(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055699
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】コンクリート組成物、硬化体、ガラス粒および細骨材
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20240411BHJP
C04B 18/16 20230101ALI20240411BHJP
C04B 18/08 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B18/16
C04B18/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162829
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000242644
【氏名又は名称】北陸電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190702
【弁理士】
【氏名又は名称】筧田 博章
(72)【発明者】
【氏名】参納 千夏男
(72)【発明者】
【氏名】市瀬 誠
(72)【発明者】
【氏名】中島 隆甫
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA27
4G112PA30
(57)【要約】
【課題】
廃棄されるガラス材を有効に利用できるコンクリート組成物、その硬化体、ならびにコンクリート組成物に用いるガラス粒およびガラス粒を含む細骨材を提供する。
【解決手段】
コンクリート組成物は、セメント材と、細骨材と、粗骨材と、水とを含み、細骨材は、ガラス粒を含み、ガラス粒は、廃棄されるガラス材を粒状にしたものであり、ふるい目10mmのふるいを全て通過する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントと、細骨材と、粗骨材と、水と、を含み、
前記細骨材は、ガラス粒を含み、
前記ガラス粒は、廃棄されるガラス材を粒状にしたものであり、ふるい目10mmのふるいを全て通過するコンクリート組成物。
【請求項2】
前記細骨材の質量に対する前記ガラス粒の質量割合は、3~60質量%である請求項1に記載のコンクリート組成物。
【請求項3】
さらに、フライアッシュを含み、
前記セメントと前記フライアッシュとの合計質量に対する前記フライアッシュの質量割合は、15~30質量%である請求項1または2に記載のコンクリート組成物。
【請求項4】
前記フライアッシュは、比表面積が0.25m2/g以上である請求項3に記載のコンクリート組成物。
【請求項5】
前記セメントと前記フライアッシュとの合計質量を100質量部として、前記細骨材を122~156質量部含み、前記粗骨材を211~244質量部含み、前記水を33~44質量部含む請求項3に記載のコンクリート組成物。
【請求項6】
請求項1~2いずれか一項に記載のコンクリート組成物が硬化した硬化体。
【請求項7】
コンクリート組成物の細骨材に用いられるガラス粒であって、
廃棄されるガラス材を粒状にしたものであり、ふるい目10mmのふるいを全て通過するガラス粒。
【請求項8】
コンクリート組成物に用いられる細骨材であって、
ガラス粒を含み、
前記ガラス粒は、廃棄されるガラス材を粒状にしたものであり、ふるい目10mmのふるいを全て通過する細骨材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート組成物、その硬化体、ガラス粒および細骨材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート(組成物)は、一般的にセメントと、骨材とを含んで構成されている。また、コンクリートには、骨材の一部を別の材料で代替するものが存在する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、太陽光パネルを備える太陽光発電装置が大量に普及したものの、数十年後には耐用年数が経過し、太陽光パネルを保護するガラス板(ガラス材)を含む太陽光発電装置が大量に廃棄されることが予測される。また、太陽光パネルのガラス板に限らず、ガラス材は大量に廃棄されている。
【0005】
本発明は、廃棄されるガラス材を有効に利用できるコンクリート組成物、その硬化体、ならびにコンクリート組成物に用いるガラス粒および細骨材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンクリート組成物は、セメント材と、細骨材と、粗骨材と、水とを含み、細骨材は、ガラス粒を含み、ガラス粒は、廃棄されるガラス材を粒状にしたものであり、ふるい目10mmのふるいを全て通過する。
【0007】
コンクリート組成物は、細骨材の質量に対するガラス粒の質量割合が、3~60質量%であることが好ましい。
【0008】
コンクリート組成物は、さらに、フライアッシュを含み、セメントとフライアッシュとの合計質量に対するフライアッシュの質量割合は、15~30質量%であることが好ましい。
【0009】
フライアッシュは、比表面積が0.25m2/g以上であることが好ましい。
【0010】
コンクリート組成物は、セメントとフライアッシュとの合計質量を100質量部として、細骨材を122~156質量部含み、粗骨材を211~244質量部含み、水を33~44質量部含むものが好ましい。
【0011】
