(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055693
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ブロー条件調整装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/78 20060101AFI20240411BHJP
B29C 49/16 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B29C49/78
B29C49/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162816
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(72)【発明者】
【氏名】田所 洋一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大紀
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AH55
4F208AM23
4F208AR02
4F208AR08
4F208AR11
4F208AR12
4F208AR14
4F208LA04
4F208LA07
4F208LB01
4F208LD16
4F208LG03
4F208LN04
4F208LN23
(57)【要約】
【課題】プレブロー条件の目標値を容易に決定することができるブロー条件調整装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法を得る。
【解決手段】プレブロー条件調整装置によれば、プレブロー工程のブロー条件を調整するために、複数のプレブロー条件と、当該複数のプレブロー条件を適用して成形されたブロー成形容器の質量分布とからなる入力データに基づいて、目標プレブロー条件からなる出力データが求められる。プレブロー工程は、加熱されたプリフォーム3にストレッチロッド222を挿入することによりプリフォーム3を延伸させるとともに、プリフォーム3内にエアを導入する工程である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を決定するブロー条件調整装置であって、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データに基づいて、前記目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データを求める
ブロー条件調整装置。
【請求項2】
前記1つ以上のプレブロー条件には、前記プレブロー流体の圧力、前記圧力を維持している期間である圧力維持期間、前記プレブロー流体の流量、前記プリフォームにストレッチロッドを挿入することにより前記プリフォームが延伸する量である延伸量、及び、前記プリフォームが延伸する速度である延伸速度のうちの少なくともいずれか1つが含まれている
請求項1に記載のブロー条件調整装置。
【請求項3】
前記特性分布には、前記製品の質量分布、及び、前記製品の肉厚分布の少なくともいずれか1つが含まれている
請求項1又は請求項2に記載のブロー条件調整装置。
【請求項4】
前記入力データとして、前記製品の設計情報に基づいて作成されたプレブロー条件に関する情報である設計プレブロー条件情報と、前記設計情報に基づいて作成されたプレブロー条件を適用して成形された前記製品の特性分布に関する情報である設計特性分布情報とが与えられる
請求項1又は請求項2に記載のブロー条件調整装置。
【請求項5】
前記入力データが入力されると、前記入力データと前記出力データとの相関関係が機械学習により学習された学習モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を決定し、決定された前記目標プレブロー条件に関する情報を前記出力データとして出力する
請求項1又は請求項2に記載のブロー条件調整装置。
【請求項6】
前記入力データが入力されると、前記入力データと前記出力データとの相関関係を定義した数理最適化モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を決定し、決定された前記目標プレブロー条件に関する情報を前記出力データとして出力する
請求項1又は請求項2に記載のブロー条件調整装置。
【請求項7】
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データと、前記入力データに対応付けられ、前記目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
前記学習用データのセットが複数組入力されることにより、前記入力データと前記出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により学習された前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と
を備えている機械学習装置。
【請求項8】
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備え、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する推論装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データを取得する情報取得処理と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている機械学習による学習モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を推論する推論処理と、
推論された前記目標プレブロー条件を含む出力データを出力する出力処理と
を実行する推論装置。
【請求項9】
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備え、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する推論装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データを取得する情報取得処理と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている数理最適化モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を推論する推論処理と、
推論された前記目標プレブロー条件を含む出力データを出力する出力処理と
を実行する推論装置。
【請求項10】
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を決定するための情報処理方法であって、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データに基づいて、前記目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データを求める
情報処理方法。
【請求項11】
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論するための学習モデルを生成する機械学習方法であって、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データと、前記入力データに対応付けられ、前記目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
