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特開2024-55692機械学習装置、情報処理装置、推論装置、機械学習方法、制御条件予測方法、及び、推論方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055692
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】機械学習装置、情報処理装置、推論装置、機械学習方法、制御条件予測方法、及び、推論方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240411BHJP
   B29C 49/78 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G06N20/00 130
B29C49/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162815
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(72)【発明者】
【氏名】田所 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大竹 七勢
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AH55
4F208AM23
4F208AP05
4F208AR06
4F208LA09
4F208LB01
4F208LH06
4F208LH10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熟練の作業者の経験に頼るこなく、加熱装置の制御条件を容易に導き出せる機械学習装置、情報処理装置、推論装置、機械学習方法、制御条件予測方法及び推論方法を提供する。
【解決手段】温度制御対象を加熱する加熱装置の新規制御条件を予測するための学習モデル45を生成する機械学習装置であって、一つ以上の学習用データ46を記憶する学習用データ記憶部と、学習用入力パラメータ101aと、加熱装置の制御条件である学習用制御条件101bと、の相関関係を学習モデル45に学習させる機械学習制御部と、学習済みの学習モデル45を記憶する機械学習モデル記憶部と、を備える。学習用入力パラメータ101bは、温度制御対象の材質情報、形状情報、初期温度情報、加熱装置の目標温度分布情報及び熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を予測するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
一つ以上の学習用データを記憶する学習用データ記憶部と、
前記一つ以上の学習用データに基づいて前記学習モデルに学習させる機械学習制御部と、
学習済みの前記学習モデルを記憶する機械学習モデル記憶部と、
を備え、
各前記学習用データは、学習用入力パラメータと、前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件とで構成され、
前記学習モデルは、前記学習用データにおける前記学習用入力パラメータと前記学習用制御条件との相関関係を学習し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
機械学習装置。
【請求項2】
前記材質情報は、前記温度制御対象の光透過・反射・屈折率情報、前記温度制御対象の色の明度情報、前記温度制御対象の色情報、前記温度制御対象の密度情報、前記温度制御対象の比熱情報、及び、前記温度制御対象の熱伝導率情報の少なくともいずれか一つである、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記形状情報は、前記温度制御対象の設計図面情報、前記温度制御対象の形状イメージ情報、前記温度制御対象の寸法情報、及び、前記対象の形状トレース測定・スキャニング情報の少なくともいずれか一つである、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記熱環境情報は、前記加熱装置の熱源から前記温度制御対象まで距離情報、前記加熱装置の前記熱源の配置位置・照射方向・照射角情報、前記加熱装置の寸法情報、前記加熱装置外への熱拡散情報、及び、前記加熱装置の周辺温湿度情報の少なくともいずれか一つである、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項5】
前記加熱装置は、加熱空間を画定する加熱装置本体と、送風装置と、を有し、
前記送風装置は、送風源と、前記送風源から前記加熱空間にエアを送り込むための送風管と、を有するものであって、
前記学習用制御条件は、前記送風管を流れる前記エアの流量である、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項6】
前記加熱装置は、加熱空間を画定する加熱装置本体と、前記加熱空間内で前記温度制御対象に回転運動をさせながら前記温度制御対象を搬送する搬送装置と、を有するものであって、
前記学習用制御条件は、前記搬送装置の搬送速度、及び、前記温度制御対象の前記回転運動の回転速度の少なくともいずれか一つである、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項7】
前記学習用制御条件は、前記温度制御対象に対して実施されるアニール処理の時間である、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項8】
前記学習用制御条件は、前記加熱装置の熱源の出力指令値である、
請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項9】
温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータに基づいて前記加熱装置の制御条件を予測する情報処理装置であって、
前記予測用入力パラメータを取得する情報取得部と、
前記制御条件を予測する情報予測部と、
を備え、
前記情報予測部は、学習用入力パラメータと前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件との相関関係を機械学習により学習した学習モデルに前記予測用入力パラメータを入力することで前記制御条件を予測し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
情報処理装置。
【請求項10】
メモリと、プロセッサとを備え、温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を推論する推論装置であって、
前記プロセッサは、
前記温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータを取得する情報取得処理と、
前記情報取得処理にて取得した前記予測用入力パラメータに基づいて前記加熱装置の前記制御条件を推論する推論処理と、を実行する、
推論装置。
【請求項11】
温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を予測するための学習モデルを生成する機械学習方法であって、
一つ以上の学習用データを記憶する学習用データ記憶工程と、
前記一つ以上の学習用データに基づいて前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
学習済みの前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶工程と、
を備え、
各前記学習用データは、学習用入力パラメータと、前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件とで構成され、
前記学習モデルは、前記学習用データにおける前記学習用入力パラメータと前記学習用制御条件との相関関係を学習し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
機械学習方法。
【請求項12】
温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータに基づいて前記加熱装置の制御条件を予測する制御条件予測方法であって、
前記予測用入力パラメータを取得する予測用入力パラメータ取得工程と、
前記予測用入力パラメータ取得工程により取得された前記予測用入力パラメータに対応する前記制御条件を予測する予測工程と、を備え、
前記予測工程では、学習用入力パラメータと前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件との相関関係を機械学習により学習した学習モデルに前記予測用入力パラメータを入力することで前記制御条件を予測し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
制御条件予測方法。
【請求項13】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置により実行されて、温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を推論する推論方法であって、
