(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005564
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20240110BHJP
B05C 11/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B05C1/02 101
B05C11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105792
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】奥田 健
(72)【発明者】
【氏名】牧野 修之
【テーマコード(参考)】
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
4F040AB20
4F040BA06
4F040CA12
4F040CA20
4F042DD03
4F042DD07
4F042DD16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スクレーパの位置精度が高くない場合でも、粘性材料を所望の厚みにすることが可能な塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布装置1は、供給テーブル19と、スクレーパ21と、転写部29とを有する。供給テーブルは、粘性材料が配置される円環状の溝191を有する。スクレーパは、粘性材料に接触する。転写部は、供給テーブルに対して相対移動可能で、溝内の粘性材料に対して接触する。供給テーブルは、溝の径方向内側に配置される内側上面192と、溝の径方向外側に配置される外側上面193とを有する。スクレーパは、内側上面および外側上面に跨って配置される。スクレーパは、内側上面および外側上面に接触した状態で、粘性材料に接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性材料が配置される円環状の溝を有する供給テーブルと、
前記粘性材料に接触するスクレーパと、
前記供給テーブルに対して相対移動可能で、前記溝内の前記粘性材料に対して接触する転写部と
を有し、
前記供給テーブルは、前記溝の径方向内側に配置される内側上面と、前記溝の径方向外側に配置される外側上面とを有し、
前記スクレーパは、
前記内側上面および前記外側上面に跨って配置され、
前記内側上面および前記外側上面に接触した状態で、前記粘性材料に接触する、塗布装置。
【請求項2】
前記供給テーブルを回転させる回転機構をさらに有する、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記転写部を移動可能に支持する支持部材を有し、
前記回転機構は、前記転写部の動作に連動して、前記支持部材に押されることによって、前記供給テーブルを回転させる、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記粘性材料の表面状態を検出する検出部を有し、
前記検出部は、前記スクレーパと接触位置との間における、前記粘性材料の表面状態を検出し、
前記接触位置は、前記転写部が前記粘性材料に接触する位置である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項5】
支持部材と、
複数の前記転写部と
を有し、
前記複数の転写部は、同一の前記支持部材に支持される、請求項1または請求項2に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記複数の転写部は、第1転写部および第2転写部を有し、
前記第1転写部は、第1接触位置で前記粘性材料に接触し、
前記第2転写部は、第2接触位置で前記粘性材料に接触し、
前記第1接触位置は、前記スクレーパと前記第2接触位置との間に配置され、
前記供給テーブルは、前記転写部の1回の転写動作当たり、回転軸線を中心としてα°ずつ回転し、
前記回転軸線を中心とする、前記第1転写部と前記第2転写部との間の角度をβ°とし、
nを整数とすると、
β≠n×α
である、請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記スクレーパは、弾性部材である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記転写部の先端部に向かって空気を吹き出す吹出部を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記スクレーパは、
基端部と、
先端部と、
前記基端部と前記先端部との間に配置される接触部と
を有し、
前記基端部は、前記接触部に向かって、前記スクレーパに対する前記供給テーブルの回転方向の下流側に延び、
前記先端部は、前記接触部に向かって、前記回転方向の上流側に延び、
