(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055583
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子
(51)【国際特許分類】
B01J 23/72 20060101AFI20240411BHJP
B01J 23/89 20060101ALI20240411BHJP
B01J 23/88 20060101ALI20240411BHJP
B01J 35/45 20240101ALI20240411BHJP
C01B 32/40 20170101ALI20240411BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20240411BHJP
C25B 3/03 20210101ALI20240411BHJP
C25B 3/26 20210101ALI20240411BHJP
C25B 3/07 20210101ALI20240411BHJP
C25B 11/081 20210101ALI20240411BHJP
C25B 11/089 20210101ALI20240411BHJP
C07C 9/04 20060101ALI20240411BHJP
C07C 9/06 20060101ALI20240411BHJP
C07C 1/02 20060101ALI20240411BHJP
C07C 31/08 20060101ALI20240411BHJP
C07C 31/10 20060101ALI20240411BHJP
C07C 29/159 20060101ALI20240411BHJP
C07C 53/02 20060101ALI20240411BHJP
C07C 53/08 20060101ALI20240411BHJP
C07C 51/00 20060101ALI20240411BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
B01J23/72 Z
B01J23/89 M
B01J23/88 Z
B01J23/72 M
B01J35/02 H
C01B32/40
C25B1/23
C25B3/03
C25B3/26
C25B3/07
C25B11/081
C25B11/089
C07C9/04
C07C9/06
C07C1/02
C07C31/08
C07C31/10
C07C29/159
C07C53/02
C07C53/08
C07C51/00
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162637
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100186912
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 淳浩
(72)【発明者】
【氏名】由井 悠基
(72)【発明者】
【氏名】平田 裕人
(72)【発明者】
【氏名】井部 将也
(72)【発明者】
【氏名】鳥本 司
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼田 恵
【テーマコード(参考)】
4G146
4G169
4H006
4H039
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4G146JA01
4G146JB04
4G146JC22
4G146JC23
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4G169BA08B
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4G169BB02B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC59A
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4G169DA06
4G169EA02X
4G169EA02Y
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4H006FE11
4H039CA11
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4H039CA60
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4H039CB20
4H039CB40
4K011AA68
4K011DA11
4K021AB25
4K021AC03
4K021AC05
4K021AC09
4K021BA02
4K021BA17
(57)【要約】
