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特開2024-55785ビラスチン医薬組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055785
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ビラスチン医薬組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20240411BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61K31/454
A61P37/08
A61K47/38
A61K9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023161756
(22)【出願日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2022171817
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000169880
【氏名又は名称】高田製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鮒谷 千明
(72)【発明者】
【氏名】室谷 典摩
(72)【発明者】
【氏名】穀田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真也
(72)【発明者】
【氏名】菊池 馨
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA49
4C076BB01
4C076BB22
4C076CC03
4C076EE32B
4C076FF06
4C076FF68
4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC39
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086MA57
4C086NA02
4C086ZB13
(57)【要約】
【課題】保管後に溶出性が低下する溶出遅延が抑制されたビラスチン医薬組成物と、その製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースとを含む、ビラスチン医薬組成物により解決される。ヒドロキシプロピルセルロースの含有量が、ビラスチン医薬組成物100質量%中、0.1~3質量%であることが好ましい。ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースと含む医薬組成物の製造方法により解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースとを含む、ビラスチン医薬組成物。
【請求項2】
ヒドロキシプロピルセルロースの含有量が、ビラスチン医薬組成物100質量%中、0.1~3質量%である、請求項1に記載のビラスチン医薬組成物。
【請求項3】
口腔内崩壊錠である、請求項1または2に記載のビラスチン医薬組成物。
【請求項4】
ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースと含む医薬組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビラスチン医薬組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビラスチン、すなわち、2-[4-(2-{4-[1-(2-エトキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]ピペリジン-1-イル}エチル)フェニル]-2-メチルプロパン酸はアレルギー性疾患の治療薬であり、これを含む製剤として「ビラノア(登録商標)錠」、「ビラノア(登録商標)OD錠」が販売されている。
また、特許文献1には、高い硬度、速崩壊性を備えるとともに、保存安定性も良好な特定の処方(組成)のビラスチン口腔内崩壊錠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-097443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者がビラスチンを含有する医薬組成物について検討をすすめたところ、ビラスチンを含む医薬組成物は、保管後に溶出性が低下する溶出遅延が発生しやすい傾向にあることが判明した。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、溶出遅延が抑制されたビラスチン医薬組成物と、その製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意検討したところ、上述のとおり、ビラスチン医薬組成物は、溶出遅延が生じやすい傾向にあることを見出した。そして、ヒドロキシプロピルセルロースを添加すると、溶出遅延が抑制された医薬組成物が得られることに想到し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は以下の態様を有する。
〔1〕ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースとを含む、ビラスチン医薬組成物。
〔2〕ヒドロキシプロピルセルロースの含有量が、ビラスチン医薬組成物100質量%中、0.1~3質量%である、〔1〕のビラスチン医薬組成物。
〔3〕口腔内崩壊錠である、〔1〕または〔2〕のビラスチン医薬組成物。
〔4〕ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースと含む医薬組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、溶出遅延が抑制されたビラスチン医薬組成物と、その製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のビラスチン医薬組成物(以下、単に「医薬組成物」という場合もある。)は、ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースとを含む。
【0010】
ビラスチンとしては、特に制限はなく、市場より入手可能なものを使用でき、結晶形態でも、アモルファス形態でもよい。また、溶媒和物でも無水物でもよい。
ビラスチンの薬学的に許容される塩としては、塩酸塩、硫酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸等の有機酸との塩;カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩、エチルアミン塩、アルギニン塩等の有機塩基との塩等が挙げられる。
