(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005565
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】防護柵
(51)【国際特許分類】
E05F 7/00 20060101AFI20240110BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E05F7/00 Z
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105793
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591276558
【氏名又は名称】三和タジマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】田中 信行
(72)【発明者】
【氏名】山崎 忠
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA02
(57)【要約】
【課題】自動ドアの戸袋側に設置される防護柵を、左右の支柱と、これら左右の支柱に左右両縁部が支持されるパネル体とを用いて構成する場合に、意匠性の向上を容易に図れるようにする。
【解決手段】上下方向を向く左右の支柱5と、これら左右の支柱5に左右縁部が支持される状態で左右の支柱5間に配設されるパネル体7とを用いて構成される防護柵において、支柱5に、該支柱5の外周を上下方向に亘って覆うカバー体8を装着するとともに、該カバー体8を、支柱5のパネル体支持側が開口8aした筒状のものとして、支柱5にパネル体7を支持せしめた状態で該支柱7に着脱できる構成にした。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ドアの戸袋側に設置される防護柵であって、該防護柵を、上下方向を向く左右の支柱と、これら左右の支柱に左右縁部が支持される状態で左右の支柱間に配設されるパネル体とを用いて構成するにあたり、前記支柱に、該支柱の外周を上下方向に亘って覆うカバー体を装着するとともに、該カバー体を、支柱のパネル体支持側が開口した筒状のものとして、支柱にパネル体を支持せしめた状態で該支柱に着脱できる構成にしたことを特徴とする防護柵。
【請求項2】
請求項1において、カバー体はアルミニウム製であることを特徴とする防護柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアの戸袋側に設置される防護柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動ドアのスライドドアが開く際に、該スライドドアの戸尻側に人や物が接触、衝突してしまうことを防止するため、自動ドアの戸袋側に防護柵を設置することが推進されている。
このような自動ドアの防護柵として、従来、上下方向を向く左右の支柱と、これら左右の支柱に左右縁部が支持される状態で左右の支柱間に配設されるパネル体とを用いて構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記防護柵は、人目につく場所に設置されるものであり、自動ドアとの意匠の統一性や、自動ドアの周囲の意匠との調和等、高い意匠性が要求される場合がある。このような要求に対応するべく、前述したような左右の支柱とパネル体とを用いて構成される防護柵において左右の支柱の意匠性の向上を図るにあたり、新規に設置される防護柵については勿論のこと、既存の防護柵についても容易に対応できるようにすることが所望され、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、自動ドアの戸袋側に設置される防護柵であって、該防護柵を、上下方向を向く左右の支柱と、これら左右の支柱に左右縁部が支持される状態で左右の支柱間に配設されるパネル体とを用いて構成するにあたり、前記支柱に、該支柱の外周を上下方向に亘って覆うカバー体を装着するとともに、該カバー体を、支柱のパネル体支持側が開口した筒状のものとして、支柱にパネル体を支持せしめた状態で該支柱に着脱できる構成にしたことを特徴とする防護柵である。
