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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055672
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】組合せ梁及び組合せ梁の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/12 20060101AFI20240411BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20240411BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240411BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E04C3/12
E04B1/26 G
E04B1/58 506L
B27M3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162773
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】595118892
【氏名又は名称】株式会社ポラス暮し科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】照井 清貴
(72)【発明者】
【氏名】中島 紀明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 泰輝
(72)【発明者】
【氏名】村山 広樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 海登
【テーマコード(参考)】
2B250
2E125
2E163
【Fターム(参考)】
2B250AA02
2B250BA04
2B250CA04
2B250DA04
2B250EA04
2B250EA12
2B250EA14
2B250FA07
2B250FA14
2B250FA16
2B250GA03
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB12
2E125AC23
2E125AF05
2E125AG04
2E125AG12
2E125AG23
2E125AG41
2E125BD01
2E125CA05
2E125CA14
2E163FA12
2E163FC05
(57)【要約】
【課題】角材複数本を前後方向に重ねた組合せ梁において、柱又は他の梁に固定した組合せ梁に外力が繰り返し作用しても、各角材が上下方向、前後方向、左右方向にずれることなく、組合せ梁の初期強度を保てるようにする。
【解決手段】角材3と角材4を前後方向に重ねた組合せ梁2であって、角材3、4が相互に上下方向及び左右方向にずれないように、ドリフトピン21a・21b~24a・24bが角材3と角材4に跨って挿通され、角材3、4の長手方向の各々の端部には固定金具11~18が固定ピン31a・31b~38a・38bによって固定され、固定金具11~18は、固定ボルト41a・41b~48a・48bとナット41an・41bn~48an・48bnによって柱5、6に固定された組合せ梁2。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の縦断面をもつ複数本の木製の角材を、隣り合う角材の対向する面が接触するようにして前後方向に重ねた組合せ梁であって、
前記組合せ梁を構成する各角材には、該各角材が相互に上下方向及び左右方向にずれないように、複数のドリフトピンが前記各角材に跨って挿通され、
前記組合せ梁には、柱又は他の梁に固定した前記組合せ梁に外力が繰り返し作用しても前記各角材が相互に前後方向にずれないようするずれ防止手段が設けられていることを特徴とする組合せ梁。
【請求項2】
前記ずれ防止手段は、前記組合せ梁を前記柱又は前記他の梁に固定するための固定金具と、前記各角材のうち手前側の角材と奥側の角材の長手方向の各々の端部に前記固定金具を取り付ける第1固定金具取付部材と、前記固定金具を前記柱又は前記他の梁に取り付ける第2固定金具取付部材からなることを特徴とする請求項1記載の組合せ梁。
【請求項3】
前記第1固定金具取付部材は、前記手前側の角材と前記奥側の角材の各々の前記端部に嵌め込まれた前記固定金具を挿通する固定ピンであり、前記第2固定金具取付部材は、前記柱又は前記他の梁と前記固定金具を挿通する固定ボルトと該固定ボルトに螺合するナットであることを特徴とする請求項2記載の組合せ梁。
【請求項4】
前記ずれ防止手段は、前記各角材に跨って挿通される連結ボルトと該連結ボルトに螺合されるナットであることを特徴とする請求項1記載の組合せ梁。
【請求項5】
矩形の縦断面をもつ複数本の木製の角材を、隣り合う角材の対向する面が接触するようにして前後方向に重ねた組合せ梁を柱又は他の梁に固定する組合せ梁の固定構造であって、
前記組合せ梁を構成する各角材には、該各角材が相互に上下方向及び左右方向にずれないように、複数のドリフトピンが前記各角材に跨って挿通され、
前記組合せ梁は、前記組合せ梁に外力が繰り返し作用しても前記各角材が相互に前後方向にずれないように固定金具により前記柱又は前記他の梁に固定され、
前記固定金具の一方の端部は、第1固定金具取付部材により前記各角材のうち手前側の角材と奥側の角材の長手方向の各々の端部に取り付けられ、
前記固定金具の他方の端部は、第2固定金具取付部材により前記柱又は前記他の梁に取り付けられたことを特徴とする組合せ梁の固定構造。
【請求項6】
前記組合せ梁には、さらに前記組合せ梁に外力が繰り返し作用しても前記各角材が相互に前後方向にずれないように前記各角材に跨って挿通される連結ボルトと該連結ボルトに螺合されるナットが取り付けられていることを特徴とする請求項5記載の組合せ梁の固定構造。
【請求項7】