前記プロセッサは、
前記温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータを取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程により取得された前記予測用入力パラメータに対応する前記制御条件を予測する予測工程と、を実行し、
前記予測工程では、学習用入力パラメータと前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件との相関関係を機械学習により学習した学習モデルに前記予測用入力パラメータを入力することで前記制御条件を予測し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
推論方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械学習装置、情報処理装置、推論装置、機械学習方法、制御条件予測方法、及び、推論方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロー成形装置によって中空容器へとブロー成形されるプリフォームに対し、複数の赤外線ヒータを備える加熱装置を用いて、搬送中に加熱処理を施すことが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2014/208693A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱装置によって上述のプリフォームのような温度制御対象に対し加熱処理を行うに際しては、加熱装置におけるヒータの出力条件、温度制御対象が加熱空間を通り抜ける際の搬送速度等の制御条件を詳細に設定することが求められていた。しかしながら、加熱装置の制御条件の設定は、熟練の作業者の経験に頼ることが多く、容易に導き出すことができないという課題があった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑み、加熱装置の制御条件を容易に導き出せる機械学習装置、情報処理装置、推論装置、機械学習方法、制御条件予測方法、及び、推論方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の機械学習装置は、
温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を予測するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
一つ以上の学習用データを記憶する学習用データ記憶部と、
前記一つ以上の学習用データに基づいて前記学習モデルに学習させる機械学習制御部と、
学習済みの前記学習モデルを記憶する機械学習モデル記憶部と、
を備え、
各前記学習用データは、学習用入力パラメータと、前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件とで構成され、
前記学習モデルは、前記学習用データにおける前記学習用入力パラメータと前記学習用制御条件との相関関係を学習し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の機械学習装置、情報処理装置、推論装置、機械学習方法、制御条件予測方法、及び、推論方法によれば、制御条件を容易に決定することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1による加熱システムを示す概略図である。
図2図1の加熱装置を示す側面図である。
図3図1の機械学習装置を示す構成図である。
図4図3の機械学習装置が実施する機械学習の要素を示す概念図である。
図5図1の情報処理装置を示す構成図である。
図6】コンピュータのハードウエア構成図である。
図7図1の機械学習装置による機械学習方法を示すフローチャートである。
図8図1の情報処理装置による制御条件予測方法を示すフローチャートである。
図9】実施の形態2による加熱装置と搬送装置とを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施の形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
実施の形態1
図1は、実施の形態1による加熱システム1を示す概略図である。図2は、図1の加熱装置10を示す側面図である。加熱システム1は、加熱装置10と、機械学習装置40と、情報処理装置50と、制御装置60と、それぞれの装置をつなぐネットワーク70と、を備えている。
【0012】
加熱システム1は、PETボトル等の容器を生産する生産システムに備えられている。容器は、容器の原料から生産されたプリフォーム200を図示しないブロー成形装置により成形することで生産される。
【0013】
ブロー成形装置によってプリフォーム200を成形する際には、プリフォーム200の成形性を向上させるために、プリフォーム200を予め加熱する必要がある。本開示の加熱システム1は、ブロー成形装置の前工程を担うシステムであり、温度制御対象としてのプリフォーム200を加熱するシステムである。
【0014】
プリフォーム200は、図示しない射出成形機によって容器の原料から成形される。成形されたプリフォーム200は、順次、加熱システム1に搬入され、加熱される。加熱されたプリフォーム200は、次工程のブロー成形装置に順次供され、容器に成形される。
【0015】
加熱装置10は、加熱装置本体11と、加熱装置本体11に配置された熱源としての複数のヒータ14と、各ヒータ14に電力を供給する図示しないヒータ電源と、加熱装置本体11に配置された送風装置17と、搬送装置30と、を有している。
【0016】
加熱装置本体11には、長尺のトンネル状の空間である加熱通路12が長手方向に沿って形成されている。加熱通路12は、プリフォーム200が通過できる大きさである。プリフォーム200は、加熱通路12の入口側から出口側に向かって通過することができる。加熱通路12内のプリフォーム200の搬送については、後に説明をする。
【0017】
各ヒータ14は、長尺の近赤外線ヒータである。各ヒータ14は、加熱通路12の長手方向に沿って配置されている。なお、各ヒータ14には、長尺の近赤外線ヒータのみならず、異なる種類のヒータを採用することができる。
【0018】
各ヒータ14は、加熱装置本体11内の加熱通路12においてプリフォーム200を加熱することができる。各ヒータ14は、ヒータ電源に電気的に接続されており、ヒータ電源から供給される電力により、加熱装置本体11内部を加熱することができる。従って、加熱装置本体11によって、加熱装置10の加熱空間が画定されることになる。
【0019】
ヒータ電源は、制御装置60からの指令によって各ヒータ14に供給する電力量を調整することができる。各ヒータ14は、供給された電力量に応じた熱量を放熱する。各ヒータ14に供給する電力量を制御することで、各ヒータ14から放熱される熱量を制御することができる。
【0020】
送風装置17は、送風源である送風機18と、送風管19と、図示しない送風機電源と、を有している。送風機18は、加熱通路12の入口側に配置されている。送風管19は、パイプ状の物体である。
【0021】
送風管19の長手方向は、加熱通路12の長手方向に沿って、加熱通路12内に配置されている。送風管19の一方の開口端部は、加熱通路12の入口側で加熱装置10の外部に向かって開口しており、送風管19の他方の開口端部は、加熱通路12の出口側で加熱装置10の外部に向かって開口している。
【0022】
送風管19には、図示しない複数の貫通孔が形成されている。送風機18は、入口側の送風管19の開口端部に接続されている。送風機18は、入口側の送風管19の開口端部から送風管19内にエアを送り込むことができる。
【0023】
送風機18によって送風管19に送り込まれたエアは、送風管19を流れる。送風管19を流れるエアは、更に、複数の貫通孔を通って加熱通路12内に送り込まれるとともに、出口側の送風管19の開口端部から、大気に放出される。即ち、送風機18によって送り込まれるエアは、送風管19を介して加熱空間内に送り込まれる。
【0024】
送風機電源は、制御装置60からの指令によって送風機18に供給する電力量を制御することができる。制御装置60は、送風機18に供給する電力量を制御することで、送風機18を制御し、送風管19に送り込まれて送風管19に流れるエアの流量を制御することができる。
【0025】
搬送装置30は、搬送装置本体31と、搬送制御部32と、を有している。搬送装置本体31は、コンベアである。搬送装置本体31は、複数のプリフォーム200を支持することができる。搬送装置本体31は、支持しているプリフォーム200が加熱通路12内を通過するように配置されている。
【0026】
搬送装置本体31は、複数のプリフォーム200を直立させた状態でプリフォーム200を回転可能に支持することができる。搬送装置本体31は、図示しない回転機構を有しており、複数のプリフォーム200のそれぞれに直立させた状態で回転運動を付与することができる。従って、搬送装置本体31は、直立した状態のプリフォーム200に回転運動を付与しながら、加熱通路12内を通してプリフォーム200を搬送することができる。即ち、搬送装置本体31に支持された各プリフォーム200は、直立した状態で回転運動をしながら加熱空間内を通過することができる。
