(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055594
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】せん断装置およびせん断装置に用いる交換用の刃
(51)【国際特許分類】
B26B 13/06 20060101AFI20240411BHJP
B26B 13/04 20060101ALI20240411BHJP
B23D 29/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B26B13/06
B26B13/04
B23D29/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162657
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】522207051
【氏名又は名称】久保田 了
(74)【代理人】
【識別番号】100169188
【弁理士】
【氏名又は名称】寺岡 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】久保田 了
【テーマコード(参考)】
3C039
3C065
【Fターム(参考)】
3C039FA12
3C039FA17
3C065AA02
3C065BA06
3C065CA02
3C065FA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低コストで切断刃の寿命を伸ばすことが可能なせん断装置を提供する。
【解決手段】ニッパー1は、貫通孔10の内輪11が切断刃となっているハンドル12を有し、被切断物を貫通孔10に挿入し、貫通孔10aと対向する、挟み込み部材を、ハンドル12と挟み込むことで、被切断物のせん断を可能とする。また、せん断装置に用いる交換用の刃は、貫通孔10の内輪11が切断刃となっているハンドル12を有し、被切断物を貫通孔10に挿入し、貫通孔10aと対向する、挟み込み部材を、ハンドル12と挟み込むことで、被切断物のせん断を可能とする、せん断装置に用いる、せん断用の刃であって、せん断用の刃が、貫通孔10から取り外すことができ、交換できる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔の内輪がせん断用の刃となっているハンドルを有し、
被切断物を前記貫通孔に挿入し、
前記貫通孔と対向する、挟み込み部材を、前記ハンドルと挟み込むことで、
前記被切断物のせん断を可能とする、
せん断装置。
【請求項2】
請求項1記載のせん断装置において、
前記挟み込み部材が、
貫通孔の内輪がせん断用の刃となっている、第2のハンドルであり、
前記被切断物を、前記ハンドルと、前記第2のハンドルのいずれか一方の、前記貫通孔に挿入し、
前記ハンドルと前記第2のハンドルの貫通孔とを重ねて、挟み込むことで、
前記被切断物のせん断を可能とする、
せん断装置。
【請求項3】
貫通孔の内輪がせん断用の刃となっているハンドルを有し、
被切断物を前記貫通孔に挿入し、
前記貫通孔と対向する、挟み込み部材を、前記ハンドルと挟み込むことで、
前記被切断物のせん断を可能とする、せん断装置に用いる、前記せん断用の刃であって、
前記せん断用の刃が、前記貫通孔から取り外すことができ、交換できる、
せん断装置に用いる交換用の刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、せん断装置およびせん断装置に用いる交換用の刃に関する。
【背景技術】
【0002】
切断刃の偏摩耗を抑制して切断不良によるアークスタート不良等を防止すると共に切断刃の長寿命化を図ることのできるアーク溶接ロボットの制御装置を提供する発明が提案されている(特許文献1)。
【0003】
その発明の内容は、
図12に示すように、アーク溶接トーチから突き出した溶接ワイヤ先端部TCPをワイヤ切断装置の教示されたワイヤ切断位置に移動させ、所定の切断範囲Crを有する切断刃12によって切断するアーク溶接ロボットの制御装置において、切断回数をカウントする切断回数計測手段と、前記切断回数に応じた前記ワイヤ切断位置Cpを再算出する切断位置算出手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、システム構築のコストが高い。刃先の長寿命化のためにかけるコストとしては、大き過ぎである。
【0006】
そこで本発明の目的は、低コストで切断刃の寿命を伸ばすことが可能なせん断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のせん断装置は、貫通孔の内輪が切断刃となっているハンドルを有し、被切断物を貫通孔に挿入し、貫通孔と対向する、挟み込み部材を、ハンドルと挟み込むことで、被切断物のせん断を可能とする。