前記接触部は、湾曲するとともに、前記内側上面および前記外側上面に接触する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被塗布部材にグリス等の粘性材料を塗布する塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、グリス供給テーブルと、グリス供給テーブルの上方に配置される支持部材と、支持部材に取り付けられるスキージと、支持部材を往復移動させる駆動シリンダと、転写ロッドとを有する塗布装置が記載されている。特許文献1の塗布装置では、スキージは、グリス供給テーブルの上方を移動され、グリスを略均一な厚さに広げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の塗布装置では、グリスを所望の厚みにするためには、支持部材に対してスキージを高精度に取り付ける必要がある。言い換えると、グリスを所望の厚みにするためには、スキージの位置精度を高くする必要があるという問題点がある。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、スクレーパの位置精度が高くない場合であっても、粘性材料を所望の厚みにすることが可能な塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な塗布装置は、供給テーブルと、スクレーパと、転写部とを有する。供給テーブルは、粘性材料が配置される円環状の溝を有する。スクレーパは、前記粘性材料に接触する。転写部は、前記供給テーブルに対して相対移動可能で、前記溝内の前記粘性材料に対して接触する。前記供給テーブルは、前記溝の径方向内側に配置される内側上面と、前記溝の径方向外側に配置される外側上面とを有する。前記スクレーパは、前記内側上面および前記外側上面に跨って配置され、前記内側上面および前記外側上面に接触した状態で、前記粘性材料に接触する。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本開示によれば、スクレーパの位置精度が高くない場合であっても、粘性材料を所望の厚みにすることが可能な塗布装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態の塗布装置の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の第2実施形態の塗布装置の構造を示す斜視図であり、転写部が鉛直姿勢に配置された状態を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の第2実施形態の塗布装置の構造を示す斜視図であり、転写部が水平姿勢に配置された状態を示す図である。
【
図5】
図5は、レバー部材の構造および動作を説明するための斜視図であり、転写部が鉛直姿勢に配置されるときのレバー部材周辺の構造を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、レバー部材の構造および動作を説明するための斜視図であり、転写部が水平姿勢に配置されるときのレバー部材周辺の構造を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、レバー部材の構造および動作を説明するための平面図であり、転写部が鉛直姿勢に配置されるときのレバー部材周辺の構造を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、レバー部材の構造および動作を説明するための平面図であり、転写部が水平姿勢に配置されるときのレバー部材周辺の構造を概略的に示す図である。
【
図9】
図9は、供給テーブルおよびスクレーパの構造を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、供給テーブルに対する転写部の位置関係を示す平面図である。
【
図14】
図14は、被塗布部材に粘性材料を塗布する方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解を容易にするために、Z軸を適宜記載している。一例として、Z軸は鉛直方向に平行である。Z軸の正方向は鉛直上方向を示し、Z軸の負方向は鉛直下方向を示す。
【0010】
(第1実施形態)
図1および
図2を参照して、本開示の第1実施形態に係る塗布装置1について説明する。
図1は、本開示の第1実施形態の塗布装置1の概要を示す図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。なお、
図1では、図面簡略化のため、粘性材料Mを省略している。
【0011】
図1に示すように、塗布装置1は、供給テーブル19と、スクレーパ21と、転写部29とを有する。供給テーブル19は、粘性材料M(
図2参照)が配置される円環状の溝191を有する。溝191は、溝191の径方向RD内側の面を構成する内側面191aと、溝191の径方向RD外側の面を構成する外側面191bと、内側面191aおよび外側面191bを接続する底面191cとを有する。また、供給テーブル19は、溝191の径方向RD内側に配置される内側上面192と、溝191の径方向RD外側に配置される外側上面193とを有する。内側上面192は、内側面191aに接続される。外側上面193は、外側面191bに接続される。供給テーブル19は、特に限定されるものではないが、例えば、金属または樹脂により形成される。
【0012】
供給テーブル19には、図示しない補給部から粘性材料M(
図2参照)が供給される。粘性材料Mは、供給テーブル19のうち、少なくとも溝191に配置される。粘性材料Mは、比較的高粘度の液体またはペーストである。粘性材料Mは、例えばグリスである。粘性材料Mは、グリス以外の例えばオイル、樹脂、紫外線硬化型接着剤であってもよい。また、粘性材料Mの粘度は、特に限定されるものではないが、例えば、常温において1000mPa・s以上である。
【0013】
