(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005558
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B60H1/00 102R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105778
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西郡 洋一
(72)【発明者】
【氏名】堀井 啓司
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA09
3L211BA06
3L211DA10
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】エアコン本体で生成された冷風と温風が十分に混合した空調空気をダクトの吹き出し口から吹き出すことができる作業機の提供。
【解決手段】作業機は、機体と、機体に搭載されたキャビンと、キャビン内に配置された運転席と、キャビン内に供給される空調空気を生成するエアコン本体と、エアコン本体から供給される空調空気を導くダクト構造体を備え、エアコン本体は冷風と温風を混合して冷房用又は暖房用の空調空気を生成し、ダクト構造体は、冷房用空調空気を流通させる第1ダクトと、暖房用空調空気を流通させる第2ダクトと、第1ダクト及び第2ダクトに接続され、エアコン本体から供給される空調空気を第1ダクトに流通させる第1状態と第2ダクトに流通させる第2状態とを切り替え可能な切り替えボックスと、エアコン本体と切り替えボックスを接続しエアコン本体により生成された空調空気を切り替えボックスに導く中継ダクトを有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に搭載されたキャビンと、
前記キャビンの内部に配置された運転席と、
前記キャビンの内部に供給される空調空気を生成するエアコン本体と、
前記エアコン本体から供給される空調空気を導くダクト構造体と、
を備え、
前記エアコン本体は、冷風と温風とを混合して冷房用又は暖房用の空調空気を生成し、
前記ダクト構造体は、
冷房用の空調空気を流通させる第1ダクトと、
暖房用の空調空気を流通させる第2ダクトと、
前記第1ダクト及び前記第2ダクトに接続され、前記エアコン本体から供給される空調空気を前記第1ダクトに流通させる第1状態と前記第2ダクトに流通させる第2状態とを切り替え可能な切り替え部を有する切り替えボックスと、
前記エアコン本体と前記切り替えボックスとを接続し、前記エアコン本体により生成された空調空気を前記切り替えボックスに導く中継ダクトと、
を有している作業機。
【請求項2】
前記エアコン本体は、前記運転席の後方に配置されており、
前記ダクト構造体は、前記運転席の側方を通って、前記運転席よりも後方から前記運転席よりも前方にわたって延びている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記運転席の側方に配置された操縦装置を備え、
前記第1ダクトは、前記操縦装置が配置された側の前記キャビンの内壁面と前記操縦装置との間を通って配置されている請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
前記第1ダクトは、第1吹き出し口を有し、
前記第1吹き出し口は、前記運転席の側方且つ前記操縦装置よりも上方において開口する前吹き出し口を含む請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記第1吹き出し口は、前記運転席よりも後方において開口する後吹き出し口を含む請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記切り替えボックスは、前記運転席の側方に配置されている請求項4に記載の作業機。
【請求項7】
前記ダクト構造体は、前記操縦装置の下方を通って前後方向に延びている請求項3に記載の作業機。
【請求項8】
前記第1ダクトは、機体幅方向の長さが前後方向の長さよりも短い扁平部位を有し、
前記扁平部位は、前記操縦装置と前記キャビンの内壁面との間に配置されている請求項3に記載の作業機。
【請求項9】
前記扁平部位は、前部に前記前吹き出し口を有し、後部に前記後吹き出し口を有している請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記第1ダクトは、前記切り替えボックスと当該第1ダクトの前方に配置された第3ダクトとを接続する本体部位と、前記本体部位から前記キャビンの内壁面に沿って上方に立ち上がった前記扁平部位とを備え、
前記扁平部位の機体幅方向の長さは、前記本体部位の機体幅方向の長さよりも短い請求項8に記載の作業機。
【請求項11】
前記中継ダクトは、前記エアコン本体側から前記切り替えボックス側に向かうにつれて流路断面積が拡大した流路拡大部を備えている請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
特許文献1に開示された作業機は、エアコン本体から空調空気を導いてキャビンの内部に送出するダクトを備えている。このダクトは、複数のダクトを接続することにより構成されており、キャビンの内部に複数の吹き出し口を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような作業機において、冷風と温風とを混合して空調空気を生成するエアミックス方式のエアコン本体が使用される場合がある。この場合、冷風と温風とが十分に混合していない状態の空調空気がエアコン本体から取り出されてダクトを通って吹き出し口から吹き出される可能性がある。そのため、複数の吹き出し口において異なる温度の空調空気が吹き出されるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、エアコン本体で生成された冷風と温風とが十分に混合した適温の空調空気をダクトの吹き出し口から吹き出すことができる作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる作業機は、機体と、前記機体に搭載されたキャビンと、前記キャビンの内部に配置された運転席と、前記キャビンの内部に供給される空調空気を生成するエアコン本体と、前記エアコン本体から供給される空調空気を導くダクト構造体と、を備え、前記エアコン本体は、冷風と温風とを混合して冷房用又は暖房用の空調空気を生成し、前記ダクト構造体は、冷房用の空調空気を流通させる第1ダクトと、暖房用の空調空気を流通させる第2ダクトと、前記第1ダクト及び前記第2ダクトに接続され、前記エアコン本体から供給される空調空気を前記第1ダクトに流通させる第1状態と前記第2ダクトに流通させる第2状態とを切り替え可能な切り替え部を有する切り替えボックスと、前記エアコン本体と前記切り替えボックスとを接続し、前記エアコン本体により生成された空調空気を前記切り替えボックスに導く中継ダクトと、を有している。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、エアコン本体により生成された空調空気が冷風と温風とが十分に混合していない状態で取り出された場合に、中継ダクトにおいて冷風と温風とを十分に混合してから切り替えボックスに導くことができる。そのため、冷風と温風とが十分に混合した状態で切り替えボックスの切り替えを行うことができる。これにより、冷気と暖気とが十分に混合した適温の冷房用又は暖房用の空調空気を切り替えボックスから第1ダクト又は第2ダクトに導いて吹き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】キャビン及び機体を右後方から見た斜視図である。
【
図6】キャビン及び機体を左後方から見た斜視図である。
【
図8】エアコン本体及びダクト構造体の平面断面図である。
【
図9】外気ダクト、内外気切り替え装置、エアコン本体の一部断面側面図である。
【
図10】運転席、ダクト構造体、エアコン本体、外気ダクト、内外気切り替え装置等の平面図である。
【
図11】右操縦装置、ダクト構造体等を左前方から見た斜視図である。
【
図14】切り替えボックスと、中継ダクト、第1ダクト、第2ダクトの接続部を示す平面断面図である。
【
図15】右操縦装置、キャビン内壁面、第1ダクト等を左前方から見た斜視図である。
【
図16】右操縦装置、ダクト構造体、カバー部材を示す斜視図である。
【
図17】キャビンの背面及び外気ダクトを左後方から見た斜視図である。
【
図18】キャビンの背面から後部カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図19】外気ダクト、第1フィルタ、第2フィルタ、枠体の斜視図である。
【
図21】後部カバーから蓋体を取り外した状態を示す背面図である。
【
図23】蓋体に取り付けられたケースに網体を収容した状態を示す斜視図である。
【
図24】蓋体に取り付けられたケースから網体を取り出している状態を示す斜視図である。
【
図26】後部カバー、蓋体、網体、ケースの縦断面図である。
【
図27】蓋体を閉鎖している状態を示す平面図である。
【
図28】蓋体を開放している状態を示す平面図である。
【
図29】一方のダクト(第1ダクト)の第1接続部と他方のダクト(第3ダクト)の第2接続部を示す斜視図である。
【
図30】一方のダクト(第1ダクト)と他方のダクト(第3ダクト)を接続した状態を示す断面図である。
【
図31】他方のダクトの製造方法を説明する断面図である。
【
図32】一方のダクト(第2ダクト)と他方のダクト(第4ダクト)を接続した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。
図2は、作業機1の概略平面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
図1、
図2に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。尚、
図2では、作業装置4を省略している。
【0010】
機体2にはキャビン5が搭載されている。キャビン5の内部(室内)には、オペレータ(運転者)が着座する運転席6が設けられている。つまり、運転席6は、キャビン5によって包囲されている。運転席6は、オペレータが座る部位である座部6Aと、オペレータの背を受ける部位である背もたれ部6Bとを有する。
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座したオペレータの前側に向かう方向(
図1、
図2の矢印A1方向)を前方、オペレータの後側に向かう方向(
図1、
図2の矢印A2方向)を後方、
図1、
図2の矢印K1方向を前後方向として説明する。また、オペレータの左側に向かう方向(
図1の手前側、
図2の矢印B1方向)を左方、オペレータの右側に向かう方向(
図1の奥側、
図2の矢印B2方向)を右方として説明する。また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向K2(
図2参照)として説明する。
【0011】
図1、
図2に示すように、走行装置3は、機体2を走行可能に支持するクローラ式の走行装置である。走行装置3は、走行フレーム3Aと、走行フレーム3Aの左側に設けられた第1走行装置3Lと、走行フレーム3Aの右側に設けられた第2走行装置3Rとを有する。第1走行装置3L及び第2走行装置3Rは、油圧モータ(油圧アクチュエータ)によって構成された走行モータM1によって駆動される。本実施形態ではクローラ式の走行装置3を用いているが、これに限らず、ホイール式等の走行装置を用いてもよい。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている(
図1参照)。
【0012】
図1に示すように、機体2は、走行装置3上に旋回ベアリング8を介して上下方向に延伸する軸心である旋回軸心X1回りに旋回可能に支持されている。
