IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Future Technology株式会社の特許一覧

特開2024-55777エアロゾル形成基材とその製造方法及び製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055777
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基材とその製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20240411BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240411BHJP
   A24F 40/70 20200101ALI20240411BHJP
【FI】
A24F40/465
A24D1/20
A24F40/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148109
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2022162506
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023121006
(32)【優先日】2023-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB01
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC22
4B162AE02
4B162AE06
(57)【要約】
【課題】 製造中や製造後に充填物の内部において、誘導加熱部材の位置や向きが変化することを抑制し、誘導加熱の安定性と効率を向上させるようなエアロゾル形成基材を提供する
【解決手段】 エアロゾル吸引カートリッジ10に使用される円柱形状のエアロゾル形成基材1であって、円筒形状の包装部材11と、その円筒の内部に収納されたエアロゾル発生源である充填物12と、その内部に、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材13と、その位置や向きの変化を抑制するための位置安定部材14と、を備え、位置安定部材14は定型性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材であって、
円筒形状の包装部材と、
前記包装部材の円筒の内部に収納されたエアロゾル発生源である充填物と、
前記充填物の内部に、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材と、前記誘導加熱部材の位置や向きの変化を抑制するための位置安定部材と、を備え、
前記位置安定部材は定型性を有する、
ことを特徴とする、エアロゾル形成基材。
【請求項2】
前記位置安定部材の形状は、顆粒状、球状、板状、シート状、細線状、多面体状、網状、平板状または棒状のいずれかである、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項3】
前記位置安定部材は、前記エアロゾル形成基材の高さ方向の向きに変形自在である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項4】
前記位置安定部材が、前記充填物の内部において、前記エアロゾル形成基材の高さ方向について、前記誘導加熱部材の配置されている範囲に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項5】
前記位置安定部材の素材は、天然繊維、合成繊維、天然皮革、合成皮革、天然樹脂、天然ゴム、プラスチック、合成ゴム、金属、紙、ガラス、炭素繊維、木材、竹材、またはセラミックスが使用される、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項6】
前記位置安定部材は、風味添加剤またはエアロゾルフォーマが塗布または吸収されている、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項7】
前記位置安定部材は、前記充填物の素材が塗布または吸収されている、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項8】
前記位置安定部材は、その一部または全部が、前記充填物の素材で形成されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項9】
前記位置安定部材は、帯状部材を素材とし、前記帯状部材を、その長手方向に沿った折線で折り畳まれた形状、または長手方向に沿った中心軸で丸められて円柱形状に形成された、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項10】
前記位置安定部材は、細線状部材を、その長手方向に複数配列して捻転した形状に形成されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項11】
前記細線状部材は、極細線状部材を、その長手方向に複数配列した、
ことを特徴とする、請求項10に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項12】
前記位置安定部材は、細長い平板状の部材を、その長手方向を軸として捻転した形状に形成されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項13】
前記位置安定部材は、全体として細長い形状であり、前記エアロゾル形成基材の高さ方向に垂直な面視において、中心から多角形状または楕円形状の突起が、等角度間隔で配置された形状であり、前記突起の前記エアロゾル形成基材の半径方向の長さは、前記エアロゾル形成基材の半径の長さの20%以上50%以下であり、
前記突起は3個以上備えられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項14】
前記位置安定部材は、全体として細長い形状であり、前記エアロゾル形成基材の高さ方向に垂直な面視において、円形状を中心として、多角形状または楕円形状の突起が、等角度間隔で配置された形状であり、前記突起の前記エアロゾル形成基材の半径方向の長さと前記円形状の半径の和は、前記エアロゾル形成基材の半径の長さの20%以上50%以下であり、
前記突起は3個以上備えられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項15】
前記位置安定部材は、熱伝導物質よりなる皮膜を表面に被覆してなる、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項16】
前記位置安定部材は、熱伝導物質よりなる繊維状部材または粒子を、その内部に包摂してなる、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材。
【請求項17】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材の製造方法であって、連続体に形成されたシート状の充填物材料とリボン状形態の誘導加熱材料と細線状の位置安定材料とを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送しながら収束部に搬入し、前記充填物材料のシートの面上に、前記誘導加熱材料と前記位置安定材料を、斜め上方から積層させる搬入工程と、
前記充填物材料を、搬送させながら前記収束部の形状にそって、前記誘導加熱材料と前記位置安定材料を包含しつつ収束させ、充填物収束体を形成する収束工程と、
前記充填物収束体を、テープ状の紙の連続体である包装紙と同じ向きに前記搬送速度で円筒状の包摂部材の内部に搬送し、円柱状の連続体である充填物包装体を形成する工程と、
前記充填物包装体を、前記搬送速度で搬送しながら所定の長さに切断し、エアロゾル形成基材を形成する工程と、を備え、
前記搬入工程において、前記充填物材料と前記誘導加熱材料は、面同士が対向して積層される、
ことを特徴とする、エアロゾル形成基材の製造方法。
【請求項18】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材の製造方法であって、連続体に形成されたシート状の充填物材料とリボン状形態の誘導加熱材料と細線状の位置安定材料と、テープ状の紙の連続体である包装紙とを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送しながら収束部に搬入し、前記包装紙のテープ状の面上に、前記充填物材料と前記誘導加熱材料と前記位置安定材料を積層させる搬入工程と、
前記包装紙を、搬送させながら前記収束部の形状にそって、充填物材料と前記誘導加熱材料と前記位置安定材料を包含しつつ収束させ、充填物収束体を形成する収束工程と、
前記充填物収束体を、前記搬送速度で円筒状の包摂部材の内部に搬送し、円柱状の連続体である充填物包装体を形成する工程と、
前記充填物包装体を、前記搬送速度で搬送しながら所定の長さに切断し、エアロゾル形成基材を形成する工程と、を備え、
前記搬入工程において、前記充填物材料と前記誘導加熱材料は、面同士が対向して積層される、
ことを特徴とする、エアロゾル形成基材の製造方法。
【請求項19】
前記搬入工程において、前記誘導加熱材料は、補助収束部を通って前記収束部に搬入され、前記位置安定材料は、導入部を通って前記収束部に搬入される、
ことを特徴とする、請求項17または18のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材の製造方法。
【請求項20】
前記補助収束部と前記導入部は、前記収束部に設けられた中空管であり、前記誘導加熱材料と前記位置安定材料の、前記収束部における搬入の位置と角度を変更可能に設置されている、
ことを特徴とする、請求項19に記載のエアロゾル形成基材の製造方法。
【請求項21】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材の製造装置であって、連続体に形成されたシート状の充填物材料とリボン状形態の誘導加熱材料と細線状の位置安定材料とを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送し、前記充填物材料と前記誘導加熱材料を、面同士を対向して積層する搬送手段と、
前記充填物材料を収束し、充填物収束体を形成するための、上底面及び下底面が開口された筒状の錐台形状の収束部と、
前記充填物収束体を、テープ状の紙の連続体である包装紙で包装するための、円筒状の包摂部材と、
前記充填物包装体を、所定の長さに切断するための切断手段と、を備える、
ことを特徴とする、エアロゾル形成基材の製造装置。
【請求項22】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材の製造装置であって、連続体に形成されたシート状の充填物材料とリボン状形態の誘導加熱材料と細線状の位置安定材料と、テープ状の紙の連続体である包装紙とを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送し、前記充填物材料と前記誘導加熱材料を、面同士を対向して積層する搬送手段と、
前記充填物材料を収束し、充填物収束体を形成するための、上底面及び下底面が開口された筒状の錐台形状の収束部と、
前記充填物包装体を、所定の長さに切断するための切断手段と、を備える、
ことを特徴とする、エアロゾル形成基材の製造装置
【請求項23】
前記誘導加熱材料を前記収束部に搬入するための補助収束部と、前記位置安定材料を前記収束部に搬入するための導入部と、を備える、
ことを特徴とする、請求項21または22のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材の製造装置。
