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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055738
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】着座補助具
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A47C27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053982
(22)【出願日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】63/413,712
(32)【優先日】2022-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 龍騰
(72)【発明者】
【氏名】高庭 仁美
(72)【発明者】
【氏名】田邉 仁一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美香
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA03
3B096AB05
3B096AC14
(57)【要約】
【課題】着脱可能なクッション部の意図しない着脱が抑制された着座補助具を提供する。
【解決手段】着座補助具10は、シートS上に載置された状態で着座者の臀部を支持する着座補助具10であって、本体部20と、本体部20に対して着脱可能なクッション部30とを備え、クッション部30は、表皮材34により被覆されるクッション部本体31と、クッション部本体31の外周端部から外側に延び、本体部20と係合する第1係合部35と、第1係合部35の先端において、第1係合部35の一部に着脱可能に設けられ、本体部20と第1係合部35との係合を維持する固着部35dと、を有し、本体部20は第1係合部35が係合する第1被係合部25を有し、着座補助具10は、第1係合部35と第1被係合部25とからなり、第1係合部35の着脱を抑制する着脱抑制部40を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート上に載置された状態で着座者の臀部を支持する着座補助具であって、
本体部と、該本体部に対して着脱可能なクッション部とを備え、
前記クッション部は、
表皮材により被覆されるクッション部本体と、
該クッション部本体の外周端部から外側に延び、前記本体部と係合する第1係合部と、
該第1係合部の先端において、前記第1係合部の一部に対して着脱可能に設けられ、前記本体部と前記第1係合部との係合を維持する固着部と、を有し、
前記本体部は前記第1係合部が係合する第1被係合部を有し、
前記着座補助具は、前記第1係合部と前記第1被係合部とからなり、前記第1係合部の着脱を抑制する着脱抑制部を備えることを特徴とする着座補助具。
【請求項2】
前記本体部の前記第1被係合部には、前記第1係合部が挿通される挿通孔が形成されており、
前記第1係合部は、
前記クッション部本体から延び、前記本体部の表側に配置される延出部と、
該延出部から連続して延び、前記挿通孔に挿通された後、折り返して前記本体部の裏側に配置される折り返し部と、
該折り返し部から連続して延び、先端に前記固着部を有する係止部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の着座補助具。
【請求項3】
前記本体部の前記第1被係合部は、前記第1係合部の前記係止部が掛けられる引掛け部を有し、
前記係止部の前記固着部は、前記折り返し部に固着されることを特徴とする請求項2に記載の着座補助具。
【請求項4】
前記クッション部は、前記本体部と係合する第2係合部を有し、
前記本体部は、前記第2係合部と係合する第2被係合部を有し、
前記第2係合部は、前記クッション部から突出する突出部であり、
前記第2被係合部は、前記突出部と対応する位置に形成された貫通孔であり、前記突出部が前記貫通孔に挿通することにより、前記クッション部が前記本体部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の着座補助具。
【請求項5】
前記本体部は、前記臀部と当接する臀部支持部と、前記臀部支持部の後端部から上方に立ち上がる立ち上がり部と、を有し、
前記クッション部は、前記臀部支持部と前記立ち上がり部とに亘って配置され、
