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特開2024-55758蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055758
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20240411BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D77/20 H
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118720
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2023080015の分割
【原出願日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】63/344,399
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2022164372
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB26
3E067BA07A
3E067BA18A
3E067BB03A
3E067BC03A
3E067CA10
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA37
3E067EB05
3E067EE24
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蓋体付き容器の状態で蓋体からの内容物の吹き出しを抑制可能な蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせを提供する。
【解決手段】蓋体が、開口部と開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、本体は、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、差し込み部は、差し込み孔を覆う孔蓋部と、孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、脆弱化部は、本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、差し込み孔は、差し込み部に対して本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、差し込み孔が形成される場合には、非貫通部が破断され、破断された非貫通部が孔蓋部の外周縁の一部に破断面を形成し、孔蓋部が破断面とともに変位し、且つ、破断面の少なくとも一部が孔蓋部の先端部に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、
前記本体は、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、
前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、
前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、
前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、
前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記破断面の少なくとも一部が前記孔蓋部の先端部に位置する、
蓋体。
【請求項2】
開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、
前記本体は、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、
前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、
前記孔蓋部は、前記本体の平面視上、凸型状の輪郭部分を形成する角部を有し、
前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、
前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、
前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記破断面の少なくとも一部が前記孔蓋部の前記角部に位置する、
蓋体。
【請求項3】
前記非貫通部が破断された場合に複数の前記破断面が形成され、少なくとも一つの前記破断面のうちの少なくとも一部が前記孔蓋部の前記先端部に位置する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
前記脆弱化部は、複数の前記非貫通部を有し、
前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって少なくとも一つの前記非貫通部が破断される、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項5】
前記差し込み部は、複数の前記孔蓋部を有し、
前記差し込み孔が形成される場合には、
それぞれの前記孔蓋部の前記外周縁の一部に、前記破断面が形成される、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項6】
前記非貫通部は、前記本体を該本体の厚み方向に所定の深さまで切り込んだハーフカット構造を有する、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項7】
前記脆弱化部は、前記非貫通部の周囲に少なくとも3つの前記切り込み部を形成した構造を有する、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項8】
隆起部が形成されており、
前記隆起部の形成領域内に前記差し込み部が形成されている。
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項9】
前記本体は、紙系素材で形成されている、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項10】
前記容器の前記縁部に沿って前記容器に接合される領域に対応する接合領域対応部と、前記接合領域対応部から内側の部分で構成される蓋領域対応部とを有し、
前記差し込み部は、前記蓋領域対応部に形成されている、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項11】
前記本体の外周囲には、側壁が設けられており、
前記側壁は、前記容器の前記縁部に沿って前記容器に係止することができるように構成されている、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項12】
前記切り込み部は、周面部と端部を有し、
異なる2つの前記切り込み部をそれぞれ第1の切り込み部と第2の切り込み部とした場合に、少なくとも一組の前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部の配置は、前記第1の切り込み部の前記端部と前記第2の切り込み部の前記周面部との間に前記非貫通部が形成されているような配置となっている、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の蓋体と、
前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有し、
前記蓋体を前記容器に接合した、
蓋体付き容器。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の蓋体と、
前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
開口部を形成した容器に飲食料品等(以下においては「内容物」とも言う。)を収容して蓋体を取り付けた蓋体付き容器の状態で提供することが広く行われている。
【0003】
容器に取り付けられる蓋体としては、環境負荷軽減の観点から、紙系素材を用いたものを用いることが求められている。容器に蓋体を取り付ける方法としては、熱プレス等の方法を用いて蓋体を容器の上端の開口部の外周を形成する縁部に接合する方法(シール法)が知られている。蓋体に収容された内容物が清涼飲料や炭酸飲料等の液体である場合に、内容物を摂取する方法として、特許文献1には、蓋体に差し込み孔を形成するための差し込み部を形成しておき、差し込み部にストローなどを差し入れて内容物を吸い出す方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-153382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、使用者が蓋体付き容器を持って移動する際における蓋体付き容器の振動で差し込み部から内容物が漏れ出し、特に、内容物が炭酸飲料のように気体を生じるものである場合には、差し込み部から内容物が噴き出してしまう虞がある。また、蓋体が紙系素材等といった吸湿性や吸水性が存在する可能性を有する材質で形成されている場合には、差し込み部に隙間が形成されやすく、差し込み部から内容物が噴き出してしまう虞が高まる。したがって、蓋体からの内容物の吹き出しを抑制する点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、蓋体付き容器の状態で蓋体からの内容物の噴き出しを抑制可能な蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次の(1)から(13)にかかる発明を要旨としている。