【請求項24】
前記補助収束部と前記導入部は、前記収束部または前記包摂部材に設けられた中空管であり、前記誘導加熱材料と前記位置安定材料の、前記収束部または前記包摂部材における搬入の位置と角度を変更可能に設置されている、
ことを特徴とする、請求項23に記載のエアロゾル形成基材の製造装置。
【請求項25】
エアロゾル形成基材の製造装置に設置される保護部材であって、前記収束部の入口から前記包摂部材の出口までの搬送工程の一部または全部を、前記搬送工程に沿って、搬送方向の上面と、前記上面に垂直な方向の左右両面を板状部材でトンネル形状に包囲する、
ことを特徴とする、保護部材。
【請求項26】
前記保護部材は、前記トンネル形状の入口が、その出口より大きく形成され、搬送方向に沿って2つ以上に分割されており、分割線おいて開閉自在である、
ことを特徴とする、請求項25に記載の保護部材。
【請求項27】
前記位置安定部材は、前記誘導加熱部材の一部に形成された屈曲形状または全体に形成された湾曲形状である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱式向けのエアロゾル吸引カートリッジに使用されるエアロゾル形成基材とその製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのエアロゾル吸引カートリッジも知られ始めている。
【0003】
このようなエアロゾル吸引カートリッジは、エアロゾル形成基材の内部の充填物を加熱することで、エアロゾルを発生させる。エアロゾル形成基材の加熱方法として、(1)加熱装置内部に設置された加熱ブレードに、エアロゾル吸引カートリッジを挿入して、加熱ブレードを電気的に加熱することで充填物を加熱する方式(抵抗加熱式)(例えば特許文献1参照)、(2)エアロゾル形成基材の内部に予め強磁性体を主成分とした部品である誘導加熱部材を配置して、誘導加熱装置で発生させた交番磁界により、誘導加熱部材内部にヒステリシス損及びジュール熱を発生させて加熱(誘導加熱)することで、充填物を加熱する方式(誘導加熱式)が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
図22は、従来のエアロゾル形成基材101を使用した誘導加熱式向けのエアロゾル吸引カートリッジ100の概略の側面断面図である。エアロゾル吸引カートリッジ100は、全体として細長い円柱形状をしており、加熱することでエアロゾルを発生する素材の集積体である充填物104が充填されたエアロゾル形成基材101と、エアロゾル形成基材101が動いたり、外装部材107が折れ曲がったりすることを防止するための支持部材105と、エアロゾル形成基材101からの気流を通すことのできるフィルタ106と、フィルタ106の反対側の端に配置されるシール部材108とが、長手方向に沿って配列されており、シート状の外装部材107で円柱状に巻かれることで一体的に形成されている。ここで、外装部材107は、紙等の柔軟な素材で形成されており、シール部材108や支持部材105は、紙、プラスチックまたはシリコーン等の素材から形成されている。
【0005】
エアロゾル形成基材101は、中央に開口が形成されている円筒形状の包装部材103の内部に、充填物104が円柱形状に収納されており、さらに充填物104には、誘導加熱に供する誘導加熱部材102が配置されている。ここで、誘導加熱部材102の長さは、包装部材103の高さ方向の長さ、すなわちエアロゾル形成基材101の高さ方向の長さと略同じであり、支持部材105やシール部材108と物理的に近接している構造となっている。
【0006】
ここで、誘導加熱式では交番磁界と誘導加熱部材102の位置関係が、加熱の安定性や効率に影響するので、誘導加熱部材102は、エアロゾル形成基材101の製造段階で、充填物104の内部における位置や向きが所定の範囲になるように工程が組まれている。しかしながら、充填物104は専ら柔軟で細かい素材の集積体で形成されており、また水分を含んでいる場合が多いため、製造中や製造後の保管・使用状態で、包装部材103の内部で動いたりずれたりしやすく、充填物104の内部で誘導加熱部材102の位置や方向が変化する場合があり、これがエアロゾル吸引カートリッジ100の品質を低下させる要因の一つになっていた。
【0007】
ここで、誘導加熱部材102自体を大きくすることで、位置や向きの変化をしにくくすることも考えられるが、この場合、同時に発熱量が過剰になり、事故や誘導加熱装置の故障が発生することが懸念されていた。
【0008】
一方で、充填物104の充填密度を増やすことも考えられるが、これにはエアロゾル形成基材101の製造装置や製造工程の仕様を大幅に変更することが必要となり、実現性を妨げていた。また、充填密度の調整が難しく、これを増やし過ぎると、通気性が低下するため、エアロゾルや風味の発生が阻害されやすくなるため、使用者の使用感を妨げることが懸念された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2015-519915号公報
【特許文献2】特開2021-175399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、製造中や製造後に充填物の内部における誘導加熱部材の位置や向きが変化することを抑制し、誘導加熱の安定性と効率を向上させるようなエアロゾル形成基材を提供することを目的とする。
【0011】
また、エアロゾル形成基材から発生する風味やエアロゾルを増加させたり、使用中に変化させたりできる、エアロゾル形成基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材であって、円筒形状の包装部材と、前記包装部材の円筒の内部に収納されたエアロゾル発生源である充填物と、前記充填物の内部に、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材と、前記誘導加熱部材の位置や向きの変化を抑制するための位置安定部材と、を備え、前記位置安定部材は定型性を有する、ことを特徴とする、エアロゾル形成基材。
請求項2に記載の発明は、前記位置安定部材の形状は、顆粒状、球状、板状、シート状、細線状、多面体状、網状または棒状のいずれかである、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項3に記載の発明は、前記位置安定部材は、前記エアロゾル形成基材の高さ方向の向きに変形自在である、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項4に記載の発明は、前記位置安定部材が、前記充填物の内部において、前記エアロゾル形成基材の高さ方向について、前記誘導加熱部材の配置されている範囲に配置されている、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項5に記載の発明は、前記位置安定部材の素材は、天然繊維、合成繊維、天然皮革、合成皮革、天然樹脂、天然ゴム、プラスチック、合成ゴム、金属、紙、ガラス、炭素繊維、木材、竹材、またはセラミックスが使用される、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項6に記載の発明は、前記位置安定部材は、風味添加剤またはエアロゾルフォーマが塗布または吸収されている、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項7に記載の発明は、前記位置安定部材は、前記充填物の素材が塗布または吸収されている、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項8に記載の発明は、前記位置安定部材は、その一部または全部が、前記充填物の素材で形成されている、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項9に記載の発明は、前記位置安定部材は、帯状部材を素材とし、前記帯状部材を、その長手方向に沿った折線で折り畳まれた形状、または長手方向に沿った中心軸で丸められて円柱形状に形成された、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項10に記載の発明は、前記位置安定部材は、細線状部材を、その長手方向に複数配列して捻転した形状に形成されている、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項11に記載の発明は、前記細線状部材は、極細線状部材を、その長手方向に複数配列した、ことを特徴とする、請求項10に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項12に記載の発明は、前記位置安定部材は、細長い平板状の部材を、その長手方向を軸として捻転した形状に形成されている、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項13に記載の発明は、前記位置安定部材は、全体として細長い形状であり、前記エアロゾル形成基材の高さ方向に垂直な面視において、中心から多角形状または楕円形状の突起が、等角度間隔で配置された形状であり、前記突起の前記エアロゾル形成基材の半径方向の長さは、前記エアロゾル形成基材の半径の長さの20%以上50%以下であり、前記突起は3個以上備えられる、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
請求項14に記載の発明は、前記位置安定部材は、全体として細長い形状であり、前記エアロゾル形成基材の高さ方向に垂直な面視において、円形状を中心として、多角形状または楕円形状の突起が、等角度間隔で配置された形状であり、前記突起の前記エアロゾル形成基材の半径方向の長さと前記円形状の半径の和は、前記エアロゾル形成基材の半径の長さの20%以上50%以下であり、前記突起は3個以上備えられる、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材。
請求項15に記載の発明は、前記位置安定部材は、熱伝導物質よりなる皮膜を表面に被覆してなる、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項16に記載の発明は、前記位置安定部材は、熱伝導物質よりなる繊維状部材または粒子を、その内部に包摂してなる、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材である。
請求項17に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材の製造方法であって、連続体に形成されたシート状の充填物材料とリボン状形態の誘導加熱材料と細線状の位置安定材料とを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送しながら収束部に搬入し、前記充填物材料のシートの面上に、前記誘導加熱材料と前記位置安定材料を、斜め上方から積層させる搬入工程と、前記充填物材料を、搬送させながら前記収束部の形状にそって、前記誘導加熱材料と前記位置安定材料を包含しつつ収束させ、充填物収束体を形成する収束工程と、前記充填物収束体を、テープ状の紙の連続体である包装紙と同じ向きに前記搬送速度で円筒状の包摂部材の内部に搬送し、円柱状の連続体である充填物包装体を形成する工程と、前記充填物包装体を、前記搬送速度で搬送しながら所定の長さに切断し、エアロゾル形成基材を形成する工程と、を備え、前記搬入工程において、前記充填物材料と前記誘導加熱材料は、面同士が対向して積層される、ことを特徴とする、エアロゾル形成基材の製造方法である。