ビラスチン医薬組成物100質量%中のビラスチンまたはその薬学的に許容される塩の含有量は、特に制限はないが、ビラスチンとして、1~30質量%が好ましく、3~25質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。
【0011】
ヒドロキシプロピルセルロースとしては、市場より医薬品用途として入手可能なものを使用でき、たとえば、日本薬局方に規定されている水溶液粘度(20℃における2%水溶液とした際の粘度)が、100mPa・s以下のものが好ましく使用でき、より好ましい水溶液粘度は、1~50mPa・s、さらに好ましい水溶液粘度は1mPa・s以上3mPa・s未満である。ヒドロキシプロピルセルロースを使用することにより、一定期間の保管後に溶出性が低下してしまう、いわゆる溶出遅延が抑制された医薬組成物とすることができる。また、ビラスチンを含む組成物を錠剤にするにあたって打錠する場合、該組成物が杵に付着するスティッキング現象(打錠障害)が生じやすい傾向にあるが、ヒドロキシプロピルセルロースを使用した場合には打錠障害が生じにくい。
ビラスチン医薬組成物100質量%中のヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、0.1~3質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましく、0.1~0.5質量%がさらに好ましく、0.1~0.4質量%が最も好ましい。この範囲であると医薬品組成物の崩壊性の点でもより好ましい。
また、ビラスチンに対するヒドロキシプロピルセルロースの質量比[ヒドロキシプロピルセルロース/ビラスチン]は、溶出遅延をより効果的に抑制できることから、0.01~0.1が好ましく、0.01~0.07がより好ましく、0.01~0.04がさらに好ましく、0.01~0.02が特に好ましい。
【0012】
本発明の医薬組成物は、ビラスチンおよびまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースの他に、医薬品用途で使用可能な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、香料等の添加剤をいずれも必要に応じて含有することができる。
【0013】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、結晶セルロース、乳糖水和物、無水乳糖、精製白糖、バレイショデンプン、アルファー化デンプン等が挙げられ、これらのうちの1種以上を必要に応じて使用できるが、D-マンニトールと結晶セルロースの少なくとも1種を使用することが好ましい。D-マンニトールは服用感に優れる医薬組成物が得られやすい点で好ましく、結晶セルロースは他の成分との反応性が低い点等で賦形剤として優れている。さらにD-マンニトールと結晶セルロースを併用すると、医薬組成物を錠剤とする場合、錠剤成形時の成形性、ハンドリング性に優れる。
賦形剤の含有量は、医薬組成物100質量%中、60~90質量%が好ましく、70~90質量%がより好ましく、75~85質量%がさらに好ましい。
D-マンニトールを使用する場合、その含有量は、医薬組成物100質量%中、55~85質量%が好ましく、60~80質量%がより好ましく、65~75質量%がさらに好ましい。
結晶セルロースを使用する場合、その含有量は、医薬組成物100質量%中、1~30質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましく、5~15質量%が好ましい。
これらを併用する場合、結晶セルロースに対するD-マンニトールの質量比[D-マンニトール/結晶セルロース]は、3~15が好ましく、より好ましくは、5~10である。
【0014】
上述したヒドロキシプロピルセルロースは、結合剤として知られているものであるが、ヒドロキシプロピルセルロース以外の結合剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリルアルコール、アンモニオメタクリレート・コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、デキストリン、水アメ等の1種以上を必要に応じてヒドロキシプロピルセルロースと併用できる。
【0015】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できるが、崩壊性が優れる医薬組成物が得られる点からクロスポビドンが好ましい。
ビラスチン医薬組成物100質量%中の崩壊剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましく、1~4質量%がさらに好ましい。
【0016】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク等を使用することができるが、打錠障害および溶出遅延の抑制の観点からは、滑沢剤としてフマル酸ステアリルナトリウムを使用することが好ましく、フマル酸ステアリルナトリウムのみを使用することが好ましい。
ビラスチンに対する滑沢剤の質量比[滑沢剤/ビラスチン]は、打錠障害および溶出遅延を効果的に抑制できることから、0.1~1が好ましく、0.1~0.5がより好ましく、0.1~0.2がさらに好ましく、0.1~0.15が特に好ましい。
また、滑沢剤に対するヒドロキシプロピルセルロースの質量比[ヒドロキシプロピルセルロース/滑沢剤]は、打錠障害と溶出遅延を抑制する観点から、0.05~2が好ましく、0.1~1がより好ましく、0.1~0.6がさらに好ましい。
【0017】
着色剤としては、例えば黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
【0018】
甘味剤としては、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、ソーマチン、スクロース、エリスリトール、サッカリン又はその塩、グリチルリチン酸又はその塩、ステビア又はその塩等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できるが、味のよい医薬組成物が得られる点からアセスルファムカリウムとアスパルテームが好ましく、さらにこれらを併用することがより好ましい。
香料としては、ライムフレーバー、ピーチフレーバー、グレープフレーバー、オレンジエッセンス、オレンジ油、カラメル、カンフル、ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリーエッセンス、チョコレートエッセンス、チェリーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、ペパーミントエッセンス、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、l-メントール、レモンパウダー、レモン油、ローズ油等が挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できるが、ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩の苦味を抑制する点からライムフレーバー、ピーチフレーバー、グレープフレーバーが好ましい。
