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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005563
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】冷却ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240110BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20240110BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H05K7/20 M
H05K7/20 G
H05K7/20 H
F28D1/06 A
G06F1/20 B
G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105787
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 鋭彦
(72)【発明者】
【氏名】玉岡 健人
【テーマコード(参考)】
3L103
5E322
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103AA35
3L103CC22
3L103DD62
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA10
5E322BA01
5E322BB03
5E322DA01
5E322DA02
5E322DA04
5E322EA11
5E322FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷却性能が高く、小型の冷却ユニットを提供する。
【解決手段】冷却システム100において、冷却ユニット1は、ラジエータ161、162と、ポンプ131、132と、ケーシング11と、を備える。ラジエータは、複数の冷媒流路18、1613、1623と、複数の通風路1614、1624と、を有している。ラジエータは、複数の冷媒流路内を流通する冷媒を、複数の通風路内で流れる空気で冷却する。ポンプは、ラジエータと接続されており、冷媒を加圧する。ケーシングは、ラジエータとポンプとを収容する。ラジエータは、ケーシングの第一面に対して傾斜して斜めに配置されている。ポンプの少なくとも一部は、ラジエータと第一面との間に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の冷媒流路と、複数の通風路と、を有し、前記複数の冷媒流路内を流通する冷媒を、前記複数の通風路内で流れる空気で冷却するラジエータと、
前記ラジエータと接続されており、前記冷媒を加圧するポンプと、
前記ラジエータと前記ポンプとを収容するケーシングと
を備え、
前記ラジエータは、前記ケーシングの第一面に対して傾斜して配置されており、
前記ポンプの少なくとも一部は、前記ラジエータと前記第一面との間に位置する、冷却ユニット。
【請求項2】
前記ポンプを複数備えており、
複数の前記ポンプのうち、少なくとも一つの前記ポンプの全体が、前記ラジエータと前記第一面との間に位置する、請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項3】
前記ポンプの駆動電圧を生成する電源部を更に備え、
前記電源部は、前記ラジエータよりも上方に位置する、請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項4】
前記冷媒を貯留するタンクを更に備え、
前記ケーシングは、前記タンクを更に収容し、
前記タンクの少なくとも一部は、前記ラジエータと前記第一面との間に位置する、請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項5】
前記通風路の開口と対向する空気の吸込口と、空気の吐出口とを有する送風部を更に備え、
前記送風部は、前記吸込口から前記吐出口に向かう気流を発生させる、請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項6】
前記第一面に直交する第一方向に並ぶ二つの前記ラジエータを備えており、
二つの前記ラジエータにおいて、前記第一方向に直交する第二方向の一方側端面の前記第一方向の隙間を閉塞する第一閉塞部と、
二つの前記ラジエータにおいて、前記第二方向の他方側端面の前記第一方向の隙間を閉塞する第二閉塞部と