スクレーパ21は、内側上面192および外側上面193に跨って配置される。スクレーパ21は、内側上面192および外側上面193に接触した状態で、粘性材料Mに接触する。
【0014】
スクレーパ21は、供給テーブル19に対して相対移動可能で、粘性材料Mの上面Maの高さを一定にする。スクレーパ21は、溝191に沿って相対移動可能である。本実施形態では、供給テーブル19は、回転軸線Laを中心として回転する。これにより、溝191内のうちスクレーパ21を通過した粘性材料Mの上面Maは、内側上面192および外側上面193と同じかそれ以下の所定の高さに配置される。回転軸線Laは、例えば、供給テーブル19の中心軸線である。なお、供給テーブル19が回転せず、スクレーパ21が回転軸線Laを中心として回転してもよい。
【0015】
スクレーパ21は、特に限定されるものではないが、例えば、板金製である。スクレーパ21は、例えば、金属ブロック、ゴムまたは樹脂によって形成されてもよい。なお、スクレーパ21は、弾性変形可能であってもよいし、弾性変形可能でなくてもよい。
【0016】
転写部29は、供給テーブル19に対して相対移動可能で、溝191内の粘性材料Mに対して接触する。具体的には、転写部29は、図示しない転写部移動機構によって、粘性材料Mに接触する接触位置(
図1に示す位置)と、粘性材料Mに接触しない非接触位置とに配置される。なお、供給テーブル19が移動することによって、転写部29が粘性材料Mに接触したり、転写部29が粘性材料Mから離隔したりしてもよい。また、転写部29および供給テーブル19の両方が移動することよって、転写部29が粘性材料Mに接触したり、転写部29が粘性材料Mから離隔したりしてもよい。
【0017】
本実施形態では、上記のように、スクレーパ21は、内側上面192および外側上面193に跨って配置され、内側上面192および外側上面193に接触した状態で粘性材料Mに接触する。従って、スクレーパ21は、内側上面192および外側上面193によって一定の高さに維持される。よって、スクレーパ21の位置精度が高くない場合であっても、粘性材料Mを所望の厚みにすることができる。
【0018】
また、スクレーパ21を通過した粘性材料Mの上面Maを所望の高さにできるので、転写部29に付着する粘性材料Mの量がばらつくことを抑制できる。その結果、被塗布部材に塗布する粘性材料Mの量がばらつくことを抑制できる。
【0019】
(第2実施形態)
次に、
図3~
図14を参照して、本開示の第2実施形態に係る塗布装置1について説明する。まず、
図3~
図12を参照して、本開示の第2実施形態の塗布装置1の構造を説明する。
図3は、本開示の第2実施形態の塗布装置1の構造を示す斜視図であり、転写部29が鉛直姿勢に配置された状態を示す図である。
図4は、本開示の第2実施形態の塗布装置1の構造を示す斜視図であり、転写部29が水平姿勢に配置された状態を示す図である。なお、
図3、
図4、
図9および
図12では、図面簡略化のため、粘性材料Mを省略している。
【0020】
図3および
図4に示すように、塗布装置1は、台座11と、支持壁13と、支持台15と、回転機構17と、供給テーブル19と、スクレーパ21と、昇降機構23と、転写部移動機構25と、支持部材27と、転写部29とをさらに有する。
【0021】
台座11および支持壁13は、塗布装置1全体を支持する。台座11および支持壁13は、例えば、金属ブロックによって構成される。台座11は、例えば、床に配置される。支持壁13は、台座11に対して略垂直に固定される。
【0022】
支持台15は、供給テーブル19を支持する。支持台15は、支持壁13に取り付けられる。本実施形態では、支持台15は、支持壁13に対して昇降可能に取り付けられる。なお、支持台15は、支持壁13の所定の位置に固定されてもよい。
【0023】
支持台15は、特に限定されるものではないが、例えば、L字形状に形成される。支持台15は、供給テーブル19を支持する第1支持板151と、支持壁13に取り付けられる第2支持板152とを有する。第1支持板151は、例えば、台座11と平行に配置される。第2支持板152は、例えば、支持壁13と平行に配置される。
【0024】
回転機構17は、供給テーブル19を回転させる。従って、供給テーブル19が回転することによって、スクレーパ21と供給テーブル19とが相対移動する。このため、スクレーパ21を溝191に沿って移動させる場合に比べて、容易に、スクレーパ21を溝191に沿って相対移動させることができる。よって、粘性材料Mを容易に所望の厚みにすることができる。
【0025】
回転機構17は、例えば、レバー部材171と、加圧部材172と、角度調整部材173と、図示しない一方向回転機構とを有する。
【0026】
レバー部材171は、供給テーブル19を支持する。レバー部材171は、回転軸線La(
図1参照)を中心として回転する。
【0027】
図5は、レバー部材171の構造および動作を説明するための斜視図であり、転写部29が鉛直姿勢に配置されるときのレバー部材171周辺の構造を概略的に示す図である。
図6は、レバー部材171の構造および動作を説明するための斜視図であり、転写部29が水平姿勢に配置されるときのレバー部材171周辺の構造を概略的に示す図である。
図7は、レバー部材171の構造および動作を説明するための平面図であり、転写部29が鉛直姿勢に配置されるときのレバー部材171周辺の構造を概略的に示す図である。
