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特開2024-55605液体機能性添加剤を含有する樹脂組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055605
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】液体機能性添加剤を含有する樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/12 20060101AFI20240411BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
C08L101/12
C08L91/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162669
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】523470267
【氏名又は名称】谷井 栄治
(71)【出願人】
【識別番号】591023594
【氏名又は名称】和歌山県
(74)【代理人】
【識別番号】100202175
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 静男
(72)【発明者】
【氏名】谷井 栄治
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 崇
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA01W
4J002AA01X
4J002AA03X
4J002AB01X
4J002AB04X
4J002AB05X
4J002AE05Y
4J002BB03W
4J002BB12W
4J002BC03W
4J002BD04W
4J002BE02X
4J002BG01X
4J002BG06W
4J002BN15W
4J002CF06W
4J002CH02X
4J002CL01W
4J002FD18Y
4J002GB00
4J002GC00
4J002GE00
4J002GG00
4J002HA09
(57)【要約】
【課題】 従来、熱可塑性樹脂への液体機能性添加物の混合は困難で、徐放性液体抗菌剤などの熱可塑性樹脂の製造は困難であった。
【解決手段】 成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂において、親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5~40バーセントである、疎水性樹脂、親水性樹脂及び成形時に液体である機能性添加剤からなる樹脂組成物成形品は機能性添加剤を徐放する。ここで疎水性樹脂はポリエチレン等、親水性樹脂はポリエチレンオキサイド等、液状添加剤はヒバ油等である。これにより徐放性抗菌性などの熱可塑性樹脂製品が得られる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂及び成型時に液体である機能性添加剤からなる樹脂組成物
【請求項2】
疎水性樹脂はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン共重合体(ABS)、アクリル樹脂、ナイロン6、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物
【請求項3】
親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5~40バーセントである、親水性樹脂はポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、ポリビニルアルコール、でんぷん、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ニトロセルロース、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の樹脂組成物
【請求項4】
成形時に液体である機能性添加剤はヒバ油、ユーカリ油、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド)、気化性防錆油、3-[N-n-ブチル-N-アセチル]アミノブロピオン酸エチルエステル、エンペントリン、トランスフルトリン、精油(エッセンシャルオイル)のいずれかであることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の樹脂組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体機能性添加剤を含有する樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物では、放出が制御されるドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の開発が進んでいるが、家庭用品のプラスチックにおいても薬剤の徐放性が求められる。
プラスチック及びエラストマーのペレット形状の原材料は、市販ペレットの状態そのままで製品に利用されることは少ない。ユーザーの様々なニーズに対応して、市販のペレットに、機能性を付与する添加剤(色材、抗菌剤、紫外線吸収剤等)、リサイクル樹脂、及び木粉などを溶融・混錬し、改質して利用する。
図1にその加工機である二軸混錬押出機を示す。
しかし、液体の添加剤を混錬するのは難しくポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系のプラスチックには、含有量は1パーセント程度が上限である。それ以上含有させると製造したペレットから液体がブリードし、融着、変形等の不良品となる。
【0003】
揮発性油状抗菌物質を内包させた粉末状マイクロカプセルをポリエチレン等に混合して徐放性フィルムが開発それている(特許文献1)。この方法は予め油状抗菌物質を内包させた粉末状マイクロカプセルを作製する必要がある。
【0004】
また、ポリオレフィン系重合体(A)に相溶性が高く液状化合物(C)に相溶性が低いブロック(B1)と液状化合物(C)に相溶性が高く、ポリオレフィン系重合体(A)に相溶性が低いブロック(B2)からなり且つポリオレフィン系重合体(A)と相分離するブロックコポリマー(B)を用いて液体イン固体ポリマーエマルジョン樹脂組成物を発明している(特許文献2)。ブロックコポリマー(B)は例えばポリオレフィンブロック(B1)とポリスチレンブロック(B2)のブロックコポリマーがある。この場合は、上記の特殊なブロックコポリマーを作製しなければならない。
【0005】
固体である第4級アンモニウム塩抗菌剤、親水性樹脂、疎水性樹脂からなる樹脂配合用抗菌剤組成物が発明されている(特許文献3)。またヨウ素粒子、水溶性熱可塑性樹脂、非水溶性熱可塑性樹脂からなる徐放性ヨウ素含有抗菌性樹脂組成物が発明されている(特許文献4)。これらは何れも固体の抗菌剤を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4683925号公報
【特許文献2】特許第3963941号公報
【特許文献3】特開2004―285157号公報
【特許文献4】特開2006―176730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、液体機能性添加剤を熱可塑性樹脂に添加することは通常困難であった。
特許文献1の方法は、予め粉末状マイクロカプセルを作製して液状機能性添加物を内包させなければならない点が問題である。
特許文献2では、ポリオレフィン系重合体(A)に相溶性が高く液状化合物(C)に相溶性が低いブロック(B1)と液状化合物(C)に相溶性が高く、ポリオレフィン系重合体(A)に相溶性が低いブロック(B2)からなり且つポリオレフィン系重合体(A)と相分離するブロックコポリマー(B)を用いて液体イン固体ポリマーエマルジョン樹脂組成物を製造する。ここでは、ブロックコポリマー(B)はポリオレフィンブロック(B1)とポリスチレンブロック(B2)のブロックコポリマーがある。このブロックコポリマーを作製しなければならない。