を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項7】
前記ラジエータとして、第一ラジエータと、前記第一ラジエータと前記第一面との間に位置する第二ラジエータとを備えており、
少なくとも一部が前記第二ラジエータと前記第一面との間に位置し、前記冷媒を貯留するタンクと、
前記第一ラジエータ、前記タンク、前記ポンプ及び前記第二ラジエータの順番で前記冷媒を流通させる配管と
を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項8】
前記第二ラジエータから前記第一ラジエータに向かう気流を発生させる送風部を更に備える、請求項7に記載の冷却ユニット。
【請求項9】
前記複数の通風路内に気流を発生させる送風部と、
前記ポンプの駆動電圧を生成する電源部と
を更に備え、
前記電源部は、前記ラジエータよりも前記気流の下流側に位置する、請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項10】
前記冷媒を貯留するタンクと、
前記ポンプを制御する制御部と
を更に備え、
前記制御部の少なくとも一部は、前記第一面に直交する第一方向における幅が前記ポンプよりも小さく、前記第一方向において前記ラジエータと前記第一面との間に位置し、前記第一面に沿う第三方向において前記ポンプ又は前記タンクと前記ラジエータとの間に位置する、請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却シャシにおいて、ハウジングは、気流方向において互いに対向する第一開放端と第二開放端とを有する。また、ハウジングは、放熱システムを収容する。放熱システムは、内部で流れる冷却剤と、ハウジング及び放熱システムを通過する空気との間で熱を交換する。放熱システムは、2つのラジエータを含む。各ラジエータは、気流方向に対して傾斜している。冷却シャシは、放熱システムを通じて冷却剤を循環させるポンプを更に含む(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-35438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷却シャシにおいて、ラジエータは、ポンプよりも気流方向の下流側に離れてレイアウトされている。従って、冷却シャシ自体を小型化することが難しい。また、ハウジング内でラジエータを大型化することが難しく、その結果、ラジエータの冷却性能を向上させにくいという問題点があった。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却性能が高く、小型の冷却ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な冷却ユニットは、ラジエータと、ポンプと、ケーシングとを備える。ラジエータは、複数の冷媒流路と、複数の通風路とを有している。ラジエータは、複数の冷媒流路内を流通する冷媒を、複数の通風路内で流れる空気で冷却する。ポンプは、ラジエータと接続されており、冷媒を加圧する。ケーシングは、ラジエータとポンプとを収容する。ラジエータは、ケーシングの第一面に対して傾斜して配置されている。ポンプの少なくとも一部は、ラジエータと第一面との間に位置する。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本開示によれば、冷却性能が高く、小型の冷却ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係る冷却システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示される冷却ユニットを第二方向一方側からみた側面図である。
図3図3は、図1に示される冷却ユニットを第二方向他方側からみた側面図である。
図4図4は、図2に示される第一ラジエータ、第二ラジエータ及び送風部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1は、本開示の実施形態に係る冷却システム100の構成を示すブロック図である。冷却システム100は、冷却ユニット1と、分配マニホールド2と、複数のコールドプレート3と、複数の熱源4と、収集マニホールド5とを備えている。
【0011】
