(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055707
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
G09F3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022170198
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】522414958
【氏名又は名称】TETUYI株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金南笙
(72)【発明者】
【氏名】蔡燕
(57)【要約】 (修正有)
【課題】全体構造のフィルム基材レス化により、対象物に貼付した後の製品自体を完全に壊れやすく、原形が残らず、転用防止できるため、一回限りの使用を満足させることを目的としたRFID付きフィルム基材レスの転用防止のロールまたはラベルおよびその加工方法の提供にある。
【解決手段】上から順に、印刷層2、接着層3、チップ4、金属アンテナ層5、粘着材6、裏紙7からなるRFID付き転写防止ロール又はラベルであって、フィルム基材がないことを特徴とする。基材がない状態にするには印刷用キャリア基材に形成された印刷層と金属アンテナ用キャリア基材の上面に形成されたRFIDインレイを両基材をはがして貼り合わせることで実現する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベルであって、上から順に、透明ワニス、印刷層、接着層、チップ、金属アンテナ層、粘着剤、裏面剥離紙の構成であり、印刷用キャリア基材に形成された印刷層とアンテナ用キャリア基材の上面に形成されたRFIDドライインレイを両基材をはがして貼り合わせることで基材レスとしたことを特徴とするフィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベル。
【請求項2】
印刷用フィルム基材の下に透明ワニス、印刷層を形成し、接着剤で金属アンテナを貼り合わせ、アンテナを形成してからチップを接続し、粘着層にて裏面剥離紙と貼り合わせることで印刷基材上にインレイを形成する工程で製造された転用防止RFID付きロールまたはラベル
【請求項3】
前記印刷層が、上面に剥離可能な透明保護フィルムで保護されていることを特徴とする請求項1または2記載のフィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベル。
【請求項4】
前記印刷層は、インク印刷、転写印刷、メッキまたはホログラフィによって製造されることを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベル。
【請求項5】
前記金属アンテナ層は、AL、CU、銀ペーストなどの導電性金属材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベル。
【請求項6】
RFIDドライインレイを形成する際にアンテナ用キャリア基材の上面に、剥離可能な組成物を塗布し、易剥離性コート層を形成し、さらに剥離性コート層の上面にアンテナを形成するが、この易剥離性コート層が剥離性接着剤組成物からなり、前記剥離性接着剤組成物が無色の剥離ワニスまたは低タック接着剤であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベル。
【請求項7】
前記無色剥離ワニスが、アクリル樹脂、モノマー、光重合開始剤、添加剤または溶剤からなり、無色バリアワニスの構成材料が、剥離性、耐酸・耐アルカリ性、耐薬品性に求められる特性を有することを特徴とする請求項5記載のフィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベル。
【請求項8】
前記低タック接着剤が、反応性モノマーのメタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸エチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブチル、反応性希釈剤、熱硬化剤、酸化防止剤および溶剤からなることを特徴とする請求項5に記載のフィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット偽造防止用電子ラベルの技術分野に関し、特にフィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベルとその加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偽造は、今日、世界で最も急速に拡大している経済犯罪の一つであり、合法的なビジネスや雇用活動、公衆衛生や安全に大きな危険を及ぼしている。WTOの統計によると、模倣品・規格外品の影響を受けた世界市場は3000億米ドルに達し、世界貿易総額の10%を占めている。また、中国における模倣品・規格外品の規模は3000-4000億元で、特にタバコ、ワイン、農産物、食品、化粧品の業界は模倣品・規格外品の最も大きな被害を受けている。それで「偽造防止産業」は、21世紀の世界で最も重要な産業のひとつとなっている。