請求項18に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材の製造方法であって、連続体に形成されたシート状の充填物材料とリボン状形態の誘導加熱材料と細線状の位置安定材料と、テープ状の紙の連続体である包装紙とを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送しながら収束部に搬入し、前記包装紙のテープ状の面上に、前記充填物材料と前記誘導加熱材料と前記位置安定材料を積層させる搬入工程と、前記包装紙を、搬送させながら前記収束部の形状にそって、充填物材料と前記誘導加熱材料と前記位置安定材料を包含しつつ収束させ、充填物収束体を形成する収束工程と、前記充填物収束体を、前記搬送速度で円筒状の包摂部材の内部に搬送し、円柱状の連続体である充填物包装体を形成する工程と、前記充填物包装体を、前記搬送速度で搬送しながら所定の長さに切断し、エアロゾル形成基材を形成する工程と、を備え、前記搬入工程において、前記充填物材料と前記誘導加熱材料は、面同士が対向して積層される、ことを特徴とする、エアロゾル形成基材の製造方法である。
請求項19に記載の発明は、前記搬入工程において、前記誘導加熱材料は、補助収束部を通って前記収束部に搬入され、前記位置安定材料は、導入部を通って前記収束部に搬入される、ことを特徴とする、請求項17または18のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材の製造方法である。
請求項20に記載の発明は、前記補助収束部と前記導入部は、前記収束部に設けられた中空管であり、前記誘導加熱材料と前記位置安定材料の、前記収束部における搬入の位置と角度を変更可能に設置されている、ことを特徴とする、請求項19に記載のエアロゾル形成基材の製造方法である。
請求項21に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材の製造装置であって、連続体に形成されたシート状の充填物材料とリボン状形態の誘導加熱材料と細線状の位置安定材料とを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送し、前記充填物材料と前記誘導加熱材料を、面同士を対向して積層する搬送手段と、前記充填物材料を収束し、充填物収束体を形成するための、上底面及び下底面が開口された筒状の錐台形状の収束部と、前記充填物収束体を、テープ状の紙の連続体である包装紙で包装するための、円筒状の包摂部材と、前記充填物包装体を、所定の長さに切断するための切断手段と、を備える、ことを特徴とする、エアロゾル形成基材の製造装置である。
請求項22に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成基材の製造装置であって、連続体に形成されたシート状の充填物材料とリボン状形態の誘導加熱材料と細線状の位置安定材料と、テープ状の紙の連続体である包装紙とを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送し、前記充填物材料と前記誘導加熱材料を、面同士を対向して積層する搬送手段と、前記充填物材料を収束し、充填物収束体を形成するための、上底面及び下底面が開口された筒状の錐台形状の収束部と、前記充填物包装体を、所定の長さに切断するための切断手段と、を備える、ことを特徴とする、エアロゾル形成基材の製造装置である。
請求項23に記載の発明は、前記誘導加熱材料を前記収束部に搬入するための補助収束部と、前記位置安定材料を前記収束部に搬入するための導入部と、を備える、ことを特徴とする、請求項21または22のいずれか一項に記載のエアロゾル形成基材の製造装置である。
請求項24に記載の発明は、前記補助収束部と前記導入部は、前記収束部または前記包摂部材に設けられた中空管であり、前記誘導加熱材料と前記位置安定材料の、前記収束部または前記包摂部材における搬入の位置と角度を変更可能に設置されている、ことを特徴とする、請求項23に記載のエアロゾル形成基材の製造装置である。
請求項25に記載の発明は、エアロゾル形成基材の製造装置に設置される保護部材であって、前記収束部の入口から前記包摂部材の出口までの搬送工程の一部または全部を、前記搬送工程に沿って、搬送方向の上面と、前記上面に垂直な方向の左右両面を板状部材でトンネル形状に包囲する、ことを特徴とする、保護部材である。
請求項26に記載の発明は、前記保護部材は、前記トンネル形状の入口が、その出口より大きく形成され、搬送方向に沿って2つ以上に分割されており、分割線おいて開閉自在である、ことを特徴とする、請求項25に記載の保護部材である。
請求項27に記載の発明は、前記位置安定部材は、前記誘導加熱部材の一部に形成された屈曲形状または全体に形成された湾曲形状である、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成基材である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、エアロゾル形成基材の充填物の内部に定型性のある位置安定部材が配置されることにより、製造中や製造後に充填物が包装部材の内部で動いたりずれたりしにくくなり、そのため誘導加熱部材の位置や向きの変化が抑えられ、誘導加熱の安定性と効率を向上させることが可能となる。
【0014】
また、多様な形態や素材を位置安定部材として使用できるため、多様な工程に対応できるとともに、より効果的に誘導加熱部材の位置を安定させることが可能となる。
【0015】
また、位置安定部材が、エアロゾル形成基材の高さ方向について、誘導加熱部材の配置されている範囲に配置されるため、より効果的に誘導加熱部材の位置を安定させることが可能となる。
【0016】
また、位置安定部材に風味添加剤またはエアロゾルフォーマが塗布または吸収されていることにより、エアロゾル形成基材から発生する風味やエアロゾルが増すので、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0017】
また、充填物をペースト状または液状に調製したものを位置安定部材に塗布したり吸収させたりすることで、位置安定部材が誘導加熱部材に近接したときに直接加熱されて焼損することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係るエアロゾル形成基材の概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。
図2】本発明の実施の形態1に係るエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るエアロゾル形成基材の製造工程を示す概略の側面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係るエアロゾル形成基材の製造工程を示す概略の正面図である。
図5】本発明の実施の形態2に係るエアロゾル形成基材の製造工程を示す概略の側面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係るエアロゾル形成基材の製造工程に使用される収束部を示す概略の正面図(a)と側面断面図(b)である。
図7】本発明の実施の形態2に係るエアロゾル形成基材の製造工程に使用される導入部を示す概略の正面図(a)と側面断面図(b)である。
図8】本発明の実施の形態2に係るエアロゾル形成基材の製造工程に使用される引込ローラを示す概略の正面図(a)と側面図(b)である。
図9】本発明の実施の形態3に係るエアロゾル形成基材の製造工程を示す概略の側面図である。
図10】本発明の実施の形態3の変形例に係るエアロゾル形成基材の製造装置の収束部を示す概略の側面図である。
図11】本発明の実施の形態4に係るエアロゾル形成基材の製造工程を示す概略の側面図である。
図12】本発明の実施の形態4に係る保護部材を示す概略の平面図(a)、側面図(b)、正面図(c)及び背面図(d)である。
図13】本発明の実施の形態4に係る保護部材を示す概略の斜視図である。
図14】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。
図15】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の側面断面図である。
図16】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の正面断面図である。
図17】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の正面断面図である。
図18】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の正面断面図である。
図19】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の側面断面図である。
図20】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の側面断面図である。
図21】本発明の他の実施の形態に係るエアロゾル形成基材の概略の正面断面図である。
図22】従来のエアロゾル形成基材を使用したエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図である。
図23】本発明の実施の形態1に係る誘導加熱部材を示す概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1
発明の実施の形態1について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために 、実際の物に比べて大幅に誇張、簡略化して表現している。
【0020】
図2は、発明の実施の形態1に係るエアロゾル形成基材1を使用したエアロゾル吸引カートリッジ10の概略の側面断面図である。エアロゾル吸引カートリッジ10は、エアロゾル形成基材1と、支持部材15と、フィルタ16と、フィルタ16の反対側の端に配置されるシール部材18とが、直線的に配列され、外装部材17で巻かれて細長い円柱形状に形成されている。
【0021】
エアロゾル吸引カートリッジ10は、全体として細長い円柱形状をしており、加熱することでエアロゾルを発生する素材の集積体である充填物12が収納された、細長い円柱形状のエアロゾル形成基材1と、エアロゾル形成基材1が動いたり、外装部材17が折れ曲がったりすることを防止するための支持部材15と、エアロゾル形成基材1からの気流を通すことのできるフィルタ16とが、長手方向に沿って配列されており、シート状の外装部材17で円柱形状に巻かれることで一体的に形成されている。ここで、外装部材17は、紙等の柔軟な素材で形成されている。本明細書において、「細長い」とは、立体形状において、一方向が他の方向より長いことを意味する。また、本明細書では、「細長い円柱形状(円筒形状)」とは、円柱(円筒)の底面である円の直径より、円柱(円筒)の高さ(すなわち底面に垂直な成分)の方が長いことを意味する。以降、エアロゾル形成基材1において「(円柱の)高さ方向」というときは、「(円柱の)長手方向」または「(円柱の)底面に垂直な方向」と同義である。
【0022】
本実施の形態におけるエアロゾル吸引カートリッジ10は、直径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、長さが40mm~80mmに形成される。エアロゾル吸引カートリッジ10の直径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ10を差し込む挿入口と適度な力で嵌合するため、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置に好適に保持させることを可能にしつつ、エアロゾル吸引カートリッジ10の着脱を容易にすることができる。エアロゾル吸引カートリッジ10の長さを40mm以上に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ10を受け入れる挿入口の長さよりも長くなるので、エアロゾル吸引カートリッジ10を誘導加熱装置に差し込んでも、吸口を誘導加熱装置から露出させることができ、使用者がエアロゾルを吸引するのに必要な長さを確保可能となる。
