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特開2024-55725耐熱食器の製造方法及び耐熱食器成形品
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  • 特開-耐熱食器の製造方法及び耐熱食器成形品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055725
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】耐熱食器の製造方法及び耐熱食器成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
C08L67/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207229
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】111138132
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】許 漢▲卿▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 春來
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE032
4J002CF061
4J002DJ046
4J002EJ067
4J002EW068
4J002FD077
4J002FD078
4J002FD206
4J002GC00
4J002GG01
(57)【要約】
【課題】食器の熱変形温度の不十分が改善される耐熱食器の製造方法及び耐熱食器成形品及び耐熱食器の製造方法を提供する。
【解決手段】50wt%~85wt%のポリエチレンテレフタレート、0wt%~5wt%の有機核剤、及び10wt%~30wt%の無機核剤を含有するポリエステル複合材料を提供することと、前記ポリエステル複合材料を射出成形加工により金型内に注入し、前記金型の金型温度を110℃以上に制御し、且つ前記ポリエステル複合材料の前記金型での結晶化度を20%~40%に制御して、前記ポリエステル複合材料を前記金型に耐熱食器成形品として成形することを含む方法を実施する。前記耐熱食器成形品は、150℃以上の熱変形温度を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総重量を100wt%として、50wt%~85wt%のポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、0wt%~5wt%の有機核剤、及び10wt%~30wt%の無機核剤を含むポリエステル複合材料を提供することと、
前記ポリエステル複合材料を射出成形加工により金型内に注入し、前記金型の金型温度を110℃以上に制御し、且つ前記ポリエステル複合材料の前記金型での結晶化度を20%~30%に制御して、前記金型において前記ポリエステル複合材料を耐熱食器成形品として成形することと、
を含み、
前記耐熱食器成形品は、150℃以上の熱変形温度を有する耐熱食器の製造方法。
【請求項2】
前記ポリエステル複合材料には、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate,PBT)を含有しない請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項3】
前記有機核剤は、アイオノマー(ionic polymer)、ポリエステルオリゴマーのアルカリ金属塩系(alkali metal salt of polyester oligomer)、長鎖線状飽和カルボン酸ナトリウム塩(long-chain linear saturated carboxylic acid sodium salt)、長鎖線状飽和カルボン酸カルシウム塩(long-chain linear saturated carboxylic acid calcium salt)、長鎖線状飽和芳香族カルボン酸金属ナトリウム塩(long-chain linear saturated aromatic carboxylic acid metal sodium salt)、及び長鎖線状飽和芳香族カルボン酸金属マグネシウム塩(long-chain linear saturated aromatic carboxylic acid metal magnesium salt)からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項4】
前記無機核剤は、タルク(talc)、硫酸バリウム(barium sulfate)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、及び珪酸カルシウム(calcium silicate)からなる群から選択される少なくとも一つであり、また、前記無機核剤は、0.1μm~5μmの平均粒子径を有する請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項5】
前記ポリエステル複合材料は、前記金型による1回の熱処理だけで、150℃以上の前記熱変形温度を有する前記耐熱食器成形品として形成される請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項6】
前記製造方法は、前記金型において前記ポリエステル複合材料を前記耐熱食器成形品として成形した後、前記耐熱食器成形品における複合材料の少なくとも95wt%が前記金型に付着又は残留しないように、前記耐熱食器成形品を前記金型から取り出すことをさらに含む請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項7】
前記ポリエステル複合材料は、0.1wt%~0.5wt%の酸化防止剤及び0.1wt%~1.0wt%の加工助剤をさらに含む請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項8】
