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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055674
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】脱酸素剤の供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/20 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B65B61/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162775
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】永冶 実香
(72)【発明者】
【氏名】福田 克己
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA20
3E056BA11
3E056CA02
3E056FE06
3E056FH20
3E056HA10
(57)【要約】
【課題】包装製品の生産能力が低い場合でも、脱酸素剤の効能低下を防いで供給することができる脱酸素剤の供給装置を提供する。
【解決手段】内部を気密状態とすることができるカバー部材14の内部に、複数の脱酸素剤が連なる連包品10をロール巻きした集合体12を、連包品10の引き出しを可能に支持する支持シャフト16が設けられる。カバー部材14に、連包品10が外部に引き出し可能な開口28が設けられる。カバー部材14の外部に、集合体12から連包品10を引き出して包装機に供給する繰出しローラ20が設けられる。カバー部材14の内部に、ガス供給手段22から供給される窒素ガスを噴出するガスノズル18が配設される。カバー部材14の内部に窒素ガスを供給して低酸素濃度雰囲気とすることで、脱酸素剤が包装機に供給されるまでの間で大気に晒される時間を短かくすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱酸素剤の連包品をロール巻き体又はつづら折り体とした集合体の周囲を覆うカバー部材と、
該カバー部材から前記脱酸素剤の連包品を引き出し可能に、カバー部材に設けた引き出し口と、
前記カバー部材内に不活性ガスを供給し、脱酸素剤の前記集合体の周りの環境を大気より低酸素濃度に維持する気体ノズルと、を備えた
ことを特徴とする脱酸素剤の供給装置。
【請求項2】
前記気体ノズルは、前記引き出し口から外れた向きに不活性ガスを噴出可能な複数の噴出口を備えたことを特徴とする請求項1記載の脱酸素剤の供給装置。
【請求項3】
前記引き出し口に対して上下方向に横切るよう延在し、当該引き出し口を塞ぐ姿勢と、引き出し口を開く姿勢とに変位可能に支持された複数の遮蔽部材を備え、
各遮蔽部材は、前記集合体から解きほどかれる連包品が左右に変位しながら引き出し口を通過するのに合わせて前記開く姿勢に変位すると共に、連包品の通過後には前記塞ぐ姿勢に戻るよう構成したことを特徴とする請求項1記載の脱酸素剤の供給装置。
【請求項4】
前記不活性ガスは、窒素ガスであって、前記気体ノズルには、圧縮エアから窒素ガスを精製して供給するガス供給手段を接続したことを特徴とする請求項1記載の脱酸素剤の供給装置。
【請求項5】
前記カバー部材内には、脱酸素剤の前記集合体の周りの酸素濃度を検出する検出部を配設したことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の脱酸素剤の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や医薬品などに添付されて包装される脱酸素剤の供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品や医薬品等の物品の酸化による品質劣化を防ぐため、小袋となった脱酸素剤を物品に添付して包装袋などの包装容器により密封包装される。包装容器に脱酸素剤を供給する自動供給装置は、ロール状に巻かれた連包品の脱酸素剤が、支持部から連包品として引き出された後に、包装機に付設された小袋供給部により個々の小袋に切断される。