【課題】従来よりも効率良く二酸化炭素を還元することができる、二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子を提供する。
【解決手段】本開示の二酸化炭素の還元方法は、イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子を使用することによって、従来よりも効率良く二酸化炭素を還元することができる。また、本開示の二酸化炭素還元用触媒粒子は、60~90原子%の銅及び10~40原子%のモリブデンを含有する、イオン液体中にスパッタリング蒸着した粒子である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子を使用して、二酸化炭素を還元する方法。
【請求項2】
前記銅含有触媒粒子が、95原子%以上の銅を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法を含む、二つ以上の炭素を有する化合物を生成する方法。
【請求項4】
前記銅含有触媒粒子が、20~60原子%の銅及び40~80原子%の金を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法を含む、一酸化炭素を生成する方法。
【請求項6】
前記銅含有触媒粒子が、60~90原子%の銅及び10~40原子%のモリブデンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法を含む、メタンを生成する方法。
【請求項8】
60~90原子%の銅及び10~40原子%のモリブデンを含有する、イオン液体中にスパッタリング蒸着した二酸化炭素還元用触媒粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の還元技術が注目されている。二酸化炭素の還元技術としては、生物学的、化学的に二酸化炭素を還元する方法がある。生物学的に二酸化炭素を還元する方法としては、植林等によって二酸化炭素を吸収する方法、あるいは、微生物による生化学的還元固定方法等が挙げられる。化学的に二酸化炭素を還元する方法としては、触媒を用いて水素で還元する方法、あるいは、光触媒を用いる方法等が挙げられる。
【0003】
植林等による方法では、二酸化炭素の還元に多くの時間を要する。微生物による生化学的還元固定方法では、微生物が生成した炭化水素を精製するのに多大なエネルギーを要する。触媒を用いて水素で二酸化炭素を還元する方法では、化石燃料から水素を合成する際に二酸化炭素が発生する。光触媒は、二酸化炭素の還元効率が低い。
【0004】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1には、平均径が50nm~5μmの粒状体、棒状体、又は薄片状体である、銅又は銅合金よりなる二酸化炭素還元用触媒が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、二酸化炭素還元用ではないが、排ガス浄化用触媒粒子が開示されており、そのような触媒粒子が、ターゲット材をスパッタリングして、イオン液体中で蒸着することによって製造されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-55868号公報
【特許文献2】特開2014-158992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された二酸化炭素還元用触媒においても、二酸化炭素の還元効率は充分ではなく、改善の余地があった。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。本開示は、従来よりも効率良く二酸化炭素を還元することができる、二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子を完成させた。本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子は、次の態様を含む。
〈態様1〉イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子を使用して、二酸化炭素を還元する方法。
〈態様2〉前記銅含有触媒粒子が、95原子%以上の銅を含有する、〈態様1〉に記載の方法。
〈態様3〉〈態様2〉に記載の方法を含む、二つ以上の炭素を有する化合物を生成する方法。
〈態様4〉前記銅含有触媒粒子が、20~60原子%の銅及び40~80原子%の金を含有する、〈態様1〉に記載の方法。
〈態様5〉〈態様4〉に記載の方法を含む、一酸化炭素を生成する方法。
〈態様6〉前記銅含有触媒粒子が、60~90原子%の銅及び10~40原子%のモリブデンを含有する、〈態様1〉に記載の方法。
〈態様7〉〈態様6〉に記載の方法を含む、メタンを生成する方法。
