(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055728
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ラップフィルム
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20240411BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20240411BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20240411BHJP
C08K 5/092 20060101ALI20240411BHJP
C08K 5/16 20060101ALI20240411BHJP
C08K 5/353 20060101ALI20240411BHJP
C08K 5/524 20060101ALI20240411BHJP
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B32B 27/36 20060101ALI20240411BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240411BHJP
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【FI】
B65D65/40 D BRQ
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C08L67/04 ZBP
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C08K5/353
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C08L101/16
B32B27/36
C08J5/18 CFD
B65D65/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210469
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】111138158
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】袁 ▲敬▼堯
(72)【発明者】
【氏名】謝 ▲育▼淇
【テーマコード(参考)】
3E086
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4J200
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】従来技術における欠点に対して、ラップフィルムを提供すること。
【解決手段】本発明は、生分解性高分子と鎖延長剤を含む生分解性材料で形成されるラップフィルムであって、生分解性高分子は、ラップフィルムの総重量を100重量部として、含有量が85重量部以上であるポリブチレンアジペートテレフタレートを含み、鎖延長剤は、エポキシ官能基化合物、酸二無水物化合物、ジイソシアネート、フォスファイト、ジオキサゾリン及びそれらの組成物からなる群から選択されるラップフィルムを開示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性高分子と鎖延長剤を含む生分解性材料で形成されるラップフィルムであって、
前記生分解性高分子は、前記ラップフィルムの総重量を100重量部として、含有量が85重量部以上であるポリブチレンアジペートテレフタレートを含み、前記鎖延長剤は、エポキシ官能基化合物、酸二無水物化合物、ジイソシアネート、フォスファイト、ジオキサゾリン及びそれらの組成物からなる群から選択されることを特徴とする、ラップフィルム。
【請求項2】
前記生分解性材料のメルトインデックスは、2~25である、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項3】
前記生分解性高分子は、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート又はそれらの組成物をさらに含む、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項4】
前記ラップフィルムの総重量を100重量部として、85重量部~95重量部のポリブチレンアジペートテレフタレート、1重量部~5重量部のポリ乳酸及び1重量部~5重量部のポリブチレンサクシネートを含む、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項5】
前記鎖延長剤は、スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルポリオールエポキシ樹脂、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジメチルビフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ポリメチレン・ポリフェニル・ポリイソシアネート、トリフェニルフォスファイト、トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ビス2,2’-メチレンジ(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-ビス(2-オキサゾリジニル)ベンゼン及びそれらの組成物からなる群から選択される、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項6】