【0023】
エアロゾル形成基材1は、図1に示すように、中央に開口が形成されている円筒形状の包装部材11の内部に、エアロゾル発生源である充填物12が円柱形状に収納されており、さらに充填物12の内部には、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材13と、誘導加熱部材13の位置や向きの変化を抑制するための位置安定部材14が配置されている。長さは10~30mmに設定されている。
【0024】
エアロゾル形成基材1の直径は、フィルタ16の直径と略等しく、また、中心軸に沿って概ね一定の値となっている。この直径の大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。
【0025】
包装部材11は、紙などの柔軟かつ燃焼可能な素材でできた、円筒形状の部材であり、円筒の外側の直径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、長さが10mm~30mmに設定されている。
【0026】
<充填物12について>
充填物12は、乾燥・粉砕されたタバコ植物または非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマや、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、粘着剤または増粘剤等を混合し、シート状に成形した上で、所定の幅及び長さを有するように切断されることで形成される。なお、充填物12は多様な形状を有してもよい。例えば、短冊状やペースト状に形成されてもよいし、平板状、片状、棒状、繊維状、フレーク状、粉体、顆粒、ペレット、ストランド、多孔質状、ブロック状のいずれかもしくはこれらの混合体に形成されても良い。
【0027】
なお、充填物12を短冊状で構成した場合、中心軸に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。充填物12の長さは10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物12の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0028】
次に、充填物12として用いられる原料の具体例について説明する。充填物12は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0029】
充填物12は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0030】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0031】
充填物12は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する風味添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉末状または粒状にしたり、ペースト状に成形される。また、充填物12は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とされる。
【0032】
例えば、非タバコ植物が原材料である場合は、茶葉を使用できる。茶葉は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なる茶葉になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、ウーロン茶等が挙げられる。
【0033】
エアロゾルフォーマは、例えばグリセリン、プロピレングリコール等が好ましく使用される。
【0034】
次に、微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0035】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0036】
さらに、必要に応じ充填物12の原料として風味を追加する風味添加剤も用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0037】
結着剤または増粘剤としては、グアーガム等のゴム、ヒドロキシプロピルセルレロースなどのセルロース結合剤、デンプンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
<誘導加熱部材13について>
誘導加熱部材13は、本実施の形態では、図1に示したように、平板状の素材を加工したものである。この平板は、厚さが0.05~0.5mm、好ましくは厚さが0.1~0.3mmである。長さはエアロゾル形成基材1の円柱の高さ方向の長さに比べて略同じであるが、エアロゾルの形成を阻害しない程度、例えばエアロゾル形成基材1の長さより±1~3mm程度異なっていてもよい。なお、誘導加熱部材13は必ずしも平板状である必要はなく、多角形状、棒状、柱状、筒状、粒子状、球状、多孔質状、シート状、L字形状、V字形状その他多彩な形状とその組み合わせの形状とすることも可能である。
【0039】
誘導加熱部材13の素材は、強磁性体を含む金属材料で形成される。強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁性を強く帯び、特に磁石に吸着する性質を持つ素材であり、例えば、強磁性体の材料である鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス(例えばSUS430)、ニッケル、ニッケル鉄合金(例えば42アロイ、36インバー)、あるいはコバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0040】
磁性体のうち常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば、アルミニウム、白金およびマンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。
【0041】
また、磁性体のうち反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイト、ビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0042】
強磁性体は、向きや大きさが時間と共に変化する磁界(交番磁界)内部に置いたとき、電磁誘導により流れる渦電流によるジュール熱が発生するだけでなく、強磁性体内部の磁化の向きが変化するときに発生するエネルギー損失(ヒステリシス損)に起因する熱が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱ができ、エアロゾル吸引カートリッジ10を十分に加熱できる。
【0043】
また、強磁性体がその磁気秩序を失い、常磁性体に転移する温度であるキュリー温度は、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、エアロゾル吸引カートリッジ10を例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体としての性質を維持でき、エアロゾル吸引カートリッジ10を安定して加熱できる。
【0044】
誘導加熱部材13の素材は、強磁性体の材料である、鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用してもよい。例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられ、より好ましくは、鉄、クロム、アルミを組合せた合金(鉄クロムアルミ合金)である。
【0045】
ここで、鉄及びクロムの温度と磁性の関係性について説明する。鉄は、キュリー温度が約770℃、クロムは、反強磁性体から常磁性体に変わる温度であるネール温度が約35℃である。
【0046】
また、誘導加熱部材13は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば強磁性体を、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられる。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル吸引カートリッジ10を十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いてもよい。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0047】
<位置安定部材14について>
位置安定部材14は、充填物12の内部において、誘導加熱部材13の位置や向きの変化を抑制するための部材である。そのため、充填物12の内部に配置した状態で、定型性を有することが必要とされる。ここで本実施の形態において定型性を有するとは、充填物12の内部に配置された状態で、製造中の工程や製造後の通常の保管状態において塑性変形や永久変形のような不可逆的な変形をせず、一定の形状を保つ性質をいう。例えばまた、金属や木材などの剛体はもちろん定型性を有するし、ひも状の物体は長さ方向には変形するが、その太さ方向に対して定型性を有すると考え、スポンジやゴムといった変形自在な物体も、変形その弾性力に応じて定型性を有すると考える。このように位置安定部材14が定型性を有する場合、それ自体が充填物12内部で動くにくいため、充填物12が包装部材の内部で動いたりずれたりしにくくなり、それにより誘導加熱部材13の位置や向きの変化を抑制する。そのため、位置安定部材14の形状は、例えば、顆粒状、球状、板状、シート状、ひも状、多面体状、細線状、平板状、網状または棒状のいずれかであることが好ましい。
【0048】
また、位置安定部材14は、後述するエアロゾル形成基材1の製造工程において、エアロゾル形成基材1の高さ方向(すなわち長手方向)に沿って流動させながら連続的に充填物12内部に挿入するため、エアロゾル形成基材1の高さ方向変形自在であること、言い換えれば、位置安定部材14は、連続体であり、その長さ方向に変形自在であり、ロール状にしたり、折りたためたりできることが好ましい。そこで、本実施の形態1では、ひも状の物体を用いた。一方、ひもはその太さ方向には定型性を有するので、その太さに充填物12の内部で動きが制約される。ここで、本実施の形態において「ひも状」とは、ひも以外にも糸、ロープといった細長い連続体の形状をしており、長さ方向で変形自在な物体を含むものとする。一方、長さ方向以外の成分、例えば断面の径方向には、変形しないまたは変形しにくい方が、誘導加熱部材13の位置安定効果が増すので好ましい。
【0049】
また、位置安定部材14は、誘導加熱部材13の位置を有効に安定させるために、図1のように、充填物12の内部において、エアロゾル形成基材1の円柱の高さ方向について、誘導加熱部材13の配置されている範囲(以下「配置範囲」という)に配置されていることが好ましい。
【0050】
ここで、「誘導加熱部材13の配置範囲」とは、エアロゾル形成基材1の円柱の片方の底面側から、その高さ方向に沿って、反対側の底面側に計測したときに、誘導加熱部材13が存在し始める場所から、存在しなくなる場所までの直線距離の範囲を意味する。位置安定部材14の配置範囲についても同様であり、本実施の形態では、誘導加熱部材13の長さはエアロゾル形成基材1の高さ方向の長さに比べて略同じであるので、充填物12の内部において、位置安定部材14の配置範囲は、誘導加熱部材13のそれと略同じになる。
【0051】
一方、位置安定部材14の配置が、エアロゾル形成基材1の高さ方向について、誘導加熱部材13の配置されている範囲より長い場合とは、前述の方法で計測したときに、充填物12の内部において誘導加熱部材13が存在しない(存在する前または存在しなくなった後)領域まで、位置安定部材14が配置されているような状態を意味する。
【0052】