図2に示すように、機体2の左寄りで且つ前部寄りにキャビン5が搭載されている。
図1に示すように、機体2は、前部に、作業装置4を支持する支持ブラケット9及びスイングブラケット10を有している。支持ブラケット9は、機体2から前方に突出状に設けられている。スイングブラケット10は、支持ブラケット9の前部に、縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに揺動可能に取り付けられている。
【0013】
図1に示すように、作業装置4は、ブーム11、アーム12及びバケット13を有している。ブーム11の基部は、スイングブラケット10の上部に横軸(機体幅方向K2に延伸する軸心)回りに回動可能に枢着されている。アーム12は、ブーム11の先端側に横軸回りに回動可能に枢着されている。バケット13は、アーム12の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。
【0014】
作業機1は、バケット13に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
スイングブラケット10は、スイングシリンダC1の伸縮によって揺動可能とされている。ブーム11は、ブームシリンダC2の伸縮によって揺動可能とされている。アーム12は、アームシリンダC3の伸縮によって揺動可能とされている。バケット13は、バケットシリンダC4の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作可能とされている。スイングシリンダC1、ブームシリンダC2、アームシリンダC3、バケットシリンダC4は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0015】
次に、
図2等を参照して、作業機1に搭載された主な機器の配置構成について概略的に説明する。
図1、
図2に示すように、機体2の後部には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、ディーゼルエンジンである。なお、原動機E1は、ガソリンエンジン又は電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。原動機E1の右部には、冷却ファン14が取り付けられている。冷却ファン14は、原動機E1によって駆動され、右方から左方、つまり、機体2の外部から原動機E1に向けて流れる冷却風を発生させる。
【0016】
冷却ファン14の右方には、ラジエータ15、オイルクーラ16及び燃料クーラ17が配置されている。ラジエータ15は、原動機E1を冷却する冷却液を冷却する冷却器である。オイルクーラ16は、油圧シリンダ、油圧モータ等の油圧アクチュエータから戻る戻りの作動油を冷却する冷却器である。燃料クーラ17は、燃料を冷却する冷却器である。これら冷却器は、冷却ファン14が吸い込む冷却風によって冷却される。
【0017】
原動機E1の右部の前方には、原動機E1によって駆動されるコンプレッサ18が配置されている。コンプレッサ18は、作業機1に装備された空調システム(エアコンディショナー)の一部を構成する装置であって、冷媒(エアコンガス)を圧縮して半液状体にする。
コンプレッサ18、ラジエータ15及びオイルクーラ16の前方には、燃料タンク19が配置されている。燃料タンク19は、原動機E1用の燃料を貯留するタンクである。燃料タンク19の前方には、バッテリ22が配置されている。バッテリ22は、作業機1に装備された電装品に電力を供給する蓄電池である。
【0018】
バッテリ22の前方には、空調システムの一部を構成するコンデンサ23及びレシーバ24が配置されている。コンデンサ23は、コンプレッサ18からの冷媒の熱を放熱して液化する機器である。詳しくは、コンプレッサ18で半液状にした冷媒を冷却して液化を進める冷却器である。本実施形態では、コンデンサ23は、電動ファンによって冷却される電動コンデンサである。レシーバ24は、コンデンサ23で液化された冷媒を蓄える装置であって、コンデンサ23で液化できなかった冷媒を液化した冷媒と分離し且つ水分や不純物を取り除く装置である。
【0019】
原動機E1の一側(左部)には、油圧ポンプ25が取り付けられている。油圧ポンプ25は、原動機E1の動力によって駆動される。油圧ポンプ25は、作業機1に装備された油圧モータ、油圧シリンダ等の油圧アクチュエータを駆動させる作動油(圧油)等を吐出する。
原動機E1の左方には、作動油タンク28が配置されている。作動油タンク28は、作動油を貯留するタンクである。作動油タンク28は、運転席6よりも下方に配置されている。作動油タンク28から油圧ポンプ25へ作動油が送出される。
【0020】
作動油タンク28の前方には、コントロールバルブV1が配置されている。コントロールバルブV1は、油圧ポンプ25から、作業機1に装備され且つ作動油により駆動される油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を制御する。詳しくは、コントロールバルブV1は、作業機1に装備される各油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を制御する各制御弁を集約したバルブユニットである。
【0021】
図2、
図3に示すように、運転席6の側方には、左操縦装置20と右操縦装置21が配置されている。左操縦装置20は、運転席6の左方に配置されている。右操縦装置21は、運転席6の右方に配置されている。
右操縦装置21は、右操作レバー26とドーザ操作レバー27を有している。右操作レバー26の操作によってブームシリンダC2及びバケットシリンダC4用の制御弁を制御することができる。ドーザ操作レバー27の操作によってドーザシリンダ用の制御弁を制御することができる。
【0022】
右操縦装置21は、右操作レバー26又はドーザ操作レバー27の操作に応じて電気信号を出力する操縦装置である。右操作レバー26は、前後左右に揺動可能なジョイスティック型のレバーである。ドーザ操作レバー27は、前後に揺動可能なレバーである。右操縦装置21には、右操作レバー26の操作量及び操作方向を検出する第1検出装置32(
図11参照)と、ドーザ操作レバー27の操作量及び操作方向を検出する第2検出装置(図示略)が備えられている。第1検出装置32は、右操作レバー26の操作量及び操作方向に応じてブームシリンダC2及びバケットシリンダC4用の制御弁(電磁弁)を制御する電気信号を出力する。第2検出装置は、ドーザ操作レバー27の操作量及び操作方向に応じてドーザシリンダ用の制御弁(電磁弁)を制御する電気信号を出力する。
【0023】
左操縦装置20は、左操作レバー30とアンロードレバー31を有している。左操作レバー30の操作によって、旋回・アーム操作用の制御弁を制御することができる。アンロードレバー31の操作によって、作業機1の油圧アクチュエータを操作可能状態と操作不能状態とに切り替えることができる。
図3、
図4に示すように、運転席6の右前方には、表示装置33が設けられている。表示装置33は、液晶パネル等のパネル(メータパネル)を有する。パネルは、作業機の周辺画像、運転状況、モード変更、各種設定、ワーニング等の項目を表示する。また、パネルは、作業機に関する情報として燃料残量、時間(時刻)、高さ制御設定、AI(オートアイドル)制御設定、アーム制限設定等の機械設定に必要な情報を表示する。但し、上記した表示装置33に表示される表示項目は例示であって限定的なものではない。
【0024】
図2、
図5、
図6に示すように、機体2は、カバー装置43を有している。カバー装置43は、機体2下部に配置された旋回基板上に搭載された機器、部品、部材等を覆う。カバー装置43は、複数のカバーを有して構成されている。複数のカバーは、第1カバー43A~第8カバー43Hを含む。各カバーは、取り外し可能又は開閉可能となっている。
第1カバー43Aは、機体2の右前部に配置されてコンデンサ23及びレシーバ24を覆う。第2カバー43Bは、第1カバー43Aの後方に配置され、燃料タンク19及びバッテリ22の上方を覆う。第3カバー43Cは、燃料タンク19及びバッテリ22の右方を覆う。第4カバー43Dは、ラジエータ15、オイルクーラ16及び燃料クーラ17の上方並びに右側方から後方にかけての部分を覆う。第4カバー43Dは、冷却ファン14の駆動によって外気を取り込むための開口部44を有している。
【0025】
第5カバー43Eは、冷却ファン14及びラジエータ15の上方を覆う。第6カバー43Fは、原動機E1の後方を覆う。第6カバー43Fの下方には、ウエイト35が設けられている。第7カバー43Gは、作動油タンク28の上部の左方を覆う。第8カバー43Hは、第7カバー43Gの下方に配置されていて、作動油タンク28の下部の左方を覆う。
【0026】
図1、
図2に示すように、原動機E1及び油圧ポンプ25の上方には、エアコン本体29が配置されている。
図1に示すように、エアコン本体29は、原動機E1を収容する原動機室(エンジンルーム)E2の上方に配置されている。また、エアコン本体29は、運転席6の後方に配置されている。従来、運転席6の下方に設置していたエアコン本体29を、原動機室E2の上方で運転席6の後方に配置することで、オペレータの足元空間を広くすることができる。
【0027】
エアコン本体29は、空調システムの本体部を構成する装置である。エアコン本体29は、キャビン5の内部に供給される空調空気(温度調整された空気)を生成する。
図5、
図6、
図7に示すように、キャビン5の背面側には、エアコン本体29に導入される外気を取り入れる外気導入口34が設けられている。エアコン本体29は、外気導入口34から導入された空気(外気)又はキャビン5内の空気(内気)を取り入れて、取り入れた空気から温度調整された空気(空調空気)を生成する。
【0028】
図8に示すように、エアコン本体29は、ハウジング29Aと、ハウジング29A内に配置されたエバポレータ29B、ヒーターコア29C、ブロアファン29D等を有している。ハウジング29Aには、吸気口29A1と排気口29A2が設けられている。吸気口29A1は、ハウジング29Aの上部(ブロアファン29Dの上方)に設けられている(
図9参照)。排気口29A2は、ハウジング29Aの右部に設けられている。ブロアファン29Dの駆動によって生成された風は、吸気口29A1からハウジング29Aの内部に取り入れられ、排気口29A2からハウジング29Aの外部に取り出される。
【0029】
エアコン本体29を含む空調システムにおいては、レシーバ24からの冷媒を膨張弁からエバポレータ29B内へ噴射して気化し、気化した冷媒によりエバポレータ29Bを冷却し、エバポレータ29Bにブロアファン29Dの風を通過させて冷風を生成する。エバポレータ29Bを出た冷媒はコンプレッサ18に戻る。空調システムの加熱系は、原動機E1の熱を利用している。具体的には、原動機E1の熱により加熱された高温水を熱媒として利用してヒーターコア29Cを温め、ヒーターコア29Cにブロアファン29Dの風を通過させて温風を生成する。
【0030】
エアコン本体29は、冷風と温風とを混合して冷房用又は暖房用の空調空気を生成するエアミックス方式のものが用いられている。エアコン本体29のハウジング29A内には、第1エアミックスドア29Eと第2エアミックスドア29Fが設けられている。第1エアミックスドア29Eは、第1揺動軸29Gを中心に揺動可能である。第2エアミックスドア29Fは、第2揺動軸29Hを中心に揺動可能である。
【0031】
第1エアミックスドア29E及び第2エアミックスドア29Fが共に実線で示す位置にある状態(第1状態)のとき、ブロアファン29Dの風の流れは、エバポレータ29Bを通過するがヒーターコア29Cを通過しない第1流れF1となる。第1流れF1は、エバポレータ29Bを通過して冷却され、ヒーターコア29Cを通過しないため、冷風となる。
【0032】
