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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055611
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/02 20210101AFI20240411BHJP
   F24C 11/00 20060101ALI20240411BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20240411BHJP
   F24C 3/08 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F24C1/02 320A
F24C1/02 A
F24C11/00 C
F24C3/00 L
F24C3/08 N
F24C3/08 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162677
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 隆文
(72)【発明者】
【氏名】若杉 裕司
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
(57)【要約】
【課題】鍋振り調理を行う際のユーザの快適性を向上することが可能な技術を提供する。
【解決手段】加熱調理器は、前面を有する本体と、天板と、天板に設けられた第1加熱部、第2加熱部および第3加熱部と、加熱室を備える。第1加熱部は、燃料を熱源とする燃焼式の加熱部である。第2加熱部と、第3加熱部は、電気を熱源とする非燃焼式の加熱部である。加熱室に連通する開口が前面に形成されている。本体が、開口を開閉する扉部材を備えている。加熱調理器を上方から平面視した時に、前後方向に関して、第3加熱部の中心位置が、第2加熱部の中心位置よりも後方側に配置されている。加熱調理器を上方から平面視した時に、左右方向に関して、第1加熱部の中心位置が、扉部材の左右方向の中心線よりも一方側に配置されており、第2加熱部の中心位置と第3加熱部の中心位置が、扉部材の左右方向の中心線よりも他方側に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器であって、
ユーザに対向する前面を有する本体と、
前記本体の上部に配置された天板と、
前記天板に設けられた第1加熱部、第2加熱部および第3加熱部と、
前記本体の内部に設けられた加熱室を備えており、
前記第1加熱部は、燃料を熱源とする燃焼式の加熱部であり、
前記第2加熱部と、前記第3加熱部は、電気を熱源とする非燃焼式の加熱部であり、
前記加熱室に連通する開口が前記前面に形成されており、
前記本体が、前記開口を開閉する扉部材を備えており、
前記加熱調理器を上方から平面視した時に、前後方向に関して、前記第3加熱部の中心位置が、前記第2加熱部の中心位置よりも後方側に配置されており、
前記加熱調理器を上方から平面視した時に、左右方向に関して、前記第1加熱部の中心位置が、前記扉部材の左右方向の中心線よりも一方側に配置されており、前記第2加熱部の中心位置と前記第3加熱部の中心位置が、前記扉部材の前記左右方向の中心線よりも他方側に配置されている、加熱調理器。
【請求項2】
前記加熱調理器を上方から平面視した時に、前後方向に関して、前記第1加熱部の中心位置が、前記第2加熱部の中心位置よりも後方側に配置されている、請求項1の加熱調理器。
【請求項3】
前記第2加熱部と、前記第3加熱部が、電磁誘導式の加熱部である、請求項1の加熱調理器。
【請求項4】
前記第3加熱部の加熱能力が、前記第2加熱部の加熱能力よりも小さい、請求項1の加熱調理器。
【請求項5】
前記加熱調理器を上方から平面視した時に、左右方向に関して、前記扉部材の前記左右方向の中心線が、前記天板の左右方向の中心線に対して、前記他方側にオフセットしている、請求項1の加熱調理器。
【請求項6】
