(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055640
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/16 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B60N2/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162734
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永谷 優樹
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA15
3B087BB21
(57)【要約】
【課題】衝撃発生時にバックフレームへの荷重の伝搬を抑制できる乗物用シートを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、シートクッションと、シートバックと、クッションフレームと、バックフレームと、シートクッションの少なくとも一部を昇降させるように構成された昇降装置とを備える乗物用シートである。昇降装置は、クッションフレームの下方に配置された支持部材と、クッションフレーム及び支持部材それぞれに対し回転可能に連結されたリンクと、支持部材及びリンクの一方に設けられたストッパとを有する。ストッパは、リンクが下方に回転する際に、支持部材及びリンクの他方に接触することで、リンクをシート幅方向にずらしながら回転させるように構成されたガイド面を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
シートバックと、
前記シートクッションを支持するクッションフレームと、
前記シートバックを支持するバックフレームと、
前記シートクッションの少なくとも一部を昇降させるように構成された昇降装置と、
を備え、
前記昇降装置は、
前記クッションフレームの下方に配置された支持部材と、
前記クッションフレーム及び前記支持部材それぞれに対し回転可能に連結されたリンクと、
前記支持部材及び前記リンクの一方に設けられたストッパと、
を有し、
前記ストッパは、前記リンクが下方に回転する際に、前記支持部材及び前記リンクの他方に接触することで、前記リンクをシート幅方向にずらしながら回転させるように構成されたガイド面を有する、乗物用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用シートであって、
前記ストッパは、前記支持部材に設けられ、
前記ガイド面は、上下方向において前記リンクと対向すると共に、シート幅方向及び上下方向の双方に延伸する、乗物用シート。
【請求項3】
請求項2に記載の乗物用シートであって、
前記ストッパは、シート幅方向から視て、頂点が前記支持部材の内部に位置し、底辺が前記支持部材の上端部で構成される三角形状の凸部である、乗物用シート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用シートであって、
前記リンクは、従動回転リンクである、乗物用シート。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用シートであって、
前記リンクは、前記バックフレームと上下方向に重なる位置に配置される、乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の乗物に設置されるシートには、例えばリフタ装置のようなクッションフレームを上下に移動させる昇降装置が設けられる。昇降装置は、クッションフレームと支持部材とを連結するリンクを有する(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-202796号公報
【特許文献2】特開2018-176775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のリンクが設けられた乗物用シートにおいて、乗物の後方からの衝撃が乗物用シートに発生すると、クッションフレームが下方に移動し、支持部材に対し底を付くように接触する。その結果、クッションフレームに連結されたバックフレームに荷重がダイレクトに伝搬し、バックフレームが変形するおそれがある。
【0005】
本開示の一局面は、衝撃発生時にバックフレームへの荷重の伝搬を抑制できる乗物用シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、シートクッション(2)と、シートバック(3)と、シートクッション(2)を支持するクッションフレーム(4)と、シートバック(3)を支持するバックフレーム(5)と、シートクッション(2)の少なくとも一部を昇降させるように構成された昇降装置(7)と、を備える乗物用シート(1)である。
