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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055708
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】木材乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/06 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
F26B9/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022171005
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】522417177
【氏名又は名称】株式会社ki-ya
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏治
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AB06
3L113AC22
3L113AC66
3L113BA05
3L113CB14
3L113DA11
(57)【要約】
【課題】木材を比較的短時間で十分に乾燥させることができる木材乾燥機を提供する。
【解決手段】木材乾燥機1は、乾燥室11と、乾燥室11内に配置され木材Wが鉛直上方に載置される台車12と、乾燥室11内における台車12の鉛直下方に配置されたヒートパイプ171と、乾燥室11内における台車12の鉛直下方においてヒートパイプ171を覆うように敷設されヒートパイプ171により加熱されることにより赤外線を放射する鉱石と、台車12に木材Wが載置された状態で、乾燥室11内における木材Wの鉛直上方に配置され木材Wから発生した水分を含み乾燥室11の鉛直上側へ移動した気体と熱交換することにより気体に含まれる水分を回収する水分回収部14と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室と、
前記乾燥室内に配置され乾燥させる対象となる木材が鉛直上方に載置される載置台と、
前記乾燥室内における前記載置台の鉛直下方に配置された熱源と、
前記乾燥室内における前記載置台の鉛直下方において前記熱源を覆うように敷設され前記熱源により加熱されることにより赤外線を放射する鉱石と、
前記載置台に前記木材が載置された状態で、前記乾燥室内における前記木材の鉛直上方に配置され前記木材から放出された水分を奪って前記乾燥室の鉛直上側へ移動した気体と熱交換することにより前記気体に含まれる水分を回収する水分回収部と、を備える、
木材乾燥機。
【請求項2】
前記水分回収部は、
金属から板状に形成され、鉛直方向と直交する水平面に対して傾斜して配置されるとともに、前記気体と熱交換することにより鉛直下方側の面で前記気体に含まれる水分を付着させる水分回収パネルと、
樋状であり、前記水分回収パネルにおける鉛直下方側に配置された端部の鉛直下方側に配置され、前記水分回収パネルの鉛直下側の面に付着し前記鉛直下側の面を伝って流れてくる水を受ける水受け部と、を有する、
請求項1に記載の木材乾燥機。
【請求項3】
前記水受け部は、長尺の樋状であり、鉛直方向と直交する水平面に対して傾斜した部分を有し、前記傾斜した部分における鉛直下側に配置される端部において、前記水受け部で受けた水を回収する回収タンク内に連通している、
請求項2に記載の木材乾燥機。
【請求項4】
前記乾燥室内に配設され、前記回収タンクに貯留した水を前記乾燥室内へ供給する水分供給部を更に備える、
請求項3に記載の木材乾燥機。
【請求項5】
前記乾燥室内における前記載置台の鉛直下方において前記熱源の鉛直上方を覆うように配置され、前記鉱石を保持する鉱石保持部を更に備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の木材乾燥機。
【請求項6】
前記鉱石は、天照石、医王石、抗火石、ブラックシリカのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の木材乾燥機。
【請求項7】
前記熱源の温度は、35℃以上且つ40℃以下で維持される、