第1エアミックスドア29E及び第2エアミックスドア29Fが共に仮想線で示す位置にある状態(第2状態)のとき、ブロアファン29Dの風の流れは、エバポレータ29B及びヒーターコア29Cを通過する第2流れF2となる。第2流れF2は、エバポレータ29Bを通過した後、ヒーターコア29Cを通過して温められるため、温風となる。
第1エアミックスドア29Eが実線で示す位置にあり且つ第2エアミックスドア29Fが仮想線で示す位置にある状態(第3状態)のとき、ブロアファン29Dの風は、第1流れF1と第2流れF2の両方となる。上述したように、第1流れF1は冷風であり、第2流れF2は温風である。
【0033】
エアコン本体29は、エバポレータ29Bを通過して生成された冷風(第1流れ)と、エバポレータ29B及びヒーターコア29Cを通過して生成された温風(第2流れ)とにより、冷房用又は暖房用の空調空気を生成する。
エアコン本体29により生成される空調空気の温度調整は、第3状態において、エアミックスドア(第1エアミックスドア29E、第2エアミックスドア29F)の角度を調整して、第1流れF1の空気量と第2流れF2の空気量との割合を変化させることにより行うことができる。第1流れF1の空気量を増加させて第2流れF2の空気量を減少させると、エアコン本体29により生成される空調空気の温度が下がる。第1流れF1の空気量を減少させて第2流れF2の空気量を増加させると、エアコン本体29により生成される空調空気の温度が上がる。これにより、エアコン本体29は、冷房用の空調空気(冷房用に温度調整された空気)と、暖房用の空調空気(暖房用に温度調整された空気)とを生成することができる。以下、冷房用に温度調整された空気を「空調冷気」、暖房用に温度調整された空気を「空調暖気」という。
【0034】
図8に示すように、ハウジング29Aの排気口29A2からは、第1流れF1の空気(エバポレータ29Bを通過して生成された冷風)と、第2流れF2の空気(エバポレータ29B及びヒーターコア29Cを通過して生成された温風)とが取り出される。
排気口29A2は、機体幅方向の一方(右方)を向いて開口している。第1流れF1の空気(エバポレータ29Bを通過して生成された冷風)は、排気口29A2の後部から取り出される。第2流れF2の空気(エバポレータ29B及びヒーターコア29Cを通過して生成された温風)は、排気口29A2の前部から取り出される。つまり、排気口29A2から取り出される冷風と温風とは排気口29A2においてずれた位置(前後方向にずれた位置)から取り出される。そのため、エアコン本体29から取り出される空調空気は、取り出された時点では冷風と温風とが十分に混ざり合っていない状態にある。
【0035】
図8、
図10等に示すように、エアコン本体29にはダクト構造体50が接続されている。ダクト構造体50は、エアコン本体29から供給される空調空気を導く。ダクト構造体50は、エアコン本体29のハウジング29Aの排気口29A2に接続されている。ダクト構造体50の内部空間は、排気口29A2と連通している。ダクト構造体50は、エアコン本体29により生成された空調空気をキャビン5内に導く通路を構成している。
【0036】
図3、
図10に示すように、ダクト構造体50は、運転席6の側方(右方)を通って、運転席6よりも後方から運転席6よりも前方にわたって延びている。また、
図4、
図11等に示すように、ダクト構造体50は、右操縦装置21の下方(下方近傍)を通って前後方向に延びている。
右操縦装置21は、右操作レバー26、ドーザ操作レバー27等の操作部材と、操作部材の操作を検出して電気信号を出力する検出装置(第1検出装置32、第2検出装置等)と、操作部材や検出装置が装着される装着板36とを備えている。ダクト構造体50は、これら右操縦装置21を構成する操作部材、検出装置、装着板36等の下方を通って前後方向に延びている。
【0037】
上述した通り、右操縦装置21は、右操作レバー26又はドーザ操作レバー27の操作に応じて電気信号を出力する電気制御式の操縦装置である。そのため、右操縦装置21には、右操作レバー26の操作による制御に用いられる作動油(パイロット油)を流通させるためのホース(パイロットホース)が接続されていない。このことから、右操縦装置21の下方にはパイロットホースが配置されていない。そのため、右操縦装置21の下方にパイロットホースが省略されたことによる空間が形成され、この空間にダクト構造体50を配置することができる。
【0038】
図8、
図10、
図12、
図13に示すように、ダクト構造体50は、中継ダクト51、切り替えボックス52、第1ダクト53、第2ダクト54、第3ダクト55、第4ダクト56を有している。
中継ダクト51は、エアコン本体29と切り替えボックス52とを接続している。
図8に示すように、中継ダクト51の一端部51dは、エアコン本体29の排気口29A2と接続されている。中継ダクト51の他端部51eは、切り替えボックス52と接続されている。
【0039】
図3、
図10に示すように、中継ダクト51は、運転席6の座部6Aよりも後方に配置されている。中継ダクト51の一端部は、前後方向の位置が運転席6よりも後方にある。中継ダクト51の他端部は、前後方向の位置が運転席6とオーバーラップしている。詳しくは、中継ダクト51の他端部は、前後方向の位置が運転席6の背もたれ部6Bとオーバーラップしている。
【0040】
中継ダクト51は、エアコン本体29の排気口29A2から取り出された冷風と温風とを混合させて切り替えボックス52に導く。言い換えれば、中継ダクト51は、エアコン本体29の排気口29A2から取り出された冷風と温風とを混合させるために十分な長さ(混合させることが可能な長さ)を有している。これにより、
図8に示すように、冷風の流れF1と温風の流れF2とは、中継ダクト51を流通する間に十分に混合された流れF3となる。そのため、中継ダクト51を通って切り替えボックス52に導入される空気は、冷風と温風とが十分に混合された空調空気となる。つまり、中継ダクト51内の空間は、エアコン本体29から切り替えボックス52に至るまでに冷風と温風とを十分に混合するための助走空間として機能する。
【0041】
図8、
図10に示すように、中継ダクト51は、エアコン本体29の排気口29A2に接続された部分から湾曲して前方に向けて延びている。
図4、
図12に示すように、中継ダクト51は、前方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。このように、中継ダクト51が湾曲及び傾斜していることにより、冷風と温風とが混合されやすくなる。
【0042】
また、
図8に示すように、中継ダクト51は、エアコン本体29側から切り替えボックス52側に向かうにつれて流路断面積が拡大した流路拡大部51fを備えている。つまり、中継ダクト51の他端部の流路断面積は、エアコン本体29の排気口29A2の流路断面積よりも広くなっている。これにより、中継ダクト51を流通する空気の流速が切り替えボックス52に向かうにつれて低下する。そのため、冷風と温風とをより確実に混合させることができる。
【0043】
図4、
図10、
図12等に示すように、中継ダクト51には、上方に向けて延びる上延部51aが設けられている。上延部51aは、中継ダクト51の後部(排気口29A2の近傍)に設けられている。上延部51aの上端部には、蓋51bが設けられている。蓋51bには、第1貫通孔51cが形成されている。上延部51aの蓋51bの上方には、飲料容器等を保持可能なカップホルダ57(
図3参照)が設けられている。カップホルダ57の底面は、蓋51bの上方に配置されている。カップホルダ57の底面には、第2貫通孔57aが形成されている。エアコン本体29の排気口29A2から取り出された空調空気の一部は、上延部51aへと導かれ、第1貫通孔51c及び第2貫通孔57aを通ってカップホルダ57内に放出される。これにより、カップホルダ57に保持された飲料容器を冷やす又は温めることができる。
【0044】
図8、
図10、
図12に示すように、切り替えボックス52は、中継ダクト51、第1ダクト53、第2ダクト54に接続されている。
図13に示すように、切り替えボックス52は、後部接続口52a、前部接続口52b、側部接続口52cを有している。後部接続口52aは、後方を向いて開口している。前部接続口52bは、前方を向いて開口している。側部接続口52cは、左前方を向いて開口している。後部接続口52aは、中継ダクト51に接続される。前部接続口52bは、第1ダクト53に接続される。側部接続口52cは、第2ダクト54に接続される。
【0045】
図3、
図10に示すように、切り替えボックス52は、運転席6の側方(右方)に配置されている。
図4に示すように、切り替えボックス52の一部又は全部は、側面視において、運転席6とオーバーラップする位置にある。また、切り替えボックス52は、右操縦装置21の下方に配置されている。
図8、
図14に示すように、切り替えボックス52は、第1ダクト53に連通する第1状態と、第2ダクト54に連通する第2状態とを切り替え可能な切り替え部52dを有している。第1ダクト53に連通する第1状態とは、エアコン本体29から供給される空調空気を第1ダクト53に流通させる状態である。第2ダクト54に連通する第2状態とは、エアコン本体29から供給される空調空気を第2ダクト54に流通させる状態である。
【0046】
切り替え部52dは、支軸52e回りに揺動可能な揺動板52fを有している。揺動板52fは、側部接続口52cを閉鎖し且つ前部接続口52bを開放する第1位置(実線で示す位置)と、前部接続口52bを閉鎖し且つ側部接続口52cを開放する第2位置(仮想線で示す位置)との間で揺動可能に構成されている。
揺動板52fが第1位置にあるとき、切り替えボックス52は第1ダクト53と連通する第1状態となる。揺動板52fが第2位置にあるとき、切り替えボックス52は第2ダクト54と連通する第2状態となる。中継ダクト51に空調冷気が流れているとき、切り替えボックス52が第1状態となり、前部接続口52bから第1ダクト53に空調冷気が流通する。中継ダクト51に空調暖気が流れているとき、切り替えボックス52が第2状態となり、側部接続口52cから第2ダクト54に空調暖気が流通する。
【0047】
揺動板52fの揺動は、電動モータ等の電動の駆動機構により行われる。駆動機構は、オペレータが運転席6の近傍に配置された操作スイッチ(図示略)を操作することにより駆動される。操作スイッチは、例えば、冷房モードと暖房モードとを切り替えるスイッチである。
オペレータが操作スイッチを冷房モードに切り替えると、揺動板52fが第1位置となり、切り替えボックス52から第1ダクト53に冷房用の冷風が流れる。このとき、エアコン本体29では空調冷気が生成され、この空調冷気が中継ダクト51を介して切り替えボックス52に供給される。
【0048】
オペレータが操作スイッチを暖房モードに切り替えると、揺動板52fが第2位置となり、切り替えボックス52から第2ダクト54に暖房用の温風が流れる。このとき、エアコン本体29では空調暖気が生成され、この空調暖気が中継ダクト51を介して切り替えボックス52に供給される。
第1ダクト53は、切り替えボックス52から取り出された空調冷気を流通させる。第1ダクト53は、切り替えボックス52と第3ダクト55とを接続している。
図12に示すように、第1ダクト53は、機体幅方向において、中継ダクト51、切り替えボックス52、第2ダクト54と並んで配置されている。
【0049】
図12、
図13に示すように、第1ダクト53は、第1部位53aと第2部位53bと第3部位53cを有している。第1部位53aと第2部位53bと第3部位53cは、一体物として構成されており、互いの内部空間が連通している。
第1部位53aは、四角筒状に形成されており、前後方向に長く延びている。第1部位53aは、後端部が切り替えボックス52と接続され、前端部が第3ダクト55と接続されている。言い換えれば、第1部位53aは、切り替えボックス52と第1ダクト53の前方に配置された第3ダクト55とを接続する接続部位である。第1部位53aは、前方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。