前記臀部支持部には、少なくとも前記臀部支持部に配置された前記クッション部の一部により覆われる範囲に開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の着座補助具。
【請求項6】
前記第1被係合部は、前記開口部の外周部に配置されており、
前記クッション部の一部が前記開口部に重なった状態で、前記第1係合部は、前記第1被係合部と係合することを特徴とする請求項5に記載の着座補助具。
【請求項7】
前記立ち上がり部には、温熱体を収納可能なポケット部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の着座補助具。
【請求項8】
前記本体部の裏面には、円弧状に延び、前記着座補助具の回転方向を案内するガイド凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の着座補助具。
【請求項9】
前記本体部の裏面には、複数の凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の着座補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座補助具に係り、特に、シート上に載置され、着座者の着座を補助する着座補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用シートや椅子などに対して着脱可能に設けられ、着座者の姿勢を補助するクッション部(同文献ではセンターパッド又はバックパッドと呼ばれる)を備えたシートクッションが開示されている。このシートクッションでは、ベースとなるベースクッションの表面に配置された第1面ファスナと、姿勢を補助するクッション部の裏面に配置された第2面ファスナとを係合させることにより、クッション部を着脱可能に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/033467号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される着脱構造は、面ファスナ同士が係合することによる固定であるため、着座者が姿勢を変えたり、乗降したりした場合に、係合していた面ファスナが外れ、クッション部がずれてしまうおそれがあった。そのため、意図しないクッション部の着脱を抑制する手段が求められていた。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、着脱可能なクッション部の意図しない着脱が抑制された着座補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の着座補助具によれば、シート上に載置された状態で着座者の臀部を支持する着座補助具であって、本体部と、該本体部に対して着脱可能なクッション部とを備え、前記クッション部は、表皮材により被覆されるクッション部本体と、該クッション部本体の外周端部から外側に延び、前記本体部と係合する第1係合部と、該第1係合部の先端において、前記第1係合部の一部に対して着脱可能に設けられ、前記本体部と前記第1係合部との係合を維持する固着部と、を有し、前記本体部は前記第1係合部が係合する第1被係合部を有し、前記着座補助具は、前記第1係合部と前記第1被係合部とからなり、前記第1係合部の着脱を抑制する着脱抑制部を備えることにより解決される。
【0007】
本体部から着脱可能なクッション部を備えるため、クッション部のみを取り外して交換したり洗濯したりすることができる。また、第1係合部が、第1被係合部から着脱することを抑制する着脱抑制部を備えるため、例えば、着座者が前後方向又は左右方向に移動した際の意図しない着脱を抑制することができる。
【0008】
また、上記の構成において、前記本体部の前記第1被係合部には、前記第1係合部が挿通される挿通孔が形成されており、前記第1係合部は、前記クッション部本体から延び、前記本体部の表側に配置される延出部と、該延出部から連続して延び、前記挿通孔に挿通された後、折り返して前記本体部の裏側に配置される折り返し部と、該折り返し部から連続して延び、先端に前記固着部を有する係止部と、を備えるとよい。
着脱抑制部が、折り返し部と、係合部に固着される固着部とからなることで、本体部の表側に露出しない部位で、係合させることができるため、着座者の臀部や腰部の移動による意図しない着脱を抑制することができる。
【0009】
また、上記の構成において、前記本体部の前記第1被係合部は、前記第1係合部の前記係止部が掛けられる引掛け部を有し、前記係止部の前記固着部は、前記折り返し部に固着されるとよい。