〈態様8〉60~90原子%の銅及び10~40原子%のモリブデンを含有する、イオン液体中にスパッタリング蒸着した二酸化炭素還元用触媒粒子。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子を用いることによって、従来よりも効率良く二酸化炭素を還元することができる、二酸化炭素の還元方法を提供することができる。また、本開示によれば、上述の銅含有触媒粒子が、所定割合のモリブデンを含有することによって、従来よりも効率よく二酸化炭素を還元することができる、二酸化炭素還元用触媒粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、電気化学的還元装置の一例について、その概要を模式的に示す説明図である。
【
図2】
図2は、銅-金触媒粒子の組成と一酸化炭素生成のファラデー効率との関係を示すグラフである。
【
図3】
図3は、銅-モリブデン触媒粒子の組成とメタン生成のファラデー効率との関係を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施例1-1の銅触媒粒子のTEM像である。
【
図5】
図5は、実施例1-1の銅触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図6】
図6は、実施例2-1の銅-金触媒粒子のTEM像である。
【
図7】
図7は、実施例2-1の銅-金触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施例2-2の銅-金触媒粒子のTEM像である。
【
図9】
図9は、実施例2-2の銅-金触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
【
図10】
図10は、比較例2-1の銅-金触媒粒子のTEM像である。
【
図11】
図11は、比較例2-1の銅-金触媒粒子について、粒度分布を示すグラフである。
【
図12】
図12は、比較例2-2の銅-金触媒粒子のTEM像である。
【
図13】
図13は、比較例2-2の銅-金触媒粒子について、粒度分布を示すグラフである。
【
図14】
図14は、比較例2-3の銅-金触媒粒子のTEM像である。
【
図15】
図15は、比較例2-3の銅-金触媒粒子について、粒度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子の実施形態を説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子を限定するものではない。
【0013】
理論に拘束されないが、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子が、従来よりも効率良く二酸化炭素を還元できる理由について、本開示者が得た知見について説明する。
【0014】
二酸化炭素の還元を促進する触媒物質においては、結晶格子欠陥が存在する部位の触媒活性が高いことは周知である。本開示の二酸化炭素の還元方法で使用する触媒粒子は、イオン液体中にスパッタリング蒸着して得られる。このことから、触媒粒子の表面には、多くの結晶格子欠陥が存在しており、それにより、二酸化炭素の還元効率が向上すると考えられる。また、二酸化炭素の還元反応時、その反応中間生成物には、一酸化炭素が吸着して、二酸化炭素の還元反応を抑制する。前述の触媒粒子が、銅含有触媒粒子であるとき、その粒子中に所定割合の金又はモリブデンを含有することによって、反応中間生成物への一酸化炭素の吸着力が過剰に高くなることを抑制すると考えられる。そのため、二酸化炭素の還元が一層促進する。
【0015】
これまでに説明した知見等によって完成された、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子の構成要件について、以下に説明する。
【0016】
《二酸化炭素の還元方法》
本開示の二酸化炭素の還元方法は、イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子を使用して、二酸化炭素を還元する。先ず、銅含有触媒粒子について説明する。
【0017】
〈銅含有触媒粒子〉
本開示の二酸化炭素の還元方法は、イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子を使用する。イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子は、上述したように、触媒粒子の表面に、多くの結晶格子欠陥が導入されている。これにより、二酸化炭素の還元効率が向上する。
【0018】
「イオン液体中にスパッタリング蒸着する」とは、ターゲット材にアルゴンイオン等を衝突させてスパッタリングし、そのスパッタリングで得られた気体状の物質を、イオン液体中で蒸着(堆積)させることを意味する。イオン液体中にスパッタリング蒸着する方法は、周知の方法を採用することができ、典型的には、特許文献2に開示された方法が挙げられる。その方法について、概説する。