前記第1固定金具取付部材は、前記手前側の角材と前記奥側の角材の各々の前記端部に嵌め込まれた前記固定金具の一方の端部を挿通する固定ピンであり、前記第2固定金具取付部材は、前記柱又は前記他の梁と前記固定金具の他方の端部を挿通する固定ボルトと該固定ボルトに螺合するナットであることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の組合せ梁の固定構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の木製の角材を組み合わせて1本の梁とした組合せ梁及び組合せ梁の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造建築物の梁には、縦断面(材軸方向に直交する断面)が矩形の角材が使用されるが、建物が大型化すると、梁に作用する荷重も大きくなることから、強度的に縦断面積の大きい梁が必要となる。
この場合、縦断面積の大きい角材は入手し難いという実情があることから、縦断面積がそれほど大きくない角材を複数本組み合わせた(重ね合わせた)梁(以下「組合せ梁」という。)が使用されることが多い。
例えば、特許文献1(特開2012-82609号公報)には、小径材又は間伐材から加工した断面略正方形で1辺が約90mmの構成材3本を上下方向に積み重ねてボルトを通してナットで接合してなる横架材(梁)が開示されている。
この特許文献1に開示された横架材のように、組合せ梁には、角材を上下方向に重ねて縦断面を縦長の長方形状としたものが多い。
【0003】
ここで、矩形の縦断面をもつような角材を使用して組合せ梁を構成する場合、上下方向に重ねると、組合せ梁が高くなりその分建物が高くなるのみならず、角材同士が水平方向にずれたり、組合せ梁が水平方向の力に対して変形しやすいという問題がある。
このため、上記のような矩形の角材を使用して組合せ梁を構成する場合、角材を上下方向ではなく前後方向(左右方向)に重ねることが考えられる。
しかしながら、複数本の矩形の角材を前後方向(左右方向)に重ねて、特許文献1のように重ねた角材をボルトとナットで固定した組合せ梁を形成すると、ボルトと角材に設けられたボルト穴との間には隙間があることから、組合せ梁に作用する鉛直下向きの荷重に対して、重ねた角材同士がずれて各角材が一体となって変形せず、組合せ梁に十分な強度が得られないという問題が生ずる。
【0004】
この点、特許文献2(特開2003-239453号公報)には、鋼板からなる平坦な芯材を、矩形断面を有する一対の中断面または小断面の集成材で挟み込み、芯材と集成材には、両材を貫通する連結孔が、互いに合致するように適宜間隔で予め形成されて、これらの連結孔にボルトまたはドリフトピンが挿入され、ボルトにはナットが締結されることにより、芯材と集成材とが結合された構造用複合材(梁)が開示されている。
しかしながら、特許文献2の構造用複合材(梁)では、梁の材長方向全体にわたって連続するように配置され、端部において柱側に延出した芯材が使用されることから、構造用複合材の製造が複雑となって製造コストがかかるのみならず、鋼板からなる芯材により構造用複合材の重量が大きくなり、構造用複合材の端部から芯材が延出していることと相まって、構造用複合材の運搬や柱への組付けの作業負荷がきわめて大きくなるという問題がある。
【0005】
ところで、特許文献3(特開2021-80753号公報)には、第1貫通孔を有する第1木材と、中間貫通孔を有する中間木材と、第2貫通孔を有する第2木材を、各貫通孔が一致するように重ね、圧入部と縮径部とを有するドリフトピンを、第1貫通孔と中間貫通孔と第2貫通孔に圧入して第1木材と中間木材と第2木材を接合した接合部材が開示されている。
しかしながら、特許文献3に開示された接合部材は、複数本の矩形の角材を前後方向(左右方向)に重ねた組合せ梁ではなく、仮に、特許文献3の接合部材を複数本の矩形の角材が接合された組合せ梁に適用しても、ドリフトピンにより接合された角材の接触する面(向き合う面)が離れやすく、各角材の面が離れて隙間が生じた状態で組合せ梁に外力が繰り返し作用すると、各角材の間の隙間が大きくなり、ドリフトピンと各角材の貫通孔の間に隙間が生じ、各角材が一体として変形せず、組合せ梁の初期強度を保てないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-82609号公報
【特許文献2】特開2003-239453号公報
【特許文献3】特開2021-80753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、矩形の縦断面をもつ木製の角材複数本を、前後方向(左右方向)に重ねた組合せ梁において、隣り合う角材の間に他の部材を介在させないようにし、柱又は他の梁に固定した組合せ梁に外力が繰り返し作用しても、各角材が上下方向、前後方向、左右方向にずれることなく、組合せ梁の初期強度を保てるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、矩形の縦断面をもつ複数本の木製の角材を、隣り合う角材の対向する面が接触するようにして前後方向に重ねた組合せ梁であって、前記組合せ梁を構成する各角材には、該各角材が相互に上下方向及び左右方向にずれないように、複数のドリフトピンが前記各角材に跨って挿通され、前記組合せ梁には、柱又は他の梁に固定した前記組合せ梁に外力が繰り返し作用しても前記各角材が相互に前後方向にずれないようするずれ防止手段が設けられている組合せ梁を提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記ずれ防止手段は、前記組合せ梁を前記柱又は前記他の梁に固定するための固定金具と、前記各角材のうち手前側の角材と奥側の角材の長手方向の各々の端部に前記固定金具を取り付ける第1固定金具取付部材と、前記固定金具を前記柱又は前記他の梁に取り付ける第2固定金具取付部材からなる組合せ梁を提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記第1固定金具取付部材は、前記手前側の角材と前記奥側の角材の各々の前記端部に嵌め込まれた前記固定金具を挿通する固定ピンであり、前記第2固定金具取付部材は、前記柱又は前記他の梁と前記固定金具を挿通する固定ボルトと該固定ボルトに螺合するナットである組合せ梁を提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記ずれ防止手段は、前記各角材に跨って挿通される連結ボルトと該連結ボルトに螺合されるナットである組合せ梁を提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項5発明は、矩形の縦断面をもつ複数