【0027】
搬送制御部32は、制御装置60からの指令に基づいて搬送装置本体31の搬送速度を制御することができる。搬送装置本体31の搬送速度を制御することで、プリフォーム200が加熱通路12内に滞在している時間を制御することができる。また、搬送制御部32は、制御装置60からの指令に基づいて搬送装置本体31の回転機構を制御して、プリフォーム200の回転運動の回転速度を制御することができる。即ち、搬送制御部32は、制御装置60からの指令に基づいて、搬送装置本体31の搬送速度、及び、プリフォーム200の回転運動の回転速度の少なくともいずれか一つを制御することができる。
【0028】
機械学習装置40は、機械学習の学習フェーズの主体として動作する装置である。図3は、図1の機械学習装置40を示す構成図である。図4は、図3の機械学習装置40が実施する機械学習の要素を示す概念図である。機械学習装置40は、機械学習制御部41と、機械学習通信部42と、学習用データ記憶部43と、機械学習モデル記憶部44と、を有している。
【0029】
機械学習制御部41は、入力情報に対応した出力情報が得られる学習モデル45を生成する。機械学習制御部41は、学習モデル45の生成に一つ以上の学習用データ46を用いる。学習用データ46は、学習用入力パラメータ101aと学習用入力パラメータ101aに対応する加熱装置10の制御条件である学習用制御条件101bとで構成されている。
【0030】
学習用データ46は、教師あり学習における教師データであるトレーニングデータ、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。また、学習用制御条件101bは、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。なお、学習用入力パラメータ101a、及び、学習用入力パラメータ101aに対応する加熱装置10の制御条件である学習用制御条件101bは、作業者によって用意された入力パラメータ100a、及び、入力パラメータ100aに対応する加熱装置10の制御条件100が、学習用データ46として学習用データ記憶部43に記憶された状態のデータを表している。
【0031】
作業者によって用意される入力パラメータ100a及び制御条件100b、並びに、学習用データ46が記憶されている学習用データ記憶部43については、後に説明をする。
【0032】
機械学習制御部41は、一つ以上の学習用データ46における学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習モデル45に学習させることができる。これにより、機械学習制御部41は、学習済みの学習モデル45を生成することができる。
【0033】
学習モデル45には、ニューラルネットワークの構造が採用されている。学習モデル45は、入力層45a、中間層45b、及び、出力層45cを有している。入力層45aは、学習用入力パラメータ101aのパラメータ数に対応する数のニューロンを有している。出力層45cは、学習用制御条件101bの条件数に対応する数のニューロンを有している。
【0034】
各層の間には、各ニューロンをそれぞれ接続する図示しないシナプスが張られている。各シナプスには、重みを付すことができる。
【0035】
機械学習制御部41は、機械学習によって、各シナプスの重みからなる重みパラメータ群を調整する。重みパラメータ群は、学習モデル45に反映される。
【0036】
機械学習制御部41では、学習用入力パラメータ101aの各パラメータを入力層45aの各ニューロンにそれぞれ入力し、学習モデル45を通して、学習用入力パラメータ101aに対応する加熱装置10の学習結果制御条件101cが出力される。機械学習制御部41は、学習結果制御条件101cの値を検討し、当該検討結果に基づいて各シナプスの重みを調整する。
【0037】
学習モデル45が、回帰モデルで構成される場合には、学習用制御条件101bは、所定の範囲(例えば、0~1)に正規化された数値でそれぞれ出力される。また、学習モデル45が、分類モデルで構成される場合には、学習用制御条件101bは、各クラスに対するスコア(確度)として、所定の範囲(例えば、0~1)に正規化された数値でそれぞれ出力される。
【0038】
学習用データ記憶部43は、複数の学習用データ46をデータベースとして記憶することができる。なお、学習用データ記憶部43を構成するデータベースの具体的な構成は適宜設計することができる。
【0039】
学習用データ記憶部43には、図示しない操作端末を用いた作業者によって入力パラメータ100aと入力パラメータ100aに対応している制御条件100bとが入力される。学習用データ記憶部43に入力された入力パラメータ100aと制御条件100bとのそれぞれは、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとして記憶される。従って、学習用制御条件101bは、学習用入力パラメータ101aに対応している。これにより、一つの学習用データ46が記憶される。
【0040】
学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとには、既知の加熱作業におけるデータを用いる。即ち、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの元として学習用データ記憶部43に入力される入力パラメータ100aと制御条件100bとしては、既知の加熱作業における入力パラメータ100aと制御条件100bとが入力される。
【0041】
既知の加熱作業としては、加熱装置10を用いた過去の加熱作業であることが望ましい。加熱装置10を用いた過去の加熱作業で実際に使用したデータは、その後のブロー成形機によって容器を生産した実績をもつデータである。
【0042】
即ち、過去の加熱作業で実際に使用したデータは、許容範囲内の形状精度を有する容器を生産できるデータである。従って、過去の加熱作業で実際に使用した入力パラメータ100aと制御条件100bとの相関関係は、妥当であるために、このようなデータを学習用データ46として機械学習に用いることが望ましい。
【0043】
なお、既知の加熱作業におけるデータとしては、過去の加熱作業で実際に使用したデータ以外に、例えば、シミュレーションや、熟練の作業者によって作成されたデータを用いてもよい。
【0044】
入力パラメータ100aは、加熱システム1の各装置を制御するための制御条件100bを算出するために考慮されるパラメータである。入力パラメータ100aは、プリフォーム200に関するパラメータ、加熱装置10に関するパラメータ、及び、プリフォーム200と加熱装置10との関係に関するパラメータである。
【0045】
具体的には、入力パラメータ100aは、プリフォーム200の材質情報、形状情報、初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つから構成されている。プリフォーム200の材質情報としては、プリフォーム200の光線透過・反射・屈折率、色の明度情報であるL値、色の情報としてのRGB値、密度情報、比熱情報、及び、熱伝導率情報の少なくともいずれか一つの情報である。
【0046】
材質情報は、事前にプリフォーム200を計測することで取得することができる。材質情報の計測の方法は、周知の方法を適宜採用することができる。
【0047】
プリフォーム200の形状情報としては、プリフォーム200の設計図面から読み取る形状情報としての設計図面情報、形状イメージから読み取る形状情報としての形状イメージ情報、寸法情報、及び、形状トレース測定・スキャニング情報の少なくともいずれか一つの情報である。形状情報をプリフォーム200の設計図面から読み取る場合には、事前にプリフォーム200の設計図面をコンピュータに供し、コンピュータが設計図面からプリフォーム200の形状情報を読み取ることでプリフォーム200の形状情報を取得することができる。
【0048】
形状イメージとは、撮像装置で撮像した画像情報である。形状イメージから形状情報を読み取る場合には、画像情報からプリフォーム200の形状情報を取得することができる。寸法情報は、事前に作業者がプリフォーム200の寸法の内、必要とされる情報を入力することで取得することができる。形状トレース測定・スキャニング情報とは、プリフォーム200の形状を、周知のスキャニング装置でスキャニングを実施し、把握したプリフォーム200の形状情報である。
【0049】
プリフォーム200の初期温度情報は、プリフォーム200が加熱システム1に供される前のプリフォーム200の温度を計測することで取得することができる。加熱装置10の目標温度分布情報は、加熱作業における加熱通路12内部の理想的な温度分布を示す情報である。加熱通路12内部の理想的な温度分布は、事前の解析等によって算出され取得することができる。
【0050】