【0008】
(1)開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、前記本体は、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記破断面の少なくとも一部が前記孔蓋部の先端部に位置する、蓋体。
(2)開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、前記本体は、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、前記孔蓋部は、前記本体の平面視上、凸型状の輪郭部分を形成する角部を有し、前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記破断面の少なくとも一部が前記孔蓋部の前記角部に位置する、蓋体。
(3)前記非貫通部が破断された場合に複数の前記破断面が形成され、少なくとも一つの前記破断面のうちの少なくとも一部が前記孔蓋部の先端部に位置する、上記(1)に記載の蓋体。
(4)前記脆弱化部は、複数の前記非貫通部を有し、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって少なくとも一つの前記非貫通部が破断される、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(5)前記差し込み部は、複数の前記孔蓋部を有し、前記差し込み孔が形成される場合には、それぞれの前記孔蓋部の前記外周縁の一部に、前記破断面が形成される、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(6)前記非貫通部は、前記本体を該本体の厚み方向に所定の深さまで切り込んだハーフカット構造を有する、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(7)前記脆弱化部は、前記非貫通部の周囲に少なくとも3つの前記切り込み部を形成した構造を有する、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(8)隆起部が形成されており、前記隆起部の形成領域内に前記差し込み部が形成されている。上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(9)前記本体は、紙系素材で形成されている、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(10)前記容器の前記縁部に沿って前記容器に接合される領域に対応する接合領域対応部と、前記接合領域対応部から内側の部分で構成される蓋領域対応部とを有し、前記差し込み部は、前記蓋領域対応部に形成されている、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(11)前記本体の外周囲には、側壁が設けられており、前記側壁は、前記容器の前記縁部に沿って前記容器に係止することができるように構成されている、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(12)前記切り込み部は、周面部と端部を有し、異なる2つの前記切り込み部をそれぞれ第1の切り込み部と第2の切り込み部とした場合に、少なくとも一組の前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部の配置は、前記第1の切り込み部の前記端部と前記第2の切り込み部の前記周面部との間に前記非貫通部が形成されているような配置となっている、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(13)上記(1)又は(2)に記載の蓋体と、前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有し、前記蓋体を前記容器に接合した、蓋体付き容器。
(14)上記(1)又は(2)に記載の蓋体と、前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有する、蓋体と容器の組み合わせ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋体付き容器の状態で蓋体からの内容物の噴き出しを抑制可能な蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、第1の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。図1Bは、図1AのA-A線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。図1Cは、第1の実施形態にかかる蓋体の他の一実施例について、図1AのA-A線縦断面に対応した部分の断面を模式的に示す断面図である。
図2図2Aは、第1の実施形態にかかる蓋体の一実施例において差し込み孔を形成した状態を模式的に示す平面図である。図2Bは、図2AのB-B線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図3図3Aは、蓋体付き容器の一実施例を表す平面図である。図3Bは、図3AのC-C線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図4図4Aから図4Hは、第1の実施形態の変型例1にかかる蓋体の一実施例における脆弱化部のレイアウトの例を示す図である。
図5図5Aは、第1の実施形態の変形例2にかかる蓋体の他の一実施例を表す平面図である。図5Bは、図5AのD-D線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図6図6Aは、第2の実施形態にかかる蓋体の一実施例を表す平面図である。図6Bは、図6AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図7図7Aは、第2の実施形態にかかる蓋体の一実施例において差し込み孔を形成した状態を模式的に示す平面図である。図7Bは、図7AのF-F線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図8図8Aから図8Eは、第2の実施形態の変型例1にかかる蓋体の一実施例における脆弱化部のレイアウトの例を示す図である。
図9図9Aは、第3の実施形態の第1例にかかる蓋体の一実施例を表す斜視図である。図9Bは、図9AのG-G線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図10図10Aは、第3の実施形態の第2例にかかる蓋体の一実施例を表す斜視図である。図10Bは、図10AのH-H線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図11図11Aは、蓋体付き容器の一実施例を表す平面図である。図12Bは、図11AのI-I線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る蓋体について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係る蓋体は、コーヒーカップのような各種の飲料物を入れる容器(カップ)に対して用いられる蓋体を例として挙げて説明するが、飲料物を入れる容器の蓋体に限定されるものではなく、飲料物以外の食料品を収容する容器の蓋体としても適用することが可能である。また、本発明に係る蓋体は、飲食物以外の各種物品、例えばボルトやナット等といった部品や、上記した以外の物品を収容することのできる容器にも適用することができる。さらに、本発明に係る蓋体は、平面視したときの形状が円形状であるものの例を用いて以下においては説明するが、蓋体の形状は平面視したときに円形状であるものに限定されることはなく、楕円形状、矩形状、三角形状などの多角形状、面取り矩形状、面取り多角形状等、円形状以外の各種の形状にも適用することができる。
【0012】
以下、本発明に関係した第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態及び適用例について、順次、図面を参照しながら説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、これらの実施の形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して、前後、左右、上下等の方向及び水平面の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。図1から図11の例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)、X軸方向を前後方向(後側が+X方向、前側が-X方向)であるものとし、Z軸方向を法線とする平面上に定められた互いに直交するX軸及びY軸に沿った方向をX軸方向及びY軸方向とし、さらにX軸とY軸で貼られた平面であるXY平面が水平面であるものとし、これらに基づき説明を行う。図1から図11の各図に示す大きさ等の相対的な大小比率は便宜上の記載であり、特に限定しない限り、実際の大小比率を限定するものではない。
【0014】
[1 第1の実施形態]
[1-1 構成]
第1の実施形態にかかる蓋体1は、本体2を有する。