【0050】
第2部位53bは、第1部位53aと第3部位53cとを接続する部位である。第2部位53bは、第1部位53aの後部の側面(右側面)から側方(右方)に延びてから湾曲して上方に延びている。
第3部位53cは、第2部位53bの上端から上方に向けて延びている。第3部位53cは、機体幅方向の長さが前後方向の長さよりも短い扁平部位である。
図15に示すように、第3部位53cは、右操縦装置21とキャビン5の内壁面5aとの間に配置されている。第3部位53cは、右操縦装置21と、右操縦装置21が配置された側のキャビン5の内壁面(右壁面)5aとの間を通って上下方向に延びている。つまり、第3部位(扁平部位)53cは、第1部位(本体部位)53aからキャビン4の内壁面5aに沿って上方に立ち上がっている。第3部位(扁平部位)53cの機体幅方向の長さは、第1部位(本体部位)53aの機体幅方向の長さよりも短い。
【0051】
右操縦装置21の装着板36の右部(内壁面5a側)には左方(運転席6側)に向けて切り欠かれた切り欠き部36aが形成されており、第3部位53cは切り欠き部36aに嵌まっている。
図12、
図13に示すように、第3部位53cは、第1部位53aよりも後方まで延びている。
図10に示すように、第3部位53cは、運転席6よりも後方まで延びている。
【0052】
図3、
図4、
図10、
図13、
図15等に示すように、第1ダクト53は、第1吹き出し口53dを有している。第1吹き出し口53dは、空調冷気を吹き出す吹き出し口である。第1吹き出し口53dは、前吹き出し口53d1と後吹き出し口53d2とを含む。前吹き出し口53d1は、第3部位53cの前上部に設けられている。後吹き出し口53d2は、第3部位53cの後上部に設けられている。
【0053】
図3、
図10に示すように、前吹き出し口53d1は、運転席6の側方(右方)に配置されている。また、
図4に示すように、前吹き出し口53d1は、右操縦装置21よりも上方に配置されている。前吹き出し口53d1の前後方向の位置は、運転席6の座部6Aとオーバーラップしている。詳しくは、前吹き出し口53d1の前端は座部6Aの前端よりも後方にあり、前吹き出し口53d1の後端は座部6Aの後端よりも前方にある。前吹き出し口53d1の上下方向の位置(高さ)は、運転席6の背もたれ部6Bとオーバーラップしている。
図12に示すように、前吹き出し口53d1は、左上方に向けて開口している。
【0054】
運転席6の座部5Aの右方に設けられた前吹き出し口53d1からは、左上方(運転席6側の上方)に向けて空調冷気が吹き出される(
図3、
図4、
図10の矢印Y1参照)。これにより、運転席6に座ったオペレータOPの顔付近(顔の前方)に向けて空調冷気が吹き出される。このように、オペレータOPの顔付近に空調冷気が吹き出されることにより、オペレータOPは強い清涼感を得ることができる。
【0055】
図3、
図4に示すように、後吹き出し口53d2は、運転席6よりも後方に配置されている。
図3に示すように、後吹き出し口53d2は、運転席6よりも右方に配置されている。つまり、後吹き出し口53d2は、運転席6の右後方に配置されている。また、
図4に示すように、後吹き出し口53d2は、右操縦装置21よりも上方に配置されている。後吹き出し口53d2の上下方向の位置(高さ)は、運転席6の背もたれ部6Bとオーバーラップしている。後吹き出し口53d2は、上方に向けて開口している。後吹き出し口53d2には、吹き出し筒58が装着されている。吹き出し筒58は、前上方に向けて開口している。
【0056】
運転席6の座部5Aの右後方に設けられた後吹き出し口53d2からは、吹き出し筒58を介して、前上方に向けて空調冷気が吹き出される(
図3、
図4、
図10の矢印Y2参照)。これにより、運転席6に座ったオペレータOPの後頭部付近に向けて空調冷気が吹き出される。
第2ダクト54は、切り替えボックス52から取り出された空調暖気を流通させるダクトである。第2ダクト54の後端部は、切り替えボックス52の側部接続口52cと接続されている。第2ダクト54の前端部は、第4ダクト56と接続されている。
図4に示すように、第2ダクト54は、前方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。また、第2ダクト54は、右操縦装置21の下方に配置されている。
図8、
図10、
図12に示すように、第2ダクト54は、第1ダクト53の第1部位53aと機体幅方向に並んで配置されている。
【0057】
第3ダクト55は、第1ダクト53を流通してきた空調冷気を更に前方に導くダクトである。
図3、
図4、
図10、
図12に示すように、第3ダクト55は、第1ダクト53の前端部から前方に延びてから屈曲して上方(前上方)に延びている。第3ダクト55は、第2吹き出し口55aを有している。第2吹き出し口55aは、空調冷気を吹き出す吹き出し口である。第2吹き出し口55aは、運転席6の前方に配置されている。
図4に示すように、第2吹き出し口55aの上下方向の位置(高さ)は、運転席6の座部6Aとオーバーラップしており、座部6Aの座面付近の高さにある。第2吹き出し口55aは、運転席6の右前方において左方(又は左後方)に向けて開口している。第2吹き出し口55aからは、運転席6に座ったオペレータOPの脚(膝付近)の前方に向けて空調冷気が吹き出される(
図3、
図4、
図10の矢印Y12参照)。
【0058】
第4ダクト56は、第2ダクト54を流通してきた空調暖気を更に前方に導くダクトである。
図3、
図4、
図10、
図12に示すように、第4ダクト56は、第2ダクト54の前端部から前方に延びてから屈曲して上方に延びている。第4ダクト56は、第3吹き出し口56aを有している。第3吹き出し口56aは、空調暖気を吹き出す吹き出し口である。第3吹き出し口56aは、運転席6の前方に配置されている。第3吹き出し口56aは、下吹き出し口56a1、横吹き出し口56a2、上吹き出し口56a3を含む。
【0059】
図4に示すように、下吹き出し口56a1の上下方向の位置は、運転席6の座部6Aよりも下方にある。下吹き出し口56a1は、下方(左下方)を向いて開口している。下吹き出し口56a1から吹き出された空調暖気は、運転席6に座ったオペレータの足元に向けて流れる(
図4の矢印Y13参照)。
図4等に示すように、横吹き出し口56a2は、第2吹き出し口55a及び下吹き出し口56a1よりも前方に配置されている。横吹き出し口56a2の上下方向の位置は、運転席6の座部5Aの座面よりも下方にある。横吹き出し口56a2は、左前方を向いて開口している。横吹き出し口56a2は、デフロスター用の吹き出し口である。横吹き出し口56a2からは、左前方に向けて空調暖気が吹き出される(
図4の矢印Y14参照)。これにより、キャビン5の前窓の曇りを解消することができる。
【0060】
図4等に示すように、上吹き出し口56a3は、第2吹き出し口55a及び下吹き出し口56a1よりも前方に配置されている。上吹き出し口56a3の上下方向の位置は、第2吹き出し口55aよりも上方にある。上吹き出し口56a3は、左前方を向いて開口している。上吹き出し口56a3は、デフロスター用の吹き出し口である。上吹き出し口56a3からは、左前方に向けて空調暖気が吹き出される(
図3、
図4、
図10の矢印Y15参照)。これにより、キャビン5の前窓の曇りを解消することができる。
【0061】
図3、
図4、
図11、
図15に示すように、作業機1は、ダクト構造体50をカバーするカバー部材60を備えている。
図16に示すように、カバー部材60は、第1カバー部材61、第2カバー部材62、第3カバー部材63、第4カバー部材64を含む。尚、
図4では第3カバー部材63のみを示し、
図15では第2カバー部材62のみを示している。
【0062】
第1カバー部材61は、ダクト構造体50の前部を覆う。第1カバー部材61は、第3ダクト55及び第4ダクト56の周囲を覆う。
図11に示すように、第1カバー部材61は、第1通気口61a、第2通気口61b、第3通気口61c、第4通気口61dを有している。第1通気口61aは、下吹き出し口56a1に対応する位置に設けられている。第2通気口61bは、横吹き出し口56a2に設けられている。第3通気口61cは、上吹き出し口56a3に対応する位置に設けられている。第4通気口61dは、第2吹き出し口55aに対応する位置に設けられている。第1カバー部材61の上端には、ブラケット37を介して表示装置33が取り付けられる(
図11等参照)。
【0063】
第2カバー部材62は、第1ダクト53の第1部位53aの左方、第2ダクト54の左方、切り替えボックス52の左方、及び中継ダクト51の前部の左方を覆う。第2カバー部材62は、ダクト構造体50の右操縦装置21の下方に配置されている部分の左方を覆う。
第3カバー部材63は、第1ダクト53の第2部位53bの左方及び上方を覆う。第3カバー部材63は、第2部位53bのうち右操縦装置21の上方に露出した部分を覆う。第3カバー部材63は、前吹き出し口53d1に対応する位置に第4通気口63aを有している。
【0064】
第4カバー部材64は、中継ダクト51の後部の左方及び上方、第1ダクト53の後部の上方を覆う。第4カバー部材64は、右操縦装置21の後方に配置されている。第4カバー部材64は、吹き出し筒58に対応する位置に第1開口64aを有し、カップホルダ57に対応する位置に第2開口64bを有している。
カバー部材60によりダクト構造体50がカバーされることによって、ダクト構造体50の破損や変形を防止することができる。また、ダクト構造体50内を流通する空調空気の温度変化を抑制することができる。
【0065】
図9、
図10に示すように、エアコン本体29は、内外気切り替え装置65と接続されている。内外気切り替え装置65は、エアコン本体29のハウジング29Aの吸気口29A1と接続されている。内外気切り替え装置65は、エアコン本体29のブロアファン29Dの上方に配置されている。内外気切り替え装置65は、運転席6の後方に配置されている。内外気切り替え装置65は、エアコン本体29に外気を導入する状態と内気を導入する状態とを切り替える。
【0066】
図9に示すように、内外気切り替え装置65は、筐体65aと、筐体65aの内部に配置された切り替えダンパ65bとを有している。筐体65aは、内気取入口65cと外気取入口65dとを有している。内気取入口65cは、上方を向いて開口している。外気取入口65dは、後方を向いて開口している。切り替えダンパ65bは、矢印Y3に示すように、支軸52eを支点として揺動可能である。切り替えダンパ65bは、内気取入口65cを開放し且つ外気取入口65dを閉鎖する第1位置(実線で示す位置)と、外気取入口65dを開放し且つ内気取入口65cを閉鎖する第2位置(仮想線で示す位置)とに揺動可能である。切り替えダンパ65bを第1位置と第2位置とに切り替える(揺動させる)操作は、運転席6の近傍に設けられた切り替えスイッチ(図示略)により行うことができる。
【0067】
切り替えダンパ65bが第1位置にあるとき、内気取入口65cからキャビン5の内部の空気(内気)が筐体65a内に取り入れられ、エアコン本体29に供給される。切り替えダンパ65bが第2位置にあるとき、外気取入口65dからキャビン5の外部の空気(外気)が筐体65a内に取り入れられ、エアコン本体29に供給される。外気取入口65dから取り入れられる空気は、外気導入口34から導入される空気(外気)である。
【0068】
図9、
図10に示すように、内外気切り替え装置65の外気取入口65dには、外気ダクト66が接続されている。外気ダクト66は、外気取入口65dに外気を導くためのダクトである。外気ダクト66は、前後方向に延びており、前部が外気取入口65dに接続されている。外気ダクト66は、外気取入口65dから後方に向けて延びており、後方に向かうにつれて横幅(機体幅方向の長さ)が拡がっている。
【0069】
