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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055757
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】超音波発生装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20240411BHJP
   B06B 1/02 20060101ALI20240411BHJP
   H04R 1/30 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H04R17/00 331
B06B1/02 K
H04R1/30 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114792
(22)【出願日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2022162403
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】三浦 光
(72)【発明者】
【氏名】柘植 真吾
【テーマコード(参考)】
5D019
5D107
【Fターム(参考)】
5D019AA25
5D019BB16
5D019EE02
5D019GG08
5D107AA13
5D107FF03
(57)【要約】
【課題】全長変更の自由度を向上させ、小型化が可能な超音波発生装置を提供する。
【解決手段】縦振動を発生させる振動子ユニット2と、振動子ユニット2に接続されると共に縦振動から超音波を生成して空中に放射する超音波放射体3とを備え、超音波放射体3が、振動子ユニット2が接続される振動子接続部4と、振動子接続部4を介して伝達される縦振動の少なくとも一部を横振動に変換するコニカルホーン5と、コニカルホーン5に接続されると共に、横振動が伝達されてたわみ振動することで超音波を放射するたわみ振動板6とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦振動を発生させる振動子ユニットと、
前記振動子ユニットに接続されると共に前記縦振動から超音波を生成して空中に放射する超音波放射体と
を備え、
前記超音波放射体は、
前記振動子ユニットが接続される振動子接続部と、
前記振動子接続部を介して伝達される前記縦振動の少なくとも一部を横振動に変換する横振動生成部と、
前記横振動生成部に接続されると共に、前記横振動が伝達されてたわみ振動することで前記超音波を放射する振動板と
を有する
ことを特徴とする超音波発生装置。
【請求項2】
前記横振動生成部は、前記縦振動の進行方向と直交する断面積が、前記振動子ユニットから遠ざかるに連れて減少するホーンであることを特徴とする請求項1記載の超音波発生装置。
【請求項3】
前記ホーンは、
反対方向を向くと共に、前記振動子ユニットから遠ざかるに連れて互いに近づく第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面は、前記縦振動の進行方向に対する傾斜角度が異なる
ことを特徴とする請求項2記載の超音波発生装置。
【請求項4】
前記超音波放射体は、複数の前記振動板を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の超音波発生装置。
【請求項5】
複数の前記振動板は、互いの間に定在波が形成可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項4記載の超音波発生装置。
【請求項6】
複数の前記振動板の各々に対して、前記横振動生成部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の超音波発生装置。
【請求項7】
単一の前記振動子接続部に対して、単一の前記横振動生成部と、単一の前記振動板とが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の超音波発生装置。
【請求項8】
前記横振動生成部は、前記縦振動の進行方向と直交する断面積が、前記振動子ユニットから遠ざかるに連れて減少するホーンであり、
前記ホーンは、
反対方向を向くと共に、前記振動子ユニットから遠ざかるに連れて互いに近づく第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面は、前記縦振動の進行方向に対する傾斜角度が異なり、
前記横振動の振動方向における前記振動子接続部の中心位置に対して近い側に前記第1傾斜面が位置し、前記中心位置に対して遠い側に前記第2傾斜面が位置し、前記第1傾斜面の前記傾斜角度は前記第2傾斜面の前記傾斜角度よりも大きい
ことを特徴とする請求項7記載の超音波発生装置。
【請求項9】
前記振動子接続部は、複数の側面を有する直方体形状に形成され、
前記横振動生成部は、前記縦振動の進行方向と直交する断面積が、前記振動子ユニットから遠ざかるに連れて減少するホーンであり、
前記ホーンは、前記振動子接続部の前記側面と面一の平滑面と、前記平滑面と反対側を向く反対側傾斜面とを有し、
前記振動板の片面は、前記平滑面と面一である