請求項4に記載の木材乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の間隔を開けて配置された2枚の木板と2枚の木板の間に充填された天然鉱石を有する蓄熱パネルを前後、左右、上下に配置してなる低温乾燥室が提案されている(例えば特許文献1参照)。この低温乾燥室では、室内にストーブを配置して室内の温度が30℃乃至50℃で維持する。また、この低温乾燥室は、その吸気口と排気ファンとが設けられており、吸気口から外気を室内へ導入しつつ排気ファンにより内気を排出することで、室内の水分を室外に排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4712120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された低温乾燥室の場合、室内で発生した水分の室外への排出効率が比較的低いため、その分、室内に投入された木材等を十分に乾燥させるまでに長時間を要する虞がある。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、木材を比較的短時間で十分に乾燥させることができる木材乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る木材乾燥機は、
乾燥室と、
前記乾燥室内に配置され乾燥させる対象となる木材が鉛直上方に載置される載置台と、
前記乾燥室内における前記載置台の鉛直下方に配置された熱源と、
前記乾燥室内における前記載置台の鉛直下方において前記熱源を覆うように敷設され前記熱源により加熱されることにより赤外線を放射する鉱石と、
前記載置台に前記木材が載置された状態で、前記乾燥室内における前記木材の鉛直上方に配置され前記木材から放出された水分を奪って前記乾燥室の鉛直上側へ移動した気体と熱交換することにより前記気体に含まれる水分を回収する水分回収部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱源を覆うように敷設された鉱石が、熱源により加熱されることにより赤外線を放射し、放射された赤外線が、載置台に載置された木材に吸収され、木材の細胞の内腔に存在する水分の木材の外側への移動が促進される。また、乾燥室内において、熱源により加熱された気体が、木材の外側へ移動した水分を奪いながら上昇した後、水分回収部と熱交換することにより冷却され且つ水分を奪われる。その後、冷却された気体が、鉛直下方に向かって下降した後、熱源により加熱されると再び木材の外側へ移動した水分を奪いながら上昇する。これにより、鉱石から放射された赤外線により木材の細胞の内腔に存在する水分の木材の外側への移動を促進させつつ、乾燥室内で発生する気体の対流を利用して木材の外側へ移動した水分を効率的に回収することができる。従って、木材を比較的短時間で十分に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る木材乾燥機の断面図である。
図2】実施の形態に係る木材乾燥機の断面図である。
図3】(A)は実施の形態に係る木材乾燥機の一部を示す断面図であり、(B)実施の形態に係るヒータユニットの概略構成図である。
図4】実施の形態に係る木材乾燥機の一部を示す断面図である。
図5】実施の形態に係る木材乾燥機の断面図である。
図6】変形例に係る木材乾燥機の断面図である。
図7】変形例に係る木材乾燥機の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る木材乾燥機について図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る木材乾燥機は、乾燥室と、乾燥室内に配置され乾燥させる対象となる木材が鉛直上方に載置される載置台と、乾燥室内における載置台の鉛直下方に配置された熱源と、乾燥室内における載置台の鉛直下方において熱源を覆うように敷設され熱源により加熱されることにより赤外線を放射する鉱石と、載置台に木材が載置された状態で、乾燥室内における木材の鉛直上方に配置され木材の細胞の内腔から木材の外側へ移動した水分を含み乾燥室の鉛直上側へ移動した気体と熱交換することにより気体に含まれる水分を回収する水分回収部と、を備える。
【0010】
例えば図1および図2に示すように、本実施の形態に係る木材乾燥機1は、建屋6の中に配置される。建屋6は、地面Gにおける木材乾燥機1が配置される平面視矩形状の矩形領域の対向する2辺に沿って立設された複数の柱61と、柱61の長手方向と交差する方向に延在し複数の柱61に固定された複数の梁62と、複数の柱61の上端部において前述の矩形領域を跨ぐように配置された複数の梁64と、を有する。また、建屋6は、複数の梁64の鉛直上側に固定され複数の梁64と直交する方向へ延在する複数の梁63と、複数の梁63により支持される屋根板65と、樋66と、を備える。屋根板65は、平面視矩形板状であり、前述の矩形領域の2辺のいずれか一方から他方に向かうほど地面Gに近づくように傾斜した姿勢で複数の梁63に固定されており、樋66は、屋根板65の前述の他方の辺側の端縁の鉛直下方に配置されている。柱61、梁62、63、64は、例えば断面円形の棒状の木材からなる。屋根板65、樋66は、例えば亜鉛メッキ鋼板を折り曲げ加工することにより形成されている。また、建屋6内の前述の矩形領域の内側には、木材乾燥機1を支持する基礎7が設けられている。基礎7は、例えばコンクリートから形成されている。
【0011】