前記加熱調理器を上方から平面視した時に、左右方向に関して、前記第1加熱部の中心位置が、前記天板の左右方向の中心線よりも前記一方側に配置されており、前記第2加熱部の中心位置と前記第3加熱部の中心位置が、前記天板の前記左右方向の中心線よりも前記他方側に配置されている、請求項1の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱調理器が開示されている。前記加熱調理器は、ユーザに対向する前面を有する本体と、前記本体の上部に配置された天板と、前記天板に設けられた第1加熱部、第2加熱部および第3加熱部と、前記本体の内部に設けられた加熱室を備えている。前記第1加熱部と、前記第2加熱部と、前記第3加熱部は、電気を熱源とする非燃焼式の加熱部である。前記加熱室に連通する開口が前記前面に形成されている。前記本体が、前記開口を開閉する扉部材を備えている。前記加熱調理器を上方から平面視した時に、前後方向に関して、前記第3加熱部の中心位置が、前記第2加熱部の中心位置よりも後方側に配置されている。前記加熱調理器を上方から平面視した時に、左右方向に関して、前記第1加熱部の中心位置が、前記扉部材の左右方向の中心線よりも一方側に配置されており、前記第2加熱部の中心位置が、前記扉部材の前記左右方向の中心線よりも他方側に配置されており、前記第3加熱部の中心位置が、前記扉部材の前記左右方向の中心線上に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-23301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い加熱能力で、フライパンの鍋振り調理を行うことができるように、天板に設けられた加熱部のうちの1つ(例えば第1加熱部)を、燃料を熱源とする燃焼式の加熱部としたい場合がある。この場合、他の加熱部(例えば第3加熱部)に鍋等の調理容器が置かれていると、フライパンがその調理容器と衝突しないように、フライパンを往復移動させる必要がある。特許文献1の加熱調理器のような第1加熱部、第2加熱部、第3加熱部および加熱室のレイアウトでは、このようにフライパンを往復移動させると、フライパンの柄を把持しているユーザの手が、加熱室の開口の上方を通過することになる。加熱室の開口からは、例えば加熱室による加熱を行った後、扉部材が開かれている場合に、加熱室からの熱気が漏れ出ることがある。このため、フライパンの柄を把持したユーザの手が、加熱室の開口の上方を通過すると、加熱室からの熱気がユーザの手に当たって、ユーザに不快感を与えるおそれがある。
【0005】
本明細書は、天板に1つの燃焼式の加熱部と2つの非燃焼式の加熱部が設けられ、本体の内部に加熱室が設けられた加熱調理器において、燃焼式の加熱部を用いた鍋振り調理を行う際のユーザの快適性を向上することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、加熱調理器は、ユーザに対向する前面を有する本体と、前記本体の上部に配置された天板と、前記天板に設けられた第1加熱部、第2加熱部および第3加熱部と、前記本体の内部に設けられた加熱室を備えていてもよい。前記第1加熱部は、燃料を熱源とする燃焼式の加熱部であってもよい。前記第2加熱部と、前記第3加熱部は、電気を熱源とする非燃焼式の加熱部であってもよい。前記加熱室に連通する開口が前記前面に形成されていてもよい。前記本体が、前記開口を開閉する扉部材を備えていてもよい。前記加熱調理器を上方から平面視した時に、前後方向に関して、前記第3加熱部の中心位置が、前記第2加熱部の中心位置よりも後方側に配置されていてもよい。前記加熱調理器を上方から平面視した時に、左右方向に関して、前記第1加熱部の中心位置が、前記扉部材の左右方向の中心線よりも一方側に配置されていてもよく、前記第2加熱部の中心位置と前記第3加熱部の中心位置が、前記扉部材の前記左右方向の中心線よりも他方側に配置されていてもよい。
【0007】
上記の構成によれば、第3加熱部に鍋等の調理容器が置かれている状態で、第1加熱部でフライパンの鍋振り調理を行う場合に、調理容器とフライパンが衝突しないようにフライパンを往復移動させる際に、フライパンの柄を把持しているユーザの手が、加熱室の開口の上方を通過することを抑制することができる。このため、加熱室からの熱気がユーザの手に当たって、ユーザに不快感を与えてしまうことを抑制することができる。上記の加熱調理器によれば、燃焼式の加熱部である第1加熱部を用いた鍋振り調理を行う際のユーザの快適性を向上することができる。
【0008】
第2の態様では、第1の態様の加熱調理器において、前記加熱調理器を上方から平面視した時に、前後方向に関して、前記第1加熱部の中心位置が、前記第2加熱部の中心位置よりも後方側に配置されていてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、フライパン等の長い柄のついた調理容器を第1加熱部に載置した場合でも、柄が加熱調理器から前方側に大きく飛び出すことを抑制することができる。加熱調理器のユーザの調理作業の邪魔になることを抑制することができる。
【0010】