そして脱酸素剤の小袋は、包装フイルムに貼り付けたり、物品に添えて供給されたりするなどによって、包装容器内に添付された状態で密封包装される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-43808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装機に付設される脱酸素剤の自動供給装置には、例えば、1000個の脱酸素剤を連包品としてロール状に巻回したロール巻品が、メーカーから密封袋に脱気状態にして収容されて納品される。そして、納品された新品の脱酸素剤を、袋から取り出して、包装機に付設される脱酸素剤の自動供給装置に装着し、ロールから引き出された連包品が個々の脱酸素剤の小袋として切り離されて、食品と共に密封容器内に収容されるように、例えば製袋充填機などからなる包装機により自動包装される。ここで、脱酸素剤は、大気中の酸素を吸収して効能が低下してしまうことから、大気中に晒されても効能が低下しない、許容し得る作業時間として、例えば、1000個/1時間以内、などとして脱酸素剤のメーカーから保証時間が示されている。このため、食品メーカーにおいて、包装前に大気に晒される時間が適正に管理されて、脱酸素剤の効能を低下させることが無いように取り扱われる。このため、例えば、包装能力が低い包装機による包装時には、前記1000個の連包品が巻回された、新しい脱酸素剤のロール巻品を自動供給装置に装着してから、すべての脱酸素剤を消費し終わるまでに、前記メーカーの指定時間を超えてしまう場合がある。そのような比較的低い能力での生産時には、それまで大気に晒されたままロール巻品として装着されていて、残った脱酸素剤は、酸素吸収効能が低下してしまっている。そのために、そのような残りの脱酸素剤は、使用することなく廃棄されるなど、不良品として取り扱われる。また、指定時間内に生産を終えた場合には、引き出し済みの脱酸素剤の連包品をロール巻品として巻き取って、次の包装において使用されるまでの間は、密封袋に脱気した状態で収納しておき再利用するようにしている。そして、そのような場合に対応して、生産中に脱酸素剤が大気中に置かれていた時間を常に計測するための時間管理を行うことが求められるなど、脱酸素剤の取り扱い上の手間と管理が煩雑となることが指摘される。
【0005】
本発明の目的は、例えば、包装能力が低い生産時などの作業時間でも、食品に添付される脱酸素剤の効能低下を抑制する脱酸素剤の供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明の脱酸素剤の供給装置は、
脱酸素剤(10a)の連包品(10)をロール巻き体又はつづら折り体とした集合体(12)の周囲を覆うカバー部材(14)と、
該カバー部材(14)から前記脱酸素剤(10a)の連包品(10)を引き出し可能に、カバー部材(14)に設けた引き出し口(28)と、
前記カバー部材(28)内に不活性ガスを供給し、脱酸素剤(10a)の前記集合体(12)の周りの環境を大気より低酸素濃度に維持する気体ノズル(18)と、を備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、供給装置に装着された脱酸素剤の集合体の周囲の酸素濃度を大気中の酸素濃度(約21%)よりも低い環境下におくことで、脱酸素剤の効能低下を抑制することができる。すなわち、包装製品の製造中に脱酸素剤が大気中に置かれている時間を短くすることができるので、脱酸素剤のメーカーが定めた許容時間を延ばすことができ、例えば、包装能力が低い包装機での作業時間においても、食品メーカーが保証できる品質保持期限を維持することができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記気体ノズル(18)は、前記引き出し口(28)から外れた向きに不活性ガスを噴出可能な複数の噴出口(18a)を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、気体ノズルから噴出する不活性ガスが引き出し口から外れた方向に向けて噴き出されるので、吹き出し直後に引き出し口から不活性ガスが逃げ出るのを防止でき、カバー部材の内部を低酸素濃度に維持できる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記引き出し口(28)に対して上下方向に横切るよう延在し、当該引き出し口(28)を塞ぐ姿勢と、引き出し口(28)を開く姿勢とに変位可能に支持された複数の遮蔽部材(32)を備え、