図17に示すように、外気ダクト66は、キャビン5の背面5bに設けられた開口5cに装着される。キャビン5の背面5bには、キャビン5の後部の内部空間を拡げるように後方に向けて膨出する膨出部5dが設けられており、この膨出部5dに開口5cが形成されている。開口5cは、キャビン5の内部空間と連通している。外気ダクト66は、フランジ66aを有している。膨出部5dとフランジ66aとをボルト等の固定具で固定することにより、外気ダクト66が膨出部5dに固定される(
図18参照)。外気ダクト66を膨出部5dに固定した状態において、外気ダクト66の前部が開口5cからキャビン5内に向けて挿入される(
図9参照)。
【0070】
図10、
図19に示すように、外気ダクト66には、第1フィルタ71及び第2フィルタ72が取り付けられる。第1フィルタ71及び第2フィルタ72は、外気ダクト66の後部に取り付けられる。
図19に示すように、第1フィルタ71は、フィルタ本体71Aと、フィルタ本体71Aを保持する保持部71Bとを有している。フィルタ本体71Aは、後面視にて第2フィルタ72と重なる位置に配置される。保持部71Bは、フィルタ本体71Aの周囲に設けられた外周部71B1と、外周部71B1から後方に延出された後延部71B2とを有している。後延部71B2は、四角筒状に形成されており、外気ダクト66の後部の開口66bに嵌め入れられる。
【0071】
第1フィルタ71及び第2フィルタ72は、枠体73によって外気ダクト66の後部に固定される。言い換えれば、枠体73は、第2フィルタ72と第1フィルタ71とを外気ダクト66に固定する。枠体73は、第2フィルタ72を第1フィルタ71に重ねて外気ダクト66に固定する。
図18に示すように、第2フィルタ72は、枠体73により固定された状態で、枠体73の開口部から露出する。
【0072】
図19に示すように、枠体73は、係止部73aと固定部73bとを有している。係止部73aは、枠体73の右部に設けられている。係止部73aは、外気ダクト66に対して係止される部分である。外気ダクト66の右後部には、係止穴66cが設けられている。係止部73aを係止穴66cに差し込むことにより、係止部73aが係止穴66cに係止される。
【0073】
固定部73bは、枠体73の左部に設けられている。固定部73bは、外気ダクト66に対して固定される部分である。固定部73bには、貫通孔73cが設けられている。外気ダクト66の左後部には、被固定部66dが設けられている。被固定部66dには、ねじ穴66eが設けられている。貫通孔73cをねじ穴66eに重ねて、ノブボルト74を貫通孔73cに挿通してねじ穴66eに螺合することにより、固定部73bが被固定部66dに固定される。
【0074】
第1フィルタ71と第2フィルタ72とを前後方向に重ねた状態で、枠体73の係止部73aを外気ダクト66の係止穴66cに係止し、ノブボルト74を締めて枠体73の固定部73bを外気ダクト66の被固定部66dに固定することにより、枠体73が第1フィルタ71及び第2フィルタ72と共に外気ダクト66に固定される。ノブボルト74を外して被固定部66dに対する固定部73bの固定を解除すると、枠体73を外気ダクト66から取り外して、第1フィルタ71及び第2フィルタ72を取り外すことができる。
【0075】
図10等に示すように、第1フィルタ71と第2フィルタ72とは、前後方向に並んで配置される。第1フィルタ71及び第2フィルタ72は、後面視にて外気導入口34(
図7等参照)と重なる位置に配置される。
図10、
図19に示すように、第1フィルタ71は、外気ダクト66の後部に取り付けられる。第2フィルタ72は、前後方向において、外気導入口34と第1フィルタ71との間に配置される。つまり、第2フィルタ72は、第1フィルタ71よりも外気導入口34に近い位置に配置される。
【0076】
第1フィルタ71及び第2フィルタ72は、外気導入口34から取り入れられた外気に含まれる異物を除去する。具体的には、先ず第2フィルタ72が外気導入口34から取り入れられた外気に含まれる異物を除去し、次に第1フィルタ71が第2フィルタ72を通過した外気に含まれる異物を除去する。
第2フィルタ72は、第1フィルタ71よりも目が粗いフィルタである。言い換えれば、第1フィルタ71は、第2フィルタ72よりも目が細かいフィルタである。つまり、第1フィルタ71は、第2フィルタ72よりも細かい異物を除去できる高精度のフィルタである。第2フィルタ72を第1フィルタ71よりも外気導入口34に近い位置に配置することにより、目が細かい第1フィルタ71の目詰まりが生じにくくなり、第1フィルタ71の寿命を延ばすことができる。
【0077】
図10の矢印Y4に示すように、外気導入口34から取り入れられて第1フィルタ71及び第2フィルタ72を通過した外気は、外気ダクト66により内外気切り替え装置65の外気取入口65dに取り入れられ、エアコン本体29に導かれる。
図1、
図2、
図5、
図6、
図7に示すように、キャビン5の背面5bには、当該背面5bから後方に突出する後部カバー77が装着されている。外気導入口34は、後部カバー77に設けられている。後部カバー77は、キャビン5の背面5bの下部(後窓5eの下方)に位置している。後部カバー77は、キャビン5の背面5bに対して着脱可能に装着される。
【0078】
図20に示すように、後部カバー77は、第1装着部77a、第2装着部77b、第3装着部77cを有している。第1装着部77aには、第1装着孔77dが設けられている。第2装着部77bには、第2装着孔77eが設けられている。第3装着部77cには、第3装着孔77fが設けられている。
図18に示すように、キャビン5の背面5bの下部には、第1ブラケット78、第2ブラケット79、第3ブラケット80が取り付けられている。第1ブラケット78には、第1被装着孔78aが設けられている。第2ブラケット79には、第2被装着孔79aが設けられている。第3ブラケット80には、第3被装着孔80aが設けられている。第1装着孔77dと第1被装着孔78a、第2装着孔77eと第2被装着孔79a、第3装着孔77fと第3被装着孔80aを、それぞれ重ねてボルトとナットで固定することにより、後部カバー77がキャビン5の背面5bに装着される。
【0079】
図1、
図5、
図6、
図7等に示すように、後部カバー77は、第6カバー43Fの上方に配置されている。
図1に示すように、後部カバー77の上下方向の位置は、運転席6とオーバーラップしている。後部カバー77の上端部は、運転席6の上端部よりも下方に位置している。後部カバー77の下端部は、運転席6の下端部よりも上方に位置している。
図2に示すように、後部カバー77の機体幅方向の位置は、運転席6とオーバーラップしている。後部カバー77の右端部は、運転席6の右端部よりも左方に位置している。後部カバー77の左端部は、運転席6の左端部よりも左方又は運転席6の左端部と略同じ位置にある。後部カバー77の幅(機体幅方向の長さ)は、運転席6の幅(機体幅方向の長さ)よりも長い。
【0080】
後部カバー77は、キャビン5内にあるエアコン本体29の後方を覆う。エアコン本体29の前部は、キャビン5の内部に配置されている。エアコン本体29の後部は、キャビン5から後方に突出して配置されている。後部カバー77は、キャビン5から後方に突出したエアコン本体29の後部を覆っている。但し、エアコン本体29の後部は、キャビン5から後方に突出していなくてもよい。即ち、エアコン本体29の全体がキャビン5の内部(後部カバー77の前方)に配置されていてもよい。後部カバー77の内部には、少なくとも第1フィルタ71、第2フィルタ72、外気ダクト66が配置される(
図10参照)
図1、
図2、
図5、
図6、
図7、
図10に示すように、後部カバー77は、蓋体81を有している。蓋体81は、後面視にて、機体幅方向の長さが上下方向の長さよりも長い長方形状を呈している。
図20、
図21に示すように、後部カバー77には後部開口77gが形成されており、この後部開口77gを覆うように蓋体81が取り付けられる。蓋体81は、後部カバー77に対して開閉可能である(
図2の矢印Y5参照)。蓋体81を開放すると、後部開口77gから第2フィルタ72及び枠体73が露出する(
図21参照)。これにより、枠体73を外気ダクト66から取り外して第1フィルタ71や第2フィルタ72の交換等を行うことができる。
【0081】
図23に示すように、蓋体81の右端部にはヒンジ82が取り付けられている。このヒンジ82は、後部カバー77の後部開口77gの右縁に取り付けられる(
図20、
図21参照)。これにより、蓋体81はヒンジ82を支点として右後方に向けて開放可能となる(
図2の矢印Y5参照)。蓋体81の左部には、鍵穴81bが設けられている。鍵穴81bに鍵を差し込んで回す(施錠する)ことによって、蓋体81を開放不可の状態とすることができる。
【0082】
図21に示すように、後部カバー77には後部開口77gの左縁近傍には、クッション部材83が設けられている。クッション部材83は、ゴム等の弾性体から形成されている。クッション部材83は、後部開口77gに面する位置に配置されている。クッション部材83は、蓋体81を閉じたときに、蓋体81の前面に当接して弾性変形する。これにより、蓋体81を閉じたときに蓋体81がガタつくことを防止することができる。
【0083】
図5、
図6、
図7、
図22等に示すように、蓋体81には、外気導入口34が設けられている。外気導入口34は、キャビン5の外部の空気(外気)をキャビン5の内部に取り入れるための開口である。外気導入口34からの外気の取り入れは、エアコン本体29のブロアファン29Dの駆動によって行われる。
外気導入口34は、複数(図示例では10個)設けられている。本実施形態の場合、外気導入口34は、機体幅方向の長さが上下方向の長さよりも長い長穴である。
図22に示すように、蓋体81の上部には、外気導入口34が設けられていない領域81Rが設けられている。言い換えれば、外気導入口34は、蓋体81の上部の領域81Rには設けられていない。
【0084】
図22に示すように、蓋体81の前面には、第1リブ84Aと第2リブ84Bが設けられている。第1リブ84Aは、蓋体81の前面の右部に設けられている。第2リブ84Bは、蓋体81の前面の左部に設けられている。第1リブ84Aと第2リブ84Bは、互いに平行に上下方向に延びている。
図23に示すように、蓋体81の前部(前面)には、ケース85が取り付けられている。
図24に示すように、ケース85には、網体86が収容されている。網体86は、外気導入口34から侵入する虫等を捕捉するための虫採り用の網体である。網体86は、第2フィルタ72よりも目が粗い。
【0085】
図25等に示すように、ケース85は、前板85aと周壁85bを有している。前板85aは、後面視にて、機体幅方向の長さが上下方向の長さよりも長い長方形状を呈している。
図23、
図24、
図25等に示すように、前板85aは、開口部85cを有している。開口部85cは、複数(図示例では16個)設けられている。本実施形態の場合、開口部85cは、上下方向の長さが機体幅方向の長さよりも長い長穴である。開口部85cは、外気導入口34から取り入れられた外気の通過を許容する。前板85aの下部には、開口部85cが設けられていない領域85Rが設けられている。言い換えれば、開口部85cは、前板85aの下部の領域85Rには設けられていない。
【0086】
図22に示すように、前板85aは、外気導入口34に面するように配置される。前板85aの後方には、網体86が配置される。周壁85bは、前板85aの外縁から後方に向けて延びている。周壁85bには、取付部85dが設けられている。取付部85dにボルトBL1を挿通して、当該ボルトBL1を蓋体81の前面に設けられた被取付部81aに螺合することにより、ケース85が蓋体81の前部に取り付けられる。
【0087】
図26に示すように、ケース85を蓋体81の前部に取り付けた状態において、前板85aと蓋体81との間に空間SP1が形成される。この空間SP1に網体86を収容することができる。網体86は、空間SP1に収容された状態にて、第1リブ84Aと第2リブ84Bとの間に配置される(
図23参照)。