前記学習用データのセットが複数組入力されることにより、前記入力データと前記出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程において学習された前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶させる学習済みモデル記憶工程と
を実行する機械学習方法。
【請求項12】
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備える推論装置により実行されて、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する推論方法であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データを取得する情報取得工程と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている機械学習による学習モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を推論する推論工程と、
推論された前記目標プレブロー条件を含む出力データを出力する出力工程と
を実行する推論方法。
【請求項13】
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備える推論装置により実行されて、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する推論方法であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データを取得する情報取得工程と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている数理最適化モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を推論する推論工程と、
推論された前記目標プレブロー条件を含む出力データを出力する出力工程と
を実行する
推論方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー条件調整装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリフォームをブロー成形することで中空容器を製造するブロー成形装置では、ブロー成形工程を制御する少なくとも1つのパラメータの量が、シミュレーションモデルに基づいて設定されていた。このようなシミュレーションモデルでは、ブローガス供給領域における流動横断面積、流動抵抗、発生する圧力、ブローガスの体積流、及び、体積変化等が考慮されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のブロー成形装置では、シミュレーションモデルを実際のブロー成形環境に整合させることが難しく、目標とする特性分布を実現するための制御条件、特に、適切な質量分布や肉厚分布を実現するために重要となるプレブロー工程における制御条件であるプレブロー条件を得るまで、多くの試作を繰り返す必要があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するために為されたものであり、プレブロー条件の目標値を容易に決定することができるブロー条件調整装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブロー条件調整装置は、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を決定するブロー条件調整装置であって、1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データに基づいて、目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データを求める。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るブロー条件調整装置、機械学習装置、推論装置、情報処理方法、機械学習方法、及び、推論方法によれば、プレブロー条件の目標値を容易に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係るブロー成形装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係るブロー成形容器の成形ユニットの一例を示す概略構成図である。
【
図3】ブロー成形工程の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態に係る機械学習装置の一例を示すブロック図である。
【
図6】第1の実施形態に係る学習モデル及び学習用データの一例を示す図である。
【
図7】機械学習装置により実行される機械学習ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態に係るブロー条件調整装置の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図8のブロー条件調整装置の機能の一例を示す機能説明図である。
【
図10】コンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るブロー成形装置の一例を示すブロック図である。ブロー成形装置2は、その主要な構成要素として、ロータリユニット21、複数の成形ユニット22、及び、制御ユニット23を備えている。
【0011】
ロータリユニット21は、ロータリ支持部及び回転機構部を有している。ロータリ支持部は、円板状に形成されており、ロータリ支持部の周方向へ等間隔に配置された複数の成形ユニット22を支持している。回転機構部は、ロータリ支持部を既定の回転速度で回転させる。
【0012】
制御ユニット23は、成形ユニット22が備えるモジュール群及びセンサ群と電気的に接続されている。
図1には、モジュール群の一部としてのプレブローバルブ2242、メインブローバルブ2243及び排気バルブ2244と、センサ群の一部としての圧力センサ2245及び流量センサ2246とが示されている。
図1には、その他のモジュール群及びセンサ群の図示は省略されている。
【0013】
制御ユニット23は、例えば、汎用又は専用のコンピュータで構成されている。制御ユニット23は、その主要な構成要素として、制御部230、通信部231、入力部232、出力部233及び記憶部234を有している。
【0014】
制御部230は、例えば、演算処理装置又はシーケンサにより構成されている。制御部230は、例えば、記憶部234に記憶されているブロー成形プログラム2340を実行することにより、ブロー成形制御部2300、圧力監視部2301、及び、流量監視部2302として機能する。
【0015】
通信部231は、通信ネットワークに接続され、例えば、ブロー成形装置2のユーザが使用する端末装置との間において各種のデータを送受信する通信インタフェースとして機能する。入力部232は、ブロー成形装置2のユーザによる各種の入力操作を受け付ける。出力部233は、画面の表示、シグナルタワーの点灯、及び、ブザーの鳴動を介して各種の情報をユーザに出力することにより、ユーザインタフェースとして機能する。
【0016】
記憶部234は、ブロー成形装置2の動作において使用される各種のプログラム及びデータを記憶する。プログラムには、オペレーティングシステム及びブロー成形プログラム2340が含まれる。データには、装置設定情報2341が含まれる。装置設定情報2341は、ブロー成形装置2がブロー成形処理を実行するときの各種の動作条件を登録可能な情報であり、例えば、表示画面を介してユーザにより編集可能に構成されている。
【0017】