本の木製の角材を、隣り合う角材の対向する面が接触するようにして前後方向に重ねた組合せ梁を柱又は他の梁に固定する組合せ梁の固定構造であって、前記組合せ梁を構成する各角材には、該各角材が相互に上下方向及び左右方向にずれないように、複数のドリフトピンが前記各角材に跨って挿通され、前記組合せ梁は、前記組合せ梁に外力が繰り返し作用しても前記各角材が相互に前後方向にずれないように固定金具により前記柱又は前記他の梁に固定され、前記固定金具の一方の端部は、第1固定金具取付部材により前記各角材のうち手前側の角材と奥側の角材の長手方向の各々の端部に取り付けられ、前記固定金具の他方の端部は、第2固定金具取付部材により前記柱又は前記他の梁に取り付けられた組合せ梁の固定構造を提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項6の発明は、前記組合せ梁には、さらに前記組合せ梁に外力が繰り返し作用しても前記各角材が相互に前後方向にずれないように前記各角材に跨って挿通される連結ボルトと該連結ボルトに螺合されるナットが取り付けられている組合せ梁の固定構造を提供して、上記課題を解決するものである。
【0014】
請求項7の発明は、前記第1固定金具取付部材は、前記手前側の角材と前記奥側の角材の各々の前記端部に嵌め込まれた前記固定金具の一方の端部を挿通する固定ピンであり、前記第2固定金具取付部材は、前記柱又は前記他の梁と前記固定金具の他方の端部を挿通する固定ボルトと該固定ボルトに螺合するナットである組合せ梁の固定構造を提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明の組合せ梁においては、各角材が相互に上下方向及び左右方向にずれないように複数のドリフトピンが前記各角材に跨って挿通され、各角材が相互に前後方向にずれないようするずれ防止手段が設けられていることから、柱又は他の梁に固定した組合せ梁に外力が繰り返し作用しても、各角材の間の隙間が大きくなったり、ドリフトピンと各角材の間に隙間が生たりすることなく、各角材が一体として変形し、組合せ梁の初期強度を保つことができるという効果を奏する。
【0016】
請求項2に記載の発明の組合せ梁においては、さらに、固定金具、第1固定金具取付部材及び第2固定金具取付部材により組合せ梁が柱又は他の梁に固定されて各角材が相互に前後方向にずれないようされるという効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載の発明の組合せ梁においては、さらに、固定金具、固定ピン、固定ボルト及びナットにより組合せ梁が柱又は他の梁に固定されて各角材が相互に前後方向にずれないようされるという効果を奏する。
【0018】
請求項4に記載の発明の組合せ梁においては、さらに、各角材に跨って挿通される連結ボルトと該連結ボルトに螺合されるナットにより各角材連結さされて相互に前後方向にずれないようされるという効果を奏する。
【0019】
請求項5に記載の発明の組合せ梁の固定構造においては、各角材が相互に上下方向及び左右方向にずれないように複数のドリフトピンが前記各角材に跨って挿通され、各角材が相互に前後方向にずれないようするずれ防止手段が設けられていることから、柱又は他の梁に固定した組合せ梁に外力が繰り返し作用しても、各角材の間の隙間が大きくなったり、ドリフトピンと各角材の間に隙間が生たりすることなく、各角材が一体として変形し、組合せ梁の固定構造の初期強度を保つことができるという効果を奏する。
【0020】
請求項6に記載の発明の組合せ梁の固定構造においては、さらに、各角材に跨って挿通される連結ボルトと該連結ボルトに螺合されるナットにより各角材連結さされて相互に前後方向にずれないようされるという効果を奏する。という効果を奏する。
【0021】
請求項7に記載の発明の組合せ梁の固定構造においては、固定金具、固定ピン、固定ボルト及びナットにより組合せ梁が柱又は他の梁に固定されて各角材が相互に前後方向にずれないようされるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の組合せ梁を柱に固定した組合せ梁固定状態の斜視図である。
図2図1に示す組合せ梁固定状態の正面図と背面図である。
図3図1に示す組合せ梁固定状態の平面図と底面図である。
図4図1に示す組合せ梁固定状態の拡大左側面図と拡大右側面図である。
図5図2のA-A拡大断面図とB-B拡大断面図である。
図6図3(a)のC-C拡大断面図とD-D拡大断面図である。
図7図1に示す組合せ梁固定状態の分解斜視図である。
図8】固定金具11(12)、13(14)、15(16)、17(18)の斜視図である。
図9】2本の角材を前後方向に重ねてピンを挿通し連結ボルトで連結した組合せ梁の正面図と背面図である。
図10図9に示す組合せ梁の平面図とE-E拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[組合せ梁とその固定構造の構成]
図1は、本発明の組合せ梁を柱に固定した状態(以下「組合せ梁固定状態」という。)の斜視図、図2(a)は、図1に示す組合せ梁固定状態の正面図、図2(b)は、図1に示す組合せ梁固定状態の背面図、図3(a)は、図1に示す組合せ梁固定状態の平面図、図3(b)は、図1に示す組合せ梁固定状態の底面図、図4(a)は、図1に示す組合せ梁固定状態の拡大左側面図、図4(b)は、図1に示す組合せ梁固定状態の拡大右側面図、図5(a)は、図2(a)のA-A拡大断面図、図5(b)は、図2(a)のB-B拡大断面図、図6(a)は、図3(a)のC-C拡大断面図、図6(b)は、図3(b)のD-D拡大断面図、図7は、図1に示す組合せ梁固定状態の分解斜視図である。