各遮蔽部材(32)は、前記集合体(12)から解きほどかれる連包品(10)が左右に変位しながら引き出し口(28)を通過するのに合わせて前記開く姿勢に変位すると共に、連包品(10)の通過後には前記塞ぐ姿勢に戻るよう構成したことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、集合体から解きほどかれる連包品が引き出し口で左右に変位しながら引き出されるのに対応して引き出しを許容しつつ、引き出し口の他の引き出し領域を塞ぐので、ケース部材内に充填した不活性ガスが引き出し口から逃げ出したり、ケース部材内に外気が侵入したりするのを抑制して、ケース部材内の酸素濃度を低く抑えることができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記不活性ガスは、窒素ガスであって、前記気体ノズル(18)には、圧縮エアから窒素ガスを精製して供給するガス供給手段(22)を接続したことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、ガス供給手段により圧縮エアから窒素ガスを精製して供給できるので、窒素ガスボンベを購入してガス供給するものに比べて、ランニングストを低く抑えることができる。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記カバー部材(14)内には、脱酸素剤の前記集合体(12)の周りの酸素濃度を検出する検出部(46)を配設したことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、ケース部材内の酸素濃度を知って、ケース部材内の酸素濃度を適正値に保つよう対応することができる。例えば、酸素濃度変化に対応して、ガスの噴出量を変更設定するなどにより、ケース部材内の酸素濃度を適正値に保つようにするなどの対応を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、食品包装に添付される脱酸素剤の効能の低下を抑制することができるので、包装能力が低く設定された包装機による作業時間においても、食品メーカーが定める品質保持期間を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】供給装置を示す概略縦断正面図である。
図2】供給装置を示す概略縦断側面図である。
図3】供給装置を示す概略平面図である。
図4】供給装置の引き出し口を覆う遮蔽部材を示す概略側面図である。
図5】脱酸素剤の連包品を示す概略斜視図である。
図6】つづら折り体となった集合体をケース部材に収容した供給装置を示す概略縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る脱酸素剤の供給装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例0014】
実施例に係る脱酸素剤の供給装置は、図1図3に示す如く、複数の脱酸素剤10aが連なる帯状の連包品10(図5参照)をロール巻きして纏めたロール巻き体からなる集合体12を収容可能で、連包品10の引き出し口として開口28が設けられたカバー部材14と、該カバー部材14の内部に配設され、ロール巻きされた集合体12を、連包品10の引き出しを可能に支持する支持シャフト(支持部)16と、カバー部材14の内部を大気より低酸素濃度に維持するための窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガスノズル(気体ノズル)18と、を備える。供給装置は、支持シャフト16に支持された集合体12から脱酸素剤10aの連包品10を引き出すと共に、包装機において、連包品10から個々の小袋に分離した脱酸素剤10aとして食品または医薬品等に添付されて包装されるように供給する、各種の分離供給部へ向けて供給する繰出しローラ20と、ガスノズル18に接続し、該ガスノズル18に不活性ガスを供給するガス供給手段22と、を備える。実施例の集合体12は、紙管の軸端にフランジが形成されたボビン形状の巻取体24の紙管に、連包品10を軸方向に移動させながら巻くことで脱酸素剤10aが左右に平均的に巻かれたロール巻品であって、集合体12の紙管は、前記支持シャフト16に挿通されて回転可能に支持される。そして、ロール巻きされた脱酸素剤10aの連包品10は、紙管に沿って左右に移動しながら巻取体24から引き出される。