【0007】
昇降装置(7)は、クッションフレーム(4)の下方に配置された支持部材(71A)と、クッションフレーム(4)及び支持部材(71A)それぞれに対し回転可能に連結されたリンク(75)と、支持部材(71A)及びリンク(75)の一方に設けられたストッパ(714)と、を有する。ストッパ(714)は、リンク(75)が下方に回転する際に、支持部材(71A)及びリンク(75)の他方に接触することで、リンク(75)をシート幅方向にずらしながら回転させるように構成されたガイド面(714A)を有する。
【0008】
このような構成によれば、乗物用シート(1)への衝撃発生時に、ストッパ(714)のガイド面(714A)によって、荷重を受けたリンク(75)が支持部材(71A)に対しシート幅方向にずれながら回転する。これにより、リンク(75)が上下方向に加えてシート幅方向にも変形するため、リンク(75)によるエネルギー吸収量が増加する。その結果、バックフレーム(5)への荷重の伝搬が抑制される。
【0009】
本開示の一態様は、ストッパ(714)は、支持部材(71A)に設けられてもよい。ガイド面(714A)は、上下方向においてリンク(75)と対向すると共に、シート幅方向及び上下方向の双方に延伸してもよい。このような構成によれば、リンク(75)にストッパ(714)が設けられないため、リンク(75)における剛性等が調整しやすくなる。
【0010】
本開示の一態様は、ストッパ(714)は、シート幅方向から視て、頂点が支持部材(71A)の内部に位置し、底辺が支持部材(71A)の上端部で構成される三角形状の凸部であってもよい。このような構成によれば、荷重を受け止められる強度を有するストッパ(714)を、比較的容易に形成することができる。
【0011】
本開示の一態様は、リンク(75)は、従動回転リンクであってもよい。このような構成によれば、回転抵抗が低いことに起因してクッションフレーム(4)を底付きさせやすいリンク(75)のエネルギー吸収量を高められる。そのため、バックフレーム(5)への荷重の伝搬抑制効果を促進できる。
【0012】
本開示の一態様は、リンク(75)は、バックフレーム(5)と上下方向に重なる位置に配置されてもよい。このような構成によれば、バックフレーム(5)の下方でリンク(75)が変形するため、バックフレーム(5)への荷重の伝搬抑制効果を促進できる。
【0013】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態における乗物用シートの模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の乗物用シートにおけるクッションフレーム、スライド装置及び昇降装置の模式的な斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の昇降装置における第1リンク周辺の模式的な斜視図である。
【
図4】
図4Aは、
図2の昇降装置における第1リンク周辺の模式的な斜視図であり、
図4Bは、
図4Aにおいて乗物用シートに衝撃が発生した状態の模式的な斜視図である。
【
図5】
図5Aは、
図2とは異なる昇降装置における第1リンク及び第1支持部材の模式的な斜視図であり、
図5Bは、
図5Aにおいて乗物用シートに衝撃が発生した状態の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す乗物用シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、クッションフレーム4と、バックフレーム5と、第1スライド装置6Aと、第2スライド装置6Bと、昇降装置7とを備える。
【0016】
本実施形態の乗物用シート1は、乗用車の座席シートとして使用される。なお、以下の説明及び各図面における方向は、乗物用シート1を乗物(つまり乗用車)に組み付けた状態における方向を意味する。また、本実施形態では、シート幅方向は、乗物の左右方向に一致し、シート前方は、乗物の前方に一致する。
【0017】
シートクッション2は、着席者の臀部等を支持するための部位である。シートバック3は、着席者の背部を支持するための部位である。クッションフレーム4は、シートクッション2を支持している。バックフレーム5は、シートバック3を支持している。
【0018】
<クッションフレーム>
クッションフレーム4は、第1サイドフレーム41と、第2サイドフレーム42と、フロントパネル43とを有する。
【0019】
