(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055676
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】流体放出装置
(51)【国際特許分類】
F04B 45/053 20060101AFI20240411BHJP
F04B 43/06 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F04B45/053 A
F04B43/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162778
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 裕一
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA12
3H077CC02
3H077CC09
3H077DD09
3H077DD14
3H077EE36
3H077EE37
3H077FF06
3H077FF07
(57)【要約】
【課題】部品レイアウトの自由度を向上する。
【解決手段】流体放出装置は、外部空間へ流体を放出するための開口部を有する筐体と、前記筐体の内部空間を、前記開口部を介して前記外部空間と連通する第1空間と、前記第1空間から気密的に遮断された第2空間とに区分する変位部と、前記第2空間から流体を吸い出させることにより、前記変位部を前記開口部から離れる方向に変位させる吸引部と、前記第2空間に流体を流入させることにより、前記変位部を前記開口部に近づく方向に変位させる流入部と、備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間へ流体を放出するための開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部空間を、前記開口部を介して前記外部空間と連通する第1空間と、前記第1空間から気密的に遮断された第2空間とに区分する変位部と、
前記第2空間から流体を吸い出させることにより、前記変位部を前記開口部から離れる方向に変位させる吸引部と、
前記第2空間に流体を流入させることにより、前記変位部を前記開口部に近づく方向に変位させる流入部と、
を備える流体放出装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記変位部と前記第2空間を介して対向する底面と、前記底面と交差する方向に延在する側周面とを備え、
前記吸引部及び前記流入部は、前記底面と、前記側周面とのうち少なくともいずれかにおいて、前記第2空間と連通する、
請求項1に記載の流体放出装置。
【請求項3】
前記吸引部を介して、前記第2空間から流体を吸い出すポンプと、
前記流入部を介して、前記第2空間に流体を流入させる電磁弁とをさらに備える、
請求項1に記載の流体放出装置。
【請求項4】
前記筐体の前記底面又は前記側周面において、前記第2空間と対向する位置に、凹凸形状が形成される、請求項2に記載の流体放出装置。
【請求項5】
通気性を有する部材を、前記第2空間に備える、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の流体放出装置。
【請求項6】
前記通気性を有する部材は、貫通孔を備える、請求項5に記載の流体放出装置。
【請求項7】
前記通気性を有する部材は、前記変位部と対向する面に、前記筐体の底面に向かって切りかかれた複数の溝を備える、請求項5に記載の流体放出装置。
【請求項8】
前記通気性を有する部材は、連続気泡構造を有する、請求項5に記載の流体放出装置。
【請求項9】
前記通気性を有する部材は、複数の線状の部材により形成される網状の部材を備える、請求項5に記載の流体放出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香やイオン等を放出する手段として、いわゆる空気砲などの流体放出装置を用いることが知られている。例えば、放出口と、放出口に連通する空気質チャンバと、空気質チャンバ内で所定の空気質成分を揮発させるとともに、揮発された空気質成分を含んだ気体を圧縮するように変位して空気砲が放出されるアクチュエータとしての作動部とを備えた空気砲装置が知られている。当該空気砲装置において、作動部には支持部材が連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-237803号公報
【特許文献2】特開2008-254699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術においては、作動部を変位させるための支持部材などの可動部材が必要となる。これにより、空気砲装置本体の小型化や、部品レイアウトの自由度が阻害される。
【0005】
一つの側面では、部品レイアウトの自由度を向上できる流体放出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、流体放出装置は、外部空間へ流体を放出するための開口部を有する筐体と、前記筐体の内部空間を、前記開口部を介して前記外部空間と連通する第1空間と、前記第1空間から気密的に遮断された第2空間とに区分する変位部と、前記第2空間から流体を吸い出させることにより、前記変位部を前記開口部から離れる方向に変位させる吸引部と、前記第2空間に流体を流入させることにより、前記変位部を前記開口部に近づく方向に変位させる流入部と、備える。