【0015】
図2に示す如く、前記カバー部材14は、前側に開口する矩形に形成された部材であって、カバー部材14は、その前部に、集合体12の出入口14aを開閉可能な前扉26を備える。前扉26は、出入口14aを閉成した状態で、シール材等によってカバー部材14内を密閉可能に構成される。また、前扉26の前面部は、透明樹脂板からなるのぞき窓で覆われ、カバー部材14内の集合体12における脱酸素剤10aの消費状況を外部から視認し得るよう構成されている。図1図4に示す如く、前記カバー部材14には、その一側壁14bの下端部に、前後方向(紙管の軸方向)に向けて、引き出し口となる開口28が開設されており、該開口28を経て連包品10がカバー部材14の外に引き出される。すなわち、前記支持シャフト16に支持された集合体12および該集合体12から引き出される連包品10の開口28までの引き出し経路全体が、密閉空間となるようカバー部材14により覆われる。また、開口28は、前記支持シャフト16により支持された集合体12の位置より下方に設けられると共に、支持シャフト16は、カバー部材14内において、開口28が設けられる一側壁14bと対向する他側壁側に偏った位置に設けられている。すなわち、支持シャフト16に支持された集合体12は、カバー部材14内において、高さ方向および左右方向において開口28から離間する側に偏った位置に臨むよう構成されて、カバー部材14内において、後述する、窒素ガスの供給によって酸素濃度割合が低下しにくい領域に集合体12が支持されるよう配置される。
【0016】
図1図4に示す如く、前記カバー部材14には、前記開口28を覆って、該開口28からの気体の出入りを抑制可能な遮蔽手段30が設けられている。該遮蔽手段30は、上端部において前後方向(開口28の延在方向)に回動可能に枢支されて開口28に対して上下方向に横切るように延在する複数の短冊状の遮蔽部材32から構成され、各遮蔽部材32は、隣り合う遮蔽部材32が側方で部分的に重なり前後方向に連なって開口28の全体を塞ぎ得るよう構成される(図4(a)参照)。そして、前記集合体12から解きほどかれる連包品10が、開口28から引き出されながら開口28を左右に移動する際には、該連包品10の側縁が接触して押された遮蔽部材32が、上方の回動支点を基点として下方が揺動するよう回動して該連包品10の左右方向への移動を許容するよう開口28を開く姿勢に変位する(図4(b)参照)。また、分割して吊り下げられた遮蔽部材32の配設位置を連包品10が横切った後に、個々の遮蔽部材32は、自重によって揺動することで、元の垂下位置(開口28を塞ぐ姿勢)まで復帰する。そして、開口28の遮蔽部材32が配設された部位は、該遮蔽部材32により上下が覆われた状態で部分的に塞がれる。このようにして、開口28からの不活性ガスの逃出を防ぐことができる。
【0017】
図1図3に示す如く、前記カバー部材14の内部には、上下方向に延在して延在方向に離間して複数の噴出孔18aが形成されると共に、上部が開口して前記噴出孔18aとなる中空パイプからなるガスノズル18が、立方体からなるカバー部材14の角部付近となる四隅に配設されている。各ガスノズル18の下端に、前記ガス供給手段22に接続されるガス供給路が連通し、該ガス供給手段22から供給される窒素ガスが、4本のガスノズル18の噴出孔18aからカバー部材14内に供給される。各ガスノズル18の噴出孔18aは、前記開口28から外れた方向に向けて窒素ガスを噴出するよう位置決めされ、噴出孔18aから噴出された窒素ガスが直接開口28の方向に噴き付けられて、供給直後のガスが開口28から流出してしまうのを防止する。実施例では、ガスノズル18に設けた噴出孔18aは、相互に向かい合うガスノズル18を指向するよう位置付けられる。なお、前後に離間するガスノズル18,18は、前記開口28の前後開口端より外側の位置において、カバー部材14の底壁14cから上方に向けて立設されるよう、開口28の前後長さが規定されている。そして、これら各ガスノズル18の噴出孔18aは、いずれも開口28に向けてガスを噴出することが無い。また、前記底壁14cから上方に延びる各ガスノズル18における最下部の噴出孔18aの形成位置は、いずれも開口28の上縁部より高い位置に配設されている。