第1サイドフレーム41及び第2サイドフレーム42は、それぞれ、シート前後方向に延伸すると共に、シート幅方向に互いに離れて配置されたパネル状の部材である。第1サイドフレーム41は、第2サイドフレーム42の左側に配置されている。フロントパネル43は、第1サイドフレーム41の前端部と第2サイドフレーム42の前端部とに跨るように配置されている。
【0020】
<バックフレーム>
バックフレーム5は、第3サイドフレーム51と、第4サイドフレーム52と、アッパパネル53と、ロアパネル54とを有する。
【0021】
第3サイドフレーム51及び第4サイドフレーム52は、上下方向に延伸すると共に、シート幅方向に互いに離間して配置されている。第3サイドフレーム51は、第4サイドフレーム52に対し左側に配置されている。第3サイドフレーム51及び第4サイドフレーム52の厚み方向は、シート幅方向と平行である。
【0022】
アッパパネル53は、第3サイドフレーム51の上端部と第4サイドフレーム52の上端部とをシート幅方向に連結している。ロアパネル54は、アッパパネル53よりも下方において、第3サイドフレーム51と第4サイドフレーム52とをシート幅方向に連結している。
【0023】
<スライド装置>
第1スライド装置6A及び第2スライド装置6Bは、それぞれ、クッションフレーム4をシート前後方向にスライドさせる。
【0024】
第1スライド装置6Aは、第1サイドフレーム41に連結された可動レール61Aと、可動レール61Aをスライド可能に支持する固定レール62Aとを有する。第2スライド装置6Bは、第2サイドフレーム42に連結された可動レール61Bと、可動レール61Bをスライド可能に支持する固定レール62Bとを有する。
【0025】
第1スライド装置6Aと第2スライド装置6Bとは、互いにシート幅方向に離れて配置されている。第1スライド装置6Aは、第2スライド装置6Bの左側に配置されている。第1スライド装置6A及び第2スライド装置6Bは、クッションフレーム4の下方に配置され、昇降装置7を介してクッションフレーム4を支持している。
【0026】
<昇降装置>
昇降装置7は、クッションフレーム4を上下方向に移動させることで、シートクッション2の全体を昇降させるように構成されている。昇降装置7は、着席者によるマニュアル操作、又はアクチュエータの駆動力によって動作する。
【0027】
図2に示すように、昇降装置7は、第1支持部材71Aと、第2支持部材71Bと、第3支持部材71Cと、第4支持部材71Dと、第1連結ロッド72と、第2連結ロッド73と、第1リンク75と、第2リンク76と、第3リンク77と、第4リンク78と、作動機構79とを有する。
【0028】
(支持部材)
第1支持部材71A、第2支持部材71B、第3支持部材71C及び第4支持部材71Dは、それぞれ、クッションフレーム4の下方に配置されている。
【0029】
第1支持部材71Aは、第1サイドフレーム41の下方において、第1スライド装置6Aの可動レール61Aに固定されている。第2支持部材71Bは、第1サイドフレーム41の下方かつ第1支持部材71Aよりもシート前方において、第1スライド装置6Aの可動レール61Aに固定されている。
【0030】
第3支持部材71Cは、第2サイドフレーム42の下方において、第2スライド装置6Bの可動レール61Bに固定されている。第4支持部材71Dは、第2サイドフレーム42の下方かつ第3支持部材71Cよりもシート前方において、第2スライド装置6Bの可動レール61Bに固定されている。
【0031】
図3に示すように、第1支持部材71Aは、底壁711と、第1側壁712と、第2側壁713と、ストッパ714とを有する。底壁711は、可動レール61Aの上面に例えばボルトによって固定されている。
【0032】
第1側壁712は、底壁711のシート幅方向外側(つまり左側)の端部から上方に延伸している。第1側壁712の上端部は、第1サイドフレーム41にシート幅方向外側から重なっているが、第1サイドフレーム41には連結されていない。
【0033】
第2側壁713は、底壁711のシート幅方向内側(つまり右側)の端部から上方に延伸している。第2側壁713の上端部は、第1サイドフレーム41よりも下方に位置する。第2側壁713の上端部には、軸部材8によって第1リンク75が回転可能に連結されている。
【0034】
ストッパ714は、第2側壁713からシート幅方向内側に突出するように湾曲した部位である。ストッパ714は、第2側壁713の上端部を含み、かつ、軸部材8よりもシート後方の領域に設けられている。ストッパ714は、第1連結ロッド72よりもシート前方に位置する。
【0035】
ストッパ714は、第1リンク75が軸部材8を中心として下方に回転する際に、第1リンク75に接触することで、第1リンク75をシート幅方向にずらしながら回転させるように構成されたガイド面714Aを有する。
【0036】