前記生分解性材料の総重量を100重量部として、前記鎖延長剤の含有量は、0.3重量部~2重量部である、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項7】
前記ラップフィルムの光透過度は95%を超え、前記ラップフィルムのヘイズは2%未満であり、前記ラップフィルムの総厚さは、0.005mm~0.02mmである、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項8】
第1の表面と反対側の第2の表面を有し、ポリブチレンアジペートテレフタレートと、前記鎖延長剤と、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートの少なくとも一つとを含む材料で形成される中間層と、
前記中間層の前記第1の表面に設けられ、ポリブチレンアジペートテレフタレート及びポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む材料で形成される第1の表面層と、
前記中間層の前記第2の表面に設けられ、ポリブチレンアジペートテレフタレート及びポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む材料で形成される第2の表面層と、
を備える、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項9】
前記中間層を形成する材料は防曇剤を含み、前記中間層の厚さが前記第1の表面層の厚さの3~8倍であり、前記中間層の厚さが前記第2の表面層の厚さの3~8倍である、請求項8に記載のラップフィルム。
【請求項10】
前記第1の表面層を形成する材料は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン及びそれらの組成物からなる群から選択される表面層添加剤をさらに含み、
前記第2の表面層を形成する材料は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン及びそれらの組成物からなる群から選択される表面層添加剤をさらに含む、請求項8に記載のラップフィルム。
【請求項11】
前記第1の表面層の総重量を100重量部として、前記表面層添加剤の含有量は、0.1重量部~1重量部であり、前記第2の表面層の総重量を100重量部として、前記表面層添加剤の含有量は、0.1重量部~1重量部である、請求項10に記載のラップフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップフィルムに関し、特に、生分解可能な食品用ラップフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラップフィルムは、よく使われる食品包装用品であり、料理に一定の鮮度を保持させ、且つ料理を冷蔵庫に入れた後に他の匂いが混在することを回避することができる。普通の家庭において、ラップフィルムは、使用率が非常に高いが、使い捨ての包装物品であるため、使用した後に廃棄する必要がある。廃棄されたラップフィルムは、長期的には環境に負荷を与える。
【0003】
そして、現在市販されているラップフィルムは石油化学プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル又はポリエチレン)で製造されることが多く、石油化学プラスチックが自然環境においてほとんど分解せず、ラップフィルムの使用が環境に優しくない問題は徐々に重視される。
【0004】
一部のラップフィルムは、製造過程において酸化分解添加剤を加えたものであり、且つ当該ラップフィルムが酸化分解されると言われている。しかし、欧州連合により、当該ラップフィルムがプラスチック破片に崩壊することができるが、プラスチック破片自体が依然として環境に分解されず、且つプラスチック破片が重金属成分を含むため、逆により深刻な環境破壊を引き起こすことが証明された。そのため、酸化分解添加剤の使用は現在、禁止される。
【0005】
従って、上記の欠点を克服するために、材料改良によって、ラップフィルムの生分解性を如何に向上させるかは、当業者が解決しようとする重要な課題の一つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、従来技術における欠点に対して、ラップフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した技術的な問題を解決するために、本発明に使用される技術手段の一つは、ラップフィルムを提供することである。ラップフィルムは、生分解性高分子と鎖延長剤を含む生分解性材料で形成され、生分解性高分子は、ラップフィルムの総重量を100重量部として、含有量が85重量部以上であるポリブチレンアジペートテレフタレートを含み、鎖延長剤は、エポキシ官能基化合物、酸二無水物化合物、ジイソシアネート、フォスファイト、ジオキサゾリン及びそれらの組成物からなる群から選択される。
【0008】
一つの実施形態において、生分解性材料のメルトインデックスは、2~25である。
【0009】
一つの実施形態において、生分解性高分子は、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート又はそれらの組成物をさらに含む。
【0010】