第1係合部が、引掛け部に掛けられ、固着部が折り返し部に固着することで、強固に係合することができる。また、着座者の臀部や腰部の移動よる意図しない着脱を抑制することができる。
【0010】
また、上記の構成において、前記クッション部本体は、前記本体部と係合する第2係合部を有し、前記本体部は、前記第2係合部と係合する第2被係合部を有し、前記第2係合部は、前記クッション部本体から突出する突出部であり、前記第2被係合部は、前記突出部と対応する位置に形成された貫通孔であり、前記突出部が前記貫通孔に挿通することにより、前記クッション部が前記本体部に取り付けられるとよい。
更に、第2係合部と第2被係合部とにより係合しているため、より強固に固定することができる。また、第2係合部と第2被係合部とによる係合は、突出部と貫通孔とによるものであるため、着脱が容易で、クッション部の交換を簡単にすることができる。
【0011】
また、上記の構成において、前記本体部は、前記臀部と当接する臀部支持部と、前記臀部支持部の後端部から上方に立ち上がる立ち上がり部と、を有し、前記クッション部本体は、前記臀部支持部と前記立ち上がり部とに亘って配置され、前記臀部支持部には、少なくとも前記臀部支持部に配置された前記クッション部本体の一部により覆われる範囲に開口部が形成されているとよい。
開口部が形成されること通気性が向上し、着座者の臀部とクッション部との間で蒸れることを抑制することができる。
【0012】
また、上記の構成において、前記第1被係合部は、前記開口部の外周部に配置されており、前記クッション部の一部が前記開口部に重なった状態で、前記第1係合部は、前記第1被係合部と係合するとよい。
第1被係合部を開口部の外周部に配置することで、例えば使用者は裏返すことでクッション部を容易に着脱することができる。また、使用時においては、着座者の荷重により、クッション部が開口部から下がるため第1係合部が引っ張られ、第1被係合部から外れ難くなり、着座者の意図しない着脱を抑制することができる。
【0013】
また、上記の構成において、前記立ち上がり部には、温熱体を収納可能なポケット部が設けられているとよい。
ポケット部に、カイロやヒータ等の温熱体を収容することで、着座者の腰部、特に仙骨を加熱することができる。
【0014】
また、上記の構成において、前記本体部の裏面には、円弧状に延び、前記着座補助具の回転方向を案内するガイド凸部が形成されているとよい。
着座者が着座又は立ち上がるとき、ガイド凸部が、着座補助具が載置されるシート上で回転するときのガイドの機能を果たすため、シートに対して着座補助具を所定の回転方向に回転させることが容易にできる。
【0015】
また、上記の構成において、前記本体部の裏面には、複数の凸部が形成されているとよい。
複数の凸部が載置されるシートの着座面と当接し、滑り止めの機能を果たすため、シートの着座面において着座補助具が摺動することを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本体部から着脱可能なクッション部を備えるため、クッション部のみを取り外して交換したり洗濯したりすることができる。また、第1係合部が、第1被係合部から着脱することを抑制する着脱抑制部を備えるため、例えば、着座者が前後方向又は左右方向に移動した際の意図しない着脱を抑制することができる。
また、着脱抑制部が、折り返し部と、係合部に固着される固着部とからなることで、本体部の表側に露出しない部位で、係合させることができるため、着座者の臀部や腰部の移動による意図しない着脱を抑制することができる。
また、第1係合部が、引掛け部に掛けられることで、強固に係合することができる。また、固着部が折り返し部に固着することで、着座者の臀部や腰部の移動による意図しない着脱を抑制することができる。
また、更に、第2係合部と第2被係合部とにより係合しているため、より強固に係合することができる。また、第2係合部と第2被係合部とによる係合は、突出部と貫通孔とによるものであるため、着脱が容易で、クッション部の交換を簡単にすることができる。
また、開口部が形成されていること通気性が向上し、着座者の臀部とクッション部との間で蒸れることを抑制することができる。
また、第1被係合部を開口部の外周部に配置することで、使用者は裏返すことでクッション部を容易に着脱することができる。また、使用時においては、着座者の荷重によりクッション部本体が開口部から下がるため第1係合部が引っ張られ、第1被係合部から外れ難くなり、意図しない着脱を抑制することができる。
また、ポケット部に、カイロやヒータ等の温熱体を収容することで、着座者の腰部、特に仙骨を加熱することができる。