【0018】
前記ガス供給手段22は、エア供給源から供給される圧縮エアから窒素ガスを精製する装置であって、精製した窒素ガスは、ガス供給路を経て接続されたガスノズル18によりカバー部材14内に供給される。そして、窒素ガスの供給を継続することで、カバー部材14内の空気は、前記開口28から押し出され、カバー部材14内の酸素濃度を、大気中の酸素濃度(21%)より低い、例えば5%以下となった状態に維持することができる。
【0019】
図1図3に示す如く、前記カバー部材14の内部および前記開口28が設けられた一側壁14bの外部には、複数の案内ローラ34が配設される。また、カバー部材14の上方には駆動ローラ36と従動ローラ38および駆動ローラ36を回転駆動する駆動モータ40を備えた前記繰出しローラ20が配設される。脱酸素剤10aの連包品10は、前記複数の案内ローラ34に巻き掛け案内された後、前記駆動ローラ36と従動ローラ38に挟持されて集合体12から引き出されて包装機まで供給される。そして、包装機に付設された前記分離供給部において、連包品10が個々の小袋として切り離された脱酸素剤10aとして食品に添付されるよう供給される。また、繰出しローラ20に対する連包品10の引き出し方向の前後位置に、U字ガイド42,44が設けられ、繰出しローラ20の前後において連包品10の搬送案内を良好に行うことができる。
【0020】
前記カバー部材14の内部に設けた酸素濃度計(酸素濃度の検出部)46と、カバー部材14の外部に設けた検出表示部48からなる酸素濃度検出手段が配設される。また、酸素濃度計46は、集合体12の支持位置に対して開口28を設けた前記一側壁14b側となる一側に設けられる。
【0021】
試験結果において、本実施例におけるカバー部材14の内部に脱酸素剤の小袋10aが複数個連結している連包品10を前記支持シャフト16上に載置して、窒素ガスを充填して酸素濃度が5%となった状態にて24時間経過した後におけるテストピースを、脱酸素剤のメーカーにて確認した結果、脱酸素剤の効能が低下していないことが認められた。
【0022】
次に、実施例に係る脱酸素剤の供給装置の作用について説明する。
実施例の供給装置では、脱酸素剤10aの集合体12が収容される前記カバー部材14の内部を、前記ガス供給手段22から供給される窒素ガスによって大気より低酸素濃度とするので、脱酸素剤10aの効能低下を抑制することができる。すなわち、包装作業において脱酸素剤10aが大気に晒されている時間を短くすることができ、脱酸素剤のメーカーが定める作業時間より長い時間での包装作業が許容される。これにより、包装能力が低い包装機で製造した包装製品について、製造者が定めた品質保持期限が短縮されてしまうといった事態を回避することができる。そして、包装作業終了までの間、カバー部材14内において低酸素状態の環境下におかれていた脱酸素剤10aのロール巻品は、作業終了後に余った集合体12として、カバー部材14に収容したまま窒素供給を継続し、低酸素濃度の環境下で保存しておくことで、脱酸素剤10aの効能低下を抑えて長時間の作業時間に対応することもできる。
【0023】
実施例の供給装置は、連包品10がロール巻きされた集合体12から連包品10が引き出される際に、前記引き出し口の開口28を横移動する連包品10が通過する位置に対応する遮蔽部材32のみが開口28を開く姿勢に変位して連包品10の引き出しを許容し、連包品10の通過位置が横移動することで、遮蔽部材32が自重により揺動して開口28を塞ぐ姿勢に戻るよう動作して連包品10の通過位置外の領域を塞ぐので、連包品10がカバー部材14から外部へ引き出される際に、カバー部材14内に供給された窒素ガスが開口28を経て逃出してしまうのを抑制することができる。また、前記ガスノズル18の噴出孔18aからは、窒素ガスが直接開口28に向けて噴き付けられることなく、供給直後に開口28から窒素ガスが漏れ出るのを防止でき、カバー部材14内を低酸素濃度に維持するための窒素ガスの供給量を適正なものとすることができる。また、カバー部材14内に供給される不活性ガスは、酸素ガスより軽い窒素ガスとし、開口28を、前記支持シャフト16に支持した集合体12より下方位置に設けたので、連包品10の引き出しにより開口28から大気が侵入したとしても、集合体12が支持されたカバー部材14内における上部空間は低酸素濃度の環境下におくことができて脱酸素剤10aの効能低下を抑制することができる。