冷却システム100内では、冷却ユニット1、分配マニホールド2、複数のコールドプレート3、及び収集マニホールド5の間で、冷媒が循環する。冷媒は、冷却液である。冷却液としては不凍液又は純水が例示される。不凍液の典型例は、エチレングリコール水溶液又はプロピレングリコール水溶液である。詳細には、冷却ユニット1には、収集マニホールド5から高温の冷媒が流入する。冷却ユニット1は、冷媒を加圧及び冷却する。冷媒が加圧されることで、冷却システム100内で冷媒が循環する。また、低温の冷媒は、分配マニホールド2を介して複数のコールドプレート3に流入し、複数のコールドプレート3内を流通する。複数のコールドプレート3は、複数の熱源4と熱的に接触する。各熱源4は、発熱する機器である。実施形態では、各熱源4は、コンピュータ装置の構成部品であり、より具体的には、例えば、電解コンデンサ、電力用半導体モジュール及びプリント回路基板のいずれかである。
【0012】
各コールドプレート3は、流入口31と、流出口32と、流路33とを有する。なお、図1では、都合上、参照符号「31」、「32」及び「33」は、一つのコールドプレート3のみに代表的に付されている。複数の流入口31には、分配マニホールド2から冷媒が流入する。冷媒は、流入口31から流出口32に向かって流路33内を流通する。従って、熱源4で発生した熱は、各流路33内を流通する冷媒に移動する。高温の冷媒は、各流出口32から収集マニホールド5へと流出する。
【0013】
次に、冷却ユニット1の詳細な構成について説明する。冷却ユニット1は、ケーシング11と、タンク12と、ポンプユニット13と、二つの電磁弁14,15と、熱交換ユニット16と、送風部17と、冷媒流路18と、電源部19と、制御部20とを備えている。冷媒流路18は、配管181~188を含む。
【0014】
ケーシング11は、冷媒の流出口11Aと、冷媒の流入口11Bとを有する。流出口11A及び流入口11Bは、分配マニホールド2及び収集マニホールド5とそれぞれ接続される。流出口11Aからは、分配マニホールド2に冷媒が流出する。流入口11Bには、収集マニホールド5から冷媒が流入する。また、流入口11Bと流出口11Aとの間では、タンク12と、ポンプユニット13と、電磁弁14,15と、熱交換ユニット16とが、配管181~188により接続される。その結果、タンク12、ポンプユニット13、熱交換ユニット16の順で冷媒が流通可能となる。
【0015】
ケーシング11は、タンク12と、ポンプユニット13と、二つの電磁弁14,15と、熱交換ユニット16と、送風部17と、冷媒流路18と、電源部19と、制御部20とを収容する。
【0016】
詳細には、タンク12は、冷媒の流入口12Aと、冷媒の流出口12B,12Cとを有する。流入口12Aには配管188の他方端が接続される。タンク12は、流入口12Aから流入した冷媒を貯留する。冷媒の流出口12B,12Cには、配管181,182の一方端がそれぞれ接続される。流出口12B,12Cからは、タンク12に貯留されている冷媒が流出する。
【0017】
冷却システム100内では、蒸発等により冷媒が減少する。従って、冷媒が適宜補充される必要がある。しかし、実施形態のようにタンク12を備えることで、冷媒の補充頻度を低減できる。なお、タンク12は、冷却システム100には任意の付加的な構成である。
【0018】
ポンプユニット13は、二つのポンプ131,132を有する。二つのポンプ131,132は、本開示における「複数のポンプ」の一例である。各ポンプ131は、配管183,185を介して第二ラジエータ162と接続される。各ポンプ132は、配管184,185を介して第二ラジエータ162と接続される。各ポンプ131,132は、冷媒を加圧する。
【0019】
詳細には、ポンプ131は、吸込口131Aと、吐出口131Bと、図示しない羽根車とを有する。吸込口131Aは、配管181の他方端と接続される。吐出口131Bは、配管183の一方端と接続される。ポンプ131は、制御部20の制御下で羽根車が回転すると冷媒に圧力を加える。その結果、配管181内の冷媒は、吸込口131Aから吸い込まれる。また、吸い込まれた冷媒は、吐出口131Bから配管183へと吐出される。
【0020】
ポンプ132は、吸込口132Aと、吐出口132Bと、図示しない羽根車とを有する。ポンプ132はポンプ131と同様の構成でよいため、ポンプ132の詳細な説明を控える。
【0021】
電磁弁14,15は、配管183,184の途中にそれぞれ位置し、制御部20の制御下で配管183,184をそれぞれ開閉する。電磁弁14,15は、冷却ユニット1には任意の付加的な構成である。
【0022】
熱交換ユニット16は、冷却ユニット1内で循環する冷媒を冷却する。詳細には、熱交換ユニット16は、第一ラジエータ161と、第一ラジエータ161とケーシング11(図2参照)の第一面111との間に位置する第二ラジエータ162とを有する。第一ラジエータ161及び第二ラジエータ162の少なくとも一方は、本開示における「ラジエータ」の例示である。即ち、冷却ユニット1は、本開示における「ラジエータ」の例示として、第一ラジエータ161と、第二ラジエータ162とを有する。
