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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055761
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/10 20060101AFI20240411BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20240411BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F02D9/10 G
F02D9/10 C
G01B7/30 M
G01D5/20 A
G01D5/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125691
(22)【出願日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2022161431
(32)【優先日】2022-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】實方 雄平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓悟
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
3G065
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063BA06
2F063DA01
2F063DA05
2F063GA03
2F077AA46
2F077FF14
2F077VV02
2F077VV31
2F077VV33
3G065CA23
3G065CA24
3G065CA33
3G065CA35
3G065HA12
(57)【要約】
【課題】駆動用のギヤとバルブシャフトとを溶接によって固定する際に、ギヤへの熱影響を抑制させる構造のバルブ装置を提供する。
【解決手段】バルブシャフトの一端部に樹脂製の駆動ギヤ15を備えるとともに、駆動ギヤ15にインダクティブセンサの被検出体21を備えたバルブ装置であって、駆動ギヤ15は、一側面において中心部が露出した状態でインサート成形加工によって被検出体21とともに一体化された金属製のレバー部材33を有し、駆動ギヤ15におけるレバー部材33の露出部38とバルブシャフト10の端部とを当接させて外穴39から当接部の裏側をレーザ溶接によって固定して、バルブシャフトユニット30が構成され、レバー部材33は、バルブシャフトの端部との溶接位置の径方向外側に周方向に延びる円弧穴52が設けられている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体を駆動する金属製のシャフトの一端部に樹脂製で板状のギヤを備えたバルブ装置であって、
前記ギヤは、一側面において少なくとも一部が露出した状態でインサート成形加工によって一体化された金属製の支持部材を有し、
前記ギヤにおける前記支持部材の露出部と、前記シャフトの端部と、を溶接してシャフトユニットが構成され、
前記支持部材には、前記シャフトの端部との溶接位置の径方向外側に周方向に延びる穴部が設けられている
ことを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
前記穴部は、
前記インサート成形加工時に前記支持部材が保持されるように前記ギヤの成形型の突出部が挿入される穴である
ことを特徴とする請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記インサート成形加工時に前記穴部に挿入された際に、前記支持部材を貫通して挿入方向先方側に突出して、当概突出部における径方向外側と内側とを仕切る
ことを特徴とする請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記ギヤの他側面側には、前記シャフトの回転角を検出する非接触センサの被検出体が、前記インサート成形加工によって前記支持部材とともに前記ギヤと一体化されて備えられている
ことを特徴とする請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記インサート成形加工時に、前記支持部材を貫通した前記成形型の前記突出部が前記被検出体を支持する
ことを特徴とする請求項4に記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記バルブ装置は、内燃機関の吸気量を制御するスロットルバルブである