また、着座者が着座又は立ち上がるとき、ガイド凸部が、着座補助具が載置されるシート上で回転するときのガイドの機能を果たすため、シートに対して着座補助具を所定の回転方向に回転させることが容易にできる。
また、複数の凸部が載置されるシートの着座面と当接し、滑り止めの機能を果たすため、シートの着座面において着座補助具が摺動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る着座補助具を示す外観斜視図であり、着座補助具が乗物用シートに載置された状態を示す図である。
図2】本体部からクッション部を取り外した状態を示す、着座補助具の分解斜視図である。
図3】着座補助具を前方から見た正面図である。
図4】着座補助具を下方から見た下面図である。
図5図1のA-A線に沿った断面図であり、第1係合手段である第1係合部と第1被係合部とが係合した状態を示す図である。
図6図1のB-B線に沿った断面図であり、第2係合手段である第2係合部と第2被係合部とが係合した状態を示す図である。
図7】着座補助具の別例を示す下面図であり、裏面に配置された凸部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る着座補助具の構成について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例であり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0019】
なお、以下では、着座補助具の一例として、車両に搭載される乗物用シートに載置される着座補助具を挙げ、その構成例について説明する。乗物用シートは、車両に搭載される乗物用シートに限定されず、車両以外の乗物(例えば、航空機や船舶)に搭載されたシートにも載置可能であり、また、乗物用シート以外のシート、例えば椅子、ソファに載置され、着座者の着座を補助するために利用されてもよい。
【0020】
<乗物用シートS>
先ず、図1に基づいて、本実施形態の着座補助具10が載置される乗物用シートSの主な構成について説明する。なお、以下において、前後、左右、上下の各方向は、乗物用シートSの着座者から見た各方向と一致することとする。
【0021】
乗物用シートSは、一般的な車両用シートと同じ構造を有しており、図1に示すように、着座者の臀部を支持するシートバック1、背部を支持するシートクッション2、頭部を支持するヘッドレスト3から構成されている。シートバック1及びシートクッション2は、それぞれ、内部にフレームを有し、フレームにパッド材を支持させた後、パッド材の表面を表皮材で覆うことで構成されている。
【0022】
<着座補助具10>
着座補助具10は、乗物用シートS上に載置された状態で、乗員(着座者)の臀部を支持する着座補助具である。車両の乗員が、乗物用シートSに着座している間、乗員の姿勢を補正したり、着座を補助したりする目的で利用される。例えば、乗員が着座することにより、乗員の骨盤等の位置が変位し、それにより、乗員の着座姿勢が補正される。また、着座補助具10を載置することで、例えば、乗り心地を改善したり、乗物用シートSが汚れたりすることを抑制する。
【0023】
着座補助具10は、本体部20と、本体部20に対して着脱可能なクッション部30とを備えている。本体部20は、樹脂製で断面がL字形に形成されたフレーム21を備える。着座補助具10は、二つの係合手段(第1係合手段11、第2係合手段12)により、着脱可能にクッション部30を本体部20に着脱可能に取り付けている。
また、クッション部30を本体部20に取り付けた状態において、着座補助具10の下面は下方に突出する球面状となるように形成されている。
【0024】
<本体部20>
本体部20は、図2に示すように、主に着座者の臀部を支持する本体側臀部支持部20a(臀部支持部)と、本体側臀部支持部20aの後端部から上方に立ち上がる本体側立ち上がり部20b(立ち上がり部)とから構成されている。本体側立ち上がり部20bは、着座者の腰部と当接し、支持することが可能である。
本体側臀部支持部20aには、クッション部30(より具体的にはクッション部本体31)が配置される開口部20cが形成されている。
本体部20は、骨格となる板状のフレーム21を有する。フレーム21には、本体側臀部支持部20aに、クッションとなる第1マット部22aが配置され、本体側立ち上がり部20bに、着座者の腰部(特に仙骨の部分)を支持する第2マット部22bが配置されている。
【0025】