ことを特徴とする請求項7記載の超音波発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、超音波音源が開示されている。特許文献1に開示された超音波音源は、振動子と、振幅拡大用ホーンと、共振棒と、振動板とを備えている。振動子は、縦振動を生成する。振動子で生成された縦振動は、振幅拡大用ホーンで振幅が増大され、共振棒を介して振動板に伝達される。振動板は、縦振動が伝達されることでたわむように振動し、超音波を空中に放射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5083970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1に開示された超音波音源は、振動子と、振幅拡大用ホーンと、共振棒との各々は、縦振動に共振するように、使用周波数(振動子で生成される縦振動の周波数)に基づいて設定されている。例えば、振動子と、振幅拡大用ホーンと、共振棒との各々は、縦振動の波長の半分の長さに形成されている。このように、特許文献1に開示された超音波音源は、全長が使用周波数に依存して決定するため、全長を任意に変更することが難しい。このため、特許文献1に開示された超音波音源は、全長を短くして小型化することが困難であった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、全長変更の自由度を向上させ、小型化が可能な超音波発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、超音波発生装置であって、縦振動を発生させる振動子ユニットと、上記振動子ユニットに接続されると共に上記縦振動から超音波を生成して空中に放射する超音波放射体とを備え、上記超音波放射体が、上記振動子ユニットが接続される振動子接続部と、上記振動子接続部を介して伝達される上記縦振動の少なくとも一部を横振動に変換する横振動生成部と、上記横振動生成部に接続されると共に、上記横振動が伝達されてたわみ振動することで上記超音波を放射する振動板とを有するという構成を採用する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記横振動生成部が、上記縦振動の進行方向と直交する断面積が、上記振動子ユニットから遠ざかるに連れて減少するホーンであるという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記ホーンが、反対方向を向くと共に、上記振動子ユニットから遠ざかるに連れて互いに近づく第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、上記第1傾斜面及び上記第2傾斜面は、上記縦振動の進行方向に対する傾斜角度が異なるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第1~第3のいずれか一つの態様において、上記超音波放射体が、複数の上記振動板を有するという構成を採用する。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様において、複数の上記振動板が、互いの間に定在波が形成可能な位置に配置されているという構成を採用する。
【0012】
本発明の第6の態様は、上記第4または第5の態様において、複数の上記振動板の各々に対して、上記横振動生成部が設けられているという構成を採用する。
【0013】
本発明の第7の態様は、上記第1~第3のいずれかの態様において、単一の前記振動子接続部に対して、単一の前記横振動生成部と、単一の前記振動板とが設けられているという構成を採用する。
【0014】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、前記横振動生成部が、前記縦振動の進行方向と直交する断面積が、前記振動子ユニットから遠ざかるに連れて減少するホーンであり、前記ホーンは、反対方向を向くと共に、前記振動子ユニットから遠ざかるに連れて互いに近づく第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面は、前記縦振動の進行方向に対する傾斜角度が異なり、前記横振動の振動方向における前記振動子接続部の中心位置に対して近い側に前記第1傾斜面が位置し、前記中心位置に対して遠い側に前記第2傾斜面が位置し、前記第1傾斜面の前記傾斜角度は前記第2傾斜面の前記傾斜角度よりも大きいという構成を採用する。
【0015】
本発明の第9の態様は、上記第7の態様において、前記振動子接続部が、複数の側面を有する直方体形状に形成され、前記横振動生成部が、前記縦振動の進行方向と直交する断面積が、前記振動子ユニットから遠ざかるに連れて減少するホーンであり、前記ホーンが、前記振動子接続部の前記側面と面一の平滑面と、前記平滑面と反対側を向く反対側傾斜面とを有し、前記振動板の片面が、前記平滑面と面一であるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、振動子ユニットに接続される超音波放射体を備える。また、超音波放射体は、縦振動を横振動に変更する横振動生成部を有する。さらに、振動板は横振動が伝達されることでたわみ振動する。このような超音波放射体は、縦振動に対して共振しなくても超音波を放射することができる。このため、超音波放射体の進行方向における長さ寸法(全長)は、振動子ユニットで生成される縦振動の波長に依存して設定する必要がなく、任意に設定することができる。よって、本発明の超音波発生装置は、全長変更の自由度が向上し、小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態における超音波発生装置の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態における超音波発生装置が備える超音波放射体の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
図3】本発明の一実施例における超音波発生装置でのアドミタンス特性の測定結果を示す図である。
図4】本発明の一実施例における超音波発生装置でのたわみ振動板の振動変位の測定結果を示す図である。