ブロー成形制御部2300は、成形ユニット22が備えるモジュール群を動作させる。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係るブロー成形容器の成形ユニット22の一例を示す概略構成図である。成形ユニット22は、金型支持機構部220、シール支持部221、ストレッチロッド222、ストレッチロッド支持機構部223、ブロー流体給排部224、及び、温調機構部225を有している。
【0019】
金型支持機構部220は、金型20を開閉可能に支持している。シール支持部221は、プリフォーム3を支持している。金型20は、金型支持機構部220によって閉じられたとき、プリフォーム3を挟み込む。これにより、プリフォーム3は、金型20内で密閉状態になる。ストレッチロッド222は、プリフォーム3の開口部からプリフォーム3の内部に挿入可能に配置されている。ストレッチロッド支持機構部223は、ストレッチロッド222を進退移動可能に支持している。
【0020】
ブロー流体給排部224は、プリフォーム3に対するブロー流体の供給又は排出を行う。本実施の形態では、ブロー流体として空気(エア)が用いられている。温調機構部225は、金型20の温度を調節する。なお、本実施の形態では、ブロー流体は、空気であるものとして説明するが、空気以外の任意の気体であってもよいし、液体であってもよい。
【0021】
ブロー流体給排部224は、主配管2240、3つの分岐配管2241A、2241B及び2241C、プレブローバルブ2242、メインブローバルブ2243、排気バルブ2244、圧力センサ2245、及び、流量センサ2246を有している。
【0022】
主配管2240は、シール支持部221を介してストレッチロッド222に接続されている。3つの分岐配管2241A、2241B及び2241Cは、主配管2240から分岐されている。分岐配管2241Aは、図示しないプレブローエア供給源に接続されている。プレブローエア供給源は、プレブロー流体としてのプレブローエアの供給源である。分岐配管2241Bは、図示しないメインブローエア供給源に接続されている。メインブローエア供給源は、高圧のメインブローエアの供給源である。メインブローエア供給源の圧力は、プレブローエア供給源の圧力よりも高い。分岐配管2241Cは、図示しない排気系統に接続されている。
【0023】
プレブローバルブ2242は、分岐配管2241Aに設けられている。メインブローバルブ2243は、分岐配管2241Bに設けられている。排気バルブ2244は、分岐配管2241Cに設けられている。
【0024】
圧力センサ2245は、主配管2240に設けられている。圧力センサ2245は、プリフォーム3内に供給されるエアの圧力を所定の時間間隔で測定し、その結果を圧力監視部2301へ出力する。流量センサ2246は、主配管2240に設けられている。流量センサ2246は、プリフォーム3内に供給されるエアの流量を所定の時間間隔で測定し、その結果を流量監視部2302へ出力する。
【0025】
なお、
図2において、金型支持機構部220、シール支持部221及びストレッチロッド支持機構部223の具体的な構成は省略されている。これらの機構は、例えば、サーボモータ、シリンダ等の駆動力発生用のモジュールと、リニアガイド、ボールスクリュ、ギヤ、カム、ベルト、カップリング、軸受等の駆動力伝達機構と、リニアセンサ、エンコーダセンサ、リミットセンサ等のセンサとが適宜組み合わされて構成されている。
【0026】
また、
図2において、温調機構部225の具体的な構成は省略されている。温調機構部225は、例えば、電熱ヒータ等の温度調節用のモジュールと、温度センサ等のセンサとが適宜組み合わされて構成されている。また、圧力センサ2245及び流量センサ2246は、主配管2240ではなく、シール支持部221に設けられていてもよい。
【0027】
図3は、ブロー成形工程の流れを示すフローチャートである。ブロー成形工程は、ブロー成形処理を実行する工程であり、金型20に配置されたプリフォーム3をブロー成形し、ブロー成形容器の成形体を得るための工程である。ブロー成形工程は、プリフォーム3のセット(ステップS0)、金型20の閉動作(ステップS1)、ストレッチ(ステップS2)、プレブローエア供給開始(ステップS3)、プレブロー圧力維持(ステップS4)、メインブローエア供給開始(ステップS5)、メインブロー圧力維持(ステップS6)、ブローエア排気開始(ステップS7)、金型20の開動作(ステップS8)、成形体の取出し(ステップS9)の順に実行される。
【0028】
ステップS0において、ブロー成形制御部2300は、予め加熱されたプリフォーム3をシール支持部221に支持させる。ステップS1において、ブロー成形制御部2300は、金型支持機構部220に金型20を閉じさせる。ステップS2において、ブロー成形制御部2300は、ストレッチロッド222をプリフォーム3の中心軸に沿って進出させることにより、プリフォーム3を延伸させる。
【0029】
ステップS3において、ブロー成形制御部2300は、プレブローバルブ2242を開く。ステップS4において、ブロー成形制御部2300は、ストレッチロッド222を進出させながら、プレブローエアの供給を継続させることによりプレブロー圧力を維持させる。
【0030】
ステップS5において、ブロー成形制御部2300は、プレブローバルブ2242を閉じて、プレブローエアの供給を停止するとともに、メインブローバルブ2243を開いてブロー圧力を上昇させる。ステップS6において、ブロー成形制御部2300は、メインブローエアの供給を継続させることにより、ブロー圧力を目標圧力に維持させる。ステップS7において、ブロー成形制御部2300は、メインブローバルブ2243を閉じるとともに、排気バルブ2244を開いてブロー流体を主配管2240から外部へ排出させる。
【0031】
ステップS8において、ブロー成形制御部2300は、ストレッチロッド222をプリフォーム3内部から退出させながら、金型支持機構部220により金型20を開かせる。ステップS9において、ブロー成形制御部2300は、シール支持部221により成形体が固定されている状態を解除する。これにより、成形体は、シール支持部221から取出し可能にされる。
【0032】
ブロー成形工程のうち、ステップS0からステップS4までの工程は、プレブローエアを用いた工程であり、プレブロー工程と呼ばれる。また、ブロー成形工程のうち、ステップS5からステップS9までの工程は、メインブローエアを用いた工程であり、メインブロー工程と呼ばれる。
【0033】
即ち、プレブロー工程は、ブロー成形工程のうち、加熱されたプリフォーム3にストレッチロッド222をプリフォーム3の中心軸に沿って挿入することによりプリフォーム3を中心軸方向に延伸させるとともに、プリフォーム3内にエアを導入する工程である。
【0034】
プレブロー工程におけるプレブロー条件としては、ブロー流体としてのエアの圧力、圧力維持期間、エアの圧力が維持されているときのエアの流量、プリフォーム3の延伸量、及び、プリフォーム3の延伸速度が挙げられる。圧力維持期間は、エアの圧力を維持している期間であり、
図3のステップS4の期間に相当する。プリフォーム3の延伸量は、プリフォーム3が中心軸方向に延伸する量である。プリフォーム3の延伸速度は、プリフォーム3が中心軸方向に延伸する速度である。
【0035】
図4は、延伸量を説明するための図である。
図4の左側の図は、
図3のステップS1におけるプリフォーム3とストレッチロッド222の相対位置関係を示している。
図4の中央の図は、
図3のステップS2において、進出中のストレッチロッド222がプリフォーム3に突き当たった状態を示している。
図4の右側の図は、
図3のステップS4において、ストレッチロッド222が停止したときの状態を示している。このように、延伸量Lxは、プリフォーム3にストレッチロッド222を挿入することによりプリフォーム3が延伸する量である。
【0036】
例えば、延伸量が比較的小さい段階において、エアの圧力を増加させると、成形されたブロー成形容器の肩部分における肉厚は、ブロー成形容器の底部分における肉厚よりも厚くなる傾向がある。つまり、ブロー成形容器の中心軸方向における肉厚分布は、底部分よりも肩部分が厚くなる傾向がある。即ち、この場合、ブロー成形容器の中心軸方向における質量分布としては、底部分よりも肩部分が重くなる傾向がある。