【0015】
(本体)
本体2は、図3A図3B等を用いて後述するように、開口部102と開口部102の外周を形成する上端縁部となる縁部103とを有する容器101に接触可能に形成されている。図3A図3Bは、図1A図1Bに示す蓋体1を容器101に取り付けた蓋体付き容器150の例を示す斜視図、断面図である。図3Aの例では、容器101に、上下方向の上端側に開口部102が設けられている。第1の実施形態における蓋体1は、縁部103に沿って本体2を接合された状態とされることで蓋体付き容器150に用いることができるものである。図3Bは、図3AのC-C線縦断面を模式的に示す断面図である。なお、容器101としては、開口部102の縁部103に可撓性を有するものがより好ましく用いられる。ただし、これらのことは容器101が、金属製の容器など可撓性の少ないあるいはほとんど認められないような容器であることを禁止するものではない。
【0016】
第1の実施形態にかかる蓋体1は、本体2に接合領域Rを有する。蓋体1において、蓋体1の平面視上、縁部103に接合される領域を接合領域Rと呼ぶ。図1Aにおいては、本体2における接合領域Rに対応する領域は、ハッチングを用いて示す部分のうち対向面73側の領域である。図1Aは、第1の実施形態にかかる蓋体1の一実施例を模式的に示す平面図である。
【0017】
接合領域Rは、図1Aの例では、容器101の開口部102に応じた形状で開口部102に沿っておおむね環状に形成される領域に対応している。
【0018】
第1の実施形態にかかる蓋体1の本体2は、図1A図1Bに示すように接合領域対応部5Aと蓋領域対応部5Bとを有する。図1Bは、図1AのA-A線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【0019】
(接合領域対応部)
接合領域対応部5Aは、蓋体1のうち容器101の縁部103に沿って容器101に接合される領域に対応する部分である。すなわち、接合領域対応部5Aは、接合領域R(容器101の縁部103に向かい合う領域且つ容器101に接合される領域)に対応した蓋体1の部分である。接合領域対応部5Aは、蓋体付き容器150においては、蓋体1のうち蓋体1と容器101との接合部151を形成する部分である。具体的には、蓋体1の平面視上(図1Aの例ではZ軸方向(上下方向)を視線方向とした場合)、接合領域Rを形成する部分が接合領域対応部5Aとして定められる。接合領域対応部5Aは、通常、図1Aに示すように環状に形成されている。特に、図1Aに示すように、容器101の縁部103がおおむね円環状に形成されている場合には、接合領域Rが円環状となり、接合領域対応部5Aについても蓋体1の平面視上、おおむね円環状となる。接合領域対応部5Aの外縁は、接合領域Rの外縁の位置に応じて定められる。接合領域対応部5Aの外縁は、蓋体1の外周縁に位置していてもよいし、図1Aの例に示すように蓋体1の外周縁よりも内側に位置してもよい。蓋体1と容器101との接合領域Rが連続的に形成されていない場合には、隣り合う接合領域Rで挟まれた部分且つ縁部103に向かい合う部分についても後述する接合領域対応部5Aに含まれるものとする。
【0020】
(蓋領域対応部)
蓋領域対応部5Bは、蓋体1のうち接合領域対応部5Aから内側の部分である。すなわち蓋領域対応部5Bは接合領域対応部5Aの内縁端から内側の部分であり、蓋領域対応部5Bの外周端が接合領域対応部5Aの内縁端に共通する。蓋領域対応部5Bは、蓋体付き容器150において開口部102を覆う部分となっている。なお、図1Aの例に示すように、蓋体1の蓋領域対応部5Bの外周端から外側の部分は、外側領域対応部5Cと称呼される。
【0021】
(差し込み部)
本体2は、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部6を有する。差し込み孔HLは、外部から部材を差し込み可能な孔であり、外部から差し込まれる部材としては、具体的には、ストロー等が例示される。差し込み孔HLは、図2A図2Bに示すように差し込み部6に対して本体2の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成される。この場合、孔蓋部7が押し開けられた状態となり、押し開けられたことで形成された孔状の開口部分が差し込み孔HLとなる。図2Aは、第1の実施形態にかかる蓋体1において差し込み部6に対して外部から下方向(-Z方向)に応力が負荷されたことで、差し込み孔HLが形成される状態を示す図である。図2Bは、図2AのB-B線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【0022】
差し込み部6の位置は、特に限定されないが、図1Aの例では、蓋領域対応部5Bに形成されている。また、この例では、蓋領域対応部5Bの中心CTの付近に形成されている。なお、差し込み部6を形成する後述する切り込み部10の配置は、図1Aの例に限定されない。図1Aに示す差し込み部6を適宜回転させた状態となるように、切り込み部10の位置が定められてよい。
【0023】
差し込み部6は、孔蓋部7と脆弱化部8とを有している。
【0024】
(孔蓋部)
孔蓋部7は、差し込み孔HLを覆う部分で構成されている。孔蓋部7は、差し込み孔HLが形成される際(押し開けられる際)のヒンジ部となる部分(ヒンジ対応部9)と後述する脆弱化部8とで囲まれた部分となっており、図1Aの例では、脆弱化部8を形成する非貫通部11の周囲に、4つ形成されている。この例では、2つの孔蓋部7は、切り込み部10を境界として区分されている。なお、差し込み孔HLが形成される場合には、特定の位置を軸として孔蓋部7が一定の角度で回動する場合のみならず、ヒンジ対応部9を基端(孔蓋部7の基端)として孔蓋部7の先端部7A側にむかって孔蓋部7が徐々に湾曲しながら変位する場合が含まれるものとする。
【0025】
(脆弱化部)
脆弱化部8は、孔蓋部7の外周縁70の少なくとも一部を形成する部分であり、ヒンジ対応部9とともに孔蓋部7の輪郭を形成しうる部分となる。脆弱化部8は、切り込み部10と非貫通部11を有する。脆弱化部8は、その脆弱化部8に対して持ち上げる又は押し下げる力が加えられて本体2に分断部分を形成する際に、分断を生じる位置(分断位置)を案内する。例えば、図1Aの例では、差し込み部6に対応する部分を露出面72側から対向面73側に押し下げる力が加えられると、図2A図2Bに示すように非貫通部11が破壊されて破断面12を生じ、破断面12と切り込み部10を形成する断面に沿うように分断を生じるとともに孔蓋部7が押し下げられ、差し込み孔HLが形成される(差し込み孔HLが開口した状態となる)。
【0026】
(切り込み部)
切り込み部10は、本体2をその本体2の厚み方向(Z軸方向)に貫通する。切り込み部10は、本体2に複数形成されている。図1Aの例では、それぞれの切り込み部10は、直線状の切り込み線となるように形成されているがこれは一例である。なお、図1Aでは、説明の便宜上、切り込み部10にある程度大きな幅を持たせた状態で切り込み部10が図示されている。このことは、図2から図11についても同様である。
【0027】
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、例えば、図4C図4D等で示すように切り込み部10は曲線状に形成されてもよい。また、切り込み部10は、後述する非貫通部11の周囲に放射状に配置されているが、これも一例であって、このような配置に限定されるものではない。ただし、後述するように破断面の少なくとも一部を孔蓋部7の先端部に位置させる構成が形成されやすい観点からは、切り込み部10が非貫通部11の周囲に放射状に配置されていることが好ましい。切り込み部10は、本体2の一方面(露出面72)から他方面(対向面73)まで上下方向(厚み方向、Z軸方向)に切り込まれた構造(貫通させた構造)を有している。切り込み部10は、周面部20と端部21を有する。周面部20は、切り込み部10の長手方向に延びており、端部21が切り込み端(周面部20の端)に形成されている。なお、切り込み部10は、ガス抜き部として機能させることができる。ここに、ガス抜き部とは、本体2の一方面側から他方面側(対向面73側から露出面72側)に気体を通過させることができる部分を示す。
【0028】
なお、脆弱化部8においては、非貫通部11の周囲に少なくとも2つの切り込み部10を形成した構造が形成されており、図4Aに示すように好ましくは3つ以上の切り込み部10を形成した構造が形成されている。非貫通部11の周囲に少なくとも3つの切り込み部10が形成されていれば、非貫通部11の破壊で形成された破断面12を孔蓋部7の先端部7Aに位置させた状態で非貫通部11に対応した位置の周囲を取り巻くように孔蓋部7を形成した状態を形成することができ、ストロー等を差し込み孔HLに差し入れた際に孔蓋部7で均等にストロー等を支えることが容易となる。なお、この観点では、図1Aに示すように、非貫通部11の周囲に4つの切り込み部10が形成されてもよいし、図4Bに示すように非貫通部11の周囲に5つ以上の切り込み部10(図4Bの例では6つの切り込み部10が形成されている)が形成されてもよい。
【0029】
(非貫通部)