図8は、レバー部材171の構造および動作を説明するための平面図であり、転写部29が水平姿勢に配置されるときのレバー部材171周辺の構造を概略的に示す図である。
【0028】
図5および
図6に示すように、レバー部材171は、供給テーブル19(
図3参照)を支持するレバー本体171aと、操作部171bとを有する。操作部171bは、回転軸線Laを中心とする径方向RDの外側に向かって、レバー本体171aから突出する。
【0029】
図7および
図8に示すように、加圧部材172は、操作部171bを所定方向に加圧する。本実施形態では、加圧部材172は、例えば、引っ張りバネである。加圧部材172の一端は、操作部171bに固定され、加圧部材172の他端は、バネ保持部18に固定される。バネ保持部18は、例えば、板金製であり、支持台15に固定される。レバー部材171の操作部171bは、加圧部材172の加圧力によって、A方向に加圧される。なお、本実施形態において、加圧とは、対象物を押す方向に力を加えることだけでなく、対象物を引っ張る方向に力を加えることも含んでいる。
【0030】
角度調整部材173は、レバー部材171および供給テーブル19の回転角度を調整するための部材である。具体的には、角度調整部材173は、レバー部材171の操作部171bに対してA方向に配置される。角度調整部材173は、例えば、支持台15に取り付けられる。角度調整部材173は、操作部171bのA方向への移動を制限する。つまり、加圧部材172によってレバー部材171の操作部171bがA方向に引っ張られ、レバー部材171がC方向に回転した場合に、レバー部材171のC方向の回転を制限する。
【0031】
一方向回転機構(図示せず)は、例えば、レバー本体171aに内蔵される。一方向回転機構は、例えば、ワンウェイクラッチを有する。一方向回転機構は、レバー部材171の一方向(D方向)の回転を供給テーブル19に伝達し、レバー部材171の一方向とは逆方向(C方向)の回転を供給テーブル19に伝達しない。
【0032】
具体的には、
図5および
図6に示すように、支持部材27の後述する第2支持部272によって操作部171bがB方向(A方向とは逆方向)に押された場合(
図5、
図7参照)、レバー部材171は、一方向(D方向)に回転する。その一方、後述する第2支持部272が操作部171bから離隔した場合(
図6、
図8参照)、加圧部材172の加圧力によってレバー部材171は、他方向(C方向)に回転する。そして、レバー部材171は、角度調整部材173に接触し、他方向(C方向)への回転が制限される。後述する第2支持部272によって操作部171bがB方向に移動される位置は、一定であるため、第2支持部272の1回当たりの動作によって供給テーブル19が回転する角度は、一定である。言い換えると、転写部29の1回の転写動作当たりに供給テーブル19が回転する角度は、一定である。
【0033】
図9は、供給テーブル19およびスクレーパ21の構造を示す斜視図である。
図9に示すように、供給テーブル19は、内側上面192に対して径方向RD内側に配置される内側壁194と、外側上面193に対して径方向RD外側に配置される外側壁195とを有する。内側壁194は、内側上面192よりも上側に突出する。これにより、スクレーパ21によって溝191に対して径方向RD内側に移動した粘性材料Mを、内側壁194によって堰き止めることができる。また、外側壁195は、外側上面193よりも上側(+Z方向)に突出する。これにより、スクレーパ21によって溝191に対して径方向RD外側に移動した粘性材料Mを、外側壁195によって堰き止めることができる。よって、供給テーブル19から粘性材料Mが溢れ出ることを抑制できる。
【0034】
スクレーパ21は、例えば、弾性部材である。従って、スクレーパ21を供給テーブル19に押し付けることによって、スクレーパ21が弾性変形するため、スクレーパ21を内側上面192と外側上面193との両方に容易に接触させることができる。本実施形態では、スクレーパ21は、例えば、板金製である。
【0035】
図10は、スクレーパ21の側面図である。
図9および
図10に示すように、スクレーパ21は、基端部211と、先端部212と、接触部213とを有する。基端部211は、後述する保持部材31に固定される。接触部213は、基端部211と先端部212との間に配置される。基端部211は、接触部213に向かって、スクレーパ21に対する供給テーブル19の回転方向(D方向)の下流側に延びる。先端部212は、接触部213に向かって、供給テーブル19の回転方向(D方向)の上流側に延びる。接触部213は、湾曲する。接触部213は、供給テーブル19の内側上面192および外側上面193に接触する。従って、スクレーパ21の先端が212aが内側上面192および外側上面193に接触しないので、内側上面192および外側上面193に傷がついたり、内側上面192および外側上面193が摩耗したりすることを抑制できる。
【0036】
図3および
図4に示すように、塗布装置1は、スクレーパ21を保持する保持部材31をさらに有する。保持部材31は、例えば、支持台15に固定される。保持部材31は、支持台15から上方に延びる。
【0037】
昇降機構23は、供給テーブル19および転写部29の少なくとも一方を昇降する。本実施形態では、昇降機構23は、供給テーブル19を昇降する。昇降機構23が供給テーブル19および転写部29の少なくとも一方を昇降することによって、転写部29が接触位置に配置された状態で、転写部29の先端を粘性材料Mに接触させたり、転写部29の先端を粘性材料Mから離隔させたりすることが可能である。