一つの実施形態において、ラップフィルムは、ラップフィルムの総重量を100重量部として、85重量部~95重量部のポリブチレンアジペートテレフタレート、1~5重量部のポリ乳酸及び1~5重量部のポリブチレンサクシネートを含む。
【0011】
一つの実施形態において、鎖延長剤は、スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルポリオールエポキシ樹脂、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジメチルビフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ポリメチレン・ポリフェニル・ポリイソシアネート、トリフェニルフォスファイト、トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ビス2,2’-メチレンジ(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-ビス(2-オキサゾリジニル)ベンゼン及びそれらの組成物からなる群から選択される。
【0012】
一つの実施形態において、生分解性材料の総重量を100重量部として、鎖延長剤の含有量は、0.3重量部~2重量部である。
【0013】
一つの実施形態において、ラップフィルムの光透過度は95%を超え、ラップフィルムのヘイズは2%未満であり、ラップフィルムの総厚さは、0.005mm~0.02mmである。
【0014】
一つの実施形態において、ラップフィルムは、中間層と、第1の表面層と、第2の表面層とを備える。中間層は、第1の表面と反対側の第2の表面を有し、ポリブチレンアジペートテレフタレートと、鎖延長剤と、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む材料で形成される。第1の表面層は、中間層の第1の表面に設けられ、第1の表面層を形成する材料が、ポリアジビン酸テレフタレート及びポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む。第2の表面層は、中間層の第2の表面に設けられ、第2の表面層を形成する材料が、ポリアジビン酸テレフタレート及びポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む。
【0015】
一つの実施形態において、中間層を形成する材料は防曇剤を含み、中間層の厚さが第1の表面層の厚さの3~8倍であり、中間層の厚さが第2の表面層の厚さの3~8倍である。
【0016】
一つの実施形態において、第1の表面層を形成する材料は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン及びそれらの組成物からなる群から選択される表面層添加剤をさらに含む。第2の表面層を形成する材料は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン及びそれらの組成物からなる群から選択される表面層添加剤をさらに含む。
【0017】
一つの実施形態において、第1の表面層の総重量を100重量部として、表面層添加剤の含有量は、0.1重量部~1重量部である。第2の表面層の総重量を100重量部として、表面層添加剤の含有量は、0.1重量部~1重量部である。
【0018】
本発明の一つの有利な効果は、本発明が提供するラップフィルムによれば、「生分解性高分子と鎖延長剤を含む生分解性材料」及び「ポリブチレンアジペートテレフタレートを含む生分解性高分子」の技術手段により、適当な引張強度、伸び率及びヤング率を有する生分解性食品用ラップフィルムを作成することができる。
【0019】
以下の本発明に関する詳細な説明及び図面を参照して、本発明の特徴及び技術内容をよりよく理解することができるが、提供した図面は、参照と説明の目的のみに提供され、本発明を限定するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は本発明の一つの実施例におけるラップフィルムの側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、特定の具体的な実施例によって、本発明に開示した「ラップフィルム」に係る実施形態を説明し、当業者であれば、本明細書に開示された内容から本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の具体的な実施例によって実施又は適用されてもよく、本明細書での各詳細も、異なる観点と適用に基づいて、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行ってもよい。なお、本発明の図面は、簡単的に説明するためのものであり、実際の寸法で描いたものでない。以下の実施形態は、本発明の関連技術内容をさらに詳細に説明するが、その開示内容は本発明の保護範囲を限定しない。なお、本明細書で使用される用語「又は」については、実際の状況に応じて、関連する列挙項目のうちのいずれか1つ又は複数の組合せを含み得る。
【0022】
従来のラップフィルムの分解性が良くないので、環境に優しくないようになることを解決するために、本発明は、生分解可能な食品用ラップフィルムを提供する。本発明のラップフィルムは、生分解性材料で形成され、当該生分解性材料が、具体的には、生分解性高分子と鎖延長剤を含む。そのため、一定の時間内に、本発明のラップフィルムは、生物により分解される(分解率が90%以上に達する)。また、ラップフィルムの材料には、金属添加剤を含まないため、分解されて環境に二次汚染を引き起こす。
【0023】