【0023】
第一ラジエータ161は、二つのタンク1611,1612と、複数の冷媒流路1613と、複数の通風路1614とを有する。第一ラジエータ161は、複数の冷媒流路1613内を流通する冷媒を、複数の通風路1614内で流れる空気で冷却する。
【0024】
第二ラジエータ162は、二つのタンク1621,1622と、複数の冷媒流路1623と、複数の通風路1624とを有しており、複数の冷媒流路1623内を流通する冷媒を、複数の通風路1624内で流れる空気で冷却する。
【0025】
なお、第一ラジエータ161及び第二ラジエータ162の更なる詳細については後述する。
【0026】
送風部17は、複数のファン171を有する。各ファン171は、例えば軸流ファンである。送風部17は、各ファン171により、各通風路1614,1624に気流を発生させる。その結果、ケーシング11外の空気が吸気口116Aからケーシング11の内部空間11Cに流入する。流入した空気は、内部空間C11で流通した後、排気口115Aからケーシング11外へと流出する。
【0027】
電源部19は、電源回路等である。電源部19は、商用電源等から供給される交流電圧から、ポンプ131及びファン171を動作させる駆動電圧を生成する。電源部19は、生成した駆動電圧をポンプ131及びファン171に供給する。
【0028】
制御部20は、図示しないマイコン及びメモリ等を有する。マイコンは、メモリに記憶されたプログラムに従って動作し、ポンプ131,132と、電磁弁14,15と、複数のファン171との動作を制御する。制御部20は、マイコン及びメモリを収容するケーシング201を更に有する。
【0029】
図2は、図1に示される冷却ユニット1の第二方向一方側X1から見た時の側面図である。図3は、図1に示される冷却ユニット1の第二方向他方側X2から見た時の側面図である。図4は、図2に示される線IV-IVに沿う第一ラジエータ161の断面を直交方向D6から見た時の図である。
【0030】
図2及び図3には、参考のため、互いに直交する第一方向Z、第二方向X及び第三方向Yがそれぞれ示される。実施形態では、第一方向Zは、鉛直方向に平行である。また、第二方向X及び第三方向Yの各々は、水平方向に平行である。なお、鉛直方向は、第二方向X又は第三方向Yでもよい。
【0031】
また、第一方向Zの一方側は、第一方向一方側Z1と記載される場合がある。第一方向Zの他方側は、第一方向他方側Z2と記載される場合がある。実施形態では、第一方向一方側Z1及び第一方向他方側Z2は、鉛直下方向及び鉛直上方向である。第二方向Xの一方側は、第二方向一方側X1と記載される場合がある。第二方向Xの他方側は、第二方向他方側X2と記載される場合がある。第三方向Yの一方側は、第三方向一方側Y1と記載される場合がある。第三方向Yの他方側は、第三方向他方側Y2と記載される場合がある。なお、「直交する方向」は、略直交する方向も含む。
【0032】
ケーシング11は、略直方体形状の外形を有しており、図2図3とに示されるように、第一面111、第二面112、第三面113、第四面114、第五面115、及び第六面116を複数の面として有している。複数の面は、ケーシング11の内部空間11Cを規定する。第一面111及び第二面112は、冷却ユニット1を使用可能に設置した状態(以下、「使用状態」と記載する。)では、第一方向一方側Z1及び第一方向他方側Z2を向く。第三面113及び第四面114は、使用状態では、第二方向一方側X1及び第二方向他方側X2を向く。なお、図2及び図3では、ケーシング11の内部構成を示すために、第三面113及び第四面114の一部のみがそれぞれ示されている。第五面115及び第六面116は、設置状態では、第三方向一方側Y1及び第三方向他方側Y2を向く。実施形態では、第五面115には、排気口115Aが設けられており、第六面116には、吸気口116Aが設けられている。
【0033】