請求項2の発明は、請求項1において、カバー体はアルミニウム製であることを特徴とする防護柵である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、支柱に装着されるカバー体によって支柱の外観の意匠性の向上が図れるとともに、カバー体の装着作業を容易に行える。
請求項2の発明とすることにより、自動ドアを構成する部材にアルミニウム製のものが用いられている場合に、自動ドアと防護柵との素材の統一性が図れて、意匠性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)は自動ドアの正面図、(B)は自動ドアの平面図である。
【
図4】(A)は
図2のX-X矢視図、(B)は
図4(A)のY-Y矢視図である。
【
図5】(A)は支柱の水平断面図、(B)はカバー体の水平断面図、(C)は
図4(B)のZ-Z端面図である。
【
図6】(A)、(B)は参考例1、参考例2の要部水平端面図である。
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は自動ドアであって、該自動ドア1は、左右方向にスライド移動して開口部を開閉するスライドドア2、躯体側に固定され、スライドドア2が開いたときに該スライドドア2と見込み方向に重なる戸袋3、検知センサ(図示せず)の検知信号に基づいてスライドドア2を開閉するべく駆動する開閉機(図示せず)等を備えて構成されている。さらに、自動ドア1の戸袋3側には、前記戸袋3と並行状に後述の防護柵4が設置されている。
尚、前記戸袋3は、ガラス等から形成されるフィックス板や、壁面等により構成される。また、
図1では、左右二枚のスライドドア2からなる両開き式の自動ドア1を示し、各スライドドア2に対応して戸袋3、防護柵4も二つずつ設けられているが、これに限定されることなく、例えば片開き式の自動ドアであっても本発明を実施できることは勿論である。
【0009】
前記防護柵4は、スライドドア2が開く際に、該スライドドア2の戸尻側に人や物が接触、衝突してしまうことを防止するために設けられるものであって、戸袋3に対して見込み方向に間隔を存して並行状に対向するように設置されている。そして、防護柵4と戸袋3との対向間隔に、開いたスライドドア2が入り込むようになっているが、該防護柵4は、上下方向を向く左右の支柱5、これら支柱5を設置面Gに立設固定するためのベース台6、左右の支柱5に左右縁部が支持される状態で左右の支柱5間に配設されるパネル体7、左右の支柱5に装着されるカバー体8等の部材を用いて構成されている。
【0010】
前記ベース台6は、設置面Gにアンカーボルト6aを用いて固定されるベースプレート6b、該ベースプレート6bに下端部が溶接等により一体固定されてベースプレート6bから立設する基柱6c、ベースプレート6bに取り付けられて該ベースプレート6bの上側を覆うベースカバー6d等の部材を備えて構成されている。ベースカバー6dの中央部には、基柱6cおよび後述するようにして基柱6cに固定された支柱5の下端部が貫通する貫通孔6eが形成されており、該ベースカバー6dの貫通孔6eから基柱6cおよび支柱5が上方に突出するようになっている。
【0011】
また、前記左右の支柱5は、互いに対向する左右内方側に、溝方向が上下方向を向く凹状の嵌合溝5aが形成された閉断面構造の筒状のものであって、該嵌合溝5aには、パネル体7の左右縁部がシール材7aを介して嵌合支持されるようになっている。この場合に、パネル体7の下端位置は支柱5の下端位置よりも少し上側に位置していて、嵌合溝5aの下部の部位にはパネル体7が嵌合されないが、該パネル体7が嵌合されない嵌合溝5aの下部には、前記ベース台6の基柱6cが嵌合されるようになっている。そして、支柱5は、嵌合溝5aに基柱6cを嵌合するとともに支柱5の下端をベースプレート6bの上面に当接させた状態で、基柱6cをボルト6fを用いて嵌合溝5aの溝底面5bに固定することにより、上下方向を向く状態でベース台6に立設固定されるようになっている。
尚、図中、10、11はパネル体7の上縁部、下縁部をそれぞれシール材7aを介して嵌合支持する上縁カバー、下縁カバーであって、該上縁カバー10、下縁カバー11の左右端部も、前記支柱5の嵌合溝5aに嵌合支持されるようになっている。
【0012】