加熱装置10の熱環境情報としては、加熱装置10の各ヒータ14からプリフォーム200までの距離情報、各ヒータ14の配置位置・照射方向・照射角情報、加熱装置10の寸法情報、加熱装置10外への熱拡散情報、及び、加熱装置10の周辺温湿度情報の少なくともいずれか一つの情報である。加熱装置10の各ヒータ14からプリフォーム200までの距離情報における距離は、プリフォーム200の搬送方向に垂直な方向における距離である。
【0051】
プリフォーム200と各ヒータ14との距離情報は、事前に作業者により算出し入力することで取得する、又は、コンピュータにそれぞれの設計図面を入力しコンピュータ上で解析されることで取得することができる。各ヒータ14の配置位置・照射方向・照射角情報は、コンピュータに加熱装置10の設計図面を入力しコンピュータ上で解析されることで取得することができる。加熱装置10外への熱拡散情報は、コンピュータ上でのシミュレーション解析などによって取得することができる。加熱装置10の周辺温湿度情報は、加熱装置10の周辺の温度、及び、湿度を計測することによって取得することができる。
【0052】
加熱装置10の寸法情報は、事前に作業者が加熱装置10の寸法のうちの必要とされる寸法値を入力することで取得することができる。
【0053】
制御条件100bは、加熱装置10、送風装置17、及び、搬送装置30の制御条件である。具体的には、送風機18への出力指令値、搬送装置30への出力指令値、及び、各ヒータ14への出力指令値、である。
【0054】
各出力指令値は、0~100までの任意の値である。各出力指令値は、対応する装置の最高出力を100としたときの各装置の出力値である。なお、各ヒータ14への指令は、0~100までの任意の値である出力指令値のみならず、各ヒータ14に対するON/OFF指令であってもよい。さらに、各ヒータ14への指令は、各ヒータ14に対するON指令の時間、OFF指令の時間、又は、ON指令の時間とOFF指令の時間との割合であってもよい。
【0055】
機械学習制御部41は、学習用データ記憶部43に記憶された複数の学習用データ46の中から任意の一つ以上の学習用データ46を抽出し、機械学習に用いることができる。
【0056】
機械学習モデル記憶部44は、機械学習制御部41により生成された学習済みの学習モデル45、即ち、調整済みの重みパラメータ群を記憶するデータベースである。
【0057】
機械学習通信部42は、通信インターフェース部である。機械学習通信部42は、ネットワーク70を介して外部装置と接続されることで、各種のデータを送受信することができる。機械学習モデル記憶部44に記憶された学習済みの学習モデル45は、ネットワーク70や記憶媒体等を介して情報処理装置50に提供される。
【0058】
なお、図3では、学習用データ記憶部43と、機械学習モデル記憶部44とが別々の記憶部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成されてもよい。
【0059】
図5は、図1の情報処理装置50を示す概略図である。情報処理装置50は、機械学習の推論フェーズの主体として動作する装置である。情報処理装置50は、機械学習装置40により生成された学習モデル45を用いて、新たに入力される予測用入力パラメータ102aに対応する加熱装置10の新規制御条件102bを予測する。
【0060】
情報処理装置50は、情報処理制御部51と、情報処理モデル記憶部55と、情報処理通信部56と、を有している。情報処理制御部51は、情報取得部52と、情報予測部53と、出力処理部54と、を有している。
【0061】
情報取得部52は、作業者により、図示しない操作端末により入力された予測用入力パラメータ102aを取得する。予測用入力パラメータ102aは、新たな加熱装置10を用いて加熱する加熱作業である新規加熱作業における入力パラメータである。
【0062】
なお、予測用入力パラメータ102aに対応する加熱装置10を用いた新規加熱作業用の制御条件を新規制御条件102bとする。
【0063】
情報予測部53は、情報取得部52が取得した予測用入力パラメータ102aを学習モデル45に入力することで、新規制御条件102bを予測する。出力処理部54は、情報予測部53により予測された新規制御条件102bを情報処理通信部56に出力する。
【0064】
情報予測部53は、情報処理モデル記憶部55に記憶されている複数の学習モデル45の中から一つの学習モデル45を選択して利用することができる。
【0065】
情報処理モデル記憶部55は、情報予測部53にて用いられる学習済みの学習モデル45を記憶するデータベースである。情報処理モデル記憶部55は、機械学習装置40から入力される学習済みの学習モデル45を複数記憶することができる。
【0066】
複数の学習モデル45のそれぞれは、例えば、機械学習の手法、学習用入力パラメータ101aに含まれるデータの種類、学習用制御条件101bに含まれるデータの種類等が異なる複数の学習済みモデルである。
【0067】
情報処理モデル記憶部55は、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータ等の外部コンピュータの記憶部で代用されてもよい。その場合には、情報予測部53は、当該外部コンピュータの記憶部にアクセスして学習モデル45を取得することができる。
【0068】
情報処理通信部56は、ネットワーク70を介して加熱システム1の外の装置と通信可能に接続されている。情報処理通信部56は、各種のデータを送受信する通信インターフェース部である。情報処理通信部56は、出力処理部54が出力した新規制御条件102bを情報処理通信部56に出力することができる。
【0069】
図1に戻り説明を続ける。制御装置60は、加熱システム1の各装置を制御することができる。制御装置60は、情報処理装置50から伝達された新規制御条件102bに基づいて、加熱システム1の各装置を制御することができる。
【0070】
制御装置60は、新規制御条件102bのうちの送風機18に対する出力指令値を送風機電源に出力する。送風機電源は、入力された出力指令値に基づいて送風機18を制御する。これにより、送風管19を流れるエアの流量を制御することができる。
【0071】
制御装置60は、新規制御条件102bのうちの搬送装置30に対する出力指令値を搬送制御部32に出力する。搬送制御部32は、入力された出力指令値に基づいて搬送装置30を制御する。これにより、搬送装置本体31の搬送速度、及び、プリフォーム200の回転運動の回転速度の少なくともいずれか一つを制御することができる。
【0072】
制御装置60は、新規制御条件102bのうちの各ヒータ14に対する出力指令値をヒータ電源に出力する。ヒータ電源は、入力された出力指令値に基づいて各ヒータ14を制御する。これにより、各ヒータ14の出力を制御することができる。
【0073】
図6は、コンピュータ900のハードウエア構成図である。加熱システム1の機械学習装置40及び情報処理装置50は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0074】
コンピュータ900は、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信インターフェース部922、外部機器インターフェース部924、入出力デバイスインターフェース部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0075】
プロセッサ912は、一つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。
【0076】
メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0077】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音声を含む音出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。
【0078】
入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体として構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD(Solid State Drive)等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0079】
通信インターフェース部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。ネットワーク940は、ネットワーク70と同一であってもよい。
【0080】
外部機器インターフェース部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。
【0081】
入出力デバイスインターフェース部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等の入出力デバイス960に接続され、入出力デバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。
【0082】
メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等の記憶媒体であるメディア970に対してデータの読み書きを行う。