図2から図4に示されるように、第一ラジエータ161において、タンク1611,1612は、第一離隔方向D4に距離を隔てている。第一離隔方向D4は、第一面111に対して傾斜する。タンク1611は、流入口1611Aを有する。流入口1611Aは、ケーシング11の流入口11Bと配管187により接続される。タンク1612は、流出口1612Aを有する。流出口1612Aは、タンク12の流入口12Aと配管188により接続される。複数の冷媒流路1613の各々は、金属製チューブ等であり、タンク1611とタンク1612との間で第一離隔方向D4に沿って延びる。複数の冷媒流路1613は、第二離隔方向D5において間隔を空けて並んでいる(図4を特に参照)。複数の冷媒流路1613内では、タンク1611からタンク1612へと冷媒が流通可能である。複数の通風路1614の各々は、第二離隔方向D5に隣り合う二つの冷媒流路1613の間の空間である(図4を特に参照)。なお、複数の冷媒流路1613の間、即ち、各通風路1614には、冷却効率を向上させるためにフィンが配置される。各フィンは本実施形態の要部ではないため、各フィンの図示を控える。
【0034】
第二ラジエータ162は、二つのタンク1621,1622と、複数の冷媒流路1623と、複数の通風路1624とを有しており、複数の冷媒流路1623内を流通する冷媒を、複数の通風路1624内で流れる空気で冷却する。第二ラジエータ162は、第一ラジエータ161と同様でよい。よって、第二ラジエータ162の詳細な説明を控える。
【0035】
第一ラジエータ161と第二ラジエータ162とは、直交方向D6において互いに重なり合っている。直交方向D6は、第一離隔方向D4及び第二離隔方向D5の各々に直交する。詳細には、第一ラジエータ161は、第二ラジエータ162よりも第一方向他方側Z2で第二ラジエータ162と重なり合っている。
【0036】
また、第一ラジエータ161と第二ラジエータ162とは、ケーシング11の第一面111に対して傾斜して配置されている。従って、冷媒流路1613,1623は、冷媒流路が第一面111に対して傾斜していない場合と比較して長くなる。また、同様に、通風路1614,1624も長くなる。そのため、通風路1614,1624の総開口面積(総断面積)は、冷媒流路が第一面111に対して傾斜していない場合と比較して大きくなる(図4を特に参照)。その結果、冷却性能が高い冷却ユニット1を提供できる。
【0037】
詳細には、図2及び図3に示されるように、タンク1611,1622は、内部空間11Cにおける第一隅117の付近に位置する。第一隅117は、第一面111の第三方向一方側Y1における端部と、第五面115の第一方向一方側Z1における端部とにより規定される。タンク1612,1621は、内部空間11Cにおける第二隅118の付近に配置される。第二隅118は、第二面112の第三方向他方側Y2における端部と、第六面116の第一方向他方側Z2における端部とで規定される。各冷媒流路1613,1623は、第一隅117と第二隅118との間で第一面111に対して傾斜しつつ第一離隔方向D4に沿って延びる。よって、各冷媒流路1623,1613の第一離隔方向D4に沿う長さを比較的長くできる。同様に、各通風路1624,1614における第一離隔方向D4の両端間距離を比較的長くできる。即ち、各通風路1624,1614の総開口面積(総断面積)を比較的大きくできる。
【0038】
また、内部空間11Cには、第一設置空間119が規定される。即ち、第一設置空間119は、第二ラジエータ162の第一方向一方側Z1の面と、第一面111との間の空間である。
【0039】
ポンプユニット13のポンプ131,132は、第一設置空間119で第三方向Yに並んでいる。ポンプ131は、ポンプ132よりも第三方向他方側Y2に位置する。詳細には、ポンプ132の全体と、ポンプ131の一部とは、第二ラジエータ162と、第一面111との間に位置する。従って、ケーシング11内に第二ラジエータ162とポンプ131とが高密度に配置される。その結果、小型の冷却ユニット1を提供できる。なお、第二ラジエータ162と、第一面111との間には、ポンプ132の少なくとも一部が位置すればよい。
【0040】
また、実施形態のように、冷却ユニット1が複数のポンプ131,132を備える場合、ポンプ131,132のうち、少なくともポンプ132の全体が第二ラジエータ162と、第一面111との間に位置する。従って、ケーシング11内に第二ラジエータ162と、複数のポンプ131,132とを高密度に配置できる。
【0041】
より詳細には、ポンプ132の全体と、ポンプ131の一部とは、第二ラジエータ162と第一方向Zにおいて重なっている。ポンプ131,132は、第二ラジエータ162と第三方向Yにおいて重なっている。従って、ケーシング11内に第二ラジエータ162とポンプユニット13とがより高密度に配置される。
【0042】
内部空間11Cには更に、第二設置空間1110が規定される。第二設置空間1110は、第一ラジエータ161の第一方向他方側Z2の面と、第二面112との間の空間である。
【0043】