図5】本発明の一実施例における超音波発生装置でのたわみ振動板間の音圧の測定結果を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態における超音波発生装置の斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態における超音波発生装置が備える超音波放射体の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
図8】本発明の第3実施形態における超音波発生装置の斜視図である。
図9】本発明の第3実施形態における超音波発生装置が備える超音波放射体の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
図10】本発明の第4実施形態における超音波発生装置の斜視図である。
図11】本発明の第4実施形態における超音波発生装置が備える超音波放射体の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
図12】本発明の第5実施形態における超音波発生装置の斜視図である。
図13】本発明の第5実施形態における超音波発生装置が備える超音波放射体の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る超音波発生装置の一実施形態について説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の超音波発生装置1の斜視図である。本実施形態の超音波発生装置1は、給電されることで超音波を空中に放射する超音波源である。図1に示すように、本実施形態の超音波発生装置1は、振動子ユニット2と、超音波放射体3とを備える。
【0020】
本実施形態の超音波発生装置1の設置姿勢は特に限定されるものではない。ただし、以下の説明においては、便宜上、図1に示すように、振動子ユニット2と超音波放射体3との配列方向をy方向とする。また、y方向と直交する第1の方向をx方向とし、y方向及びx方向と直交する方向をz方向とする。なお、z方向は、超音波放射体3の後述する2つのたわみ振動板6が配列される方向とする。
【0021】
振動子ユニット2は、振動(超音波振動)を発生させるユニットであり、複数の圧電素子2aと、ホルダ2bとを備えている。振動子ユニット2は、全体として、軸芯Lを有する略円柱形状に形成されている。振動子ユニット2は、軸芯Lがy方向と平行となるように配置されている。
【0022】
複数の圧電素子2aは、y方向に積層配置されている。各々の圧電素子2aは、給電されることでy方向を振幅方向として振動する。つまり、これらの圧電素子2aは、給電されることで、y方向(軸芯Lに沿う方向)に進行する縦振動を発生させる。なお、圧電素子2aに換えて、磁歪素子、電歪素子などの電気機械変換素子を用いることも可能である。ホルダ2bは、複数の圧電素子2aをy方向の両側から間に挟んで挟持する。
【0023】
このような振動子ユニット2としては、例えば、強力な超音波振動を発生させるボルト締めランジュバン型振動子(BLT:Bolt-clamped Langevin type Transducer)を好適に用いることができる。このような振動子ユニット2は、図示を省略する電源回路(電源)から供給される電力によって駆動される。
【0024】
例えば、振動子ユニット2の全長(y方向の長さ寸法)は、圧電素子2aに発生させる縦振動の波長の2分の1に設定されている。このように、振動子ユニット2の全長を設定することで、振動子ユニット2を、縦振動に対して共振させることができる。
【0025】
超音波放射体3は、振動子ユニット2に対してy方向から接続されている。つまり、上述のように、振動子ユニット2と超音波放射体3とは、y方向に配列されている。この超音波放射体3は、振動子ユニット2から伝達される縦振動から超音波を生成して空中に放射する部位である。超音波放射体3は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金(例えばジュラルミン)、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、鉄等によって、後述する複数の部位(振動子接続部4、コニカルホーン5、及び、たわみ振動板6)が一体的に形成される。このような超音波放射体3は、例えば、止めネジによって、振動子ユニット2に固定されている。
【0026】
図2は、超音波放射体3の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。これらの図に示すように、本実施形態において超音波放射体3は、振動子接続部4と、コニカルホーン5(横振動生成部)と、たわみ振動板6(振動板)とを有する。
【0027】
振動子接続部4は、振動子ユニット2に対して接続される部位である。振動子接続部4は、振動子ユニット2に向けられた振動子接続面4aを有する直方体形状に形成されている。振動子接続面4aは、例えば、上述の止めネジが螺合されるネジ孔が形成されている。
【0028】
また、振動子接続部4は、振動子接続面4aと反対側には、コニカルホーン5が設けられている。上述のように振動子接続部4とコニカルホーン5とは一体的に形成されている。このため、振動子接続部4とコニカルホーン5との境界面は、視認可能に設けられていない。ただし、説明の便宜上、振動子接続部4のコニカルホーン5側の面をコニカルホーン設置面4bと称する。このコニカルホーン設置面4bは、x-z平面と平行な面である。
【0029】
コニカルホーン5は、振動子接続部4のコニカルホーン設置面4bから、振動子ユニット2と反対側の方向に突出するように形成されている。本実施形態においては、コニカルホーン5は、たわみ振動板6ごとに設けられている。本実施形態において、たわみ振動板は2つ設けられているため、コニカルホーン5も2つ設けられている。