図中、1は組合せ梁の固定構造、2は組合せ梁、3、4は角材、3m1、3m2、4m1、4m2は溝、5、6は柱、5h1、5h2、5h3、5h4、6h5、6h6、6h7、6h8は凹部、5s1a、5s1b、5s2a、5s2b、5s3a、5s3b、5s4a、5s4b、6s5a、6s5b、6s6a、6s6b、6s7a、6s7b、6s8a、6s8bは貫通孔、11、12、13、14、15、16、17、18は固定金具、21a、21b、22a、22b、23a、23b、24a、24bはドリフトピン、31a、31b、32a、32b、33a、34b、35a、35b、36a、36b、37a、37b、38a、38bは固定ピン、41a、41b、42a、42b、43a、44b、45a、45b、46a、46b、47a、47b、48a、48bは固定ボルト、41an、41bn、42an、42bn、43an、44bn、45an、45bn、46an、46bn、47an、47bn、48an、48bnはナット、h21a、h21b、h22a、h22b、h23a、h23b、h24a、h24b、h21a’、h21b’、h22a’、h22b’、h23a’、h23b’、h24a’、h24b’はピン穴、h31a、h31b、h32a、h32b、h33a、h34b、h35a、h35b、h36a、h36b、h37a、h37b、h38a、h38bはピン穴であり、各図において、Xは左右方向、Yは前後方向、Zは上下方向である。
図1に示すように、組合せ梁の固定構造1は、組合せ梁2、柱5、6、組合せ梁2と柱5、6を固定する固定金具11~18等からなる。
【0024】
[組合せ梁、柱]
組合せ梁2は、角材3と角材4を前後方向(Y方向)に重ねたものからなり、角材3、4には、木製の材料、例えば、ヒノキ(桧)、ヒバ(桧葉)、スギ(杉)、国産松(ジマツ、カラマツ、エゾマツ、トドマツ)、米松、欧州赤松等の木材が使用される。
角材3、4は、矩形の縦断面をもち、その断面寸法(短辺×長辺)は、45~240mm×105~450mmであり、高さは、約1m~9mである。
本実施形態では、角材3、4の縦断面の断面寸法(短辺×長辺)は、共に105mm×330mmであり、長さは約4mである。
手前側の角材3においては、その長手方向(X方向)の左端部に、上下方向(Z方向)に延びる溝3m1と、溝3m1を通りY方向に角材3を貫通するピン穴h31a、h31b、h32a、h32bが設けられ、長手方向(X方向)の右端部に、上下方向(Z方向)に延びる溝3m2と、溝3m2を通り前後方向(Y方向)に角材3を貫通するピン穴h35a、h35b、h36a、h36bが設けられている。
また、角材3には、両端部を除いてその前後方向に角材3を貫通する上下2個のピン穴h21a・h21b、ピン穴h22a・h22b、ピン穴h23a・h23b、ピン穴h24a・h24bが左右方向にほぼ等間隔で設けられている。
奥側の角材4においても、角材3と同様にその長手方向(X方向)の左端部に、上下方向に延びる溝4m1と、溝4m1を通り前後方向に角材4を貫通するピン穴h33a、h33b、h34a、h34bが設けられ、長手方向(X方向)の右端部に、上下方向に延びる溝4m2と、溝4m2を通り前後方向に角材4を貫通するピン穴h37a、h37b、h38a、h38bが設けられている。
また、角材4にも、角材3と同様に両端部を除いてその前後方向に角材4を貫通する上下2個のピン穴h21a’・h21b’、ピン穴h22a’・h22b’、ピン穴h23a’・h23b’、ピン穴h24a’・h24b’が左右方向にほぼ等間隔で設けられている。
これより、角材3の形状・寸法・構造と角材4の形状・寸法・構造は同じとなり、角材3と角材4を前後方向に重ねると、ピン穴h21a・h21bとピン穴h21a’・h21b’、ピン穴h22a・h22bとピン穴h22a’・h22b’、ピン穴h23a・h23bとピン穴h23a’・h23b’、ピン穴h24a・h24bとピン穴h24a’・h24b’は一致する。
【0025】
柱5、6には、角材3、4と同様に木製の材料、例えば、ヒノキ(桧)、ヒバ(桧葉)、スギ(杉)、国産松(ジマツ、カラマツ、エゾマツ、トドマツ)、米松、欧州赤松等の木材が使用される。
左側の柱5においては、柱5の右側面であって角材3の左側端面が当てがわれる部分には、長方形状の凹部5h1、5h2が設けられ、角材4の左側端面が当てがわれる部分には、長方形状の凹部5h3、5h4が設けられている。
そして、柱5の左側面から各凹部5h1、5h2、5h3、5h4に掛けて貫通孔5s1a、5s1b、貫通孔5s2a、5s2b、貫通孔5s3a、5s3b、貫通孔5s4a、5s4bがそれぞれ設けられている。
同様に右側の柱6においては、柱6の左側面であって角材3の右側端面が当てがわれる部分には、長方形状の凹部6h5、6h6が設けられ、角材4の右側端面が当てがわれる部分には、長方形状の凹部6h7、6h8が設けられている。
そして、柱6の右側面から各凹部6h5、6h6、6h7、6h8に掛けて貫通孔6s5a、6s5b、貫通孔6s6a、6s6b、貫通孔6s7a、6s7b、貫通孔6s8a、6s8bがそれぞれ設けられている。
【0026】
[固定金具、ドリフトピン、固定ピン、固定ボルト]
固定金具11~18は、組合せ梁2を柱5、6に固定するための金具であり、L字状の金属板、例えば、合金めっき鋼板からなる。
固定金具11~18のうち、固定金具11と固定金具12、固定金具13と固定金具14、固定金具15と固定金具16、固定金具17と固定金具18はそれぞれ同一のものであり、固定金具15(16)は固定金具13(14)を水平方向に180度回転させたものであり、固定金具17(18)は固定金具11(12)を水平方向に180度回転させたものである。
すなわち、固定金具11、12、17、18は同一であり、固定金具13、14、15、16は同一となる。
図8(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ固定金具11(12)、13(14)、15(16)、17(18)の斜視図である。
図中、11a、13a、15a、17aは溝挿入部、11b、13b、15b、17bは柱当接部、11k、13k、15k、17kは切欠き、11p、13p、15p、17pは孔、11q、13q、15q、17qは上孔、11r、13r、15r、17rは下孔であり、固定金具12、14、16、18の符号を括弧内に示す。
【0027】
左の柱5側に位置する固定金具11、13においては、溝挿入部11a、13aの右上部に半長円状の切欠き11k、13kが設けられ、溝挿入部11a、13aの右下部に孔11p、13pが設けられ、柱当接部11b、13bに上孔11q、13qと下孔11r、13rが設けられている。
固定金具11において、溝挿入部11aは角材3の溝3m1に挿入される部分であり、柱当接部11bは柱5の凹部5h1に当てがわれる部分であり、切欠き11k、孔11pは固定ピン31a、31bが挿通される部分であり、上孔11q、下孔11rは固定ボルト41a、41bが挿通される部分である。