また、本実施の形態の様に、位置安定部材14がひも状の物体で形成されている場合には、充填物12の内部で非直線的に曲がりくねることで、その実際の長さが誘導加熱部材13の配置範囲より長くなる場合があるが、その場合でも、前述のように計測した場合、位置安定部材14の配置範囲は、誘導加熱部材13の配置範囲と同じと考える。位置安定部材14が棒状や板状で、充填物12内部に斜めに配置されていることで、その実際の長さが誘導加熱部材13の配置範囲より長くなる場合も同様とする。
【0053】
また、誘導加熱部材13が小片状や球状であり、充填物12の内部に複数個が離れて配置するような場合も、上記と同様に考え、最初の誘導加熱部材13が存在し始める場所から、最後の誘導加熱部材13が存在しなくなる場所までの直線距離の範囲を配置範囲と考える。逆に位置安定部材14が小片状や球状である場合も同様と考え、最初の位置安定部材14が存在し始める場所から、最後の位置安定部材14が存在しなくなる場所までの直線距離の範囲を配置範囲とする。位置安定部材24が球状であり、複数個が離れて配置されている場合の概略の側面断面図を図15に示す。
【0054】
また、誘導加熱部材13の位置安定効果を有効に得るためには、エアロゾル形成基材1の円柱の底面の直径に対する位置安定部材14のエアロゾル形成基材1の底面視及び正面断面視の大きさが、所定のもの以上であることが好ましい。具体的には、位置安定部材14の大きさ(例えば位置安定部材14が紐状や円柱状の場合は断面の直径、棒状・板状の場合は厚さ及び幅)が、円柱の底面の直径に対して6分の1以上あることが好ましく、3分の1以上であることがさらに好ましい。一方で、3分の2を超えるような場合、充填物12を圧迫することで、通気性を低下させる懸念があるので、3分の2以下であることが好ましいく、2分の1以下であることがさらに好ましい。
【0055】
位置安定部材14の素材は、綿、絹等の天然繊維、ナイロン(登録商標)、ポリエステル、アクリル、ポリウレタンなどの合成繊維、天然皮革、合成皮革、天然樹脂、天然ゴム、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、PTFT、ポリアミドなどのプラスチック、シリコーン等の合成ゴム、ステンレス、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅などの金属、紙、ガラス、炭素繊維、木材、竹材、またはセラミックスが使用される。本実施の形態では、綿製の素材を用いた。ここで、金属の場合は、過剰加熱を防ぐという観点から強磁性体でないもの、例えばアルミニウムのような常磁性体、銅のような非磁性体が好ましい。
【0056】
支持部材15は、エアロゾル形成基材1の支持部材15側への移動や外装部材17の折れ曲がりを抑制するとともに、エアロゾル形成基材1で発生したエアロゾルを含む気流をフィルタ16側に流通させる。支持部材15は、例えば円筒状かつ中実状に設けられ、その高さ方向の軸がエアロゾル吸引カートリッジ10の中心軸に沿うようにエアロゾル形成基材1とフィルタ16との間に配置される。支持部材15は、例えば、直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以下に形成される。なお、支持部材15は、適宜機能および構成に応じて上記とは異なる寸法を有していてもよい。本実施の形態では、樹脂材で形成された支持部材本体に、空気の流路となる挿通孔が形成された形態である。支持部材15を形成する素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ乳酸、シリコーンのようなものが挙げられる。また、紙を丸めたり、捲縮させたものでもよい。
【0057】
フィルタ16は、円柱状に形成されており、高さ方向の長さは、10~50mmに設定されている。フィルタ16の素材は、例えば紙等を用いて形成される。また、紙からなるシート状の部材を巻いて円柱状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。また、シリコーンを含む多孔質材料で形成されてもよい。フィルタ16は、エアロゾル形成基材1で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を有する白色のフィルタである。なお、充填物12が非タバコ植物を原料としている場合、フィルタ16は必ずしも必要ではない。
【0058】
次に、シール部材18は、円柱状に形成され、例えば直径が4.0mm~7.5mm、高さ方向の長さが3.0~7.0mmに設定される。シール部材18は、フィルタ16と同様に、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円管状に設けられてもよい。シール部材18は、カートリッジの外部からエアロゾル形成基材1に向かって空気を通過させる機能を有する。また、シール部材18は、エアロゾル形成基材1で生成された水蒸気やエアロゾルのうち、エアロゾル形成基材1に留まって液化した残留液を吸収することができる。このシール部材18は、フィルタ16とは異なる色(例えば黒)にすることで、エアロゾル吸引用カートリッジ10の上流側と下流側を簡単に判断可能にすることができる。また、通気性を向上させるために、エアロゾルの通路となる貫通孔を設けても良い。
【0059】
次に、本実施の形態に係る、充填物12の製造工程について説明をする。
【0060】
充填物12の製造工程は、さらに内部工程として、その主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程と、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程と、原料を混合して組成物とする混合工程と、組成物を成形する充填物成形工程と、を有する。
【0061】
乾燥・粉砕工程では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を組成物とするため、所定の粉砕物に加工する。その際、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持するのに都合の良い水分量に調整することが好ましい。乾燥において、温度は60℃以上80℃以下が好ましい。この範囲とすることで、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所望の水分量に到達させやすい。さらに、乾燥・粉砕工程には、粉砕物を篩分けする篩工程を設けることもでき、所望の粒度に調整して混合工程に投入することができる。
【0062】
準備工程においては、充填物12を作製するにあたり必要な原料を準備することができる。前述の微結晶セルロースは、準備工程において秤量され、混合工程に投入される。
【0063】
混合工程においては、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0064】
充填物成形工程では、短冊状または棒状とする場合には、各種原料が混合された組成物を複数本のロールミルで薄いシート状に成形してから、切断することで充填物12が成形される。複数本のロールミルを用いると、狭いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断により、混練、分散などを行いながら、ドクターブレードにより所望の厚さのシートとすることが可能であり、好ましい。また、プレスローラあるいはプレス機を用いて作製することもできる。
【0065】
この場合、シートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。得られたシートは、カッター、回転刃方式のロータリーカッター等により、所定の幅に切断される。
【0066】
また、粉末状または粒状の充填物12とする場合には、上記組成物について、適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉末状または粒状の充填物12における平均粒子径は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。当該平均粒子径は、例えばJIS K 0069:1992に記載された篩分け法によって求められる。つまり、この平均粒子径は、複数の篩による試験結果について、目開きの大きいほうからの質量の積算を行い、その質量50%に相当する径をいう。また、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒子径としても良い。また、粉末状または粒状の組成物に増粘剤や水などを適量添加して混錬することで、充填物12を、流動性を有するペースト状に形成してもよい。
【0067】
充填物成形工程では、組成物を加圧によりオリフィスを通過させて成形するなど、他の手段を用いても良い。また、充填物成形工程では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加しても良いし、水などを添加しても良い。
【0068】
ここで、充填物12の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状の充填物12と粉末状、粒状またはペースト状の充填物12と組み合わせる場合に、短冊状または棒状の充填物12の表面に粉末状、粒状またはペースト状の充填物12を安定して保持することができる。
【0069】
<エアロゾル形成基材の製造工程>
次に、図3、4に基づいて、実施の形態1に係るエアロゾル形成基材1の製造工程と製造装置について説明をする。
【0070】
この工程では、充填物12と誘導加熱部材13と位置安定部材14を、包装部材11で円柱状に包摂し、エアロゾル形成基材1の直径に合わせて収束させるが、これは、内部工程として、上述した充填物成形工程の他、エアロゾル発生源であるシート状の充填物12と、細長いリボン状の誘導加熱部材13と、位置安定部材14を同一方向に直線的に同じ速さで流動させながら、収束させ、細長いテープ状の包装紙11で円柱形状に包装する工程と、これを所定の間隔で裁断する工程を含む。
【0071】
エアロゾル形成基材の製造装置は、連続体に形成されたシート状の充填物材料12mと連続体に形成されたリボン状形態の誘導加熱材料13mと、連続体に形成された細線状の位置安定材料14mとを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送し、充填物材料12mと誘導加熱材料13mを、面同士を対向して積層する搬送手段と、充填物材料12mを収束し、充填物収束体1mを形成するための、上底面及び下底面が開口された筒状の錐台形状の収束部B1と、充填物収束体1mをテープ状の紙の連続体である包装紙11mで包装するための第二収束部B2と、充填物包装体1mを形成するための円筒状の包摂部材Iと、充填物包装体1mを、所定の長さに切断するためのカッター(切断手段)Cとを備える。また、収束部B1と、第二収束部B2と、包摂部材IとカッターCは、図4のように直線上に配列されるのが好ましい。ここで、収束部B1の内部における充填物材料12m等の様子が分かるように、点線で示している。
【0072】
エアロゾル形成基材1の製造工程では、充填物12と誘導加熱部材13と位置安定部材14を包装部材11で円柱状に包摂し、エアロゾル形成基材1の直径に合わせて収束させるが、これは、内部工程として、上述した充填材形成工程の他、エアロゾル発生源であるシート状の充填物材料12mと、細長いリボン状の誘導加熱材料13mと、位置安定材料14mを同じ向きに直線的に所定の速さで搬送させながら、収束部B1に搬入する搬入工程P0と、これらを収束部で収束させる収束工程P1と、これを包摂部材Iにおいて連続体に形成された細長いテープ状の包装紙11mで円柱形状に包装し、充填物包装体1mを作製する包摂工程P2と、充填物包装体1mを、カッターCで所定の間隔で裁断する切断工程P3を含む。なお、本明細書で説明するエアロゾル形成基材1の製造工程において「同じ向き」というとき、必ずしも搬送の全ての方向(上下、左右、前後)が一致している必要はなく、前後方向(図の左右方向)が一致しており、全体的な方向性として同じ目標に向かって搬送されているような状態も含むものとする。例えば図3、4においては、充填物材料12mと、誘導加熱材料13mと、位置安定材料14mが、それぞれの開始位置から図の右上から左下へ搬送され、収束部B1で合流し、収束部B2、包摂部材I、カッターCの方向に向かっている。この場合、収束部B1で合流する前は上下方向の向きが一致していないが、全体的な方向性として同じ目標に向かって進んでいるので、本明細書ではこれも「同じ向き」に搬送されているものと表記している。