【0007】
一つの態様によれば、部品レイアウトの自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における空気砲の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における筐体の一例を示す断面斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における空気砲の動作の一例を示す断面斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における空気砲の動作の別の一例を示す断面斜視図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態における空気砲の一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態における筐体の底面の一例を示す断面斜視図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態における筐体の動作の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態における空気砲の一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態におけるスペーサを備えた筐体の一例を示す断面斜視図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態におけるスペーサの一例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態における空気砲の動作の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第1の変形例におけるスペーサの一例を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、第2の変形例におけるスペーサの一例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第3の変形例におけるスペーサの一例を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、第3の変形例におけるスペーサの拡大斜視図である。
【
図16】
図16は、第4の変形例における空気砲の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する流体放出装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。各図面において、説明を分かりやすくするために、後に説明する筐体10の側周面13が延在する方向を軸方向とする座標系を図示する場合がある。
【0010】
[第1の実施形態]
まず、本実施形態における流体放出装置の一例である空気砲について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態における空気砲の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態における空気砲1は、筐体10と、ポンプ40と、電磁弁50とを備える。
【0011】
筐体10は、例えば金属等の弾性変形しにくい材料により形成される、筒状の部材である。
図2は、第1の実施形態における筐体の一例を示す断面斜視図である。
図2は、
図1に示す筐体10を平面S1で切断した断面を示す。筐体10は、
図2に示すように、頂面11と、底面12と、側周面13とを備える。なお、筐体10は、
図1及び
図2に示すような略円柱状の形状に限られず、円錐状や角柱状、角錐状等のその他の形状であってもよい。
【0012】
図2に示すように、筐体10の頂面11には、開口部19が形成され、底面12には、第1通気口21と、第2通気口22とが形成される。開口部19は、筐体10の内部空間と外部空間とを連通する。また、
図1に示すように、第1通気口21には、第1チューブ41を介して、ポンプ40が接続され、第2通気口22には、第2チューブ51を介して、電磁弁50が接続される。なお、第1チューブ41は吸引部の一例であり、第2チューブ51は流入部の一例である。
【0013】
筐体10は、ダイヤフラム30をさらに備える。ダイヤフラム30は、例えばゴム等の弾性変形しやすい材質により形成される、膜状の部材である。筐体10の内部空間は、ダイヤフラム30により、頂面11に接する第1空間15と、底面12に接する第2空間16とに区分される。なお、ダイヤフラム30は、変位部の一例である。
【0014】
ポンプ40は、例えば公知の真空ポンプであり、第1チューブ41及び第1通気口21を介して第2空間16内の空気を吸引することで、筐体10の第2空間16を負圧にする。なお、ここで述べる真空ポンプとは、容器内の気体を吸入、排出することで、容器内の圧力を負圧にするものであり、負圧にすることができれば、真空度は問わないものである。
