(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055621
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】皮膚恒常性維持外用剤、これを含む化粧品、医薬品、及び医薬部外品、並びに、皮膚恒常性維持方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240411BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240411BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20240411BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240411BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20240411BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240411BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20240411BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/00
A61P17/16
A61P17/00
A61K36/28
A61Q17/04
A61Q1/12
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162702
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【弁理士】
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】岸田 さくら
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知也
(72)【発明者】
【氏名】鷲頭 加歩
(72)【発明者】
【氏名】畑 友紀
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB282
4C083AB372
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC292
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC492
4C083AC542
4C083AC552
4C083AC582
4C083AC622
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD282
4C083AD342
4C083AD352
4C083AD412
4C083AD432
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD602
4C083AD622
4C083AD642
4C083AD662
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD12
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD33
4C083EE12
4C083FF01
4C088AB26
4C088AC01
4C088BA09
4C088CA05
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
(57)【要約】
【課題】新規な皮膚恒常性維持外用剤を提供する。
【解決手段】本発明にかかる皮膚恒常性維持外用剤は、ナツシロギク抽出物を有効成分とする皮膚恒常性維持外用剤である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナツシロギク抽出物を有効成分とする、皮膚恒常性維持外用剤。
【請求項2】
表皮細胞にて天然保湿因子を増加させる、請求項1に記載の皮膚恒常性維持外用剤。
【請求項3】
前記表皮細胞にてフィラグリンの産生を促進する、請求項2に記載の皮膚恒常性維持外用剤。
【請求項4】
前記表皮細胞にてカスパーゼ14の産生を促進する、請求項2に記載の皮膚恒常性維持外用剤。
【請求項5】
表皮細胞にて17型コラーゲンの産生を促進する、請求項1に記載の皮膚恒常性維持外用剤。
【請求項6】
前記ナツシロギク抽出物が水抽出物である、請求項1~5の何れかに記載の皮膚恒常性維持外用剤。
【請求項7】
請求項6に記載の皮膚恒常性維持外用剤を含む、化粧品、医薬品、又は医薬部外品。
【請求項8】
前記ナツシロギク抽出物の含有量が乾燥固形物換算量で0.0001w/v%以上である、請求項7に記載の化粧品、医薬品、又は医薬部外品。
【請求項9】
請求項6に記載の皮膚恒常性維持外用剤を用いた皮膚恒常性維持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚恒常性維持外用剤、当該皮膚恒常性維持外用剤を含む化粧品、医薬品、及び医薬部外品、並びに、皮膚恒常性維持方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
健康な肌では、良質な表皮細胞により外界からの刺激やアレルゲンなどの侵入を防ぐバリア機能の形成や体内の水分喪失を防ぐ保湿機能の保持など皮膚恒常性維持が欠かせない。
【0003】