図26に示すように、網体86は、蓋体81の外気導入口34に面するように蓋体81の近傍の位置に配置される。そのため、網体86は、蓋体81から離れた位置に配置される第2フィルタ72(
図10参照)よりも、外気導入口34に近い位置にある。つまり、網体86は、空間SP1に収容された状態にて、外気導入口34と第2フィルタ72との間に配置される。これにより、外気導入口34から侵入した虫等を、第2フィルタ72に到達する前に網体86により捕捉することができる。
【0088】
図26に示すように、ケース85を蓋体81の前部に取り付けた状態において、開口部85cは、外気導入口34よりも高い位置に設けられる。即ち、開口部85cの下端の高さH1は、外気導入口34の上端の高さH2よりも高い。言い換えれば、外気導入口34は、開口部85cが設けられていない領域85Rと対向して配置される。また、開口部85cは、外気導入口34が設けられていない領域81Rと対向して配置される。これにより、作業機1を水洗いしたときに、外気導入口34から浸入した洗浄水は、領域85Rに当たって流下するため、開口部85cに入ることを防止することができる(
図26の矢印Y6参照)。領域85Rに当たって流下した洗浄水は、前板85aと網体86との隙間GP2及び蓋体81と後部カバー77の隙間GP3を通って機体2の外部に出る。一方、外気導入口34から取り入れられた外気は、上昇して開口部85cに入ることができる(
図26の矢印Y7参照)。
【0089】
図25に示すように、ケース85の周壁85bは、前板85aの外縁のうち、下縁、左縁、右縁から後方に向けて延びている。つまり、周壁85bは、前板85aの上縁には設けられていない。これにより、ケース85を蓋体81の前部に取り付けたとき、ケース85の上部において、ケース85と蓋体81との間に広い隙間GP1が形成される(
図24、
図26参照)。そのため、この隙間GP1を通して、ケース85の上方から網体86をケース85内に収容することができる(
図24の矢印Y8参照)。また、この隙間GP1を通して、ケース85の上方から網体86をケース85外に取り出すことができる。網体86をケース85に出し入れする際には、第1リブ84Aと第2リブ84Bが網体86の移動を案内するガイドとして機能する。
【0090】
図22、
図24に示すように、網体86の周囲には、網体86を保持する保持枠87が設けられている。保持枠87は、四角環状に形成されている。保持枠87の上部には、網体86と共に保持枠87をケース85に固定するための固定部87aが設けられている。固定部87aは、保持枠87の上部から前方に延びてから屈曲して下方に延びている。固定部87aには貫通孔87bが形成されている。
【0091】
図22、
図24に示すように、ケース85の前板85aの前面には、被固定部85eが設けられている。被固定部85eは、固定部87aが固定される部分である。被固定部85eは、前板85aの上部から前方に向けて突出している。被固定部85eには、ねじ穴85fが形成されている。網体86をケース85内に収容した状態において、固定部87aの貫通孔87bに蝶ボルト88を挿通して、当該蝶ボルト88を被固定部85eのねじ穴85fに螺合することにより、保持枠87をケース85に固定することができる。これにより、網体86がケース85に対して位置決め固定される。また、蝶ボルト88をねじ穴85fから外すことにより、ケース85に対する保持枠87の固定が解除される。これにより、保持枠87を網体86と共にケース85外に取り出すことが可能となる。
【0092】
図25に示すように、ケース85は、前板85aから後方(外気導入口34側)に向けて突出する突出部85gを有している。突出部85gは、前板85aの左部に設けられた第1突出部85g1と、前板85aの右部に設けられた第2突出部85g2を含む。第1突出部85g1及び第2突出部85g2は、互いに平行に上下方向に延びている。突出部85gは、上方から下方に向けて突出長さが長くなっている。
【0093】
図26に示すように、ケース85を蓋体81の前部に取り付けたとき、突出部85gは網体86の前面に当接する。これにより、網体86は、突出部85gによって蓋体81に向けて押され、外気導入口34に当接又は近接する。ここで、突出部85gの突出長さが上方から下方に向けて長くなっているため、突出部85gを確実に網体86の前面に当接させることができる。また、突出部85gの突出長さが上方において短いため、網体86を上方からケース85内に収容する作業を容易に行うことができる。
【0094】
作業機1は、蓋体81を開放状態で保持するための保持部90を備えている。保持部90は、後部カバー77に設けられた保持部材91(
図20、
図21、
図26参照)と、ケース85に設けられた保持機構92(
図22、
図23、
図26等参照)とから構成されている。
図20、
図21に示すように、保持部材91は、後部カバー77の後部開口77gの周縁に設けられている。具体的には、保持部材91は、後部カバー77の後部開口77gの周縁の右部から左方(後部開口77g側)に向けて突出して設けられている。保持部材91は、上下方向に並設された2つのヒンジ82の間に設けられている。保持部材91は、平板状であって、一方の面が上方を向き、他方の面が下方を向いている。保持部材91には、当該保持部材91を上下方向に貫通する貫通孔91aが形成されている。
【0095】
図22、
図23に示すように、保持機構92は、ケース85の前板85aの前面に設けられている。保持機構92は、支持部93、ステー94、係合部95を有している。支持部93は、前板85aの前面から前方に突出している。支持部93には、上下方向に延びる貫通孔93aが形成されている。支持部93は、ステー94を上下方向の軸心Z1回りに回転可能に支持している。ステー94は、第1部分94a、第2部分94b、第3部分94cを有している。第1部分94aは、上下方向に延びており、支持部93に形成された貫通孔93aに上方から挿入されている。第2部分94bは、第1部分94aの上端から屈曲して水平方向に延びている。第3部分94cは。第2部分94bから屈曲して下方に延びている。第3部分94cは。第1部分94aと間隔をあけて第1部分94aと平行に配置されている。
【0096】
係合部95は、前板85aの前面に設けられており、ステー94の第2部分94bを係合可能である。係合部95は、ばね性を有する金属板を屈曲して形成されている。係合部95は、金属板のばね性によって第2部分94bを着脱可能に保持することができる。第2部分94bは、金属板によって上下から挟みつけて保持される。ステー94を軸心Z1回りの一方(
図23の矢印Y9方向)に回転させることによって、第2部分94bを係合部95に係合させることができる。ステー94を軸心Z1回りの他方(
図23の矢印Y10方向)に回転させることによって、第2部分94bを係合部95から離脱させることができる。ステー94は、第2部分94bを係合部95から離脱させた状態では、貫通孔93aに沿って上下方向に所定範囲で動かすことができる。
【0097】
蓋体81を閉じた状態においては、ステー94の第2部分94bは係合部95に係合した状態(
図23、
図27参照)にある。蓋体81を開放した後、開放した状態で保持したい場合、ステー94を軸心Z1回りの他方(
図23の矢印Y10方向、
図28の矢印Y11方向)に回転させて第2部分94bを係合部95から離脱させ、第3部分94cを保持部材91の貫通孔91aに上方から挿入する(
図28参照)。これによって、蓋体81の動きがステー94により規制されるため、蓋体81を閉鎖することができなくなり、蓋体81の開放状態が維持される。これにより、蓋体81を開放した状態でメンテナンス(フィルタの交換等)を行っているときに、蓋体81が意図せずに閉じることを防止することができ、メンテナンス性が向上する。
【0098】
上述したように、作業機1は、外気導入口34から導入される外気の異物を除去するために、網体86、第1フィルタ71、第2フィルタ72を備えたフィルタ構造を有している。外気導入口34から後部カバー77内に導入された外気は、網体86、第2フィルタ72、第1フィルタ71の順に通過する。これにより、外気に含まれる異物が除去される。異物が除去された外気は、内外気切り替え装置65からエアコン本体29に供給される。エアコン本体29は空調空気を生成し、生成された空調空気は上述したダクト構造体50に吹き出される。
【0099】
次に、ダクト構造体50の接続構造について説明する。
上述したように、ダクト構造体50は、中継ダクト51、切り替えボックス52、第1ダクト53、第2ダクト54、第3ダクト55、第4ダクト56から構成されている(
図12、
図13参照)。
つまり、ダクト構造体50は、複数のダクト(切り替えボックス52を含む)を接続して構成されている。そのため、ダクト構造体50は、互いに接続される一方のダクトと他方のダクトとを含む。
【0100】
具体的には、ダクト構造体50は、互いに接続される中継ダクト(一方のダクト)51と切り替えボックス(他方のダクト)52とを含む。また、ダクト構造体50は、互いに接続される切り替えボックス(一方のダクト)52と第1ダクト(他方のダクト)53とを含む。また、ダクト構造体50は、互いに接続される切り替えボックス(一方のダクト)52と第2ダクト(他方のダクト)54とを含む。また、ダクト構造体50は、互いに接続される第1ダクト(一方のダクト)53と第3ダクト(他方のダクト)55とを含む。また、ダクト構造体50は、互いに接続される第2ダクト(一方のダクト)54と第4ダクト(他方のダクト)56とを含む。
【0101】
図29、
図30は、一方のダクト50Aが第1ダクト53であり、他方のダクト50Bが第3ダクト55である場合を示している。一方のダクト50A(第1ダクト53)は、他方のダクト50B(第3ダクト55)に差し込まれて接続される第1接続部96を有している。他方のダクト50B(第3ダクト55)は、一方のダクト50A(第1ダクト53)が差し込まれて接続される第2接続部97を有している。
【0102】
第1接続部96は、一方のダクト50A(第1ダクト53)の差し込み方向D1と直交する第1端面96aを有している。また、第1接続部96は、第1端面96aの内方端部96bから他方のダクト50B(第3ダクト55)に向けて延びる筒状部96cを有している。第1端面96aは、一方のダクト50A(第1ダクト53)の外周面96dから内方(ダクト50Aの中心軸に近づく方向)に延出された面である。第1端面96aは、環状(四角環状)の平面である。第1端面96aは、筒状部96cの外周を囲うように設けられている。
【0103】
筒状部96cの外面には、突起96eが形成されている。突起96eは、筒状部96cの外面96fから外方(ダクト50Aの中心軸から離れる方向)に向けて突出している。突起96eは、差し込み方向D1と直交する方向に長く延びている。言い換えれば、突起96eは、筒状部96cの周方向に延びている突条である。突起96eは、筒状部96cの全周に亘って形成されていてもよいし、筒状部96cの全周のうちの一部のみに形成されていてもよい。本実施形態の場合、突起96eは、四角筒状の筒状部96cを構成する四つの外面96fの夫々に形成されている。突起96eは、筒状部96cの外面96fから円弧状に隆起している。筒状部96cの内面96gには、突起96eに対応する位置において外面側に凹んだ凹部96hが形成されている。
【0104】
図30に示すように、第2接続部97は、第1端面96aと対向する第2端面97aを有している。第2端面97aも差し込み方向D1と直交する面である。第2端面97aは、第1端面96aと平行な面である。
図29、
図30に示すように、第2端面97aは、他方のダクト50B(第3ダクト55)の外周面97bから内方(ダクト50Bの中心軸に近づく方向)に延出された面である。第2端面97aは、環状(四角環状)の平面である。
【0105】
第2接続部97は、第2端面97aの内方端部97cから第1端面96a側と反対側(差し込み方向D1と反対側)に向けて折り返された折り返し部97dを有している。折り返し部97dは、第2端面97aの内方端部97cの全周に亘って形成されていてもよいし、第2端面97aの内方端部97cの全周のうちの一部のみに形成されていてもよい。本実施形態の場合、折り返し部97dは、第2端面97aの内方端部97cの全周に亘って形成されている。