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置におけるバルブシャフトとギヤとの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットルバルブ等のバルブの多くは、筐体に流路が形成され、流路を開閉する弁体がバルブシャフトに固定されており、当該バルブシャフトを電動モータ等の回転アクチユエータによって駆動する構成になっている。回転アクチュエータとバルブシャフトとの間には、減速機が備えられ、減速機の一部としてバルブシャフトに駆動用ギヤが備えられている。
【0003】
例えば特許文献1に記載されたバルブ装置は、駆動用ギヤに設けられた穴部にバルブシャフトが挿入されて固定されているが、バルブシャフトと駆動用ギヤとの取り付け部において、バルブシャフトの断面及び駆動用ギヤの穴部を例えば矩形状にして、ナットによって締め付けることで、バルブシャフトと駆動用ギヤとを固定し、バルブシャフトと駆動用ギヤとの間で回転駆動力が伝達可能な構成にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-105691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、バルブシャフトと駆動用ギヤとの取り付け構造を簡素化するために、例えばバルブシャフトと駆動用ギヤとを溶接によって固定することが考えられる。
【0006】
駆動用ギヤが樹脂製である場合には、駆動用ギヤと金属製のバルブシャフとは溶接不能である。そこで例えば、駆動用ギヤ内に金属製の支持体をインサート成形加工等によってあらかじめ内蔵した構造にし、当該支持体と金属製のバルブシャフトとをレーザ等の溶接によって固定することが考えられる。
【0007】
しかしながら、金属製の支持体をインサート成形によって含んだ駆動用ギヤにおいて、支持体とバルブシャフトとを溶接した際に、駆動用ギヤにおける溶接部の周囲の部分が熱によって変形する虞がある。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、駆動用のギヤとバルブシャフトとを溶接によって固定する際に、ギヤへの熱影響を抑制させる構造のバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のバルブ装置は、弁体を駆動する金属製のシャフトの一端部に樹脂製で板状のギヤを備えたバルブ装置であって、前記ギヤは、一側面において少なくとも一部が露出した状態でインサート成形加工によって一体化された金属製の支持部材を有し、前記ギヤにおける前記支持部材の露出部と、前記シャフトの端部と、を溶接してシャフトユニットが構成され、前記支持部材には、前記シャフトの端部との溶接位置の径方向外側に周方向に延びる穴部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記穴部は、前記インサート成形加工時に前記支持部材が保持されるように前記ギヤの成形型の突出部が挿入される穴であるとよい。
【0011】
好ましくは、前記突出部は、前記インサート成形加工時に前記穴部に挿入された際に、前記支持部材を貫通して挿入方向先方側に突出し、当概突出部において径方向外側と内側とを仕切るとよい。
【0012】
好ましくは、前記ギヤの他側面側には、前記シャフトの回転角を検出する非接触センサの被検出体が、前記インサート成形加工によって前記支持部材とともに前記ギヤと一体化されて備えられているとよい。
【0013】
好ましくは、前記インサート成形加工時に、前記支持部材を貫通した前記成形型の前記突出部が前記被検出体を支持するとよい。
【0014】
好ましくは、前記バルブ装置は、内燃機関の吸気量を制御するスロットルバルブであるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバルブ装置によれば、弁体を駆動するシャフトに固定されるギヤは、金属製の支持部材を含むようにインサート成形加工される。そして、支持部材を含むギヤにおける支持部材の露出部と、シャフトの端部と、を溶接してシャフトユニットが構成されている。
更に、支持部材には、シャフトの端部との溶接位置の径方向外側に周方向に延びる穴部が設けられているので、支持部材とシャフトとを溶接する際に、穴部の径方向内側の溶接位置から径方向外側に溶接熱が伝わり難くなる。したがって、支持部材とシャフトとの溶接時に穴部よりも径方向外側のギヤの部位に熱が伝わり難くなり、樹脂製のギヤの熱変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態のバルブ装置の斜視図である。
図2】本実施形態のバルブ装置の縦断面図である。
図3】バルブシャフトユニットの斜視図である。
図4】バルブシャフトユニットにおける駆動ギヤの部品を示す図である。
図5】バルブシャフトユニットにおける駆動ギヤの斜視図である。