フィラグリンはケラチノサイトで産生されるタンパク質であり、プロフィラグリンがケラチノサイトの角化の際に脱リン酸化と加水分解を受けることで産生される。非特許文献1および非特許文献2では、フィラグリンは角層において、ケラチンフィラメントの凝集効率を高め、角質細胞の内部の構築に関与していることが報告されている。また、非特許文献3では、バリア機能の低下が認められるアトピー性皮膚炎の皮膚では、フィラグリンの発現量が低下していることも報告されている。さらにフィラグリンは角質細胞の辺縁構造でバリア機能に深く関与しているコーニファイドエンベロープを構成する前駆体の一つとしても知られている。このようにフィラグリンは、皮膚のバリア機能や保湿機能に重要な役割を果たしていることは広く知られている。
【0004】
フィラグリンが表皮の最上層に近づくにつれてアミノ酸レベルにまで分解されると、天然保湿因子(natural moisturizing factor: NMF)が産生される。この分解過程においてカスパーゼ14が関与していることも知られている。角層の水分保持に重要な役割を担うNMFもバリア機能の維持に関与しており、非特許文献4では、NMFの産生阻害により、皮膚バリア機能の低下がもたらされることが報告されている。
【0005】
一方で、17型コラーゲンはケラチノサイトと基底膜を接着させる分子であり、皮膚の恒常性維持において重要な役割を果たしていることが知られている。非特許文献5では、表皮ではダメージやストレスを受けた幹細胞を選択的に排除しながら、17型コラーゲンを発現する再生能力の高い表皮幹細胞を増幅することで、表皮角化細胞の品質を保っていると報告されている。さらに、加齢によって17型コラーゲンの発現が低下すると、表皮の細胞競合が減弱して表皮の老化が顕著となることから、17型コラーゲンの発現増加は皮膚の恒常性維持に重要であると考えられている。
【0006】
このような背景から、皮膚恒常性維持に関し有用な外用剤を提供する目的の下、従来からフィラグリン及びNMFの産生促進作用、並びに、17型コラーゲン産生促進作用を持つ物質の探索が行われてきたが、充分に満足するものは得られていなかった。
【0007】
そこで、本発明者らは、数多ある候補物質の中でも、キク科ヨモギギク属のナツシロギク(英名:Feverfew、学名:Tanacetum parthenium、学名シノニム:Chrysanthemum Parthenium)の植物又はその抽出物に着目した。ここで、ナツシロギクは、古くから、薬草として知られている。ナツシロギクの薬草としての使用目的としては、例えば、発熱、頭痛、便秘、下痢、分娩困難、及びめまい等が挙げられる。
【0008】
近年、ナツシロギクの効能に関しいくつかの研究がなされてきた。例えば特許文献1では、ナツシロギク抽出物に関して、抗炎症及び抗酸化活性を有する点が開示されている。また、特許文献2には、皮膚の弾力性、色調、又はきめ等の皮膚の老化因子を整えたり、皮膚のしわを整えたりするためのナツシロギク抽出物を含む組成物が開示されている。ここで、特許文献2にて具体的に検討された作用は、酵素障害及び抗酸化による皮膚老化因子調節作用のみで、詳細な検討はなされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Invest.Dermatol.(1994)103(5):731-740
【非特許文献2】J.Cell Science(2009)122(9):1285-1294
【非特許文献3】Arch Dermatol Res.(1996)288(8):442-6
【非特許文献4】J BiolChem. (2011)286(10):8204-8212
【非特許文献5】Nature (2019)568(7752):344-350
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2017-61476号公報
【特許文献2】特許第5005644号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記背景に鑑み、本発明は新規な皮膚恒常性維持外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔1〕上記目的を達成する本発明に係る皮膚恒常性維持外用剤は、ナツシロギク抽出物を有効成分とする。
【0013】
〔2〕また、上記〔1〕の皮膚恒常性維持外用剤が、表皮細胞にて天然保湿因子を増加させることが好ましい。
【0014】
〔3〕また、上記〔1〕又は〔2〕の皮膚恒常性維持外用剤が、前記表皮細胞にてフィラグリンの産生を促進することが好ましい。
【0015】
〔4〕また、上記〔1〕~〔3〕の何れかの皮膚恒常性維持外用剤が、前記表皮細胞にてカスパーゼ14の産生を促進することが好ましい。
【0016】
〔5〕また、上記〔1〕~〔4〕の何れかの皮膚恒常性維持外用剤が、表皮細胞にて17型コラーゲンの産生を促進することが好ましい。産生された17型コラーゲンにより、表皮細胞と、基底膜との接着を強化させることで、皮膚恒常性維持機能を高めることができる。
【0017】
〔6〕また、上記〔1〕~〔5〕の何れかの皮膚恒常性維持外用剤において、前記ナツシロギク抽出物が水抽出物であることが好ましい。
【0018】
〔7〕ここで、本発明の化粧品、医薬品、又は医薬部外品は、上記〔1〕~〔6〕の何れかの皮膚恒常性維持外用剤を含むことを特徴とする。
【0019】
〔8〕また、上記〔7〕の化粧品、医薬品、又は医薬部外品において、前記ナツシロギク抽出物の含有量が乾燥固形物換算の質量対容量比濃度で0.0001w/v%以上であることが好ましい。
【0020】
〔9〕さらに、本発明の皮膚恒常性維持方法は、上記〔1〕~〔6〕の何れかの皮膚恒常性維持外用剤を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、新規な皮膚恒常性維持外用剤を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ナツシロギク抽出物(ナツシロギクエキス)による、カスパーゼ14のmRNAの発現促進効果を示すグラフである。