木材乾燥機1は、乾燥室11と、乾燥させる対象となる木材Wが鉛直上方に載置される台車12と、2対のレール13と、水分回収部14と、水回収タンク16と、ヒータユニット17と、鉱石21と、を備える。乾燥室11は、台車12を乾燥室11内へ出し入れする際に使用される出入口111aが設けられた乾燥室本体111と、出入口111aに取り付けられた扉112と、を有する。木材Wは、例えば角柱状に加工されたいわゆる生木である。乾燥室本体111は、略矩形箱状の形状を有し、基礎7上に配置された矩形板状の底壁1111と、底壁1111の周部全体から鉛直上方へ延在する4つの矩形板状の側壁1113と、底壁1111と4つの側壁1113とで囲繞された領域を鉛直上方から塞ぐ矩形板状の天壁1112と、を有する。底壁1111、天壁1112および側壁1113は、例えば2枚の樹脂製の板材の間に断熱材が充填された構造を有する。樹脂製の板材としては、例えばメラミン樹脂から形成された板材を採用することができる。また、断熱材としては、例えばウレタン製の断熱材を採用することができる。出入口111aは、底壁1111の-Y方向側の端部から延在する側壁1113に設けられている。また、底壁1111の+Y方向側の端部から延在する側壁1113には、後述する乾燥室11内で回収した水を乾燥室11外へ流出させるための管体15が挿通される挿通孔111bが穿設されている。挿通孔111bと管体15の外壁との間は、乾燥室11内の気密性を高めるためにモルタル、漆喰等の封止部材(図示せず)で封止されている。底壁1111、側壁1113および天壁1112は、例えば合板から形成されている。
【0012】
2対のレール13は、それぞれ、底壁1111の鉛直上側において出入口111aから+Y方向へ延在するように配置されている。また、2対のレール13は、それぞれ、基礎7上における乾燥室11と-Y方向側において隣接する部分に敷設された2対の連結レール52を介して基礎7上における乾燥室11の外側に位置する台車12への木材Wの積み込み場所に敷設された2対のレール51に連結されている。
【0013】
台車12は、台車本体121と、台車本体121の-Z方向側における2対のレール13のうちのいずれか一対のレール13に対応する部分に取り付けられた車輪122と、を有し、レール13上を移動することにより乾燥室11内の乾燥位置Pos1に配置された状態と、乾燥室11の外側の積み込み位置Pos2に配置された状態と、を取り得る載置台である。台車12は、2つ存在し、それぞれ、2対のレール13上を移動する。台車本体121上には、乾燥する対象の木材Wと、スペーサSPと、が交互に多段重ね合わされた状態で載置される。
【0014】
ヒータユニット17は、図3(A)および(B)に示すように、乾燥室11内における台車12の鉛直下方に配置されたヒートパイプ171と、ヒートパイプ171を支持する支持台172と、ユニット本体173と、を有する。ユニット本体173は、例えばヒートパイプ171の一端部に接続された圧縮機(図示せず)と、ヒートパイプ171の他端部に接続された膨張弁(図示せず)と、熱交換器(図示せず)と、を有し、ヒートパイプ171へ熱媒を供給するヒートポンプとして機能するものである。熱媒としては、例えば温水、空気を採用することができる。ヒートパイプ171は、例えば35℃以上40℃以下の温度で維持される。ヒートパイプ171は、ユニット本体173から熱媒を介して供給される熱を放出する熱源であり、例えば図3(B)に示すように、支持台172上において蛇行するように延在している。支持台172は、例えばコンクリートから形成され、上面にヒートパイプ171の一部が埋設された状態でヒートパイプ171を支持する。
【0015】
鉱石21は、乾燥室11内において、図3(A)に示すように、台車12の鉛直下方においてヒートパイプ171および支持台172を鉛直上方から覆うように敷設されている。この鉱石21は、ヒートパイプ171により加熱されることにより赤外線を放射する。鉱石21としては、天然鉱石を採用することができる。天然鉱石としては、天照石、医王石、抗火石、ブラックシリカ等を採用することができる。鉱石21から放射された赤外線は、台車12上に載置された木材Wに吸収される。これにより、木材Wの細胞の内腔に存在する水分の木材の外側への移動が促進される。
【0016】
水分回収部14は、図1および図2に示すように、台車12に木材WおよびスペーサSPが載置された状態で、乾燥室11内における木材Wの鉛直上方に配置される。水分回収部14は、木材Wの細胞の内腔から木材Wの外側へ移動した水分を含み乾燥室11の鉛直上側へ移動した気体と熱交換することにより気体に含まれる水分を回収する。水分回収部14は、水分回収パネル141と、水受け部142と、を有する。水分回収パネル141は、ステンレス、Ti等の金属から板状に形成され、図4に示すように、鉛直方向と直交する水平面に対して傾斜した状態で配置されている。ここで、水分回収パネル141の水平方向に対する傾斜角度θ1は、例えば20度以上且つ45度以下に設定される。また、各水分回収パネルの鉛直下方側の端部には、鉛直下方に向かって折曲した折曲部141aが形成されている。各水分回収パネル141は、その鉛直下側に存在する気体と熱交換することによりその鉛直下側の面に気体に含まれる水分を付着させる。