【0019】
先ず、ターゲット材をスパッタリング装置内の陰極上に設置する。そして、イオン液体を載せたガラス基板等を陽極上に配置する。次いで、スパッタリング装置のチャンバー内を希ガスや窒素等の不活性ガス、例えばアルゴンガスを含有する減圧雰囲気にした状態で陰極に高電圧を印加する。すると、陰極と陽極の間にグロー放電が発生し、そのグロー放電によって生じたアルゴンイオン等がターゲット材に衝突する。この衝突によってターゲット材中の原子がはじき飛ばされ、これらの原子がイオン液体中に堆積して触媒粒子が形成される。
【0020】
イオン液体としては、周知の材料を採用することができ、例えば、脂肪族系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0021】
脂肪族系イオン液体としては、例えば、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。本開示の二酸化炭素の還元方法に使用する銅含有触媒粒子を得るには、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドを採用することが好ましい。
【0022】
イミダゾリウム系イオン液体としては、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムクロライド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(L)-乳酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(L)-乳酸塩、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-オクタデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロライド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロライド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロライド、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトラフルオロホウ酸塩、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0023】
ピリジニウム系イオン液体としては、例えば、1-エチルピリジニウムブロマイド、1-エチルピリジニウムクロライド、1-ブチルピリジニウムブロマイド、1-ブチルピリジニウムクロライド、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1-ヘキシルピリジニウムブロマイド、1-ヘキシルピリジニウムクロライド、1-ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1-ヘキシルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0024】
ターゲット材としては、銅を含有するターゲット材の他に、銅及び金を含有するターゲット材、あるいは、銅及びモリブデンを含有するターゲット材を用いることができる。これらのスパッタリング材は、スパッタリング操作及びスパッタリングの成果物等に支障がない範囲で、不可避的不純物の含有を許容することができる。
【0025】
上述のターゲット材は、所望の銅含有触媒粒子が得られれば、特に制限はない。これらのターゲット材としては、例えば、板材、焼結体、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。銅及び金を含有するターゲット材の場合には、銅を含有する粉末と金を含有する粉末との混合粉末を焼結したターゲット材でもよいし、銅を含有する部分と金を含有する部分とを交互に放射状に配列したターゲット材でもよい。銅を含有する部分は板材でもよいし、焼結体でもよい。金を含有する部分は、板材でもいし、焼結体でもよい。銅及びモリブデンを含有するターゲット材の場合には、銅を含有する粉末とモリブデンを含有する粉末との混合粉末を焼結したターゲット材でもよいし、銅を含有する部分とモリブデンを含有する部分とを交互に放射状に配列したターゲット材でもよい。銅を含有する部分は、板材でもよいし、焼結体でもよい。モリブデンを含有する部分は、板材でもよいし、焼結体でもよい。
【0026】
銅及び金を含有するターゲット材は、銅を含有するターゲットに金板を貼り付けることにより得られ、貼り付ける金板の面積を変えることで、銅含有触媒粒子中の金の含有割合を調整する。ターゲット材全体に対する金板の面積は、銅と金とでスパッタリングされ易さが異なることを考慮して適宜決定することができる。ターゲット材全体に対して、金板の面積の割合は、0.20以上、0.25以上、又は0.30以上であってよく、0.45以下、0.42以下、0.40以下、又は0.35以下であってよい。