電源部19は、第二設置空間1110に位置する。従って、電源部19は、第一ラジエータ161よりも上方に位置する。その結果、第一ラジエータ161及び/又は第二ラジエータ162から冷媒が漏れた場合であっても、冷媒は、電源部19へと落下しない。また、結露によりケーシング11内で水滴が発生した場合であっても、水滴が電源部19に付着し難い。
【0044】
タンク12の少なくとも一部は、第一設置空間119、即ち、第二ラジエータ162と第一面111との間に位置する。従って、ケーシング11内に、第二ラジエータ162、ポンプ131及びタンク12が高密度に配置される。
【0045】
タンク12は、第一設置空間119においてポンプユニット13と第二方向他方側X2で横並びに配置される。その結果、第二ラジエータ162、ポンプ131及びタンク12がより高密度に配置される。
【0046】
図2及び図3に示されるように、二つのラジエータ、即ち、第一ラジエータ161と第二ラジエータ162とは、第一方向Zにおいて並んでいる。第一ラジエータ161及び第二ラジエータ162において第二方向一方側X1の端面の間には、第一方向Zの隙間G1が生じる場合がある(図2を特に参照)。第一ラジエータ161及び第二ラジエータ162において第二方向他方側X2の端面の間には、第一方向Zの隙間G2が生じる場合がある(図3を特に参照)。
【0047】
実施形態では、冷却ユニット1は、第一閉塞部21と、第二閉塞部22とを更に備えている。第一閉塞部21及び第二閉塞部22の各々は、金属製又は樹脂製であり、第一方向Z及び第三方向Yに拡がる板状の部材である。第一閉塞部21及び第二閉塞部22の各々は、隙間G1,G2を閉塞する。従って、送風部17が通風路1614,1624に気流を発生させた場合に、隙間G1,G2からは空気が漏れない。その結果、通風路1614,1624における空気の流量に差が生じない。よって、冷却ユニット1の冷却性能の低下が抑制される。
【0048】
また、送風部17による気流は、第二ラジエータ162から第一ラジエータ161に向かう。即ち、ケーシング11内で、高温の空気は、斜め上方に流れる。よって、ケーシング11内で熱が籠りにくい。また、送風部17の気流は、第二ラジエータ162で比較的低温の冷媒をまず冷却するため、第一ラジエータ161で比較的高温の冷媒も冷却できる。
【0049】
また、電源部19は、第一ラジエータ161よりも気流の下流側に位置する。従って、気流は、電源部19周辺の高温の空気を、電源部19や熱交換ユニット16から遠ざけて、排気口115Aから排出させる。その結果、ケーシング11内が過度に高温になることが抑制される。
【0050】
また、図2及び図3に示されるように、第一ラジエータ161は、タンク12と配管188により接続される。タンク12は、ポンプユニット13と配管181,182により接続される。ポンプユニット13は、第二ラジエータ162と配管183~185により接続される。ポンプ131,132の動作時、配管181~185,188は、第一ラジエータ161、タンク12、ポンプユニット13、第二ラジエータ162の順番で冷媒を流通させる。従って、配管181~185,188の長さが抑制される。
【0051】
ケーシング201において第一方向Zのサイズ(即ち、幅)は、ポンプ131,132又はタンク12の同方向サイズよりも小さい。ケーシング201は、第一設置空間119に位置する、詳細には、ケーシング201は、第一方向Zにおいて、第二ラジエータ162と、第一面111との間に位置する。また、ケーシング201は、第三方向Yにおいて、ポンプ131又はタンク12と、第二ラジエータ162との間に位置する。従って、ケーシング11内に第二ラジエータ162と、ポンプ131,132又はタンク12と、制御部20のケーシング201とが高密度に配置される。
【0052】
図4に示されるように、第一ラジエータ161において、各通風路1614は、直交方向D6の一方側(即ち、斜め上方)へと開放された開口1615を有する。各ファン171は、空気の吸込口1711と、空気の吐出口1712と、図示しない羽根車とを有する。なお、図4では、都合上、参照符号「1711」、「1712」は、単一のファン171にのみ付されている。各吸込口1711は、通風路1614における開口1615と直交方向D6において対向する。従って、各ファン171が自身の羽根車を回転させることにより、吸込口1711から吐出口1712へと大流量の気流を発生させることができる。
【0053】
また、複数のファン171は、第一ラジエータ161の第一離隔方向D4及び第二離隔方向D5の双方向に配列されて、全通風路1614における開口1615を覆う。従って、複数のファン171は、吸込口1711から吐出口1712へとより大流量の気流を発生させることができる。