生分解性高分子は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(polybutylene adipate terephthalate,PBAT)を主成分として含み、従って、ラップフィルムに必要な柔軟度、引張強度及び伸び率を達成し、高生分解性の利点を有する。具体的には、ラップフィルムは、ラップフィルムの総重量を100重量部として、85重量部以上のポリブチレンアジペートテレフタレートを含む。
【0024】
生分解性高分子は、ポリブチレンアジペートテレフタレートの他に、選択的に、ポリ乳酸(polylactic acid,PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate,PHA)、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate,PBS)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone,PCL)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)又はそれらの組成物をさらに含んでもよい。
【0025】
一実施例において、生分解性高分子は、ポリブチレンアジペートテレフタレートを主成分とし、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート又はそれらの混合物をさらに含む。一つの好適な実施例において、ラップフィルムには、ラップフィルムの総重量を100重量部として、85重量部~95重量部のポリブチレンアジペートテレフタレート、1~5重量部のポリ乳酸及び1~5重量部のポリブチレンサクシネートを含む。少量のポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートをブレンドすることにより、ラップフィルム全体の物理的特性を向上させることができる。少量のポリ乳酸を導入することにより、ラップフィルムの剛性、コシ、及びラップロールの送り性を向上することができる。少量のポリブチレンサクシネートの導入は、ラップフィルムの粘弾性を向上させ、延伸性を向上させることができる。
【0026】
鎖延長剤の添加は、生分解性高分子の分子量及び架橋程度を向上させることができ、従って、生分解性高分子の物理的特性(例えば、加水分解防止性、相溶性、加工性、柔軟性)が向上され、ラップフィルム1の引張強度及び伸び率がさらに改善される。
【0027】
また、本発明の鎖延長剤は、架橋機能をさらに有し、生分解性高分子から多分岐鎖を有する生分解性材料を形成する傾向があり、上記の効果は、生分解性材料のメルトインデックス(melt index,MI)に反映される。具体的には、生分解性材料のメルトインデックスは、2~25であり、好ましくは、5~20である。
【0028】
本発明の鎖延長剤は、少なくとも2つ以上の反応性官能基(例えば、エポキシ基、酸基、イソシアネート基又はエステル基)を有し、例えば、エポキシ官能基化合物、酸二無水物化合物、ジイソシアネート、フォスファイト、ジオキサゾリン及びそれらの組成物からなる群から選択される。前記エポキシ官能基化合物とは、エポキシ官能基を含有する化合物を示す。エポキシ官能基化合物の鎖延長剤は、ジイソシアネート及びジオキサゾリンの鎖延長剤に比べると、より広く入手でき、コストも低く、且つ安全で毒性がない。
【0029】
具体的には、鎖延長剤として利用されるエポキシ官能基化合物は、スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体又はポリエステルポリオールエポキシ樹脂であってもよい。鎖延長剤として利用される酸二無水物化合物は、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物であってよい。鎖延長剤として利用されるジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate)、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate)、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethane diisocyanate)、m-キシリレンジイソシアネート(m-xylylene diisocyanate)、p-フェニレンジイソシアネート(p-phenylene diisocyanate)、ジメチルビフェニルジイソシアネート(dimethyl biphenyl diisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、リジンジイソシアネート(lysine diisocyanate)又はポリメチレン・ポリフェニル・ポリイソシアネート(polymethylene polyphenyl polyisocyanate)であって良い。鎖延長剤として利用されるフォスファイトは、トリフェニルフォスファイト、トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ビス2,2’-メチレンジ(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイトであって良い。鎖延長剤として利用されるジオキサゾリンは、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)(2,2’-bis(2-oxazoline))又は1,3-ビス(2-オキサゾリジニル)ベンゼン(1,3-bis(2-oxazolidinyl-2-yl)benzene)であって良い。