【0030】
各々のコニカルホーン5は、振動子ユニット2から伝達された縦振動の一部の成分を横振動に変換する。より具体的には、各々のコニカルホーン5は、縦振動の一部の成分を、z方向を変位方向(振幅方向)とする横振動に変換する。また、各々のコニカルホーン5は、縦振動の進行方向(y方向)と直交する断面積(x-z平面における断面積)が、振動子ユニット2から遠ざかるに連れて減少する。このようなコニカルホーン5は、縦振動及び横振動の振幅を増幅させる。
【0031】
各々のコニカルホーン5の形状をより詳しく説明する。図2に示すように、各々のコニカルホーン5は、4つの側面を有し、z方向から見た形状とx方向から見た形状との各々が台形となるように形成されている。本実施形態では、2つのコニカルホーン5は、振動子ユニット2の軸芯Lを含むx-y平面を対称面とした対称形に形成されている。なお、4つの側面のうち、他のコニカルホーン5側を向く面を第1面5aと称し、第1面5aと反対側の面を第2面5bと称し、残りの2つの面を第3面5c及び第4面5dと称する。
【0032】
図2(b)に示すように、第1面5a(第1傾斜面)及び第2面5b(第2傾斜面)は、反対方向を向いており、振動子ユニット2から遠ざかるに連れて互いに近づくように傾斜している。第1面5aのy方向(縦振動の進行方向)に対する傾斜角度α1は、第2面5bのy方向に対する傾斜角度α2よりも大きい。つまり、本実施形態においては、第1面5a及び第2面5bは、y方向に対する傾斜角度が異なる。このため、第1面5aのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法は、第2面5bのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法よりも大きい。なお、第1面5aのy方向(縦振動の進行方向)に対する傾斜角度α1は、第2面5bのy方向に対する傾斜角度α2よりも小さくてもよい。
【0033】
これらの第1面5a及び第2面5bは、コニカルホーン5の内部を伝わる縦振動を反射する。縦振動が第1面5aあるいは第2面5bに反射すると、z方向を変位方向とする振動成分(横振動成分)が発生する。ここで、第1面5a及び第2面5bの縦振動の進行方向に対する傾斜角度が異なるため、第1面5aで発生した横振動成分と第2面5bで発生した横振動成分との強さに差が生じ、この結果、コニカルホーン5がz方向に振動する。すなわち、コニカルホーン5において、z方向の横振動が生成される。
【0034】
図2(c)に示すように、第3面5c及び第4面5dは、反対方向を向いており、振動子ユニット2から遠ざかるに連れて互いに近づくように傾斜している。第3面5cのy方向(縦振動の進行方向)に対する傾斜角度α3は、第4面5dのy方向に対する傾斜角度α4と同一である。つまり、本実施形態においては、第3面5c及び第4面5dは、y方向に対する傾斜角度が同じである。このため、第3面5cのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法は、第4面5dのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法と同じである。
【0035】
これらの第3面5c及び第4面5dは、コニカルホーン5の内部を伝わる縦振動を反射する。縦振動が第3面5cあるいは第4面5dに反射すると、x方向を変位方向とする振動成分が発生する。第3面5c及び第4面5dの縦振動の進行方向に対する傾斜角度が同じであるため、互いのx方向の振動成分が打ち消し合い、コニカルホーン5のx方向の振動が抑制される。
【0036】
このように、本実施形態において、各々のコニカルホーン5は、振動子ユニット2から伝達される縦振動の一部を、z方向を変位方向(振幅方向)とする横振動に変換する。このような横振動は、各々のコニカルホーン5に接続されたたわみ振動板6に伝達される。なお、本実施形態では、x-z断面における断面積がy方向に一定の割合で変化するコニカルホーン5を用いたが、x-z断面における断面積がy方向に指数関数的に変化するエクスポネンシャルホーンを用いてもよい。
【0037】
たわみ振動板6は、2つ設けられており、各々のコニカルホーン5の先端(振動子接続部4と反対側の端部)に1つずつ接続されている。各々のたわみ振動板6は、z方向に表裏面が向けられた平板状の部位である。2つのたわみ振動板6は、z方向に離間して配列されている。
【0038】
各々のたわみ振動板6は、コニカルホーン5から伝達される横振動によって、z方向を変位方向(振幅方向)とするように、たわみ振動する。各々のたわみ振動板6がたわみ振動することで、たわみ振動板6から音波が空中に放射される。本実施形態では、振動子ユニット2で生成する縦振動が超音波振動であり、たわみ振動板6からは、超音波が空中に放射される。
【0039】
これらのたわみ振動板6は、互いの間に定在波が形成可能な位置に配置されている。2つのたわみ振動板6の間に定在波が形成される距離は、たわみ振動板6が放射する超音波の周波数に基づいて定まる。また、たわみ振動板6が放射する超音波の周波数は、振動子ユニット2で生成される縦振動の周波数に基づいて定まる。つまり、たわみ振動板6の離間距離は、振動子ユニット2で生成される縦振動の周波数に基づいて設定されている。
【0040】
上述のように、超音波放射体3においては、コニカルホーン5とたわみ振動板6とが一体化されている。このような超音波放射体3は、振動子ユニット2に接続されると共に縦振動から超音波を生成して空中に放射する。超音波放射体3の全長(y方向における長さ寸法)は、縦振動の波長に依存して設定する必要がなく、任意に設定することができる。ただし、超音波放射体3の全長は、縦振動の波長の2分の1としてもよい。