前記酸化防止剤は、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート(tetrakis(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxy) pentaerythritol phenylpropionate)、トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト(tris(2,4-di-tert-butyl) phenyl phosphite)、及び3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)オクタデシルプロピオネート(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl) octadecyl propionate)からなる群から選択される少なくとも一つである請求項7に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項9】
前記加工助剤は、エチレンビスステアロアミド(ethylene bis-stearylamide,EBS)、エルカミド(erucamide)、ポリエチレンワックス(polyethylene wax)、パラフィンワックス(paraffin wax)、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸亜鉛(zinc stearate)、ステアリン酸カルシウム(calcium stearate)、及びポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)からなる群から選択される少なくとも一つである請求項7に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかの一つに記載の耐熱食器の製造方法により形成され、前記結晶化度が20%~30%であり、前記熱変形温度が150℃以上である耐熱食器成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器の製造方法に関し、特に耐熱食器の製造方法及び耐熱食器成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
メラミン食器は、メラミンーホルムアルデヒド樹脂から製成されたものであるが、40℃前後で、有害物質であるメラミン(melamine)が放出して、食用の安全性に問題があるため、人体健康を害していた。
【0003】
ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)は、140℃まで使用可能な無害のプラスチックであり、水や飲料に向く容器として広く使用される。台湾特許番号TWI711668Bには、低比重のPET複合材料の用途を提案していた。当該複合材料は、ポリエチレンテレフタレートをポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate,PBT)に配合してなるものである。当該複合材料は、射出成形加工により美観及び食用安全を両立する食器を作製することに適用される。
【0004】
しかしながら、上記の特許技術で作製された食器は、低熱変形温度を有するものである。この特許技術の明細書における表1に示すように、実施例1~4は、いずれも食器の熱変形温度が100℃より低い。食器の熱変形温度を向上するために、その食器を再加工して100℃以上の熱変形温度を実現する必要がある。なお、この特許技術に使用される無機フィラーは、最大で10wt%であり、この食器は、セラミックのような光沢を持っているが、セラミックの肉厚感を有しない。また、無機フィラーの添加が多すぎると、食器の機械的強度が不十分になる。
【0005】
従って、本発明者は、上記の欠点の改善に着目し、科学原理に結合して鋭意に研究することにより、合理的な設計及び上記欠点の有効な改善が達成された本発明を提出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の欠点に対して、食器の熱変形温度の不十分が改善される耐熱食器の製造方法及び耐熱食器成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本発明に使用される技術手段の一つは、耐熱食器の製造方法を提供することであり、この製造方法は、総重量を100wt%として、50wt%~85wt%のポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、0wt%~5wt%の有機核剤、及び10wt%~30wt%の無機核剤を含有するポリエステル複合材料を提供することと、前記ポリエステル複合材料を射出成形加工により金型内に注入し、前記金型の金型温度を110℃以上に制御し、且つ前記ポリエステル複合材料の前記金型での結晶化度を20%~40%に制御して、前記ポリエステル複合材料を前記金型に耐熱食器成形品として成形すること、を含み、また、前記耐熱食器成形品は、150℃以上の熱変形温度を有する。
【0008】
好ましくは、前記ポリエステル複合材料には、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate,PBT)を含有しない。
【0009】
好ましくは、前記有機核剤は、アイオノマー(ionic polymer)、ポリエステルオリゴマーのアルカリ金属塩系(alkali metal salt of polyester oligomer)、長鎖線状飽和カルボン酸ナトリウム塩(long-chain linear saturated carboxylic acid sodium salt)、長鎖線状飽和カルボン酸カルシウム塩(long-chain linear saturated carboxylic acid calcium salt)、長鎖線状飽和芳香族カルボン酸金属ナトリウム塩(long-chain linear saturated aromatic carboxylic acid metal sodium salt)、及び長鎖線状飽和芳香族カルボン酸金属マグネシウム塩(long-chain linear saturated aromatic carboxylic acid metal magnesium salt)からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0010】