【0015】
電磁弁50は、例えばスイッチ操作等により通電状態を切り替えることで、開状態と閉状態とが切り替わる公知の弁である。電磁弁50が閉状態においては、第2通気口22と外部空間とが気密的に遮断され、開状態においては第2通気口22と外部空間とが連通する。
【0016】
電磁弁50が閉状態となっている場合において、ポンプ40により空気を吸引された第2空間16内は、略真空状態となる。この場合において、電磁弁50が開状態に移行すると、電磁弁50、第2チューブ51及び第2通気口22を介して第2空間16に空気が流入することで、第2空間16が外部空間と同じ圧力まで復帰する。
【0017】
第1の実施形態において、第1空間15は、ポンプ40及び電磁弁50の状態にかかわらず、開口部19を介して外部空間と連通する。一方、第2空間16は、ダイヤフラム30により、第1空間15から気密的に遮断される。また、第2空間16は、電磁弁50が開状態においては第2通気口22を介して外部空間と連通する一方、電磁弁50が閉状態においては外部空間から気密的に遮断される。
【0018】
第1の実施形態において、ダイヤフラム30は、ポンプ40及び電磁弁50の動作に伴い、
図3及び
図4に示すように変位する。
図3は、空気砲の動作の一例を示す断面斜視図である。
図4は、第1の実施形態における空気砲の動作の別の一例を示す断面斜視図である。
図3は、ポンプ40の動作により第2空間16から空気が吸い出され、略真空状態となっている構成を示し、
図4は、電磁弁50の動作により、外部空間から第2空間16に空気が流入した構成を示す。
【0019】
なお、以下において、ダイヤフラム30の動作前の状態、及びポンプ40の吸引により、第2空間が略真空状態となっている状態を、それぞれ開状態30a及び閉状態30bのように表記する場合がある。第1空間15、第2空間16及び電磁弁50についても同様に表記する場合がある。なお、閉状態のダイヤフラム30bは、電磁弁50が閉状態から開状態に移行し、略真空状態の第2空間16bに空気が流入することにより、開状態30aに移行する。第1空間15b及び第2空間16bについても、同様に移行する。
【0020】
図3に示すように、電磁弁50が閉状態50bに移行した状態において、ポンプ40が、第1チューブ41及び第1通気口21を介して、第2空間16内の空気を吸い出すことにより、閉状態の第2空間16bは略真空状態となる。この場合、閉状態のダイヤフラム30bは、開状態のダイヤフラム30aに対して、開口部19から離れる方向に変位する。これにより、閉状態の第1空間15bは、開状態の第1空間15aに比べて容積が拡大する。この場合において、閉状態における第1空間15には、開口部19を介して、外部空間から空気が流入する。
【0021】
また、閉状態における第1空間15bには、例えば図示しない射出口から、香料等が射出されてもよい。例えば、閉状態の第1空間15bに芳香剤等が射出され、香りづけされた気体が開口部19から放出されることにより、リラクゼーション効果を得られ、又は映画館やテーマパーク等におけるアミューズメント用途に応用することができる。また、アミューズメント用途としては、煙や、着色された気体が開口部19から放出されてもよい。また、電極を第1空間15に設けることで、イオン化された気体を放出し、除菌、消臭効果や、除電効果も期待できる。
【0022】
さらに、閉状態の第1空間15b内に吸引された気体を加熱し、冷却し、加湿し、又は除湿して放出することにより、局所的な空調用途や、アミューズメント用途等にも応用することができる。このとき、第1空間15の内部または外部に加熱源や冷却源などを設置してもよいし、筐体10そのものを加熱または冷却してもよい。なお、以下において、射出された香料等が混入した流体や、加熱、冷却、加湿又は除湿された流体を、調整済流体と表記する場合がある。
【0023】
次に、
図4に示すように、(ポンプ40が動作を停止した後に)電磁弁50が開状態50aに移行すると、略真空状態となっていた閉状態の第2空間16bに、第2チューブ51及び第2通気口22を介して、空気が流入する。この場合において、ダイヤフラム30は、閉状態30bから、開口部19に近づく方向へ急激に変位し、開状態30aに戻る。これにより、第1空間15bに吸引された空気、又は調整済流体は、変位するダイヤフラム30に押し出されて、開口部19から放出される。
【0024】
なお、開状態において、開状態の電磁弁50aを介して第2空間16に流入する空気は、開口部19から放出された調整済流体が混入した気体であってもよい。閉状態において、開口部19から閉状態の第1空間15bに流入する空気についても、同様に調整済流体が混入した気体であってもよい。
【0025】
以上説明したように、本実施形態における流体放出装置1は、外部空間へ流体を放出するための開口部19を有する筐体10と、筐体10の内部空間を、開口部19を介して外部空間と連通する第1空間15と、第1空間15から気密的に遮断された第2空間16とに区分する変位部30と、第2空間16から流体を吸い出させることにより、変位部30を開口部19から離れる方向に変位させる吸引部41と、第2空間16に流体を流入させることにより、変位部30を開口部19に近づく方向に変位させる流入部51と、を備える。かかる構成によれば、ポンプ40本体を外部に配置でき、またダイヤフラム30を変位させるための部材を筐体10内部に形成しなくてもよいので、部品レイアウトの自由度を向上できる。