【0008】
特許文献3では、固体である第4級アンモニウム塩抗菌剤、親水性樹脂、疎水性樹脂からなる樹脂配合用抗菌剤組成物がある。また特許文献4では、ヨウ素粒子、水溶性熱可塑性樹脂、非水溶性熱可塑性樹脂からなる徐放性ヨウ素含有抗菌性樹脂組成物が発明されている。これらは何れも固体の抗菌剤を使用しており、液体の抗菌剤では開発されていない。
【0009】
本発明は従来から問題であった点を解決するためになされたものである。すなわち、複雑な工程を必要とせず、製造でき、長い期間にわたり徐放性に優れた液体機能性添加剤を含有する樹脂組成物及びそれをマスターバッチとして射出成形等で徐放性プラスチック製品を製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂及び成形時に液体である機能性添加剤からなる樹脂組成物である。
液体機能性添加剤には親水性を示すハイドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等を有しており、水素結合により液体化していることが多い。そこで、液体機能性添加剤は、親水性樹脂と相互作用して、ポリマーマトリツクス内に留まると考えられる。それで熱可塑性樹脂組成物から染み出さずに、徐放性が得られると思われる。
疎水性樹脂とは、水に対する親和性が低い、水や極性溶媒に溶解しない材料で、一般的に、分子内に鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基を持つ化合物が代表的で、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフロロエチレン、ポリエステル、ポリウレタンなどがあり、家庭用品、繊維、フィルム、エンジニアリングプラスチック、コーティング剤などに広く利用されている。
親水性樹脂とは、極性または荷電官能基を有することで水に対する親和性が高く、もしくは水溶性、他の極性溶媒との相互作用や溶解性を示す樹脂で、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリ(4―スチレンスルホン酸ナトリウム)、セルロースなどがある。
【0011】
通常は、プラスチック用着色剤、機能性を付与する添加剤、カーボンブラック、鉱物系フィラーなどを高濃度、高分散させたペレットをマスターバッチとして、該ペレットの適量を樹脂に混合し、射出成形等により、プラスチック製品を製造する。
マスターバッチを使用することで、粉体材料使用に比べて工場内の飛散や機械の汚染などの心配がなく、取り扱いも安全で作業の効率化につながる。
先ずはベースレジンと要求される機能の添加剤をタンブラー加工で混合し、二軸混錬押出機で溶融混錬し、太い糸状のストランドを押し出す、そして水中あるいは空気中で冷却し、カッターで切ってペレットを得る。なお、混錬押出機のホッパーでも、樹脂に添加剤を加えることができる。
【0012】
図1に二軸混錬押出機の概略正面図(一部断面)を示す。なお、一軸混錬押出機でも同様にペレットを得ることができるが、二軸の方が良く混ざり効率が良い。
【0013】
成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂及び成型時に液体である機能性添加剤からなる樹脂組成物において、疎水性樹脂はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン共重合体(ABS)、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル)、ナイロン6、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートのいずれかである。
これらの熱可塑性樹脂は、成形温度が添加剤の沸点以下である疎水性樹脂である。液体機能性添加剤の沸点以上で、混錬押出機により加工すると液体機能性添加剤は蒸発してしまうので、熱可塑性樹脂が発泡してしまい、添加剤が消失して、機能性が付与されない。それで液体機能性添加剤の沸点以下で成形加工しなければならない。
【0014】
成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂及び成型時に液体である機能性添加剤からなる樹脂組成物において、親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5~40バーセントである。そして親水性樹脂はポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製、登録商標アルコックス、融点65~67℃)、熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)、ポリビニルアルコール、でんぷん、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ニトロセルロース、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)のいずれかである。
親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5バーセント以下の場合には機能性添加剤の抗菌性等の効果が得られ難い。また親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の40バーセント以上の場合には樹脂成形品が強度的に弱くなる恐れがある。
【0015】
成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂及び成型時に液体である機能性添加剤からなる樹脂組成物において、成形時に液体である機能性添加剤はヒバ油(ヒノキチオール(融点50~52℃、沸点140℃(10mmHg)))、ユーカリ油、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)、気化性防錆油(米国ロンコ・ラボラトリーズ社製、商品名フェロガード1009)、3-[N-n-ブチル-N-アセチル]アミノブロピオン酸エチルエステル(メルク社製、登録商標IR-3535)、エンペントリン(沸点295.5℃)、トランスフルトリン(融点32℃、沸点250℃)、精油(エッセンシャルオイル)のいずれかである。
【0016】
ヒノキチオールは香料としては歯磨剤やヘアトニックなどに用いられる。低毒性であるものの広い抗菌スペクトルを有し、抗菌剤としても有効である。まず最も有名なのは多くの細菌や真菌に対して抗生物質への耐性に関係なく強力な抗菌作用を持つことである。具体的には肺炎レンサ菌、ミュータンスレンサ菌、黄色ブドウ菌、そして一般的なヒト病原体に有効であることがはっきりしている。さらに、クラミジア・トリコマチスに対し抑制効果があることが示されており、外用薬として臨床的に使用できる可能性がある。最近の研究では、ヒノキチオールを亜鉛化合物と組み合わせて使用すると、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、メンゴウイルス等のヒトに感染する数種類のウイルスに対し抗ウイルス作用を示すことも解っている。ヒノキチオールは化粧品、歯磨き粉、口腔用スプレー、日焼け止め、育毛剤等の様々な消費者製品に広く使用されている。
ユーカリ油は、主成分としてシネオールを含み、用途は薬用が多く口腔剤、咳止め、消毒剤、石鹸、練り歯磨きの香味料などに用いられる。
精油(エッセンシャルオイル)は、植物から産出される揮発性の油で、水蒸気蒸留法などによって植物から留出することができる。特有の芳香を持つものが多く、香料として、副次的に抗菌作用を期待して、主に食品産業で、また家庭用品、殺虫剤、食肉産業、香水・化粧品などで用いられる。マイクロカプセル化して洗濯洗剤、柔軟剤、繊維に固着して衣類に用いられる。また、アロマテラピー、アロマセラピーと呼ばれ、医療や美容に用いられる。