【
図2】ナツシロギク抽出物による、フィラグリンのmRNAの発現促進効果を示すグラフである。
【
図3】ナツシロギク抽出物による、コラーゲン17A1のmRNAの発現促進効果を示すグラフである。
【
図4】ショウブ抽出液が、カスパーゼ14のmRNAの発現に対して及ぼす影響を示すグラフである。
【
図5】ショウブ抽出液が、フィラグリンのmRNAの発現に対して及ぼす影響を示すグラフである。
【
図6】ショウブ抽出液が、コラーゲン17A1のmRNAの発現に対して及ぼす影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一例にかかる皮膚恒常性維持外用剤について説明する。以下、本明細書において、皮膚恒常性維持外用剤を塗布して皮膚恒常性維持効果をもたらす対象である、皮膚の構造については、下記の通りであるものとして説明する。まず皮膚は、最表層側からこの順に、表皮、真皮、及び皮下組織を有する。さらに、表皮は最表層側からこの順で、角層、顆粒層、有棘層、及び基底層を有する。そして、表皮を構成する細胞は「表皮細胞」と呼ばれるが、表皮細胞には、一般的にケラチノサイトを示すことが多い。また、表皮と真皮との間には、「基底膜」と称される構造部が存在する。この基底膜とケラチノサイトとが良好に接着することで、基底層における正常な細胞分裂が促進され、皮膚恒常性を良好に維持することができる。
【0024】
本発明の皮膚恒常性維持外用剤は、ナツシロギク抽出物を有効成分とする。ナツシロギク抽出物は、本発明者らによる検討の結果、皮膚恒常性維持に関連して後述する種々の機能を奏しうる物質であることが明らかになった有効成分であり、1種類で多方面からアプローチ可能な有効成分である。なお、上記列挙した特許文献1、2においては、ナツシロギク抽出物に関し種々の機能を奏しうることが示唆されているが、これら列挙された機能は皮膚恒常性維持外用剤としての有用性を何ら示唆するものではなかった。このように、本発明は、技術常識に照らして全く新規な用途をナツシロギク抽出物に見出したものである。
【0025】
本発明の皮膚恒常性維持外用剤の有効成分であるナツシロギク抽出物は、学名「Tanacetumparthenium」(学名シノニム:Chrysanthemum Parthenium)で表されるナツシロギクの抽出物である。ナツシロギク抽出物の原料としては、ナツシロギクの花、葉、茎、種子、及び根等であり、特にこれらすべてを含む全草が好ましい。なお、原料は、生物自体、凍結物、乾燥物、及び凍結乾燥物などのいずれでもよい。また、ナツシロギク抽出物の製造方法は特に限定されず、常法に従って製造することができる。中でも、抽出溶媒として水などの水性溶媒を用いて製造したナツシロギク抽出物が好ましい。
【0026】
皮膚恒常性維持外用剤は、本発明の効果を阻害しない限り、水などの溶媒、ナツシロギク抽出物以外に、化粧品、医薬品、及び医薬部外品に汎用される水性成分、油性成分、植物抽出物、動物抽出物、粉末、界面活性剤、油剤、アルコール、PH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、及び香料等の添加成分を必要に応じて配合して用いることができる。そして、本発明の皮膚恒常性維持外用剤及びこれを用いた化粧品、医薬品、及び医薬部外品の剤形は特に限定されず、化粧水、乳液、クリーム、パック、パウダー、スプレー、軟膏、分散液、洗浄料等種々の剤形でありうる。
【0027】
また、本発明の皮膚恒常性維持外用剤を含む化粧品、医薬品、及び医薬部外品は、ナツシロギク抽出物の含有量が乾燥固形物換算の質量対容量比濃度で、0.0001w/v%以上であることが好ましく、0.0004w/v%以上であることがより好ましく、0.001w/v%以上であることが更に好ましく、0.005w/v%以上であることが更に好ましい。皮膚恒常性維持外用剤を含む化粧品、医薬品、及び医薬部外品におけるナツシロギク抽出物の含有量が上記下限値以上であれば、皮膚恒常性維持効果に優れる。より具体的には、皮膚恒常性維持外用剤を含む化粧品等におけるナツシロギク抽出物の含有量が上記下限値以上である場合には、後述する、表皮細胞におけるカスパーゼ14の産生促進効果、表皮細胞におけるフィラグリンの産生促進効果、及び表皮細胞におけるコラーゲン17の産生促進効果のうちの一つ又は複数を効果的に高めることができる。なお、皮膚恒常性維持外用剤を含む化粧品、医薬品、及び医薬部外品におけるナツシロギク抽出物の含有量の上限は特に限定されないが、例えば、乾燥固形物換算の質量対容量比濃度で、0.02w/v%以下でありうる。
【0028】
以下、ナツシロギク抽出物を有効成分とする皮膚恒常性維持外用剤及び当該皮膚恒常性維持外用剤を含む化粧品、医薬品、及び医薬部外品(以下、本発明の皮膚恒常性維持外用剤など、と称することがある)が皮膚に皮膚恒常性維持効果をもたらすメカニズムについて説明する。
【0029】
本発明の皮膚恒常性維持外用剤などは、表皮細胞にて天然保湿因子(NMF)を増加させることができる。産生促進されたNMFによれば、皮膚バリア機能を高めることができ、その結果、皮膚恒常性を良好に維持することができる。
【0030】
また、本発明の皮膚恒常性維持外用剤などは、表皮細胞におけるカスパーゼ14の産生を促進することができる。カスパーゼ14は、フィラグリンを分解して、天然保湿因子(NMF)を生成する過程において重要な役割を果たす分解酵素である。よって、本発明の皮膚恒常性維持外用剤により、表皮細胞にてカスパーゼ14の産生が促進されることで、NMFの生成が促進され、その結果として、皮膚バリア機能を高めて皮膚恒常性維持に寄与する。