【0008】
ここで、挟み込み部材が、貫通孔の内輪がせん断用の刃となっている、第2のハンドルであり、被切断物を、ハンドルと、第2のハンドルのいずれか一方の、貫通孔に挿入し、ハンドルと第2のハンドルの貫通孔とを重ねて、挟み込むことで、被切断物のせん断を可能としても良い。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のせん断装置に用いる交換用の刃は、貫通孔の内輪がせん断用の刃となっているハンドルを有し、被切断物を貫通孔に挿入し、貫通孔と対向する、挟み込み部材を、ハンドルと挟み込むことで、被切断物のせん断を可能とする、せん断装置に用いる、せん断用の刃であって、せん断用の刃が、貫通孔から取り外すことができ、交換できる、せん断装置に用いる交換用の刃。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、低コストで切断刃の寿命を伸ばすことが可能なせん断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態のニッパーの閉じた状態の斜視図である。
【
図5】本実施の形態のニッパーの開いた状態の斜視図である。
【
図9】本実施の形態のニッパーの分解斜視図である。
【
図10】現在広く流通している挟みの斜視図であり、刃部をおおよそ、手書きの輪で囲った図である。
【
図11】現在広く流通しているニッパーの斜視図であり、刃部をおおよそ、手書きの輪で囲った図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(ニッパーの構成)
以下、本実施の形態のニッパー1の構成について、
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、および
図9に基づいて説明する。ニッパー1は、図に示すように、円形の貫通孔10の内輪11が切断刃となっているハンドル12を有している。
【0013】
ここで、ニッパー1は、ハンドル12と略同一構成の、第2のハンドル13(挟み込み部材)を有する。そして、被切断物(図示しない)を、ハンドル12と、第2のハンドル13のいずれか一方の、内輪11または内輪11aに挿入し、ハンドル12と第2のハンドル13の貫通孔10aとを重ねて、対向し合わせて、擦り合わせることで、被切断物のせん断を可能としている。
【0014】
ハンドル12と第2のハンドル13は、その各々の中央部にネジ穴14,14aを有し、その2つのネジ穴14,14aにネジ15を挿入している。そのネジ15を回転軸として、ハンドル12と第2のハンドル13が回転可能となる。つまり、
図5、
図6、
図7、
図8に示す、ニッパー1を開いた状態から、
図1、
図2、
図3、
図4に示すニッパー1を閉じた状態にするのも、この回転によって実現される。
【0015】
貫通孔10,10aの内輪11,11aの2つのせん断用の刃は、上述の回転の動作によって、貫通孔10または貫通孔10aのいずれかに挿入したワイヤー等の被切断物を挟み込む。この挟み込みによって、ワイヤー等の被切断物を、2枚の刃で挟むようにして切る。つまり、
図5、
図6、
図7、
図8に示す、ニッパー1を開いた状態から、
図1、
図2、
図3、
図4に示すニッパー1を閉じた状態にすることによって、この挟み込み、切る操作が実現される。
【0016】
図9に示すように、貫通孔10の内輪11は、ハンドル12から、円筒状のブロック体として、取り外すことができる。また、貫通孔10aの内輪11aは、第2のハンドル13から、円筒状のブロック体として、取り外すことができる。貫通孔10の内輪11は、内輪固定穴16に嵌合わせることができる。また、貫通孔10aの内輪11aは、内輪固定穴16aに嵌合わせることができる。
【0017】
貫通孔10の内輪11は、ネジ穴17にネジ18を挿入してネジ力によって、内輪固定穴16に固定する。貫通孔10aの内輪11aは、ネジ穴17aにネジ18aを挿入してネジ力によって、内輪固定穴16にaに固定する。
【0018】
ネジ穴17は、ハンドル12の先割れ部19と、先割れ部19aとが離隔している、離隔部20を通って、先割れ部19aへと貫通している(
図9の破線部)。また、ネジ穴17aは、第2のハンドル13の先割れ部19bと、先割れ部19cとが離隔している、離隔部20aを通って、先割れ部19cへと貫通している(
図9の破線部)。
【0019】
このネジ力によって、ハンドル12の先割れ部19,19aが、内側の離隔部20に向かって若干撓む。また、このネジ力によって、第2のハンドル13の先割れ部19b,19cが、内側の離隔部20aに向かって若干撓む。これら撓みによって、内輪固定穴16,16aへ、貫通孔10,10aの内輪11,11aがしっかりと固定される。
