁受け5を介してブレース4を連結する。野縁上金具20は、
図3および
図4に示すように、追加野縁10を上側から覆う下向きの溝部21と、溝部21から立ち上がる立上部22と、野縁受け収容部23とを備えている。
【0024】
溝部21は、溝部21の両側面を構成する第一縦板部25および第二縦板部26と、溝部21の上面を構成する横板部27とを備えている。溝部21は、野縁上金具20が挿入される下向きの溝を区画している。第一縦板部25と第二縦板部26は、互いに平行配置され、ともに垂直になっている。第一縦板部25と第二縦板部26との内法寸法は、追加野縁10の両端のフランジ部11,11の外法寸法と同等である。第一縦板部25および第二縦板部26には、それぞれ追加野縁10を固定するためのビスVが挿通するビス孔28がそれぞれ設けられている。ビス孔28は、野縁上金具20の長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
【0025】
横板部27は、溝部21の上辺を構成している。横板部27の幅方向一端部(
図4中、左側端部)は、第二縦板部26の上端に連続して直交している。横板部27の幅方向他端部(
図4中、右側端部)は、第一縦板部25から水平方向に所定間隔離れた部分に位置し、立上部22の下端部に連続している。横板部27の幅方向一端部には、所定幅の段差部29が形成されている。段差部29は、横板部27の表面よりも、板厚分高くなっており、横板部27の表面(上面)と段差部29の裏面(下面)とが同じ高さになっている。段差部29は、溝部21の内側部分の段差部29の下側に、野縁6のフランジ部11の上端のリップ部13が挿入可能な幅寸法を有している。このような構成によれば、溝部21に挿入された追加野縁10の上端と、横板部27上に載置された野縁受け5の下端面とが同じ高さになる。
【0026】
立上部22は、溝部21の幅方向他端部(第一縦板部25側端部)から上方に立ち上がっている。野縁上金具20は、横方向に広がる溝部21と上方に立ち上がる立上部22とでL字形状を呈している。野縁上金具20に直接ブレース4を固定する場合には、立上部22がブレース取付部となる。立上部22は、外側縦板部31と、立上板部32と、連結横板部33とを備えている。
【0027】
外側縦板部31は、第一縦板部25と連続して同一平面に形成される部位であり、第一縦板部25の上端から上方に向かって垂直に立ち上がっている。立上板部32は、横板部27の幅方向他端部から立ち上がっている。立上板部32は、外側縦板部31と所定の間隔をあけて平行配置されている。立上部22の立ち上がり高さ(立上板部32および外側縦板部31の立ち上がり高さ)は、野縁受け5の高さ寸法と同等となっている。なお、立上部22の立ち上がり高さは、野縁受け5の高さ寸法に対して多少上下してもよい。野縁上金具20に直接ブレース4を固定する場合には、外側縦板部31または立上板部32にブレース4の下端部を固定する。連結横板部33は、外側縦板部31と立上板部32とを連結する部位である。連結横板部33は、外側縦板部31の上端と立上部22の上端とに連続しており、外側縦板部31と立上板部32とに直交している。
【0028】
野縁受け収容部23は、野縁受け5が配置される部分であって、野縁上金具20のL字形状の凹んだ部分に構成されている。野縁受け収容部23は、横板部27と立上板部32とで区画されており、野縁受け5の底面は横板部27の表面に当接し、野縁受け5の側面は立上板部32に当接する。野縁受け5は、立上板部32にビス止めされる。
【0029】
以上の天井構造1を構築するに際しては、
図2に示すように、隣り合う野縁6,6間に追加野縁10を掛け渡して固定する。追加野縁10の野縁6への固定は、追加野縁10が落下しない程度の仮固定でもよいし、連結金具を用いた本固定でもよい。その後、追加野縁10に野縁上金具20を上側から装着し、溝部21の第一縦板部25および第二縦板部26を追加野縁10のフランジ部11にビス止めする(
図4参照)。追加野縁10と野縁上金具20は、同軸状に二か所設ける。野縁上金具20の野縁受け収容部23に野縁受け5を配置してビス止めする。野縁受け5は、他の野縁受け5と等間隔で配置される本設の野縁受け5であってもよいし、追加で設けられる野縁受け5であってもよい。その後、野縁受け5の側面にブレース4の下端部をビス止めする。最後に、野縁6および追加野縁10の下に、天井板2を敷設して固定する。
【0030】
なお、前記工程は、新設の天井構造について説明したが、既設の天井構造に追加野縁10と野縁上金具20を設置する場合には、天井裏に入った作業員が天井板2の上方で固定する。この場合、追加野縁10を野縁6,6間に設けた後、野縁上金具20を設置する前に、天井板2を追加野縁10に固定してもよいし、野縁上金具20を設置した後に、天井板2を追加野縁10に固定してもよい。
【0031】
本実施形態に係る天井構造1では、野縁上金具20の野縁受け収容部23に野縁受け5を配置し、立上部22の立上板部32に野縁受け5をビス止めし、野縁受け5にブレース4を固定している。このような構成によれば、天井板2の揺れを、追加野縁10から野縁上金具20および野縁受け5を介してブレース4に伝達できる。したがって、他の野縁6にかかる負担を低減できる。さらに、揺れの伝達はクリップを介さないので、野縁6と野縁受け5とがずれることを防止できる。
【0032】