図6】バルブシャフトユニットにおける駆動ギヤとバルブシャフトの斜視図である。
図7】駆動ギヤとバルブシャフトの固定方法を示す説明図である。
図8】レバー部材と被検出体との位置関係を示す説明図である。
図9】レバー部材の形状を示す正面図である。
図10】駆動ギヤの製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態のバルブ装置1の斜視図である。図2は、本実施形態のバルブ装置1の縦断面図である。なお、図2図1中に記載したA-A部の断面図である。
【0019】
本発明の一実施形態のバルブ装置1は、例えばスロットルバルブであって、内燃機関の吸気通路に介装されて吸気量を制御する。
【0020】
図1、2に示すように、バルブ装置1は、吸気通路の一部となる流体通路2が形成されたケーシング3に、電動モータ4と減速機5が備えられている。また、バルブ装置1には、流体通路2を開閉する弁体6と、ケーシング3に回転可能に支持され流体通路2を横断するように配置されたバルブシャフト10(シャフト)が備えられている。バルブシャフト10には弁体6が固定されている。
【0021】
減速機5は、電動モータ4の出力軸に固定されたモータギヤ11と、ケーシング3に回転可能に支持された中間ギヤ12と、バルブシャフト10の端部に固定された駆動ギヤ15(ギヤ)とによって構成され、電動モータ4からモータギヤ11、中間ギヤ12、駆動ギヤ15の順番に動力が伝達し、バルブシャフト10を回転駆動する。
【0022】
バルブシャフト10の一端部近傍には、駆動ギヤ15に隣接してリターンスプリング16が備えられている。リターンスプリング16はバルブシャフト10の周囲を巻き回したねじりコイルばねであり、その一端部が駆動ギヤ15に係止され、他端部がケーシング3に係止されている。リターンスプリング16は、バルブシャフト10を一方の回転方向に付勢する。
【0023】
ケーシング3には、駆動ギヤ15に当接する図示しない2個のストッパが備えられている。ストッパによってバルブシャフト10の回転角は、所定角度(例えば90度)の範囲内に制限される。
【0024】
電動モータ4への非通電時には、バルブシャフト10はリターンスプリング16の付勢力によって回転して、弁体6により流体通路2が全閉(または全開)になる。電動モータ4へ通電することで、バルブシャフト10はリターンスプリング16の付勢力に抗して回転し、弁体6が回転することによって流体通路2を流れる吸気量を調整する。
【0025】
バルブシャフト10の駆動ギヤ15側の一端部には、バルブシャフト10の回転角(回転位置)を検出するインダクティブセンサ20(非接触センサ)が備えられている。
【0026】
インダクティブセンサ20は、駆動ギヤ15に備えられた金属製の被検出体21と、ケーシング3に固定され被検出体21に近接して向かいあうように配置されたセンサ本体部22を備えている。
【0027】
インダクティブセンサ20のセンサ本体部22は、例えばセンサコイルを備え、当該センサコイルに電流を流して高周波磁界を生成し、当該磁界中を被検出体が移動することによって変化するセンサコイルのインダクタンスを検出して、バルブシャフト10の回転角を検出する。
【0028】
図3は、バルブシャフトユニット30の斜視図である。図4は、バルブシャフトユニット30における駆動ギヤ15の部品を示す図である。図5は、バルブシャフトユニット30における駆動ギヤ15の斜視図である。図6は、バルブシャフトユニット30における駆動ギヤ15とバルブシャフト10の斜視図である。図7は、駆動ギヤ15とバルブシャフト10との固定方法を示す説明図である。なお、図7は、駆動ギヤ15とバルブシャフト10との固定部分の縦断面図である。図8は、レバー部材に対する被検出体との位置関係を示す説明図である。図9は、レバー部材の形状を示す正面図である。図10は、駆動ギヤ15の製造方法の説明図である。なお、図10は、レバー部材の中心穴を通る縦断面図である。
【0029】
図3、4に示すように、バルブシャフトユニット30は、金属製であるバルブシャフト10と駆動ギヤ15とにより構成されている。また、駆動ギヤ15は、樹脂製のギヤ部31と、インダクティブセンサ20の被検出体21と、金属製のレバー部材33(支持部材)によって構成されている。
【0030】
ギヤ部31は、樹脂で形成された略円板状の部品あって、外周端の略半分(略180度)に亘って歯車35(例えば平歯車)が形成されている。歯車35が形成された外周部の周方向両端には、ケーシング3に備えられた図示しないストッパに当接して回転を規制するストッパ当接面36が夫々備えられている。ギヤ部31の内側面(センサ本体部22と対向する面の反対側の面:本発明における一側面)の中心には、バルブシャフト10が挿入される円形のシャフト取付穴37(挿入穴)が備えられている(図7参照)。なお、シャフト取付穴37は、バルブシャフト10の外径よりも若干大径である。シャフト取付穴37の内部には、レバー部材33の中心部が露出している(図7に示す露出部38)。