好ましくは、前記無機核剤は、タルク(talc)、硫酸バリウム(barium sulfate)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、及び珪酸カルシウム(calcium silicate)からなる群から選択される少なくとも一つであり、また、前記無機核剤は、0.1μm~5μmの平均粒子径を有する。
【0011】
好ましくは、前記ポリエステル複合材料は、前記金型で1回だけ熱処理することにより、150℃以上の前記熱変形温度を有する前記耐熱食器成形品が形成される。
【0012】
好ましくは、前記製造方法は、前記ポリエステル複合材料を前記金型に前記耐熱食器成形品として成形された後、複合材料の少なくとも95wt%が前記金型に付着又は残留していない前記耐熱食器成形品を前記金型から取り出すことを含む。
【0013】
好ましくは、前記ポリエステル複合材料には、0.1wt%~0.5wt%の酸化防止剤及び0.1wt%~1.0wt%の加工助剤をさらに含有する。
【0014】
好ましくは、前記酸化防止剤は、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート(tetrakis(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxy) pentaerythritol phenylpropionate)、トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト(tris(2,4-di-tert-butyl) phenyl phosphite)、及び3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)オクタデシルプロピオネート(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl) octadecyl propionate)からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0015】
好ましくは、前記加工助剤は、エチレンビスステアロアミド(ethylene bis-stearylamide,EBS)、エルカミド(erucamide)、ポリエチレンワックス(polyethylene wax)、パラフィンワックス(paraffin wax)、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸亜鉛(zinc stearate)、ステアリン酸カルシウム(calcium stearate)、及びポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0016】
上記の技術的課題を解決するために、本発明に使用される別の技術方法は、上記した耐熱食器の製造方法により形成される耐熱食器成形品を提供し、また、前記耐熱食器成形品は、2前記結晶化度が0%~40%であり、前記熱変形温度が150℃以上である。
【0017】
本発明の有利な効果については、本発明に係る耐熱食器製造方法の主要な特徴によれば、無機核剤の用量を10wt%~30wt%(好ましくは、15wt%~20wt%)に増加し、従って、PBT樹脂を使用しなく、完全にPET樹脂を使用する条件において、高金型温度(例えば、110℃以上の金型温度)で射出成形し、それに合わせてポリエステル複合材料の結晶化度を制御することにより、最終に成形される耐熱食器成形品は、前記金型温度を有する金型による1回の熱処理だけで、高い熱変形温度(例えば、150℃以上)を有するようになる。
【0018】
さらには、本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、従来技術(台湾特許番号TWI711668B)より無機核剤の用量が高く、PET樹脂の結晶化速度の高速化を補助するため、従来技術でのPBTレシピの機能を代替することができる。なお、本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、前記ポリエステル複合材料が金型に付着することなく、高金型温度で好適に成形されることに寄与する。無機核剤の用量を適当に増加することにより、PET樹脂の用量を適当に低下することができるため、PET樹脂の前記金型への付着又は残留が回避される。即ち、前記耐熱食器成形品は、上記の金型温度で成形した後、前記金型に付着又は残留することなく、金型から完全に取り出されることができる。また、高金型温度は、耐熱食器成形品の結晶化度の向上に寄与する。これによって、最終に成形される耐熱食器成形品は、前記金型温度を有する金型による1回の熱処理だけで、高い熱変形温度(例えば、150℃以上)及び高い硬度を有するようになる。
【0019】
以下の本発明に関する詳細な説明及び図面を参照して、本発明の特徴及び技術内容をよりよく理解することができるが、提供した図面は、参照と説明の目的のみに提供され、本発明を限定するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の実施例における耐熱食器の製造方法の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、特定の具体的な実施例によって、本発明に開示した実施形態を説明し、当業者であれば、本明細書に開示された内容から本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の具体的な実施例によって実施又は適用されてもよく、本明細書での各詳細も、異なる観点と適用に基づいて、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行ってもよい。なお、本発明の図面は、簡単的に説明するためのものであり、実際の寸法で描いたものでない。以下の実施形態は、本発明の関連技術内容をさらに詳細に説明するが、その開示内容は本発明の保護範囲を限定しない。