【0038】
昇降機構23は、例えば、台座11に固定される。昇降機構23は、例えば、上下方向に昇降可能な昇降部231を有する。昇降部231の上端は、支持台15を支持する。昇降部231が昇降することによって支持台15が昇降する。昇降機構23は、特に限定されるものではないが、例えば、アクチュエータを有する。なお、昇降機構23は、例えば、ラック・ピニオン機構を有してもよい。
【0039】
転写部移動機構25は、転写部29を移動させる機構である。具体的には、転写部移動機構25は、支持部材27を支持する。本実施形態では、転写部移動機構25は、支持部材27を回転させる回転シャフト251を有し、支持部材27を回転させる。支持部材27は、転写部29を移動可能に支持する。転写部移動機構25の回転シャフト251が回転することによって、支持部材27が回転シャフト251を中心として回転する。これにより、転写部29が移動する。
【0040】
転写部移動機構25は、例えば、回転シャフト251を中心として、支持部材27および転写部29を所定角度(ここでは、約90°)回転させる。これにより、転写部29は、略上下方向に延びる鉛直姿勢(
図3参照)と、略水平方向に延びる水平姿勢(
図4参照)とに配置される。転写部29は、鉛直姿勢において、粘性材料Mに対して浸漬される。これにより、転写部29の先端部291に粘性材料Mが付着される(1次転写)。また、転写部29は、水平姿勢において、図示しない被塗布部材に粘性材料Mを塗布する(2次転写)。なお、本実施形態では、転写部29が略上下方向に延びる鉛直姿勢と、略水平方向に延びる水平姿勢とに配置される例について示したが、本開示はこれに限らない。転写部29は、略上下方向および略水平方向の両方向以外の方向に延びる傾斜姿勢に配置されてもよい。
【0041】
また、塗布装置1は、後述するように、被塗布部材を移動させる被塗布部材移動機構5をさらに有する。本実施形態では、転写部29が水平姿勢に配置された状態で、後述する被塗布部材移動機構5によって被塗布部材が転写部29に対して接触または接近される。これにより、被塗布部材に粘性材料Mが塗布される。
【0042】
支持部材27は、第1支持部271と、第2支持部272とを有する。第1支持部271は、転写部29を支持する。第2支持部272は、第1支持部271に固定され、第1支持部271を支持する。第2支持部272は、回転シャフト251に固定される。
【0043】
本実施形態では、支持部材27は、転写部29の動作に連動して回転機構17を押す。具体的には、支持部材27は、転写部29が水平姿勢に配置された状態(
図4、
図6、
図8参照)において、回転機構17に対して離隔する。その一方、転写部29が水平姿勢から鉛直姿勢(
図3、
図5、
図7参照)に移動する際に、支持部材27の第2支持部272は、回転機構17の操作部171bをB方向に押す。これにより、レバー部材171は、所定角度だけ一方向(D方向)に回転する。よって、供給テーブル19も、所定角度だけ一方向(D方向)に回転する。
【0044】
つまり、本実施形態では、回転機構17は、転写部29の動作に連動して、支持部材27に押されることによって、供給テーブル19を回転させる。従って、供給テーブル19を回転させるための専用のモータ等を用いることなく、供給テーブル19を回転させることができる。
【0045】
図11は、転写部29の構造を示す側面図である。
図11に示すように、転写部29は、特に限定されるものではないが、例えば、棒形状または針形状を有する。転写部29は、例えば、コンタクトプローブである。転写部29は、先端部291を有する。先端部291は、特に限定されるものではないが、先細り形状に形成される。また、先端部291の先端には、例えば、凹凸形状が形成される。これにより、先端部291から粘性材料Mが滑り落ちることが抑制されるため、先端部291に付着する粘性材料Mの量がばらつくことを抑制できる。なお、先端部291の先端は、例えば、平らに、または、半球状に形成されていてもよい。
【0046】
図12は、供給テーブル19に対する転写部29の位置関係を示す平面図である。
図12に示すように、転写部29は、鉛直姿勢に配置された状態で、溝191の上方に配置される。よって、昇降機構23により供給テーブル19が上昇されることによって、転写部29は、溝191の粘性材料Mに接触する。転写部29は、接触位置P29で粘性材料Mに接触する。接触位置P29は、転写部29が粘性材料Mに接触する位置である。
【0047】
本実施形態では、塗布装置1は、複数(ここでは、2つ)の転写部29を有する。なお、塗布装置1は、転写部29を1つ、または、3つ以上有してもよい。
図3に示すように、複数の転写部29は、同一の支持部材27に支持される。本実施形態では、複数の転写部29は、同一の第1支持部271に支持される。このように、複数の転写部29が同一の支持部材27に支持されることによって、1つの支持部材27を動かすことにより複数の転写部29を動かすことができる。よって、塗布効率を向上できる。
【0048】
図12に示すように、複数の転写部29は、第1転写部29aおよび第2転写部29bを有する。第1転写部29aおよび第2転写部29bは、鉛直姿勢に配置された状態で、溝191の上方に配置される。よって、昇降機構23により供給テーブル19が上昇されることによって、第1転写部29aおよび第2転写部29bは、溝191の粘性材料Mに接触する。第1転写部29aは、第1接触位置P29aで粘性材料Mに接触する。第2転写部29bは、第2接触位置P29bで粘性材料Mに接触する。本実施形態では、供給テーブル19の回転方向(D方向)において、第1接触位置P29aは、スクレーパ21と第2接触位置P29bとの間に配置される。