【0027】
銅及びモリブデンを含有するターゲット材は、銅を含有するターゲットにモリブデン板を貼り付けることにより得られ、貼り付けるモリブデン板の面積を変えることで、銅含有触媒粒子中のモリブデンの含有割合を調整する。ターゲット材全体に対するモリブデン板の面積は、銅とモリブデンとでスパッタリングされ易さが異なることを考慮して適宜決定することができる。ターゲット材全体に対して、モリブデン板の面積の割合は、0.30以上、0.33以上、又は0.35以上であってよく、0.55以下、0.50以下、0.45以下、又は0.40以下であってよい。
【0028】
次に、イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子について説明する。以下、特に断りのない限り、イオン液体中にスパッタリング蒸着した銅含有触媒粒子を、単に「銅含有触媒粒子」ということがある。
【0029】
〈銅含有触媒粒子〉
銅含有触媒粒子は、所謂ナノ粒子である。銅含有触媒粒子の粒径は、0.1nm以上、1nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、又は9nm以上であってよく、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、又は10nm以下であってよい。銅含有触媒粒子の粒径は、銅含有触媒粒子をTEM観察することによって測定する。銅含有触媒粒子は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成していることも多く、前述した銅含有触媒粒子の粒径は、一次粒子の粒径である。
【0030】
銅含有触媒粒子は、銅を基本とする。銅含有触媒粒子中の銅は、その大半が金属銅として存在しているが、酸化銅として存在していてもよい。これは、イオン液体中にスパッタリングする際、雰囲気中に存在する僅かな酸素ガス(O2)、あるいは、イオン液体中の僅かな酸素(O)によって、酸化銅が僅かに生成されるためである。
【0031】
銅含有触媒粒子は、銅の他に、意図して所定割合の金、あるいは、所定割合のモリブデンを含有してもよい。以下、特に断りのない限り、意図して所定割合の金及び所定割合のモリブデンを含有しない場合を「銅触媒粒子」ということがある。意図して所定割合の金を含有する場合を「銅-金触媒粒子」ということがある。そして、意図して所定割合のモリブデンを含有する場合を「銅-モリブデン触媒粒子」ということがある。これらそれぞれについて説明する。
【0032】
〈銅触媒粒子〉
銅触媒粒子は、不可避的不純物の含有を許容し、銅触媒粒子は、95原子%以上、96原子%以上、37原子%以上、98原子%以上、又は99原子%以上の銅を含有し、全てが銅であってもよい。銅は、その大半が金属銅として存在しているが、上述した理由により、酸化銅として存在していてもよい。銅触媒粒子中の銅の含有割合は、銅触媒粒子をXRD分析することによって測定する。
【0033】
銅触媒粒子を使用して、二酸化炭素を還元すると、一つの炭素を有する化合物を生成することができるだけでなく、二つの炭素を有する化合物を効率良く生成することができる。一つの炭素を有する化合物としては、例えば、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、及びギ酸(HCOOH)等が挙げられる。二つの炭素を有する化合物としては、例えば、アセチレン(C2H4)、エタノール(C2H5OH)、プロパノール(C3H7OH)、及び酢酸(CH3COOH)等が挙げられる。
【0034】
〈銅-金触媒粒子〉
銅-金触媒粒子は、20~60原子%の銅及び40~80原子%の金を含有する。銅-金触媒粒子は、不可避的不純物の含有を許容する。このことから、一態様では、銅-金触媒粒子は、40~80原子%の金及び不可避的不純物を含有し、残部が銅であってよい。銅の含有割合は、22原子%以上、24原子%以上、26原子%以上、28原子%以上、30原子%以上、又は32原子%以上であってもよく、58原子%以下、56原子%以下、54原子%以下、又は52原子%以下であってもよい。金の含有割合は、42原子%以上、44原子%以上、46原子%以上、又は48原子%以上であってもよく、78原子%以下、76原子%以下、74原子%以下、72原子%以下、70原子%以下、又は68原子%以下であってもよい。銅-金触媒粒子中で、銅及び金は、その大半が銅と金の合金として存在しているが、金属銅及び金属金として存在していてもよい。また、上述した理由により、酸化銅、金の酸化物、銅と金の複合酸化物、あるいは、それらの組み合わせとして存在していてもよい。銅-金触媒粒子中の銅及び金の含有割合は、銅-金触媒粒子をXRD分析することによって測定する。