【0022】
本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」などの用語で各素子や信号を説明することがあるが、これらの用語は、各素子や信号を限定するためのものでなく、主に一方の素子と他方の素子、又は一方の信号と他方の信号を区別するために使用されることが理解される。なお、本明細書で使用される用語「又は」については、実際の状況に応じて、関連する列挙項目のうちのいずれか1つ又は複数の組合せを含み得る。
【0023】
<耐熱食器の製造方法>
【0024】
図1を参照すると、本発明の実施例は、耐熱食器の製造方法を提供する。前記耐熱食器の製造方法は、ステップS110、ステップS120、及びステップS130を含む。
【0025】
前記ステップS110は、ポリエステル複合材料(polyester composite material)を提供することを含む。前記ポリエステル複合材料には、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、有機核剤(organic nucleating agent)、及び無機核剤(inorganic nucleating agent)を含有する。
【0026】
前記ポリエステル複合材料の総重量を100wt%として、前記ポリエチレンテレフタレートの含有量は、50wt%~85wt%の範囲にあり、前記有機核剤の含有量は、0wt%~5wt%の範囲にあり、前記無機核剤の含有量は10wt%~30wt%の範囲にある。本発明の好適な実施例において、前記ポリエチレンテレフタレートの含有量は、75wt%~85wt%の範囲にあり、前記有機核剤の含有量は、0wt%~3wt%の範囲にあり、前記無機核剤の含有量は15wt%~20wt%の範囲にあるが、本発明は、これに限定されない。
【0027】
本発明の好適な実施例において、前記ポリエステル複合材料には、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate,PBT)を含有しないが、本発明は、これに限定されない。
【0028】
材料の種類については、前記ポリエチレンテレフタレートは、1.35 g/cm~1.40 g/cmの比較的密度(relative density)、245℃~260℃の融点(melting point)、及び0.65 dL/g~1.01 dL/gの固有粘度(intrinsic viscosity,IV)を有する。
【0029】
前記有機核剤は、アイオノマー(ionic polymer)、ポリエステルオリゴマーのアルカリ金属塩系(alkali metal salt of polyester oligomer)、長鎖線状飽和カルボン酸ナトリウム塩(long-chain linear saturated carboxylic acid sodium salt)、長鎖線状飽和カルボン酸カルシウム塩(long-chain linear saturated carboxylic acid calcium salt)、長鎖線状飽和芳香族カルボン酸金属ナトリウム塩(long-chain linear saturated aromatic carboxylic acid metal sodium salt)、及び長鎖線状飽和芳香族カルボン酸金属マグネシウム塩(long-chain linear saturated aromatic carboxylic acid metal magnesium salt)からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0030】
前記無機核剤は、タルク(talc)、硫酸バリウム(barium sulfate)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、及び珪酸カルシウム(calcium silicate)からなる群から選択される少なくとも一つである。本発明の好適な実施例において、前記無機核剤は、0.1μm~5μmの平均粒子径を有する。本発明の特に好適な実施例において、前記無機核剤は、1μm~3μmの前記平均粒子径を有するが、本発明は、これに限定されない。
【0031】
本発明の好適な実施例において、前記ポリエステル複合材料には、0.1wt%~0.5wt%の酸化防止剤(antioxidant)及び0.1wt%~1.0wt%の加工助剤(processing aids)をさらに含有する。
【0032】
前記酸化防止剤は、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート(tetrakis(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxy) pentaerythritol phenylpropionate)、トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト(tris(2,4-di-tert-butyl) phenyl phosphite)、及び3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)オクタデシルプロピオネート(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl) octadecyl propionate)からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0033】