第3の態様では、第1または第2の態様の加熱調理器において、前記第2加熱部と、前記第3加熱部が、電磁誘導式の加熱部であってもよい。
【0011】
電気を熱源として加熱する非燃焼式の加熱部としては、電磁誘導式の加熱部のほかにも、ハロゲンヒータや電熱線を用いた加熱部がある。このうち、電磁誘導式の加熱部は、他の非燃焼式の加熱部に比べて、加熱能力が大きく、また調理容器は高温となるものの、加熱部そのものは高温となりにくいという利点がある。上記の構成によれば、第2加熱部と第3加熱部の加熱能力を大きくし、加熱部そのものが高温となることを抑制することができる。
【0012】
第4の態様では、第1から第3の何れか一つの態様の加熱調理器において、前記第3加熱部の加熱能力が、前記第2加熱部の加熱能力よりも小さくてもよい。
【0013】
第3加熱部の加熱能力が第2加熱部の加熱能力よりも小さい場合、第2加熱部は日常的に使用され、第3加熱部は予備的に使用されることが想定される。上記の構成によれば、日常的に使用される第2加熱部がユーザから見て手前側に配置され、予備的に使用される第3加熱部がユーザから見て奥側に配置されているので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0014】
第5の態様では、第1から第4の何れか一つの態様の加熱調理器において、前記加熱調理器を上方から平面視した時に、左右方向に関して、前記扉部材の前記左右方向の中心線が、前記天板の左右方向の中心線に対して、前記他方側にオフセットしていてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、天板上で第1加熱部の周囲により広いスペースを確保することができ、第1加熱部を用いた鍋振り調理を行う際のユーザの利便性を向上することができる。
【0016】
第6の態様では、第1から第5の何れか一つの態様の加熱調理器において、前記加熱調理器を上方から平面視した時に、左右方向に関して、前記第1加熱部の中心位置が、前記天板の左右方向の中心線よりも前記一方側に配置されていてもよく、前記第2加熱部の中心位置と前記第3加熱部の中心位置が、前記天板の前記左右方向の中心線よりも前記他方側に配置されていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、天板上で第1加熱部の周囲により広いスペースを確保することができ、第1加熱部を用いた鍋振り調理を行う際のユーザの利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例の加熱調理器2の斜視図である。
図2】実施例の加熱調理器2の上面図である。
図3】比較例の加熱調理器32の上面図である。
図4】別の実施例の加熱調理器42の上面図である。
図5】さらに別の実施例の加熱調理器52の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例)
図1に示す本実施例の加熱調理器2は、システムキッチンに組み込んで使用されるビルトインコンロである。加熱調理器2は、前面4aがシステムキッチンの手前側に露出する本体4と、本体4の上部に配置されており、システムキッチンのカウンタトップに露出する天板6と、を備えている。なお、以下の説明において、加熱調理器2の前後方向、左右方向とは、システムキッチンの手前側を前方とし、システムキッチンの奥側を後方としたときの、前後方向、左右方向を意味する。このため、加熱調理器2の前後方向、左右方向は、加熱調理器2を使用するユーザから見た前後方向、左右方向とは異なることに留意されたい。
【0020】
天板6には、第1加熱部8と、第2加熱部10と、第3加熱部12が設けられている。第1加熱部8は、都市ガス等の燃料を熱源として調理対象を加熱する、燃焼式の加熱部である。第1加熱部8は、調理容器(例えば鍋)を載置可能な五徳8aと、五徳8aに載置された調理容器を加熱するバーナ8bを備えている。第2加熱部10と第3加熱部12は、電気を熱源として調理対象を加熱する、非燃焼式の加熱部である。第2加熱部10と第3加熱部12は、調理容器(例えば鍋)を載置可能な範囲を示す載置標識10a,12aと、本体4内に収容されており、載置標識10a,12aに載置された調理容器を加熱する誘導加熱(IH)コイル(図示せず)とを備えている。あるいは、第2加熱部10および/または第3加熱部12は、IHコイルの代わりに、載置標識10a,12aに載置された調理容器を加熱するハロゲンヒータ又は電熱線(図示せず)を備えていてもよい。加熱調理器2において、第1加熱部8の加熱能力は、第2加熱部10の加熱能力や第3加熱部の加熱能力よりも大きい。また、第2加熱部10の加熱能力は、第3加熱部12の加熱能力よりも大きい。