【0030】
生分解性材料に適当な架橋程度を保持させるために、生分解性材料の総重量を100重量部として、鎖延長剤の添加量は、0.1重量部~3重量部である。鎖延長剤の添加量が0.1重量部より低い場合、生分解性高分子の物理的特性を効果的に高めることができず、鎖延長剤の添加量が3重量部より高い場合、生分解性高分子の分子量及び架橋程度が高すぎ、フィルムの加工製造に不利である。
【0031】
一つの実施形態において、生分解性材料の総重量を100重量部として、鎖延長剤の添加量は、0.2重量部、0.4重量部、0.6重量部、0.8重量部、1重量部、1.2重量部、1.4重量部、1.6重量部、1.8重量部、2重量部、2.2重量部、2.4重量部、2.6重量部、2.8重量部又は3重量部であってもよい。好ましくは、鎖延長剤の添加量は、0.3重量部~2重量部である。
【0032】
上記材料の選択により、本発明のラップフィルムは、生分解性及び市販のラップフィルムに匹敵する物理的特性を有し、具体的な生分解性及び物理的特性について後述する。なお、ラップフィルムの外観特性として、本発明のラップフィルム1は、鮮度を保つ食品の種類を観察しやすいように、光透過性と低ヘイズを備える。具体的には、ラップフィルム1の光透過度は、95%以上で、ラップフィルム1のヘイズは、2%より低く、ラップフィルムの厚さは、0.005mm~0.02mmである。
【0033】
図1を参照すると、
図1は本発明の一つの実施例におけるラップフィルムの側面模式図である。本発明のラップフィルム1は、三層の構成又は三層以上の構成であってもよく、インフレーション法又は流延法により製造されてよく、しかし、本発明に係るラップフィルム1の製造方法はそれらに限定されない。
【0034】
具体的には、ラップフィルム1は、中間層10、第1の表面層20及び第2の表面層30を備える。中間層10は、対向する第1の表面11と第2の表面12を有し、第1の表面層20が中間層10の第1の表面11に設けられ、第2の表面層30が中間層10の第2の表面12に設けられる。つまり、中間層10が、第1の表面層20と第2の表面層30との間に設けられる。
【0035】
本発明の中間層10、第1の表面層20及び第2の表面層30の各々は、ラップフィルム1が生物により分解され、環境に優しくないように、生分解性材料で製造される。ここでいう生分解性材料は、上記のラップフィルムを形成する生分解性材料と同様のものであり、つまり、生分解性高分子と鎖延長剤を含むものであり、且つ生分解性高分子は、ポリブチレンアジペートテレフタレートを主成分とし、他の生分解性高分子、例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール又はそれらの組成物を選択的に添加してもよい。鎖延長剤は、前記した種類と同様であるため、重複して説明しない。
【0036】
注意すべきなのは、中間層10、第1の表面層20及び第2の表面層30を形成する生分解性材料には、それぞれ他の特性を持たせるために、若干の加工助剤を添加してもよく、以下、添加する加工助剤について説明する。特に説明すべきなのは、上記加工助剤は、金属を含有する加工助剤を含まないため、本発明に係るラップフィルム1は、金属成分を含まなく、分解後のラップフィルム1が環境を汚染しない。
【0037】
中間層10を形成する生分解性材料には、両側の温度差によるラップフィルム1でのミストの形成の迷惑を低減することができるように、防曇剤を選択的に添加してもよい。中間層10の総重量を100重量部として、防曇剤の添加量は、0.1重量部~4重量部であって良く、好ましくは、粘着剤の添加量は、0.1重量部~1重量部であって良い。防曇剤は、キシリトールエステル、モノパルミチン酸ソルビタン、ラウリン酸又はグリセリンモノステアリン酸エステルであってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0038】
中間層10を形成する生分解性材料には、生分解性高分子により好適の加工性と被覆性を持たせるように、粘着剤を選択的に添加してもよい。中間層10の総重量を100重量部として、粘着剤の添加量は、0.1重量部~4重量部であって良く、好ましくは、粘着剤の添加量は、0.1重量部~1重量部であってよい。具体的には、粘着剤は、フタレート、脂肪酸エステル、カルボキシレート、フォスフェート、エポキシエステル又はそれらの組成物であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0039】
中間層10における防曇剤及び粘着剤がラップフィルム表面に染み出すことを防止するために、本発明においては、第1の表面層20及び第2の表面層30が中間層10を被覆することにより、防曇剤及び粘着剤の移り(migration)を阻止する効果が達成される。具体的には、本発明における中間層10の厚さは、第1の表面層20の厚さの3~8倍であり、中間層10の厚さは、第2の表面層30の厚さの3~8倍であるようにする。
【0040】
表面層(第1の表面層20及び第2の表面層30)を形成する生分解性材料には、ラップフィルム1に抗菌効果を持たせる抗菌剤を選択的に添加してもよい。表面層(第1の表面層20又は第2の表面層30)の総重量を100重量部として、抗菌剤の添加量は、0.1重量部~0.5重量部であってよい。抗菌剤は、ナノ銀イオン又はナノ銀イオン含有化合物であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0041】