前記加工助剤は、エチレンビスステアロアミド(ethylene bis-stearylamide,EBS)、エルカミド(erucamide)、ポリエチレンワックス(polyethylene wax)、パラフィンワックス(paraffin wax)、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸亜鉛(zinc stearate)、ステアリン酸カルシウム(calcium stearate)、及びポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0034】
前記ステップS120は、前記ポリエステル複合材料を射出成形(injection molding)加工により金型内に注入し、前記金型の金型温度を110℃以上(好ましくは、110℃~140℃)に制御し、且つ前記ポリエステル複合材料の前記金型での結晶化度を20%~40%(好ましくは、25%~40%)に制御して、前記ポリエステル複合材料を前記金型に耐熱食器成形品として成形することを含む。上記の製造方法によれば、前記耐熱食器成形品は、150℃以上の熱変形温度(heat distortion temperature)を有することができる。
【0035】
本発明の好適な実施例において、前記ポリエステル複合材料に対して、まず二軸スクリュー押出機により、異なる材料をブレンドしてから、押出及び造粒を行う。次に、粒状の前記ポリエステル複合材料は、さらに射出成形加工により前記金型内に注入されて、前記耐熱食器成形品として形成される。
【0036】
注意すべきなのは、前記ポリエステル複合材料は、前記金型に1回だけの熱処理により、150℃以上の熱変形温度を有する耐熱食器成形品として形成される。即ち、前記耐熱食器成形品は、2回の熱処理を必要せず、1回の熱処理だけで、理想的な熱変形温度を達成することができる。
【0037】
前記ステップS130は、前記耐熱食器成形品を前記金型から取り出すことを含む。注意すべきなのは、本発明の実施例に提供される技術方法によれば、前記耐熱食器成形品の複合材料の少なくとも95wt%が、前記金型に付着又は残留しない。即ち、前記耐熱食器成形品は、ほぼ完全に前記金型から取り出すことができる。
【0038】
本発明の上記の実施例に提供される技術方法によれば、本発明の実施例は、以下の技術的効果を奏する。
【0039】
本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、主に、ポリエステル複合材料のレシピを調整し、それに合わせて金型温度及びポリエステル複合材料の結晶化度を制御することにより、最終に成形される耐熱食器成形品が高熱変形温度を有するようにする。
【0040】
レシピについては、ポリエステル複合材料は、主にポリエチレンテレフタレート(PET)を耐熱食器のマトリックス材料とし、また無機核剤を添加し、さらに有機核剤を選択的に添加してなるものである。
【0041】
より具体的には、本発明の実施例における耐熱食器製造方法の主要な特徴によれば、無機核剤の用量を10wt%~30wt%(好ましくは15wt%~20wt%)に増加し、従って、PBT樹脂を使用しなく、完全にPET樹脂を使用する条件において、高金型温度(例えば、110℃以上の金型温度)で射出成形し、それに合わせてポリエステル複合材料の結晶化度を制御することにより、最終に成形される耐熱食器成形品は、前記金型温度を有する金型による1回の熱処理だけで、高い熱変形温度(例えば、150℃以上)を有するようになる。
【0042】
さらには、本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、従来技術(台湾特許番号TWI711668B)より無機核剤の用量が高く、PET樹脂の結晶化速度の高速化を補助するため、従来技術でのPBTレシピの機能を代替することができる。なお、本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、前記ポリエステル複合材料が金型に付着することなく、高金型温度で好適に成形されることに寄与する。無機核剤の用量を適当に増加することにより、PET樹脂の用量を適当に低下することができるため、PET樹脂の前記金型への付着又は残留が回避される。即ち、前記耐熱食器成形品は、上記の金型温度で成形した後、前記金型に付着又は残留することなく、金型から完全に取り出されることができる。また、高金型温度は、耐熱食器成形品の結晶化度の向上に寄与する。これによって、最終に成形される耐熱食器成形品は、前記金型温度を有する金型による1回の熱処理だけで、高い熱変形温度(例えば、150℃以上)及び高い硬度を有するようになる。
【0043】
本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、耐熱食器成形品が良い硬度及び熱変形温度を有するために、前記ポリエステル複合材料の金型での結晶化度を20%~40%に制御する必要がある。
【0044】
説明すべきなのは、本明細書で言及したポリエステル複合材料の結晶化度(degree of crystallinity)は、全体ポリマーに対するポリマーにおける結晶部分の割合であり、結晶化度=結晶部分/(結晶部分+非結晶部分)の式で表される。結晶化度の分析方法は、示差走査熱量測定法(Differential scanning calorimetry,DSC)を使用してよい。本発明の実施例におけるDSC分析条件は、昇温→降温;0℃→300℃、20℃/min;300℃→0℃、20℃/minである。本発明の実施例におけるポリエステル複合材料は、190℃~220℃の結晶化ピーク温度(crystal peak temperature)、30℃~42℃の過冷却度ΔTc、190℃~220℃の結晶化ピーク温度の半値幅(half-peak breadth of Crystal temperature)ような、高金型温度での成形に適用される結晶化パラメータを有するために、射出成形加工を実施する前に、DSC測定を行う必要がある。
【0045】
注意すべきなのは、従来技術(台湾特許番号TWI711668B)における耐熱食器の製造方法は、「前記金型の金型温度を110℃以上に制御する」の技術内容を開示又は教示しないものであり、その理由は、上記の従来技術におけるPETとPBTの配合のレシピが、80℃以上の金型温度条件で加熱されると、PET及びPBTなどの樹脂材料が金型に付着し易く、成形した食器が金型から容易に離脱できないことである。