開口部20cの周囲には、第1係合手段11として、クッション部30の第1係合部35と係合する第1被係合部25が形成されている。また、本体側立ち上がり部20bには、第2係合手段として、クッション部30の第2係合部36と係合する第2被係合部26が設けられている。
【0026】
<クッション部30>
クッション部30は、本体部20に対して着脱可能に設けられる部材であり、表皮材34により被覆されるクッション部本体31を有する。
また、クッション部30は、主に着座者の臀部を支持するクッション側臀部支持部30aと、腰部を支持するクッション側立ち上がり部30bとから構成されている。
クッション側立ち上がり部30bは、図6に示すようにパッド部材33とその表面を覆う表皮材34と、パッド部材33を支持するフレーム32とから構成されている。クッション側立ち上がり部30bには、後述するポケット部37が設けられてもよい。
【0027】
クッション部30のクッション側臀部支持部30aには、図2に示すように、第1係合手段11として、クッション部本体31の外周端部から外側に延び、本体部20と係合する第1係合部35が設けられている。
第1係合部35は、複数設けられており、その先端において、第1係合部35の一部に対して着脱可能に設けられ、本体部20と第1係合部35との係合を維持する固着部35dを有する。固着部35dは、例えば、スナップ等の留め金具である。
【0028】
また、クッション部30のクッション側立ち上がり部30bには、第2係合手段12として、本体部20に形成された第2被係合部26と係合する第2係合部36が設けられている。第2係合部36の詳細については後述する。
【0029】
<第1係合部35及び第1被係合部25,着脱抑制部40>
また、第1係合手段11である第1係合部35及び第1被係合部25は、着脱抑制部40を構成している。以下、着脱抑制部40の構造について説明する。
【0030】
本体部20の第1被係合部25には、図2及び図5に示すように、第1係合部35が挿通される挿通孔25aと、第1係合部35の先端(係止部35c)が引掛けられる引掛け部25bが形成されている。
第1係合部35は、クッション部本体31から延び、本体部20の表側に配置される延出部35aを有する。また、第1係合部35は、延出部35aから連続して延び、挿通孔25aに挿通された後、折り返して本体部20の裏側に配置される折り返し部35bを有する。また、折り返し部35bから連続して延び、先端に固着部35dを有する係止部35cを有する。
係止部35cは、図5に示すように、本体部20の引掛け部25bに掛けられ、掛けられた後、係止部35cの先端に配置された固着部35dが、折り返し部35bに固着される。
【0031】
第1係合部35を挿通孔25aに通してから固着部35dで係合を維持しているため、臀部が移動した程度では、第1係合部35を第1被係合部25から取り外すことができない。そのため、着座者が前後方向又は左右方向に移動した際の意図しない着脱を抑制することができる。また、着座者(使用者)は、取り外しを所望するときは、固着部の固着を外し、挿通孔から、第1係合部を引き抜くことにより、第1係合部35と第1被係合部25との係合が解除され、クッション部30を取り外すことができる。
クッション部30を着脱可能にすることで、経血漏れ等でクッション部30が汚れた場合でも容易に交換することができる。また、クッション部30を洗濯することも可能となる。温め機能や蒸れ対策のための空調機能等、他の機能をクッション部30に追加した場合でも、容易に差し替えることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、本体部20に引掛け部25bを形成し引掛けた後、折り返し部35bと固着しているが、これは一例であり、例えば、挿通孔25aに通した後、固着部35dを、延出部35aの裏面に留めるように構成してもよい。
【0033】
<開口部20c>
クッション部30は、図2に示すように、本体部20の本体側臀部支持部20aと、本体側立ち上がり部20bとに亘って配置されている。また、本体部20には、クッション部の一部、より具体的には、クッション側臀部支持部30aに覆われる範囲に開口部20cが形成されている。開口部20cが形成されることにより、通気性が向上し、着座者の臀部とクッション部と間で蒸れることを抑制することができる。
【0034】
図2に示すように、第1被係合部25は、開口部20cの外周部に配置されている。そして、クッション部30の一部、より詳しくは、クッション側臀部支持部30aが開口部20cに重なった状態で、第1係合部35は、第1被係合部25と係合している。