【0031】
また、本発明の皮膚恒常性維持外用剤などは、表皮細胞におけるフィラグリンの産生を促進することができる。フィラグリンとは、NMFのもととなるタンパク質である。フィラグリンは、表皮は最表層側から、角層に続き2番目の層である顆粒層に貯蔵されているプロフィラグリンが角化する際に、脱リン酸化されることで生成される。その後、フィラグリンが表皮の最上層に近づくにつれて、アミノ酸レベルにまで分解されて、NMFとなる。したがって、本発明の皮膚恒常性維持外用剤は、フィラグリンを産生促進することで、NMFの生成を促進し、その結果として、皮膚バリア機能を高めて皮膚恒常性維持に寄与する。
【0032】
また、本発明の皮膚恒常性維持外用剤などは、表皮細胞における17型コラーゲンの産生を促進することができる。17型コラーゲンは、表皮と真皮との間に介在する基底膜と表皮細胞との間の接着に寄与する分子の一つである。よって、本発明の皮膚恒常性維持外用剤により17型コラーゲンが産生促進されることで、基底膜と表皮細胞とが良好に接着することができるようになる。その結果、基底層における正常な細胞分裂が促進され、皮膚恒常性を良好に維持することができる。
【0033】
そして、上記のようなメカニズムにより、本発明の皮膚恒常性維持外用剤等を、対象とする皮膚に対して適用することで皮膚恒常性維持効果をもたらす皮膚恒常性維持方法を実施することができる。なお、本発明の皮膚恒常性維持方法は、ヒトの皮膚の治療目的で実施する方法は含まない。
【0034】
なお、本発明の皮膚恒常性維持方法は、表皮細胞におけるカスパーゼ14を促進すること、表皮細胞におけるフィラグリンの産生を促進すること、及び表皮細胞におけるコラーゲン17の産生を促進すること、のうちの少なくとも一つを含むことを特徴する。本発明の皮膚恒常性維持方法では、これらすべてが実施されることが好ましい。また、これらのうち、表皮細胞におけるカスパーゼ14を促進すること、及び、表皮細胞におけるフィラグリンの産生を促進することは、共に、表皮細胞におけるNMFの産生を促すことにつながる。
【実施例0035】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
正常ヒト表皮角化細胞Normal Human Epidermal Keratinocytes(クラボウ社製、ケラチノサイト)をナツシロギク抽出物(ナツシロギク全草を原料とするナツシロギクエキス)存在下で培養し、各遺伝子の発現量を確認した。ナツシロギク抽出物は、25v/v%エタノール水溶液に溶解したものを用いた。具体的には、ケラチノサイトにナツシロギク抽出物を、乾燥固形物換算の質量対容量比濃度がそれぞれ0.005w/v%、0.01w/v%、0.015w/v%、0.02w/v%となるように添加し、37℃、5体積%CO2環境下で培養した。このとき、培養液中のエタノール濃度は、コントロール含め0.25v/v%になるように調製した。培養後の細胞から精製したトータルRNAを用いて、カスパーゼ14(以下、「CASP14」と略記することがある。)のmRNA発現量を定量的逆転写PCR(バイオラッド社製、Real-time PCR Detection System)で測定した。
【0037】
図1は、ナツシロギク抽出物によるCASP14のmRNAの発現促進効果を示すグラフである。
図1において、縦軸はコントロール(ナツシロギク抽出物無添加;比較例相当)のmRNA発現量を1とした時の相対量を示している。横軸は、ナツシロギク抽出物の添加濃度(乾燥固形物換算濃度の質量対容量比濃度)を示している。また、エラーバーはSD値を示す(以下、各グラフにおいても同じ。)。コントロール(ナツシロギク抽出物無添加;比較例相当)を基準として、0.005 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例1-1)では2.34倍、0.01 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例1-2)では5.30倍、0.015w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例1-3)では4.53倍、0.02 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例1-4)では2.44倍のmRNA発現量の増加が認められた。
【0038】
ナツシロギク抽出物を添加した実施例1-1~1-4では、総じて、ナツシロギク抽出物を添加しなかったコントロール(比較例相当)よりもカスパーゼ14の遺伝子の発現量が増えていたことが分かる。このことから、ナツシロギク抽出物を添加することで、表皮細胞でのカスパーゼ14産生を促進できたことが分かる。したがって、この結果から、ナツシロギク抽出物を有効成分とする皮膚恒常性維持外用剤を適用した場合に、産生されたカスパーゼ14がNMFの生成を促進し、その結果として、皮膚バリア機能を高めて皮膚恒常性維持に寄与し得ることが分かる。
【0039】
(実施例2)
実施例1と同様にして、ナツシロギク抽出物存在下(25v/v%エタノール水溶液に溶解したものを用い、濃度はそれぞれ、乾燥固形物換算の質量対容量比濃度で0.005w/v%、0.01w/v%、0.015w/v%、0.02w/v%でケラチノサイトを培養した。このとき、培養液中のエタノール濃度は、コントロール含め0.25v/v%になるように調製した。そして、実施例1と同行にして、細胞から精製したトータルRNAにより、フィラグリン(FLG)のmRNA発現量を測定した。
【0040】
図2は、ナツシロギク抽出物によるFLGのmRNAの発現促進効果を示すグラフである。