この場合、溝挿入部11aの厚さは、溝3m1の幅(Y方向の長さ)と同じであり、柱当接部11bの幅(Y方向の長さ)と高さ(Z方向の長さ)は、凹部5h1の幅と高さと同じである。
固定金具13において、溝挿入部13aは角材4の溝4m1に挿入される部分であり、柱当接部13bは柱5の凹部5h3に当てがわれる部分であり、切欠き13k、孔13pは固定ピン33a、33bが挿通される部分であり、上孔13q、下孔13rは固定ボルト43a、43bが挿通される部分である。
この場合、溝挿入部13aの厚さは、溝4m1の幅(Y方向の長さ)と同じであり、柱当接部13bの幅(Y方向の長さ)と高さ(Z方向の長さ)は、凹部5h3の幅と高さと同じである。
【0028】
右の柱6側に位置する固定金具15、17においては、溝挿入部15a、17aの左上部に半長円状の切欠き15k、17kが設けられ、溝挿入部15a、17aの左下部に孔15p、17pが設けられ、柱当接部15b、17bに上孔15q、17qと下孔15r、17rが設けられている。
固定金具15において、溝挿入部15aは角材3の溝3m2に挿入される部分であり、柱当接部15bは柱6の凹部6h5に当てがわれる部分であり、切欠き15k、孔15pは固定ピン35a、35bが挿通される部分であり、上孔15q、下孔15rは固定ボルト45a、45bが挿通される部分である。
この場合、溝挿入部15aの厚さは、溝3m2の幅(Y方向の長さ)と同じであり、柱当接部15bの幅(Y方向の長さ)と高さ(Z方向の長さ)は、凹部6h5の幅と高さと同じである。
固定金具17において、溝挿入部17aは角材4の溝4m2に挿入される部分であり、柱当接部17bは柱6の凹部6h7に当てがわれる部分であり、切欠き17k、孔17pは固定ピン37a、37bが挿通される部分であり、上孔17q、下孔17rは固定ボルト47a、47bが挿通される部分である。
この場合、溝挿入部17aの厚さは、角材4の溝4m2の幅(Y方向の長さ)と同じであり、柱当接部17bの幅(Y方向の長さ)と高さ(Z方向の長さ)は、凹部6h7の幅と高さと同じである。
【0029】
また、固定金具12、14も、固定金具11、13と同様の溝挿入部12a、14a(溝3m1、4m1に挿入される部分)、柱当接部12b、14b(柱5の凹部5h2、5h4に当てがわれる部分)、切欠き12k、14k(固定ピン32a、34aが挿通される部分)、孔12p、14p(固定ピン32b、34bが挿通される部分)、上孔12q、14q(固定ボルト42a、44aが挿通される部分)、下孔12r、14r(固定ボルト42b、44bが挿通される部分)を有し、溝挿入部12a、14aの厚さは、溝3m1、4m1の幅(溝挿入部11a、13aの厚さ)と同じであり、柱当接部12b、14bの幅と高さは、柱5の凹部5h2、5h4の幅と高さ(柱当接部11b、13bの幅と高さ)と同じである。
固定金具16、18も、固定金具15、17と同様の溝挿入部16a、18a(溝3m2、4m2に挿入される部分)、柱当接部16b、18b(柱6の凹部6h6、6h8に当てがわれる部分)、切欠き16k、18k(固定ピン36a、38aが挿通される部分)、孔16p、18p(固定ピン36b、38bが挿通される部分)、上孔16q、18q(固定ボルト46a、48aが挿通される部分)、下孔16r、18r(固定ボルト46b、48bが挿通される部分)を有し、溝挿入部16a、18aの厚さは、溝3m2、4m2の幅(溝挿入部15a、17aの厚さ)と同じであり、柱当接部16b、18bの幅と高さは、柱6の凹部6h6、6h8の幅と高さ(柱当接部15b、17bの幅と高さ)と同じである。
【0030】
ドリフトピン21a、21b、22a、22b、23a、23b、24a、24bは、同一の形状・寸法を有し、炭素鋼からなる丸棒に亜鉛メッキ等を施したもので、先端部が円錐台形状となっている。
上下のドリフトピン21a・21bは、角材3の上下のピン穴h21a・21bと角材4の上下のピン穴h21a’・h21b’に挿通され、上下のドリフトピン22a・22bは、角材3の上下のピン穴22a・22bと角材4の下のピン穴h22a’・h22b’に挿通され、上下のドリフトピン23a・23bは、角材3の上下のピン穴h23a・23bと角材4の上下のピン穴h23a’・h23b’に挿通され、上下のドリフトピン24a・24bは、角材3の上下のピン穴h24a・24bと角材4の上下のピン穴h24a’・h24b’に挿通される。
この場合、ドリフトピン21a等の外径は、そのドリフトピンが挿入されるピン穴の内径と同じである。
すなわち、ドリフトピン21a等の8本のドリフトピンの外径、ピン穴h21a等の角材3の8個のピン穴の内径、ピン穴h21a’等の角材4の8個のピン穴の内径はすべて同じである。
このドリフトピン21a等の外径は、8mm~30mm範囲で角材3、4の寸法に対応して適宜選択され、本実施形態では、ドリフトピン21a等の外径は15mmである。
また、ドリフトピン21a等の長さは、組合せ梁2の前後方向(Y方向)の長さより僅かに短く、本実施形態では、組合せ梁2の前後方向(Y方向)の長さ210mmより僅かに短い200mmである。
【0031】
固定ピン31a、31b、32a、32b、33a、34b、35a、35b、36a、36b、37a、37b、38a、38bは、同一の形状・寸法を有し、炭素鋼からなる丸棒に亜鉛メッキ等を施したもので、先端部が円錐台形状となっている。
固定ピン31a、31b、32a、32bは、それぞれ角材3の左側のピン穴h31a、h31b、h32a、h32bに挿通され、固定ピン33a、33b、34a、34bは、それぞれ角材4の左側のピン穴h33a、h33b、h34a、h34bに挿通され、固定ピン35a、35b、36a、36bは、それぞれ角材3の右側のピン穴h35a、h35b、h36a、h36bに挿通され、固定ピン37a、37b、38a、38bは、それぞれ角材4の右側のピン穴h37a、h37b、h38a、h38bに挿通される。
この場合、固定ピン31a等の外径は、その固定ピンが挿入されるピン穴の内径と同じである。
すなわち、固定ピン31a等の16本の固定ピンの外径、ピン穴h31a等の角材3の8個のピン穴の内径、ピン穴h33a等の角材4の8個のピン穴の内径はすべて同じである。
この固定ピン11a等の外径は、8mm~30mm範囲で角材3、4の寸法に対応して適宜選択され、本実施形態では、固定ピン31a等の外径は12mmである。