【0083】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。
【0084】
プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信インターフェース部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。
【0085】
また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0086】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、加熱システム1の機械学習装置40及び情報処理装置50以外の装置にも適用されてもよい。
【0087】
次に、機械学習方法について説明をする。図7は、図1の機械学習装置40による機械学習方法を示すフローチャートである。
【0088】
まず、事前に作業者は、一つ以上の学習用データ46を入力し、学習用データ記憶部43に記憶させておく。記憶させる学習用データ46の数は、最終的に得られる学習モデル45に求められる推論精度を考慮して設定される。
【0089】
機械学習方法では、ステップS100として学習モデル準備工程が実施される。機械学習制御部41は、学習前の学習モデル45を準備する。準備された学習モデル45では、各シナプスの重みが初期値に設定されている。
【0090】
次に、ステップS110として機械学習工程が実施される。機械学習工程において、まず、ステップS111として学習用データ取得工程が実施される。機械学習制御部41は、学習用データ記憶部43に記憶された複数の学習用データ46から、ランダムに一つの学習用データ46を取得する。
【0091】
次に、ステップS112としての推論結果出力工程が実施される。機械学習制御部41は、取得した一つの学習用データ46に含まれる学習用入力パラメータ101aを、準備された学習モデル45の入力層45aに入力する。その結果、学習モデル45の出力層45cから推論結果として学習結果制御条件101cが出力される。
【0092】
推論結果として出力された学習結果制御条件101cは、学習前又は学習中の学習モデル45によって生成されたものである。そのため、学習結果制御条件101cは、学習用データ46に含まれる正解ラベルである学習用制御条件101bとは異なる。
【0093】
次に、ステップS113として重み調整工程が実施される。機械学習制御部41は、正解ラベルであるステップS111で取得した学習用データ46のうちの学習用制御条件101bと、ステップS112において推論結果として出力された学習結果制御条件101cとを比較する。当該比較に基づいて、機械学習制御部41は、各シナプスの重みを調整する処理であるバックプロバケーションを実施し、機械学習を実施する。
【0094】
これにより、機械学習制御部41は、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習モデル45に学習させる。
【0095】
次に、ステップS114として機械学習終了判定工程が実施される。機械学習制御部41は、所定の学習終了条件が満たされたか否かを判定する。この判定は、例えば、正解ラベルである学習用制御条件101bと学習結果制御条件101cとに基づく誤差関数の評価値や、学習用データ記憶部43内に記憶された未学習の学習用データ46の残数等に基づいて実施される。
【0096】
ステップS114において、機械学習制御部41が、学習終了条件が満たされておらず、機械学習を継続すると判定した場合、即ちステップS114でNoとなった場合、処理は、ステップS111に戻る。このように、学習中の学習モデル45に対してステップS111~S114の工程が未学習の学習用データ46に対して複数回実施される。
【0097】
一方、ステップS114において、機械学習制御部41が、学習終了条件が満たされて、機械学習を終了すると判定した場合、即ち、ステップS114でYesとなった場合、処理は、ステップS120に進む。
【0098】
そして、ステップS120として、学習済みモデル記憶工程が実施される。機械学習制御部41は、各シナプスの重みが調整された学習済みの学習モデル45、即ち、調整済みの重みパラメータ群が反映された学習モデル45を機械学習モデル記憶部44に記憶する。これにより、機械学習方法は、終了する。
【0099】
次に、情報処理装置50による加熱システム1の新規制御条件102bの予測方法について説明をする。図8は、図1の情報処理装置50による学習用制御条件予測方法を示すフローチャートである。
【0100】
まず、ステップS200として予測用入力パラメータ取得工程が実施される。作業者が予測用入力パラメータ102aを情報処理装置50に入力することで、情報取得部52は、予測用入力パラメータ102aを取得する。
【0101】
次に、ステップS210として予測工程が実施される。情報予測部53は、ステップS200にて取得した予測用入力パラメータ102aを学習モデル45に入力する。これにより、情報予測部53は、予測用入力パラメータ102aに対応する新規制御条件102bを予測する。
【0102】
次に、ステップS220として出力処理工程が実施される。出力処理部54は、出力処理として、ステップS210にて生成された新規制御条件102bを制御装置60に送信する。これにより、新規制御条件102bの予測とその出力が完了する。
【0103】
制御装置60は、出力処理部54から入力された新規制御条件102bに基づいて加熱システム1の各装置を制御することができる。
【0104】
本開示は、機械学習装置40が備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラムである機械学習プログラムや、機械学習方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラムである機械学習プログラムの態様で提供することもできる。
【0105】
また、本開示は、加熱システム1が備える各部としてコンピュータ900を機能させるためのプログラムや、上記実施の形態に係る学習用制御条件予測方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラムである学習用制御条件予測プログラムの態様で提供することもできる。
【0106】
実施の形態1による機械学習装置40によれば、プリフォーム200を加熱する加熱装置10の新規制御条件102bを予測するための学習モデル45を生成することができる。また、機械学習装置40は、一つ以上の学習用データ46を記憶する学習用データ記憶部43と、一つ以上の学習用データ46に基づいて学習モデル45に学習させる機械学習制御部41と、学習済みの学習モデル45を記憶する機械学習モデル記憶部44と、を備えている。また、各学習用データ46は、学習用入力パラメータ101aと、学習用入力パラメータ101aに対応する加熱装置10の学習用制御条件101bとで構成されている。また、学習モデル45は、学習用データ46における学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習する。また、学習用入力パラメータ101aは、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている。これにより、機械学習制御部41は、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を取得することができる。従って、取得した学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。また、新規制御条件102bにて加熱装置を制御することで、プリフォーム200の加熱不良を防ぐことができ、良好な加熱状態のプリフォーム200をブロー成形装置で成形することで、適切な仕上がり寸法を有した製品を生産することができる。
【0107】
実施の形態1による機械学習装置40によれば、プリフォーム200の材質情報は、プリフォーム200の光透過・反射・屈折率情報、プリフォーム200の色の明度情報、プリフォーム200の色情報、プリフォーム200の密度情報、プリフォーム200の比熱情報、及び、プリフォーム200の熱伝導率情報の少なくともいずれか一つである。これにより、プリフォーム200の光透過・反射・屈折率情報、プリフォーム200の色の明度情報、プリフォーム200の色情報、プリフォーム200の密度情報、プリフォーム200の比熱情報、及び、プリフォーム200の熱伝導率情報の少なくともいずれか一つを含む学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0108】
実施の形態1による機械学習装置40によれば、プリフォーム200の形状情報は、プリフォーム200の設計図面情報、プリフォーム200の形状イメージ情報、プリフォーム200の寸法情報、及び、プリフォーム200の形状トレース測定・スキャニング情報の少なくともいずれか一つである。これにより、学習用入力パラメータ101aは、プリフォーム200の設計図面情報、プリフォーム200の形状イメージ情報、プリフォーム200の寸法情報、及び、プリフォーム200の形状トレース測定・スキャニング情報の少なくともいずれか一つを含んでいる。従って、当該学習用入力パラメータ101aと、学習用制御条件101bと、の相関関係を学習した学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0109】