第1被係合部25を開口部20cの外周部に配置することで、着座者(使用者)は裏返すことでクッション部30を容易に着脱することができる。また、使用時においては、着座者の荷重によりクッション部本体31が開口部20cから下がるため第1係合部35が引っ張られ、第1被係合部25から外れ難くなり、意図しない着脱を抑制することができる。
【0035】
<第2係合部36及び第2被係合部26>
次に、第2係合手段12について図6を用いて説明する。上述したようにクッション部本体は、本体部20と係合する第2係合部36を有する。また本体部は、第2係合部36と係合する第2被係合部26を有する。
第2係合部36は、クッション側立ち上がり部30bに配置されており、後方に向けてクッション側立ち上がり部30bのフレーム32から突出する突出部として形成されている。
【0036】
第2被係合部26は、突出部と対応する位置に形成された貫通孔26aである。貫通孔26aは、本体部20のフレーム21に形成される。突出部が貫通孔26aに挿通することにより、クッション部30が本体部20に取り付けられる。
突出部の先端には、図5に示すように、貫通孔26aの直径より若干大きい直径で形成された球状の膨出部36aが設けられており、貫通孔26aに挿通された後は、第2係合部36は、貫通孔26aから抜けにくくなっている。
このように、第2係合手段12を設けることで、クッション部30を本体部20により強固に固定することができる。また、第2係合部36と第2被係合部26とによる係合は、突出部と貫通孔とによるものであるため、着脱が容易で、クッション部30の交換を簡単にすることができる。
【0037】
<ポケット部37>
クッション部30のクッション側立ち上がり部30bには、温熱体を収納可能なポケット部37が設けられている。温熱体は例えば、カイロやヒータ等である。温熱体の代わりに振動体やエアセルが収納されてもよい。ポケット部37に温熱体を収容することで、着座者の腰部、特に仙骨を加温することができる。また、振動体やエアセルを収容させれば、着座者の仙骨周辺をマッサージすることができる。
【0038】
<ガイド凸部28>
本体部20の裏面20dには、図4に示すように、開口部20cの前方において、円弧状に延びるガイド凸部28が形成されている。
着座者が着座又は立ち上がるとき、鉛直方向を軸として着座補助具が回転すると便利である。円弧上に延びるガイド凸部28を設けることで、ガイド凸部28が、着座補助具10の回転方向を案内するようになる。そのため、着座者が着座又は立ち上がるとき、ガイド凸部28がガイドの機能を果たし、着座者は、容易に着座補助具10を所定の回転方向に回転させることができる。
【0039】
<滑り止め部29>
着座補助具10の別例を図7に示す。図7に示す着座補助具10Aのように、複数の滑り止め部29が本体部20の裏面20dに設けられてもよい。複数の滑り止め部29は、裏面20dから下方に突出した複数の凸部から構成される。なお、滑り止め部29は、裏面20dに形成された複数の凹部により構成されてもよい。また、滑り止め部29は、凸部と凹部とを組み合わせて構成されてもよい。また、点状の凸部ではなく、線状に形成された凸部で構成されてもよい。滑り止め部29により、乗物用シートSの着座面における着座補助具10の摺動を抑制できる。
【0040】
以上、図を用いて、本実施形態の着座補助具10について説明した。上記説明では、乗物用シートSに載置される着座補助具10を例として説明したが、着座補助具10は、乗物用シートSに限らず、通常の椅子、ソファ等に載置されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
S 乗物用シート
1 シートバック
2 シートクッション
3 ヘッドレスト
10 着座補助具
11 第1係合手段
12 第2係合手段
20 本体部
20a 本体側臀部支持部(臀部支持部)
20b 本体側立ち上がり部(立ち上がり部)
20c 開口部
20d 裏面
21 フレーム
22a 第1マット部(臀部側)
22b 第2マット部(腰部側)
25 第1被係合部
25a 挿通孔
25b 引掛け部
26 第2被係合部
26a 貫通孔
28 ガイド凸部
29 滑り止め部(凸部)
30 クッション部
30a クッション側臀部支持部
30b クッション側立ち上がり部
31 クッション部本体
32 フレーム
33 パッド部材
34 表皮材
35 第1係合部
35a 延出部
35b 折り返し部
35c 係止部
35d 固着部
36 第2係合部
36a 膨出部
37 ポケット部
40 着脱抑制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7