偽造防止産業のなかでも最近ではRFIDが注目を集めている。従来からある構造と材料・製造工程の制限によって、既存のRFIDタグは製品に付帯された後、実際に完全に壊れやすい構造にするには、フィルム基材の両面か片面に剥離される面があり、そこが破壊しやすい構造でなければ実現できない。(参考文献1~4)
また、基材があってもハーフカットを入れて破壊する構造も提案されているが、別工程としてハーフカットを入れる工程が必要となってしまう。(参考文献5~7)
さらに、市場で一般的に使用されている従来の偽造防止技術は、独自性や排他性がないため、偽造防止製品・技術が上市後すぐにコピーされ、真の偽造防止機能を発揮できないことが多い。
従来品は
図1に示すような層構造であり、材料や工程の制約から、11の印刷キャリア基材と12のアンテナ用キャリア基材が製品全体の層構造に必ず残ってしまうため、製品自体が厚くて硬くなってしまうとともに対象物に貼った後に製品全体が完全に壊れることはなく偽造の可能性を残してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特許 No.5169109
【特許文献2】日本特許 No.4127650
【特許文献3】特開2014-134997
【特許文献4】米国特許公開 2006/0044110
【特許文献5】日本特許 No.4046167
【特許文献6】特開 2015-246261
【特許文献7】特開 2005-216054
【非特許文献】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、全体構造のフィルム基材レス化により、対象物に貼付した後の製品自体を完全に壊れやすく、原形が残らず、転用防止できるため、一回限りの使用を満足させることを目的としたRFID付きフィルム基材レスの転用防止のロールまたはラベルおよびその加工方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次のような技術的解決策によって実現される。
上から順に透明ワニス、印刷層、接着層、チップ、金属アンテナ層、粘着材、裏紙からなるRFID付き転写防止ロール又はラベルであって、フィルム基材がないことを特徴とする。
基材がない状態にするには印刷用キャリア基材に形成された印刷層とアンテナ用キャリア基材の上面に形成されたRFIDインレイを両基材をはがして貼り合わせることで実現する。
【0006】
フィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベルの加工方法は、以下の工程を含む方法がのぞましい。
(1)印刷時のキャリア基材となる印刷キャリア基材または透明保護フィルム31の下面に、透明ワニスの層1を塗布し、さらに印刷層2を完成させる(
図3)。
(2)アンテナ用キャリア基材42の上面に、剥離可能な組成物を塗布し、易剥離性コート層41を形成する(
図4)。
易剥離性コート層は、剥離性接着剤組成物からなり、無色の剥離ワニスまたは低タック接着剤のいずれかである。無色透明剥離ワニスは、アクリル樹脂、モノマー、光重合開始剤、添加剤または溶剤から構成され、剥離性、耐酸・耐アルカリ性、耐薬品性などの要求特性がある。タック低減型粘着剤は、反応性モノマーであるメタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸エチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブチル(BA)と反応性希釈剤、熱硬化剤、酸化防止剤、溶剤などから構成されている。
(3)剥離性コート層41の上面に粘着剤層6を形成し、その上に金属アンテナ5を形成する。アンテナを形成する方法はダイレクトレーザーカット、またはサブトラクティブプロセスによるアンテナ製造方法のエッチング、またはアディティブプロセスによる金属めっきの印刷、または電気めっき等の方法によること。
(4)易剥離性コート層と反対側の金属アンテナ層5の上面にチップ4を積層し、導電性接着剤で接続して回路を形成し、RFIDドライインレイ(
図4)が完成する。
(5)
図4の金属アンテナ層5の下面に位置するアンテナ基材フィルム42と易剥離コート41を粘着剤層6からはがし裏面剥離紙7の剥離面と貼り合わせ接着させる。
(6)印刷用キャリア基材または透明保護フィルム31の下の透明ワニスがある印刷層2と、チップ4を含む金属アンテナ層5を接着剤からなる接着層3で接着する。前記接着剤はホットメルト接着剤、水性接着剤または両面接着材からなる。