非貫通部11は、脆弱化部8のうち本体2を貫通させることを避けた部分となっている。非貫通部11は、孔蓋部7の外周縁70のうちヒンジ対応部9と周面部20を除く部分(破断面)を形成することを予定された部分として定めることができる。図1Aの例では、切り込み部10が非貫通部11の周囲に放射状に配置された状態となるように非貫通部11の配置が定められている。また、非貫通部11は、図1Aの例では、本体2に切り込みの形成を避けた部分(連続部)として形成されている。ただし、非貫通部11が、本体2の途中まで切り込まれた部分(本体2を貫通させない程度に所定の深さまで切り込んだハーフカット構造を形成した部分)であることを禁止するものでなく、例えば、非貫通部11は、図1Cに示すように、ハーフカット構造を有する部分(ハーフカット部16)であってもよい。図1Cは、非貫通部11がハーフカット構造を有する場合の一実施例を示す断面図である。なお、ハーフカット部16とは、本体2の厚み方向に本体2の厚みの半分まで切れ込まれた部分に限定されない。ハーフカット部16は、本体2を貫通させることを避けつつ本体2の厚みの半分以上切れ込まれた構造や、本体2の厚みの半分に満たない程度に本体2の厚み方向に切れ込まれた構造を含む。
【0030】
非貫通部11の形成数は、図1Aの例では1つであるが、非貫通部11の形成数が複数であってもよい。例えば、図4Dの例では、切り込み部10が湾曲線状に形成されており、2つの異なる切り込み部10の端部21の間に非貫通部11が3つ設けられている。
【0031】
(破断面)
差し込み部6に負荷された応力によって差し込み孔HLが形成される場合には、非貫通部11が破断され、それに伴い孔蓋部7が押し開けられ、そして破断された非貫通部11が孔蓋部7の外周縁70の一部に破断面12を形成する。本明細書における破断面12は、差し込み部6に負荷された応力によって本体2を形成する部材が引き裂かれたことで形成される面である。
【0032】
(孔蓋部、非貫通部、切り込み部と破断面の相互関係)
蓋体1において差し込み孔HLが形成される場合には、差し込み部6に負荷された外力の作用で孔蓋部7が押された状態(外力の作用する方向に孔蓋部7の先端部7A側が押し出された状態)となり、孔蓋部7の先端部7A側が押しだされる際に、孔蓋部7が破断面12とともに変位する。第1の実施形態にかかる蓋体1においては、このとき、破断面12の少なくとも一部が孔蓋部7の先端部7Aに位置している。破断面12は、非貫通部11の破断の状態に応じた形状に形成される。図1Aの例では、孔蓋部7の先端部7Aに破断面12が形成された状態が形成される。例えば、非貫通部11が十字に切り裂かれて破断面12が形成された場合には、それぞれの孔蓋部7の先端部7Aが角状(尖形状)に形成されるとともに孔蓋部7の外周縁70のうち先端部7Aに対応する部分の端面が破断面12で形成された状態となる。
【0033】
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、非貫通部11が破断された場合において複数の破断面12が形成される場合、少なくとも一つの破断面12のうちの少なくとも一部が孔蓋部7の先端部7Aに位置する。例えば、非貫通部11が破断されて2つの破断面12が形成された場合に、少なくとも1つの破断面12については、その一部が、孔蓋部7の先端部7Aに位置するように形成されればよい。
【0034】
図1Aに示すように差し込み部6が複数の孔蓋部7を有する場合にあって差し込み孔HLが形成される場合には、少なくとも一つの孔蓋部7の先端部7Aに破断面12が形成されていればよい。ただし、それぞれの孔蓋部7について、孔蓋部7の外周縁70の一部には破断面12が形成される。
【0035】
(本体の材質)
本体2の材質は、環境負荷軽減の観点から、紙系素材で形成されていることが好ましい。紙系素材としては、繊維原料のスラリーを網上に抄き取り、乾燥ないし押圧乾燥、抄紙してシート状にして得られる、いわゆる紙や、パルプ系繊維等からなる原料シートを粉砕機で粉砕して得られる粉砕パルプ等の開繊繊維原料を空気流によって積繊し、積繊体の繊維相互をバインダーで固定して得られるいわゆるエアレイドシート等、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される所謂紙類の他、化学繊維紙、合成紙、耐水紙、コート紙、代替紙、羊皮紙、羊毛紙、ガラス繊維紙、ストーンペーパー、陶紙等や、これらを複数枚積層したもの等が挙げられる。また、紙系素材としては、パルプだけからなるもののほか、非パルプ系の天然繊維や合成繊維、再生繊維等の繊維を含むものであっても良いが、パルプを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、更に80質量%以上含むものが好ましいが、特にパルプ100質量%からなるものが好ましい。紙系素材は、合成樹脂や天然樹脂のフィルムや不織布、木箔等の木質系素材等、さらにはアルミ箔等の素材との複合材料も用いることができるが、複合材料とする場合、複合材料全体としてパルプを50質量%以上含有することが好ましく、特に80質量%以上のパルプを含むものが好ましい。パルプ含有分の高いほど、紙系素材が生分解されやすくなるため好ましい。
【0036】
なお、本体2は、全体を上記した紙系素材で形成されていることが好適であるが、このことは一部もしくは全部が紙系素材とは異なる材質で形成されていることを禁止するものではない。例えば、本体2は、紙系素材と樹脂製のフィルム材の積層体などで形成されてよい。
【0037】
[1-2 作用及び効果]
従来の蓋体を容器に取り付けた蓋体付き容器では、使用者が蓋体付き容器を持って移動する際、その移動時における蓋体付き容器の振動で差し込み部から内容物が漏れ出す問題があった。特に、内容物が炭酸飲料のように気体を生じるものである場合には、差し込み部から気体が逃がされる際に、気体とともに内容物が外部に噴き出してしまう虞がある。したがって、蓋体付き容器においては蓋体からの内容物の吹き出しを抑制する点で改善の余地がある。
【0038】
第1の実施形態にかかる蓋体1によれば、差し込み部6が、孔蓋部7と脆弱化部8を有し、脆弱化部8が切り込み部10と非貫通部11を有する構造となっている。そして、差し込み孔HLが形成される際に孔蓋部7の先端部7Aに非貫通部11の破壊で生じる破断面12が位置するように、非貫通部11が形成されている。
【0039】
ところで、差し込み部が孔蓋部と切り込み部を有する場合、蓋体から内容物が噴き出す際に、切り込み部のうち気体が漏れ出しやすい部分から内容物も漏れ出る虞が高い。切り込み部のうち孔蓋部の先端部側の部分は、外部からの応力の影響で変位を生じやすい部分であるため、切り込み部の隙間が広がりやすく、気体が漏れ出しやすい部分となる可能性が高い。
【0040】
この点、第1の実施形態にかかる蓋体1によれば、差し込み孔HLが開口形成される前において(差し込み孔HLが開口した状態として当該差し込み孔HLが形成された状態となる前の段階での蓋体1の状態を見た場合に)、孔蓋部7の先端部7A側の部分のように気体が漏れ出しやすい部分が非貫通部11を形成していることから、蓋体付き容器150の状態で蓋体1からの内容物の吹き出しを抑制することができる。
【0041】
また、蓋体が紙系素材で形成されている場合においては、差し込み部で本体を形成する紙系素材の端面が露出しやすいため、その端面から紙系素材を構成する繊維内に水分が浸透して蓋体のコシが大きく損なわれ差し込み部の強度が減少する虞があった。特に、差し込み部を形成する孔蓋部の先端部付近で水分が侵入すると孔蓋部の先端部付近にへたりが生じて(紙系素材のコシが孔蓋部の先端部付近で特に弱まり)、孔蓋部の先端部付近で隙間が拡大し、蓋体からの内容物の吹き出しがより悪化する可能性が生じる。
【0042】
この点において、第1の実施形態にかかる蓋体1によれば、差し込み孔HLが形成される場合に破断された非貫通部11が孔蓋部7の外周縁70の一部に破断面12を形成する。このとき、破断面12の少なくとも一部が孔蓋部7の先端部7Aに位置している。このような状態が形成されるように非貫通部11が形成されるため、差し込み孔HLが開口形成される前の段階では孔蓋部7の先端部7A付近となる部分に非貫通部11が形成されることとなる。このため、第1の実施形態にかかる蓋体1によれば、蓋体1が紙系素材で形成されている場合においても孔蓋部7の先端部7A付近で紙系素材のコシが弱まりにくく、孔蓋部7の先端部7A付近での蓋体1からの内容物の吹き出しの可能性を抑制することができる。
【0043】
次に、第1の実施形態の変形例について述べる。
【0044】
[1-3 変形例]
(変形例1)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、本体2に差し込み部6が形成されている場合に、差し込み部6を形成する脆弱化部8のレイアウトは、図1Aの例に限定されず、図4Aから4Gに示すようなレイアウトであってもよい(変形例1)。図4Aから図4Gは、それぞれ第1の実施形態の変形例1にかかる蓋体1の一実施例を説明するための図である。
【0045】
(脆弱化部のレイアウト)
脆弱化部8のレイアウトは、脆弱化部8の機能等や意匠性等の諸条件に応じて定められてよい。図4A図4Bの例に示される脆弱化部8の例では、非貫通部11が一か所に形成されており、切り込み部10が図4Aでは合計3つ、図4Bでは合計6つ形成されている。図4A図4Bの例では、切り込み部10は、非貫通部11から異なる方向に放射状に延びるように形成されている。
【0046】
また、図4C図4Dに示す例では、脆弱化部8は、複数の切り込み部10と非貫通部11とでC字状(Cの文字を模した形状)に形成されている。また、図4Cの例に示すように、非貫通部11の形成箇所は1か所でもよいし、図4Dに示すように、非貫通部11が複数個所に形成されてよい。
【0047】
図4E図4Fに示す例では、脆弱化部8は、複数の切り込み部10と非貫通部11とでそれぞれN字状(Nの文字を模した形状)、W字状(Wの文字を模した形状)に形成されている。これらの例では、長手方向を互いに異ならせている2つの切り込み部10の延びる方向の交差する位置やその近傍に非貫通部11が形成されている。また、図4E図4Fのいずれも例においても、非貫通部11が複数個所に形成されている。