また、ドリフトピン21a等の長さは、組合せ梁2の前後方向(Y方向)の長さより僅かに短く、本実施形態では、組合せ梁2の前後方向(Y方向)の長さ105mmより僅かに短い100mmである。
【0032】
固定ボルト41a、41b、42a、42b、43a、44b、45a、45b、46a、46b、47a、47b、48a、48bは、同一の形状・寸法を有し、炭素鋼やステンレス等からなる金属製の六角ボルトである。
固定ボルト41a、41bは、柱5の貫通孔5s1a、5s1bに挿通され、固定ボルト42a、42bは、柱5の貫通孔5s2a、5s2bに挿通され、固定ボルト43a、43bは、柱5の貫通孔5s3a、5s3bに挿通され、固定ボルト44a、44bは、柱5の貫通孔5s4a、5s4bに挿通される。
固定ボルト45、45bは、柱6の貫通孔6s5a、6s5bに挿通され、固定ボルト46a、46bは、柱6の貫通孔6s6a、6s5bに挿通され、固定ボルト47a、47bは、柱6の貫通孔6s7a、6s7bに挿通され、固定ボルト48a、48bは、柱6の貫通孔6s8a、6s8bに挿通される。
この固定ボルト41aの呼び径はM8~M30の範囲、柱5、6と角材3、4の寸法に対応して適宜選択され、本実施形態では、固定ボルト41a等の呼び径は16mmである。
また、ナット41an、41bn、42an、42bn、43an、44bn、45an、45bn、46an、46bn、47an、47bn、48an、48bnは、それぞれ固定ボルト41a、41b、42a、42b、43a、44b、45a、45b、46a、46b、47a、47b、48a、48bに螺合する六角ナットである。
【0033】
[組合せ梁の柱への固定方法]
次に、角材3と角材4重ねて組合せ梁2にして柱5、6に固定する方法について説明する。
まず、角材3と角材4を、ピン穴h21a・h21b等とピン穴h21a’・h21b’等が一致するように前後方向(Y方向)に重ね、ドリフトピン21a・21b~24a・24bをピン穴h21a・h21b~h24a・h24bとピン穴h21a’・h21b’~ 24a’・h24b’に打ち込んで挿通させ、組合せ梁2を形成する。
この組合せ梁2においては、ドリフトピン21a・21b~24a・24bの外径と、ピン穴h21a・h21b~h24a・h24b、ピン穴h21a’・h21b’~ 24a’・h24b’の内径は同じであることから、組合せ梁2に外力が繰り返し作用しても、角材3と角材4が、相互に上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)にずれないようにされる。
【0034】
次いで、柱5において、固定金具11の柱当接部11bを柱5の凹部5h1に当てがい(嵌め込み)、固定ボルト41a、41bを柱5の貫通孔5s1a、5s1bと固定金具11の上孔11q、下孔11rに挿通させ、これにナット41an、41bnを螺合させ、固定金具11を柱5(凹部5h1)に固定する。
同様に他の固定金具12、13、14についても、柱当接部12b、13b、14bをそれぞれ凹部5h2、5h3、5h4に当てがい(嵌め込み)、固定ボルト42a、42bを貫通孔5s2a、5s2bと固定金具12の上孔12q、下孔12rに挿通させてこれにナット42an、42bnを螺合させ、固定ボルト43a、43bを貫通孔5s3a、5s3bと固定金具13の上孔13q、下孔13rに挿通させてこれにナット43an、43bnを螺合させ、固定ボルト44a、44bを貫通孔5s4a、5s4bと固定金具14の上孔14q、下孔14rに挿通させこれにナット44an、44bnを螺合させ、固定金具12、13、14を柱5(凹部5h2、5h3、5h4)に固定する。
【0035】
柱6においても、固定金具15の柱当接部51bを柱6の凹部6h5に当てがい(嵌め込み)、固定ボルト45a、45bを柱6の貫通孔6s5a、6s5bと固定金具15の上孔15q、下孔15rに挿通させ、これにナット45an、45bnを螺合させ、固定金具15を柱6(凹部6h5)に固定する。
同様に他の固定金具16、17、18についても、柱当接部16b、17b、18bをそれぞれ凹部6h6、6h7、6h8に当てがい(嵌め込み)、固定ボルト46a、46bを貫通孔6s6a、6s6bと固定金具16の上孔16q、下孔16rに挿通させてこれにナット46an、46bnを螺合させ、固定ボルト47a、47bを貫通孔6s7a、6s7bと固定金具17の上孔17q、下孔17rに挿通させてこれにナット47an、47bnを螺合させ、固定ボルト48a、48bを貫通孔6s8a、6s8bと固定金具18の上孔18q、下孔18rに挿通させこれにナット48an、48bnを螺合させ、固定金具16、17、18を柱6(凹部6h6、6h7、6h8)に固定する。
【0036】
次いで、組合せ梁2の左側面を柱5の右側面に当てがい、柱5の右側面から右側に突出している固定部材11、12の溝挿入部11a、13aを角材3の溝3m1に挿入し、ピン穴h31a、h31bを固定部材11の切欠き11k、孔11pに一致させ、ピン穴h32a、h32bを固定部材12の切欠き12k、孔12pに一致させ、柱5の右側面から右側に突出している固定部材13、14の溝挿入部14a、15aを角材4の溝4m1に挿入し、ピン穴h33a、h33bを固定部材13の切欠き13k、孔13pに一致させ、ピン穴h34a、h34bを固定部材14の切欠き14k、孔14pに一致させる。
同時に、組合せ梁2の右側面を柱6の左側面に当てがい、柱6の左側面から左側に突出している固定部材15、16の溝挿入部15a、16aを角材3の溝3m2に挿入し、ピン穴h35a、h35bを固定部材15の切欠き15k、孔15pに一致させ、ピン穴h36a、h36bを固定部材16の切欠き16k、孔16に一致させ、柱6の左側面から左側に突出している固定部材17、18の溝挿入部18a、18aを角材4の溝4m2に挿入し、ピン穴h37a、h37bを固定部材17の切欠き17k、孔17pに一致させ、ピン穴h38a、h38bを固定部材18の切欠き18k、孔18に一致させる。
【0037】
この状態で、組合せ梁2の角材3の左端部において、固定ピン31a、31bをピン穴h31a、h31bに打ち込んでピン穴h31a、h31bと固定部材11の切欠き11k、孔11pに挿通させ、固定ピン32a、32bをピン穴h32a、h32bに打ち込んでピン穴h32a、h32bと固定部材12の切欠き12k、孔12pに挿通させる。