【0054】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0055】
また、図面は、本開示の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0056】
送風部17は、第一ラジエータ161から離れていてもよい。詳細には、送風部17は排気口115Aに設けられる。
【0057】
ポンプユニット13は、少なくとも一つのポンプを有していればよい。
【0058】
送風部17は、ファン171に代えて、ブロアを有していてもよい。
【0059】
なお、本技術は、以下のような構成を採用することも可能である。
【0060】
(1)複数の冷媒流路と、複数の通風路と、を有し、前記複数の冷媒流路内を流通する冷媒を、前記複数の通風路内で流れる空気で冷却するラジエータと、
前記ラジエータと接続されており、前記冷媒を加圧するポンプと、
前記ラジエータと前記ポンプとを収容するケーシングと
を備え、
前記ラジエータは、前記ケーシングの第一面に対して傾斜して配置されており、
前記ポンプの少なくとも一部は、前記ラジエータと前記第一面との間に位置する、冷却ユニット。
【0061】
(2)前記ポンプを複数備えており、
複数の前記ポンプのうち、少なくとも一つの前記ポンプの全体が、前記ラジエータと前記第一面との間に位置する、(1)に記載の冷却ユニット。
【0062】
(3)前記ポンプの駆動電圧を生成する電源部を更に備え、
前記電源部は、前記ラジエータよりも上方に位置する、(1)又は(2)に記載の冷却ユニット。
【0063】
(4)前記冷媒を貯留するタンクを更に備え、
前記ケーシングは、前記タンクを更に収容し、
前記タンクの少なくとも一部は、前記ラジエータと前記第一面との間に位置する、(1)から(3)のいずれかに記載の冷却ユニット。
【0064】
(5)前記通風路の開口と対向する空気の吸込口と、空気の吐出口とを有する送風部を更に備え、
前記送風部は、前記吸込口から前記吐出口に向かう気流を発生させる、(1)から(4)のいずれかに記載の冷却ユニット。
【0065】
(6)前記第一面に直交する第一方向に並ぶ二つの前記ラジエータを備えており、
二つの前記ラジエータにおいて、前記第一方向に直交する第二方向の一方側端面の前記第一方向の隙間を閉塞する第一閉塞部と、
二つの前記ラジエータにおいて、前記第二方向の他方側端面の前記第一方向の隙間を閉塞する第二閉塞部と
を更に備える、(1)から(5)のいずれかに記載の冷却ユニット。
【0066】
(7)前記ラジエータとして、第一ラジエータと、前記第一ラジエータと前記第一面との間に位置する第二ラジエータとを備えており、
少なくとも一部が前記第二ラジエータと前記第一面との間に位置し、前記冷媒を貯留するタンクと、
前記第一ラジエータ、前記タンク、前記ポンプ及び前記第二ラジエータの順番で前記冷媒を流通させる配管と
を更に備える、(1)から(6)のいずれかに記載の冷却ユニット。
【0067】
(8)前記第二ラジエータから前記第一ラジエータに向かう気流を発生させる送風部を更に備える、(7)に記載の冷却ユニット。
【0068】
(9)前記複数の通風路内に気流を発生させる送風部と、
前記ポンプの駆動電圧を生成する電源部と
を更に備え、
前記電源部は、前記ラジエータよりも前記気流の下流側に位置する、(1)から(8)のいずれかに記載の冷却ユニット。
【0069】
(10)前記ポンプを制御する制御部を更に備え、
前記制御部の少なくとも一部は、前記第一面に直交する第一方向における幅が前記ポンプよりも小さく、前記第一方向において前記ラジエータと前記第一面との間に位置し、前記第一面に沿う第三方向において前記ポンプ又は前記タンクと前記ラジエータとの間に位置する、(1)から(9)のいずれかに記載の冷却ユニット。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示に係る冷却ユニットは、例えば電子機器の冷却に好適である。
【符号の説明】
【0071】
100 冷却システム
1 冷却ユニット
11 ケーシング
12 タンク
13 ポンプユニット
131,132 ポンプ
16 熱交換ユニット
161 第一ラジエータ
162 第二ラジエータ
1613,1623 冷媒流路
1614,1624 通風路
1615 開口
17 送風部
18 冷媒流路
181~188 配管
19 電源部
20 制御部
201 ケーシング
21 第一閉塞部
22 第二閉塞部
2 分配マニホールド
3 コールドプレート
4 熱源
5 収集マニホールド
Z 第一方向
X 第二方向
Y 第三方向
図1
図2
図3
図4