【0048】
図4Gに示す例では、脆弱化部8は、複数の切り込み部10と非貫通部11とで先端部7Aに対応する部分を直線状に形成した横向きのU字状(Uの文字を模した形状を横に倒した形状)に形成されている。図4Gの例では、先端部7Aに対応する部分が全体として非貫通部11で形成されており、且つ、非貫通部11がハーフカット部16となっている。
【0049】
(変形例2)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、脆弱化部8が、複数の非貫通部11を有している場合、差し込み孔HLが形成される際に、差し込み部6に対して本体2の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって非貫通部11が全て破断されてもよいが、少なくとも一つの非貫通部11が破断されていればよい。例えば、図4Dに示すような脆弱化部8では、非貫通部11が3つ設けられているが、差し込み孔HLが形成される際において孔蓋部7の先端部7A側に位置する非貫通部11が破壊されれば、その非貫通部11よりも孔蓋部7のヒンジ対応部9に近い方に位置する2つの非貫通部11のいずれか一方または両方が破断されなくてもよい。この場合においても、孔蓋部7の一部(孔蓋部7の先端部7A側の部分)については押し込まれた状態となり、ある程度の大きさにて差し込み孔HLを開口形成することができる。
【0050】
(変形例3)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図4Hに示すように、異なる2つの切り込み部10をそれぞれ第1の切り込み部10Aと第2の切り込み部10Bとした場合に、少なくとも一組の第1の切り込み部10Aと第2の切り込み部10Bの配置が、第1の切り込み部10Aの端部21と第2の切り込み部10Bの周面部20との間に非貫通部11が形成されているような配置となっていてでもよい(変形例3)。図4Hは、第1の実施形態の変形例3にかかる蓋体1の一実施例を説明するための図である。
【0051】
(変形例3の作用及び効果)
蓋体1に差し込み孔HLを形成する際、差し込み部6に負荷された応力で切り込み部10の端部21を起点として端部21から離れる方向に、非貫通部11が引き裂かれるとともに破断面12が形成される。このとき、蓋体1においては切り込み部10の長手方向に沿うように破断面12が形成されることが多いが、本体2が紙系素材を有する場合には、本体2を形成する紙系素材に含まれる繊維の向き等によって、非貫通部11の破断方向が意図しない方向となる可能性があり、孔蓋部7の形状が意図しない形状となる虞が生じうる。この点、第1の実施形態の変形例3によれば、第1の切り込み部10Aの端部21と第2の切り込み部10Bの周面部20との間に非貫通部11が形成されているため、第1の切り込み部10Aの端部21を起点として端部21から離れる方向に非貫通部11が引き裂かれた際に、非貫通部11の破断方向がやや意図しない方向に外れても、非貫通部11の破断によって形成される破断面12が第2の切り込み部10Bの周面部20に合流し、孔蓋部7の形状が意図しない形状となる虞を抑制することができる。
【0052】
(変形例4)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図5A図5Bに示すように、本体2に隆起部17が形成されてもよい(変形例4)。図5A図5Bは、それぞれ第1の実施形態の変形例4にかかる蓋体1の一実施例を説明するための平面図、断面図である。隆起部17は、露出面72側に隆起した部分となっている。なお、図5A図5Bにおいて対向面73において隆起部17に対応する部分は、陥没部となっている。この場合、本体2の平面視上(本体2の厚み方向を視線方向とした場合に)、隆起部17の形成領域内に差し込み部が形成されていることが好ましい。
【0053】
[2 第2の実施形態]
[2-1 構成]
第2の実施形態にかかる蓋体1は、図6A図6Bに示すように、本体2を有し、本体2に差し込み部6を形成している。図6Aは、第2実施形態にかかる蓋体1の一実施例を模式的に示す平面図である。図6Bは、図6AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。第2の実施形態にかかる蓋体1において、本体2の接合領域対応部5A、蓋領域対応部5B、外側領域対応部5Cのそれぞれについての定義や構成、及び本体2の材質は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。また、差し込み部6は、孔蓋部7と脆弱化部8を有する。差し込み部6は、孔蓋部7に角部13を有することと、破断面12の少なくとも一部の形成位置が角部13に対応する位置を有することを除く他については、第1の実施形態と同様に形成される。第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成についての説明を省略する。
【0054】
(孔蓋部)
第2の実施形態にかかる蓋体1においては、差し込み部6の孔蓋部7は、孔蓋部7の平面視上、角部13を有する。なお、差し込み部6が複数の孔蓋部7を有する場合、全ての孔蓋部7に対して角部13が形成されてもよいし、一部の孔蓋部7に角部13が形成されてもよい。図6Aの例では、孔蓋部7は、2つ形成されているが、これは一例である。
【0055】
(角部)
角部13は、孔蓋部7に形成され、孔蓋部7の凸型状の輪郭部分に対応する角状部分である。図6Aの例では、孔蓋部7は、脆弱化部8とヒンジ対応部9に対応した部分を四辺とする矩形状に形成され、脆弱化部8で形成された矩形の角位置に対応する部分が角部13となっている。なお、角部13は、おおむね角状に形成されていればよい。したがって、角部13の範囲には、尖形状に形成された部分が含まれるほか、脆弱化部8で形成された矩形の角位置に対応する部分がやや丸みを帯びた形状に形成されても角部13に含まれ、脆弱化部8で形成された矩形の角位置に対応する部分がやや平らな面状に形成されても角部13に含まれるものとする。
【0056】
(脆弱化部)
脆弱化部8は、第1の実施形態で示したことと同様に、切り込み部10と非貫通部11とを有している。図6Aの例に示す脆弱化部8のレイアウトは、第1の実施形態の例として図1Aに示すレイアウトと異なり、H字状に形成されており、3つの切り込み部10と2つの非貫通部11の組み合わせで構成されている。ただし、第2の実施形態にかかる蓋体1における脆弱化部8のレイアウトは、図6Aの例に限定されない。
【0057】
(破断面)
第2の実施形態にかかる蓋体1においても、第1の実施形態と同様に、図7A図7Bに示すように、差し込み部6に対して本体2の厚み方向(Z軸方向)に沿って外部から応力が負荷されることによって差し込み孔HLが形成される。そして、応力が負荷される際に非貫通部11が破断され、外部から負荷された応力の方向に孔蓋部7の先端部7A側が押しだされる。また、破断された非貫通部11が、孔蓋部7の外周縁70の一部に破断面12を形成する。
【0058】
さらに、第2の実施形態にかかる蓋体1においては、破断面12の少なくとも一部が孔蓋部7の角部13に位置する。なお、図7Aの例では、孔蓋部7の先端部7A側が押し出されることにともなって、孔蓋部7は破断面12とともに変位する。
【0059】
第2の実施形態にかかる蓋体1の例では、平行な2つの切り込み部10とこれら2つの切り込み部10の長手方向に対して直交する方向を長手方向とするような切り込み部10が2つの切り込み部10の間の位置に形成されている。そして、平行な2つの切り込み部10の間の位置に形成されている切り込み部を第1の切り込み部として、2つの切り込み部10を第2の切り込み部とした場合に、第1の切り込み部の端部と第2の切り込み部の周面部との間に非貫通部11が形成されている。ただし、これは一例であり、一つの切り込み部の端部と他の一つの切り込み部の周面部との間に非貫通部11が形成されることが避けられていることを禁止するものではない。しかしながら、後述するように、蓋体1の本体2が紙系素材を有する場合には、一つの切り込み部の端部と他の一つの切り込み部の周面部(第1の切り込み部の端部と第2の切り込み部の周面部)との間に非貫通部11が形成されていることが好ましい。
【0060】
なお、第1の実施形態で述べた変形例1から4は、第2の実施形態に適用されてよい。
【0061】
[2-2 作用及び効果]
蓋体付き容器のために使用可能な蓋体においては、第1の実施形態でも説明したように、差し込み部が孔蓋部と切り込み部を有する場合、容器内の気体が蓋体から噴き出す際に、切り込み部のうち気体が漏れ出しやすい部分から内容物も漏れ出る虞が高い。切り込み部の孔蓋部に角部が形成されている場合、孔蓋部の角部の部分は、外部からの応力の影響で変位を生じやすい部分であるため、角部の付近で切り込み部の隙間が広がりやすく、気体が漏れ出しやすい部分となる可能性が高い。第2の実施形態にかかる蓋体1によれば、孔蓋部の角部の部分のように気体が漏れ出しやすい部分が、非貫通部を形成していることから、蓋体付き容器の状態で蓋体からの内容物の吹き出しを抑制することができる。
【0062】
第2の実施形態にかかる蓋体1によれば、孔蓋部7の角部13となる部分に非貫通部11が形成されるため、蓋体1が紙系素材で形成されている場合においても孔蓋部7の角部13付近でのコシが弱まりにくく、このことからも孔蓋部7の角部13の付近での蓋体1からの内容物の吹き出しの抑制が可能となる。
【0063】
[2-3 変形例]
(変形例1)