【0017】
ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)は、昆虫などの忌避剤として用いられる。使用は、皮膚に直接または衣服に塗布し、昆虫やダニによる吸血を防ぐ。特にダニ(ツツガムシ病やライム病を媒介する)や蚊(日本脳炎、デング熱、ジカ熱、ウエストナイル熱、マラリアなどを媒介する)に対する防御手段として高い有効性を示す。
3-[N-n-ブチル-N-アセチル]アミノブロピオン酸エチルエステル(メルク社製、登録商標IR-3535)、この昆虫忌避剤は蚊、ハエ、ダニ、シラミのような害虫を効果的に寄せ付けず、ジカ熱、マラリア、デング熱などの昆虫が媒介する病気にさらされる機会を低減する。ローション、スプレー、エアゾールのような処方で使用できる。
エンペントリン(沸点295.5℃)は殺虫剤として用いられる合成ピレスロイドで、飛翔性の昆虫に幅広く作用して毒性を発揮するため、イガやコイガなど布を食害する害虫の駆除に用いられる。
トランスフルトリン(融点32℃、沸点250℃)は即効性のピレスロイド系殺虫剤で、室内環境におけるハエ、カ、ゴキブリに対して用いられる。揮発性を持つ物質であり、接触及び吸入剤として作用する。
【0018】
気化性防錆油(米国ロンコ・ラボラトリーズ社製、商品名フェロガード1009)は鉄鋼製品の防錆に使用でき、長期保管や船積み輸送中の結露対策に威力を発揮する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の液体機能性添加剤を含有する樹脂組成物は、混錬押出機により抗菌性等の機能性を有するマスターバッチを作製することができる。このマスターバッチを用いて他の樹脂に混合し、簡単な操作で、射出成形等により機能性を有するプラスチック製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】液体機能性添加剤を含有する樹脂組成物を作製する混錬押出機の概略正面図(一部断面を示す)
【
図2】ヒバ油含有樹脂(重量比、LDPE:PEO=8:2)の熱重量分析(TG―DTA)結果
【
図3】ヒバ油含有樹脂(重量比、LDPE:PEO=8:2)の示差走査熱量計分析結果
【
図4】ヒバ油含有樹脂(LDPE―PEO、ヒバ油含有)の引張試験結果
【
図5】ヒバ油含有樹脂(LDPE―PEO、ヒバ油含有)の徐放性試験結果
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例を以下に示す。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0022】
低密度ポリエチレン(LDPE、旭化成株式会社製、登録商標サンテック-LD、融点100℃)、ポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製、登録商標アルコックス、分子量約6万~数百万)、ヒバ油
(LDPE:ポリエチレンオキサイド=重量比8:2)
テクノベル社製二軸混錬押出機KZW15TW―25MG―NHを用いて、スクリューの回転数200rpm、液体送液ポンプでホッパーからヒバ油を投入(4.8g/分)して、次の条件でペレットを作製した。温度条件 C1:110℃、C2:120℃、C3:125℃、ダイス:125℃、樹脂配合(重量比)低密度ポリエチレン:ポリエチレンオキサイド=8:2、得られたストランドからのブリードは観測されなかった。
【0023】
ヒバ油含有量測定
図2にヒバ油含有樹脂組成物(LDPE:ポリエチレンオキサイド=重量比8:2)のTG―DTA結果を示す。
ペレット中のヒバ油含有量を熱重量分析(TG―DTA)で測定した。測定は窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、25℃~500℃の温度条件で行った。
図2には、低密度ポリエチレン:ポリエチレンオキサイド=8:2のマトリックスポリマー、ヒバ油含有試作ペレットの測定結果を示す。
100℃付近からの重量減少はヒバ油の蒸発による重量減少である。なお、350℃付近の重量減少はポリエチレンオキサイドの熱分解、400℃付近の重量減少は低密度ポリエチレンの熱分解による重量減少である。そこで300℃での重量減少をヒバ油の含有量とした。ヒバ油含有率はこの樹脂組成物の樹脂重量の11・1%であった。以下はこの方法で液体機能性添加剤の含有量を測定した。
【比較例1】
【0024】
低密度ポリエチレン(旭化成株式会社製、登録商標サンテック-LD、融点100℃)、スチレン系とアクリル系熱可塑性エラスチマー混合物(クラレプラスチックス株式会社製、商品名アーネストン)、ヒバ油
(低密度ポリエチレン:スチレン系とアクリル系熱可塑性エラスチマー混合物(クラレプラスチックス株式会社製、商品名アーネストン)=重量比8:2
テクノベル社製二軸混錬押出機KZW15TW―25MG―NHを用いて、液体送液ポンプでホッパーからヒバ油を投入して、次の条件でペレットを作製した。温度条件 C1:120℃、C2:130℃、C3:135℃、ダイス:135℃、樹脂配合(重量比)低密度ポリエチレン:スチレン系とアクリル系熱可塑性エラストマー混合物(クラレプラスチックス株式会社製、商品名アーネストン)=8:2
作製したストランドはヒバ油が滲みだしてきた。すなわち、この樹脂(疎水性樹脂―疎水性樹脂―ヒバ油)はヒバ油を保持できなかった。
【実施例0025】
実施例1と同条件で、送液ポンプの吐出量(4.8g/分)、スクリューの回転数(200rpm)を同じくして、低密度ポリエチレン(LDPE)とポリエチレンオキサイド(PEO)量の配合比を9:1、8:2、7:3と変化させて、混錬押出機でペレットを作製し、ヒバ油含有率を熱重量分析(TG―DTA)で測定した。
その結果を表1に示す。
表1 ヒバ油含有率に及ぼす配合比の影響
親水性樹脂ポリエチレンオキサイド量に依存してヒバ油含有率が増加した。
【0026】
上記のペレットの示差走査熱量計分析(DSC)を行った。
図3に、DSC結果(LDPE:PEO=8:2、ヒバ油含有)のみを示す。
45℃付近の吸熱ピークはポリエチレンオキサイド(PEO)の融点、100℃付近の吸熱ピークは低密度ポリエチレン(LDPE)の融点、90℃付近の発熱ピークは低密度ポリエチレン(LDPE)の結晶化温度である。
DSC結果から、ポリエチレンオキサイドの配合は低密度ポリエチレンの結晶に影響を与えておらず相分離していると思われる。またヒバ油を添加すると低密度ポリエチレンの融点がやや低くなった。
以上のDSC結果から、これらの樹脂組成物の射出成形は120℃で成形できる。
【0027】
表2 LDPE、LDPE―PEO、LDPE―PEO―ヒバ油
(配合比 9:1、8:2、7:3)の示差走査熱量計(DSC)分析結果
LDPE:低密度ポリエチレン、PEO:ポリエチレンオキサイド
【実施例0028】
射出成形
上記ペレットを用いて日精樹脂工業(株)ES400の射出成形機を用いて成形温度は120℃で強度試験片を製作した。製作ペレットはLDPEと同条件で射出成形できた。ヒバ油含有ペレットは流動性が高くなり、120℃で射出成形したが、100℃でも成形が可能であった。
射出成形前後のヒバ油含有率を測定した。
その結果を表3に示す。
表3 射出成形前後のヒバ油含有率
射出成形後にはヒバ油含有率が若干減少しているが、十分な量のヒバ油含有率があった。
【実施例0029】
上記で得られた試験片を用いて、万能材料試験機を使用し、試験速度100ミリメートル/分で引張強度試験を行った。
その結果を表4に示す。
表4 引張強度試験片の最大荷重及び最大応力
図4に各ペレットの引張試験の結果(荷重と変位)を示す。
ここで、(○)LDPE、(□)LDPE―PEO(8:2)、ヒバ油無含有、(■)配合比9:1、ヒバ油含有、(●)配合比8:2、ヒバ油含有、(▲)配合比7:3、ヒバ油含有である。