【0031】
ギヤ部31の外側面(センサ本体部22と対向する面:本発明における他側面)の中心には、シャフト取付穴37よりも小径かつバルブシャフト10よりも大径の外穴39(露出穴)が備えられている。外穴39及びシャフト取付穴37によってギヤ部31の中心が貫通されている。
【0032】
被検出体21は、中央部を刳り貫いた薄板の略円板の形状であって、径方向に延びる6個の径方向部材40と、周方向に延びて径方向部材40の中心側の端部を連結する3本の内側周方向部材41と、周方向に延びて径方向部材40の外側の端部を連結する3本の外側周方向部材42と、を有している。径方向部材40、内側周方向部材41及び外側周方向部材42は、いずれも幅及び厚さが数mm程度である。径方向部材40は、周方向に等間隔で配置されており、1個おきに内側周方向部材41によって中心側の端部が連結されるとともに、内側周方向部材41とは周方向にずらして1個おきに外側周方向部材42によって外側の端部が連結されている。被検出体21の内側周方向部材41には、被検出体21の位置決め用の爪部43が備えられている。爪部43は、夫々の内側周方向部材41の外周側端部の周方向中間位置に設けられており、1~2mm程度の幅及び突出長さであって、内側周方向部材41に対して垂直に屈曲している。
【0033】
被検出体21は、ギヤ部31の外穴39側の外側面に、ギヤ部31の中心と同軸に配置されている。また、被検出体21の内側周方向部材41の径方向外側の面と、ギヤ部31の外穴39の縁部とは、径方向位置が略同一になっている。
【0034】
ギヤ部31の外側の面には、外側周方向部材42及び径方向部材40を収納する溝45が形成されている。
【0035】
レバー部材33は、金属製の平板形状であって、ギヤ部31の内部に埋没されている。レバー部材33は、中心にバルブシャフト10の外径よりも小さい円形の中心穴50が開いている。なお、バルブシャフト10の一端には、軸方向に突出する円柱状の凸部51が備えられており、この凸部51がレバー部材33の中心穴50に挿入される。レバー部材33の中心穴50は、被検出体21の内側周方向部材41の径方向内側端面よりも小径である。
【0036】
また、レバー部材33には、中心穴50の周囲に円弧状に延びる円弧穴52(穴部)が3個開いている。図8、9に示すように、3個の円弧穴52は、被検出体21の内側周方向部材41と略同一の形状及び大きさであり、内側周方向部材41と略同一の径方向位置及び周方向位置に一致するように配置されている。
【0037】
図5に示すように、ギヤ部31、レバー部材33及び被検出体21はインサート成形加工によって一体化されて1個の部品である駆動ギヤ15になっている。金属製のレバー部材33及び被検出体21をインサート品として、樹脂によってギヤ部31が形成されている。即ち、ギヤ部31の成形加工が完了した時点でレバー部材33及び被検出体21が組み合わされている。
【0038】
図6に示すように、レバー部材33及び被検出体21を含む駆動ギヤ15に対し、バルブシャフト10を固定して、バルブシャフトユニット30が製造される。
【0039】
詳しくは、図7に示すように、駆動ギヤ15のギヤ部31のシャフト取付穴37にバルブシャフト10の一端部を挿入し、シャフト取付穴37から露出するレバー部材33の露出部38にバルブシャフト10の一端部を当接させるとともに、レバー部材33の中心穴50にバルブシャフト10の凸部51を挿入する。
【0040】
そして、図7中の矢印に示すように、駆動ギヤ15の外側面側から外穴39内に露出するレバー部材33にレーザ光を照射して、レバー部材33とバルブシャフト10とを溶接する。なお、このレーザ光の照射位置は、バルブシャフト10の一端部とレバー部材33との当接面の裏側であり、レバー部材33の円弧穴52と中心穴50との間の3か所の部位を溶接することが望ましい。
【0041】
これにより、レバー部材33及び被検出体21を含む駆動ギヤ15とバルブシャフト10とを有するバルブシャフトユニット30が製造される。
【0042】
図10に示すように、インサート成形加工により駆動ギヤ15を形成する際には、ギヤ成形型60、61によってレバー部材33及び被検出体21が支持される。
【0043】
ギヤ成形型60、61は、バルブシャフト10の一端部と略同一形状である円柱状の下部成形型60と、下面が被検出体21の内側周方向部材41の外形より大径の円形である円柱状の上部成形型61とを有している。
【0044】