第2の実施形態にかかる蓋体1においては、本体2に差し込み部6が形成されている場合に、差し込み部6を形成する脆弱化部8のレイアウトは、図6Aの例に限定されず、図8Aから8Eに示すようなレイアウトであってもよい(変形例1)。図8Aから図8Eは、それぞれ第2の実施形態の変形例1にかかる蓋体1の一実施例を説明するための図である。
【0064】
(脆弱化部のレイアウト)
脆弱化部8のレイアウトは、脆弱化部8の機能等や意匠性等の諸条件に応じて定められてよい。図8Aから図8Eの例に示される脆弱化部8の例では、非貫通部11が二か所に形成されており、切り込み部10が合計3つ形成されている。図8Aから図8Eに示す例では、脆弱化部8は、複数の切り込み部10と非貫通部11とで先端部7Aに対応する部分を直線状に形成した横向きのU字状(Uの文字を模した形状を横に倒した形状)に形成されている。ただし、図8Dでは、やや馬蹄状に近い形状を呈している。
【0065】
図8Aから図8Dに示す第1の実施形態の変形例1にかかる蓋体1においては、異なる2つの切り込み部10をそれぞれ第1の切り込み部10Aと第2の切り込み部10Bとした場合に、少なくとも一組の第1の切り込み部10Aと第2の切り込み部10Bの配置が、第1の切り込み部10Aの端部21と第2の切り込み部10Bの周面部20との間に非貫通部11が形成されているような配置となっている。この場合、第1の実施形態の変形例3の作用及び効果で示したことと同様の作用及び効果を得ることができる。
【0066】
なお、第2の実施形態の変形例1にかかる蓋体1においては、図8Eに示すように、非貫通部11が、一つの切り込み部10の周面部20と他の一つの端部21との間に形成されることを避けるように形成されてもよい。
【0067】
[3 第3の実施形態]
[3-1 第1例]
第3の実施形態にかかる蓋体1は、図9A図9Bに示すように、本体50と側壁31を有する。この例を、第3の実施形態の第1例と称呼する。図9A図9Bは、第3の実施形態にかかる蓋体1の第1例の一実施例を示す図である。
【0068】
(本体)
本体50は、天面部32を有しており、図9A図9Bの例では、天面部32と外周部33とを有している。図9A図9Bの例では、本体50の材質は、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した本体2の材質と同様に形成されてよいため、説明を省略する。
【0069】
(天面部)
天面部32は、蓋体1を容器101に取り付けた場合において開口部102を覆う部分に対応しており、第1の実施形態及び第2の実施形態における本体2の蓋領域対応部5Bと同様に差し込み部6を備えた構成となっており、したがって第1の実施形態及び第2の実施形態における本体2の蓋領域対応部5Bと同様に構成されてよい。このため、第3の実施形態の説明では、差し込み部6に関する説明を省略する。なお、図9A図9Bの例では、差し込み部6が図1Aに示す差し込み部6と同様に構成されている場合の例が、一例として記載されている。このことは、図10A図10B図11A図11Bについても同様である。
【0070】
(外周部)
外周部33は、天面部32の外周縁32Aを基端33Aとして、基端33Aから離れる方向に延び出ている部分として構成されている。図9Bの例では、外周部33は、天面部32の外周縁32Aから、対向面73から露出面72側に向かう方向(上方向)又は斜め上方向に立ち上がる部分(立ち上がり部34)となっている。立ち上がり部34は、その上端(先端33B)から下端(基端33A)に向かってややテーパー状(先細り形状)となるように形成されている。
【0071】
(側壁)
蓋体1には、側壁31が、天面部32の外周を取り巻くように配置されている。図9A図9Bの例では、側壁31が、外周部33の外側面35を取り巻くように設けられている。側壁31の少なくとも一部は、外側面35に向かい合っている。図9A図9Bの場合には、側壁31のうち外周部33の外側面35(立ち上がり部34の外側面)に向かい合う部分が、上側側壁37となっており、上側側壁37よりも下側の部分は下側側壁38となっている。下側側壁38は、天面部32よりも下側に延びでており、この延び出ている部分の少なくとも一部が、蓋体1を容器101に取り付けた際に、蓋体1を容器101に係止するための部分となる。
【0072】
側壁31は、上側側壁37の上端37Aを基端として、外周部33の上端(先端33B)を覆って外周部33の内側面36側まで延びた折り返し部39が設けられていることが好ましい。図9A図9Bの例では、折り返し部39は、外周部33の内側面36を取り巻くように設けられている。
【0073】
側壁31は、立ち上がり部34と同様に、その上端(先端)(上側側壁の上端37A)から下端(基端)(下側側壁の下端38A)に向かってややテーパー状(先細り形状)となるように形成されている。下側側壁38が下方向に向かってテーパー状に形成されていることで、蓋体1を容器101に取り付けた際に、蓋体1を容器101にしっかりと係止することができる。
【0074】
(係止構造形成部)
係止構造形成部40は、蓋体1を容器101に取り付けた際に、蓋体1を容器101に係止させる構造を形成する部分である。図9A図9Bの例では、係止構造形成部40は、下側側壁38を有する。係止構造形成部40は、さらに天面部32の外周縁32Aからその外周縁32Aよりもやや内側までの部分(上側部41)を有してもよい。上側部41は、蓋体1を容器101に取り付けた際に、容器101の縁部103に接しうる部分として特定することができる。
【0075】
[3-2 第2例]
第3の実施形態にかかる蓋体1は、図10A図10Bに示すように、本体部と側壁を形成しているものであってもよい。この例を、第3の実施形態の第2例と称呼する。図10A図10Bは、第3の実施形態にかかる蓋体1の第1例の一実施例を示す図である。
【0076】
(天面部)
本体50は、天面部32と外周部33を有している。天面部32は、第2の実施形態の第1例と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
(外周部)
外周部33は、第2の実施形態の第1例と同様に、天面部32の外周縁32Aを基端33Aとして、基端33Aから離れる方向に延び出ている部分として構成されている。ただし、図10A図10Bの例では、外周部33は、天面部32の外周縁32Aから、露出面72から対向面73側に向かう方向(下方向)又は斜め下方向に下垂する部分(下垂部42)となっている。下垂部42は、その上端(基端)(外周部33の基端33A)から下端(先端)(外周部33の先端33B)に向かってややテーパー状(先細り形状)となるように形成されている。
【0078】
(側壁)
第3の実施形態の第2例における側壁31は、天面部32の外周を取り巻くように配置されている。また、図10A図10Bの例に示す側壁31においては、その側壁31のうち外周部33の外側面35(下垂部42の外側面)に向かい合う部分が、下側側壁38となっており、下側側壁38よりも上側の部分が上側側壁37となっている。上側側壁37は、天面部32よりも上側に延び出ている。
【0079】
側壁31は、下側側壁38の下端38Aを基端として、外周部33の下端を覆って外周部33の内側面36側まで延びた折り返し部39が設けられていることが好ましい。図9A図9Bの例では、折り返し部39は、外周部33の内側面36を取り巻くように設けられている。また、折り返し部39の先端は、天面部32の対向面73側に対して非接触の状態とされていてもよいし、天面部32の対向面73側に対して接触した状態とされていてもよい。
【0080】
側壁31は、下垂部42と同様に、その上端(上側側壁37の上端37A)から下端(先端)(下側側壁38の下端38A)に向かってややテーパー状(先細り形状)となるように形成されている。また、図10Bの例のように、折り返し部39が形成されている場合には、折り返し部39も、下方向に向かってテーパー状に形成されていることが好適である。
【0081】
上側側壁37の上端37Aには、図10Bの例に示すように、側壁31を形成する部材を外向きに巻きまわしたカール部(側壁カール部45)が形成されてもよいし、外側方向に折り曲げた部分(折り曲げ部)が形成されてもよい。上側側壁37の上端37Aは、側壁31を形成する部材の端面が露出してもよい。
【0082】
(係止構造形成部)
係止構造形成部40は、第2例においては、下側側壁38と外周部33(図10では下垂部42)との積層構造を有する。図10Aの例では、係止構造形成部40は、さらに折り返し部39を有しており、折り返し部39と外周部33と下側側壁38の積層構造を有する。なお、係止構造形成部40は、第1例でも示したように、さらに天面部32の外周縁32Aからその外周縁32Aよりもやや内側までの部分(上側部41)を有してもよい。図10Aの例に示す係止構造形成部40によれば、折り返し部39と外周部33(図10では下垂部42)と下側側壁38の積層構造が下方向に向かってテーパー状に形成されていることで、蓋体1を容器101に取り付けた際に、蓋体1を容器101にしっかりと係止することができる。
【0083】
なお、第1の実施形態で述べた変形例1から4は、第3の実施形態の第1例及び第2例で適用されてもよい。
【0084】
[4 適用例]
(適用例1)
上記のように説明した蓋体1は、図3A図3Bに示すように蓋体付き容器150に用いることができる。図3Aは、第1の実施形態にかかる蓋体1を、上端に形成された開口部102を有する容器101の開口部102の外周を形成する縁部103に取り付けた実施例を示す斜視図である。この例では、蓋体1を縁部103に接合させている。図3Bは、図3AのC-C線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。図3A図3Bを用いて蓋体付き容器150について説明を続ける。
【0085】
(蓋体付き容器)