【0021】
本体4の内部には、加熱室14が設けられている。加熱室14は、都市ガス等の燃料を熱源として調理対象を加熱する燃焼式の加熱室(例えばバーナを備える加熱室)であってもよいし、電気を熱源として調理対象を加熱する非燃焼式の加熱室(例えばハロゲンヒータ又は電熱線を備える加熱室)であってもよい。また、加熱室14は、グリルタイプの加熱室であってもよいし、オーブンタイプの加熱室であってもよい。加熱室14には、前面4aに形成された開口14aを介して食材や調理容器を出し入れすることができる。開口14aは、扉部材14bにより開閉される。加熱室14は、天板6の後部に設けられた排気口14cに連通している。加熱室14で調理を行うことにより生じる排気は、排気口14cを介して外部に排出される。
【0022】
本体4の前面4aにおいて扉部材14bの左側には、第1コンロ操作ノブ16と、第2コンロ操作ノブ18と、第3コンロ操作ノブ20と、コンロ操作パネル22と、が設けられている。第1コンロ操作ノブ16は、第1加熱部8による加熱の開始操作および終了操作、および第1加熱部8の加熱量の調整操作を受け入れる。第2コンロ操作ノブ18は、第2加熱部10による加熱の開始操作および終了操作、および第2加熱部10の加熱量の調整操作を受け入れる。第3コンロ操作ノブ20は、第3加熱部12による加熱の開始操作および終了操作、および第3加熱部12の加熱量の調整操作を受け入れる。コンロ操作パネル22は、表示部22aと、操作部22bと、を備える。表示部22aには、第1加熱部8、第2加熱部10、第3加熱部12の動作状態などが表示される。操作部22bは、第1加熱部8、第2加熱部10および/または第3加熱部12を用いた自動調理の開始操作および終了操作、および自動調理のための設定操作などを受け入れる。
【0023】
本体4の前面4aにおいて扉部材14bの右側には、加熱室操作ノブ24と、加熱室操作パネル26と、が設けられている。加熱室操作ノブ24は、加熱室14による加熱の開始操作および終了操作、および加熱室14の加熱量の調整操作を受け入れる。加熱室操作パネル26は、表示部26aと、操作部26bと、を備える。表示部26aには、加熱室14の動作状態などが表示される。操作部26bは、加熱室14を用いた自動調理の開始操作および終了操作、および自動調理のための設定操作などを受け入れる。
【0024】
図2に示すように、天板6を上方から平面視した時に、扉部材14bの左右方向の中心線CL1は、天板6の左右方向の中心線CL2よりも右側にオフセットしている。第1加熱部8の中心位置CP1は、扉部材14bの左右方向の中心線CL1や、天板6の左右方向の中心線CL2よりも左側に配置されている。第2加熱部10の中心位置CP2と第3加熱部12の中心位置CP3は、扉部材14bの左右方向の中心線CL1や、天板6の左右方向の中心線CL2よりも右側に配置されている。第2加熱部10の中心位置CP2と第3加熱部12の中心位置CP3は、前後に並んで配置されている。第2加熱部10の中心位置CP2は、第3加熱部12の中心位置CP3や第1加熱部8の中心位置CP1よりも前側に配置されている。第3加熱部12の中心位置CP3は、第2加熱部10の中心位置CP2や第1加熱部8の中心位置CP1よりも後方に配置されている。
【0025】
図3には、比較例として、別の加熱調理器32における、第1加熱部8、第2加熱部10、第3加熱部12の配置を示している。加熱調理器32は、加熱調理器2と同様の構成を備えており、第1加熱部8、第2加熱部10、第3加熱部12の配置のみが加熱調理器2と異なっている。加熱調理器32では、第1加熱部8の中心位置CP1は、扉部材14bの左右方向の中心線CL1や、天板6の左右方向の中心線CL2よりも左側に配置されている。第2加熱部10の中心位置CP2は、扉部材14bの左右方向の中心線CL1や、天板6の左右方向の中心線CL2よりも右側に配置されている。第3加熱部12の中心位置CP3は、扉部材14bの左右方向の中心線CL1よりも左側であって、天板6の左右方向の中心線CL2上に配置されている。第1加熱部8の中心位置CP1と第2加熱部10の中心位置CP2は、左右に並んで配置されている。第3加熱部12の中心位置CP3は、第2加熱部10の中心位置CP2や第1加熱部8の中心位置CP1よりも後方に配置されている。
【0026】