図2において、縦軸はコントロール(ナツシロギク抽出物無添加;比較例相当)のmRNA発現量を1とした時の相対量を示している。横軸は、ナツシロギク抽出物の添加濃度(乾燥固形物換算の質量対容量比濃度)を示している。コントロール(ナツシロギク抽出物無添加;比較例相当)を基準として、0.005 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例2-1)では3.58倍、0.01 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例2-2)では6.47倍、0.015 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例2-3)では6.89倍、0.02%のナツシロギク抽出物添加(実施例2-4)では4.21倍のmRNA発現量の増加が認められた。
【0041】
ナツシロギク抽出物を添加した実施例2-1~2-4では、総じて、ナツシロギク抽出物を添加しなかったコントロール(比較例相当)よりもフィラグリンの遺伝子の発現量が増えていたことが分かる。このことから、ナツシロギク抽出物を添加することで、表皮細胞でのフィラグリン産生を促進できたことが分かる。したがって、この結果から、ナツシロギク抽出物を有効成分とする皮膚恒常性維持外用剤を適用した場合に、産生促進されたフィラグリンがNMFの生成を促進し、その結果として、皮膚バリア機能を高めて皮膚恒常性維持に寄与し得ることが分かる。
【0042】
(実施例3)
実施例1と同様にして、ナツシロギク抽出物存在下(25v/v%エタノール水溶液に溶解したものを用い、濃度はそれぞれ、乾燥固形物換算の質量対容量比濃度で0.005w/v%、0.01w/v%、0.015w/v%、0.02w/v%)でケラチノサイトを培養した。このとき、培養液中のエタノール濃度は、コントロール含め0.25v/v%になるように調製した。そして、実施例1と同様にして、細胞から精製したトータルRNAにより、コラーゲン17A1(COL17A1)のmRNA発現量を測定した。
【0043】
図3は、ナツシロギク抽出物によるCOL17A1のmRNAの発現促進効果を示すグラフである。
図3において、縦軸はコントロール(ナツシロギク抽出物無添加;比較例相当)のmRNA発現量を1とした時の相対量を示している。横軸は、ナツシロギク抽出物の添加濃度(乾燥固形物換算の質量対容量比濃度)を示している。コントロール(ナツシロギク抽出物無添加;比較例相当)を基準として、0.005 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例3-1)では1.66倍、0.01 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例3-2)では1.97倍、0.015 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例3-3)では1.85倍、0.02 w/v%のナツシロギク抽出物添加(実施例3-4)では1.50倍のmRNA発現量の増加が認められた。
【0044】
ナツシロギク抽出物を添加した実施例3-1~3-4では、総じて、ナツシロギク抽出物を添加しなかったコントロール(比較例相当)よりもコラーゲン17A1の遺伝子の発現量が増えていたことが分かる。このことから、ナツシロギク抽出物を添加することで、表皮細胞でのコラーゲン17A1産生を促進できたことが分かる。したがって、この結果から、ナツシロギク抽出物を有効成分とする皮膚恒常性維持外用剤を適用した場合に、産生促進されたコラーゲン17A1が基底膜と表皮細胞との間の良好な接着を促進して、基底層における正常な細胞分裂を促し、皮膚恒常性を良好に維持することができることが分かる。
【0045】
(比較例1)
正常ヒト表皮角化細胞Normal Human Epidermal Keratinocytes(クラボウ社製、以下ケラチノサイト)をショウブ抽出液存在下で培養し、各遺伝子の発現量を確認した。ショウブ抽出物は、50v/v%エタノール水溶液に溶解したものを用いた。具体的には、ケラチノサイトにショウブ抽出液を、乾燥固形物換算の質量対容量比濃度がそれぞれ0.0004w/v%、0.004w/v%となるように添加し、37℃、5体積%CO2環境下で培養した。このとき、培養液中のエタノール濃度は、コントロール含め0.5v/v%になるように調製した。培養後の細胞から精製したトータルRNAを用いて、カスパーゼ14(CASP14)のmRNA発現量を定量的逆転写PCR(バイオラッド社製、Real-time PCR Detection System)で測定した。
【0046】
図4は、ショウブ抽出液がCASP14のmRNA発現に対して及ぼす影響を示すグラフである。
図4において、縦軸はコントロールのmRNA発現量を1とした時の相対量を示している。横軸はショウブ抽出液の乾燥固形物換算での添加濃度を示している。0.0004w/v%のショウブ抽出液添加では0.92倍、0.004w/v%のショウブ抽出液添加では1.05倍のmRNA発現量となっていた。高濃度側(0.004w/v%)の添加濃度は、オーダーが実施例1-1の0.005w/v%と同等であり、また、測定値の標準偏差を考慮すると、ショウブ抽出液の添加の有無は、CASP14のmRNA発現量の増減に有意な影響がなかったといえる。よって、ショウブ抽出液によっては、カスパーゼ14の産生促進に基づく皮膚恒常性維持効果を得ることができないことが分かる。
【0047】
(比較例2)
比較例1と同様にして、ショウブ抽出液存在下(50v/v%エタノール水溶液に溶解したものを用い、濃度はそれぞれ乾燥固形物換算で0.0004w/v%、0.004w/v%)でケラチノサイトを培養した。このとき、培養液中のエタノール濃度は、コントロール含め0.5v/v%になるように調製した。そして、比較例1と同様にして、細胞から精製したトータルRNAにより、フィラグリン(FLG)のmRNA発現量を測定した。