【0035】
銅含有触媒粒子中に、上述した割合の金を含有することによって、反応中間生成物への一酸化炭素の吸着力が過剰に高くなることを抑制して、二酸化炭素の還元が促進する。そして、一酸化炭素を特に効率良く生成することができる。
【0036】
〈銅-モリブデン触媒粒子〉
銅-モリブデン触媒粒子は、60~90原子%の銅及び10~40原子%のモリブデンを含有する。銅-モリブデン触媒粒子は、不可避的不純物の含有を許容する。一態様では、銅-モリブデン触媒粒子は、10~40原子%のモリブデン及び不可避的不純物を含有し、残部が銅であってよい。銅の含有割合は、62原子%以上、64原子%以上、66原子%以上、又は68原子%以上であってもよく、88原子%以下、86原子%以下、又は84原子%以下であってもよい。モリブデンの含有割合は、12原子%以上、14原子%以上、又は16原子%以上であってもよく、38原子%以下、36原子%以下、34原子%以下、又は32原子%以下であってもよい。銅-モルブデン触媒粒子中で、銅及びモリブデンは、その大半が銅とモリブデンの合金として存在しているが、金属銅及び金属モリブデンとして存在していてもよい。また、上述した理由により、酸化銅、モリブデンの酸化物、銅とモリブデンの複合酸化物、あるいは、それらの組み合わせとして存在していてもよい。銅-モリブデン触媒粒子中の銅及びモリブデンの含有割合は、銅-モリブデン触媒粒子をXRD分析することによって測定する。
【0037】
銅含有触媒粒子中に、上述した割合のモリブデンを含有することによって、反応中間生成物への一酸化炭素の吸着力が過剰に高くなることを抑制して、二酸化炭素の還元が促進する。そして、メタンを特に効率良く生成することができる。これは、一酸化炭素の吸着力が過剰に高くなることが抑制されたことにより、*COH→*OCH3→*O+CH4の反応が促進するためであると考えられる。
【0038】
〈電気化学的還元装置〉
これまで説明してきた銅含有触媒粒子を二酸化炭素に接触させて、二酸化炭素を還元する。その際に用いる装置は、典型的には、
図1に示す装置を用いるが、これに限られない。
図1は、電気化学的還元装置の一例について、その概要を模式的に示す説明図である。以下、この電気化学的還元装置について説明する。
【0039】
電気化学的還元装置100は、アノード室10、カソード室20、及びガス室30を備えている。アノード室10とカソード室20は、セパレータ50を介して連結されている。カソード室20とガス室30は、作用極60を介して連結されている。
【0040】
アノード室10の内部とカソード室20の内部は、電解液70で満たされている。アノード室10には、対極80が、その一部を電解液70に浸漬するように設置されている。カソード室20には、参照極90が、その一部を電解液70に浸漬するように設置されている。参照極90によって、作用極60に、所望の電位を正確に印加することができる。
【0041】
ガス室30には、導入管40及び排出管42が設置されている。二酸化炭素ガスを導入管40からガス室30の内部に導入する。ガス室30の内部に導入した二酸化炭素ガスは、作用極60と接触し、作用極60が電極触媒として機能して、二酸化炭素の還元を促進する。そして、二酸化炭素の還元によって得られた生成物を、排出管42から排出する。
【0042】
図1に示した装置で二酸化炭素を還元する場合、銅含有触媒粒子を、作用極60として設置する。以下、作用極60、対極80、参照極90、セパレータ50、及び電解液70について説明する。
【0043】
作用極60としては、電解液70が通過せず、かつ二酸化炭素及び還元生成物が通過する担体に、銅含有触媒粒子を担持して使用する。作用極60に使用する担体としては、例えば、カーボンペーパー、金属多孔体、酸化物多孔体、及び半導体多孔体等が挙げられる。それらを組み合わせてもよい。このような担体に、銅含有触媒粒子が分散しているイオン液体を滴下し、それを乾燥させた後、有機溶剤で洗浄してイオン液体を除去し、再度乾燥させて、作用極を得る。
【0044】
銅含有触媒粒子の担持量は、二酸化炭素の還元条件等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、0.01mg/cm2以上、0.05mg/cm2以上、又は0.1mg/cm2以上であってよく、1mg/cm2以下、0.7mg/cm2以下、0.5mg/cm2以下、又は0.3mg/cm2以下であってよい。
【0045】
対極80は、二酸化炭素の還元が効率よく信仰することを妨げなければ、特に制限はないが、典型的には、白金メッシュが用いられる。
【0046】
参照極90は、作用極60の電位を正確に測定できればよく、参照極90が含有する材料としては、例えば、Hg/Hg2Cl2、Ag/AgCl、及び/又は可逆水素等が挙げられ、Ag/AgClが特にこのましい。
【0047】