下部成形型60はシャフト取付穴37に挿入可能なシャフト取付穴37と略同一径の円柱状であって、その上面には、バルブシャフト10の凸部51と同一形状の凸部62が形成されている。更に、下部成形型60の上面60aには、横断面がレバー部材33の円弧穴52と略同一形状であって上方に突出する突出部63が備えられている。突出部63は、凸部62に対して、バルブシャフト10の凸部51に対する円弧穴52の径方向位置に合わせて3個備えられている。突出部63の上面63aは、下部成形型60の上面60aと平行である。
【0045】
インサート成形加工により駆動ギヤ15を形成する際には、下部成形型60の上面60aにレバー部材33を載せる。このとき、レバー部材33の中心穴50に下部成形型60の凸部62を挿入するとともに、レバー部材33の円弧穴52に下部成形型60の突出部63を挿入する。更に、下部成形型60の突出部63の上面63aに被検出体21の内側周方向部材41を載せる。このとき、被検出体21の3個の爪部43によって、3個の突出部63の外側面を挟むように設置される。
【0046】
そして、上部成形型61と下部成形型60を覆うように設置された図示しない金型の内部空間に樹脂を充填して、レバー部材33及び被検出体21を含む駆動ギヤ15が形成される。
【0047】
以上のように、本実施形態のバルブ装置1は、弁体6が固定されたバルブシャフト10の端部に電動モータ4から動力を伝達するために駆動ギヤ15が固定されている。
【0048】
本実施形態では、駆動ギヤ15における樹脂製のギヤ部31の内部に、インサート成形加工により金属製のレバー部材33を有している。また、ギヤ部31には、インダクティブセンサ20の被検出体21が備えられている。被検出体21についても、ギヤ部31を製造する際にレバー部材33とともに内蔵される。したがって、レバー部材33及び被検出体21と一体となった駆動ギヤ15が部品として製造される。
【0049】
そして、レバー部材33及び被検出体21を有する駆動ギヤ15におけるレバー部材33と、バルブシャフト10の端部とをレーザ溶接によって固定することで、バルブシャフト10に駆動ギヤ15が固定されている。
【0050】
更に、レバー部材33には、バルブシャフト10の端部との溶接位置の径方向外側に周方向に延びる円弧穴52が設けられている。これにより、レバー部材33とバルブシャフト10とをレーザ溶接する際に、円弧穴52の径方向内側の溶接部から径方向外側に溶接熱が伝わり難くなる。したがって、レバー部材33とバルブシャフト10とのレーザ溶接時に円弧穴52よりも径方向外側のギヤ部31に熱が伝わり難くなり、ギヤ部31の熱変形を抑制することができる。
【0051】
また、駆動ギヤ15のインサート成形加工時に、レバー部材33の円弧穴52に下部成形型60の突出部63が挿入されるので、下部成形型60に対してレバー部材33の位置決めがされる。これにより、駆動ギヤ15におけるレバー部材33の位置決めが正確な駆動ギヤ15を成形することができる。
【0052】
また、インサート成形加工時に円弧穴52に下方から挿入された下部成形型60の突出部63は、レバー部材33を貫通して上方に突出し、レバー部材33の上方において径方向外側と内側とを仕切る壁状の部材となる。したがって、インサート成形加工によってギヤ部31を成形した際に、突出部63によってその径方向内側への樹脂の回り込みを抑制することができる。
【0053】
これにより、インサート成形加工された駆動ギヤ15において、レバー部材33の円弧穴52の内側に近接して樹脂が存在しないようにして、レバー部材33とバルブシャフト10とをレーザ溶接する際に樹脂部への熱影響を抑制して、駆動ギヤ15の部品品質を安定させることができる。
【0054】
また、インサート成形加工時において、円弧穴52に挿入された下部成形型60の突出部63の先端は被検出体を保持するように構成されている。したがって、下部成形型60に対してレバー部材33とともに被検出体21の位置決めもされる。これにより、ギヤ部31及びレバー部材33に対して被検出体21が正確に位置決めされた品質の高い駆動ギヤ15を製造することができる。
【0055】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、駆動ギヤ15のギヤ部31の形状等、各種部品の詳細な形状は適宜変更してもよい。
【0056】
また上記実施形態では、スロットルバルブに本発明を適用したが、スロットルバルブ以外の各種バルブ装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 バルブ装置
6 弁体
10 バルブシャフト(シャフト)
15 駆動ギヤ(ギヤ)
20 インダクティブセンサ(非接触センサ)
21 被検出体
30 バルブシャフトユニット
33 レバー部材(支持部材)
37 シャフト取付穴(挿入穴)
38 露出部
39 外穴(露出穴)
52 円弧穴(穴部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10