【0073】
包装紙11mと充填物材料12mと誘導加熱材料13mと位置安定材料14mは連続体、例えば長い帯状またはリボン状に形成されたものがロール状に巻かれた状態で、各ロールの中心を軸に回転自在状態に製造装置に設置され、それぞれ回転しながら解かれ、同じ向きにS1、S2、S3、S4の速さで搬送される。実施の形態1では、S1、S2、S3、S4とも同じ速さである。
【0074】
搬入工程P0では、上述した充填材形成工程後のシート状の充填物材料12mを、搬送方向に沿って切り込みが入れられて短冊状に形成され(切込みは予め形成されても良いし、工程中に搬送させながらローラーカッターで形成してもよい)、これと誘導加熱材料13mと位置安定材料14mを、製造装置の収束部B1に搬入する。ここで、切込みは必ずしも加工に係る工程により形成する必要はなく、収束部B1部において充填物材料12mが捲縮されるときにつく折り目を起点として自動的に形成されてもよい。また、切込みは充填物材料12mを貫通していても良いし、非貫通でも良く、さらに貫通・非貫通が混在していても良い。さらに、切込みは必ずしも形成されなくともよいし、形成されている部分とされていない部分が混在していても良い。
【0075】
ここで、実施の形態1のエアロゾル形成基材の製造工程に使用される製造装置では、連続体に形成されたシート状の充填物材料12mとリボン状形態の誘導加熱材料13mと細線状の位置安定材料14mとを、同じ向きに同じ搬送速度で搬送し、収束部B1に搬入される前もしくは後に、充填物材料12mと、誘導加熱材料13mを、その面同士を対向して積層し、誘導加熱材料13mの上または充填物材料12mと誘導加熱材料13mの間に位置安定材料14mを積層することが好ましい。すなわち、誘導加熱材料13mは、充填物材料12mが収束部B1の内壁により収束される前若しくは直後の段階でその上に縦ではなく横に寝かせた状態で載置され、位置安定材料14mと共に、収束部B1の内部で充填物材料12mに収束されることが好ましい。このような構成にすることで、後の切断工程P3において、誘導加熱材料13mをその厚さ方向に切断するので、幅方向に切断したときに比べてカッターCに対する負荷を減らすことが可能であり、その寿命を延ばすことができる。同時に誘導加熱材料13mにかかる負荷が比較的少なくないので、切断時の位置ずれを少なくすることが可能である。
【0076】
なお、搬入工程P0では、位置安定材料14mは、充填物材料12mと誘導加熱材料13mの間に配置されても良いし、誘導加熱材料13mの上に配置されても良い。図3、4では後者の場合を図示している。ここで、前者の場合は、充填物材料12mの直上には位置安定材料14mは載置され、さらにその上に誘導加熱材料13mが載置される形態になっている。また、これ以外にも充填物材料12mの直上に、誘導加熱材料13mと位置安定材料14mが横並びに載置されていてもよい。
【0077】
収束工程P1では、搬入工程P0で搬入されて充填物材料13mを、誘導加熱材料13mと位置安定材料14mを包摂する形態で、製造装置の収束部B1により略円柱状に収束させる。
【0078】
収束部B1は一方向に向かって開口が徐々に小さくなる円筒形状すなわち、上底面及び下底面が開口された筒状の錐台形状をしており、収束工程P1において開口が大きい方から充填物材料12m等が搬入される。開口が小さい方は、包摂部材Iに対向しており、ここから充填物材料12m等は搬出され、包摂工程P2へ移行する。なお、収束部B1の小開口と包摂部材Iの間は、包装紙11mが合流できるように一定の間隔を設けることが好ましい。
【0079】
包摂工程P2では、収束工程P1で収束させた充填物材料12mと誘導加熱材料13m、位置安定材料14mを、包摂部材Iの内部でテープ状の紙の連続体である包装紙11mと同じ向きに搬送速度で円筒状の包摂部材Iの内部に搬送し、包装紙11mを接着し、加する工程を経て、円柱状の連続体である充填物包装体1mを形成する。ここで、包摂部材Iは、円管上の物体であり、開口の内径はエアロゾル形成基材1の直径と略同じに設定されている。包摂工程P2における搬送速さS5は、S1等と同じである。また、包摂部材Iの一端には、包装紙11mを包摂部材Iの内部に導入するための第二収束部B2が備えられるのが好ましい。第二収束部B2は収束部B1と同様の形態をしており、テープ状の包装紙11mを収束させて、収束工程P1で形成した誘導加熱材料13mと位置安定材料14mを包摂した充填物材料12mをさらに包摂して、包摂部材Iの内部で充填物包装体1mを形成する。
【0080】
なお、包装紙11mは、搬入工程P0において、充填物材料12m、誘導加熱材料13m、位置安定材料14mと同時に収束部B1に搬入して収束させても良い。すなわち、包装紙11mのテープ状の面上に、充填物材料12mと誘導加熱材料13mを、その面同士を対向して積層し、誘導加熱材料13mの上または充填物材料12mと誘導加熱材料13mの間に位置安定材料14mを積層する構成とることも可能である。
【0081】
切断工程P3では、包摂工程で作成した、充填物包装体1mを、例えばカッターCの様な切断器具を用いて所定の長さ(80~200mm)に切断し、エアロゾル形成基材1の発熱部位の母材である充填物包装体1mを形成する。切断は、カッターCを鉛直上から下に稼働させることで、誘導加熱材料13mを含む充填物包装体1mを加工する。
【0082】
次に、充填物包装体1mをエアロゾル形成基材1の長さに切断することで、エアロゾル形成基材1を形成する。なお、本実施の形態に係るエアロゾル形成基材1の製造方法によると、エアロゾル形成基材1の高さ方向の長さと、誘導加熱部材13の長さは同じになる。
【0083】
<組立工程>
次に、組立工程について説明をする。組立工程は、シール部材18と、エアロゾル形成基材1と、支持部材15とフィルタ16を、この順番で一列に配列し、外装部材17で包むことで、エアロゾル吸引カートリッジ10が完成する。
【0084】
実施の形態2
図5から8に基づいて、実施の形態2に係るエアロゾル形成基材の製造方法と製造装置について説明をする。ここで、実施の形態1と共通の部分については、図示や説明を適宜省略する。
【0085】
実施の形態2において、収束部B1の開口の内部には、図6のように、誘導加熱材料13mの位置を調整するための補助収束部B3が設置されている。補助収束部B3は板形状をしており、収束部B1の開口を形成する円に対する弦に相当する位置関係に設置される。収束部B1と補助収束部B3の素材は特に限定はされないが、例えば金属、プラスチック、木材、紙材等が考えられる。
【0086】
補助収束部B3は、図6の様に、収束部B1の開口の一端から他端まで、開口内部の全体に亘って設置されても良いが、入口側から出口まで開口を貫通する程度に長くても良く、さらには図5のように、一部分だけでも良い。また、角度も、図6(b)のように側面断面視において収束部B1の壁面に平行に形成されても良いし、平行でなくても良い。また、適宜調整できるようにするとさらに好ましい。例えば、正面視において、左右から収束部B1の側面に形成した開口を介して補助収束部B3を2本のネジやロッドなどの軸になるような部材で固定し、当該ネジを軸として補助収束部B3を回動できるように構成することで、補助収束部B3の角度を調整することが可能となる。
【0087】
また、位置安定材料14mは、充填物12の内部の所望の位置に配置するように、収束工程P1に先立って位置合わせが行われる。この位置合わせには、位置安定材料14mを収束部B1と包摂部材Iに向けて直線的に流動させるための引込ローラRと、位置安定材料14mの充填物12の内部における位置を調整するための導入部Lが使用される。
【0088】
引込ローラRは、図8に示すように、柱脚Pに、回転軸Aを介して回転自在に設置された円柱形状の物体であり、位置安定材料14mを挟持できるように、上下に2個、円柱の高さ方向が平行になるように対向して、その側面が接するような形態で取り付けられている。引込ローラRの底面の中心に、底面と垂直な方向に、回転軸Aが挿通可能な貫通開口が形成されており、回転軸はこの貫通開口に挿通されている。引込ローラR、柱脚P及び回転軸Aの素材は特に限定はされないが、例えば金属、プラスチック、木材等が考えられる。
【0089】
引込ローラRの側面には、その高さ方向に垂直な方向に位置安定材料14mを挟持して包摂部材Iに向けて直線的に流動させるためのガイド溝Gが形成されている。ガイド溝Gの寸法は、位置安定材料14mの太さに応じて、無理なく把持でき、なおかつ把持したときに間隙が少ないように設定される。形成される位置は特に制限はないが、2つの引込ローラRを対向・接触させたときに、両者のガイド溝Gが同じ位置にくるように調整される。これにより、位置安定材料14mは、2つの引込ローラRが接触する箇所においてガイド溝Gに挟持され、引込ローラRの回転と共に導入部Lの方向に直線的に流動される。また、引込ローラRの表面をゴムで形成し、弾力を与えることで、位置安定材料14mを挟持しやすくなるので好ましい。
【0090】
導入部Lは、位置安定材料14mの充填物12の内部における位置を調整するための部材であり、図7に示すように、引込ローラR側(入口)の直径が反対側(出口)の直径より大きく形成された円管形状をしている。円管の開口の出口側の内径の大きさと形状は、位置安定材料14mが無理なく通過できると同時に、位置安定材料14との間隙が少ないものに設定される。導入部Lの素材は特に限定はされないが、例えば金属、プラスチック、木材等が考えられる。導入部Lを設置する向きは、包摂工程P3で誘導加熱材料13mの流動方向と同じであり、位置は、位置安定材料14mが流動する方向では、その一部または全部が収束部B1の開口の内部にあって包摂部材Iの直前であり、位置安定材料14mが流動する方向と垂直な方向では、包摂工程P2において、充填物包装体1mを形成するときに、充填物12の内部で位置安定部材14が配置される位置に合わせて設置する。
【0091】
このような形態をとった場合、誘導加熱材料13mは補助収束部B3と収束部B1の間の空間を通り搬入位置を好適な位置に調整された上で、充填物材料12mに、その面同士を対向して積層される。また、位置安定材料14mは、引込ローラRと導入部Lを通じて直線的に流動してきて、所定の向きと位置で包摂部材Iの内部に流動されるので、搬入位置が好適な位置に調整されたうえで、誘導加熱材料13mの上または充填物材料12mと誘導加熱材料13mの間に積層される。
【0092】
この発明によれば、誘導加熱材料13mと位置安定材料14mの充填物包装体1mにおける位置を好適なものに調整し、その位置の製品間のばらつきを抑えることができるので、誘導加熱時のエアロゾル発生効率を向上させることが可能である。
【0093】
実施の形態3
図9と10に基づいて、実施の形態3に係るエアロゾル形成基材の製造方法と製造装置について説明をする。ここで、実施の形態1、2と共通の部分については、図示や説明を適宜省略する。
【0094】
補助収束部B4と導入部L2は、チューブ状すなわち中空管の形態をしており、収束部B1を側面の厚さ方向に貫通して、一端(入口)が外部に、他端(出口)が内部に露出するように配置されている。製造工程において、誘導加熱材料13mは補助収束部B4の内部を、位置安定材料14mは導入部L2の内部を通って収束部B1の内部に搬入され、充填物材料12m上に載置される。
【0095】
また、補助収束部B4と導入部L2は、誘導加熱材料13mと位置安定材料14mの収束部B1の内部における搬入の位置と角度を変更可能に設置されていることが好ましい。