【0017】
水受け部142は、断面コ字状の長尺の樋状であり、水分回収パネル141における鉛直下方側に配置された端部の折曲部141aの鉛直下方側に配置されている。水受け部142は、水分回収パネル141の鉛直下側の面に付着し、矢印AR3に示すように、水分回収パネル141の鉛直下側の面を伝って流れてくる水を受ける。水受け部142は、折曲部141aの鉛直下側の端部に対向して配置されており、水分回収パネル141の鉛直下側の面を伝って折曲部141aまで流れてきて折曲部141aの内側を伝って折曲部141aの下端部から落下する水を受ける。また、水受け部142は、図5に示すように、鉛直方向と直交する水平面に対して+Y方向側の端部が-Y方向側の端部よりも鉛直下方側に配置されるように傾斜した部分を有する。ここで、水受け部142の傾斜した部分の水平方向に対する傾斜角度θ2は、例えば5度以上20度以下に設定される。また、水受け部142の+Y方向側の端部の底壁には、水を鉛直下方へ排出するための排出孔(図示せず)が穿設されている。
【0018】
水受け部142の+Z方向側の端部は、乾燥室11の挿通孔111bに挿通された管体15を介して水回収タンク16に接続されている。
【0019】
次に、本実施の形態に係る木材乾燥機1の使用方法について説明する。まず、図1に示すように、台車12を木材乾燥機1の外側の積み込み位置Pos2に移動させた状態で、台車本体121上に、乾燥する対象の木材WとスペーサSPとを交互に多段(図1に示す例では20段)重ね合わせた状態で載置する。そして、矢印AR1に示すように、台車12を乾燥室11内の乾燥位置Pos1へ移動させた後、扉112を閉じて乾燥室11内を略気密な状態とする。次に、ヒータユニット17を動作させて、ヒートパイプ171から放射される熱によりヒートパイプ171を覆うように敷設された鉱石21を加熱する。そうすると、加熱された鉱石21から赤外線が放射され、放射された赤外線が、台車12に載置された木材Wに吸収される。ここで、木材Wの細胞の内腔に存在する水分の木材の外側への移動を促進する観点からすれば、乾燥室11内の湿度は、50%以上且つ100%以下が好ましく、75%以上がより好ましい。
【0020】
また、乾燥室11内の鉛直下側において、ヒートパイプ171により温められた空気が、図2の矢印AR2に示すように、台車12の鉛直下方から木材Wから放出された水分を奪って上昇していき水分回収パネル141近傍まで移動する。ここで、木材Wから放出される水分には、木材Wの表皮に付着した水分のみならず、木材Wの細胞の内腔から木材の外側へ移動した水分も含まれる。そして、水分回収パネル141近傍まで移動した水分を含む空気は、水分回収パネル141と熱交換することにより冷却されるとともに水分回収パネル141に水分を奪われる。ここで、水分回収パネル141の鉛直下側の面に空気に含まれていた水分が水滴として付着する。その後、冷却された空気は、乾燥室11内を鉛直下方に向かって乾燥室11の鉛直下側まで下降する。そして、乾燥室11の鉛直下側まで下降した空気は、ヒートパイプ171により加熱されると再び木材Wから発生した水分を奪いながら上昇する。乾燥室11内においてこのような空気の対流が発生することにより、水分回収パネル141で木材Wの細胞の内腔に存在する水分を回収して木材Wを乾燥させることができる。
【0021】
また、水分回収パネル141に付着した水は、図4の矢印AR3に示すように、水分回収パネル141の鉛直下側の面を伝って水受け部142へ流れ込む。そして、水受け部142に流れ込んだ水は、図5の矢印AR4に示すように、水受け部142の+Y方向側の端部に向かって流れて管体15を通じて水回収タンク16内へ流入する。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態に係る玩具によれば、ヒートパイプ171を覆うように敷設された鉱石21が、ヒートパイプ171により加熱されることにより赤外線を放射し、放射された赤外線が、台車12に載置された木材Wに吸収され、木材Wの細胞の内腔に存在する水分を木材Wの外側への移動が促進される。また、乾燥室11内において、ヒートパイプ171により加熱された空気が、木材Wの外側へ移動した水分を奪いながら上昇した後、水分回収パネル141と熱交換することにより冷却され且つ水分を奪われる。その後、冷却された空気が、鉛直下方に向かって下降した後、ヒートパイプ171により加熱されると再び木材Wの外側へ移動した水分を奪いながら上昇する。これにより、鉱石21から放射された赤外線により木材Wの細胞の内腔に存在する水分の木材Wの外側への移動を促進させつつ、乾燥室11内で発生する空気の対流を利用して木材Wの外側へ移動した水分を効率的に回収することができる。従って、木材Wを比較的短時間で十分に乾燥させることができる。