また、本実施形態では、追加野縁10を野縁受け5に沿って延在させているので、追加野縁10と野縁上金具20と野縁受け6を一体に固定できる。また、ブレース4は野縁受け5に固定されているので、ブレース4を、野縁受け5を含む平面に沿って配置することができる。したがって、野縁受け5とブレース4の剛性を高めることができる。
【0033】
また、ブレース4の位置は、構造設計およびダクトや設備機器の配置等に応じて適宜決定されるが、本実地形態に係る天井構造1によれば、追加野縁10の設置位置を適宜設定することで、ブレース4を好適な位置に設置することができる。
【0034】
野縁上金具20は、溝部21を備えているので、追加野縁10に対して上方から被せて容易に固定することができる。また、溝部21の横板部27が段差部29を備えているので、追加野縁10の上端と野縁受け5の下端面とを同じ高さにできる。これによって、追加野縁10を他の野縁6と同じ高さに設置することができる。また、野縁上金具20は、立上部22を備えているので、ブレース4を直接取り付けることができるとともに、野縁受け5を固定することもできる。
【0035】
野縁上金具20に野縁受け5を固定する際には、 野縁上金具20がL字状に配置された横板部27および立上板部32とで区画された野縁受け収容部23を備えているので、野縁上金具20に対する野縁受け5の位置決めおよび固定を容易に行うことができる。さらに、野縁受け5は、野縁受け収容部23に二面で接触するので、野縁上金具20に強固に固定することができる。
【0036】
次に、本発明の第二実施形態に係る天井構造および野縁上金具について説明する。第二実施形態では、追加野縁が野縁に沿った方向に配置される場合を例に挙げて説明する。
図5および
図6に示すように、かかる天井構造1aは、第一実施形態と同様に、天井板2と、天井下地材3と、ブレース4と、追加野縁10と、野縁上金具20とを備えている。各部材は、第一実施形態と同等の材質で同等の形状となっている。
【0037】
第二実施形態では、追加野縁10と野縁上金具20の配置位置と延在方向が第一実施形態と異なる。具体的には、追加野縁10は、野縁6に沿って延在し、隣り合う野縁受け5,5に掛け渡され野縁6に平行に配置されている。本実施形態では、追加野縁10は、隣り合う3本の野縁受け5,5,5に掛け渡されている。追加野縁10は、野縁受け5の下部で、各野縁受け5に直交している。
【0038】
野縁上金具20は、3本の野縁受け5,5,5のうち、中央の野縁受け5の両側にそれぞれ設けられ、中央の野縁受け5を挟むように配置されている。本実施形態では、
図7に示すように、野縁上金具20の立上部22がブレース取付部となっており、外側縦板部31にブレース4の下端部がビス止めされている。なお、ブレース4の下端部の取付位置は、外側縦板部31に限定されるものではない。野縁上金具20に野縁受け5を固定しない場合には、立上板部32にブレース4をビス止めしてもよい。
【0039】
以上の天井構造1aを構築するに際しては、
図6に示すように、隣り合う野縁6,6間に追加野縁10を平行配置し、野縁受け5,5,5に固定する。その後、追加野縁10に野縁上金具20,20を上側から装着し、溝部21の第一縦板部25および第二縦板部26を追加野縁10のフランジ部11にビス止めする(
図7参照)。野縁上金具20は、追加野縁10上に二か所設ける。その後、各野縁上金具20の立上部22の外側縦板部31にブレース4の下端部をビス止めする。
【0040】
本実施形態に係る天井構造1aでは、天井板2に固定された野縁上金具20の立上部22にブレース4を固定している。このような構成によれば、天井板2の揺れを、追加野縁10から野縁上金具20を介してブレース4に伝達できる。したがって、他の野縁6や野縁受け5にかかる負担を低減できる。さらに、揺れの伝達はクリップを介さないので、野縁6と野縁受け5とがずれることを防止できる。また、本実施形態によれば、ブレース4を、追加野縁10を含む平面に沿って配置することができるので、耐震性能を高めることができる。その他に、第二実施形態においても、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、材質、形状や大きさなど適宜設計変更が可能である。前記第一実施形態では、ブレース4の下端部は、野縁受け5の側面に固定されているが、これに限定されるものではない。例えば野縁受け5が固定された状態の野縁上金具20の立上部22の外側縦板部31にブレース4の下端部を固定してもよい。この場合、一つの野縁上金具20に二つのブレース4を固定してもよい。
【0042】
また、前記第二実施形態では、一対の野縁上金具20,20で野縁受け5を挟むように構成し、各野縁上金具20にブレース4をそれぞれ1本ずつ固定しているが、これに限定されるものではない。野縁上金具20を一つ設けて、V字状に配置された2本のブレース4の下端部を同一の立上部22に固定してもよい。また、立上部22の両側の外側縦板部31と立上板部32の両方にブレース4を固定して、2本のブレース4を、間隔をあけて重ねて配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 天井構造
1a 天井構造
2 天井板
3 天井下地材
4 ブレース
5 野縁受け
6 野縁
10 追加野縁
20 野縁上金具
21 溝部
22 立上部
23 野縁受け収容部
25 第一縦板部
26 第二縦板部
27 横板部
29 段差部
31 外側縦板部
32 立上板部
33 連結横板部