ガイド面714Aは、上下方向において第1リンク75と対向すると共に、シート幅方向及び上下方向の双方に延伸している。ガイド面714Aは、ストッパ714の上端面の一部で構成されている。ガイド面714Aは、ストッパ714の上端面のうち、シート幅方向外側かつ上方から、シート幅方向内側かつ下方に向かって延伸する領域である。
【0037】
図4Aに示すように、ストッパ714は、シート幅方向から視て、頂点が第1支持部材71Aの内部に位置し、底辺が第1支持部材71Aの上端部で構成される三角形状の凸部である。
【0038】
ガイド面714Aは、三角形状の底辺の上半分に該当する。つまり、ガイド面714Aは、ストッパ714の上端面のうち、ストッパ714の長手方向の中心線Lよりも上方の領域で構成されている。
【0039】
(連結ロッド)
図2に示す第1連結ロッド72及び第2連結ロッド73は、それぞれ、シート幅方向に延伸すると共に、第1サイドフレーム41及び第2サイドフレーム42に対し回転可能に連結されている。
【0040】
第1連結ロッド72は、第2連結ロッド73よりもシート後方に配置されている。第1連結ロッド72及び第2連結ロッド73は、それぞれ、中心軸がシート幅方向と平行となるように配置された円管である。
【0041】
(第1リンク)
第1リンク75は、第1支持部材71Aと第1連結ロッド72とを連結する板状の部材である。
【0042】
第1リンク75は、クッションフレーム4に対し、第1連結ロッド72によって回転可能に連結されている。第1リンク75は、作動機構79によって駆動回転する第3リンク77に連結された第1連結ロッド72によって回転する。つまり、第1リンク75は、従動回転リンクである。
【0043】
図3に示すように、第1リンク75は、バックフレーム5の第3サイドフレーム51と上下方向に重なる位置に配置されている。第1リンク75は、クッションフレーム4の第1サイドフレーム41及び第1支持部材71Aに対しシート幅方向内側から重なるように配置されている。
【0044】
図4Aに示すように、第1リンク75は、本体751と、フランジ752とを有する。本体751は、シート幅方向と交差する(具体的には直交する)板面を有する板状の部位である。
【0045】
本体751のシート後方の端部は、第1連結ロッド72に例えば溶接によって固定されている。第1連結ロッド72は、本体751を厚み方向に貫通している。本体751のシート前方の端部は、第1支持部材71Aに対し、軸部材8によって回転可能に連結されている。
【0046】
フランジ752は、本体751の上端部からシート幅方向内側(つまり第1サイドフレーム41から離れる方向)に突出した板状の部位である。フランジ752の板面は、シート幅方向と平行である。
【0047】
フランジ752のシート後方の端部は、第1連結ロッド72の外周面に例えば溶接によって固定されている。フランジ752は、第1連結ロッド72に対し上方から重なっている。フランジ752のシート前方の端部は、軸部材8の上方に位置する。フランジ752は、シート後方に向かって幅が大きくなっている。
【0048】
図4Bに示すように、乗物用シート1に衝撃が発生してクッションフレーム4が沈むと、第1リンク75は、第1支持部材71Aにおけるストッパ714のガイド面714Aに接触しながらシート後方に倒れるように回転する。ガイド面714Aは、第1リンク75の下端をシート幅方向内側に滑らせる。そのため、第1リンク75がシート幅方向にねじれ変形しながら傾倒する。
【0049】
なお、クッションフレーム4を昇降させる通常の作動では、第1リンク75は、ストッパ714とは接触しない。つまり、クッションフレーム4が最下位置にあるとき、第1リンク75は、ストッパ714よりも上方に位置する。
【0050】
(第2リンク、第3リンク及び第4リンク)
図2に示す第2リンク76は、第2連結ロッド73と第2支持部材71Bとを連結している。第2リンク76は、第1リンク75と協働して第1サイドフレーム41を上下に移動させる。
【0051】
第3リンク77は、第1連結ロッド72と第3支持部材71Cとを連結している。第3リンク77は、第1連結ロッド72を介して第1リンク75と連結され、第1リンク75と同期して作動する。
【0052】
第4リンク78は、第2連結ロッド73と第4支持部材71Dとを連結している。第4リンク78は、第2連結ロッド73を介して第2リンク76と連結され、第2リンク76と同期して作動する。また、第4リンク78は、第3リンク77と協働して第2サイドフレーム42を上下に移動させる。
【0053】
(作動機構)
作動機構79は、第2サイドフレーム42に取り付けられている。作動機構79は、ギア機構及びブレーキ機構を含んでいる。
【0054】