LDPEにPEOを配合すると降伏値は大きく変化しないが、破断までの変位が短くなった。そしてLDPEへのPEOの配合比が増えるにつれて破断までの変位が減少した。ヒバ油含有に伴い最大荷重が低下したが、破断までの変位が伸びた。ヒバ油はLDPEの可塑剤として働いている。
【実施例0030】
抗菌性の評価
マスターバッチの作製ペレット(配合比8:2)とLDPEを混合し、重量比3:1(75%)、1:1(50%)、1:3(25%)の試験片を射出成形して作製した。成形温度は120℃である。
射出成形後のヒバ油含有率を表5に示す。
表5 LDPE射出成形品のヒバ油含有率
なお、作製ペレット(配合比8:2)の射出成形品のヒバ油含有率は9.4%である(表3参照)。
【実施例0031】
上記試験片を用いて、一般財団法人カケンテストセンターにてJISZ2801―2010―5に準じて黄色ブドウ球菌の抗菌試験をした。
その結果を表6に示す。
表6 ヒバ油含有射出成形品の抗菌性(黄色ブドウ球菌)
PE:ポリエチレン
表6の結果はいずれも抗菌活性値が4.9以上と高かった。
なお、99%以上の死滅率の抗菌活性値は、2.0以上で、抗菌効果があると判断する。
【実施例0032】
徐放性評価
実施例4、5、6で作製した配合比9:1、8:2、7:3の試験片(曲げ試験片80×10×4mm)、及び製作したペレット配合比8:2樹脂とLDPEを1:1(50%)、1:3(25%)の曲げ試験片(実施例10、11、12)を射出成形(成形温度120℃)して作製した。20℃、60%RHの恒温室に静置して重量変化を測定した。
その結果を表7に示す。
表7 作製試料の徐放性試験結果
そして、その結果を
図5に示す。
図5では、(○)配合比7:3、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率11.1%の試験片は60日後に6.7%残存した。(□)配合比8:2、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率9.4%の試験片は60日後に6.2%残存した。(■)配合比9:1、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率8.5%の試験片は60日後に5.9%残存した。また、(×)マスターバッチの作製ペレット(配合比8:2)とLDPEを重量比1:1(50%)の射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率4.4%の試験片は60日後に3.0%残存した。(●)マスターバッチの作製ペレット(配合比8:2)とLDPEを重量比1:3(25%)の射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率2.1%の試験片は60日後に1.4%残存した。
図5より、60日後でも十分なヒバ油(ヒノキチオール)含有率を示した。この結果より、ヒバ油(ヒノキチオール)含有率はほぼ直線的に低下しており、射出成形後に十分なヒバ油(ヒノキチオール)含有率があれば三か月以上の抗菌性が有ると推測される。
【実施例0033】
実施例8~実施例16は生産機(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機)を使用して製造した。表9にまとめて示す。
【0034】
汎用ポリスチレンと熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比9:1)、機能性添加剤ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)を加えた樹脂組成物をSMC社製形式KY35二軸混錬押出機(温度C1:145,C2:220,C3:225,C4:227,C5:228,C6:230,C7:230,C8:230,C9:230,D(ダイス):230℃)でペレットにし、その後日精樹脂工業(株)ES400の射出成形機(成形温度200℃)で試験片を得た。射出成型品(10×80×5mm)(ディート10.3%含有)のチャバネゴキブリ成虫(雄雌混合)の忌避効果試験を住友テクノサービス株式会社累代飼育感受性系統で行った。
試験方法:外容器(白色、幅24×奥行19×高さ15cm)内の中央部に、引出し付き小型容器(幅14×奥行10×高さ9cm)を一個設置した。二個の引出し(幅6.5×奥行10×高さ4.5cm)の底に濾紙を敷き、上段の引出しは含水脱脂綿と餌のみを設置した無処理区とし、下段の引出しは含水脱脂綿と餌及び試験検体を底に置き処理区とした。引出し二個はゴリブリが侵入し易いよう前方に約5mmの隙間を設けた。
外容器内に供試虫を20匹放し、日数経過とともに引出し中の侵入個体数を計測した。また、濾紙に付着した糞数も数え、停滞状況を調べた。
放飼個体数に対する引出し侵入個体数から侵入率、糞数より停滞率を算出し、無処理の結果より補正侵入阻害率及び補正停滞阻止率を算出し効果を判定した。
結果を表8、9に示す。
表8 チャバネゴキブリ成虫の侵入個体数及び糞数
表9 チャバネゴキブリ成虫に対する侵入阻害率及び停滞阻止率
処理区では初期の侵入個体は認められたものの、7日以降は侵入個体及び停滞個体は認められなかった。7日後では糞の痕跡は認められているものの、7日以降は糞数の増加はほとんどなく、検体設置により、侵入阻害効果とともに定着阻止効果も認められた。また、検体からのディート揮発はほとんどなく、微量のディートガスによる忌避効果が認められた。
【実施例0035】
低密度ポリエチレンと熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(PAO、住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比8.5:1.5)、気化性防錆油(米国ロンコ・ラボラトリーズ社製、商品名フェロガード1009)とからなる樹脂組成物を混錬押出(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機(温度C1:100,C2:105,C3:110,C4:115,C5:118,C6:120,C7:120,C8:125,C9:125,D(ダイス):125℃))した。混錬押出樹脂の気化性防錆油含有率は4.5%であった。
JISZ1542により、気化防錆試験を実施した。
防錆率(%)=(空試験の評価面に錆が発生している碁盤目の数(平均値))-(評価面に錆が発生している碁盤目の数)/(空試験の評価面に錆が発生している碁盤目の数(平均値))である。防錆率90%以上は等級2、防錆率50%~90%は等級1、防錆率50%未満は等級0となる。等級1以上の場合は、気化防錆性があると判定する。
試験結果は2試料について、防錆率80.9(等級1)、防錆率90.9%(等級2)であった。従って、気化防錆性があると判断された。
【実施例0036】
ABSと熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(PAO、住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比8:2)、ヒバ油とからなる樹脂組成物を混錬押出(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機(C1:115,C2:140,C3:215,C4:225,C5:230,C6:230,C7:230,C8:230,C9:232,D(ダイス):232℃))した。混錬押出樹脂のヒバ油含有率は6.3%であった。
【実施例0037】
ポリプロピレン(PP)(サンアロマー株式会社製、PMA20V、少量のエチレンを共重合したランダムコポリマー)と熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(PAO、住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比9:1)、ディートとからなる樹脂組成物を混錬押出(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機(C1:145,C2:155,C3:160,C4:165,C5:170,C6:172,C7:173,C8:175,C9:178,D(ダイス):178℃))した。混錬押出樹脂のディート含有率は8.7%であった。