【0037】
一方、延伸量が比較的大きい段階において、エアの圧力を増加させると、成形されたブロー成形容器の肩部分における肉厚は、ブロー成形容器の底部分における肉厚よりも薄くなる傾向がある。つまり、ブロー成形容器の中心軸方向における肉厚分布は、肩部分よりも底部分が厚くなる傾向がある。即ち、この場合、ブロー成形容器の中心軸方向における質量分布としては、肩部分よりも底部分が重くなる傾向がある。このように、プレブロー条件の設定と、製造後のブロー成形容器の中心軸方向の特性分布との関連性は強いことから、プレブロー条件の調整が、ブロー成形容器の中心軸方向の特性分布に大きな影響を与えるものであることがわかる。
【0038】
図5は、第1の実施形態に係る機械学習装置の一例を示すブロック図である。機械学習装置5は、制御部50、通信部51、学習用データ記憶部52、及び、学習済みモデル記憶部53を備えている。
【0039】
制御部50は、学習用データ取得部500及び機械学習部501として機能する。通信部51は、ネットワーク7を介して外部装置と接続され、各種のデータを送受信する通信インタフェースとして機能する。外部装置は、例えば、作業者端末装置1、ブロー成形装置2、及び、特性分布測定装置8である。特性分布測定装置8は、ブロー成形容器の肉厚分布及び質量分布の少なくともいずれか1つを測定する装置である。
【0040】
学習用データ取得部500は、通信部51及びネットワーク7を介して、作業者端末装置1、ブロー成形装置2、及び、特性分布測定装置8と接続されており、作業者端末装置1、ブロー成形装置2、及び、特性分布測定装置8の少なくともいずれか1つから学習用データ13を取得する。学習用データ13は、入力データと出力データとにより構成されている。
【0041】
入力データは、プレブロー条件情報及び当該プレブロー条件情報に対応する特性分布情報とから構成されている。出力データは、目標プレブロー条件情報により構成されている。目標プレブロー条件情報は、ブロー成形容器の特性分布が目標の特性分布となるときのプレブロー条件の目標値に関する情報である。ブロー成形容器の特性分布は、ブロー成形容器の中心軸方向における質量分布である。なお、ブロー成形容器の特性分布は、ブロー成形容器の中心軸方向における肉厚分布であってもよい。
【0042】
ここで、発明者の鋭意研究の成果から、ブロー成形容器、即ち、製品である中空容器において、中心軸方向の特性分布が強度向上や搬送性の向上等の性能向上に大きな影響を与えることが明らかとなった。
【0043】
具体的には、ブロー成形容器の中心軸方向の特性分布を設定された特性分布に近づけることで、当該ブロー成形容器の各部に必要な強度を付与することができる。また、ブロー成形容器の中心軸方向の特性分布を、設定された特性分布に近づけることで、当該ブロー成形容器の全体の重量配分及びボトルの賦形が設計通りとなり、搬送中などに発生する当該ブロー成形容器の転倒を低減させることができ、重量配分が偏ることによるメインブロー時のボトルのバースト発生を低減させることができる。
【0044】
一方で、
図4に示された延伸量に基づいて前述したように、プレブロー条件の調整は、ブロー成形容器の中心軸方向の特性分布に大きな影響を与えるものである。これらのことから、ブロー成形容器の性能向上においては、ブロー成形容器の中心軸方向の特性分布を好適に付与する必要があり、そのためには、中心軸方向の特性分布に大きな影響を及ぼすプレブロー条件を適切に設定する必要があることが明らかとなった。
【0045】
従って、学習用データ13の入力データとして、ブロー成形容器の性能に大きな影響を及ぼす中心軸方向の特性分布情報と、特性分布に大きな影響を及ぼすプレブロー条件情報とから構成することとしている。
【0046】
学習用データ13は、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。また、目標プレブロー条件情報は、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0047】
学習用データ記憶部52は、学習用データ取得部500において取得された複数組の学習用データ13のセットを記憶するデータベースである。なお、学習用データ記憶部52を構成しているデータベースの具体的な構成は、適宜設計される。
【0048】
機械学習部501は、学習用データ記憶部52に記憶されている複数組の学習用データ13のセットを用いて機械学習を実施する。すなわち、機械学習部501は、学習モデル12に複数組の学習用データ13のセットを入力し、学習用データ13に含まれる入力データ、即ち、プレブロー条件情報及び特性分布情報と、出力データ、即ち、目標プレブロー条件情報との相関関係を学習モデル12に学習させることにより、学習済みの学習モデル12を生成する。
【0049】
学習済みモデル記憶部53は、機械学習部501により生成された学習済みの学習モデル12を記憶するデータベースである。学習済みの学習モデル12は、具体的には、調整済みの重みパラメータ群である。学習済みモデル記憶部53に記憶されている学習済みの学習モデル12は、ネットワーク7又は記録媒体を介して実システム、例えば、ブロー成形装置2に提供される。なお、
図5において、学習用データ記憶部52及び学習済みモデル記憶部53は別々の記憶部として示されているが、これらは、単一の記憶部により構成されていてもよい。
【0050】
図6は、第1の実施形態に係る学習モデル12及び学習用データ13の一例を示す図である。学習モデル12の機械学習に用いられる学習用データ13は、プレブロー条件情報と特性分布情報とにより構成されている。
【0051】
プレブロー条件情報は、成形されたブロー成形容器のプレブロー条件を含んでいる。本実施形態では、プレブロー条件情報に含まれるプレブロー条件は、プレブロー工程において維持されるエアの圧力、プレブロー工程における圧力維持期間、プレブロー工程においてエアの圧力が維持されているときのエアの流量、プリフォーム3の延伸量、及び、プリフォーム3の延伸速度である。
【0052】
特性分布情報は、上記プレブロー条件を適用して成形されたブロー成形容器の中心軸方向における質量分布の評価結果を含んでいる。質量分布は、実際に成形されたブロー成形容器を測定することにより求められる。質量分布の評価結果は、例えば、中心軸方向に沿った異なる位置ごとに複数測定された質量の平均・分散・標準偏差・最大・最小等の統計値に基づいて求めることができる。
【0053】
なお、特性分布情報は、上記プレブロー条件を適用して成形されたブロー成形容器の中心軸方向における肉厚分布を含んでいてもよい。肉厚分布は、実際に成形されたブロー成形容器を測定することにより求められる。肉厚分布の評価結果は、例えば、中心軸方向に沿った異なる位置ごとに複数測定された肉厚の平均・分散・標準偏差・最大・最小等の統計値に基づいて求めることができる。また、特性分布情報は、質量分布の評価結果と肉厚分布の評価結果とを含んでいてもよい。質量分布及び肉厚分布は、自動測定装置を用いてセンシングすることも可能である。
【0054】
学習用データ取得部500は、試作されたブロー成形容器の質量分布が測定された後、試作されたブロー成形容器のプレブロー条件情報を、ブロー成形装置2又は作業者端末装置1から受信するとともに、特性分布情報を作業者端末装置1から受信する。これにより、学習用データ取得部500は、学習用データ13を取得する。また、学習用データ取得部500は、正解ラベルとしての目標プレブロー条件情報を、ブロー成形装置2又は作業者端末装置1から受信する。目標プレブロー条件は、例えば、ブロー成形工程における熟練作業者によるブロー条件調整結果に基づいている。
【0055】