【0041】
このような本実施形態の超音波発生装置1では、振動子ユニット2に給電されることで、振動子ユニット2がy方向に進行する縦振動を生成する。振動子ユニット2で生成された縦振動は、超音波放射体3に伝達される。超音波放射体3に伝達された縦振動は、振動子接続部4を介して、各々のコニカルホーン5に伝わる。各々のコニカルホーン5に伝達された縦振動は、コニカルホーン5の第1面5aでz方向に反射する。この結果、コニカルホーン5が横振動する。つまり、コニカルホーン5によって、縦振動が横振動に変換される。コニカルホーン5で発生した横振動は、たわみ振動板6に伝わる。各々のたわみ振動板6に横振動が伝わることで、各々のたわみ振動板6がたわみ振動し、超音波が空中に放射される。また、2つのたわみ振動板6の間には定在波が形成され、効率的に音圧の大きな超音波が放射される。
【0042】
以上のような本実施形態の超音波発生装置1は、振動子ユニット2と、超音波放射体3とを備える。振動子ユニット2は、縦振動を発生させる。超音波放射体3は、振動子ユニット2に接続されると共に縦振動から超音波を生成して空中に放射する。また、超音波放射体3は、振動子接続部4と、コニカルホーン5と、たわみ振動板6とを有する。振動子接続部4は、振動子ユニット2が接続される。コニカルホーン5は、振動子接続部4を介して伝達される縦振動の少なくとも一部を横振動に変換する。たわみ振動板6は、コニカルホーン5に接続されると共に、横振動が伝達されてたわみ振動することで超音波を放射する。
【0043】
このように本実施形態の超音波発生装置1は、振動子ユニット2に接続される超音波放射体3を備える。また、超音波放射体3は、縦振動を横振動に変更するコニカルホーン5を有する。さらに、たわみ振動板6は横振動が伝達されることでたわみ振動する。このような超音波放射体3は、縦振動に対して共振しなくても超音波を放射することができる。このため、超音波放射体3の進行方向における長さ寸法(全長)は、振動子ユニット2で生成される縦振動の波長に依存して設定する必要がなく、任意に設定することができる。よって、本実施形態の超音波発生装置1は、全長変更の自由度が向上し、小型化が可能である。
【0044】
また、本実施形態の超音波発生装置1において、コニカルホーン5は、縦振動の進行方向と直交する断面積が、振動子ユニット2から遠ざかるに連れて減少するホーンである。このため、コニカルホーン5で横振動を生成すると共に、振動の振幅を増大させてたわみ振動板6に伝達することができる。
【0045】
また、本実施形態の超音波発生装置1は、コニカルホーン5が、反対方向を向くと共に、振動子ユニットから遠ざかるに連れて互いに近づく第1面5a及び第2面5bを有する。また、第1面5a及び第2面5bは、縦振動の進行方向に対する傾斜角度が異なる。このため、本実施形態の超音波発生装置1は、簡素な形状のコニカルホーン5によって横振動を生成することができる。
【0046】
また、本実施形態の超音波発生装置1において、超音波放射体3は、複数のたわみ振動板6を有する。このような本実施形態の超音波発生装置1によれば、超音波放射体3の複数の部位から超音波を放射することができる。
【0047】
また、本実施形態の超音波発生装置1において、複数のたわみ振動板6は、互いの間に定在波が形成可能な位置に配置されている。複数のたわみ振動板6の間に定在波が形成されることで、効率的に音圧の大きな超音波を放射することができる。
【0048】
また、本実施形態の超音波発生装置1は、複数のたわみ振動板6の各々に対して、コニカルホーン5が設けられている。このような本実施形態の超音波発生装置1によれば、各々のコニカルホーン5の形状を、たわみ振動板6の位置や振動のさせ方に応じて変化させることができる。このため、例えば、複数のたわみ振動板6を容易に定在波が形成可能な位置に配置することができる。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態においては、たわみ振動板6が2つ設けられた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、単一のたわみ振動板6を備える構成を採用することもできる。また、3つ以上のたわみ振動板6を備える構成を採用することもできる。
【0051】
また、上記実施形態においては、1つのコニカルホーン5に対して1つのたわみ振動板6が設けられた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つのコニカルホーン5に対して複数のたわみ振動板6を設ける構成を採用することも可能である。
【0052】
また、上記実施形態においては、コニカルホーン5にて、横振動の生成と振幅の増大とを行った。しかしながら、これらのうち横振動の生成のみを行う横振動生成部を備える構成を採用することも可能である。
【0053】
[実施例]
続いて、超音波発生装置1の実施例について説明する。本実施例では、共振周波数が28kHzとなるように超音波発生装置1を設計した。本実施例では、振動子ユニット2のy方向の全長と、超音波放射体3のy方向の全長とを、各々縦振動の半波長とした。つまり、本実施例の超音波発生装置1のy方向の全長は、縦振動の1波長である。
【0054】
本実施例では、振動子ユニット2は、28kHz用のボルト締めランジュバン型縦振動子を用いた。振動子ユニット2は、y方向の全長は89mmであり、直径が40mmである。
【0055】
本実施例における超音波放射体3の形状は、有限要素法を用いた数値シミュレーションに基づいて、以下のようにした。超音波放射体3のy方向の全長は89mmである。また、振動子接続部4は、x方向の長さ寸法が40mm、y方向の長さ寸法が20mm、z方向の長さ寸法が40mmである。各々のコニカルホーン5は、x方向の長さ寸法が40mm、y方向の長さ寸法が30mm、z方向の長さ寸法が20mmである。