(7)印刷用キャリア基材または透明保護フィルム31は剥がすか、またはお客様のニーズに応じて剥離可能な透明保護フィルムとして残すこともある。
また、製品形状はお客様のニーズに応じてロール状または枚葉ラベルとして製造する。
【0007】
前記工程(2)における剥離性接着剤組成物は、無色透明の剥離ワニスまたは、低タック接着剤が好ましい。また、前期工程(2)の後に、温度硬化またはUV硬化によってアンテナ用キャリア基材の剥離をしやすくするために、硬化装置によって剥離性接着剤組成物の粘着性を低下させる工程があってもよい。
【0008】
また、たとえば
図5に示すように印刷用フィルム基材31の下に透明ワニス1、印刷層2を形成し、接着剤3で金属アンテナ5を貼り合わせ、上記の各種方法でアンテナを形成し、チップ4を接続し、粘着層6にて裏面剥離紙7と貼り合わせることで不要な基材を使用せず、印刷基材上にインレイを形成する簡単な工程でRFID付きラベルを製造することが可能となる。
印刷用フィルム基材は保護フィルムとしても利用でき使用時に剥がして使用する。この方法の製品はチップと金属アンテナの位置が逆になるが導通を確保できれば使用上問題は起こらない。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、剥離性接着剤組成物(無色の剥離ワニスや低タック接着剤)を用いて剥がしやすい薄層にすることで、アンテナ用キャリア基板の剥離がしやすく、さらに歩留まりを向上させることができた。金属アンテナのキャリア基材自体が剥離されているため、製品全体の層構成に残らなくなり、製品自体の厚みや硬さが小さく貼りやすくなるとともに、製品自体を対象物に貼り付けた場合、悪意をもって製品を剥がそうとしても、基材がないため製品自体が容易に破壊され、全体として剥がすことができず、容易に壊れる。よって完全に壊れやすく転移不能の1回限りの使用という偽造防止の要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】従来技術の基本的なRFID電子タグの構造を示す模式図
【
図3】印刷時のキャリア基材となる透明保護フィルムの下面に、印刷可能な無色の保護ワニスの層を塗布して印刷層を印刷して完成させた中間製品
【
図4】金属アンテナ用キャリア基材の上面に、剥離可能な組成物の易剥離性コート層を塗布形成し、その上面にアンテナを形成し、さらに上面にRFIDチップを積層し、導電性接着剤で接続して回路を形成したRFIDドライインレイ
【
図5】印刷層の下にRFIDドライインレイを形成したラベルの形態
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面と組み合わせて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態は、詳細な構成と具体的な製造プロセス例を示すが、本発明の保護範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。
図2に示すように、ロールまたはラベルは、上から順に、透明ワニス1,印刷層2、接着層3、チップ4、金属アンテナ層5、易剥離性薄層6、粘着材7、裏面剥離紙8となっている。
透明ワニス1の上面には、剥離可能な透明保護フィルムが貼り合わされていてもよい。印刷層2は、インク印刷、転写印刷、メッキ、ホログラフィーなどで作製される。チップ4は、金属アンテナ層5の上面または下面に配置され、この例では、チップ4は金属アンテナ層5の上面に配置される。金属アンテナ層5は、AL、CU、銀ペーストなどの導電性金属材料で構成されている。
【0012】
以上、本発明の基本原理と主な特徴、および実用新案の利点を示し説明した。上記実施形態及び明細書の記載は、本発明の原理を説明するものに過ぎず、本発明の基本範囲から逸脱しない範囲で様々な変形及び改良があり、これらの変形及び改良は本範囲に含まれ、上記実施形態によって限定されない。
【実施例0013】
図2のように作成したラベルは瓶に添付された後は容易に破壊され、全体をはがすことはできなかった。
【0014】
図5のように作成したラベルも同様に瓶に添付された後は容易に破壊され、全体をはがすことはできなかった。
使い捨て用途向けにRFIDを使ったタグを使用した場合、完全に破壊できなければ簡単に再利用できてしまうため、せっかくの偽造防止技術が特に″タバコ、ワイン、農産物、食品、化粧品″などの高級消費財に対して模倣品から効果的に保護されたり、ブランドイメージが損なわれたり、商業的損失が発生することを防ぐことができないが、フィルム基材レスの完全破壊する転用防止RFID付きロールまたはラベルを利用することで上記″タバコ、ワイン、農産物、食品、化粧品″などの高級消費財に対してRFIDスマートタグの偽造防止機能を備えた壊れやすく使い捨て用途を満たす製品が実現できる。