【0026】
[第2の実施形態]
第1の実施形態において、閉状態のダイヤフラム30bが、筐体10の底面12や側周面13に張り付く場合がある。この場合、第2通気口22からの空気の流入量の低下により、電磁弁50が開状態50aに移行した際の空気砲1の反応速度が低下される場合がある。また、閉状態30bから開状態30aに移行する際にダイヤフラム30に加わる応力が大きくなることで、ダイヤフラム30が破損し、又は筐体10からダイヤフラム30が剥離する場合がある。そこで、ダイヤフラム30の張り付きを防止するための各実施形態及び各変形例について、以下に説明する。なお、以下の各実施形態及び各変形例において、先に説明した図面に示す部位と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
図5は、第2の実施形態における空気砲の一例を示す斜視図である。なお、
図5に示すように、ポンプ40と電磁弁50とは、いずれも1つのチューブ129に接続されてもよい。この場合において、ポンプ40が接続される第1チューブ141と、電磁弁50が接続される第2チューブ151とは、チューブ129の分岐部128にそれぞれ接続される。
【0028】
また、第2の実施形態における筐体110の底面112は、
図6及び
図7に示すように加工されている。
図6は、第2の実施形態における筐体の底面の一例を示す断面斜視図である。
図7は、第2の実施形態における筐体の動作の一例を示す断面図である。
図6は、
図5をA-A線で切断した断面を示し、
図7は、
図5を平面S2で切断した断面を示す。
【0029】
図6及び
図7に示すように、筐体110の底面112には、第2空間116と対向する位置に、複数の突起117及び118が形成される。
図6及び
図7に示すように、突起117及び118は、通気口121とダイヤフラム30の間の底面112に形成される。また、突起118は、軸方向と交差する方向において、通気口121を通過するように形成される。なお、複数の突起117及び118は、凹凸形状の一例である。
【0030】
第2の実施形態においては、
図7に示すように、ダイヤフラム30がポンプ40により底面112側に吸引された状態において、この突起117及び118の間を、通気口121から流入した空気が通過できるようになっている。つまり、突起117及び118によって、ダイヤフラム30が底面112側に吸引された状態においても、通気口121から第2空間116へ空気を流入させる空間を確保することができる。これにより、ダイヤフラム30が、底面112や通気口121に張り付くことが抑制され、電磁弁が開状態に移行した際に素早く空気が第2空間16b内に流入することで、ダイヤフラム30bを開状態にスムーズに復帰させることができる。
【0031】
なお、
図6及び
図7に示す複数の突起117及び118の配置は一例であり、例えば同心円状や放射線状等、その他の形状に配置されていてもよい。また、突起117及び118の代わりに、底面112に溝が形成されるような構成であってもよい。さらに、凹凸形状は、筐体110の側周面13に形成されてもよい。
【0032】
以上説明したように、第2の実施形態における流体放出装置101は、筐体110の底面112又は側周面13において、第2空間116と対向する位置に、凹凸形状117,118が形成される。かかる構成によれば、突起117及び118によりダイヤフラム30の筐体110への張り付きが抑制されるので、空気砲101の反応が向上し、またダイヤフラム30の破損や剥離が抑制される。
【0033】
[第3の実施形態]
また、空気砲が、筐体内に、ダイヤフラム30の筐体への張り付きを防止するような部材をさらに備えるような構成であってもよい。
図8は、第3の実施形態における空気砲の一例を示す斜視図である。
図9は、第3の実施形態におけるスペーサを備えた筐体の一例を示す断面斜視図である。
図9は、
図8をB-B線で切断した断面を示す。
【0034】
図9に示すように、第3の実施形態において、筐体210の底面212とダイヤフラム30との間に形成される第2空間216には、
図10に示すスペーサ60が配置される。
図10は、第3の実施形態におけるスペーサの一例を示す斜視図である。なお、スペーサ60は、通気性のある部材の一例である。
【0035】
図9及び
図10に示すように、第3の実施形態におけるスペーサ60は、軸方向においてダイヤフラム30と対向する面61と、軸方向に延在し、面61を支持する複数の支持部62とを備える。スペーサ60は、例えば金属や樹脂などにより形成される。また、周方向において隣接する支持部62の間には、第1通気口221と連通する間隙69が少なくとも1か所形成される。また、スペーサ60の面61には、軸方向に延在する複数の貫通孔65が形成される。
【0036】
図11は、第3の実施形態における空気砲の動作の一例を示す断面図である。
図11は、
図8に示す筐体210を平面S3で切断した断面を示す。なお、
図11では、複数の貫通孔65のうち、一部の図示を省略している。
図11に示すように、第3の実施形態においても、閉状態となっているダイヤフラム30bは、筐体210の底面212に近づく方向に変位する。