蓋体付き容器150は、容器101と蓋体1とが接合する接合部151を有しており、接合部151を形成する蓋体1の領域が接合領域Rとなる。蓋体1と容器101との接合方法は特に限定されず、圧着法や、熱融着法(ヒートシール)等の接合方法と適宜用いることができる。以下では第1の実施形態にかかる蓋体1を蓋体付き容器150に使用した場合を例として説明する。
【0086】
容器101は、上方向にむかって径が太くなるような(下方向に向かって先細りするような)筒状の側壁104と底部107を有し内部に空間部105を形成する容器本体110と、容器本体110の上端(側壁104の上端)で開口した開口部102を有する。図示しないが、容器101の開口部102は円形状に形成されている。ただし、ここに示す容器101は一例であり、容器101の構成を限定するものではない。たとえば、容器101は開口部102を矩形状に形成されてもよい。容器101は、蓋体1で開口部102を被覆できるものであればよい。また、容器101の内部(空間部105)に収納されるものは、特に限定されず、例えば液体状のもの、固形状のもの、またはそれらの組み合わせなどを例示することができる。
【0087】
図3A等に示す容器101では、開口部102の縁部103は、フランジ部を有している。フランジ部は、容器本体110を形成する部材を外向きに巻きまわされたカール部108であってもよいし、外側方向に平面上に延びる部分(つば部)として形成されてもよい。
【0088】
また、蓋体1は、開口部102を有する容器101との組み合わせとされてもよい。
【0089】
(適用例2)
蓋体1は、図11A図11Bに示すような蓋体付き容器150に用いられてもよい。図11Aは、第3の実施形態の第1例にかかる蓋体1を、上端に形成された開口部102を有する容器101の開口部102の外周を形成する縁部103に取り付けた実施例を示す図である。この例では、蓋体1を縁部103に係止させた実施例が示されている。図11Bは、図11AのI-I線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【0090】
また、第3の実施形態にかかる蓋体1は、開口部102を有する容器101との組み合わせとされてもよい。
【0091】
これまで説明したように、本発明に係る蓋体1は、このような多くの態様の蓋体1に対して適用することができる。また、上記した以外の態様の蓋体1に対しても適用することが可能である。以上、本発明に係る蓋体について詳細に説明したが、上記したのは本発明係る蓋体を例示したに過ぎず、これらに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更してよい。また、上記した蓋体の構成は、それぞれの例の蓋体の構成を独立して用いてもよいし、それぞれの例の蓋体の構成を適宜組み合わせて適用してもよい。
【0092】
以上の本明細書の説明に基づき、本発明は、次の[E1]から[E14]に示す構成を採用されてよい。
[E1]開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、
前記本体は、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、
前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、
前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、
前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、
前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記破断面の少なくとも一部が前記孔蓋部の先端部に位置する、
蓋体。
[E2]開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、
前記本体は、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、
前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、
前記孔蓋部は、前記本体の平面視上、凸型状の輪郭部分を形成する角部を有し、
前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、
前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、
前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記破断面の少なくとも一部が前記孔蓋部の前記角部に位置する、
蓋体。
[E3]前記非貫通部が破断された場合に複数の前記破断面が形成され、少なくとも一つの前記破断面のうちの少なくとも一部が前記孔蓋部の先端部に位置する、
上記[E1]に記載の蓋体。
[E4]前記脆弱化部は、複数の前記非貫通部を有し、
前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって少なくとも一つの前記非貫通部が破断される、
上記[E1]から[E3]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E5]前記差し込み部は、複数の前記孔蓋部を有し、
前記差し込み孔が形成される場合には、
それぞれの前記孔蓋部の前記外周縁の一部に、前記破断面が形成される、
上記[E1]から[E4]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E6]前記非貫通部は、前記本体を該本体の厚み方向に所定の深さまで切り込んだハーフカット構造を有する、
上記[E1]から[E5]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E7]前記脆弱化部は、前記非貫通部の周囲に少なくとも3つの前記切り込み部を形成した構造を有する、
上記[E1]から[E6]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E8]隆起部が形成されており、
前記隆起部の形成領域内に前記差し込み部が形成されている。
上記[E1]から[E7]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E9]前記本体は、紙系素材で形成されている、
上記[E1]から[E8]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E10]前記容器の前記縁部に沿って前記容器に接合される領域に対応する接合領域対応部と、前記接合領域対応部から内側の部分で構成される蓋領域対応部とを有し、
前記差し込み部は、前記蓋領域対応部に形成されている、
上記[E1]から[E9]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E11]前記本体の外周囲には、側壁が設けられており、
前記側壁は、前記容器の前記縁部に沿って前記容器に係止することができるように構成されている、
上記[E1]から[E9]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E12]前記切り込み部は、周面部と端部を有し、
異なる2つの前記切り込み部をそれぞれ第1の切り込み部と第2の切り込み部とした場合に、少なくとも一組の前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部の配置は、前記第1の切り込み部の前記端部と前記第2の切り込み部の前記周面部との間に前記非貫通部が形成されているような配置となっている、
上記[E1]から[E11]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E13]上記[E1]から[E12]のいずれか1つに記載の蓋体と、
前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有し、
前記蓋体を前記容器に接合した、
蓋体付き容器。
[E14]上記[E1]から[E12]のいずれか1つに記載の蓋体と、
前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
【符号の説明】
【0093】
1 :蓋体
2 :本体
5A :接合領域対応部
5B :蓋領域対応部
5C :外側領域対応部
6 :差し込み部
7 :孔蓋部
7A :先端部
8 :脆弱化部
9 :ヒンジ対応部
10 :切り込み部
10A :第1の切り込み部
10B :第2の切り込み部
11 :非貫通部
12 :破断面
13 :角部
16 :ハーフカット部
17 :隆起部
20 :周面部
21 :端部
31 :側壁
32 :天面部
32A :外周縁
33 :外周部
33A :基端
33B :先端
34 :立ち上がり部
35 :外側面
36 :内側面
37 :上側側壁
37A :上端
38 :下側側壁
38A :下端
39 :折り返し部
40 :係止構造形成部
41 :上側部
42 :下垂部
45 :側壁カール部
50 :本体
70 :外周縁
72 :露出面
73 :対向面
101 :容器
102 :開口部
103 :縁部
104 :側壁
105 :空間部
107 :底部
108 :カール部
110 :容器本体
150 :蓋体付き容器
151 :接合部
CT :中心
HL :差し込み孔
R :接合領域

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、