【0048】
図5は、ショウブ抽出液がFLGのmRNA発現に対して及ぼす影響を示すグラフである。
図5において、縦軸はコントロールのmRNA発現量を1とした時の相対量を示している。横軸はショウブ抽出液の乾燥固形物換算での添加濃度を示している。0.0004w/v %のショウブ抽出液添加では1.08倍、0.004w/v %のショウブ抽出液添加では1.11倍のmRNA発現量となっていた。誤差を考慮すると、ショウブ抽出液の添加の有無は、FLGのmRNA発現量の増減に有意な影響がなかったといえる。よって、ショウブ抽出液によっては、フィラグリンの産生促進に基づく皮膚恒常性維持効果を得ることができないことが分かる。
【0049】
(比較例3)
比較例1と同様にして、ショウブ抽出液存在下(50v/v%エタノール水溶液に溶解したものを用い、濃度はそれぞれ、乾燥固形物換算で0.0004w/v%、0.004w/v%)でケラチノサイトを培養した。このとき、培養液中のエタノール濃度は、コントロール含め0.5v/v%になるように調製した。そして、比較例1と同様にして、細胞から精製したトータルRNAにより、コラーゲン17A1(COL17A1)のmRNA発現量を測定した。
【0050】
図6は、ショウブ抽出液がCOL17A1のmRNA発現に対して及ぼす影響を示すグラフである。0.0004w/v %のショウブ抽出液添加では0.89倍、0.004w/v %のショウブ抽出液添加では0.81倍のmRNA発現量の低下が認められた。この結果から、ショウブ抽出液は、コラーゲン17A1の産生を促進するどころか、むしろコラーゲン17A1の産生を抑制しうることが分かる。よって、ショウブ抽出液の添加によっては、コラーゲン17A1の産生促進に基づく基底膜と表皮細胞との間の接着促進効果を得ることができず、ひいては、皮膚恒常性維持効果を得ることができないことが分かる。
【0051】
以下、本発明の皮膚恒常性維持剤を用いた処方例を示す。これらの処方例は、本発明の例示にすぎず、本発明はこれらの処方例に限定されるものではない。
【0052】
[処方例1:化粧水]
(成分) (%)
1.グリセリン 5.0
2.1,3-ブチレングリコール 5.0
3.乳酸 0.05
4.乳酸ナトリウム 0.1
5.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 1.2
6.エタノール 8.0
7.インドール-2-カルボン酸 0.01
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.香料 0.05
10.精製水 残量
11.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 0.1
12.シラカバ樹液 0.1
13.ケイケットウ抽出液 0.1
14.加水分解コラーゲン 0.1
15.ナイアシンアミド 4.0
16.トラネキサム酸 2.0
【0053】
(製造方法)
A:成分(5)~(9)を混合溶解した。
B:成分(1)~(4)と(10)~(16)を混合溶解した。
C:BにAを加え混合し、化粧水を得た。
【0054】
〔処方例2:乳化型化粧水〕
(成分) (%)
1.大豆由来水素添加リン脂質 0.5
2.セトステアリルアルコール 0.1
3.ポリオキシエチレン(10モル)コレステロールエーテル 0.2
4.酢酸-dl-α-トコフェロール 0.1
5.スクワラン 0.1
6.ヒドロキシエチルセルロース 0.03
7.精製水 残量
8.グリチルレチン酸ステアリル 0.25
9.リン酸一水素二ナトリウム 0.1
10.リン酸二水素一ナトリウム 0.1
11.グリセリン 3.0
12.ジプロピレングリコール 2.0
13.エタノール 7.0
14.香料 0.1
15.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 2.0
16.シラカバ樹液 0.1
17.ケイケットウ抽出液 0.1
18.加水分解コラーゲン 0.1
19.ナイアシンアミド 0.05
20.トラネキサム酸 1.5
【0055】
(製造方法)
A:成分1~5を75℃に加熱し、均一に混合溶解した。
B:成分6、7を75℃に加熱し、均一に混合溶解した。
C:AにBを添加し、75℃で乳化した。
D:Cを室温に冷却し、成分8~20を添加し、乳化型化粧水を得た。
【0056】
[処方例3:水中油型乳液]
(成分) (%)
1.1,3-ブチレングリコール 5.0
2.ジブチレングリコール 5.0
3.精製水 残量
4.6-フェニル-インドール-2-カルボン酸 0.001
5.水酸化ナトリウム2%溶液 0.2
6.N-ミリストイル-L-グルタミン酸 0.2
7.ポリオキシエチレン(10モル)硬化ヒマシ油(注1) 0.2
8.マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 1.0
9.ジメチルポリシロキサン(注2) 3.0
10.N-ステアロイルフィトスフィンゴシン 0.1
11.酢酸トコフェロール 0.01
12.ステアリルアルコール 0.5
13.1,2-ペンタンジオール 0.1
14.カルボキシビニルポリマー(注3) 0.15
15.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(注4) 0.1
16.エタノール 5.0
17.香料 0.1
18.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 1.0
19.エゾウコギ抽出液 0.1