加熱調理器32において、第3加熱部12に両手鍋TPが載置されている状態で、第1加熱部8でフライパンFPの鍋振り調理を行う場合を考える。加熱調理器32では、第1加熱部8が第3加熱部12に近接して配置されているので、フライパンFPを前後方向に往復移動させると、第3加熱部12に載置された両手鍋TPとフライパンFPが衝突してしまう。このため、第1加熱部8でフライパンFPの鍋振り調理を行う際には、フライパンFPを前方右方と後方左方の間で往復移動させる必要がある。フライパンFPを前方右方と後方左方の間で往復移動させる際には、フライパンFPの柄FHを把持したユーザの手が、加熱室14の開口14aの上方を通過することになる。加熱室14の開口14aからは、例えば加熱室14による加熱を行った後、扉部材14bが開かれている場合に、加熱室14からの熱気が漏れ出ることがある。このため、フライパンFPの柄FHを把持したユーザの手が、加熱室14の開口14aの上方を通過すると、加熱室14からの熱気がユーザの手に当たって、ユーザに不快感を与えるおそれがある。
【0027】
同様に、図2に示す加熱調理器2についても、第3加熱部12に両手鍋TPが載置されている状態で、第1加熱部8でフライパンFPの鍋振り調理を行う場合を考える。図3に示す加熱調理器32とは異なり、図2に示す加熱調理器2では、第1加熱部8が第2加熱部10や第3加熱部12から離れて配置されているので、フライパンFPを前後方向に往復移動させた場合でも、第3加熱部12に載置された両手鍋TPとフライパンFPが衝突するおそれがない。このため、第1加熱部8でフライパンFPの鍋振り調理を行う際に、フライパンFPを前後方向に往復移動させることができ、フライパンFPの柄FHを把持したユーザの手が、加熱室14の開口14aの上方を通過することを抑制することができる。加熱室14からの熱気がユーザの手に当たって、ユーザに不快感を与えてしまうことを抑制することができる。
【0028】
なお、図4に示す加熱調理器42のように、第1加熱部8の中心位置CP1を、扉部材14bの左右方向の中心線CL1や、天板6の左右方向の中心線CL2よりも右側に配置し、第2加熱部10の中心位置CP2と第3加熱部12の中心位置CP3を、扉部材14bの左右方向の中心線CL1や、天板6の左右方向の中心線CL2よりも左側に配置してもよい。加熱調理器42は、加熱調理器2と同様の構成を備えており、第1加熱部8、第2加熱部10、第3加熱部12の配置のみが加熱調理器2と異なっている。加熱調理器42でも、第3加熱部12に両手鍋TPが載置されている状態で、第1加熱部8でフライパンFPの鍋振り調理を行う場合に、フライパンFPの柄FHを把持したユーザの手が、加熱室14の開口14aの上方を通過することを抑制することができ、加熱室14からの熱気がユーザの手に当たって、ユーザに不快感を与えてしまうことを抑制することができる。
【0029】
あるいは、図5に示す加熱調理器52のように、扉部材14bの左右方向の中心線CL1が、天板6の左右方向の中心線CL2と一致するように、加熱室14、開口14aおよび扉部材14bを配置してもよい。加熱調理器52は、加熱調理器2と同様の構成を備えており、加熱室14、開口14aおよび扉部材14bの配置のみが加熱調理器2と異なっている。加熱調理器52でも、第3加熱部12に両手鍋TPが載置されている状態で、第1加熱部8でフライパンFPの鍋振り調理を行う場合に、フライパンFPの柄FHを把持したユーザの手が、加熱室14の開口14aの上方を通過することを抑制することができ、加熱室14からの熱気がユーザの手に当たって、ユーザに不快感を与えてしまうことを抑制することができる。
【0030】
なお、図2の加熱調理器2、図4の加熱調理器42、図5の加熱調理器52において、前後方向に関して、第1加熱部8の中心位置CP1を、第2加熱部10の中心位置CP2と略一致させてもよいし、第3加熱部12の中心位置CP3と略一致させてもよい。また、左右方向に関して、第2加熱部10の中心位置CP2を、第3加熱部12の中心位置CP3よりも右側または左側にオフセットして配置してもよい。
【0031】
以上のように、一またはそれ以上の実施形態において、加熱調理器2,42,52は、ユーザに対向する前面4aを有する本体4と、本体4の上部に配置された天板6と、天板6に設けられた第1加熱部8、第2加熱部10および第3加熱部12と、本体4の内部に設けられた加熱室14を備えている。第1加熱部8は、燃料を熱源とする燃焼式の加熱部である。第2加熱部10と、第3加熱部12は、電気を熱源とする非燃焼式の加熱部である。加熱室14に連通する開口14aが前面4aに形成されている。本体4が、開口14aを開閉する扉部材14bを備えている。加熱調理器2,42,52を上方から平面視した時に、前後方向に関して、第3加熱部12の中心位置CP3は、第2加熱部10の中心位置CP2よりも後方側に配置されている。加熱調理器2,42,52を上方から平面視した時に、左右方向に関して、第1加熱部8の中心位置CP1は、扉部材14bの左右方向の中心線CL1よりも一方側に配置されている。第2加熱部10の中心位置CP2と第3加熱部12の中心位置CP3は、扉部材14bの左右方向の中心線CL1よりも他方側に配置されている。