【実施例0038】
低密度ポリエチレン(LDPE)と熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(PAO、住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比9.5:0.5)、ディートとからなる樹脂組成物を混錬押出(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機(C1:100,C2:105,C3:110,C4:115,C5:118,C6:120,C7:120,C8:125,C9:125,D(ダイス):125℃))した。混錬押出樹脂のディート含有率は6.6%であった。
【実施例0039】
低密度ポリエチレン(LDPE)と熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(PAO、住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比9:1)、3-[N-n-ブチル-N-アセチル]アミノブロピオン酸エチルエステル(メルク社製、登録商標IR3535)とからなる樹脂組成物を混錬押出(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機(C1:90,C2:95,C3:100,C4:105,C5:105,C6:105,C7:105,C8:105,C9:105,D(ダイス):110℃))した。混錬押出樹脂の機能性添加剤の含有率は4.9%であった。
【実施例0040】
ポリプロピレン(PP)(サンアロマー株式会社製、PMA20V、少量のエチレンを共重合したランダムコポリマー)と熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(PAO、住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比8:2)、ユーカリ油とからなる樹脂組成物を混錬押出(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機(C1:145,C2:155,C3:160,C4:165,C5:170,C6:172,C7:173,C8:175,C9:178,D(ダイス):178℃))した。混錬押出樹脂の機能性添加剤ユーカリ油の含有率は6.5%であった。
【実施例0041】
低密度ポリエチレン(LDPE)と熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(PAO、住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比8:2)、エンペントリン(沸点295.5℃)とからなる樹脂組成物を混錬押出(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機(C1:100,C2:105,C3:110,C4:115,C5:118,C6:120,C7:120,C8:125,C9:125,D(ダイス):125℃))した。混錬押出樹脂の機能性添加剤エンペントリンの含有率は6.0%であった。
【実施例0042】
低密度ポリエチレン(LDPE)と熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(PAO、住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)(重量比8:2)、トランスフルトリン(融点32℃、沸点250℃)とからなる樹脂組成物を混錬押出(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機(C1:100,C2:105,C3:110,C4:115,C5:118,C6:120,C7:120,C8:125,C9:125,D(ダイス):125℃))した。混錬押出樹脂の機能性添加剤トランスフルトリンの含有率は7.6%であった。
【実施例0043】
実施例17~実施例33は試験機ラボプラストミル(10g)を用いて製作した。表9にまとめる。
低密度ポリエチレン(LDPE)とポリビニルアルコール(PVA)(重量比9:1)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)とからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミル(10g)を用いて、次の条件で混錬樹脂を作製した。液体機能性添加剤は樹脂全体重量に対して25%、温度条件 120℃、処理時間5分間、樹脂配合(重量比)低密度ポリエチレン:ポリビニルアルコール=9:1。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は14.8%であった。
【実施例0044】
親水性樹脂をポリビニルアルコール(PVA)(重量比8:2)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は18.1%であった。
【実施例0045】
親水性樹脂をでんぷん(重量比9:1)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は15.8%であった。
【実施例0046】
親水性樹脂をでんぷん(重量比8:2)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は18.4%であった。
【実施例0047】
親水性樹脂をアルギン酸ナトリウム(重量比9:1)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は13.6%であった。
【実施例0048】
親水性樹脂をアルギン酸ナトリウム(重量比8:2)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は20.1%であった。
【実施例0049】
親水性樹脂をカラギーナン(重量比9:1)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は16.9%であった。
【実施例0050】
親水性樹脂をカラギーナン(重量比8:2)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は20.7%であった。
【実施例0051】
親水性樹脂を寒天(重量比9:1)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は13.8%であった。
【実施例0052】
親水性樹脂を寒天(重量比8:2)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は15.9%であった。
【実施例0053】
親水性樹脂をニトロセルロース(融点160~170℃)(重量比9:1)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は14.5%であった。
【実施例0054】
親水性樹脂をニトロセルロース(融点160~170℃)(重量比8:2)に変えて、実施例26と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は19.1%であった。
【実施例0055】