同様に組合せ梁2の角材4の左端部において、固定ピン33a、33bをピン穴h33a、h33bに打ち込んでピン穴h33a、h33bと固定部材13の切欠き13k、孔13pに挿通させ、固定ピン34a、34bをピン穴h34a、h34bに打ち込んでピン穴h34a、h34bと固定部材14の切欠き14k、孔14pに挿通させる。
また、組合せ梁2の角材3の右端部において、固定ピン35a、35bをピン穴h35a、h35bに打ち込んでピン穴h35a、h35bと固定部材15の切欠き15k、孔15pに挿通させ、固定ピン36a、36bをピン穴h36a、h36bに打ち込んでピン穴h36a、h36bと固定部材16の切欠き16k、孔16pに挿通させる。
同様に組合せ梁2の角材4の右端部において、固定ピン37a、37bをピン穴h37a、h37bに打ち込んでピン穴h37a、h37bと固定部材17の切欠き17k、孔17pに挿通させ、固定ピン38a、38bをピン穴h38a、h38bに打ち込んでピン穴h38a、h38bと固定部材18の切欠き18k、孔18pに挿通させる。
このようにして、組合せ梁2が柱5、6に固定された組合せ梁の固定構造1が形成される。
【0038】
この場合、組合せ梁2のうち、角材3の左端部は、固定金具11、12、固定ピン31a、31b、32a、32b、固定ボルト41a、41b、42a、42bとナット41an、41bn、42an、42bnにより柱5に固定され、角材4の左端部は、固定金具13、14、固定ピン33a、33b、33a、33b、固定ボルト43a、43b、44a、44bとナット43an、43bn、44an、44bnにより柱5に固定され、角材3の右端部は、固定金具15、16、固定ピン35a、35b、36a、36b、固定ボルト45a、45b、46a、46bとナット45an、45bn、46an、46bnにより柱6に固定され、角材4の右端部は、固定金具17、18、固定ピン37a、37b、38a、38b、固定ボルト47a、47b、48a、48bとナット47an、47bn、48an、48bnにより柱5に固定される。
これにより、固定金具11~18(溝挿入部11a~18a)と溝3m1、4m1、3m2、4m2は前後方向(Y方向)に面接触し、組合せ梁2に外力が繰り返し作用しても、角材3と角材4は、少なくとも前後方向(Y方向)にずれないようになる。
よって、固定金具11~18、固定ピン31a・31b~38a・38b、固定ボルト41a・41b~48a・48b、ナット41an・41bn~48an・48bnは、組合せ梁2を柱5、6に固定する手段であり、角材3と角材4が前後方向にずれないようにするずれ防止手段でもある。
【0039】
上記の組合せ梁の固定構造1では、組合せ梁2が柱5、6に固定されるが、組合せ梁2が固定される部材は、柱5、6に限定されるものではなく、他の梁であってもよい。
組合せ梁2が他の梁に固定される場合の固定手段には、柱5、6への固定手段と同様の固定金具、固定ピン、固定ボルト等が使用される。
また、本発明の組合せ梁には、組合せ梁2のような2本の角材3、4を前後方向に重ね合わせたものの他、3本あるいはそれ以上の角材を前後方向に重ねたものも含まれるが、実際上は2本の角材を重ね合わせたものが多く使用される。
なお、3本以上の角材を前後方向に重ねた組合せ梁は、組合せ梁2と同様に、各角材の左右端部に溝が形成され、固定金具、固定ピン、固定ボルト等により各角材が他の梁等に固定される。
【0040】
[角材3と角材4のずれ防止手段の他の例]
図9(a)は、2本の角材を前後方向に重ねてピンを挿通し連結ボルトで連結した組合せ梁の正面図、図9(b)は、同図(a)に示す組合せ梁の背面図、図10(a)は、図9に示す組合せ梁の平面図、図10(b)は、図9(a)のE-E拡大断面図である。
図中、2’は組合せ梁、3’、4’は角材、51、52、53、54、55は連結ボルト、51n、52n、53n、54n、55nはナット、s51、s52、s53、s54、s55、s51’、s52’、s53’、s54’、s55’は貫通孔であり、図1図3に示す組合せ梁2と同一のものには同一の符号を付す。
組合せ梁2’は、組合せ梁2と同様に角材3’と角材4’を前後方向(Y方向)に重ねたものからなり、角材3’、4’は、角材3、4と同じ矩形の縦断面をもち、角材3、4と同じ木製の材料が使用される。
角材3’には、角材3と同様に、両端部を除いてその前後方向に角材3’を貫通する上下2個のピン穴h21a・h21b、ピン穴h22a・h22b、ピン穴h23a・h23b、ピン穴h24a・h24bが左右方向にほぼ等間隔で設けられている。
角材4’にも、角材4と同様に両端部を除いてその前後方向に角材4’を貫通する上下2個のピン穴h21a’・h21b’、ピン穴h22a’・h22b’、ピン穴h23a’・h23b’、ピン穴h24a’・h24b’が左右方向にほぼ等間隔で設けられている。
そして、角材3’と角材4’は、角材3と角材4と同様に、ピン穴h21a・h21b等とピン穴h21a’・h21b’等が一致するように前後方向(Y方向)に重ねられ、ドリフトピン21a・21b~24a・24bがピン穴h21a・h21b~h24a・h24bとピン穴h21a’・h21b’~ 24a’・h24b’に打ち込まれて挿通され、組合せ梁2’が形成される。
この組合せ梁2’においては、組合せ梁2と同様にドリフトピン21a・21b~24a・24bの外径と、ピン穴h21a・h21b~h24a・h24b、ピン穴h21a’・h21b’~ 24a’・h24b’の内径は同じであることから、組合せ梁2’に外力が繰り返し作用しても、角材3’と角材4’が、相互に上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)にずれないようにされる。
【0041】
ここで、組合せ梁2’においては、組合せ梁2と異なり、連結ボルト51、52、53、54、55等を備え、角材3’の上下方向(Z方向)の中央部には、前後方向に角材3’を貫通する貫通孔s51、s52、s53、s54、s55が左右方向にほぼ等間隔で設けられている。
角材4’の上下方向(Z方向)の中央部にも、前後方向に角材4’を貫通する貫通孔s51’、s52’、s53’、s54’、s55’が左右方向にほぼ等間隔で設けられている。
この場合、角材3’と角材4’を前後方向に重ねると、貫通孔s51、s52、s53、s54、s55のそれぞれは、貫通孔s51’、s52’、s53’、s54’、s55’のそれぞれと一致することとなる。
【0042】