【0032】
上記の構成によれば、第3加熱部12に鍋等の調理容器TPが置かれている状態で、第1加熱部8でフライパンFPの鍋振り調理を行う場合に、調理容器TPとフライパンFPが衝突しないようにフライパンFPを往復移動させる際に、フライパンFPの柄FHを把持しているユーザの手が、加熱室14の開口14aの上方を通過することがない。このため、加熱室14からの熱気がユーザの手に当たって、ユーザに不快感を与えてしまうことを抑制することができる。上記の加熱調理器2,42,52によれば、燃焼式の加熱部である第1加熱部8を用いた鍋振り調理を行う際のユーザの快適性を向上することができる。
【0033】
一またはそれ以上の実施形態の加熱調理器2,42,52において、加熱調理器2,42,52を上方から平面視した時に、前後方向に関して、第1加熱部8の中心位置CP1は、第2加熱部10の中心位置CP2よりも後方側に配置されている。
【0034】
上記の構成によれば、フライパン等の長い柄FHのついた調理容器FPを第1加熱部8に載置した場合でも、柄FHが加熱調理器2,42,52から前方側に大きく飛び出すことを抑制することができる。加熱調理器2,42,52のユーザの調理作業の邪魔になることを抑制することができる。
【0035】
一またはそれ以上の実施形態の加熱調理器2,42,52において、第2加熱部10と、第3加熱部12は、電磁誘導式の加熱部である。
【0036】
電気を熱源として加熱する非燃焼式の加熱部としては、電磁誘導式の加熱部のほかにも、ハロゲンヒータや電熱線を用いた加熱部がある。このうち、電磁誘導式の加熱部は、他の非燃焼式の加熱部に比べて、加熱能力が大きく、また調理容器は高温となるものの、加熱部そのものは高温となりにくいという利点がある。上記の構成によれば、第2加熱部10と第3加熱部12の加熱能力を大きくし、加熱部そのものが高温となることを抑制することができる。
【0037】
一またはそれ以上の実施形態の加熱調理器2,42,52において、第3加熱部12の加熱能力は、前記第2加熱部10の加熱能力よりも小さい。
【0038】
第3加熱部12の加熱能力が第2加熱部10の加熱能力よりも小さい場合、第2加熱部10は日常的に使用され、第3加熱部12は予備的に使用されることが想定される。上記の構成によれば、日常的に使用される第2加熱部10がユーザから見て手前側に配置され、予備的に使用される第3加熱部12がユーザから見て奥側に配置されているので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0039】
一またはそれ以上の実施形態の加熱調理器2において、加熱調理器2を上方から平面視した時に、左右方向に関して、扉部材14bの左右方向の中心線CL1が、天板6の左右方向の中心線CL2に対して、他方側にオフセットしている。
【0040】
上記の構成によれば、天板6上で第1加熱部8の周囲により広いスペースを確保することができ、第1加熱部8を用いた鍋振り調理を行う際のユーザの利便性を向上することができる。
【0041】
一またはそれ以上の実施形態の加熱調理器2,42,52において、加熱調理器2,42,52を上方から平面視した時に、左右方向に関して、第1加熱部8の中心位置CP1が、天板6の左右方向の中心線CL2よりも一方側に配置されており、第2加熱部10の中心位置CP2と第3加熱部12の中心位置CP3が、天板6の左右方向の中心線CL2よりも他方側に配置されている。
【0042】
上記の構成によれば、天板6上で第1加熱部8の周囲により広いスペースを確保することができ、第1加熱部8を用いた鍋振り調理を行う際のユーザの利便性を向上することができる。
【0043】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0044】
2 :加熱調理器
4 :本体
4a :前面
6 :天板
8 :第1加熱部
8a :五徳
8b :バーナ
10 :第2加熱部
10a :載置標識
12 :第3加熱部
12a :載置標識
14 :加熱室
14a :開口
14b :扉部材
14c :排気口
16 :第1コンロ操作部
18 :第2コンロ操作部
20 :第3コンロ操作部
22 :コンロパネル
22a :表示部
22b :操作部
24 :加熱室操作部
26 :加熱室パネル
26a :表示部
26b :操作部
32 :加熱調理器
42 :加熱調理器
52 :加熱調理器
図1
図2
図3
図4
図5