【0096】
図10は、実施の形態3の変形例に係るエアロゾル形成基材の製造装置の収束部B1と第二収束部B2の側面図である。変形例において第二収束部B2は、入口から出口に向かって開口の内径が窄まっている形態をしており、出口側において、開口の内径は包摂部材Iの内径すなわち、エアロゾル形成基材1の直径と略同じに設定されている。ここで、他の構成同士を接続したり、エアロゾル形成基材の製造装置の他の構成に固定したりするためだけの部材は、図示と説明を省略する。
【0097】
補助収束部B4と導入部L2は、本変形例のように第二収束部B2に設置されており、第二収束部B2の内部にその一端が刺入されていてもよい。また、連結部材CN1は、補助収束部B4に導入部L2を連結して固定するための部材であり、補助収束部B4と導入部L2の外径と略同じ内径の開口が平行に2個形成されており、当該開口に補助収束部B4と導入部L2を挿通して両者を連結する。ここで、開口に挿通した状態で、補助収束部B4と導入部L2は、開口に対して連結部材CN1が自重でずれ落ちない程度に嵌合していることが好ましい。
【0098】
また、補助収束部B4と導入部L2は、誘導加熱材料13mと位置安定材料14mの第二収束部B2の内部における搬入位置を、それぞれ方向Fに移動させることで調整が可能である。すなわち、第二収束部B2に刺入されている部分の長さを調整することで、誘導加熱材料13mと位置安定材料14mの搬入位置を調整することが可能である。ここで、補助収束部B4と導入部L2の方向Fへの移動は、一体的でもよいし、それぞれ独立に移動させることができても良い。後者の場合、導入部L2は、外部からの力によって、F方向に移動させることが可能な程度に連結部材CN1に嵌合していることが好ましい。
【0099】
また、補助収束部B4は、第二連結部材CN2と第三連結部材CN3を介して第二収束部B2に接続されている。第三連結部材CN3は、第二収束部B2に固定されており、第二連結部材CN2は回動軸O(紙面に垂直な方向に接続部材を挿通)で第三連結部材CN3に回動可能に接続されている。ここで、第二連結部材CN2には補助収束部B4の外径と略同じ内径の開口が形成され、補助収束部B4は当該開口に挿通されており、補助収束部B4は、自重によってずり落ちない程度でありかつ、外部からの力によって、補助収束部B4と導入部L2を、F方向に移動させることが可能な程度に第二連結部材CN2に嵌合していることが好ましい。
【0100】
搬入の位置と角度は、補助収束部B4と導入部L2を、回動軸Oを中心に、方向Rに回動することで調整可能である。ここで、本変形例において、第二収束部B2側面には、刺入した補助収束部B4と導入部L2が回動可能なように、開口が拡張して形成されている。すなわち、回動に伴い補助収束部B4と導入部L2が第二収束部B2(包摂部材I)の刺入する位置が移動する範囲に亘って、第二収束部B2の側面を厚さ方向に貫通する開口がスリット状に形成されている。
【0101】
また、本変形例では、第二収束部B2は上部B2aと下部B2bの二部構成に設計されている。ここで、下部B2bは製造装置本体(図示略)に据え付けられており、上部B2aが取り外し可能であることが好ましい。使用時には、下部B2bの上に上部B2aを載置して、上部B2aを製造装置本体に固定する。包装紙11mは、下部B2b上を摺動し、その上を誘導加熱材料13mと位置安定材料14mを包摂した充填物材料12mが包装紙11mと略同じ速度で移動しながら、包装紙11mに包摂される。
【0102】
なお、変形例において、補助収束部B4と導入部L2は一体的であってもよい。すなわち、補助収束部B4と導入部L2のいずれかを設けて、もう一方を兼ねる形態でもよい。この場合、補助収束部B4または導入部L2の中を、誘導加熱材料13mと位置安定材料14mが挿通する。
【0103】
この発明によれば、誘導加熱材料13mと位置安定材料14mの充填物包装体1mにおける位置を好適なものに調整でき、その位置の製品間のばらつきを抑えることができるので、誘導加熱時のエアロゾル発生効率を向上させることが可能である。
【0104】
実施の形態4
図11から13に基づいて、実施の形態4に係るエアロゾル形成基材の製造方法と製造装置について説明をする。ここで、実施の形態1から3と共通の部分については、図示や説明を適宜省略する。
【0105】
図11は、実施の形態4に係るエアロゾル形成基材の製造工程を示す概略の側面図である。実施の形態4では、収束部B1の入口から、包摂部材Iの出口までの搬送工程の一部または全部を、搬送工程に沿って、搬送方向の上面と、前記上面に垂直な方向の左右両面を板状部材でトンネル形状に包囲する保護部材PCを備える点で、実施の形態1から3と異なるが、他は同様である。保護部材PCは、エアロゾル形成基材1の内部に異物が混入したり、作業者の衣服や手などの身体の一部が搬送工程に巻き込まれたり、充填物包装体1mを切断する時に、充填物材料12mや誘導加熱材料13mの破片が飛び散ったりすることを防止するためのカバー状の設備である。
【0106】
ここで、保護部材PCの素材は、前述の目的沿うように、プラスチックや金属といったある程度の硬さを有する物質を素材とすることが好ましい。金属の場合は、錆に強いステンレス材、軽くて加工が容易なアルミニウムを使用することが好ましい。
【0107】
図12は、保護部材PCの概略の平面図(a)、側面図(b)、正面図(c)及び背面図(d)であり、図13は、概略の斜視図である。保護部材PCは、トンネル形状の入口(図12(a)、(b)の右側)が、その出口(同図の左側)より大きく形成されていることが好ましい。具体例としては、本実施の形態4では、平面視では入口から出口側に向かって途中までは両方形状であり、ある場所からは台形状の二つの図形を接続した形状であり、側面視では大きさの異なる二つの台形状を接続した形状であり、正面視は出口側から視た状態であるが、ここでは入口から出口まで繋がった開口が形成されている長方形状、背面視(入口側から視た状態)では逆に出口から入口まで繋がった開口が形成されている長方形状をしているが、これに限られず、例えばアーチ状や逆三角形状であってもよい。
【0108】
また、搬送方向(同図の右側から左側)に沿って2つ以上に分割されており、分割線において開閉自在であることが好ましい。ここでは、分割線は入口側の一点と、出口側の一点を接続する折線であり、保護部材PCは、当該分割線で2つの部材、可動側PC1、固定側PC2に分割されている。可動側PC1、固定側PC2は、分割線をまたぐように配置されたヒンジHで回動可能に接続されており、図13(b)の可動側PC1を持ち上げて、収束部B1や包摂部材Iなど、製造装置の各構成部を確認したり調整したりすることが可能である。なお、ヒンジHは、実施の形態4では2個使用したが、1個でも3個以上でもよい。
【0109】
この発明によれば、保護部材PCにより、エアロゾル形成基材1の内部に異物が混入したり、作業者の衣服や手などの身体の一部が搬送工程に巻き込まれたり、充填物包装体1mを切断する時に、充填物材料12mや誘導加熱材料13mの破片が飛び散ったりすることを防止することができるので、エアロゾル形成基材1の製造効率を向上させることが可能である。
【0110】
この発明によれば、エアロゾル形成基材1の充填物12の内部に定型性のある位置安定部材14が配置されることにより、製造中や製造後に充填物12が包装部材11の内部で動いたりずれたりしにくくなり、そのため誘導加熱部材13の位置や向きの変化が抑えられ、誘導加熱の安定性と効率を向上させることが可能となる。
【0111】
また、多様な形態や素材を位置安定部材14として使用できるため、多様な工程に対応できるとともに、より効果的に誘導加熱部材13の位置を安定させることが可能となる。
【0112】
また、位置安定部材13が、エアロゾル形成基材1の高さ方向について、誘導加熱部材13の配置されている範囲に配置されるため、より効果的に誘導加熱部材13の位置を安定させることが可能となる。
【0113】
また、位置安定部材14に風味添加剤またはエアロゾルフォーマが塗布または吸収されていることにより、エアロゾル形成基材1から発生する風味やエアロゾルが増すので、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0114】
また、充填物12をペースト状または液状に調製したものを位置安定部材に塗布したり吸収させたりすることで、位置安定部材14が誘導加熱部材13に近接したときに直接加熱されて焼損することを抑制することが可能となる。
【0115】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これらの組み合わせや、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。
【0116】
例えば、充填物12の形態は、シート状のものを短冊状に形成したものを使用したが、これに限られず、粉末状または粒状に成形されたものや、ペースト状のものに成形されたものいずれでもよいし、これらを混在させたものでもよい。
【0117】
さらに、外装部材17は、必ずしも一体的ではなく、2つ以上の外装要素を接合して用いても良い。例えば、シール部材18と、エアロゾル形成基材1と支持部材15を筒状の外装要素に収納し、ここにフィルタ16をシート状の外装要素で巻いて円柱状に形成する形態でもよい。なお、この場合、筒状の外装要素とシート状の外装要素をもって、外装部材17となる。一方で、別に外装部材17を使う必要は必ずしもなく、包装部材11を、エアロゾル吸引カートリッジ10と同程度に長く形成して、包装部材11の円筒の内部にシール部材18、支持部材15及びフィルタ16を一緒に収納することで、エアロゾル吸引カートリッジ10を形成することが可能であり、これによりさらなる製造工程の簡略化と製造コストの低減を図ることが可能である。なお、この場合、支持部材15やフィルタ16を包装部材11に入れてから充填物12を充填し、誘導加熱部材13を挿入してもよいし、充填物12を充填後に支持部材15やフィルタ16を入れても良い。
【0118】
また、位置安定部材14は、風味添加剤またはエアロゾルフォーマを塗布したり吸収させたりすることで、エアロゾル形成基材1から発生するエアロゾルや風味が増すので、使用者の使用感を向上させることが可能となる。特に、充填物12に含まれていない風味添加剤またはエアロゾルフォーマを塗布または吸収させた場合、風味やエアロゾルの発生量が使用中に変化することで、さらに使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0119】
また、充填物12をペースト状または液状に調製したものを位置安定部材14に塗布したり吸収させたりすることで、位置安定部材14が誘導加熱部材13に近接したときに直接加熱されて焼損することを抑制できる。
【0120】
ここで、位置安定部材14への風味添加剤、エアロゾルフォーマまたは充填物12を塗布または吸収する方法としては、例えば事前に風味添加剤等を入れた容器に位置安定用材料14mを浸漬したり、エアロゾル形成基材1の製造工程において、流動させながら容器を通過させたりする方法が考えられる。
【0121】
また、図14のエアロゾル形成基材1の様に、位置安定部材14を充填物12内部に複数配置することで、誘導加熱部材13の充填物12内部での位置安定性を向上させることが可能となる。図14では、2個配置しているが、位置安定部材14の数が多いほど効果的である。さらに誘導加熱部材13を囲むように配置することで、より効果的である。
【0122】
なお、充填物12の原材料である茶葉は、実施の形態に挙げたもの以外に、一般に使用されている全ての茶葉を使用できる。また、これら茶葉については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価な茶葉などを再利用して有効活用できる。
【0123】
また、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0124】