【0056】
また、各々のたわみ振動板6は、x方向の幅寸法が20mm、y方向の長さ寸法が39mm、z方向の厚さ寸法が4mmである。また、各々のたわみ振動板6は、y方向から見て、x方向における両端の各々がコニカルホーン5の両端の各々から10mmに位置するように配置されている。さらに、2つのたわみ振動板6の離間寸法は24.6mmである。2つのたわみ振動板6の離間寸法は、たわみ振動板6から放射される音波の波長(12.3mm)の2倍である。各々のたわみ振動板6のx方向の幅寸法は、x方向にたわみ振動の節ができない寸法とした。また、各々のたわみ振動板6のy方向の幅寸法は、y方向にたわみ振動の節ができる寸法とした。
【0057】
(超音波発生装置のアドミタンス特性)
振動子ユニット2を取り付けた超音波発生装置1のアドミタンス特性を測定した。測定はインピーダンスアナライザを用いた。また、圧電素子2aの駆動電圧(実効値)を1.0Vで一定として行った。図3は、本実施例におけるアドミタンス特性を測定結果である。図3において、横軸はコンダクタンスを示し、縦軸はサセプタンスを示す。共振周波数は28.34kHzであり、この時のコンダクタンスは6.2mS(インピーダンス約160Ω)で、尖鋭度Qは約2800であった。
【0058】
(たわみ振動板の振動変位)
超音波放射体3のたわみ振動分布を知るために、たわみ振動板6の振動変位を測定した。なお、xyz直交座標系の原点Oは、図2(a)に示すように、一方のたわみ振動板6の先端角部とした。振動変位の測定の範囲は、z方向が0mmの位置のx-y平面で、x方向が0mmから20mmで、y方向が0mmから40mmである。たわみ振動板6の振動変位の測定は、振動子ユニット2への入力電力が0.10Wで、周波数が28.34kHzで一定として行った。図4は、本実施例におけるたわみ振動板6の振動変位の測定結果である。図4において、横軸はy方向の距離を示し、縦軸はx方向の距離を示す。図4に示すように、振動変位振幅はx方向にはほぼ一様であり、y軸方向には5mmと21mm付近に振動の節があり、30mm付近に大きな振動の腹があることが分かる。
【0059】
(たわみ振動板間の音圧)
超音波放射体3の2枚のたわみ振動板6の間の音圧を知るために、たわみ振動板6の間の音圧をプローブ付きマイクロホン(直径1mm)で測定した。測定範囲は、x方向が10mmで一定の位置のy-z平面で、y方向が0mmから40mmで、z方向が5mmから23mmである。音圧の測定は、振動子ユニット2への入力電力が0.10Wで、周波数が28.33kHzで一定として行った。図5は、本実施例におけるたわみ振動板6の間の音圧の測定結果である。図5において、横軸はy方向の距離を示し、縦軸はz方向の距離を示している。図5に示すように、測定した範囲には6個の音圧の腹があることが分かる。この内、y方向の距離が28mmから38mm付近の3カ所の音圧の腹位置の値は大きく、12mmから16mm付近の3カ所の音圧の腹位置の値は比較的小さい。両者ともz方向にはほぼ直線状に並んでおり、この方向の音圧の腹から腹までの距離が約6mmであることから、周波数28kHzの空気中の半波長とほぼ一致することが分かった。また、図4に示した振動変位振幅の結果と比較すると、音圧が大きい位置は、振動変位振幅が大きい位置であるy方向の距離30mm付近とほぼ一致していることが分かる。
【0060】
本実施例では、コニカルホーン5及びたわみ振動板6が超音波放射体3として一体化された状態で、定在波音場を形成する方法が検討された。その結果、全長が縦振動の1/2波長の長さでありながら、空中に定在波音場を形成できることが明らかになった。
【0061】
(第2実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0062】
図6は、本実施形態の超音波発生装置1Aの斜視図である。また、図7は、本実施形態の超音波発生装置1Aが備える超音波放射体3の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
【0063】
図6及び図7に示すように、本実施形態の超音波発生装置1Aの超音波放射体3は、上記第1実施形態に2つずつ設けられたコニカルホーン5及びたわみ振動板6を1つずつ備える。つまり、本実施形態における超音波放射体3は、単一の振動子接続部4に対して、単一のコニカルホーン5と、単一のたわみ振動板6とが設けられている。
【0064】
振動子接続部4のコニカルホーン設置面4bは、z方向における中心位置4b1から一方の半分の範囲にコニカルホーン5が設けられている。コニカルホーン設置面4bの他方の半分の範囲には、コニカルホーン5は設けられていない。つまり、本実施形態において、コニカルホーン設置面4bの半分は、露出面4cである。なお、コニカルホーン設置面4bにて、コニカルホーン5が設けられている範囲と露出面4cとの割合は変更可能である。コニカルホーン設置面4bにて、コニカルホーン5が設けられている範囲と露出面4cとの割合を変更することで、第1面5aの傾斜角度α1と、第2面5bの傾斜角度α2とを変更可能である。
【0065】
上記実施形態と同様に、本実施形態においても、第1面5aのy方向に対する傾斜角度α1は、第2面5bのy方向に対する傾斜角度α2よりも大きい。このため、第1面5aのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法は、第2面5bのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法よりも大きい。
【0066】