実施の形態1による機械学習装置40によれば、加熱装置10の熱環境情報は、加熱装置10の複数のヒータ14からプリフォーム200までの距離情報、加熱装置10の複数のヒータ14の配置位置・照射方向・照射角情報、加熱装置10の寸法情報、加熱装置10外への熱拡散情報、及び、加熱装置10の周辺温湿度情報の少なくともいずれか一つである。これにより、学習用入力パラメータ101aは、加熱装置10の複数のヒータ14からプリフォーム200までの距離情報、加熱装置10の複数のヒータ14の配置位置・照射方向・照射角情報、加熱装置10の寸法情報、加熱装置10外への熱拡散情報、及び、加熱装置10の周辺温湿度情報の少なくともいずれか一つを含む。従って、当該学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0110】
実施の形態1による機械学習装置40によれば、加熱装置10は、加熱通路12内を有した加熱装置本体11と、送風装置17と、を有し、送風装置17は、送風機18と、送風機18から加熱通路12内にエアを送り込むための送風管19とを有している。また、学習用制御条件101bは、送風管19を流れるエアの流量である。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて、送風管19を流れるエアの流量である新規制御条件102bを得ることができる。従って、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0111】
実施の形態1による機械学習装置40によれば、加熱装置10は、加熱通路12内を有した加熱装置本体11と、加熱空間でプリフォーム200に回転運動をさせながらプリフォーム200を搬送する搬送装置30と、を有している。また、学習用制御条件101bは、搬送装置30の搬送速度、及び、プリフォーム200の回転運動の回転速度の少なくともいずれか一つである。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて、搬送装置本体31で搬送されるプリフォーム200の搬送速度、及び、プリフォーム200の回転運動の回転速度の少なくともいずれか一つである新規制御条件102bを得ることができる。従って、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0112】
実施の形態1による機械学習装置40によれば、学習用制御条件101bは、加熱装置10の各ヒータ14の出力指令値である。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて、各ヒータ14の出力指令値である新規制御条件102bを得ることができる。従って、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0113】
実施の形態1による情報処理装置50によれば、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータ102aに基づいて加熱装置10の新規制御条件102bを予測することができる。また、情報処理装置50は、予測用入力パラメータ102aを取得する情報取得部52と、新規制御条件102bを予測する情報予測部53と、を備えている。また、情報予測部53は、学習用入力パラメータ101aと学習用入力パラメータ101aに対応する加熱装置10の学習用制御条件101bとの相関関係を機械学習により学習した学習モデル45に予測用入力パラメータ102aを入力することで新規制御条件102bを予測する。また、学習用入力パラメータ101aは、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて新規制御条件102bを予測することができる。従って、学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。また、新規制御条件102bにて加熱装置を制御することで、プリフォーム200の加熱不良を防ぐことができ、適切な仕上がり寸法を有した製品を生産することができる。
【0114】
実施の形態1による機械学習方法によれば、プリフォーム200を加熱する加熱装置10の新規制御条件102bを予測するための学習モデル45を生成することができる。また、機械学習方法は、一つ以上の学習用データ46を記憶する学習用データ記憶工程と、一つ以上の学習用データ46に基づいて学習モデル45に学習させる機械学習工程と、学習済みの学習モデル45を記憶する学習済みモデル記憶工程と、を備える。また、各学習用データ46は、学習用入力パラメータ101aと、学習用入力パラメータ101aに対応する学習用制御条件101bとで構成されている。また、学習モデル45は、学習用データ46における学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習する。また、学習用入力パラメータ101aは、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を取得することができる。従って、取得した学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0115】
実施の形態1による制御条件予測方法によれば、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータ102aに基づいて加熱装置10の新規制御条件102bを予測することができる。また、制御条件予測方法は、予測用入力パラメータ102aを取得する予測用入力パラメータ取得工程と、予測用入力パラメータ取得工程により取得された予測用入力パラメータ102aに対応する新規制御条件102bを予測する予測工程と、を備えている。また、予測工程では、学習用入力パラメータ101aと学習用入力パラメータ101aに対応する加熱装置10の学習用制御条件101bとの相関関係を機械学習により学習した学習モデル45に予測用入力パラメータ102aを入力することで新規制御条件102bを予測する。また、学習用入力パラメータ101aは、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて新規制御条件102bを予測することができる。従って、学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0116】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2による加熱装置と搬送装置とを示す概略図である。実施の形態2では、学習用制御条件101b、及び、新規制御条件102bとして、プリフォーム200に対して実施されるアニール処理の時間が含まれる点が、実施の形態1と相違する。即ち、実施の形態2における学習用制御条件101b、及び、新規制御条件102bは、実施の形態1の学習用制御条件101b、及び、新規制御条件102bにアニール処理の時間を付加したものである。また、加熱装置10は、2の加熱装置本体11と、5つの搬送装置本体31を有している点で、実施の形態1と相違する。その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0117】
加熱装置10は、上流側に配置された第1加熱装置本体11aと、第1加熱装置本体11aの下流側に配置された第2加熱装置本体11bと、を有している。第1加熱装置本体11a及び第2加熱装置本体11bの具体的構成は、実施の形態1における加熱装置本体11の具体的構成と同様であるので説明を省略する。
【0118】
搬送装置30は、上流側搬送装置本体31aと、第1搬送装置本体31bと、中間搬送装置本体31cと、第2搬送装置本体31dと、下流側搬送装置本体31eと、を有している。上流側搬送装置本体31aと、第1搬送装置本体31bと、中間搬送装置本体31cと、第2搬送装置本体31dと、下流側搬送装置本体31eとの具体的構成は、実施の形態1における搬送装置本体31の具体的構成と同様であるので説明を省略する。
【0119】
上流側搬送装置本体31aと、第1搬送装置本体31bと、中間搬送装置本体31cと、第2搬送装置本体31dと、下流側搬送装置本体31eと、は、順に繋がるように配置されている。上流側搬送装置本体31aにて搬送されるプリフォーム200は、上流側搬送装置本体31aから第1搬送装置本体31b、中間搬送装置本体31c、第2搬送装置本体31d、及び、下流側搬送装置本体31eにて順に搬送される。
【0120】
第1搬送装置本体31bは、第1搬送装置本体31bに支持されたプリフォーム200が第1加熱装置本体11aの加熱通路12内を通過する位置に配置されている。第2搬送装置本体31dは、第2搬送装置本体31dに支持されたプリフォーム200が第2加熱装置本体11bの加熱通路12内を通過する位置に配置されている。
【0121】