【0049】
引き続き、
図3および
図4を参照して、塗布装置1の構造をさらに説明する。
図3および
図4に示すように、塗布装置1は、吹出部41、検出部43(
図12参照)、補給部45および補給部保持部材47をさらに有する。
【0050】
吹出部41は、転写部29の先端部291に向かって空気を吹き出す。従って、転写部29の先端部291に付着した粘性材料Mを除去できるため、転写部29の先端部291を清掃できる。なお、転写部29の先端部291を清掃する頻度は、特に限定されるものではない。例えば数十回塗布する毎に、転写部29を清掃してもよい。また、例えば、塗布回数にかかわらず、所定時間経過する毎に転写部29を清掃してもよい。また、転写部29の先端部291の粘性材料Mを検出するカメラ等の検出部を設け、検出結果に応じて転写部29を清掃してもよい。
【0051】
吹出部41は、例えば、支持部材27の第1支持部271に固定される。従って、転写部29に対する吹出部41の位置が変化しないので、転写部29の先端部291に確実に空気を吹き付けることができる。本実施形態では、1つの転写部29に対して複数(ここでは、2つ)の吹出部41が設けられる。つまり、本実施形態では、吹出部41は、4つ設けられる。
【0052】
複数(ここでは、2つ)の吹出部41は、転写部29の回りに等角度間隔(ここでは、180°間隔)で配置される。従って、例えば、1つの転写部29に対して1つの吹出部41が設けられる場合と異なり、転写部29のうちの吹出部41とは反対側の部分に空気が当たらなくなることを抑制できる。つまり、転写部29を全周にわたって容易に清掃できる。
【0053】
図12に示すように、検出部43は、粘性材料Mの表面状態を検出する。検出部43は、特に限定されるものではないが、例えば、粘性材料Mの表面の凹凸状態を検出するカメラまたはセンサを有する。検出部43は、検出結果を後述する制御部3aに送信する。
【0054】
検出部43は、例えば、保持部材31(
図3参照)に固定される。検出部43は、スクレーパ21と接触位置P29との間の位置の上方に配置される。検出部43は、スクレーパ21と接触位置P29との間における、粘性材料Mの表面状態を検出する。本実施形態では、検出部43は、スクレーパ21と第1接触位置P29aとの間における、粘性材料Mの表面状態を検出する。このように、検出部43が、スクレーパ21と接触位置P29との間における、粘性材料Mの表面状態を検出することによって、供給テーブル19上の粘性材料Mが不足しているか否かを容易に判定できる。
【0055】
具体的には、転写部29に粘性材料Mが転写されると、粘性材料Mの上面Maに凹部が形成される。そして、供給テーブル19が回転し、凹部がスクレーパ21の下を通過する際に、粘性材料Mが不足していない場合、凹部に粘性材料Mが充填され、粘性材料Mの上面Maが平らになる。その一方、粘性材料Mが不足している場合、凹部に粘性材料Mが充填されず、粘性材料Mの上面Maに凹部が残ったままになる。従って、検出部43により粘性材料Mの表面状態を検出することによって、供給テーブル19上の粘性材料Mが不足しているか否かを容易に判定できる。
【0056】
図3および
図4に示すように、補給部45は、供給テーブル19に粘性材料Mを供給する。補給部45は、例えば、粘性材料Mが充填されたシリンダを有する。補給部45は、供給テーブル19の上方に配置される。補給部45は、特に限定されるものではないが、例えば、供給テーブル19の溝191の上方に配置される。
【0057】
補給部45は、接触位置P29(
図12参照)に対して回転方向(D方向)の下流側で、スクレーパ21に対して回転方向(D方向)の上流側に配置される。本実施形態では、補給部45は、第2接触位置P29bに対して回転方向(D方向)の下流側で、スクレーパ21に対して回転方向(D方向)の上流側に配置される。
【0058】
補給部保持部材47は、補給部45を保持する。補給部保持部材47は、例えば、支持壁13に固定される。なお、補給部保持部材47を設けず、例えば保持部材31によって補給部45を保持してもよい。
【0059】
次に、
図12を参照して、転写部29の1回の転写動作当たりに供給テーブル19が回転する角度について説明する。
【0060】
図12に示すように、供給テーブル19は、転写部29の1回の転写動作当たり、回転軸線Laを中心としてα°回転する。つまり、転写部29の1回の転写動作当たりに供給テーブル19が回転する角度をα°とする。また、回転軸線Laを中心とする、第1転写部29aと第2転写部29bとの間の角度をβ°とする。また、nを整数とする。この場合、β≠n×αである。これにより、粘性材料Mの表面のうち、第1転写部29aにより形成される凹部に、第2転写部29bが配置されることを抑制できる。よって、第2転写部29bに転写される粘性材料Mの量が不足することを抑制できる。
【0061】