ここで、前記支柱5は強度に優れたステンレス製のものであるとともに、凹状の嵌合溝5aが形成された閉断面構造のものであって、万一防護柵4に人や物が接触、衝突したような場合の強度を充分に確保できるようになっているが、前記嵌合溝5aは、パネル体7の左右縁部が嵌合するパネル体用嵌合溝とベース台6の基柱6cが嵌合する基柱用嵌合溝とを兼ねており、しかして、ステンレス製の支柱5をパネル用嵌合溝と基柱用嵌合溝とを兼ねた一つの嵌合溝5aが形成されただけの単純な形状のものとすることができて、製造コストの抑制に貢献できる。
また、前記パネル体7は、本実施の形態では、強化ガラスが使用されていて強度が確保されているとともに、万一破損した場合を考慮して飛散防止フィルムが貼付されている。
【0013】
一方、前記カバー体8は、支柱5の外周を上下方向に亘って覆うべく支柱5に外嵌状に装着される円筒状のものであって、該カバー体8には、支柱5に装着された状態で該支柱5のパネル体7支持側、つまり、パネル体7を嵌合支持する嵌合溝5aが形成されている左右内方側に、嵌合溝5aの溝幅と略同幅の開口幅を有する開口8aが、カバー体8の上下方向に亘って形成されている。そして、該カバー体8は、嵌合溝5aにパネル体7が嵌合支持されている状態の支柱5に、嵌合溝5aと開口8aとを位置合わせした状態で、上方側からカバー体8を支柱5に外嵌して下方にスライドさせることで、支柱5に着脱自在に装着されるようになっている。そして、該支柱5に装着されたカバー体8は、カバー体8の左右外方側から挿入されて支柱5に螺入されるネジ8bによって支柱5に着脱自在に固定されるようになっている。
【0014】
さらに、前記カバー体8の左右外方側内周面には、上下方向に延びる一対の突条8cが間隔を存して並行状に形成されている。そして、前記カバー体8を支柱5に固定するためのネジ8bは、一対の突条8cの突出先端部を支柱5の外周面に当接させた状態でこれら一対の突条8cの間にカバー体8の左右外方側から挿入されるとともに、突条8cの突出先端部が支柱5の外周面に当接している状態では、支柱5とカバー体8とが同芯状になるように設定されている。これにより、支柱5の半径よりも少し大きい半径を有していて支柱5に外嵌されるカバー体8を、支柱5に対して同芯状に装着固定できるようになっている。尚、本実施の形態では、前記カバー体8を支柱5に固定するためのネジ8bは、上下一対設けられている。
また、支柱5の下端は、前述したようにベース台6のベースプレート6bの上面に当接するようになっているが、カバー体8の下端は、ベースカバー6dの貫通孔6eの外周部上面に当接するようになっており、これにより、カバー体8の下端位置の位置決めを行えるとともに、カバー体8によって支柱5外周面と貫通孔6e内周面との間の隙間を覆蓋できるようになっている。一方、カバー体8の上端位置は、支柱5の上端位置よりも僅かに上方となるように設定されている。
【0015】
さらに、12は前記カバー体8の上端部に冠着される樹脂製のキャップであって、該キャップ12には、上縁カバー10が挿通される冂形状の切欠き部12aが切り欠き形成されている。
【0016】
そして、前記カバー体8およびキャップ12の装着は、該カバー体8およびキャップ12を除く防護柵4の各部材の組み立て設置が完了した段階で行われる。つまり、設置面Gに固定されたベース台6に支柱5が立設固定され、且つ、支柱5および上縁、下縁カバー10、11にパネル体7の四周が嵌合支持された状態で、カバー体8を上方側から支柱5に外嵌して下方にスライドさせてネジ8bで固定し、さらに該カバー体8の上端部にキャップ12を被せる。
また、支柱5に装着されているカバー体8を交換する場合には、キャップ12およびカバー体8以外の他部材はそのままの状態で、ネジ9bを緩めてからカバー体8を上方にスライドさせて支柱5から取り外し、しかる後、交換する新しいカバー体8を支柱5に装着する。
また、左右の支柱5と該支柱5に左右両縁部に支持されるパネル体7とを用いて構成されているが、支柱5にカバー体8が装着されていない既存の防護柵においても、支柱5に外嵌可能な径で、且つ、支柱5のパネル体支持側が開口8aしたカバー体8を用意することで、既存の防護柵はそのままの状態で、該防護柵の支柱5にカバー体8を装着することができる。
【0017】