本実施の形態では、プリフォーム200に対してアニール処理を実施するために、加熱通路12内からプリフォーム200を外した状態で放置する。具体的には、中間搬送装置本体31c上にプリフォーム200が配置されている状態で、中間搬送装置本体31cの搬送速度を遅くする、又は、中間搬送装置本体31cの搬送を一時的に停止するといった制御をする。
【0122】
従って、新規制御条件102bとしてプリフォーム200のアニール処理の時間、即ち加熱空間内からプリフォーム200を外す時間が出力されると、その時間に応じて、制御装置60は、中間搬送装置本体31cの搬送速度を遅くする、又は、中間搬送装置本体31cの搬送を一時的に停止するといった制御を実施する。制御装置60は、中間搬送装置本体31c上のプリフォーム200を、アニール処理の時間に相当する時間だけ中間搬送装置本体31c上に滞留させる。
【0123】
即ち、プリフォーム200には、加熱装置10の加熱空間外に配置されることでアニール処理が実施される。これにより、プリフォーム200に対して実施されるアニール処理の時間を提供することができる。
【0124】
実施の形態2による機械学習装置40によれば、学習用制御条件101bは、プリフォーム200に対して実施されるアニール処理の時間である。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて、適切なアニール処理の時間を得ることができる。従って、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0125】
なお、本開示は、実施の形態1及び実施の形態2に係る情報処理装置50、学習用制御条件予測方法、又は、学習用制御条件予測プログラムの態様によるもののみならず、学習用制御条件101bを推論するために用いられる推論装置、推論方法、又は、推論プログラムの態様で提供することもできる。
【0126】
その場合、推論装置、推論方法、又は、推論プログラムとしては、メモリと、プロセッサとを含み、このうちのプロセッサが、一連の処理を実行するものとすることができる。当該一連の処理は、予測用入力パラメータ102aを取得する情報取得処理である情報取得工程と、取得した学習用入力パラメータ101aに基づいて新規制御条件102bを推論する推論処理である推論工程と、を有する。
【0127】
推論装置、推論方法、又は、推論プログラムの態様で提供することで、加熱システム1を実装する場合に比して簡単に種々の装置への適用が可能となる。推論装置、推論方法、又は、推論プログラムが新規制御条件102bを推論する際、実施の形態1における情報処理装置50にて機械学習方法により生成された学習済みの学習モデル45を用いて、情報予測部53が実施する予測手法を適用してもよいことは、当業者にとって当然に理解され得るものである。
【0128】
実施の形態1及び実施の形態2による推論装置によれば、メモリと、プロセッサとを備え、プリフォーム200を加熱する加熱装置10の新規制御条件102bを推論することができる。また、プロセッサは、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータ102aを取得する情報取得処理と、情報取得処理にて取得した予測用入力パラメータ102aに基づいて加熱装置10の新規制御条件102bを推論する推論処理と、を実行する。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて新規制御条件102bを予測することができる。従って、学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0129】
実施の形態1及び実施の形態2による推論方法によれば、メモリと、プロセッサとを備える推論装置により実行されて、プリフォーム200を加熱する加熱装置10の新規制御条件102bを推論する推論方法である。また、プロセッサは、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータ102aを取得する情報取得工程と、情報取得工程により取得された予測用入力パラメータ102aに対応する新規制御条件102bを予測する予測工程と、を実行する。また、予測工程では、学習用入力パラメータ101aと学習用入力パラメータ101aに対応する加熱装置10の学習用制御条件101bとの相関関係を機械学習により学習した学習モデル45に予測用入力パラメータ102aを入力することで新規制御条件を予測する。また、学習用入力パラメータ101aは、プリフォーム200の材質情報、プリフォーム200の形状情報、プリフォーム200の初期温度情報、加熱装置10の目標温度分布情報、及び、加熱装置10の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている。これにより、学習用入力パラメータ101aと学習用制御条件101bとの相関関係を学習した学習モデル45を用いて新規制御条件102bを予測することができる。従って、学習モデル45を用いて、加熱装置10の新規制御条件102bを容易に導き出すことができる。
【0130】
なお、実施の形態1及び実施の形態2における加熱システム1は、プリフォーム200を加熱している。しかし、これに限られたものではない。加熱システム1は、多様な温度制御対象に適応したシステムとすることができる。その際、入力パラメータ100a、及び、制御条件100bは、適用される加熱装置と温度制御対象とに基づいて好適に選択することができる。
【0131】
また、実施の形態1及び実施の形態2の加熱システム1では、学習用制御条件101b、及び、新規制御条件102bは、送風管19を流れるエアの流量、搬送装置30の搬送速度、プリフォーム200の回転運動の回転速度、プリフォーム200に対して実施されるアニール処理の時間、及び、複数のヒータ14の出力指令値である。しかし、これに限られたものではない。加熱システム1では、適宜な制御条件を設定することができる。
【0132】
また、実施の形態1及び実施の形態2では、機械学習装置40、情報処理装置50、及び、制御装置60は、別々の装置で構成されている。しかし、これに限られたものではない。例えば、機械学習装置40、情報処理装置50、及び、制御装置60が、単一の装置で構成されていてもよい。また、当該3つの装置のうち任意の2つの装置が、単一の装置で構成されていてもよい。
【0133】
また、実施の形態1及び実施の形態2の加熱システム1では、機械学習装置40で生成された学習モデル45は、ネットワーク70を介して情報処理装置50に伝達され、情報処理装置50で予測された新規制御条件102bは、ネットワーク70を介して制御装置60に伝達されている。しかし、これに限られたものではない。機械学習装置40、及び、情報処理装置50は、それぞれ加熱システム1にネットワーク70を介して接続されていなくてもよい。例えば、機械学習装置40と情報処理装置50とがそれぞれ独立して配置してもよい。この場合、機械学習装置40で生成された学習モデル45は、人手を介して情報処理装置50に伝達されてもよい。また、情報処理装置50で予測された新規制御条件102bは、人手を介して制御装置60に伝達されてもよい。
【0134】
また、実施の形態1及び実施の形態2では、機械学習制御部41による機械学習を実現する学習モデル45として、ニューラルネットワークを採用している。しかし、これに限られたものではない。学習モデル45には、他の機械学習のモデルを採用してもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM等のニューラルネット型(ディープラーニングを含む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラスタリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0135】
また、実施の形態1及び実施の形態2では、送風装置17は、送風源として送風機18を有している。しかし、これに限られたものではない。送風源としては、例えば高圧のエアを蓄えた圧力供給源であってもよい。この場合、圧力供給源に設けられた流量弁等などを制御することで、圧力供給源から送風管19に送り込まれて流れるエアの流量を制御することができる。
【0136】
また、実施の形態2では、中間搬送装置本体31c上のプリフォーム200に対してアニール処理を実施している。しかし、これに限られたものではない。例えば、下流側搬送装置本体31e上のプリフォーム200に対してアニール処理を実施してもよい。この場合、下流側搬送装置本体31eを制御することでアニール処理の時間を下流側搬送装置本体31e上のプリフォーム200に与えることができる。
【0137】
また、実施の形態2では、5つの搬送装置本体31と、2つの加熱装置本体11とを有している。しかし、これに限られたものではない。搬送装置本体31、及び、加熱装置本体11の数は適宜設定することができる。さらに、アニール処理は、いずれの搬送装置本体31上のプリフォーム200に対して実施されてもよい。
【0138】
本開示は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0139】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0140】
(付記1)