【0037】
かかる構成においては、第1通気口221から底面212とスペーサ60との間の空間を介し、貫通孔65を通って第2空間216b内に空気を流入させることができる。よって、かかる構成においても、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0038】
なお、
図8に示すように、第3の実施形態における空気砲201において、ポンプ40が接続される第1チューブ241と、電磁弁50が接続される第2チューブ251とは、筐体210の側周面213に形成される第1通気口221及び第2通気口222にそれぞれ接続されてもよい。この場合において、第1通気口221及び第2通気口222は、
図9に示すように、径方向において、スペーサ60の間隙69と対向する位置に形成される。すなわち、周方向において隣接する2つの支持部62の間に形成される間隙69のうちのいずれか1つは、例えば第1通気口221と径方向において対向し、他のいずれか1つの間隙69は、第2通気口222と径方向において対向する。
【0039】
以上説明したように、第3の実施形態における流体放出装置201は、通気性を有する部材60を、第2空間216に備える。通気性を有する部材60は、例えば、貫通孔65を備える。かかる構成においても、ダイヤフラム30の筐体210への張り付きが抑制される。
【0040】
なお、第3の実施形態に示すようにスペーサ60を用いる場合、スペーサ60の形状を変更することにより、任意の形状の筐体を備える空気砲において、既存の筐体の形状を変更させることなく、ダイヤフラム30の張り付きを防止させることができる。一方、第2の実施形態に示すように底面112に突起117及び118を形成する場合、
図7に示す底面112と閉状態のダイヤフラム30bとの間隔W1を、
図11に示す底面212と閉状態のダイヤフラム30bとの間隔W2よりも小さくすることができる。これにより、第2の実施形態においては、
図7に示す閉状態の第1空間115bを、
図11に示す閉状態の第1空間215bと比べて、より大きくすることができるので、より大きな流体放出量を実現できる。
【0041】
[変形例]
以上、本実施形態における構成について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、第3の実施形態において、スペーサは通気性を有する部材であれば、
図10に示すものに限られず、その他の形状であってもよい。
図12は、第1の変形例におけるスペーサの一例を示す斜視図である。
図12に示すように、第1の変形例におけるスペーサ70では、第2空間216と対向する面71に、複数の溝78が形成される。複数の溝78は、スペーサ70の外周面72まで延在している。複数の溝78は、例えば
図9に示す第1通気口221及び第2通気口222と、径方向において対向する位置に形成される。なお、
図12に示すように、スペーサ70には、複数の溝78と略直交する方向に延在する、複数の溝79がさらに形成されていてもよい。
【0042】
かかる構成においても、閉状態のダイヤフラム30bがポンプ40により底面212側に吸引された状態において、第2通気口222から流入した空気が、複数の溝78又は79を通過できる。つまり、吸引されたダイヤフラム30bがスペーサ70の面71に接触した状態においても、第2通気口222から第2空間216bへと空気を流入させる空間を確保できる。
【0043】
図13は、第2の変形例におけるスペーサの一例を示す斜視図である。
図13に示すスペーサ80は、例えばポリウレタンフォームなどの連続気泡構造を含む材質により形成される。
【0044】
図13に示すように、第2の変形例におけるスペーサ80は、通気性を有する連続気泡構造89を備える。スペーサ80における連続気泡構造89は、例えばダイヤフラム30と対向する面81と、筐体210の底面212と対向する面83又は側周面82とが通気性を有するように形成される。かかる連続気泡構造89を介して、ポンプ40により第2空間216から空気が吸引され、また電磁弁50を介して第2空間216に空気が流入する。
【0045】
図13に示す例においても、第2通気口222から流入した空気を、スペーサ80に形成される連続気泡構造89を介して、第2空間216b内に流入させることができる。これにより、ダイヤフラム30のスペーサ80への張り付きが抑制される。また、連続気泡構造89により、スペーサ60及び70と異なり、スペーサ80を筐体210に収容できる周方向において、筐体210の側周面213に形成された第1通気口221及び第2通気口222との位置合わせが不要となる。
【0046】
図14は、第3の変形例におけるスペーサの一例を示す斜視図である。
図15は、第3の変形例におけるスペーサの拡大斜視図である。
図15は、
図14の枠F1に示す部分を拡大した図である。
【0047】
図15に示すように、第3の変形例におけるスペーサ90は、第1の線状の部材9aと、第2の線状の部材9bとを備える。第2の線状の部材9bは、第1の線状の部材9aに対して、軸方向において負方向側で交差する編み目93と、正方向側で交差する編み目94とを繰り返すことにより編み込まれる。編み込まれた第1の線状の部材9aと、第2の線状の部材9bとは、面91を形成する。なお、第1の線状の部材9aの端部92は、軸方向において、面91を支持する。