【0106】
一方のダクト50A(第1ダクト53)を他方のダクト50B(第3ダクト55)に差し込んで接続した状態において、第1接続部96の筒状部96cは、他方のダクト50B(第3ダクト55)の内部に差し込まれる(
図30参照)。この状態では、折り返し部97dの内面97eは、突起96eの頂点(最も外側にある部分)よりも内側(筒状部96cの中心に近い側)に位置する。また、折り返し部97dの差し込み方向D1前方の端部97fは、突起96eよりも差し込み方向D1後方に位置する。これにより、筒状部96cに折り返し部97dが係止され、一方のダクト50A(第1ダクト53)から他方のダクト50B(第3ダクト55)が脱落しにくくなる。つまり、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとが接続された状態となる。
【0107】
一方のダクト50A及び他方のダクト50Bは、可撓性を有する合成樹脂から製造することができる。これにより、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとを着脱するとき、折り返し部97dが突起96eに押されて外方に向けて撓む(弾性変形する)。そのため、一方のダクトと他方のダクトの着脱を容易に行うことができる。
一方のダクト50A(第1ダクト53)を他方のダクト50B(第3ダクト55)に差し込んで接続した状態において、折り返し部97dは、筒状部96cの外面96f(詳しくは、外面96fのうち突起96eよりも差し込み方向D1後方にある部分)に当接又は近接する(
図30参照)。これにより、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bの接続部分のガタツキを無くす又は小さくすることができる。
【0108】
上記したように他方のダクト50Bの第2接続部97が折り返し部97dを有することにより、他方のダクト50Bをブロー成形により製造した場合に、第2接続部97の内周面(折り返し部97dの内面97e)を高精度で製造することができる。以下、この点について、
図31に基づいて説明する。
図31に示すように、他方のダクト50Bをブロー成形により製造する場合、先ず、押し出し機で熱した樹脂をパリソンと言われる容器形状にして金型N1内で膨らませることで金型に合わせた形状とする(
図31の左図参照)。その後、不要部分をカッターにより切断する(
図31に切断部分を矢印CTで示す)ことにより、折り返し部97dを有する第2接続部97を備えた他方のダクトが完成する。このように製造された他方のダクト50Bの第2接続部97は、内周面(折り返し部97dの内面97e)が金型N1の面により成形されるため、内周面の寸法精度が非常に高くなる。そのため、一方のダクトと接続したときにガタツキが生じない。
【0109】
他方のダクトとして、従来のように折り返し部97dを有さない形状のものをブロー成形により製造した場合、接続部の内周面はカッターによる切断面(手作業で切断した面)により形成される。そのため、接続部の内周面の寸法精度が低くなり、一方のダクトと接続したときにガタツキが生じる。
図30に示すように、第1端面96aと第2端面97aとの間には、クッション材99が介装されている。クッション材99は、ゴム等の弾性体から形成されている。クッション材99は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)を基材としたものを使用することができる。
【0110】
クッション材99は、第1端面96a又は第2端面97aに接着されている。本実施形態の場合、クッション材99は、第1端面96aに接着されている。但し、クッション材99は、第2端面97aに接着されていてもよい。
図29に示すように、クッション材99は、環状(四角環状)の部材である。クッション材99は、筒状部96cの外周を囲むように配置されている。
【0111】
一方のダクト50A(第1ダクト53)を他方のダクト50B(第3ダクト55)に差し込んで接続した状態において、クッション材99は、第1端面96aと第2端面97aとの間に挟まれて配置される。この状態において、クッション材99は、第1端面96a及び第2端面97aに当接する。この状態において、クッション材99は、第1端面96aと第2端面97aと筒状部96cの外面に当接していてもよい。
【0112】
上述したダクトの接続構造によれば、差し込み方向D1と直交する第1端面96aと、第1端面96aと対向する第2端面97aとの間にクッション材99が介装されているため、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとを着脱したときに、クッション材99の外面にダクトの内面が擦れることがない。これにより、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bを着脱したときにクッション材99が剥がれることを防止できる。
【0113】
従来のダクトの接続構造(例えば、上記特許文献1に開示の接続構造)の場合、一方のダクトと他方のダクトとを着脱したときに、クッション材99の外面にダクトの内面が擦れるため、粘着性が高い素材(例えばEPDM)からなるクッション材99を使用すると、一方のダクトと他方のダクトを着脱した時にクッション材99がダクトにくっついて剥がれてしまう。そのため、粘着性が低い素材からなるクッション材を使用せざるを得ず、接続部に十分なシール性が得られないおそれがある。しかし、上述したダクトの接続構造によれば、ダクト同士を着脱した時にクッション材99の外面にダクトの内面が擦れないため、粘着性が高い素材(例えばEPDM)からなるクッション材を使用することができ、接続部のシール性を向上させることができる。
【0114】
上述したダクトの接続構造(一方のダクト50Aと他方のダクト50Bの接続構造)は、一方のダクト50Aが中継ダクト51であって他方のダクト50Bが切り替えボックス52である場合にも適用することができる。つまり、
図14に示すように、中継ダクト51と切り替えボックス52との接続構造にも適用することができる。
また、上述したダクトの接続構造は、一方のダクト50Aが切り替えボックス52であって他方のダクト50Bが第1ダクト53である場合にも適用することができる。つまり、
図14に示すように、切り替えボックス52と第1ダクト53との接続構造にも適用することができる。
【0115】
また、上述したダクトの接続構造は、一方のダクト50Aが切り替えボックス52であって他方のダクト50Bが第2ダクト54である場合にも適用することができる。つまり、
図14に示すように、切り替えボックス52と第2ダクト54との接続構造にも適用することができる。
また、上述したダクトの接続構造は、一方のダクト50Aが第2ダクト54であって他方のダクト50Bが第4ダクト56である場合にも適用することができる。つまり、
図32に示すように、第2ダクト54と第4ダクト56との接続構造にも適用することができる。
【0116】
上記した作業機1は、機体2と、機体2に搭載されたキャビン5と、キャビン5の内部に配置された運転席6と、キャビン5の内部に供給される空調空気を生成するエアコン本体29と、を備え、キャビン5の背面5b側に、エアコン本体29に導入される外気を取り入れる外気導入口34が設けられている。
この構成によれば、キャビン5の側面側に比べて広いスペースを確保できるキャビン5の背面側に外気導入口34が設けられる。そのため、外気導入口34から取り入れられる空気中の異物を除去するためのフィルタを大型化することができる。これにより、フィルタとして、高性能(例えば、EN規格のCategory2、OSHA規格のMARV-16等)のフィルタ(第1フィルタ71)を配置することが可能となる。また、第1フィルタ71に加えて別のフィルタ(第2フィルタ72や網体86等)を配置することも可能となる。さらに、フィルタを大型化することができるため、当該フィルタを通過させる外気の導入量を増加させることができる。
【0117】
また、エアコン本体29は、運転席6の後方に配置されている。
この構成によれば、外気導入口34から導入された外気をエアコン本体29に導くダクト(ダクト構造体50)を短くすることができる。これにより、外気導入口34から導入された外気を短い距離でエアコン本体29に供給することができる。そのため、キャビン5の室内において、外気導入口34から導入された外気をエアコン本体29に導くダクトの設置スペースを小さくすることができる。また、ダクトを短縮できるため、外気導入口34から確実に外気を吸い込むことができる。
【0118】
また、キャビン5の背面5bには、当該背面5bから後方に突出する後部カバー77が装着されており、外気導入口34は後部カバー77に設けられている。
この構成によれば、後部カバー77によって運転席6の後方にエアコン本体29等を設置可能な空間を広く確保することができる。そのため、キャビン5自体を大型化せずとも、運転席6の後方にエアコン本体29等を設置可能な空間を確保することができる。
【0119】
また、後部カバー77は、開閉可能な蓋体81を有しており、外気導入口34は蓋体81に設けられている。
この構成によれば、蓋体81を開放することによって、外気導入口34から導入された外気が通過するフィルタの交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、作業機1は、外気導入口34から取り入れられた外気に含まれる異物を除去する第1フィルタ71と、第1フィルタ71を通過した外気をエアコン本体29に向けて導く外気ダクト66と、を備え、第1フィルタ71は外気ダクト66に取り付けられている。
【0120】
この構成によれば、外気導入口34から取り入れられた外気が外気ダクト66を通ってエアコン本体29に導かれるときに、当該外気に含まれる異物を第1フィルタ71により確実に除去することができる。
また、作業機1は、第1フィルタ71よりも目が粗く、外気導入口34と第1フィルタ71との間に配置される第2フィルタ72と、第2フィルタ72と第1フィルタ71とを外気ダクト66に固定する枠体73と、を備えている。
【0121】
この構成によれば、外気導入口34から取り入れられた外気を第2フィルタ72に通過させた後、第1フィルタ71に供給することができるため、第1フィルタ71の目詰まりが生じにくくなり、第1フィルタ71の寿命を延ばすことができる。また、枠体73を取り外すことにより第1フィルタ71と第2フィルタ72の固定が解除されるため、第1フィルタ71及び第2フィルタ72の交換作業を容易に行うことができる。
【0122】
また、作業機1は、外気導入口34と第2フィルタ72との間に配置される虫採り用の網体86を備えている。
この構成によれば、外気導入口34から侵入した虫等を網体86により捕捉することができる。そのため、外気導入口34から侵入した虫等によって第2フィルタ72が目詰まりすることを防止でき、第2フィルタ72の寿命を延ばすことができる。
【0123】
また、蓋体81の前部には、網体86を取り出し可能に収容するケース85が取り付けられている。
この構成によれば、網体86を容易に装着することができるとともに、網体86をケース85から取り出して捕捉された虫等を除去することができる。これにより、網体86の目詰まりを防ぐことができる。
【0124】
また、ケース85は、網体86の前方において外気導入口34に面して配置される前板85aを有し、前板85aは、外気導入口34から取り入れられた外気の通過を許容する開口部85cを有し、開口部85cは、外気導入口34よりも高い位置に設けられている。
この構成によれば、作業機1を水洗いしたときに、外気導入口34から浸入した洗浄水が開口部85cに入ることを防止することができる。
【0125】