また、充填物12の原料としてのエアロゾルフォーマは、実施の形態に挙げたもの以外に、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなども使用できる。
【0125】
また、風味添加剤として、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0126】
また、風味添加剤は、例えば、フィルタ16の壁部に含浸させることによってフィルタ16に設けられている。風味添加剤がフィルタ16に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをフィルタ16の壁部に埋設することによって、フィルタ16に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、フィルタ16とエアロゾル吸引カートリッジ10との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、使用者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0127】
また、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルをエアロゾル吸引カートリッジ10に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセルを支持部材15に設けても良い。
【0128】
また、充填物12の原料としての結着剤または増粘剤としては、実施の形態に挙げたものの他、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、または、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0129】
また、図16の位置安定部材25a、25b、25cは、全体として細長い形状であり、エアロゾル形成基材の高さ方向に垂直な面視において、中心から多角形状または楕円形状の突起が配置された形状である。突起は等角度間隔で配置されることが好ましい。例えば、図16(a)の位置安定部材25aは、3個の長方形状が等角度間隔(約120°)で配置されて、一か所で接続した形状をしている。同図(b)の位置安定部材25bでは、4個の長方形状が約90°の等角度間隔で配置され、同図(c)の位置安定部材25cでは、5個の長方形状が約72°の等角度間隔で配置されている。もちろんこれ以上の数の長方形状を有してもよい。また、長方形状は同じ形状であることが好ましい。さらに、長方形以外の形状(例えば三角形、平行四辺形、楕円形、その他多角形)であってもよい。
【0130】
また、突起(ここでは長方形状)のエアロゾル形成基材1の半径方向の長さLは、エアロゾル形成基材1の半径の長さの20%以上50%以下であることが好ましく40%以下であることがさらに好ましい。この長さより短すぎると、誘導加熱部材13の位置を安定させる効果が低下し、この長さより長すぎると、エアロゾル形成基材1の内部で位置安定部材25が占める体積的割合が高くなり、充填物12のそれが低くなるので、エアロゾルの発生効率を低下させるおそれがある。同様の理由で、長方形状は3から5個であることが好ましい。なお、突起は、側面視においては平たい棒状の形状をしており,これはエアロゾル形成基材1の高さ方向の長さと略同じであることが好ましいが、これに限られず途中で分断されていたものが連接して設置されていたり、間隔をあけて設置されていたりしてもよく、さらに高さ方向の一部にのみ形成されていてもよい。
【0131】
また、図17の位置安定部材26a、26b、26cのように、エアロゾル形成基材1の高さ方向に垂直な面視において、円形状を中心として、中心から多角形状または楕円形状の突起が位置安定部材25a等と同様に、配置された形状であってもよい。突起は等角度間隔で配置されることが好ましい。この場合、長方形状の長辺の長さと円形状の半径の和Lは、エアロゾル形成基材1の半径の長さの20%以上50%以下であることが好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。また、長方形状は3から5個であることが好ましい。もちろんこれ以上の数の長方形状を有してもよい。さらに、図16の場合と同様に、長方形状は同じ形状であることが好ましい。しい。また、長方形以外の形状(例えば三角形、平行四辺形、楕円形、その他多角形)であってもよい。
【0132】
図16、17の位置安定部材25等によれば、誘導加熱部材13の位置安定効果を確保できるとともに、充填物12の占める空間的割合も確保できるので、エアロゾル発生効率を確保することが可能となる。
【0133】
また、図18(a)の位置安定部材27aは、熱伝導物質よりなる皮膜27a―2を表面に被覆しており、同図(b)の位置安定部材27bは、熱伝導物質よりなる繊維状部材27b-2を内部に包摂しており、同図(c)の位置安定部材27cは、熱伝導物質よりなる粒子27c―2を、その内部に包摂している。
【0134】
熱伝導物質は、熱伝導性の高い素材を使用することが好ましい。コストを考慮すると金属が好ましく、具体的には銅、アルミニウム、鉄、ステンレスが好ましい。
【0135】
皮膜27a―2は、シート状の熱伝導物質で、位置安定部材14を巻いてもよいし、蒸着法、特に真空蒸着、スパッタリング及びイオンプレーティング等の物理蒸着や、電解メッキ、無電解メッキといったメッキ法により、位置安定部材14の表面に直接形成してもよい。
【0136】
また、繊維状部材27b-2は、極細線状の熱伝導物質であって、位置安定部材14がひも状などの細長い形態の場合には、その内部に、その長手方向を略一致させて包摂させることが好ましい。繊維状部材27b-2の太さは、位置安定部材14の太さよりより細い任意の数値をとりうるが、その熱伝導効果を確保するためには、直径0.02mm~0.1mmであることが好ましい。また、本数は1本以上の任意の数を採りうるが、1本の場合は断面視において中心に、または複数本の場合は回転対称に配設することが好ましい。
【0137】
粒子27c―2は、粒子状の熱伝導物質であって、位置安定部材14の内部に分散させることで熱伝導効果を発揮する。粒子27c―2の大きさは、位置安定部材14に複数個包摂できる任意の大きさを採りうるが、その熱伝導効果を確保するためには、平均粒子径が0.01mm~0.05mmであることが好ましい。また、配置も任意のものを採りうるが、位置安定部材14の内部に均一に分散させることが好ましい。
【0138】
これによれば、熱伝導物質が誘導加熱部材13で発生した熱を有効に充填物12の内部に伝導するので、エアロゾル発生効率が向上する。
【0139】
次に、位置安定部材28がひも状の場合、図19の様に、複数の細線状部材を、その長手方向に複数配列して捻転して形成した、よりひも状であることが好ましい。この場合、よりひもの表面の凹凸と充填物12の間に空隙が形成され、発生したエアロゾルの通気性が向上する。この場合、空隙はよりひもに沿って螺旋状に捻転した形状となり、エアロゾルの流路が直線的に吸引される場合に比べて長くなるので、エアロゾルの冷却効果も向上する。ここで、図19は、エアロ形成基材1の側面断面図であるが、位置安定部材28は理解のために断面視ではなく側面視で示している。
【0140】
さらに、細線状部材は、それより細い極細線状部材を、その長手方向に複数配列したものであることが好ましい。ここで、1組の細線状部材における極細線状部材の本数は、これに限られないが、2~3本であることが好ましい。また、1本の位置安定部材28における細線状部材の本数は、2~4本であることが好ましい。図19では、1組の細線状部材は、2本の極細線状部材より構成され、1本の位置安定部材28は2組の細線状部材より構成されたものを示している。
【0141】
また、捻転したときの凹凸形状の間隔であるピッチPは、前述の通気性を確保する為に好適な数値を採ることが好ましく、1mm~3mmであることが好ましい。
【0142】
さらに、図20のように、位置安定部材29が、細長い平板状の部材を、その長手方向を軸として捻転した形状に形成されていてもよい。例えば、具体的にはねじり結び紐のように、表面に凹凸が形成されていると好ましい。ここで、捻転を「細長い平板状の部材を、その長手方向を軸として180°捻ること」と考えると、捻転の回数は任意に設定されるが、誘導加熱部材13に対する位置安定効果を考えると、3回以上であることが好ましい。図は5回捻転させた場合を示している。また、捻転の回数は整数に限られず、例えば「3回半」というように端数を含んでいても良い。この場合も前述の場合と同様に、表面と充填物12の間に空隙29Sが形成され、発生したエアロゾルの通気性が向上する。この場合、空隙は位置安定部材29の表面に沿って螺旋状に捻転した形状となり、エアロゾルの流路は図中の位置安定部材29の上を左側から右側に向いた矢印の様な形状になって、直線的に吸引される場合に比べて長くなるので、エアロゾルの冷却効果も向上する。さらに、誘導加熱材料13と位置安定部材29が接触した場合に、その接触部分は、よりひも状の場合に比べて少ないので、位置安定部材29の焼損を低減させることができる。ここで、図20は、エアロ形成基材1の側面断面図とあるが、位置安定部材29については、形状の理解のために断面視ではなく側面視で示している。
【0143】
また、図21のように、位置安定部材34は、薄いシート状の帯状部材を素材とし、帯状部材を、折線が長手方向に沿うように折り畳まれた形状(同図(a))としてもよい。
ここで、折畳の回数は図のように1回に限られず複数回折り畳んでもよい。さらに、長手方向に沿った中心軸で丸められて円柱形状に形成されたものを用いても良い。ここで、円柱形状は、内部が空洞の円筒形状(同図(b))のようにしても良いし、渦巻状に巻いてもよい(同図(c))。円筒形状の場合は、帯状部材の合わせ部分の隙間から、発生したエアロゾルの一部または全部が円筒の内部を通って吸引されるので、通気性と冷却性の向上に効果がある。また、帯状部材の素材は紙、プラスチックなどの樹脂または紙と樹脂の合成紙が好ましい。さらに、帯状部材は、その一面または両面に接着剤による層が形成されることが、形状維持の観点から好ましい。
【0144】
さらに、切断工程P3では、誘導加熱材料13mをその厚さ方向に切断したが、この場合、誘導加熱部材13は、その切断面の潰れや、切断面の周辺の曲がりなどの変形が発生しやすくなる。この変形は、例えば、特にカッターCによる切断方向(誘導加熱部材13の厚さ方向)に発生するが、図23(a)の様に主に誘導加熱部材13aのように、切断工程P3で形成された切断面(誘導加熱部材13aを構成する細長い直方体状の平板において、短辺(誘導加熱部材13の幅方向の辺)と厚さ方向の辺で形成される面)とその近傍(図の点線で囲った部分)が切断方向(図の矢印方向)を向くように屈曲したり、同図(b)のように、主に誘導加熱部材13bを構成する平板の角部(図の点線で囲った部分)が切断方向に屈曲したり、さらに同図(c)の様に、誘導加熱部材13cが、全体的に切断面が切断方向に向くような形状で湾曲したりする形態が考えられる。これらの場合、変形した部分が充填物12に係合することで、誘導加熱部材13の位置や向きの変化を抑制するための位置安定部材14としての機能を有する。すなわち、本発明の実施の形態のエアロゾル形成基材1の製造工程によれば、誘導加熱部材13の一部に形成された屈曲形状または全体に形成された湾曲形状を位置安定部材14とすることが可能である。なお、誘導加熱材料13mをその幅方向に切断した場合には、変形が大きくなりすぎて、これにより誘導加熱部材13の発熱特性が低下する恐れがあるので、本発明の実施の形態の様に、誘導加熱材料13mの厚さ方向に切断することが好ましい。
【符号の説明】
【0145】
1 エアロゾル形成基材
10 エアロゾル吸引カートリッジ
11 包装部材
12 充填物
13 誘導加熱部材
14、24、25、26、27、28、29、34 位置安定部材
15 支持部材
16 フィルタ
17 外装部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23