ギア機構は、操作レバー又はアクチュエータから入力された駆動力によって第3リンク77を回転させる。これにより、第1リンク75、第2リンク76及び第4リンク78が従動回転する。ブレーキ機構は、シートクッション2に加わる着席者の重量によるギア機構の反転を防止する。
【0055】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)乗物用シート1への衝撃発生時に、ストッパ714のガイド面714Aによって、荷重を受けた第1リンク75が第1支持部材71Aに対しシート幅方向にずれながら回転する。これにより、第1リンク75が上下方向に加えてシート幅方向にも変形するため、第1リンク75によるエネルギー吸収量が増加する。その結果、バックフレーム5への荷重の伝搬が抑制される。
【0056】
(1b)ストッパ714が第1支持部材71Aに設けられることで、第1リンク75にストッパ714が設けられない。そのため、第1リンク75における剛性等が調整しやすくなる。
【0057】
(1c)第1リンク75が従動回転リンクであることで、回転抵抗が低いことに起因してクッションフレーム4を底付きさせやすい第1リンク75のエネルギー吸収量を高められる。そのため、バックフレーム5への荷重の伝搬抑制効果を促進できる。
【0058】
(1d)第1リンク75がバックフレーム5と上下方向に重なることで、バックフレーム5の下方で第1リンク75が変形するため、バックフレーム5への荷重の伝搬抑制効果を促進できる。
【0059】
(1e)ストッパ714が三角形状の凸部であることで、荷重を受け止められる強度を有するストッパ714を比較的容易に形成することができる。
【0060】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0061】
(2a)上記実施形態の乗物用シートにおいて、
図5Aに示すように、第1支持部材71Aにストッパ714を設ける替わりに、第1リンク75にストッパ753が設けられてもよい。ストッパ753は、第1リンク75が下方に回転する際に、第1支持部材71Aの第2側壁713に接触することで、第1リンク75をシート幅方向にずらしながら回転させるように構成されたガイド面753Aを有する。
【0062】
ストッパ753は、第1リンク75の本体751からシート幅方向外側に突出するように湾曲した部位である。ストッパ753は、本体751の下端部を含み、かつ、軸部材8よりもシート後方の領域に設けられている。ガイド面753Aは、ストッパ753の外面のうち、上下方向において第2側壁713と対向する曲面で構成されている。
【0063】
図5Bに示すように、乗物用シートに衝撃が発生すると、第1リンク75は、第1支持部材71Aの第2側壁713にストッパ753のガイド面753Aを接触させながらシート後方に倒れるように回転する。ガイド面753Aは、第2側壁713に接触することでシート幅方向内側に滑る。そのため、第1リンク75がシート幅方向にねじれ変形しながら傾倒する。
【0064】
(2b)上記実施形態の乗物用シートにおいて、ストッパは、第3リンク又は第3支持部材に設けられてもよい。つまり、ストッパは、駆動回転リンクをシート幅方向にずらしながら回転させてもよい。
【0065】
(2c)上記実施形態の乗物用シートにおいて、ストッパは、第2リンク又は第2支持部材に設けられてもよい。つまり、ストッパは、バックフレームと上下方向に重ならないリンクをシート幅方向にずらしながら回転させてもよい。
【0066】
(2d)上記実施形態の乗物用シートにおける昇降装置は、シートクッションの一部(例えば前端部)を上下方向に揺動させるチルト装置であってもよい。つまり、本開示は、チルト装置を備えた乗物用シートにも適用できる。
【0067】
(2e)上記実施形態の乗物用シートは、乗用車以外の自動車に用いられるシートや、自動車以外の例えば鉄道車両、船舶、航空機等の乗物に用いられるシートにも適用することができる。
【0068】
(2f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0069】
1…乗物用シート、2…シートクッション、3…シートバック、
4…クッションフレーム、5…バックフレーム、6A,6B…スライド装置、
7…昇降装置、8…軸部材、41…第1サイドフレーム、42…第2サイドフレーム、
51…第3サイドフレーム、61A,61B…可動レール、
62A,62B…固定レール、71A…第1支持部材、71B…第2支持部材、
71C…第3支持部材、71D…第4支持部材、72…第1連結ロッド、
73…第2連結ロッド、75…第1リンク、76…第2リンク、77…第3リンク、
78…第4リンク、79…作動機構、711…底壁、712…第1側壁、
713…第2側壁、714…ストッパ、714A…ガイド面、751…本体、
752…フランジ、753…ストッパ、753A…ガイド面。