表面層(第1の表面層20及び第2の表面層30)を形成する生分解性材料には、ラップフィルム1の表面をスムーズにして容易に使用されるための表面層添加剤を選択的に添加してもよい。表面層(第1の表面層20又は第2の表面層30)の総重量を100重量部として、表面層添加剤の添加量は、0.1重量部~1重量部であって良い。好ましくは、表面層添加剤の添加量は、0.3重量部~0.5重量部であって良い。表面層添加剤は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン又はそれらの組成物であって良いが、本発明はそれらに限定されない。
【0042】
表面層(第1の表面層20及び第2の表面層30)を形成する生分解性材料には、生分解性高分子により好適な加工性を持たせる粘着剤を選択的に添加してもよい。表面層の総重量を100重量部として、粘着剤の添加量は、0.1重量部~4重量部であってよく、好ましくは、粘着剤の添加量は、0.1重量部~1重量部であってよい。具体的には、粘着剤は、フタレート、脂肪酸エステル、カルボキシレート、フォスフェート、エポキシエステル又はそれらの組成物であって良いが、本発明はそれらに限定されない。
【0043】
本発明のラップフィルムは、前記生分解性材料で、インフレーション法又は流延法により作製される。具体的には、まず、中間層10、第1の表面層20及び第2の表面層30の形成に必要な生分解性材料を調製し、押出機で多種の生分解性マスターバッチを作成する。多種の生分解性マスターバッチにより、前記成分の含有量の要求に満たす生分解性材料を調製して、それぞれ中間層10、第1の表面層20及び第2の表面層30を作製する。次に、生分解性マスターバッチを押出機に投入し、インフレーション法又は流延法により、本発明の三層構成のラップフィルムを作製することができる。また、中間層10、第1の表面層20及び第2の表面層30が一体成形される。
【0044】
一実施例において、本発明は、インフレーション法でラップフィルムを作成された。インフレーション過程において、押出機の温度が120℃~160℃に設定され、押出機のダイが120℃~140℃に設定された。ラップフィルムは、30~40メートル/分の引張速度で形成され、流入した冷却風の温度が10℃~20℃に設定された。ラップフィルムのブローアップ率は1.5~3.5で、好ましくは、2~2.5である。
【0045】
本発明のラップフィルムが好適な生分解性を有することを証明するために、本発明において、作成された異なる生分解性材料が、中間層10、第1の表面層20及び第2の表面層30の形成に使用された。中間層10、第1の表面層20及び第2の表面層30を形成する生分解性材料は、表1に示され、さらに、製造されたラップフィルムに対して厚さ、ヘイズ、被覆性、再粘着性、引張強度、伸び率及びヤング率を測定し、測定結果を表1に示す。
【0046】
表1に示すように、被覆性に対する判断標準としては、ラップフィルムをガラス及びセラミックの被測定物に覆い、ラップフィルムが被測定物にしっかり接着できる場合、「○」で示し、ラップフィルムが被測定物に接着できない場合、「×」で示す。再粘着性に対する判断標準としては、ラップフィルムをガラス及びセラミックの被測定物に覆い、ラップフィルムが被測定物にしっかり付着でき、且つ繰り返して粘着できる場合、「○」で示し、ラップフィルムが被測定物にしっかり付着でき、且つその一部が繰り返して粘着できる場合、「△」で示し、ラップフィルムが被測定物にしっかり付着でき、且つ繰り返して粘着できない場合、「×」で示す。引張強度及びヤング率は、引張強度試験機により測定されるものである。
【0047】
表1では、実施例1~6に使用した生分解性高分子は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)であり、且つブレンドポリ乳酸(PLA)及びポリブチレンサクシネート(PBS)のなかの1つがブレンドされた。実施例1~6に使用した粘着剤は、カルボキシレート(クエン酸アセチルトリブチル)である。比較例1における生分解性材料には、生分解性高分子(PBAT)のみを含み、鎖延長剤が添加されなかった。比較例2は、市販されているポリエチレンラップフィルムであり、生分解性材料で製造されたものでない。
【0048】
【0049】
表1の内容によると、本発明のラップフィルムは、低ヘイズ(2%より低く、さらに1.6%以下)の特性、及び好適な被覆性と再粘着性を有することが分かった。また、ラップフィルムの引張強度は、180 kg/cm2~400 kg/cm2であり、伸び率は、530%~950%であり、ヤング率は、3.5 kg/mm2~5.0 kg/mm2である。そのため、本発明のラップフィルムは、現在市販されているラップフィルムを代替することができる。
【0050】
比較例1(鎖延長剤、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートが添加されない)に比べると、本発明のラップフィルムは、好適な手触り及び再粘着性を有する。比較例2(市販されているポリエチレンラップフィルム)であるラップフィルムに比べると、本発明のラップフィルムは、適当な引張強度、ヤング率、及び明らかに好適な伸び率を有するため、現在市販されている生物により分解されないラップフィルムを代替することができる。
【0051】
なお、本発明のラップフィルム1が生分解性を有することを証明するために、米国材料試験協会(American Society of Testing Materials,ASTM)により規定されたD6400規格に基づいて、本発明の実施例2におけるラップフィルム1に対して生分解測試を行って、測試結果を表2に示す。