セパレータ50としては、周知の材料を用いることができ、セパレータ50が含有する材料としては、例えば、ナフィオン、ガラスフィルター、セレミオン、及び/又はジルフォン等が挙げられ、ナフィオンが特に好ましい。セパレータ50としては、典型的には、ナフィオンメンブレンが挙げられる。
【0048】
電解液70は、周知の電解液を用いることができ、例えば、KHCO3、HClO4、H2SO4、HCl、及び/又はHNO3等が挙げられ、KHCO3が好ましい。
【0049】
〈二酸化炭素の還元条件〉
二酸化炭素の還元条件は、作用極60、対極80、参照極90、セパレータ50、及び電解液70の組み合わせ等により、適宜決定すればよい。作用極60の電位は、例えば、0V vs. RHE~-3.5V vs. RHEの範囲であってよい。電流密度は、例えば、作用極に対して、3mA/cm2以上、10mA/cm2以上、又は15mA/cm2以上であってよく、100mA/cm2以下、50mA/cm2以下、30mA/cm2以下、又は20mA/cm2以下であってよい。二酸化炭素ガスの供給量は、例えば、5cm3/分以上、10cm3/分以上、又は50cm3/分以上であってよく、200cm3/分以下、150cm3/分以下、又は100cm3/分以下であってよい。
【実施例0050】
以下、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子は、以下の実施例で用いた条件に限定されない。
【0051】
《試料の準備》
次の要領で、各試料を準備した。
【0052】
〈実施例1-1〉
イオン液体中にスパッタリング蒸着して、銅含有触媒粒子を得た。イオン液体として、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(TMPA-TFSA)を準備した。2.40cm3のイオン液体を100℃で撹拌しながら加熱し減圧乾燥した。スパッタ蒸着装置(サンユー電子株式会社製SC-701HMCII5)に銅ターゲット材を設置し、チャンバー内をアルゴンガスで置換してから圧力3.0Pa、蒸着電流20mAの条件で15分間プレスパッタリングを行った。十分に乾燥させたイオン液体をシャーレ(直径70mm)に均一に広げチャンバー内に設置し、チャンバー内をアルゴンガスで置換してから圧力3.0Pa、蒸着電流20mAの条件で180分間にわたりスパッタリングを行った。
【0053】
イオン液体中に分散している銅含有触媒粒子から作用極(電極触媒)を準備した。具体的には、銅含有触媒粒子の担持量が0.1mg/cm2になるように、銅含有触媒粒子が分散しているイオン液体をカーボンペーパー(SGL社製SIGRACET(登録商標)、36BB)に滴下した。そして、それを150℃で30分間にわたり、真空下にて熱処理を行った。その後、アセトニトリルで洗浄してイオン液体を除去し、真空下で乾燥させて、作用極を得た。
【0054】
〈比較例1-1〉
3.4mgの銅粉末(日本アトマイズ加工株式会社製HXR-Cu、粒径5μm)を3.4mg、400μlのイソプロパノール、4.4μlのナフィオン117溶液(シグマアルドリッチ社製)を混合し、超音波洗浄機を用いて分散させた。その後、20μlの分散溶液を、カーボンペーパーに滴下し、それを乾燥させて作用極を得た。
【0055】
〈実施例2-1〉
銅ターゲット材に代えて、銅-金交互配列ターゲット材を用いたこと、そして、120分間にわたりスパッタリングを行ったこと以外、実施例1-1と同様にして、実施例2-1の作用極を得た。銅-金交互配列ターゲット材に占める金の面積比率は0.42であった。
【0056】
〈実施例2-2〉
銅-金交互配列ターゲット材に占める金の面積比率が0.250であったこと以外、実施例2-1と同様にして、実施例2-2の作用極を得た。
【0057】
〈比較例2-1〉
銅-金交互配列ターゲット材に占める金の面積比率が1であったこと、そして、60分にわたりスパッタリングを行ったこと以外、実施例2-1と同様にして、比較例2-1の作用極を得た。銅-金交互配列ターゲット材に占める銅の面積比率が0であったとは、ターゲット材が実質的に銅を含有しなかったことを意味する。
【0058】
〈比較例2-2〉
銅-金交互配列ターゲット材に占める金の面積比率が0.125であったこと以外、実施例2-1と同様にして、比較例2-2の作用極を得た。
【0059】
〈比較例2-3〉
銅-金交互配列ターゲット材に占める金の面積比率が0であったこと、そして、60分にわたりスパッタリングを行ったこと以外、実施例2-1と同様にして、比較例2-3の作用極を得た。銅-金交互配列ターゲット材に占める金の面積比率が0であったとは、ターゲット材の全部が、実質的に銅であったことを意味する。
【0060】
〈実施例3-1〉
銅ターゲット材に代えて、銅-モリブデン交互配列ターゲット材を用いたこと、そして、600分間にわたりスパッタリングを行ったこと以外、実施例1-1と同様にして、実施例3-1の作用極を得た。銅-モリブデン交互配列ターゲット材に占めるモリブデンの面積比率は0.33であった。