【0020】
(ニッパー1の使用方法)
まず、ニッパー1を開いた状態とする。そして、貫通孔10または貫通孔10aのいずれかに被切断物である、ワイヤー等を挿入する。そして、ニッパー1を閉じた状態とする。すると、ワイヤー等の被切断物は、貫通孔10,10aの内輪11,11aの2つのせん断用の刃によって、挟み込まれ、せん断される。ここで、ニッパー1のせん断する箇所は固定されている。
【0021】
このようなせん断を、せん断用の刃の同じ箇所で、たとえば100回繰り返す。そして、その箇所のせん断用の刃が鈍ってきたら、ネジ18のネジ力を弱めて、ハンドル12の先割れ部19,19aが、内側の離隔部20に向かって若干撓んでいたのを撓まないようにする。また、このネジ力を弱めて、第2のハンドル13の先割れ部19b,19cが、内側の離隔部20aに向かって若干撓んでいたのを撓まないようにする。
【0022】
すると、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)は、内輪固定穴16に嵌合わせる力が弱まる。また、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)は、内輪固定穴16aに嵌合わせる力が弱まる。そこで、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)を、内輪固定穴16に嵌合わせる角度を僅かに変えるように回転させる。また、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)を、内輪固定穴16aに嵌合わせる角度を僅かに変えるように回転させる。
【0023】
その後、再び貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)は、内輪固定穴16に嵌合わせ、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)は、内輪固定穴16aに嵌合わせて、しっかりと固定する。
【0024】
すると、せん断用の刃が鈍っていない箇所で、せん断を再開することができる。このせん断をまた、たとえば、100回繰り返す。そしたら同様の操作を繰り返し、せん断用の刃が鈍っていない箇所でのせん断を可能とする。この繰り返しが尽きて、せん断用の刃が鈍っていない箇所がなくなったら、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)と、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)との全体を交換する。
【0025】
(本実施の形態によって得られる主な効果)
本実施の形態では、貫通孔10の内輪11に形成した、切断刃(せん断用の刃)で、その内輪の全域を利用することで、切断刃(せん断用の刃)の寿命を伸ばすことを可能にしている。このようなせん断装置は、低コストで構成することができる。つまり、本実施の形態では、低コストで切断刃の寿命を伸ばすことが可能なせん断装置を提供することができる。
【0026】
また、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体、交換用の刃)と、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体、交換用の刃)は、交換することができるため、せん断用の刃の全域が鈍っても、新しい刃に交換できる。
【0027】
また、まず、ハンドル12の貫通孔10の内輪11の全域を利用した後は、第2のハンドル13の貫通孔10aの内輪11aの全域を利用することで、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)と、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)の交換時期をさらに延ばすことができる。
【0028】
(他の形態)
上述した本実施の形態に係るニッパー1は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0029】
たとえば、本実施の形態のニッパー1は、ハンドル12と略同一構成の、第2のハンドル13を有している。しかし、一方のハンドルに相当する、挟み込み部材は、単なる板材等どのような部材でも良い。ハンドル12の貫通孔10にワイヤー等の被切断物を挿入して、ハンドル12と、挟み込み部材である板材で被切断物をせん断しても、それは可能である。そして、貫通孔10の内輪11の全域を利用することで、切断刃(せん断用の刃)の寿命を伸ばすことも可能である。
【0030】
また、ハンドル12と、第2のハンドル13は、ネジ15を回転軸として、ハンドル12と、第2のハンドル13のせん断を行っている。しかし、そのような構成は、必須ではないため、省略することができる。