学習モデル12には、例えば、ニューラルネットワークの構造が採用されている。学習モデル12は、入力層120、中間層121、及び、出力層122を備えている。入力層120、中間層121、及び、出力層122の間には、複数のニューロンをそれぞれ接続する複数のシナプスが張られており、各シナプスには、重みがそれぞれ対応付けられている。各シナプスの重みからなる重みパラメータ群が、機械学習により調整される。
【0056】
入力層120は、入力データとしてのプレブロー条件情報及び特性分布情報に対応する数のニューロンを有している。入力層120には、プレブロー条件情報及び特性分布情報の各値が、各ニューロンにそれぞれ入力される。出力層122は、出力データとしての目標プレブロー条件情報に対応する数のニューロンを有している。出力層122からは、プレブロー条件情報に対する目標プレブロー条件情報の予測結果、即ち、推論結果が出力データとして出力される。
【0057】
図7は、機械学習装置5により実行される機械学習ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図7のルーチンが開始されると、ステップS100において、学習用データ取得部500は、機械学習を開始するための事前準備として、複数の学習用データ13を取得し、取得された学習用データ13を学習用データ記憶部52に記憶する。ここで、準備のために取得される学習用データの数については、最終的に得られる学習モデル12に求められる推論精度を考慮して設定されればよい。
【0058】
次いで、ステップS110において、機械学習部501は、機械学習を開始するために、学習前の学習モデル12を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル12は、
図6に例示したニューラルネットワークモデルにより構成されている。この時点において、各シナプスの重みは、初期値に設定されている。
【0059】
次いで、ステップS120において、機械学習部501は、学習用データ記憶部52に記憶されている複数組の学習用データ13から、例えば、ランダムに1組の学習用データ13を取得する。
【0060】
次いで、ステップS130において、機械学習部501は、1組の学習用データ13に含まれるプレブロー条件情報及び特性分布情報(入力データ)を、準備された学習前又は学習中の学習モデル12の入力層120に入力する。その結果、学習モデル12の出力層122から推論結果として目標プレブロー条件情報(出力データ)が出力される。この出力データは、学習前又は学習中の学習モデル12によって生成されたデータであるため、推論結果として出力された出力データは、学習用データ13に含まれる目標プレブロー条件情報(正解ラベル)とは異なる情報を示す。
【0061】
次いで、ステップS140において、機械学習部501は、ステップS120において取得された1組の学習用データ13に含まれる目標プレブロー条件情報(正解ラベル)と、ステップS130において出力層123から推論結果として出力された目標プレブロー条件情報(出力データ)とを比較する。機械学習部501は、正解ラベルと出力データとの比較結果に基づいて、各シナプスの重みを調整する処理、即ち、バックプロパゲーションを実施することにより、機械学習を行う。これにより、機械学習部501は、プレブロー条件情報及び特性分布情報と、目標プレブロー条件情報との相関関係を学習モデル12に学習させる。
【0062】
次いで、ステップS150において、機械学習部501は、学習終了条件が成立したか否かを判定する。例えば、機械学習部501は、正解ラベルと出力データとに基づく誤差関数の評価値、及び、学習用データ記憶部52内に記憶されている未学習の学習用データ13の残数の少なくともいずれか一方に基づいて、学習終了条件が成立したか否かを判定する。
【0063】
ステップS150において、学習終了条件が成立していない場合、機械学習部501は、学習中の学習モデル12に対し、未学習の学習用データ13を用いて、ステップS120~S140の処理を複数回実施する。一方、ステップS150において、学習終了条件が成立している場合、機械学習部501は、ステップS160において、生成された学習済みの学習モデル12(調整済みの重みパラメータ群)を学習済みモデル記憶部53に記憶させ、本ルーチンを一旦終了する。
【0064】
機械学習方法において、ステップS100が学習用データ記憶工程、ステップS110~ステップS150が機械学習工程、ステップS160が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0065】
図8は、第1の実施形態に係るブロー条件調整装置の一例を示すブロック図である。ブロー条件調整装置6は、制御部60、通信部61、及び、学習済みモデル記憶部62を備えている。
【0066】
制御部60は、情報取得部600、推論部601及び出力処理部602として機能する。通信部61は、ネットワーク7を介して外部装置と接続されており、各種のデータを送受信する通信インタフェースとして機能する。外部装置は、例えば、作業者端末装置1、ブロー成形装置2、及び、特性分布測定装置8である。
【0067】
情報取得部600は、通信部61及びネットワーク7を介して外部装置と接続されており、外部装置から入力データを取得する情報取得処理を実行する。具体的には、情報取得部600は、作業者端末装置1又はブロー成形装置2から、入力データとして、プレブロー条件情報を取得する。また、情報取得部600は、作業者端末装置1又は特性分布測定装置8から、入力データとして、プレブロー条件情報に対応する特性分布情報を取得する。
【0068】
推論部601は、情報取得部600により取得されたプレブロー条件情報及び当該プレブロー条件情報に対応する特性分布情報を、入力データとして学習モデル12に入力する。推論部601は、学習済みモデル記憶部62に記憶されている学習モデル12を用いて推論処理を実行する。
【0069】
学習済みモデル記憶部62は、推論部601において用いられる学習済みの学習モデル12を記憶するデータベースである。なお、学習済みモデル記憶部62に記憶される学習モデル12の数は1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、ブロー成形容器の形状、プリフォーム3の材料のように、条件が異なる複数の学習済みモデルが記憶され、選択的に利用されてもよい。
【0070】
また、学習済みモデル記憶部62は、外部コンピュータの記憶部によって代用されてもよく、その場合には、推論部601は、当該外部コンピュータにアクセスすればよい。外部コンピュータとしては、例えば、サーバ型コンピュータ及びクラウド型コンピュータが挙げられる。
【0071】
出力処理部602は、推論部601において推論された目標プレブロー条件を含む出力データを外部装置に出力する出力処理を実行する。例えば、出力処理部602は、生成された目標プレブロー条件情報を作業者端末装置1に送信してもよいし、ブロー成形装置2に送信してもよい。
【0072】
このように、制御部60は、プレブロー条件情報と特性分布情報とからなる入力データに基づいて、目標プレブロー条件情報からなる出力データを求める。
【0073】
図9は、
図8のブロー条件調整装置の機能の一例を示す機能説明図である。ブロー条件調整装置6において、情報取得部600は、入力データとしてプレブロー条件情報及び当該プレブロー条件情報に対応する特性分布情報を取得し、推論部601に入力する。推論部601は、プレブロー条件情報及び当該プレブロー条件情報に対応する特性分布情報を学習モデル12に入力し、学習モデル12による推論結果として目標プレブロー条件情報を生成する。
【0074】
入力データとしては、例えば、設計プレブロー条件情報と、設計特性分布情報とが情報取得部600に与えられる。設計プレブロー条件情報は、ブロー成形容器の設計情報に基づいて作成されたプレブロー条件に関する情報である。設計特性分布情報は、設計情報に基づいて作成されたプレブロー条件を適用して成形されたブロー成形容器の特性分布に関する情報である。