ポリプロピレン(PP)(サンアロマー株式会社製、PMA20V、少量のエチレンを共重合したランダムコポリマー)とエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH、株式会社クラレ製、登録商標エバール(EVAL)F101B、エチレン含有率32モル%、融点183℃)(重量比9:1)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)とからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミル(10g)を用いて製作した。次の条件で混錬樹脂を作製した。温度条件200℃、混錬時間5分間、樹脂配合(重量比)ポリプロピレン:エチレンビニルアルコール共重合体=9:1。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は11.5%であった。
【実施例0056】
ポリプロピレン(PP)(サンアロマー株式会社製、PMA20V、少量のエチレンを共重合したランダムコポリマー)とニトロセルロース(融点160~170℃)(重量比9:1)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)とからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミル(10g)を用いて製作した。温度条件 200℃、混錬時間5分間、樹脂配合(重量比)ポリプロピレン:ニトロセルロース=9:1。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は16.0%であった。
【実施例0057】
アクリル樹脂(PMMA、融点165℃)とニトロセルロース(融点160~170℃)(重量比9:1)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)とからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミル(10g)を用いて製作した。次の条件で混錬樹脂を作製した。温度条件 220℃、混錬時間5分間、樹脂配合(重量比)アクリル樹脂:ニトロセルロース=9:1。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は6.0%であった。
【実施例0058】
ナイロン6(融点220℃)とエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH、株式会社クラレ製、登録商標エバール(EVAL)F101B、エチレン含有率32モル%、融点183℃)(重量比9:1)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)とからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミル(10g)を用いて製作した。温度条件 230℃~250℃、混錬時間5分間、樹脂配合(重量比)ナイロン6:EVOH=9:1。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は3.5%であった。
【実施例0059】
ナイロン6(融点220℃)とニトロセルロース(融点160~170℃)(重量比9:1)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)とからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミル(10g)を用いて製作した。温度条件 230℃~250℃、混錬時間5分間、樹脂配合(重量比)ナイロン6:ニトロセルロース=9:1。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は8.0%であった。
【比較例2】
【0060】
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH、株式会社クラレ製、登録商標エバール(EVAL)F101B、エチレン含有率32モル%、融点183℃)とニトロセルロース(融点160~170℃)(重量比9:1)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)とからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミル(10g)を用いて製作した。温度条件 200℃、混錬時間5分間、樹脂配合(重量比)EVOH:ニトロセルロース=9:1。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は7.0%であった。しかし、親水性樹脂―親水性樹脂―液体機能性添加剤の成形樹脂は低い強度であつた。
【実施例0061】
低密度ポリエチレン(LDPE)30グラムとポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製、登録商標アルコックス、融点65~67℃)20グラム(重量比3:2)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)25ミリリットルとからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミルを用いて、次の条件で混錬樹脂を作製した。温度条件 120℃、処理時間15分間、樹脂配合として親水性樹脂の全体樹脂に占める割合は40重量パーセント。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は17.0%であった。
【比較例3】
【0062】
低密度ポリエチレン(LDPE)30グラムとポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製、登録商標アルコックス、融点65~67℃)30グラム(重量比3:3)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)25ミリリットルとからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミルを用いて、次の条件で混錬樹脂を作製した。温度条件 120℃、処理時間15分間、樹脂配合として親水性樹脂の全体樹脂に占める割合は50重量パーセント。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は20.0%であっが、硬いワックス状であり、強度は低かった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
上述したように、この発明に係る液体機能性添加剤を含有する樹脂組成物は、混錬押出機で製造され、機能性マスターバッチとして、射出成形等により、機能性プラスチック成形品を製造することができる。従って、簡単に、抗菌性、害虫忌避、気化防錆性などの機能性薬剤を徐放するプラスチック製品を提供できる。
【符号の説明】
【0064】
図1
1 二軸混錬押出機
2 ホッパー
3 加熱部分
4 ダイス
5 スクリュー
図4
(○)LDPE、(□)LDPE―PEO(8:2)、ヒバ油無含有、(■)配合比9:1、ヒバ油含有、(●)配合比8:2、ヒバ油含有、(▲)配合比7:3、ヒバ油含有
図5
(○)配合比7:3、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率11.1%の試験片は60日後に6.7%残存した。(□)配合比8:2、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率9.4%の試験片は60日後に6.2%残存した。(■)配合比9:1、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率8.5%の試験片は60日後に5.9%残存した。また、(×)マスターバッチの作製ペレット(配合比8:2)とLDPEを重量比1:1(50%)の射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率4.4%の試験片は60日後に3.0%残存した。(●)マスターバッチの作製ペレット(配合比8:2)とLDPEを重量比1:3(25%)の射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率2.1%の試験片は60日後に1.4%残存した。