【0052】
【0053】
表2の結果によると、本発明のラップフィルム1は、確かに生分解性を有することが分かった。また、ASTM D6400規格で測試して、ラップフィルムの180日後の生分解性が90%以上に達し、より好ましくは、ASTM D6400規格で測試して、ラップフィルムの180日後の生分解性が95%以上に達した。
【0054】
[実施例の有利な効果]
【0055】
本発明の一つの有利な効果は、「生分解性高分子と鎖延長剤を含む生分解性材料」及び「ポリブチレンアジペートテレフタレートを含む生分解性高分子」の技術手段により、生分解性のある食品用ラップフィルムを作成することができ、且つ適当な引張強度、伸び率及ヤング率を有することにある。
【0056】
さらには、本発明は、「ラップフィルム1の総重量を100重量部として、ラップフィルム1は、85重量部~95重量部のポリブチレンアジペートテレフタレートを含む」の技術手段により、ラップフィルム1に生分解性を持たせるようにする。
【0057】
さらには、本発明は、「生分解性高分子のメルトインデックスは、2~25である」の技術手段により、ラップフィルム1の物理的特性を向上させるようにする。
【0058】
以上に開示された内容は、本発明の好適な実施可能な実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものでなく、従って、本発明の明細書及び図面内容に基づく等価な技術的変更は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1:ラップフィルム
10:中間層
11:第1の表面
12:第2の表面
20:第1の表面層
30:第2の表面層
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性高分子と鎖延長剤を含む生分解性材料で形成されるラップフィルムであって、
前記生分解性高分子は、前記ラップフィルムの総重量を100重量部として、含有量が85重量部以上であるポリブチレンアジペートテレフタレートを含み、前記鎖延長剤は、エポキシ官能基化合物、酸二無水物化合物、ジイソシアネート、フォスファイト、ジオキサゾリン及びそれらの組成物からなる群から選択され、
前記鎖延長剤は、スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルポリオールエポキシ樹脂、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジメチルビフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ポリメチレン・ポリフェニル・ポリイソシアネート、トリフェニルフォスファイト、トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ビス2,2’-メチレンジ(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-ビス(2-オキサゾリジニル)ベンゼン及びそれらの組成物からなる群から選択されることを特徴とする、ラップフィルム。
【請求項2】
前記生分解性材料のメルトインデックスは、2~25である、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項3】
前記生分解性高分子は、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート又はそれらの組成物をさらに含む、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項4】
前記ラップフィルムの総重量を100重量部として、85重量部~95重量部のポリブチレンアジペートテレフタレート、1重量部~5重量部のポリ乳酸及び1重量部~5重量部のポリブチレンサクシネートを含む、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項5】
前記生分解性材料の総重量を100重量部として、前記鎖延長剤の含有量は、0.3重量部~2重量部である、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項6】
前記ラップフィルムの光透過度は95%を超え、前記ラップフィルムのヘイズは2%未満であり、前記ラップフィルムの総厚さは、0.005mm~0.02mmである、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項7】
第1の表面と反対側の第2の表面を有し、ポリブチレンアジペートテレフタレートと、前記鎖延長剤と、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートの少なくとも一つとを含む材料で形成される中間層と、
前記中間層の前記第1の表面に設けられ、ポリブチレンアジペートテレフタレート及びポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む材料で形成される第1の表面層と、
前記中間層の前記第2の表面に設けられ、ポリブチレンアジペートテレフタレート及びポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む材料で形成される第2の表面層と、
を備える、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項8】