【0023】
また、本実施の形態に係る木材乾燥機1によれば、比較的低温で木材Wを乾燥させるため、木材Wに含まれる香り、艶の基となる油分のような有用な成分を残したまま乾燥させることができる。このため、例えば比較的高温で強制的に乾燥させた場合に比べて、乾燥させた木材Wの品質が高い。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば図6に示す木材乾燥機2001のように、乾燥室11内の湿度を高めるために、乾燥室11内に水分を供給する水分供給部2031を備えるものであってもよい。なお、図6において、実施の形態と同様の構成については図2と同一の符号を付している。ここで、水分供給部2031は、例えば、回収タンク16に貯留された水を噴霧する噴霧器である。水分供給部2031は、乾燥室本体111の側壁1113における鉛直方向における中央部よりも鉛直下側に配設されている。また、本変形例に係る木材乾燥機2001では、図7に示すように、乾燥室11内における台車12の鉛直下方においてヒートパイプ171の鉛直上方を覆うように配置され、鉱石21を保持する鉱石保持部2041を備える。鉱石保持部2041は、例えば金属から+Z方向側が開放された扁平な箱状に形成されたものであり、底壁が格子状のいわゆるグレーチング構造を有するものである。なお、鉱石保持部2041は、例えば、例えば金属ワイヤをメッシュ状に編み込むことにより形成されたメッシュ材から+Z方向側が開放された箱状に形成されたものであってもよい。鉱石保持部2041は、ヒートパイプ171から+Z方向側に離間した位置に配置された状態で、乾燥室本体111の底壁1111に立設された支持部材(図示せず)により支持されている。
【0025】
ところで、木材Wの乾燥期間の終盤において、木材Wの周囲の湿度が50%未満になると、木材Wの細胞の内腔に存在する水分の木材Wの外側への移動が起こりにくくなってしまい、木材Wの乾燥効率が低下してしまう虞がある。これに対して、本構成によれば、乾燥室11内に水分を供給する水分供給部2031を備えるため、木材Wの乾燥期間の終盤において、乾燥室11内へ水分を供給して乾燥室11内の湿度を50%以上に維持することができる。従って、木材Wの細胞の内腔に存在する水分を木材Wの外側への移動の促進を継続させることができるので、その分、木材Wを効率的に乾燥させることができる。また、本構成によれば、例えば木材乾燥機2001のメインテナンス等により作業者が鉱石21を保持する鉱石保持部21の上を踏みつけながら乾燥室11内を移動する場合においてヒートパイプ171が鉱石21により損傷してしまうことを防止できる。
【0026】
また、前述の変形例において、乾燥室11内の湿度を計測する湿度計(図示せず)と、湿度計により検出される湿度が50%未満になると、水分供給部2031から乾燥室11内へ水分を供給するように水分供給部2031を制御する水分供給制御部(図示せず)と、を備えるものであってもよい。
【0027】
実施の形態において、例えば水分回収パネル141を冷却するパネル冷却装置を備えるものであってもよい。パネル冷却装置としては、例えば水分回収パネル141と熱交換する熱交換器(図示せず)と、圧縮機(図示せず)と、膨張弁(図示せず)と、を有し、熱交換器へ冷媒を供給することにより水分回収パネル141を冷却する構成とすればよい。
【0028】
実施の形態において、乾燥室11内に存在する気体を乾燥室11外へ排出することにより乾燥室11内の気圧を低下させる排気装置を備えるものであってもよい。
【0029】
実施の形態では、台車12を備える木材乾燥機1の例について説明したが、これに限らず、例えば乾燥室11内に固定された載置台を備えるものであってもよい。
【0030】
以上、本発明の各実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、建材となる木材を乾燥させる木材乾燥機として好適である。
【符号の説明】
【0032】
1,2001:木材乾燥機、6:建屋、7:基礎、11:乾燥室、12:台車、13,51:レール、14:水分回収部、15:管体、16:回収タンク、17:ヒータユニット、21:鉱石、52:連結レール、61:柱、62,63,64:梁、65:屋根、66:樋、111:乾燥室本体、111a:出入口、112:扉、121:台車本体、122;車輪、141:水分回収パネル、141a:折曲部、142;水受け部、171:ヒートパイプ、172:支持台、173:ユニット本体、1111:底壁、1112:天壁、1113:側壁、111b:挿通孔、2031:水分供給部、2041:鉱石保持部、G:地面、Pos1:乾燥位置、Pos2:積み込み位置、SP:スペーサ、W:木材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7