【0019】
その他の添加剤としては、医薬組成物の形態や必要性等に応じて、フィルムコート用基材(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、カルナウバロウ等の1種以上を使用できる。コーティング基材は着色剤等の添加物を含んでいてもよい。
【0020】
本発明の医薬組成物の形態には特に制限はなく、打錠工程を経て製造される即放錠(普通錠)、口腔内崩壊錠、徐放錠等の錠剤や、造粒工程を経て製造される顆粒剤を挙げることができる。錠剤は素錠のみからなるものでも、フィルムコート等のコーティングを施したコーティング錠でもよいが、素錠からなる口腔内崩壊錠が好ましい。
【0021】
本発明の医薬組成物の製造方法は、ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースとを含む医薬組成物の製造方法であれば制限はない。
例えば医薬組成物が錠剤の場合には、ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースとを含み、さらに必要に応じて使用される添加剤を含む組成物を打錠する工程(打錠工程)を有する方法が好ましい。打錠工程の前段側には、ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースと、必要に応じて添加される添加剤の少なくとも一部を造粒する造粒工程を有していてもよい。この場合、打錠工程に供される組成物は、造粒物を含有することとなる。打錠工程の前段側に造粒工程を実施しなくてもよく、この場合、打錠工程は、ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースと、必要に応じて添加剤を含む組成物を造粒することなく打錠する、いわゆる直接打錠工程となる。直接打錠工程により打錠された錠剤は、造粒物を含まない。打錠工程の後段側には、打錠により得られた素錠をコーティングするコーティング工程を有していてもよい。
例えば医薬組成物が顆粒剤の場合には、ビラスチンまたはその薬学的に許容される塩と、ヒドロキシプロピルセルロースと、必要に応じて添加剤を含む組成物を公知の造粒工程により造粒する方法等で、顆粒剤を製造できる。
造粒工程、打錠工程およびコーティング工程は、それぞれ公知の方法により行える。
【実施例0022】
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
[例1~例10]
下記の表1の処方に従い、直接打錠法により口腔内崩壊錠を製造した。
具体的には、表1に打錠用組成物として記載の各成分のうち、滑沢剤以外の成分を混合し、その後滑沢剤を加えて混合し、打錠用の組成物を得た。ついで、この組成物を超小型打錠機(VELA5)で打錠し、直径7mm、質量125mgの錠剤を製造した。
得られた錠剤を所定の条件で保管した後の平均溶出率を以下の方法により求めた。また、打錠時のスティッキングの有無についても評価した。
なお、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、日本薬局方に規定されている水溶液粘度(20℃における2%水溶液とした際の粘度)が2.0~2.9mPa・sであるものを使用した。
結果を表1に示す。
【0023】
<平均溶出率>
各例で得られた錠剤を次の3つの条件で保管した。
条件1:25℃、相対湿度85%、1ヶ月
条件2:40℃、相対湿度75%、1ヶ月
条件3:60℃、1ヶ月(湿度はコントロールせず)
各条件で保管した後の錠剤1個と、pH6.8の試験液900mLとを用い、パドル法により、毎分50回転で溶出試験を行った。試験開始から15分後に、溶出液10mL以上を採取し、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過した。初めに採取されたろ液5mLを除き、次のろ液1mLを正確に量り、液体クロマトグラフィー用アセトニトリル/水混液(1:1)1mLを正確に加え、試料溶液とした。
別に定量用ビラスチンを105℃で3時間乾燥し、その約22mgを精密に量り、液体クロマトグラフィー用アセトニトリル/水混液(1:1)に溶かして正確に100mLとする。この液5mLを正確に量り、液体クロマトグラフィー用アセトニトリル/水混液(1:1)を加えて正確に50mLとする。この液1mLを正確に量り、試験液1mLを正確に加え、標準溶液とした。
試料溶液及び標準溶液について、HPLC法により試験を行い、波長210nmにおける紫外吸収を測定しクロマトグラムを得た。各試料溶液の溶出試験開始後15分後における溶出率(%)を標準溶液のピーク面積を基準として求めた。
以上の試験を錠剤3個(n=3)について行い、これらの平均(平均溶出率)を算出し、表1に記載した。
なお、上記の移動相は次のように調製した。リン酸二水素カリウム6.8g及び1-オクタンスルホン酸ナトリウム2.5gを水に溶かして1000mLとした。この液600mLに液体クロマトグラフィー用アセトニトリル400mLを加えた。
【0024】
<スティッキング>
各例において、超小型打錠機(VELA5)を用いて、打錠用の組成物を5分間打錠した際に、スティッキングが生じなかった場合を「○」、生じた場合を「×」として、表1に記載した。
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示すように、ヒドロキシプロピルセルロースを添加した例1~3は、添加していない例4に比べて、条件1における溶出遅延が抑制され、優れた効果が認められた。条件2および条件3においても、ヒドロキシプロピルセルロースを添加した場合、添加していない場合と同等か、それ以上の平均溶出率であった。特に例3では、条件1~3のすべてにおいて、高い効果が認められた。また、ヒドロキシプロピルセルロースを添加した例1~3は、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ポリビニルピロリドンのいずれかを添加した例5~10に比べて、条件1~3のすべてにおいて溶出遅延が抑制されていた。なお、表1には、甘味料および香料を添加した場合の処方例も示した。
【0027】
ヒドロキシプロピルセルロースを添加した例1~3では、上述のとおり、優れた溶出遅延抑制効果がみられたことから、これらについて以下の方法で口腔内崩壊時間を測定し、崩壊性を確認した。
その結果、表2に示すように、いずれも良好な崩壊性を示し、特に例1では口腔内崩壊時間が最も短く、崩壊性に優れていた。
【0028】
<口腔内崩壊時間>
口腔内崩壊時間の測定には、口腔内崩壊錠試験機(富山産業株式会社製、型式ODT-101)を用い、試験液:水(37±1℃)、錘直径:φ20mm、錘質量:20g、回転速度:50rpm、OD錠厚み:2.9mmの条件において崩壊時間を測定した。各例について、3錠の平均値を求め、口腔内崩壊時間とした。
【0029】
【表2】