温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を予測するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
一つ以上の学習用データを記憶する学習用データ記憶部と、
前記一つ以上の学習用データに基づいて前記学習モデルに学習させる機械学習制御部と、
学習済みの前記学習モデルを記憶する機械学習モデル記憶部と、
を備え、
各前記学習用データは、学習用入力パラメータと、前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件とで構成され、
前記学習モデルは、前記学習用データにおける前記学習用入力パラメータと前記学習用制御条件との相関関係を学習し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
機械学習装置。
(付記2)
前記材質情報は、前記温度制御対象の光透過・反射・屈折率情報、前記温度制御対象の色の明度情報、前記温度制御対象の色情報、前記温度制御対象の密度情報、前記温度制御対象の比熱情報、及び、前記温度制御対象の熱伝導率情報の少なくともいずれか一つである、
付記1に記載の機械学習装置。
(付記3)
前記形状情報は、前記温度制御対象の設計図面情報、前記温度制御対象の形状イメージ情報、前記温度制御対象の寸法情報、及び、前記温度制御対象の形状トレース測定・スキャニング情報の少なくともいずれか一つである、
付記1又は付記2に記載の機械学習装置。
(付記4)
前記熱環境情報は、前記加熱装置の熱源から前記温度制御対象まで距離情報、前記加熱装置の前記熱源の配置位置・照射方向・照射角情報、前記加熱装置の寸法情報、前記加熱装置外への熱拡散情報、及び、前記加熱装置の周辺温湿度情報の少なくともいずれか一つである、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の機械学習装置。
(付記5)
前記加熱装置は、加熱空間を画定する加熱装置本体と、送風装置と、を有し、
前記送風装置は、送風源と、前記送風源から前記加熱空間にエアを送り込むための送風管と、を有するものであって、
前記学習用制御条件は、前記送風管を流れる前記エアの流量である、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の機械学習装置。
(付記6)
前記加熱装置は、加熱空間を画定する加熱装置本体と、前記加熱空間内で前記温度制御対象に回転運動をさせながら前記温度制御対象を搬送する搬送装置と、を有するものであって、
前記学習用制御条件は、前記搬送装置の搬送速度、及び、前記温度制御対象の前記回転運動の回転速度の少なくともいずれか一つである、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の機械学習装置。
(付記7)
前記学習用制御条件は、前記温度制御対象に対して実施されるアニール処理の時間である、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の機械学習装置。
(付記8)
前記学習用制御条件は、前記加熱装置の熱源の出力指令値である、
付記1から付記4のいずれか一項に記載の機械学習装置。
(付記9)
温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータに基づいて前記加熱装置の制御条件を予測する情報処理装置であって、
前記予測用入力パラメータを取得する情報取得部と、
前記制御条件を予測する情報予測部と、
を備え、
前記情報予測部は、学習用入力パラメータと前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件との相関関係を機械学習により学習した学習モデルに前記予測用入力パラメータを入力することで前記制御条件を予測し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
情報処理装置。
(付記10)
メモリと、プロセッサとを備え、温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を推論する推論装置であって、
前記プロセッサは、
前記温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータを取得する情報取得処理と、
前記情報取得処理にて取得した前記予測用入力パラメータに基づいて前記加熱装置の前記制御条件を推論する推論処理と、を実行する、
推論装置。
(付記11)
温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を予測するための学習モデルを生成する機械学習方法であって、
一つ以上の学習用データを記憶する学習用データ記憶工程と、
前記一つ以上の学習用データに基づいて前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
学習済みの前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶工程と、
を備え、
各前記学習用データは、学習用入力パラメータと、前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件とで構成され、
前記学習モデルは、前記学習用データにおける前記学習用入力パラメータと前記学習用制御条件との相関関係を学習し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
機械学習方法。
(付記12)
温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータに基づいて前記加熱装置の制御条件を予測する制御条件予測方法であって、
前記予測用入力パラメータを取得する予測用入力パラメータ取得工程と、
前記予測用入力パラメータ取得工程により取得された前記予測用入力パラメータに対応する前記制御条件を予測する予測工程と、を備え、
前記予測工程では、学習用入力パラメータと前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件との相関関係を機械学習により学習した学習モデルに前記予測用入力パラメータを入力することで前記制御条件を予測し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
制御条件予測方法。
(付記13)
メモリと、プロセッサとを備える推論装置により実行されて、温度制御対象を加熱する加熱装置の制御条件を推論する推論方法であって、
前記プロセッサは、
前記温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成された予測用入力パラメータを取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程により取得された前記予測用入力パラメータに対応する前記制御条件を予測する予測工程と、を実行し、
前記予測工程では、学習用入力パラメータと前記学習用入力パラメータに対応する加熱装置の制御条件である学習用制御条件との相関関係を機械学習により学習した学習モデルに前記予測用入力パラメータを入力することで前記制御条件を予測し、
前記学習用入力パラメータは、温度制御対象の材質情報、前記温度制御対象の形状情報、前記温度制御対象の初期温度情報、前記加熱装置の目標温度分布情報、及び、前記加熱装置の熱環境情報の少なくともいずれか一つで構成されている、
推論方法。
【符号の説明】
【0141】
1 加熱システム、10 加熱装置、11 加熱装置本体、11a 第1加熱装置本体、11b 第2加熱装置本体、12 加熱通路(加熱空間)、14 ヒータ(熱源)、17 送風装置、18 送風機(送風源)、19 送風管、30 搬送装置、31 搬送装置本体、31a 上流側搬送装置本体、31b 第1搬送装置本体、31c 中間搬送装置本体、31d 第2搬送装置本体、31e 下流側搬送装置本体、32 搬送制御部、40 機械学習装置、41 機械学習制御部、42 機械学習通信部、43 学習用データ記憶部、44 機械学習モデル記憶部、45 学習モデル、45a 入力層、45b 中間層、45c 出力層、46 学習用データ、50 情報処理装置、51 情報処理制御部、52 情報取得部、53 情報予測部、54 出力処理部、55 情報処理モデル記憶部、56 情報処理通信部、60 制御装置、70 ネットワーク、100a 入力パラメータ、100b 制御条件、101a 学習用入力パラメータ、101b 学習用制御条件、101c 学習結果制御条件、102a 予測用入力パラメータ、102b 新規制御条件、200 プリフォーム(温度制御対象)、900 コンピュータ、910 バス、912 プロセッサ、914 メモリ、916 入力デバイス、917 出力デバイス、918 表示デバイス、920 ストレージ装置、922 通信インターフェース部、924 外部機器インターフェース部、926 入出力デバイスインターフェース部、928 メディア入出力部、930 プログラム、940 ネットワーク、950 外部機器、960 入出力デバイス、970 メディア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9