ここで、前記カバー体8は、素材として押し出し加工等の加工が容易なアルミニウム製のものが用いられているが、自動ドア1のスライドドア2を構成する框材は素材としてアルミニウム製のものが一般的であり、しかして、自動ドア1と防護柵4との素材の統一性が図れて、意匠性が向上する。また、カバー体8の表面は、アルマイト処理や水圧転写等を施すことで種々の色調、絵柄とすることができ、これにより、カバー体8によって外周が覆われる支柱5の外観を、自動ドア1や周囲の意匠と調和する意匠性に優れたものとすることができる。
【0018】
叙述の如く構成された本実施の形態において、防護柵4は、自動ドア1の戸袋3側に設置されて、スライドドア2が開く際に該スライドドア2に人や物が接触、衝突してしまうことを防止するものであるが、該防護柵4は、上下方向を向く左右の支柱5と、これら左右の支柱5に左右縁部が支持される状態で左右の支柱5間に配設されるパネル体7とを用いて構成されているとともに、支柱5には、該支柱5の外周を上下方向に亘って覆うカバー体8が装着されている。該カバー体8は、支柱5のパネル体支持側に開口8aが設けられた筒状のものであり、これにより、支柱5にパネル体7を支持せしめた状態で該支柱7にカバー体8を着脱できることになる。
【0019】
この様に、本実施の形態にあっては、防護柵4を構成する支柱5に該支柱5の外周を覆うカバー体8を装着することで、支柱5の外観の意匠性の向上が図れるものであるが、該カバー体8は、支柱5にパネル体7を支持せしめたままの状態で該支柱5に着脱することができる構成であるから、新規の防護柵4の支柱5にカバー体8を装着する場合だけでなく、既に支柱5に装着されているカバー体8を交換する場合や、カバー体8が装着されていない既存の防護柵の支柱5にカバー体8を新たに装着するような場合においても、カバー体8を支柱5に容易に装着できることになり、しかして、カバー体8の装着作業の容易化に大きく貢献できることになる。
【0020】
さらにこのものにおいて、自動ドア1を構成する框等の部材にアルミニウム製のものが用いられている場合には、カバー体8もアルミニウム製にすることによって、自動ドア1と防護柵4との素材の統一性が図れて、意匠性に優れる。
【0021】
次いで、本発明の参考例1、2のカバー体13、14を、
図6(A)、(B)に基づいて説明する。尚、以下の説明において、カバー体13、14以外の部材は上記実施の形態と同様のものであるため、同一の符号を付すとともに説明を省略する。
まず、
図6(A)に示す参考例1のカバー体13は、前記実施の形態のカバー体8と同様に支柱5に外嵌状に装着されるものであるが、このものは、支柱5より一回り大きいが支柱5と略同形状をしていて、支柱5の嵌合溝5aの内周側に嵌合する嵌合溝13aを有した閉断面構造をしている。そして、カバー体13は、支柱5に外嵌した状態で、カバー体13の嵌合溝13aの溝底面13bから挿入されて支柱5の嵌合溝5aの溝底面5bに螺入されるネジ13cによって支柱5に固定されるようになっているが、該支柱5に固定されたカバー体13の嵌合溝13aに、パネル体7の左右縁部がシール材7aを介して嵌合支持されるようになっている。
また、
図6(B)に示す参考例2のカバー体14は、前記参考例1のカバー体13と同様に、支柱5より一回り大きいが支柱5と略同形状をしていて、支柱5の嵌合溝5aの内周側に嵌合する嵌合溝14aを有した閉断面構造をしている。そして、この参考例2のものも、参考例1と同様に、支柱5に外嵌された状態のカバー体14の嵌合溝14aにパネル体7の左右縁部が嵌合支持されるようになっているが、参考例2のカバー体14は、該カバー体14の左右外方側から挿入されて支柱5に螺入されるネジ14bによって支柱5に固定されるようになっている。尚、図中、14cはカバー体14の左右外方側内周面に形成される一対の突条であって、これら一対の突条14cの間にネジ14bが挿入されるようになっている。
そして、このような構造の参考例1、2のカバー体13、14は、支柱5への装着後にパネル体7が取り付けられることになるため、パネル体7が支持された状態の支柱5にカバー体13、14を着脱することはできないが、カバー体13、14によって意匠性の向上を図れることになる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、自動ドアの戸袋側に設置される防護柵に利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 自動ドア
3 戸袋
4 防護柵
5 支柱
5a 嵌合溝
7 パネル体
8 カバー体
8a 開口