【0075】
図10は、コンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。制御ユニット23、機械学習装置5、及び、ブロー条件調整装置6は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0076】
コンピュータ900は、
図10に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インタフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備えている。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0077】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成されており、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶しており、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とにより構成される。
【0078】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等により構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等により構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等により構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD(Solid State Drive)等により構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶している。
【0079】
通信I/F部922は、インターネット、イントラネット等のネットワーク940(
図5のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続されており、所定の通信規格に従って外部機器950との間においてデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続されており、I/Oデバイス960との間において、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置により構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0080】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式によりメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由によりダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することにより実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウェアにより実現するものでもよい。
【0081】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータにより構成されており、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ900は、制御ユニット23、機械学習装置5、及び、ブロー条件調整装置6以外の装置に適用されてもよい。
【0082】
このように、第1の実施形態に係るブロー条件調整装置は、プリフォーム3をブロー成形するためのブロー成形工程のうち、プレブロー工程において設定される複数のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を決定する装置である。
【0083】
プレブロー工程は、プリフォーム3内にプレブローエアを導入する工程である。このブロー条件調整方法では、プレブロー条件情報と特性分布情報とからなる入力データに基づいて、目標プレブロー条件情報からなる出力データが求められる。プレブロー条件情報は、複数のプレブロー条件に関する情報である。特性分布情報は、当該複数のプレブロー条件を適用して成形されたブロー成形容器の質量分布に関する情報である。目標プレブロー条件情報は、目標プレブロー条件に関する情報である。
【0084】
これによれば、目標プレブロー条件を決定するまでのブロー成形容器の試作回数を低減させることができることから、目標プレブロー条件を容易に決定することができる。また、例えば、金型が交換された場合及びプリフォームの材料が変更された場合のように、成形条件が変更された場合であっても、熟練作業者の技能に頼ることなく、目標プレブロー条件を決定することができる。
【0085】
また、プレブロー条件には、プレブローエアの圧力、プレブローエアの圧力を維持している期間である圧力維持期間、プレブローエアの流量、プリフォーム3の延伸量Lx、及び、プリフォーム3の延伸速度のうちの少なくともいずれか1つである。延伸量は、プリフォーム3にストレッチロッド222を挿入することによりプリフォーム3が延伸する量である。延伸速度は、プリフォーム3が延伸する速度である。
【0086】
ブロー成形容器の質量分布は、プレブローエアの圧力、圧力維持期間、プレブローエアの流量、プリフォーム3の延伸量Lx、及び、プリフォーム3の延伸速度に大きく依存している。従って、これらのパラメータの少なくとも1つをプレブロー条件として設定し、少なくとも1つのパラメータを調整することにより、ブロー成形容器の特性分布をより均一にすることができる。
【0087】
また、特性分布には、ブロー成形容器の質量分布、及び、ブロー成形容器の肉厚分布の少なくともいずれか1つが含まれている。
【0088】
プレブローエアの圧力とプリフォーム3の延伸量Lxとの関係は、主に、プリフォーム3の中心軸方向におけるブロー成形容器の肉厚のばらつきに影響を与える。従って、特性分布として、ブロー成形容器の質量分布、及び、ブロー成形容器の肉厚分布の少なくともいずれか1つを設定し、これらの少なくともいずれか1つの評価結果を機械学習装置5への入力データとすることにより、より正確な学習結果を得ることができる。
【0089】
また、入力データとして、設計プレブロー条件情報と、設計特性分布情報とが与えられる。設計プレブロー条件情報は、ブロー成形容器の設計情報に基づいて作成されたプレブロー条件に関する情報である。設計特性分布情報は、設計情報に基づいて作成されたプレブロー条件を適用して成形されたブロー成形装置の特性分布に関する情報である。
【0090】
これによれば、設計プレブロー条件から目標プレブロー条件を得ることができる。従って、設計プレブロー条件情報及び設計特性情報をブロー条件調整装置6に入力し、目標プレブロー条件を求め、求められた目標プレブロー条件を新たな設計プレブロー条件として、ブロー条件調整装置6に入力することを繰り返し行うことにより、より適切な目標プレブロー条件をより早期に求めることができる。その結果、ブロー成形容器の設計から、ブロー成形容器を完成させるまでの開発期間を短縮することができる。
【0091】
なお、入力データとして、任意のプレブロー条件及び当該プレブロー条件に対応する特性分布情報を用いても、求められた目標プレブロー条件を新たなプレブロー条件として、ブロー条件調整装置6に入力することを繰り返し行うことにより、より適切な目標プレブロー条件を求めることも可能である。
【0092】
また、本実施形態に係るブロー条件調整装置6は、入力データが入力されると、入力データと出力データとの相関関係が機械学習により学習された学習モデル12を用いて、目標プレブロー条件を決定し、決定された目標プレブロー条件に関する情報を出力データとして出力する。