【0024】
カバー部材14内に窒素ガスを供給するガス供給手段22として、圧縮エアから窒素ガスを精製する装置を用いることで、ガスボンベ等のように窒素ガスが無くなった際に交換する手間がなく、またランニングコストを低く抑えることができる。また、カバー部材14内の酸素濃度を、酸素濃度検出手段によって把握して、窒素供給量を調節することで、カバー部材14内の酸素濃度を適正な値に維持することができる。酸素濃度計46は、前記支持シャフト16に支持される集合体12より開口28が開設される一側壁14b側に配置することで、開口28からの大気の流入によって酸素濃度が高くなり易い側の空間部における酸素濃度の変化を早期に把握することができる。
【0025】
(変更例)
本発明は実施例などの構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例などに記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 集合体12は、ロール巻品(ロール巻き体)に限らず、図6に示す如く、脱酸素剤10aの連包品10をつづら折りに折り畳んだつづら折り品(つづら折り体)であって、その集合体12を器50などの支持部に収容して支持部をカバー部材14で覆い、カバー部材14に設けた開口28から連包品10を引き出し可能な構成を採用することができる。
(2) カバー部材14内を低酸素濃度にするために供給する不活性ガスとして窒素ガスを採用したが、アルゴンガスなど、低酸素濃度にできるその他の不活性ガスを供給するようにしても良い。なお、アルゴンガス等の酸素ガスより重い不活性ガスを用いる場合は、開口28を、カバー部材14における支持部16に支持されている集合体12が臨む位置より上部に設けることで、カバー部材14に供給したガスの開口からの漏洩を抑制すると共に、集合体12の周囲を供給ガスにより低酸素濃度に維持することができて好適である。
(3) カバー部材14内の酸素濃度は、大気中の酸素濃度に対してより低いほどよいが、包装作業時間に対応して、集合体12の周囲を所定の酸素濃度まで低下させた環境下にしてメーカーが定める商品の品質保持期限が保てる低酸素濃度に設定すれば良い。また、カバー部材14内の酸素濃度を5%以下とすることで、脱酸素剤の効能低下を大幅に抑制できる効果があり、好適である。
(4) 脱酸素剤10aを物品に添付された状態で、袋やトレイ、あるいは、その他の容器により密封包装する包装機としては、横形製袋充填機や縦形製袋充填機、給袋式袋詰め機、トレイシール機や、その他の密封包装可能な各種包装機が適用される。
(5) カバー部材14の内部に、繰出しローラ20を配設したり、支持部16から包装機にに至る脱酸素剤10aの連包品10を搬送する搬送経路の一部区間、または全区間に亘り、搬送路の周囲をカバー部材で覆って内部を密封空間とし、内部空間に不活性ガスが供給されて脱酸素剤10aの周囲が低酸素状態となった環境下にするよう構成しても良い。
(6) ガス供給手段22として、圧縮エアから窒素ガスを精製する装置を採用する構成に限定されるものではなく、必要に応じて、ガスボンべから窒素ガスを供給する構成を採用しても良い。
(7) 酸素濃度計46で検出した酸素濃度値に基づき、ガス供給手段22による不活性ガスの供給量を制御して、カバー部材14内を所定の低酸素濃度にする構成を採用しても良い。
(8) 連包品10の引き出しに合わせて引き出し口28を開閉する遮蔽部材32は、引き出し口28より下方で回動可能に枢支すると共に、枢支位置より下方に重心を有する構成として、引き出し口28を塞ぐ姿勢と、連包品10の引き出しを許容するよう引き出し口28を開く姿勢とに揺動する構成を採用することができる。また、連包品10の引き出しを許容する開く姿勢に変位した遮蔽部材32を、バネ等の弾性部材によって塞ぐ姿勢に戻すようにした構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0026】
10 連包品,12 集合体,14 カバー部材,18 ガスノズル,18a 噴出孔
22 ガス供給手段,28 開口(引き出し口),32 遮蔽部材
46 酸素濃度計(検出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6