前記本体は、紙系素材で形成されており、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、
前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、
前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、
前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、
前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に少なくとも一つの破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記孔蓋部の先端部の端面が、少なくとも一つの前記破断面の少なくとも一部から形成され、
前記脆弱化部は、前記非貫通部の周囲に、前記非貫通部から放射状に延びるように少なくとも3つの前記切り込み部を形成した構造を有している、
蓋体。
【請求項2】
開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、
前記本体は、紙系素材で形成されており、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、
前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、
前記孔蓋部は、前記本体の平面視上、凸型状の輪郭部分を形成する角部を有し、
前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、
前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、
前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に少なくとも一つの破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記破断面の少なくとも一部が前記孔蓋部の前記角部に位置し、
前記脆弱化部は、前記非貫通部の周囲に、前記非貫通部から放射状に延びるように少なくとも3つの前記切り込み部を形成した構造を有している、
蓋体。
【請求項3】
前記非貫通部が破断された場合に複数の前記破断面が形成され、少なくとも一つの前記破断面のうちの少なくとも一部が前記孔蓋部の前記先端部に位置する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって少なくとも一つの前記非貫通部が破断される、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項5】
前記差し込み部は、複数の孔蓋部を有し、
前記差し込み孔が形成される場合には、
それぞれの前記孔蓋部の前記外周縁の一部に、前記破断面が形成される、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項6】
前記非貫通部は、前記本体を該本体の厚み方向に所定の深さまで切り込んだハーフカット構造を有する、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項7】
隆起部が形成されており、
前記隆起部の形成領域内に前記差し込み部が形成されている、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項8】
前記容器の前記縁部に沿って前記容器に接合される領域に対応する接合領域対応部と、前記接合領域対応部から内側の部分で構成される蓋領域対応部とを有し、
前記差し込み部は、前記蓋領域対応部に形成されている、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項9】
前記本体の外周囲には、側壁が設けられており、
前記側壁は、前記容器の前記縁部に沿って前記容器に係止することができるように構成されている、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項10】
前記切り込み部は、周面部と端部を有し、
異なる2つの前記切り込み部をそれぞれ第1の切り込み部と第2の切り込み部とした場合に、少なくとも一組の前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部の配置は、前記第1の切り込み部の前記端部と前記第2の切り込み部の前記周面部との間に前記非貫通部が形成されているような配置となっている、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の蓋体と、
前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有し、
前記蓋体を前記容器に接合した、
蓋体付き容器。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の蓋体と、
前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
(1)開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、前記本体は、紙系素材で形成されており、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に少なくとも一つの破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記孔蓋部の先端部の端面が、少なくとも一つの前記破断面の少なくとも一部から形成され、前記脆弱化部は、前記非貫通部の周囲に、前記非貫通部から放射状に延びるように少なくとも3つの前記切り込み部を形成した構造を有している、蓋体。
(2)開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器に接触可能に形成された本体を有し、前記本体は、紙系素材で形成されており、差し込み孔を形成可能に構成された差し込み部を有し、前記差し込み部は、前記差し込み孔を覆う孔蓋部と、前記孔蓋部の外周縁の少なくとも一部を形成する脆弱化部を有し、前記孔蓋部は、前記本体の平面視上、凸型状の輪郭部分を形成する角部を有し、前記脆弱化部は、前記本体を該本体の厚み方向に貫通する複数の切り込み部と、前記本体を貫通させることを避けた非貫通部とを備えており、前記差し込み孔は、前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって形成され、前記差し込み孔が形成される場合には、前記非貫通部が破断され、破断された前記非貫通部が前記孔蓋部の前記外周縁の一部に少なくとも一つの破断面を形成し、前記孔蓋部が前記破断面とともに変位し、且つ、前記破断面の少なくとも一部が前記孔蓋部の前記角部に位置し、前記脆弱化部は、前記非貫通部の周囲に、前記非貫通部から放射状に延びるように少なくとも3つの前記切り込み部を形成した構造を有している、蓋体。
(3)前記非貫通部が破断された場合に複数の前記破断面が形成され、少なくとも一つの前記破断面のうちの少なくとも一部が前記孔蓋部の前記先端部に位置する、上記(1)に記載の蓋体。
(4)前記差し込み部に対して前記本体の厚み方向に沿って外部から応力が負荷されることによって少なくとも一つの前記非貫通部が破断される、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(5)前記差し込み部は、複数の孔蓋部を有し、前記差し込み孔が形成される場合には、それぞれの前記孔蓋部の前記外周縁の一部に、前記破断面が形成される、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(6)前記非貫通部は、前記本体を該本体の厚み方向に所定の深さまで切り込んだハーフカット構造を有する、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(7)隆起部が形成されており、前記隆起部の形成領域内に前記差し込み部が形成されている、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(8)前記容器の前記縁部に沿って前記容器に接合される領域に対応する接合領域対応部と、前記接合領域対応部から内側の部分で構成される蓋領域対応部とを有し、前記差し込み部は、前記蓋領域対応部に形成されている、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(9)前記本体の外周囲には、側壁が設けられており、前記側壁は、前記容器の前記縁部に沿って前記容器に係止することができるように構成されている、上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(10)前記切り込み部は、周面部と端部を有し、異なる2つの前記切り込み部をそれぞれ第1の切り込み部と第2の切り込み部とした場合に、少なくとも一組の前記第1の切り込み部と前記第2の切り込み部の配置は、前記第1の切り込み部の前記端部と前記第2の切り込み部の前記周面部との間に前記非貫通部が形成されているような配置となっている、上記(1)又は(2)に記載の0-蓋体。
(11)上記(1)又は(2)に記載の蓋体と、前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有し、前記蓋体を前記容器に接合した、蓋体付き容器。
(12)上記(1)又は(2)に記載の蓋体と、前記開口部と前記開口部の外周を形成する前記縁部とを有する前記容器とを有する、蓋体と容器の組み合わせ。