【0093】
また、機械学習装置5は、目標プレブロー条件を推論するための学習モデル12を生成する。機械学習装置5は、学習用データ記憶部52と、機械学習部501と、学習済みモデル記憶部53とを備えている。学習用データ記憶部52は、プレブロー条件情報と特性分布情報とからなる入力データと、入力データに対応付けられ、目標プレブロー条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データ13のセットを複数組記憶する。機械学習部501は、学習用データ13のセットが複数組入力されることにより、入力データと出力データとの相関関係を学習モデル12に学習させる。学習済みモデル記憶部は、機械学習部501により学習された学習モデルを記憶する。
【0094】
推論装置は、メモリ914と、プロセッサ912とを備え、目標プレブロー条件を推論する。プロセッサ912は、情報取得処理と、推論処理と、出力処理とを実行する。情報取得処理は、プレブロー条件情報と、特性分布情報とからなる入力データを取得する処理である。推論処理は、入力データを取得すると、メモリ914に格納されている機械学習による学習モデル12を用いて、目標プレブロー条件を推論する処理である。出力処理は、推論された目標プレブロー条件を含む出力データを出力する処理である。
【0095】
また、情報処理方法は、目標プレブロー条件を決定するための方法である。情報処理方法は、プレブロー条件情報と、特性分布情報とからなる入力データに基づいて、目標プレブロー条件情報からなる出力データを求める。
【0096】
機械学習方法は、目標プレブロー条件を推論するための学習モデル12を生成する方法である。機械学習方法は、学習用データ記憶工程と、機械学習工程と、学習済みモデル記憶工程とを備えている。学習用データ記憶工程は、プレブロー条件情報と、特性分布情報とからなる入力データと、入力データに対応付けられ、目標プレブロー条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する工程である。機械学習工程は、学習用データ13のセットが複数組入力されることにより、入力データと出力データとの相関関係を学習モデル12に学習させる工程である。学習済みモデル記憶工程は、機械学習工程において学習された学習モデルを学習済みモデル記憶部53に記憶させる工程である。
【0097】
(他の実施形態)
本発明は、上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれる。
【0098】
例えば、プレブロー条件情報に、プリフォーム3の加熱条件に関する情報が追加されてもよい。プリフォーム3の加熱条件は、加熱温度、加熱時間、及び、これらの組合せを含んでいる。また、プリフォーム3の加熱条件ごとに学習モデルが用意されてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、学習モデル12は、推論結果として目標プレブロー条件情報を出力していたが、推論結果として前回推論した目標プレブロー条件情報と今回推論した目標プレブロー条件情報との差分を出力してもよい。この場合に、機械学習部501によって学習モデル12を学習する際にも、学習用データ13に含まれる目標プレブロー条件情報(正解ラベル)として前回のプレブロー条件情報と今回のプレブロー条件情報との差分のデータを用意することは、当業者にとって明らかである。
【0100】
また、上記実施形態では、学習用データ13に含まれる特性分布情報は、質量分布の評価結果及び肉厚分布の評価結果の少なくともいずれか1つであったが、質量分布の測定結果そのもの、及び、肉厚分布の測定結果そのものの、少なくともいずれか1つであってもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、プレブロー条件に、延伸量が含まれていたが、延伸量に代えて、ストレッチロッド222が進出する量が含まれていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、機械学習部501による機械学習を実現する学習モデル12として、ニューラルネットワークを採用した場合について説明したが、他の機械学習のモデルが採用されてもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM(Long Short Term Memory)等のニューラルネット型(ディープラーニングを含む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラスタリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0103】
また、機械学習による学習モデルに代えて、数理最適化モデルが用いられてもよい。即ち、入力データは、数理最適化モデルに入力され、出力データは、数理最適化モデルから出力されてもよい。言い換えると、ブロー条件調整装置6において、メモリ914に、学習モデル12に代えて、数理最適化モデルが格納され、プロセッサ912がメモリ914に格納されている数理最適化モデルを用いて目標プレブロー条件を推論してもよい。数理最適化モデルには、例えば、ベイズ最適化や遺伝的アルゴリズムが用いられる。
【0104】
また、本発明は、機械学習装置5が備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラム(機械学習プログラム)や、機械学習方法が備える各工程をコンピュータ900に実行させるためのプログラム(機械学習プログラム)の態様で提供することもできる。
【0105】
また、本発明は、ブロー条件調整装置6が備える各部としてコンピュータ900を機能させるプログラム(推論プログラム)の態様で提供することもできる。その場合、ブロー条件調整装置(推論プログラム)としては、メモリ914と、プロセッサ912とを含み、このうちのプロセッサ912が、一連の処理を実行するものとすることができる。
【0106】
当該一連の処理とは、1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形されたブロー成形容器の特定分布に関する情報である特性分布情報とを取得する情報取得処理(情報取得工程)と、情報取得処理によりプレブロー条件情報と特性分布情報とを取得すると、メモリ914に格納されている学習モデルを用いて、目標プレブロー条件を推論する推論処理(推論工程)とを含んでいる。
【0107】
ブロー条件調整装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することにより、容易に種々の装置への適用が可能となる。ブロー条件調整装置(推論方法又は推論プログラム)が目標プレブロー条件情報を推論する際、上記実施形態に係る機械学習装置5及び機械学習方法により生成された学習済みの学習モデル12を用いて、推論部601が実施する推論手法を適用してもよいことは、当業者にとって当然に理解され得るものである。
【0108】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0109】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0110】
(付記1)
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を決定するブロー条件調整装置であって、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データに基づいて、前記目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データを求める
ブロー条件調整装置。
(付記2)