具体的には、第1接触位置P29aにおいて、粘性材料Mに第1転写部29aが押し込まれ、供給テーブル19から第1転写部29aに粘性材料Mが転写される。このとき、粘性材料Mの表面のうち第1接触位置P29aに位置する部分には、凹部が形成される。仮に、β=n×αである場合、転写部29が転写動作をn回繰り返すと、第1転写部29aによって形成された凹部は、第2接触位置P29bに配置される。そして、第2転写部29bは、凹部に押し込まれるため、十分に粘性材料Mに接触せず、第2転写部29bに転写される粘性材料Mの量が不足する場合がある。その一方、本実施形態では、β≠n×αであるため、第1転写部29aによって形成された凹部が第2接触位置P29bに配置されることが抑制される。よって、第2転写部29bが凹部に押し込まれることを抑制できる。その結果、第2転写部29bが十分に粘性材料Mに接触しなくなることを抑制できるので、第2転写部29bに転写される粘性材料Mの量が不足することを抑制できる。
【0062】
なお、ここでは、転写部29が2つの場合について説明したが、転写部29が3つ以上の場合についても同様である。つまり、上流側で形成される凹部が、下流側の接触位置P29に配置されないように、供給テーブル19が1回当たりに回転する角度α°を設定すればよい。なお、角度α°は、上述の角度調整部材173の位置または角度を調整することによって、容易に変更できる。
【0063】
次に、
図13を参照して、本実施形態の塗布装置1をさらに説明する。
図13は、塗布装置1のブロック図である。
【0064】
図13に示すように、塗布装置1は、制御装置3と、被塗布部材移動機構5とをさらに有する。制御装置3は、塗布装置1の各種動作を制御する。制御装置3は、制御部3aおよび記憶部3bを含む。制御部3aは、プロセッサを有する。制御部3aは、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。
【0065】
記憶部3bは、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。記憶部3bは、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部3bはリムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0066】
制御部3aは、昇降機構23、転写部移動機構25、吹出部41、検出部43、補給部45および被塗布部材移動機構5を制御する。具体的には、制御部3aは、昇降機構23、転写部移動機構25、吹出部41、検出部43、補給部45および被塗布部材移動機構5に制御信号を送信することによって、昇降機構23、転写部移動機構25、吹出部41、検出部43、補給部45および被塗布部材移動機構5を制御する。
【0067】
また、制御部3aは、検出部43からの検出信号に基づいて、供給テーブル19上の粘性材料Mが不足しているか否かを判定する。具体的には、制御部3aは、溝191内の粘性材料Mの表面に凹部がある場合、粘性材料Mが不足している、と判定する。制御部3aは、溝191内の粘性材料Mの表面に所定サイズ以上の凹部がある場合に、粘性材料Mが不足している、と判定してもよい。また、制御部3aは、粘性材料Mが不足していると判定すると、補給部45に制御信号を送信する。これにより、補給部45から供給テーブル19に粘性材料Mが供給される。
【0068】
第2実施形態のその他の構造は、第1実施形態と同様である。
【0069】
次に、
図14を参照して、被塗布部材(図示せず)に粘性材料Mを塗布する方法について説明する。
図14は、被塗布部材に粘性材料Mを塗布する方法の一例を示すフロー図である。本実施形態では、被塗布部材に粘性材料Mを塗布する方法は、ステップS1~ステップS6を含む。
【0070】
図14に示すように、ステップS1において、制御部3aは、転写部29を水平姿勢から鉛直姿勢に配置する。具体的には、制御部3aは、転写部移動機構25の回転シャフト251を90°回転させる。これにより、転写部29は、水平姿勢から鉛直姿勢に配置される。
【0071】
このとき、支持部材27の第2支持部272が回転機構17の操作部171bをB方向に押す。これにより、レバー部材171および供給テーブル19が所定角度だけ一方向(D方向)に回転する。また、供給テーブル19の回転に伴い、粘性材料Mのうちスクレーパ21を通過した部分の上面Maは、平らになる。また、粘性材料Mのうちスクレーパ21を通過した部分の上面Maは、内側上面192および外側上面193と同じかそれ以下の所定の高さになる。
【0072】
次に、ステップS2において、制御部3aは、検出部43からの検出信号に基づいて、供給テーブル19の粘性材料Mが不足しているか否かを判定する。
【0073】
ステップS2で、制御部3aが供給テーブル19の粘性材料Mが不足していると判定した場合、処理は、ステップS3に進む。
【0074】
次に、ステップS3において、制御部3aは、補給部45を制御して、供給テーブル19に粘性材料Mを供給する。
【0075】
一方、ステップS2で、制御部3aが供給テーブル19の粘性材料Mが不足していないと判定した場合、処理は、ステップS4に進む。
【0076】
次に、ステップS4において、制御部3aは、昇降機構23を制御して、供給テーブル19を上昇させる。これにより、転写部29の先端部291が所定深さまで粘性材料M内に浸漬される。そして、制御部3aは、昇降機構23を制御して、供給テーブル19を下降させる。これにより、転写部29の先端部291に所定量の粘性材料Mが付着する(1次転写)。
【0077】
次に、ステップS5において、制御部3aは、転写部29を鉛直姿勢から水平姿勢に配置する。具体的には、制御部3aは、転写部移動機構25の回転シャフト251をステップS1とは反対方向に90°回転させる。これにより、転写部29は、鉛直姿勢から水平姿勢に配置される。
【0078】