【0061】
〈実施例3-2〉
銅-モリブデン交互配列ターゲット材に占めるモリブデンの面積比率が0.50であったこと以外、実施例3-1と同様にして、実施例3-2の作用極を得た。
【0062】
〈比較例3-1〉
銅-モリブデン交互配列ターゲット材に占めるモリブデンの面積比率が1であったこと、そして、300分間にわたりスパッタリングを行ったこと以外、実施例3-1と同様にして、比較例3-1の作用極を得た。銅-モリブデン交互配列ターゲット材に占める銅の面積比率が0であったとは、ターゲット材が、実質的にモリブデンを含有しなかったことを意味する。
【0063】
〈比較例3-2〉
銅-モリブデン交互配列ターゲット材に占めるモリブデンの面積比率が0.66であったこと以外、実施例3-1と同様にして、比較例3-2の作用極を得た。
【0064】
〈比較例3-3〉
銅-モリブデン交互配列ターゲット材に占めるモリブデンの面積比率が0であったこと以外、実施例3-1と同様にして、比較例3-1の作用極を得た。銅-モリブデン交互配列ターゲット材に占めるモリブデンの面積比率が1であったとは、ターゲット材の全部が、実質的にモリブデンであったことを意味する。
【0065】
《二酸化炭素の還元》
図1に示した電気的還元装置を用いて、二酸化炭素を還元した。対極として白金メッシュ、参照極としてAg/AgCl電極(飽和KCl)、そして、電解液として、1MのKHCO
3を用いた。このような電気的還元装置に、上述した各試料の作用極を設置して、ガスコンパートメントに30cm
3/分の二酸化炭素ガスを流した。電流密度は、作用極に対して、-200mA/cm
2の定電流であった。このような定電流を得るため、ポテンショガルバノスタット(北斗電工株式会社製HZ-7000)を用いた。還元時間(電界時間)は30分であった。
【0066】
《評価》
各試料の作用極を用いて二酸化炭素を還元したときの生成物について、ガスクロマトグラフ及びイオンクロマトグラフを用いて、定性分析及び定量分析を行った。還元生成物の選択性については、ファラデー効率で評価した。また、各試料の銅含有触媒粒子をTEM観察し、そのTEM像に基づいて、粒度分布を測定した。
【0067】
ファラデー効率(FE)は、次の(A)式で計算した。ファラデー効率は、特定の反応プロセスが、どの程度、速度的に有利であるかも示している。
FE=αnF/Q ・・・(A)
ここで、αは目的生成物の一分子の形成に必要な電子数、nは目的生成物の量、Fはファラデー定数、Qは総電荷量である。
【0068】
結果を、表1及び表2並びに
図2~
図14に示す。表1は、実施例1-1及び比較例1-1のファラデー効率を示す。表1の「合成」は二酸化炭素の供給量に対する生成割合を意味する。表2は、実施例3-1~実施例3-2及び比較例3-1~比較例3-3の組成及び粒径を示す。
図2は、実施例2-1~実施例2-2及び比較例2-1~比較例2-3について、銅-金触媒粒子の組成と一酸化炭素生成のファラデー効率との関係を示すグラフである。
図3は、実施例3-1~実施例3-2及び比較例3-1~比較例3-3について、銅-モリブデン触媒粒子の組成とメタン生成のファラデー効率との関係を示すグラフである。
図4は、実施例1-1の銅触媒粒子のTEM像である。
図5は、実施例1-1の銅触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
図6は、実施例2-1の銅-金触媒粒子のTEM像である。
図7は、実施例2-1の銅-金触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
図8は、実施例2-2の銅-金触媒粒子のTEM像である。
図9は、実施例2-2の銅-金触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
図10は、比較例2-1の銅-金触媒粒子のTEM像である。
図11は、比較例2-1の銅-金触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
図12は、比較例2-2の銅-金触媒粒子のTEM像である。
図13は、比較例2-2の銅-金触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
図14は、比較例2-3の銅-金触媒粒子のTEM像である。
図15は、比較例2-3の銅-金触媒粒子の粒度分布を示すグラフである。
【0069】
【0070】
【0071】
表1並びに
図2及び
図3から、実施例の試料では、比較例の試料よりも、ファラデー効率が良好なことを確認できた。また、表2並びに
図4~15から、実施例の試料の触媒粒子は、所謂ナノ粒子であることを確認できた。
【0072】
以上の結果から、本開示の二酸化炭素の還元方法及び二酸化炭素還元用触媒粒子の効果を確認できた。