20.ホオノキ抽出液 0.1
21.タベブイアインペチギノサ樹皮エキス 0.1
22.ナイアシンアミド 5.0
23.トラネキサム酸 3.0
(注1) HCO-10(日本サーファクタント工業社製)
(注2) シリコンKF-96A(6CS) (信越化学工業社製)
(注3) CARBOPOL980 (LUBRIZOL ADVANNCED MATERIALS社製)
(注4) SIMULGEL EG(SEPIC社製)
【0057】
(製造方法)
A:成分1~5を70℃で均一に溶解混合した。
B:成分6~14を80℃で均一に溶解混合した。
C:AにBを添加し70℃で乳化した。
D:Cに成分(15)~(23)を添加混合した後、40℃まで冷却して水中油型乳液を得た。
【0058】
[処方例4:水中油型乳化クリーム]
(成分) (%)
1.1,3-ブチレングリコール 12.0
2.グリセリン 5.0
3.精製水 残量
4.クエン酸 0.1
5.アスコルビン酸ナトリウム 0.5
6.メタケイ酸ナトリウム 0.05
7.水添レシチン 0.5
8.水添リゾレシチン(注5) 0.5
9.マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル 1.5
10.トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリル 2.0
11.セラミド2 0.1
12.アスタキサンチン 0.1
13.トコフェロール 0.01
14.セトステアリルアルコール 2.0
15.ベヘニルアルコール 1.0
16.グリセリンモノステアリン酸エステル 1.0
17.パラオキシ安息香酸メチル 0.05
18.カルボマー 0.15
19.キサンタンガム 0.1
20.水酸化ナトリウム 0.004
21.香料 0.05
22.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 0.01
23.エゾウコギ抽出液 0.1
24.ホオノキ抽出液 0.1
25.タベブイアインペチギノサ樹皮エキス 0.1
26.ナイアシンアミド 1.0
27.トラネキサム酸 2.5
(注5)LP70H(日本精化社製)
【0059】
(製造方法)
A:成分1~6を70℃で均一に溶解混合した。
B:成分7~16を80℃で均一に溶解混合した。
C:AにBを添加し70℃で乳化した。
D:Cに成分17~27を添加混合した後、40℃まで冷却することで水中油型乳化クリームを得た。
【0060】
[処方例5:不織布含浸タイプパック料]
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(10モル)フィトステロール 1.0
2.ステアリルアルコール 0.2
3.セタノール 0.2
4.水素添加大豆リン脂質(注6) 1.0
5.プロピレングリコール 10.0
6.ジグリセリン 8.0
7.流動パラフィン 1.0
8.メドウフォーム油 0.5
9.コエンザイムQ10(注7) 0.02
10.精製水 1.0
11.エタノール 3.0
12.精製水 残量
13.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 0.5
14.オウゴンエキス 0.1
15.コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.05
16.パンクラチウムマリチムムエキス 0.1
17.ナイアシンアミド 0.5
18.トラネキサム酸 0.1
(注6)ニッコール レシノールS-10(日光ケミカルズ社製)
(注7)カネカ コエンザイムQ10(カネカ社製)
【0061】
(製造方法)
A:成分1~6を80℃で溶解混合した。
B:成分7~9を80℃に加熱し、Aに添加したのち、75℃に加熱した成分10を加えて乳化した。
C:これを撹拌冷却し、成分11~18を加えて混合して水中油型乳液を得た。これを不織布に含浸させ、不織布含浸タイプパック料を得た。
【0062】
[処方例6:日焼け止め]
1.ステアリン酸 1.0
2.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 0.5
3.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
4.ベヘニルアルコール 0.5
5.2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
6.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 10.0
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0
8.ジメチコジエチルベンザルマロネート 1.0
9.2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキスルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(注8) 1.0
10.オクチルトリアゾン 0.5
11.ジプロピレングリコール 10.0
12.トリエタノールアミン 1.0
13.精製水 残量
14.グリセリン 5.0
15.1,3-ブチレングリコール 5.0
16.メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(注9) 1.0
17.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体(注10) 0.2
18.精製水 5.0
19.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 0.5