前記1つ以上のプレブロー条件には、前記プレブロー流体の圧力、前記圧力を維持している期間である圧力維持期間、前記プレブロー流体の流量、前記プリフォームにストレッチロッドを挿入することにより前記プリフォームが延伸する量である延伸量、及び、前記プリフォームが延伸する速度である延伸速度のうちの少なくともいずれか1つが含まれている
付記1に記載のブロー条件調整装置。
(付記3)
前記特性分布には、前記製品の質量分布、及び、前記製品の肉厚分布の少なくともいずれか1つが含まれている
付記1又は付記2に記載のブロー条件調整装置。
(付記4)
前記入力データとして、前記製品の設計情報に基づいて作成されたプレブロー条件に関する情報である設計プレブロー条件情報と、前記設計情報に基づいて作成されたプレブロー条件を適用して成形された前記製品の特性分布に関する情報である設計特性分布情報とが与えられる
付記1から付記3までのいずれか1項に記載のブロー条件調整装置。
(付記5)
前記入力データが入力されると、前記入力データと前記出力データとの相関関係が機械学習により学習された学習モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を決定し、決定された前記目標プレブロー条件に関する情報を前記出力データとして出力する
付記1から付記4までのいずれか1項に記載のブロー条件調整装置。
(付記6)
前記入力データが入力されると、前記入力データと前記出力データとの相関関係を定義した数理最適化モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を決定し、決定された前記目標プレブロー条件に関する情報を前記出力データとして出力する
付記1から付記4までのいずれか1項に記載のブロー条件調整装置。
(付記7)
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論するための学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データと、前記入力データに対応付けられ、前記目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
前記学習用データのセットが複数組入力されることにより、前記入力データと前記出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により学習された前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と
を備えている機械学習装置。
(付記8)
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備え、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する推論装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データを取得する情報取得処理と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている機械学習による学習モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を推論する推論処理と、
推論された前記目標プレブロー条件を含む出力データを出力する出力処理と
を実行する推論装置。
(付記9)
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備え、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する推論装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データを取得する情報取得処理と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている数理最適化モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を推論する推論処理と、
推論された前記目標プレブロー条件を含む出力データを出力する出力処理と
を実行する推論装置。
(付記10)
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を決定するための情報処理方法であって、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データに基づいて、前記目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データを求める
情報処理方法。
(付記11)
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する決定するための学習モデルを生成する機械学習方法であって、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データと、前記入力データに対応付けられ、前記目標プレブロー条件に関する情報である目標プレブロー条件情報からなる出力データとにより構成される学習用データのセットを複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
前記学習用データのセットが複数組入力されることにより、前記入力データと前記出力データとの相関関係を学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程において学習された前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶させる学習済みモデル記憶工程と
を実行する機械学習方法。
(付記12)
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備える推論装置により実行されて、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する推論方法であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データを取得する情報取得工程と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている機械学習による学習モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を推論する推論工程と、
推論された前記目標プレブロー条件を含む出力データを出力する出力工程と
を実行する推論方法。
(付記13)
メモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備える推論装置により実行されて、プリフォームをブロー成形するためのブロー成形工程のうち、前記プリフォーム内にプレブロー流体を導入する工程であるプレブロー工程において設定される1つ以上のプレブロー条件の目標値である目標プレブロー条件を推論する推論方法であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記1つ以上のプレブロー条件に関する情報であるプレブロー条件情報と、当該1つ以上のプレブロー条件を適用して成形された製品の特性分布に関する情報である特性分布情報とからなる入力データを取得する情報取得工程と、
前記入力データを取得すると、前記メモリに格納されている数理最適化モデルを用いて、前記目標プレブロー条件を推論する推論工程と、
推論された前記目標プレブロー条件を含む出力データを出力する出力工程と
を実行する推論方法。
【符号の説明】
【0111】
12 学習モデル、13 学習用データ、2 ブロー成形装置、222 ストレッチロッド、3 プリフォーム、5 機械学習装置、501 機械学習部、52 学習用データ記憶部、53 学習済みモデル記憶部、6 ブロー条件調整装置、912 プロセッサ、914 メモリ、Lx 延伸量。