また、第1面5aは、振動子接続部4のz方向における中心位置4b1と接続されている。また、第2面5bは、振動子接続部4のz方向側の端部(-z側の端部)に接続されている。つまり、図7(b)に示すように、横振動の振動方向であるz方向における振動子接続部4の中心位置4b1に対して近い側に第1面5aが位置し、中心位置4b1に対して遠い側に第2面5bが位置している。
【0067】
このような本実施形態の超音波発生装置1Aは、単一のたわみ振動板6がたわみ振動する。この結果、たわみ振動板6から超音波が空中に放射される。なお、このような超音波発生装置1Aは、ツール等に超音波振動を付与する用途に用いることも可能である。例えば、たわみ振動板6にツールを接続することで、ツールを超音波振動させることが可能である。このような超音波発生装置1Aは、例えばたわみ振動板6に液滴を落下させて微粒化させる微粒化装置や、たわみ振動板6を液中に浸漬させて霧化する霧化装置として用いることも可能である。
【0068】
また、本実施形態の超音波発生装置1Aにおいて、第1面5a及び第2面5bは、縦振動の進行方向に対する傾斜角度が異なる。さらに、横振動の振動方向における振動子接続部4の中心位置4b1に対して近い側に第1面5aが位置し、中心位置4b1に対して遠い側に第2面5bが位置する。また、第1面5aの傾斜角度α1は第2面5bの傾斜角度α2よりも大きい。
【0069】
このような本実施形態の超音波発生装置1Aでは、コニカルホーン5の先端に接続されたたわみ振動板6のz方向の位置は、第1面5aの傾斜角度α1が第2面5bの傾斜角度α2よりも小さい場合と比較して、中心位置4b1に対して外側となる。z方向において、コニカルホーン設置面4bの中心位置4b1に対して外側の方が大きなたわみ振動を得ることができる。このため、本実施形態の超音波発生装置1Aは、第1面5aの傾斜角度α1は第2面5bの傾斜角度α2よりも小さい場合よりもたわみ振動板6において大きなたわみ振動を得ることができる。
【0070】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態あるいは上記第2実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0071】
図8は、本実施形態の超音波発生装置1Bの斜視図である。また、図9は、本実施形態の超音波発生装置1Bが備える超音波放射体3の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
【0072】
図8及び図9に示すように、本実施形態の超音波発生装置1Bの超音波放射体3は、上記第1実施形態に2つずつ設けられたコニカルホーン5及びたわみ振動板6を1つずつ備える。つまり、本実施形態における超音波放射体3は、上記第2実施形態と同様に、単一の振動子接続部4に対して、単一のコニカルホーン5と、単一のたわみ振動板6とが設けられている。
【0073】
本実施形態の超音波発生装置1Bでは、振動子接続部4のコニカルホーン設置面4bの全面を覆うように、コニカルホーン5が設けられている。また、上記実施形態と同様に、本実施形態においても、第1面5aのy方向に対する傾斜角度α1は、第2面5bのy方向に対する傾斜角度α2よりも大きい。このため、第1面5aのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法は、第2面5bのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法よりも大きい。また、第1面5aは、振動子接続部4のz方向における一方の端部(+z側の端部)と接続されている。また、第2面5bは、振動子接続部4のz方向側の他方の端部(-z側の端部)に接続されている。
【0074】
このような本実施形態の超音波発生装置1Bは、単一のたわみ振動板6がたわみ振動する。この結果、たわみ振動板6から超音波が空中に放射される。なお、このような超音波発生装置1Bも、上記第2実施形態の超音波発生装置1Aと同様に、ツール等に超音波振動を付与する用途に用いることも可能である。例えば、たわみ振動板6にツールを接続することで、ツールを超音波振動させることが可能である。
【0075】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態、上記第2実施形態あるいは上記第3実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0076】
図10は、本実施形態の超音波発生装置1Cの斜視図である。また、図11は、本実施形態の超音波発生装置1Cが備える超音波放射体3の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
【0077】
図10及び図11に示すように、本実施形態の超音波発生装置1Cの超音波放射体3は、上記第1実施形態に2つずつ設けられたコニカルホーン5及びたわみ振動板6を1つずつ備える。つまり、本実施形態における超音波放射体3は、上記第2実施形態及び第3実施形態と同様に、単一の振動子接続部4に対して、単一のコニカルホーン5と、単一のたわみ振動板6とが設けられている。
【0078】
本実施形態の超音波発生装置1Cでは、振動子接続部4のコニカルホーン設置面4bのz方向における端部を除く中央部を覆うように、コニカルホーン5が設けられている。第1面5aは、振動子接続部4のz方向における一方の端部(+z側の端部)よりも中心側にてコニカルホーン設置面4bと接続されている。また、第2面5bは、振動子接続部4のz方向側の端部(-z側の端部)よりも中心側にてコニカルホーン設置面4bと接続されている。このため、本実施形態では、コニカルホーン設置面4bのz方向における各々の端部からコニカルホーン5までの間に、コニカルホーン5が設けられていない露出面4cが形成されている。
【0079】