【0046】
前記ポリエステル複合材料は、PET樹脂の結晶化速度の高速化の輔助をより顕著にするために、前記無機核剤の含有量を10wt%~30wt%(好ましくは、15wt%~20wt%)の範囲にする必要がある。
【0047】
前記無機核剤の含有量が、上記の含有量範囲の最小値(例えば、10wt%未満)より低い場合、前記無機核剤が、PET樹脂の結晶化速度の高速化を効果的に輔助できなく、前記ポリエステル複合材料に対して、PBT樹脂を使用しなく、完全にPET樹脂を使用する条件において、高金型温度で射出成形を行うこともできない。前記無機核剤の含有量が上記の含有量範囲の最大値(例えば、30wt%超え)より高い場合、前記耐熱食器成形品の成形効果及び物性は、無機材料の含有量が多すぎることにより影響を受ける可能性がある。
【0048】
なお、前記無機核剤の粒子径は、0.1μm~5μm(好ましくは、1μm~3μm)の範囲にある必要がある。上記の粒子径範囲にある無機核剤は、PET樹脂の結晶化速度の向上に寄与する。
【0049】
前記ポリエステル複合材料において、前記有機核剤の含有量は、0wt%~5wt%(好ましくは、0wt%~3wt%)の範囲にある必要がある。即ち、前記有機核剤は、選択的に添加しても又は添加しなくてもよく、添加する場合、その含有量が5wt%以下である。前記ポリエステル複合材料の金型での結晶化度は、有機核剤の含有量の増加に従って増加してよいが、有機核剤の添加量が5wt%以上超える場合、ポリエステル複合材料の結晶化度を顕著的に向上することはない。
【0050】
要するに、本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、PET樹脂に10wt%~30wt%の無機核剤(例えば、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム)を導入し、それに合わせて結晶性を制御することにより、前記耐熱食器成形品のアイゾット衝撃強度、引張強度、曲げ強度等の機械的性能が劣化せず、且つ樹脂材料の加工流動性及び射出成形性の向上に役立つ。射出加工条件を調整することにより、前記耐熱食器成形品が高熱変形温度を有し、電子レンジ及び高温蒸煮用途の耐熱食器に適用される。
【0051】
本発明の実施例におけるポリエステル複合材料は、ワンショット加工である射出成形加工に適用され、耐熱食器成形品の熱変形温度が150℃より高くてよく、当該耐熱食器成形品に2回の熱処理を必要せず、加工時間が大幅に短縮される。なお、本発明の実施例における耐熱食器成形品に使用される高分子材料は、全てPET樹脂であって良く、そのため、将来のリサイクルや再利用が容易となる。
【0052】
<実験データの測定>
【0053】
以下、実施例1、2及び比較例1~3により、本発明の内容を詳しく説明する。しかしながら、以下の実施例は、本発明を理解しやすいためのものであり、本発明の保護範囲が、これらの実施例に限定されない。
【0054】
実施例1:表1におけるポリエステル複合材料のレシピで食器成形品を作製し、このポリエステル複合材料には、84.3wt%のPET、15wt%のタルク(無機核剤)、0.15wt%の酸化防止剤(実施例1では、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート/トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト=1/1を使用)、0.4wt%の加工助剤(実施例1では、ポリエチレンワックスを使用)を含有するが、PBT及び有機核剤を含有しない。調配されたポリエステル複合材料は、二軸スクリュー押出機により、押出、造粒及び乾燥が実施され、次に、射出成形用の金型温度を110℃に制御し、ポリエステル複合材料の金型での結晶化度を20%~40%に制御して、射出成形加工により食器成形品として作製される。室温で、作製された食器に対する物性測定の結果は、表1に示す。
【0055】
実施例2:表1におけるポリエステル複合材料のレシピで食器成形品を作製し、このポリエステル複合材料には、78.3wt%のPET、15wt%の硫酸バリウム(無機核剤)、3wt%のタルク(無機核剤)、1.15wt%の有機核剤(実施例2では、アイオノマーを使用)、0.15wt%の酸化防止剤(実施例2では、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート/トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト=1/1を使用)、0.4wt%の加工助剤(実施例2では、ポリエチレンワックスを使用)、及び2wt%の強靭化剤(実施例2では、エチレン-メチルアクリレート-グリシジルメタクリレートのターポリマーを使用)を含有するが、PBTを含有しない。調配されたポリエステル複合材料は、二軸スクリュー押出機により、押出、造粒及び乾燥が実施され、次に、射出成形の金型温度を110℃に制御し、ポリエステル複合材料の金型での結晶化度を20%~40%に制御して、射出成形加工により食器成形品として作製される。室温で、作製された食器に対する物性測定の結果は、表1に示す。
【0056】
比較例1:表1におけるポリエステル複合材料のレシピで食器成形品を作製し、このポリエステル複合材料には、83.6wt%のPET、10wt%のPBT、6wt%の硫酸バリウム、0.4wt %の酸化防止剤(比較例1では、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート/トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト=1/1を使用)を含有する。調配されたポリエステル複合材料は、二軸スクリュー押出機により、押出、造粒及び乾燥が実施され、次に、射出成形の金型温度を70℃に制御して、射出成形加工により食器成形品として作製される。室温で、作製された食器に対する物性測定の結果は、表1に示す。