また、ケース85は、前板85aから外気導入口34側に向けて突出して網体86の前面に当接する突出部85gを有し、突出部85gは、上方から下方に向けて突出長さが長くなっている。
この構成によれば、ケース85を蓋体81の前部に取り付けたとき、突出部85gによって網体86を蓋体81に向けて押さえ付けることができる。これにより、網体86を外気導入口34に当接又は近接して配置することができる。また、突出部85gの突出長さが上方から下方に向けて長くなっているため、突出部85gの少なくとも下部を網体86に確実に当接させることができる。また、突出部85gの突出長さが上方において短いため、網体86を上方からケース85内に収容する作業を容易に行うことができる。
【0126】
また、作業機1は、機体2と、機体2に搭載されたキャビン5と、キャビン5の内部に配置された運転席6と、キャビン5の内部に供給される空調空気を生成するエアコン本体29と、エアコン本体29から供給される空調空気を導くダクト構造体50と、を備え、エアコン本体29は、冷風と温風とを混合して冷房用又は暖房用の空調空気を生成し、ダクト構造体50は、冷房用の空調空気を流通させる第1ダクト53と、暖房用の空調空気を流通させる第2ダクト54と、第1ダクト53及び第2ダクト54に接続され、エアコン本体29から供給される空調空気を第1ダクト53に流通させる第1状態と第2ダクト54に流通させる第2状態とを切り替え可能な切り替え部52dを有する切り替えボックス52と、エアコン本体29と切り替えボックス52とを接続し、エアコン本体29により生成された空調空気を切り替えボックス52に導く中継ダクト51と、を有している。
【0127】
この構成によれば、エアコン本体29により生成された空調空気が冷風と温風とが十分に混合していない状態で取り出された場合に、中継ダクト51において冷風と温風とを十分に混合してから切り替えボックス52に導くことができる。そのため、冷風と温風とが十分に混合した状態で切り替えボックス52の切り替えを行うことができる。これにより、冷気と暖気とが十分に混合した適温の冷房用又は暖房用の空調空気を切り替えボックス52から第1ダクト53又は第2ダクト54に導くことができる。
【0128】
また、エアコン本体29は、運転席6の後方に配置されており、ダクト構造体50は、運転席6の側方を通って、運転席6よりも後方から運転席6よりも前方にわたって延びている。
この構成によれば、エアコン本体29が運転席6の後方に配置されているため、エアコン本体29から切り替えボックス52までの長さを長くすることができる。そのため、中継ダクト51において冷風と温風とを十分に混合してから切り替えボックス52に導くことができる。また、エアコン本体29やダクト構造体50を運転席6の下方に配置した場合と比べて、運転席6に座ったオペレータの足元付近の空間を広く確保することができる。
【0129】
また、作業機1は、運転席6の側方に配置された操縦装置(右操縦装置21)を備え、第1ダクト53は、操縦装置(右操縦装置21)が配置された側のキャビン5の内壁面5aと操縦装置(右操縦装置21)との間を通って配置されている。
この構成によれば、第1ダクト53を運転席6に座ったオペレータの側方近くを前後方向に通して配置することができる。そのため、運転席6に座ったオペレータの近く(例えば、オペレータの顔の近く)において第1ダクト53から冷房用の空調空気を吹き出させることが可能となる。
【0130】
また、第1ダクト53は第1吹き出し口53dを有し、第1吹き出し口53dは、運転席6の側方且つ操縦装置(右操縦装置21)よりも上方において開口する前吹き出し口53d1を含む。
この構成によれば、運転席6に座ったオペレータの顔の近くにおいて前吹き出し口53d1から冷房用の空調空気を吹き出させることができる。そのため、オペレータに強い清涼感を与えることができる。また、従来、第1吹き出し口53dを運転席6の前方にある表示装置33の近傍に設けていたため、表示装置33を大型化することが困難であったが、第1吹き出し口53dが表示装置33から離れた位置に配置されることによって、表示装置33を大型化することが可能となる。
【0131】
また、第1吹き出し口53dは、運転席6よりも後方において開口する後吹き出し口53d2を含む。
この構成によれば、運転席6に座ったオペレータの後頭部の近くにおいて後吹き出し口53d2から冷房用の空調空気を吹き出させることができる。そのため、オペレータに強い清涼感を与えることができる。
【0132】
また、切り替えボックス52は、運転席6の側方に配置されている。
この構成によれば、冷風と温風とが十分に混合した状態にある切り替えボックス52内部の適温の空調空気を、運転席6の近傍にて吹き出させることが可能となる。また、運転席6の後方にエアコン本体29を配置した場合、エアコン本体29から切り替えボックス52までの長さを長くすることができる。そのため、中継ダクト51において冷風と温風とを十分に混合してから切り替えボックス52に導くことができる。
【0133】
また、ダクト構造体50は、操縦装置(右操縦装置21)の下方を通って前後方向に延びている。
この構成によれば、運転席6に座ったオペレータの妨げにならない位置においてダクト構造体50を前後方向に長く延ばすことができる。
また、第1ダクト53は、機体幅方向の長さが前後方向の長さよりも短い扁平部位(第3部位53c)を有し、扁平部位は、操縦装置(右操縦装置21)とキャビン5の内壁面5aとの間に配置されている。
【0134】
この構成によれば、第1ダクト53の扁平部位(第3部位53c)を運転席6に座ったオペレータの近傍に配置することができる。そのため、運転席6に座ったオペレータの顔の近傍において冷房用の空調空気(空調冷気)を吹き出させることができる。また、オペレータの顔の近傍において空調冷気を吹き出すことによって、オペレータの顔付近に当たる空調冷気の風速を増加させることができる。
【0135】
また、扁平部位(第3部位53c)は、前部に前吹き出し口53d1を有し、後部に後吹き出し口53d2を有している。
この構成によれば、運転席6に座ったオペレータの顔の近くにおいて前吹き出し口53d1から冷房用の空調空気を吹き出させることができ、オペレータの後頭部の近傍において後吹き出し口53d2から冷房用の空調空気を吹き出させることができる。
【0136】
また、第1ダクト53は、切り替えボックス52と当該第1ダクト53の前方に配置された第3ダクト55とを接続する本体部位(第1部位53a)と、本体部位からキャビン5の内壁面5aに沿って上方に立ち上がった扁平部位(第3部位53c)とを備え、扁平部位の機体幅方向の長さは、本体部位の機体幅方向の長さよりも短い。
この構成によれば、1つのダクト(第1ダクト53)によって、切り替えボックス52から第3ダクト55に空調空気を導くことができるとともに、キャビン5の内壁面5aに沿って空調空気を上方に導くこともできる。
【0137】
また、中継ダクト51は、エアコン本体29側から切り替えボックス52側に向かうにつれて流路断面積が拡大した流路拡大部51fを備えている。
この構成によれば、中継ダクト51を流通する空気の流速がエアコン本体29側から切り替えボックス52側に向かうにつれて低下するため、中継ダクト51内において冷風と温風とを確実に混合させることができる。
【0138】
また、作業機1は、機体2と、機体2に搭載されたキャビン5と、キャビン5の内部に供給される空調空気を生成するエアコン本体29と、エアコン本体29から供給される空調空気を導くダクト構造体50と、を備え、ダクト構造体50は、互いに接続される一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとを含み、一方のダクト50Aは、他方のダクト50Bに差し込まれて接続される第1接続部96を有し、他方のダクト50Bは、一方のダクト50Aが差し込まれて接続される第2接続部97を有し、第1接続部96は、差し込み方向と直交する第1端面96aを有し、第2接続部97は、第1端面96aと対向する第2端面97aを有し、第1端面96aと第2端面97aとの間にクッション材99が介装されている。
【0139】
この構成によれば、差し込み方向と直交する第1端面96aと、第1端面96aと対向する第2端面97aとの間にクッション材99が介装されているため、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bを着脱したときにクッション材99にダクトが擦れることがない。そのため、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bを着脱したときにクッション材99が剥がれることを防止できる。
【0140】
また、第1端面96aは、一方のダクト50Aの外周面から内方に延出された環状の面であり、第2端面97aは、他方のダクト50Bの外周面から内方に延出された環状の面であり、クッション材99は、第1端面96a及び第2端面97aに当接する環状の部材である。
この構成によれば、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bの接続部の全周に亘ってクッション材99を第1端面96aと第2端面97aとの間に介在させることができるため、接続部のシール性に優れる。
【0141】
また、第2接続部97は、第2端面97aの内方端部97cから第1端面96a側と反対側に向けて折り返された折り返し部97dを有している。
この構成によれば、他方のダクト50Bの第2接続部97が折り返し部97dを有することにより、他方のダクト50Bをブロー成形により製造した場合に、第2接続部97の内周面(折り返し部97dの内面97e)を高い寸法精度で製造することができる。そのため、高い寸法精度を有する第2接続部97を有する他方のダクト50Bを安価に製造することができる。また、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとの接続部の密着性が向上する。
【0142】
また、第1接続部96は、第1端面96aの内方端部96bから他方のダクト50Bに向けて延びる筒状部96cを有し、筒状部96cの外面には、折り返し部97dが係止される突起96eが形成されている。
この構成によれば、折り返し部97dが突起96eに形成されることによって、一方のダクト50Aから他方のダクト50Bが脱落しにくくなる。
【0143】
また、折り返し部97dは、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとを接続したときに筒状部96cの外面に当接する。
この構成によれば、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとを接続したときに、一方のダクト50Aから他方のダクト50Bがより脱落しにくくなる。
また、クッション材99は、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとを接続したときに第1端面96aと第2端面97aと筒状部96cの外面とに当接する。
【0144】
この構成によれば、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとを接続したときに、一方のダクト50Aと他方のダクト50Bとの接続部のシール性を向上させることができる。
また、クッション材99は、第1端面96a又は第2端面97aに接着されている。
この構成によれば、クッション材99が脱落することをより確実に防止することができる。
【0145】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0146】
1 作業機
2 機体
5 キャビン
5a キャビンの内壁面
6 運転席
21 操縦装置(右操縦装置)
29 エアコン本体
50 ダクト構造体
52d 切り替え部
52 切り替えボックス
51 中継ダクト
51f 流路拡大部
53 第1ダクト
53a 本体部位(第1部位)
53c 扁平部位(第3部位)
53d 第1吹き出し口
53d1 前吹き出し口
53d2 後吹き出し口
54 第2ダクト