また、上記実施形態と同様に、本実施形態においても、第1面5aのy方向に対する傾斜角度α1は、第2面5bのy方向に対する傾斜角度α2よりも大きい。このため、第1面5aのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法は、第2面5bのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法よりも大きい。
【0080】
このような本実施形態の超音波発生装置1Cは、単一のたわみ振動板6がたわみ振動する。この結果、たわみ振動板6から超音波が空中に放射される。なお、このような超音波発生装置1Cも、上記第2実施形態の超音波発生装置1A及び上記第3実施形態の超音波発生装置1Bと同様に、ツール等に超音波振動を付与する用途に用いることも可能である。例えば、たわみ振動板6にツールを接続することで、ツールを超音波振動させることが可能である。
【0081】
(第5実施形態)
次に、図12及び図13を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0082】
図12は、本実施形態の超音波発生装置1Dの斜視図である。また、図13は、本実施形態の超音波発生装置1Dが備える超音波放射体3の三面図であり、(a)がy方向から見た図であり、(b)がx方向から見た図であり、(c)がz方向から見た図である。
【0083】
図12及び図13に示すように、本実施形態の超音波発生装置1Dの超音波放射体3は、上記第1実施形態に2つずつ設けられたコニカルホーン5及びたわみ振動板6を1つずつ備える。つまり、本実施形態における超音波放射体3は、単一の振動子接続部4に対して、単一のコニカルホーン5と、単一のたわみ振動板6とが設けられている。
【0084】
振動子接続部4のコニカルホーン設置面4bは、z方向における中心位置4b1から一方の半分の範囲にコニカルホーン5が設けられている。コニカルホーン設置面4bの他方の半分の範囲には、コニカルホーン5は設けられていない。つまり、本実施形態において、コニカルホーン設置面4bの半分は、露出面4cである。なお、コニカルホーン設置面4bにて、コニカルホーン5が設けられている範囲と露出面4cとの割合は変更可能である。コニカルホーン設置面4bにて、コニカルホーン5が設けられている範囲と露出面4cとの割合を変更することで、第1面5aの傾斜角度α1と、第2面5bの傾斜角度α2とを変更可能である。
【0085】
本実施形態においては、第1面5aのy方向に対する傾斜角度α1は、0°よりも大きい。一方で、第2面5bは、y方向に対する傾きは0°であり、振動子接続部4の1つの側面4dと同一平面内に位置している。つまり、本実施形態において第2面5bは、複数の側面4dを有する直方体形状に形成された振動子接続部4の1つの側面4dと面一の平滑面である。また、たわみ振動板6の片面6aは、第2面5bと面一である。つまり、本実施形態では、振動子接続部4の1つの側面4dと、コニカルホーン5の第2面5bと、たわみ振動板6の片面6aとが、同一平面内に位置する。
【0086】
なお、第1面5aのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法は、第2面5bのコニカルホーン設置面4bからたわみ振動板6までの長さ寸法よりも大きい。また、第1面5aは、振動子接続部4のz方向における中心位置4b1と接続されている。つまり、横振動の振動方向であるz方向における振動子接続部4の中心位置4b1に対して近い側に第1面5aが位置し、中心位置4b1に対して遠い側に第2面5bが位置している。
【0087】
このような本実施形態の超音波発生装置1Dは、単一のたわみ振動板6がたわみ振動する。この結果、たわみ振動板6から超音波が空中に放射される。なお、このような超音波発生装置1Dは、上記第2実施形態の超音波発生装置1Aと同様に、ツール等に超音波振動を付与する用途に用いることも可能である。例えば、たわみ振動板6にツールを接続することで、ツールを超音波振動させることが可能である。
【0088】
また、本実施形態の超音波発生装置1Dにおいて、コニカルホーン5は、振動子接続部4の側面4dと面一の平滑面である第2面5bと、平滑面と反対側を向く反対側傾斜面である第1面5aとを有する。また、たわみ振動板6の片面6aは、平滑面と面一である。このため、コニカルホーン5の先端に接続されたたわみ振動板6のz方向の位置は、第2面5bのたわみ振動板6側の端部が第1面5a側に向かうように第2面5bが傾斜している場合と比較して、中心位置4b1に対して外側となる。z方向において、コニカルホーン設置面4bの中心位置4b1に対して外側のほうが大きなたわみ振動を得ることができる。このため、本実施形態の超音波発生装置1Dは、たわみ振動板6において大きなたわみ振動を得ることができる。
【0089】
また、本実施形態の超音波発生装置1Dにおいては、振動子接続部4の1つの側面4dと、コニカルホーン5の第2面5bと、たわみ振動板6の片面6aとが、同一平面内に位置する。このため、削出し等の方法で超音波放射体3を形成する場合に、振動子接続部4の1つの側面4dと、コニカルホーン5の第2面5bと、たわみ振動板6の片面6aとを平面状に形成することができ、容易に形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1……超音波発生装置、1A~1D……超音波発生装置、2……振動子ユニット、3……超音波放射体、4……振動子接続部、4a……振動子接続面、4b……コニカルホーン設置面、4c……露出面、4d……側面、5……コニカルホーン(横振動生成部、ホーン)、5a……第1面(第1傾斜面)、5b……第2面(第2傾斜面)、5c……第3面、5d……第4面、6……たわみ振動板(振動板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13