【0057】
比較例2:表1におけるポリエステル複合材料のレシピで食器成形品を作製し、このポリエステル複合材料には、81.3wt%のPET、10wt%のPBT、6wt%のタルク、1.5wt%の有機核剤(比較例2では、アイオノマーを使用)、0.4wt%の酸化防止剤(比較例2では、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート/トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト=1/1を使用)、0.8wt%の加工助剤(比較例2では、ポリエチレンワックスを使用)を含有する。調配されたポリエステル複合材料は、二軸スクリュー押出機により、押出、造粒及び乾燥が実施され、次に、射出成形の金型温度を70℃に制御して、射出成形加工により食器成形品として作製される。室温で、作製された食器に対する物性測定の結果は、表1に示す。
【0058】
比較例3:表1におけるポリエステル複合材料のレシピで食器成形品を作製し、このポリエステル複合材料には、98.3wt%のPET、1.15wt%の有機核剤(比較例3で、アイオノマーを使用)、0.15wt%の酸化防止剤(比較例3では、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート/トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト=1/1を使用)、0.4wt%の加工助剤(比較例3では、ポリエチレンワックスを使用)を含有する。調配されたポリエステル複合材料は、二軸スクリュー押出機により、押出、造粒及び乾燥が実施され、次に、射出成形の金型温度を50℃に制御して、射出成形加工により食器成形品として作製される。室温で、作製された食器に対する物性測定の結果は、表1に示す。
【0059】
食器の物性測定、例えば、アイゾット衝撃強度(KJ/m)、引張強度(MPa)、曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)、熱変形温度(℃)、射出成形性、及び表面光沢性に関する測定の方法は、以下の通りである。
【0060】
アイゾット(Izod)衝撃強度(kg-cm/cm):ASTM D 256測定規格に基づくものである。試料サイズ(mm):(63.5±2)×(12.7±0.2)×(3.2±0.2);アイゾット角度45±1°、半径0.25±0.12mm、アイゾット深さ10.16±0.05mm。
【0061】
引張強度(MPa): ASTM D 638測定規格に従って検証した。試料サイズ(mm):(165±2)×(19±0.2)×(3.2±0.2)、引張速度:50mm/min。
【0062】
曲げ強度(MPa):ASTM D 790測定規格に従って検証した。試料種類試料サイズ(mm):(127±2)×(12.7±0.2)×(3.2±0.2)、曲げ速度:13mm/min。
【0063】
曲げ弾性率(MPa):ASTM D 790測定規格に従って検証した。試料種類試料サイズ(mm):(127±2)×(12.7±0.2)×(3.2±0.2):曲げ速度:13mm/min。
【0064】
熱変形温度:ASTM D648規格に従って検証した。試料サイズ(mm):(127±2)×(12.7±0.2)×(3.2±0.2);昇温速度:120℃/hr、圧力:1.82MPa(4.6kg/cm2)、歪量:0.254mmに設定した。
【0065】
【表1】
【0066】
<測定結果の検討>
【0067】
実施例1及び実施例2におけるポリエステル複合材料のレシピには、高含有量の無機核剤(15wt%~20wt%)が使用された。実施例1及び実施例2において、射出成形用の金型温度を110℃に制御して、射出成形加工により食器成形品を製造した。実施例1及び実施例2における食器成形品は、比較例1~比較例3に比べて、優れる熱変形温度(150℃以上)及び曲げ弾性率(3,000以上)を有する。なお、実施例1及び実施例2における食器成形品は、比較例1~比較例3に比べて、アイゾット衝撃強度、引張強度(MPa)、曲げ強度(MPa)等の物性が、いずれも悪くない。なお、実施例1及び実施例2における食器成形品は、射出成形性及び表面光沢性に関する品質検証が、いずれも合格基準に合致する。
【0068】
比較例1~比較例3は、いずれも高含有量の無機核剤(10 wt%より低い)を使用しながったため、比較例1~比較例3における射出成形の金型温度が高すぎてはいけない(80℃以下に制限すること)。そうでない場合、作製される食器成形品は、金型に付着して、容易に離脱できない。なお、比較例1~比較例3における食器成形品は、実施例1及び実施例2に比べて、熱変形温度及び曲げ弾性率が、いずれも悪い。
【0069】
<実施例の有利な効果>
【0070】
本発明の実施例における耐熱食器製造方法の主要な特徴によれば、無機核剤の用量を10wt%~30wt%(好ましくは15wt%~20wt%)に増加し、従って、PBT樹脂を使用しなく、完全にPET樹脂を使用する条件において、高金型温度(例えば、110℃以上の金型温度)で射出成形し、それに合わせてポリエステル複合材料の結晶化度を制御することにより、最終に成形される耐熱食器成形品は、前記金型温度を有する金型による1回の熱処理だけで、高い熱変形温度(例えば、150℃以上)を有するようになる。
【0071】
さらには、本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、従来技術(台湾特許番号TWI711668B)より無機核剤の用量が高く、PET樹脂の結晶化速度の高速化を補助するため、従来技術でのPBTレシピの機能を代替することができる。なお、本発明の実施例における耐熱食器の製造方法は、前記ポリエステル複合材料が、金型に付着することなく、高金型温度で好適に成形されることに寄与する。無機核剤の用量を適当に増加することにより、PET樹脂の用量を適当に低下することができるため、PET樹脂の前記金型への付着又は残留が回避される。即ち、前記耐熱食器成形品は、上記の金型温度で成形した後、前記金型に付着又は残留することなく、金型から完全に取り出されることができる。また、高金型温度は、耐熱食器成形品の結晶化度の向上に寄与する。これによって、最終に成形される耐熱食器成形品は、前記金型温度を有する金型による1回の熱処理だけで、高い熱変形温度(例えば、150℃以上)及び高い硬度を有するようになる。