このとき、支持部材27の第2支持部272が回転機構17の操作部171bから離隔する。これにより、加圧部材172の加圧力により、レバー部材171が所定角度だけ他方向(C方向)に回転する。その一方、図示しない一方向回転機構により、供給テーブル19は、他方向(C方向)に回転しない。
【0079】
次に、ステップS6において、制御部3aは、被塗布部材移動機構5を制御して、被塗布部材(図示せず)の被塗布位置を転写部29の先端部291に対して接触または接近させる。これにより、被塗布部材に粘性材料Mが塗布される(2次転写)。なお、本実施形態では、被塗布部材(図示せず)は、複数(ここでは、2つ)の被塗布位置を有し、複数の被塗布位置に対して一度に粘性材料Mが塗布される。
【0080】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態(変形例を含む。)について説明した。但し、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の開示の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。例えば、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、第2実施形態では、回転機構17が、支持部材27に押されることによって供給テーブル19を回転させる例について示したが、本開示はこれに限らない。例えば、供給テーブル19を回転させるための専用のモータ等(回転機構)を用いて、支持部材27によって押すことなく、供給テーブル19を回転させてもよい。
【0082】
また、第2実施形態では、転写部29に粘性材料Mを付着させる際(1次転写時)に、転写部29を鉛直姿勢に配置し、転写部29から被塗布部材に粘性材料Mを塗布する際(2次転写時)に、転写部29を水平姿勢に配置する例について示したが、本開示はこれに限らない。例えば、転写部29を平行移動させることによって、転写部29を鉛直姿勢に配置した状態で、転写部29から被塗布部材に粘性材料Mを塗布してもよい。
【0083】
また、本技術は、以下のような構成を採用することも可能である。
【0084】
(1)粘性材料が配置される円環状の溝を有する供給テーブルと、
前記粘性材料に接触するスクレーパと、
前記供給テーブルに対して相対移動可能で、前記溝内の前記粘性材料に対して接触する転写部と
を有し、
前記供給テーブルは、前記溝の径方向内側に配置される内側上面と、前記溝の径方向外側に配置される外側上面とを有し、
前記スクレーパは、
前記内側上面および前記外側上面に跨って配置され、
前記内側上面および前記外側上面に接触した状態で、前記粘性材料に接触する、塗布装置。
【0085】
(2)前記供給テーブルを回転させる回転機構をさらに有する、(1)に記載の塗布装置。
【0086】
(3)前記転写部を移動可能に支持する支持部材を有し、
前記回転機構は、前記転写部の動作に連動して、前記支持部材に押されることによって、前記供給テーブルを回転させる、(2)に記載の塗布装置。
【0087】
(4)前記粘性材料の表面状態を検出する検出部を有し、
前記検出部は、前記スクレーパと接触位置との間における、前記粘性材料の表面状態を検出し、
前記接触位置は、前記転写部が前記粘性材料に接触する位置である、(1)から(3)のいずれかに記載の塗布装置。
【0088】
(5)支持部材と、
複数の前記転写部と
を有し、
前記複数の転写部は、同一の前記支持部材に支持される、(1)または(2)に記載の塗布装置。
【0089】
(6)前記複数の転写部は、第1転写部および第2転写部を有し、
前記第1転写部は、第1接触位置で前記粘性材料に接触し、
前記第2転写部は、第2接触位置で前記粘性材料に接触し、
前記第1接触位置は、前記スクレーパと前記第2接触位置との間に配置され、
前記供給テーブルは、前記転写部の1回の転写動作当たり、回転軸線を中心としてα°ずつ回転し、
前記回転軸線を中心とする、前記第1転写部と前記第2転写部との間の角度をβ°とし、
nを整数とすると、
β≠n×α
である、(5)に記載の塗布装置。
【0090】
(7)前記スクレーパは、弾性部材である、(1)から(6)のいずれかに記載の塗布装置。
【0091】
(8)前記転写部の先端部に向かって空気を吹き出す吹出部を有する、(1)から(7)のいずれかに記載の塗布装置。
【0092】
(9)前記スクレーパは、
基端部と、
先端部と、
前記基端部と前記先端部との間に配置される接触部と
を有し、
前記基端部は、前記接触部に向かって、前記スクレーパに対する前記供給テーブルの回転方向の下流側に延び、
前記先端部は、前記接触部に向かって、前記回転方向の上流側に延び、
前記接触部は、湾曲するとともに、前記内側上面および前記外側上面に接触する、(1)から(8)のいずれかに記載の塗布装置。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本開示は、例えば、塗布装置に利用できる。
【符号の説明】
【0094】
1 :塗布装置
17 :回転機構
19 :供給テーブル
21 :スクレーパ
27 :支持部材
29 :転写部
29a :第1転写部
29b :第2転写部
41 :吹出部
43 :検出部
191 :溝
192 :内側上面
193 :外側上面
211 :基端部
212 :先端部
213 :接触部
291 :先端部
La :回転軸線
M :粘性材料
P29 :接触位置
P29a :第1接触位置
P29b :第2接触位置
RD :径方向