【0065】
表10―1 種々の疎水性樹脂、親水性樹脂及び機能性添加剤の組合せ
実施例8~16 生産機使用
PS:汎用ポリスチレン、LDPE:低密度ポリエチレン、ABS:アクリル・ブタジエン・スチレン共重合体、PP:ポリプロピレン、PAO:ポリアルキレンオキサイド、IR3535:3-[N-n-ブチル-N-アセチル]アミノブロピオン酸エチルエステル(メルク社製、登録商標IR-3535)
【0066】
表10―2 種々の疎水性樹脂、親水性樹脂及び機能性添加剤の組合せ
実施例17~26 ラボプラストミル(10g)使用
LDPE:低密度ポリエチレン、PVA:ポリビニルアルコール
【0067】
表10―3 種々の疎水性樹脂、親水性樹脂及び機能性添加剤の組合せ
実施例27~33 ラボプラストミル(10g)使用
LDPE:低密度ポリエチレン、PP:ポリプロピレン、EVOH:エチレンビニルアルコール共重合体、PEO:ポリエチレンオキサイド
【手続補正書】
【提出日】2022-10-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
徐放性評価
実施例
4―1、4―2、4―3で作製した配合比9:1、8:2、7:3の試験片(曲げ試験片80×10×4mm)、及び製作したペレット配合比8:2樹脂とLDPEを1:1(50%)、1:3(25%)の曲げ試験片(実施例
5―2、5―3)を射出成形(成形温度120℃)して作製した。20℃、60%RHの恒温室に静置して重量変化を測定した。
その結果を表7に示す。
表7 作製試料の徐放性試験結果
そして、その結果を
図5に示す。
図5では、(○)配合比7:3、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率11.1%の試験片は60日後に6.7%残存した。(□)配合比8:2、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率9.4%の試験片は60日後に6.2%残存した。(■)配合比9:1、射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率8.5%の試験片は60日後に5.9%残存した。また、(×)マスターバッチの作製ペレット(配合比8:2)とLDPEを重量比1:1(50%)の射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率4.4%の試験片は60日後に3.0%残存した。(●)マスターバッチの作製ペレット(配合比8:2)とLDPEを重量比1:3(25%)の射出成形後ヒバ油(ヒノキチオール)含有率2.1%の試験片は60日後に1.4%残存した。
図5より、60日後でも十分なヒバ油(ヒノキチオール)含有率を示した。この結果より、ヒバ油(ヒノキチオール)含有率はほぼ直線的に低下しており、射出成形後に十分なヒバ油(ヒノキチオール)含有率があれば三か月以上の抗菌性が有ると推測される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
実施例8~実施例16は生産機(SMC社製形式KY35二軸混錬押出機)を使用して製造した。表10―1にまとめて示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
実施例17~実施例33は試験機ラボプラストミル(10g)を用いて製作した。表10―2、10―3にまとめる。
低密度ポリエチレン(LDPE)とポリビニルアルコール(PVA)(重量比9:1)、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)とからなる樹脂組成物を、試験機ラボプラストミル(10g)を用いて、次の条件で混錬樹脂を作製した。液体機能性添加剤は樹脂全体重量に対して25%、温度条件 120℃、処理時間5分間、樹脂配合(重量比)低密度ポリエチレン:ポリビニルアルコール=9:1。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は14.8%であった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
親水性樹脂をポリビニルアルコール(PVA)(重量比8:2)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は18.1%であった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
親水性樹脂をでんぷん(重量比9:1)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は15.8%であった。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
親水性樹脂をでんぷん(重量比8:2)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は18.4%であった。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
親水性樹脂をアルギン酸ナトリウム(重量比9:1)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は13.6%であった。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
親水性樹脂をアルギン酸ナトリウム(重量比8:2)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は20.1%であった。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
親水性樹脂をカラギーナン(重量比9:1)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は16.9%であった。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
親水性樹脂をカラギーナン(重量比8:2)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は20.7%であった。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
親水性樹脂を寒天(重量比9:1)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は13.8%であった。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
親水性樹脂を寒天(重量比8:2)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は15.9%であった。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
親水性樹脂をニトロセルロース(融点160~170℃)(重量比9:1)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は14.5%であった。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