【0072】
以上に開示された内容は、本発明の好適な実施可能な実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものでなく、従って、本発明の明細書及び図面内容に基づく等価な技術的変更は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総重量を100wt%として、75wt%~85wt%のポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)、0wt%~wt%の有機核剤、及び15wt%~20wt%の無機核剤を含むポリエステル複合材料を提供することと、
前記ポリエステル複合材料を射出成形加工により金型内に注入し、前記金型の金型温度を110℃~140℃に制御し、且つ前記ポリエステル複合材料の前記金型での結晶化度を25%~40%に制御して、前記金型において前記ポリエステル複合材料を耐熱食器成形品として成形することと、
を含み、
前記耐熱食器成形品は、150℃以上の熱変形温度を有する耐熱食器の製造方法。
【請求項2】
前記ポリエステル複合材料には、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate,PBT)を含有しない請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項3】
前記有機核剤は、アイオノマー(ionic polymer)、ポリエステルオリゴマーのアルカリ金属塩系(alkali metal salt of polyester oligomer)、長鎖線状飽和カルボン酸ナトリウム塩(long-chain linear saturated carboxylic acid sodium salt)、長鎖線状飽和カルボン酸カルシウム塩(long-chain linear saturated carboxylic acid calcium salt)、長鎖線状飽和芳香族カルボン酸金属ナトリウム塩(long-chain linear saturated aromatic carboxylic acid metal sodium salt)、及び長鎖線状飽和芳香族カルボン酸金属マグネシウム塩(long-chain linear saturated aromatic carboxylic acid metal magnesium salt)からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項4】
前記無機核剤は、タルク(talc)、硫酸バリウム(barium sulfate)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、及び珪酸カルシウム(calcium silicate)からなる群から選択される少なくとも一つであり、また、前記無機核剤は、0.1μm~5μmの平均粒子径を有する請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項5】
前記ポリエステル複合材料は、前記金型による1回の熱処理だけで、150℃以上の前記熱変形温度を有する前記耐熱食器成形品として形成される請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項6】
前記製造方法は、前記金型において前記ポリエステル複合材料を前記耐熱食器成形品として成形した後、前記耐熱食器成形品における複合材料の少なくとも95wt%が前記金型に付着又は残留しないように、前記耐熱食器成形品を前記金型から取り出すことをさらに含む請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項7】
前記ポリエステル複合材料は、0.1wt%~0.5wt%の酸化防止剤及び0.1wt%~1.0wt%の加工助剤をさらに含む請求項1に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項8】
前記酸化防止剤は、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)フェニルプロピオナート(tetrakis(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxy) pentaerythritol phenylpropionate)、トリス(2,4-ジ-t-ブチル)フェニルホスファイト(tris(2,4-di-tert-butyl) phenyl phosphite)、及び3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)オクタデシルプロピオネート(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl) octadecyl propionate)からなる群から選択される少なくとも一つである請求項7に記載の耐熱食器の製造方法。
【請求項9】
前記加工助剤は、エチレンビスステアロアミド(ethylene bis-stearylamide,EBS)、エルカミド(erucamide)、ポリエチレンワックス(polyethylene wax)、パラフィンワックス(paraffin wax)、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸亜鉛(zinc stearate)、ステアリン酸カルシウム(calcium stearate)、及びポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)からなる群から選択される少なくとも一つである請求項7に記載の耐熱食器の製造方法。