20.オウゴンエキス 0.1
21.コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.05
22.パンクラチウムマリチムムエキス 0.1
23.ナイアシンアミド 1.5
24.トラネキサム酸 0.5
25.クエン酸 0.1
26.コハク酸二ナトリウム 0.1
27.エタノール 10.0
28.フェノキシエタノール 0.1
29.香料 0.1
(注8) Tinosorb S(BASF社製)
(注9) Tinosorb M(BASF社製)
(注10) CARBOPOL 1382(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)
【0063】
(製造方法)
A:成分1~10を80℃にて均一に溶解した。
B:成分11~18を80℃にて均一に溶解した。
C:BにAを添加し、乳化した。
D:Cを攪拌冷却し、成分19~29を添加し、日焼け止めを得た。
【0064】
[処方例7:軟膏]
(成分) (%)
1.ステアリルアルコール 18.0
2.モクロウ 20.0
3.ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸エステル 0.25
4.グリセリンモノステアリン酸エステル 0.3
5.ワセリン 40.0
6.精製水 残量
7.グリセリン 10.0
8.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 0.5
9.ニーム葉エキス 0.1
10.ポリグルタミン酸溶液 0.1
11.ブクリョウエキス 0.1
12.ナイアシンアミド 2
13.トラネキサム酸 3.5
【0065】
(製造方法)
A:1~5を70℃で均一に混合した。
B:6~8を70℃に加温した。
C:AにBを加え、乳化した。
D:Cを冷却し、9~13を添加し、軟膏を得た。
【0066】
[処方例8:ファンデーション]
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(注11) 2.0
2.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注6)1.0
3.ジメチルポリシロキサン 5.0
4.ジメチルポリシロキサン処理赤色酸化鉄 1.0
5.ジメチルポリシロキサン処理黄色酸化鉄 1.5
6.ジメチルポリシロキサン処理黒色酸化鉄 0.5
7.ジメチルポリシロキサン処理二酸化チタン(平均粒子径400nm) 10.0
8.ジメチルポリシロキサン処理タルク(板状、平均粒子径12μm) 5.0
9.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 5.0
10.グリチルレチン酸ステアリル 0.5
11.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
12.精製水 残量
13.1,3-ブチレングリコール 15.0
14.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 0.2
15.ニーム葉エキス 0.1
16.ポリグルタミン酸溶液 0.1
17.ブクリョウエキス 0.1
18.ナイアシンアミド 0.1
19.トラネキサム酸 1.0
20.クエン酸ナトリウム 0.1
21.リン酸二水素一ナトリウム 0.1
22.フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 0.3
23.トリエタノールアミン 1.7
24.カプリリルグリコール 0.1
25.香料 0.1
(注11) ABIL EM-90(EVONIK GOLDSCHMIDT GMBH製)
【0067】
(製造方法)
A:成分1~3を均一に混合する。
B:成分4~11をローラーにて均一に分散する。
C:AにBを添加し、均一混合する。
D:成分12~25を混合溶解する。
E:CにDを添加して、乳化し、ファンデーションを得た。
【0068】
[処方例9:水中油型下地]
(成分) (%)
1.1,3-ブチレングリコール 7.0
2.ジプロピレングリコール 5.0
3.トリエタノールアミン 0.4
4.精製水 残量
5.乳酸ソーダ 0.04
6.水添レシチン 0.4
7.ステアリン酸 1.0
8.ステアリン酸PEG-55 0.3
9.セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.1
10.2-エチルヘキサン酸セチル 2.0
11.セトステアリルアルコール 0.3
12.ベヘニルアルコール 0.5
13.オレイン酸フィトステリル 0.1
14.タルク 0.4
15.含水シリカ 0.1
16.マイカ 1.3
17.酸化チタン 6.0
18.酸化鉄 0.1
19.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
20.キサンタンガム 0.1
21.水酸化ナトリウム 0.008
22.グリシン 0.01
23.アルギニン 0.01
24.ナイアシンアミド 7.0
25.トラネキサム酸 0.1
26.ナツシロギクエキス(25v/v%エタノールによる1w/v%希釈溶液) 1.5
27.テアニン 0.05
28.クインスシードエキス 0.1
29.ディオスコレアパンタイカ根エキス 0.1
30.アデノシン三リン酸ナトリウム 0.05
【0069】
(製造方法)
A:成分1~5を70℃で均一に溶解混合した。
B:成分6~13を80℃で均一に溶解混合した。
C:AにBを添加し70℃で乳化した。
D:Cに成分14~25を添加混合した後、40℃まで冷却し成分26~30を添加混合することで水中油型下地を得た。