前記中間層を形成する材料は防曇剤を含み、前記中間層の厚さが前記第1の表面層の厚さの3~8倍であり、前記中間層の厚さが前記第2の表面層の厚さの3~8倍である、請求項7に記載のラップフィルム。
【請求項9】
前記第1の表面層を形成する材料は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン及びそれらの組成物からなる群から選択される表面層添加剤をさらに含み、
前記第2の表面層を形成する材料は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン及びそれらの組成物からなる群から選択される表面層添加剤をさらに含む、請求項7に記載のラップフィルム。
【請求項10】
前記第1の表面層の総重量を100重量部として、前記表面層添加剤の含有量は、0.1重量部~1重量部であり、前記第2の表面層の総重量を100重量部として、前記表面層添加剤の含有量は、0.1重量部~1重量部である、請求項9に記載のラップフィルム。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性高分子と鎖延長剤を含む生分解性材料で形成されるラップフィルムであって、
前記生分解性高分子は、前記ラップフィルムの総重量を100重量部として、含有量が85重量部以上であるポリブチレンアジペートテレフタレートを含み、
前記鎖延長剤は、スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルポリオールエポキシ樹脂、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジメチルビフェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ポリメチレン・ポリフェニル・ポリイソシアネート、トリフェニルフォスファイト、トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ビス2,2’-メチレンジ(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-ビス(2-オキサゾリジニル)ベンゼン及びそれらの組成物からなる群から選択されることを特徴とする、ラップフィルム。
【請求項2】
前記生分解性材料のメルトインデックスは、2~25である、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項3】
前記生分解性高分子は、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート又はそれらの組成物をさらに含む、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項4】
前記ラップフィルムの総重量を100重量部として、85重量部~95重量部のポリブチレンアジペートテレフタレート、1重量部~5重量部のポリ乳酸及び1重量部~5重量部のポリブチレンサクシネートを含む、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項5】
前記生分解性材料の総重量を100重量部として、前記鎖延長剤の含有量は、0.3重量部~2重量部である、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項6】
前記ラップフィルムの光透過度は95%を超え、前記ラップフィルムのヘイズは2%未満であり、前記ラップフィルムの総厚さは、0.005mm~0.02mmである、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項7】
第1の表面と反対側の第2の表面を有し、ポリブチレンアジペートテレフタレートと、前記鎖延長剤と、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートの少なくとも一つとを含む材料で形成される中間層と、
前記中間層の前記第1の表面に設けられ、ポリブチレンアジペートテレフタレート及びポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む材料で形成される第1の表面層と、
前記中間層の前記第2の表面に設けられ、ポリブチレンアジペートテレフタレート及びポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの少なくとも一つを含む材料で形成される第2の表面層と、
を備える、請求項1に記載のラップフィルム。
【請求項8】
前記中間層を形成する材料は防曇剤を含み、前記中間層の厚さが前記第1の表面層の厚さの3~8倍であり、前記中間層の厚さが前記第2の表面層の厚さの3~8倍である、請求項7に記載のラップフィルム。
【請求項9】
前記第1の表面層を形成する材料は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン及びそれらの組成物からなる群から選択される表面層添加剤をさらに含み、
前記第2の表面層を形成する材料は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、有機シラン及びそれらの組成物からなる群から選択される表面層添加剤をさらに含む、請求項7に記載のラップフィルム。
【請求項10】
前記第1の表面層の総重量を100重量部として、前記表面層添加剤の含有量は、0.1重量部~1重量部であり、前記第2の表面層の総重量を100重量部として、前記表面層添加剤の含有量は、0.1重量部~1重量部である、請求項9に記載のラップフィルム。