【0048】
このように形成された網目形状を備えるスペーサ90の面91は、空隙95を備える。かかる空隙95を介して、第2空間216からポンプ40により空気が吸い出される。この場合においても、第2通気口222からスペーサ90と底面212の間の空間を介し、空隙95を通って第2空間216b内に空気を流入させることができる。これにより、閉状態のダイヤフラム30bが、スペーサ90の網目形状を備える面91に張り付くことが抑制される。なお、第3の変形例において、スペーサ90は、周方向において隣接する2つの第1の線状の部材9aの端部92の間隙99が、筐体210の側周面213に形成された第1通気口221及び第2通気口222と対向する位置になるように、筐体210に収容される。
【0049】
以上説明したように、通気性を有する部材70は、変位部30と対向する面71に、筐体210の底面212に向かって切りかかれた複数の溝78を備えてもよい。また、通気性を有する部材80は、連続気泡構造89を有してもよい。さらに、通気性を有する部材90は、複数の線状の部材9a,9bにより形成される網状の部材91を備えてもよい。
【0050】
以上各実施形態及び各変形例について説明したが、実施の形態はこれに限られない。例えば、各実施形態における通気口の配置は一例であり、その他の構成であってもよい。例えば、第1の実施形態において、
図5に示すように、ポンプ40が接続された第1チューブ141と、電磁弁50が接続された第2チューブ151とが、一つの通気口121にチューブ129を介して接続されていてもよい。また、
図5に示す第2の実施形態における空気砲101において、通気口121が側周面13に形成されていてもよい。
【0051】
また、
図16に示すように、第1通気口及び第2通気口のうち、いずれか一方が底面に形成され、他方が側周面に形成されてもよい。
図16は、第4の変形例における空気砲の一例を示す斜視図である。
図16に示すように、第4の変形例における空気砲301において、第1チューブ341を介してポンプ40に接続される第1通気口21は筐体310の底面312に形成され、第2チューブ351を介して電磁弁50に接続される第2通気口222は筐体310の側周面313に形成される。なお、第1通気口が筐体310の側周面313に形成され、第2通気口が筐体310の底面312に形成されてもよい。
【0052】
なお、吸引部が接続される第1通気口と、流入部が接続される第2通気口とは、同一の形状及び大きさでなくともよい。この場合において、第2通気口がより大きい方が、空気砲の反応を向上できる。
【0053】
なお、
図12に示すスペーサ70は、例えば
図1乃至
図4に示す筐体10と組み合わせて用いられる場合に、面71と対向する面において、
図1に示す第1通気口21及び第2通気口22と対向する位置に、貫通孔が形成されていてもよい。
【0054】
また、空気砲は、ポンプ40及び電磁弁50を備えるものに限られない。例えば、ポンプ40に代えて、手動式のピストン等により第2空間から空気を吸い出してもよく、また電磁弁50に代えて、筐体の第2通気口を気密的に遮断するシールをはがし、又はシールに穴を開ける等の方法により、第2空間に空気を流入させてもよい。
【0055】
また、ダイヤフラム30は、第2空間を気密的に遮断し、かつ伸縮可能な部材であれば、蛇腹や、第2空間を気密的に遮断できる部材にバネを付加したもの等のその他の部材であってもよい。
【0056】
なお、スペーサ60乃至90は、筐体210に固定される構造であってもよく、また筐体210の第2空間216に移動可能に配置されてもよい。
【0057】
また、開口部19は、
図2に示すような略円形状の断面以外に、矩形や星形等の任意の形状を備えていてもよい。なお、開口部19は第1空間15と外部空間とを連通するものであればよく、例えば側周面13に形成されていてもよい。
【0058】
また、筐体が複数に区分されるような構成であってもよい。この場合において、複数の筐体は、例えば相互にチューブで接続され、当該複数の筐体のうちのいずれか1つに真空ポンプが設けられ、他の1つに電磁弁が設けられる。
【0059】
また、流体放出装置の実施形態は、空気を放出する空気砲に限られない。例えば、流体放出装置の第1空間に吸引され、第1空間から放出される調整済流体は、水などの液体であってもよい。第2空間から吸引され、また第2空間に流入する流体も同様に、空気の代わりに液体であってもよい。
【0060】
以上、本発明を実施形態及び各変形例に基づき説明したが、本発明は実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0061】
1,101,201,301 空気砲、10,110,210,310 筐体、11 頂面、12,112,212,312 底面、13,213,313 側周面、15,115,215 第1空間、16,116,216 第2空間、117,118 突起、19 開口部、121 通気口、21,221 第1通気口、22,222 第2通気口、30 ダイヤフラム、40 ポンプ、41,141,241,341 第1チューブ、128 分岐部、129 チューブ、50 電磁弁、51,151,251,351 第2チューブ、60,70,80,90 スペーサ、61,71,81,91 面、62 支持部、65 貫通孔、69 間隙