親水性樹脂をニトロセルロース(融点160~170℃)(重量比8:2)に変えて、実施例17と同様に行った。混錬樹脂の機能性添加剤ディートの含有率は19.1%であった。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性添加剤と疎水性樹脂と親水性樹脂からなる樹脂組成物において、成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂及び成型時に液体である機能性添加剤からなり、成形時に液体である機能性添加剤はヒバ油、ユーカリ油、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド)、気化性防錆油、3-[N-n-ブチル-N-アセチル]アミノブロピオン酸エチルエステル、エンペントリン、トランスフルトリン、精油(エッセンシャルオイル)のいずれかであり、親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5~40パーセントである、樹脂組成物。
【請求項2】
疎水性樹脂はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン共重合体(ABS)、アクリル樹脂、ナイロン6、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5~40パーセントである、親水性樹脂はポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、ポリビニルアルコール、でんぷん、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ニトロセルロース、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の樹脂組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂及び成型時に液体である機能性添加剤からなる樹脂組成物において、親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5~40パーセントである。そして親水性樹脂はポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製、登録商標アルコックス、融点65~67℃)、熱可塑性ノニオン型ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂(住友精化株式会社製、登録商標アクアコーク、融点60~70℃、分子量約6万~数百万)、ポリビニルアルコール、でんぷん、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ニトロセルロース、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)のいずれかである。
親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5パーセント以下の場合には機能性添加剤の抗菌性等の効果が得られ難い。また親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の40パーセント以上の場合には樹脂成形品が強度的に弱くなる恐れがある。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性添加剤と疎水性樹脂と親水性樹脂からなる樹脂組成物において、成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂(100℃以下の融点もしくは軟化点を有する熱可塑性樹脂を除く)、親水性樹脂及び成型時に液体である機能性添加剤からなり、成形時に液体である機能性添加剤はヒバ油、ユーカリ油、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド)、気化性防錆油、3-[N-n-ブチル-N-アセチル]アミノプロピオン酸エチルエステル、エンペントリン、トランスフルトリン、精油(エッセンシャルオイル)のいずれかであり、親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5~40パーセントである、樹脂組成物(但し、直鎖状低密度ポリエチレンとアルキレンオキサイドを含む共重合体とヒバ精油の組合せを除く)。
【請求項2】
疎水性樹脂(100℃以下の融点もしくは軟化点を有する熱可塑性樹脂を除く)はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン共重合体(ABS)、アクリル樹脂、ナイロン6、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
親水性樹脂の重量含有率が樹脂全体の5~40パーセントである、親水性樹脂はポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、ポリビニルアルコール、でんぷん、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ニトロセルロース、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の樹脂組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
成形温度が機能性添加剤の沸点以下である疎水性樹脂、親水性樹脂及び成型時に液体である機能性添加剤からなる樹脂組成物において、成形時に液体である機能性添加剤はヒバ油(ヒノキチオール(融点50~52℃、沸点140℃(10mmHg)))、ユーカリ油、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、沸点288~292℃)、気化性防錆油(米国ロンコ・ラボラトリーズ社製、商品名フェロガード1009)、3-[N-n-ブチル-N-アセチル]アミノプロピオン酸エチルエステル(メルク社製、登録商標IR-3535、融点-90℃以下、沸点314.8℃)、エンペントリン(沸点295.5℃)、トランスフルトリン(融点32℃、沸点250℃)、精油(エッセンシャルオイル)のいずれかである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
低密度ポリエチレン(LDPE、旭化成株式会社製、登録商標サンテック-LD)、ポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製、登録商標アルコックス、分子量約6万~数百万)、ヒバ油
(LDPE:ポリエチレンオキサイド=重量比8:2)
テクノベル社製二軸混錬押出機KZW15TW―25MG―NHを用いて、スクリューの回転数200rpm、液体送液ポンプでホッパーからヒバ油を投入(4.8g/分)して、次の条件でペレットを作製した。温度条件 C1:110℃、C2:120℃、C3:125℃、ダイス:125℃、樹脂配合(重量比)低密度ポリエチレン:ポリエチレンオキサイド=8:2、得られたストランドからのブリードは観測されなかった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
低密度ポリエチレン(旭化成株式会社製、登録商標サンテック-LD)、スチレン系とアクリル系熱可塑性エラスチマー混合物(クラレプラスチックス株式会社製、商品名アーネストン)、ヒバ油
(低密度ポリエチレン:スチレン系とアクリル系熱可塑性エラスチマー混合物(クラレプラスチックス株式会社製、商品名アーネストン)=重量比8:2
テクノベル社製二軸混錬押出機KZW15TW―25MG―NHを用いて、液体送液ポンプでホッパーからヒバ油を投入して、次の条件でペレットを作製した。温度条件 C1:120℃、C2:130℃、C3:135℃、ダイス:135℃、樹脂配合(重量比)低密度ポリエチレン:スチレン系とアクリル系熱可塑性エラストマー混合物(クラレプラスチックス株式会社製、商品名アーネストン)=8:2
作製したストランドはヒバ油が滲みだしてきた。すなわち、この樹脂(疎水性樹脂―疎水性樹脂―ヒバ油)はヒバ油を保持できなかった。
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