硬化体は、上記コンクリート組成物が硬化したものである。
【0012】
ガラス粒は、コンクリート組成物の細骨材に用いられるものであって、廃棄されるガラス材を粒状にしたものであり、ふるい目10mmのふるいを全て通過する。
【0013】
細骨材は、コンクリート組成物に用いられるものであって、ガラス粒を含み、ガラス粒は、廃棄されるガラス材を粒状にしたものであり、ふるい目10mmのふるいを全て通過する。
【発明の効果】
【0014】
コンクリート組成物、その硬化体、ガラス粒および細骨材は、廃棄されるガラス材を有効に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。コンクリート組成物は、セメントと、フライアッシュと、細骨材と、粗骨材と、水とを含んでいる。
【0016】
セメントは、種々のものを用いることができる。セメントとしては、例えばポルトランドセメントを用いることができる。
【0017】
フライアッシュは、種々のものを用いることができる。フライアッシュとしては、例えば、石炭火力発電において微粉炭を燃焼した際に発生する石炭灰のうち、電気集塵器で採取された灰を用いることができる。
【0018】
コンクリート組成物は、フライアッシュを含むことにより、フライアッシュを有効利用することができるとともに、コンクリート組成物の硬化体に生じるアルカリシリカ反応を低減することができる。
【0019】
セメントとフライアッシュとの合計質量に対するフライアッシュの質量割合(フライアッシュ質量/セメントとフライアッシュとの合計質量)は、15~30質量%であることが好ましい。フライアッシュの質量割合をこのように設定すると、コンクリート組成物の硬化体に生じるアルカリシリカ反応をより一層低減することができる。また、フライアッシュは、比表面積が0.25(m2/g)以上であることが好ましい。比表面積は、ブレーン比表面積であって、日本産業規格JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の規定に基づくものである。フライアッシュの比表面積をこのように設定すると、コンクリート組成物の硬化体に生じるアルカリシリカ反応をより一層低減することができる。
【0020】
細骨材は、基本細骨材と、ガラス粒とを備えている。基本細骨材は、従来のコンクリート組成物において、細骨材として一般的に使用されているものである。基本細骨材としては、川砂、山砂、海砂、砕砂、砕石、スラグ骨材、人工軽量骨材、再生骨材またはこれらの組み合わせ等を用いることができる。基本細骨材は、粒径が10mmより小さいものが好ましい。また、基本細骨材は、ふるい目10mmのふるいを全量通過し、ふるい目5mmを通過するものが質量で85%以上含まれるものが好ましい。基本細骨材の粒径をこのように設定することにより、細骨材がコンクリート組成物に適したものとなる。
【0021】
ガラス粒は、基本細骨材の一部に代替するものである。ガラス粒は、粒状のガラスである。ガラス粒は、例えば廃棄される太陽光パネルのガラス板等の廃棄されるガラス材を破砕して粒状にしたものである。ガラス粒は、粒径が10mmより小さいものが好ましい。また、ガラス粒は、ふるい目10mmのふるいを全量通過し、ふるい目5mmを通過するものが質量で85%以上含まれるものがより好ましい。ガラス粒の粒径をこのように設定することにより、細骨材がコンクリート組成物に適したものとなる。
【0022】
細骨材の質量に対するガラス粒の質量割合(ガラス粒質量/細骨材質量)は、3~60質量%であることが好ましい。
【0023】
粗骨材は、従来のコンクリート組成物において、一般的に使用されているものである。粗骨材としては、例えば、例えば、砂利、砕石、スラグ骨材、人工軽量骨材、再生骨材またはこれらの組み合わせ等を用いることができる。
【0024】
水は、従来のコンクリート組成物において、一般的に使用されているものである。水としては、上水道水、河川水、湖沼水、井戸水、地下水、回収水またはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0025】
コンクリート組成物は、セメントとフライアッシュとの合計質量を100質量部として、細骨材を122~156質量部含み、粗骨材を211~244質量部含み、水を33~44質量部含むものが好ましい。
【0026】
コンクリート組成物は、コンクリート組成物の各成分を混合して混錬することにより調整される。コンクリート組成物の調整は、公知の技術により行うことができる。また、コンクリート組成物の硬化体は、調整したコンクリート組成物が硬化したものであり、例えば任意形状の型枠に調整したコンクリート組成物を充填し、硬化することにより製造される。
【0027】
コンクリート組成物、その硬化体、細骨材用のガラス粒および細骨材は、今後耐用年数の経過により大量に廃棄されることが予想される太陽光パネルのガラス板等の廃棄されるガラス材を有効利用することができるとともに、基本細骨材の量を低減することができる。
【0028】
コンクリート組成物およびその硬化体は、上記細骨材用のガラス粒および細骨材の効果に加え、上記のようなフライアッシュの割合、細骨材におけるガラス粒の割合ならびにセメント材、細骨材、粗骨材および水の割合により、硬化体のアルカリシリカ反応が低減するので、従来の硬化体に比べ、硬化体の強度および外観をより一層保ち続けることができ、その耐用年数を伸ばすことができる。
【0029】
本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変更することができる。