連結ボルト51、52、53、54、55は、同一の形状・寸法を有し、固定ボルト41a等と同様に炭素鋼やステンレス等からなる金属製の六角ボルトである。
この連結ボルト51~55の呼び径はM8~M30の範囲、角材3’、4’の寸法に対応して適宜選択され、本実施形態では、連結ボルト51~55の呼び径は16mmである。
また、ナット51n、52n、53n、54n、55nは、それぞれ 連結ボルト51、52、53、54、55に螺合する六角ナットである。
そして、連結ボルト51は貫通孔s51と貫通孔s51’に挿通され、連結ボルト52は貫通孔s52と貫通孔s52’に挿通され、連結ボルト53は貫通孔s53と貫通孔s53’に挿通され、連結ボルト54は貫通孔s54と貫通孔s54’に挿通され、連結ボルト55は貫通孔s55と貫通孔s55’に挿通され、連結ボルト51、52、53、54、55のそれぞれに、ナット51n、52n、53n、54n、55nが螺合される。
これにより、組合せ梁2’に外力が繰り返し作用しても、角材3’と角材4’は、前後方向(Y方向)にずれないようになり、連結ボルト51~55とナット51n~55nは、ずれ防止手段となる。
【0043】
この場合、組合せ梁2’は、組合せ梁2と同様に柱5、6に固定されるが、その固定手段は、組合せ梁2と柱5、6の固定手段と同じ固定金具、固定ピン、固定ボルト等であってもよく、組合せ梁2’の左右両端部にホゾを設け、柱5、6にホゾ穴を設け、組合せ梁2’のホゾを柱5、6のホゾ穴に嵌め込み、組合せ梁2’を柱5、6に固定してもよい。
また、組合せ梁2’が固定されるのは柱5、6に限定されず、他の梁であってもよく。
なお、組合せ梁2’において、連結ボルトの位置は、図9図10に示すような左右方向にほぼ等間隔であるものに限定されず、角材3’と角材4’が離れやすい組合せ梁2’の左右方向の中央位置だけ、あるいは、組合せ梁2’の左右方向の中央部に行くほど間隔が狭くなるような位置にしてもよい。
さらに、組合せ梁2’は、2本の角材3’と角材4’を前後方向に重ねたものに限定されず、3本以上の角材を前後方向に重ねたものであってもよい。
【0044】
以上のように組合せ梁2(2’)は、角材3(3’)と角材4(4’)を、前後方向(Y方向)に重ね、ドリフトピン21a・21b~24a・24bを同じ径のピン穴h21a・h21b~h24a・h24bとピン穴h21a’・h21b’~ 24a’・h24b’に挿通させて形成されることから、組合せ梁2(2’)に外力が繰り返し作用しても、角材3(3’)と角材4(4’)が、相互に上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)にずれないようにされ、組合せ梁2は、固定金具11~18、固定ピン31a・31b~38a・38b、固定ボルト41a・41b~48a・48b、ナット41an・41bn~48an・48bnによって柱5、6に固定され、組合せ梁2’においては、角材3’と角材4’に挿通された連結ボルト51~55とナット51n~55nにより角材3’と角材4’が連結されることから、組合せ梁2(2’)に外力が繰り返し作用しても、角材3(3’)と角材4(4’)は、前後方向(Y方向)にずれないようにされ、角材3(3’)と角材4(4’)の間の隙間が大きくなったり、ドリフトピン21a・21b~24a・24bとピン穴h21a・h21b~h24a・h24b、ピン穴h21a’・h21b’~ 24a’・h24b’の間に隙間が生じたりすることなく、角材3(3’)と角材4(4’)が一体として変形し、組合せ梁2(2’)の初期強度を保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の組合せ梁及び組合せ梁の固定構造は、矩形の縦断面をもつ木製の角材複数本を、前後方向(左右方向)に重ねた組合せ梁において、隣り合う角材の間に他の部材を介在させないようにし、柱又は他の梁に固定した組合せ梁に外力が繰り返し作用しても、各角材が上下方向、前後方向、左右方向にずれることなく、組合せ梁の初期強度を保つことができ、木造建築物に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 組合せ梁の固定構造
2、2’ 組合せ梁
3、3’、4、4’ 角材
3m1、3m2、4m1、4m2 溝
5、6 柱
5h1、5h2、5h3、5h4、6h5、6h6、6h7、6h8 凹部
5s1a、5s1b、5s2a、5s2b、5s3a、5s3b、5s4a、5s4b、6s5a、6s5b、6s6a、6s6b、6s7a、6s7b、6s8a、6s8b 貫通孔
11、12、13、14、15、16、17、18 固定金具
11a、12a、13a、14a、15a、16a、17a、18a 溝挿入部
11b、12b、13b、14b、15b、16b、17b、18b 柱当接部
11k、12k、13k、14k、15k、16k、17k、18k 切欠き
11p、12p、13p、14p、15p、16p、17p、18p 孔
11q、12q、13q、14q、15q、16q、17q、18q 上孔
11r、12r、13r、14r、15r、16r、17r、18r 下孔
21a、21b、22a、22b、23a、23b、24a、24b ドリフトピン
31a、31b、32a、32b、33a、34b、35a、35b、36a、36b、37a、37b、38a、38b 固定ピン
41a、41b、42a、42b、43a、44b、45a、45b、46a、46b、47a、47b、48a、48b 固定ボルト
41an、41bn、42an、42bn、43an、44bn、45an、45bn、46an、46bn、47an、47bn、48an、48bn ナット
51、52、53、54、55 連結ボルト
51n、52n、53n、54n、55n ナット
h21a、h21b、h22a、h22b、h23a、h23b、h24a、h24b、h21a’、h21b’、h22a’、h22b’、h23a’、h23b’、h24a’、h24b’ ピン穴
h31a、h31b、h32a、h32b、h33a、h34b、h35a、h35b、h36a、h36b、h37a、h37b、h38a、h38b ピン穴
s51、s52、s53、s54、s55、s51’、s52’、s53’、s54’、s55’ 貫通孔

図1
図2
図3
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図10