【0031】
また、被切断物は、ワイヤーに限らず、板材、バネ等、形あるものであれば、被切断物になり得る。ただし、貫通孔10,10aに挿入することから、その挿入のし易さを考えると、被切断物は、長尺物であることが好ましい。
【0032】
また、貫通孔10の内輪11は、ハンドル12から、円筒状のブロック体として、取り外すことができる。また、貫通孔10aの内輪11aは、第2のハンドル13から、円筒状のブロック体として、取り外すことができる。しかし、この貫通孔10の内輪11と貫通孔10aの内輪11aは、円筒状のブロック体として、ハンドル12および第2のハンドル13から取り外すことができるようにしなくても良い。
【0033】
また、さらに、貫通孔10の内輪11と貫通孔10aの内輪11aは、円筒状のブロック体ではなくそれ以外の形状のブロック体としても良い。
【0034】
また、ネジ穴17は、ハンドル12の先割れ部19と、先割れ部19aとが離隔している、離隔部20を通って、先割れ部19aへと貫通している(
図9の破線部)。また、ネジ穴17aは、第2のハンドル13の先割れ部19bと、先割れ部19cとが離隔している、離隔部20aを通って、先割れ部19cへと貫通している(
図9の破線部)。しかし、このような構成は必須ではない。
【0035】
また、ネジ力によって、ハンドル12の先割れ部19,19aが、内側の離隔部20に向かって若干撓む。また、このネジ力によって、第2のハンドル13の先割れ部19b,19cが、内側の離隔部20aに向かって若干撓む。しかし、これらの撓みは、必ずしも必要ではない。
【0036】
また、貫通孔10,10aは円形である。しかし、貫通孔10,10aは円形に限られない。貫通孔10,10aは四角形等の多角形、丸みを帯びた多角形、楕円形等とすることができる。また、
図10に示す、現在広く流通している挟みの刃部(おおよそ、手書きの輪で囲った範囲)を交換可能な交換刃とすることで、コスト低減効果が得られる。さらに、
図11に示す、現在広く流通しているニッパーの刃部(おおよそ、手書きの輪で囲った範囲)を交換可能な交換刃とすることで、コスト低減効果が得られる。
【0037】
また、ニッパー1のせん断する箇所は固定されている。しかし、せん断する箇所を固定するのではなく、せん断する箇所を移動させて、せん断用の刃が鈍っていない箇所に位置を変更するようにしても良い。
【0038】
また、被切断物のせん断は、せん断用の刃の同じ箇所で、100回せん断を繰り返した後で、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)を、内輪固定穴16aに嵌合わせる角度を僅かに変えるように回転させている。すると、せん断用の刃が鈍っていない箇所で、せん断を再開することができる。しかし、同じ箇所でせん断を繰り返す回数は、適宜1回とか、50回とか、200回等に変更しても良い。
【0039】
また、ニッパー1の、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)と、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)との全体を交換している。しかし、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)と、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)との全体は、交換せずにハンドル12および/または第2のハンドルとともに廃棄等しても良い。
【0040】
また、ニッパー1の、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)と、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)との全体を交換する。しかし、交換する範囲は、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)と、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)との全体に限らない。たとえば、貫通孔10の内輪11(円筒状のブロック体)と、貫通孔10aの内輪11a(円筒状のブロック体)との全体および、貫通孔10,10aの部分等を交換しても良い。
【0041】
また、本実施の形態では、せん断装置の一例として、ニッパー1を挙げた。しかし、せん断装置は、ハサミ等他の物もあるため、せん断装置はニッパー1に限られない。
【符号の説明】
【0042】
1 ニッパー(せん断装置)
10 貫通孔
10a 貫通孔
11 内輪
11a 内輪
12 ハンドル
13 第2のハンドル(挟み込み部材)