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特開2024-55787自動ロック手段を含む、散発的な瞬間に作動可能な時計モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055787
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】自動ロック手段を含む、散発的な瞬間に作動可能な時計モジュール
(51)【国際特許分類】
   G04B 25/06 20060101AFI20240411BHJP
   G04B 23/03 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G04B25/06
G04B23/03 Z
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023162909
(22)【出願日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】22200006.9
(32)【優先日】2022-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509107758
【氏名又は名称】モントレ・ジャケ・ドロー・エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】デノレアズ、 スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】レスケルピット、 ジュリアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低減した体積を維持しながら、所定の動作時間後に自動的に停止させることができる、散発的な瞬間に作動可能な時計モジュールを提供する。
【解決手段】時計ムーブメント用の時計モジュール1、例えばオートマトン又はリンギング機構であって、プレート2と、機械装置10がプレート2に対して動かないアイドル状態から、機械装置10が作動されたときに機械装置10の少なくとも一部がプレート2に対して動くことができる動作状態に移行することができる機械装置10とを含み、時計モジュール1は機械装置10にエネルギーを供給するバレル3と、バレル3によって作動可能な歯車列20と、機械装置10の速度用のレギュレータを含み、時計モジュール1は機械装置10を自動的にロックする手段30を含み、自動ロック手段30は機械装置10をアイドル状態にするためにレギュレータをロックするように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメント用の時計モジュール(1)、例えばオートマトン又はリンギング機構であって、プレート(2)と機械装置(10)とを含み、前記機械装置(10)は、前記機械装置(10)が前記プレート(2)に対して動かないアイドル状態から、前記機械装置が作動されたときに前記機械装置(10)の少なくとも一部が前記プレート(2)に対して動くことができる動作状態に移行することができ、前記時計モジュール(1)は前記機械装置(10)にエネルギーを供給するバレル(3)を含み、前記機械装置(10)は前記バレル(3)によって作動可能な歯車列(20)を含み、前記機械装置(10)は前記機械装置(10)の速度用のレギュレータをさらに含み、前記時計モジュール(1)は前記機械装置(10)を自動的にロックする手段(30)を含み、前記自動ロック手段(30)は前記機械装置(10)を前記アイドル状態にするために前記レギュレータをロックするように構成されることを特徴とする、時計モジュール(1)。
【請求項2】
前記レギュレータは、前記歯車列(20)によって前記バレル(3)が回転しているときに前記バレル(3)によって駆動される規制ピニオン(19)を含み、前記規制ピニオン(19)は規制シャフト(15)に固定されて取り付けられ、前記自動ロック手段(30)は、前記機械装置(10)を前記アイドル状態にするために前記規制シャフト(15)をロックするように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の時計モジュール。
【請求項3】
前記自動ロック手段(30)は前記規制シャフト(15)と協働するブレーキレバー(14)を含み、前記ブレーキレバー(14)は、前記ブレーキレバー(14)が前記規制シャフト(15)と接触して前記規制シャフト(15)をロックする接触位置と、前記ブレーキレバー(14)が前記規制シャフト(15)の回転を可能にする前記規制シャフト(15)から離れた位置との間で第2回転ピボット(22)を中心に動くことができることを特徴とする、請求項2に記載の時計モジュール。
【請求項4】
前記ブレーキレバー(14)が前記接触位置にあるときに前記機械装置(10)は前記アイドル位置にあり、前記ブレーキレバー(14)が前記離間位置にあるときに前記機械装置(10)は前記動作位置にあることを特徴とする、請求項3に記載の時計モジュール。
【請求項5】
前記自動ロック手段(30)は、前記ブレーキレバー(14)に作用して前記ブレーキレバー(14)を接触位置に保持する第1戻しばね(16)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の時計モジュール。
【請求項6】
前記自動ロック手段(30)は、回転カム(4)と、前記回転カム(4)と協働する可動体(7)とを含み、前記可動体(7)は、前記機械装置(10)が前記アイドル状態にあるロック位置と、前記機械装置(10)が前記動作状態にある後退位置との間を動くことができることを特徴とする、請求項1に記載の時計モジュール。
【請求項7】
前記回転カム(4)は前記バレル(3)に固定されて取り付けられることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項8】
前記回転カム(4)には少なくとも1つの切欠き(5)が設けられ、前記可動体(7)には指状突起(26)が設けられ、前記可動体(7)が前記ロック位置にあるときに前記指状突起(26)は前記回転カム(4)の切欠き(5)に挿入され、前記可動体(7)が前記後退位置にあるときに前記指状突起(26)は前記切欠き(5)の外側にあることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項9】
前記可動体(7)は、前記機械装置(10)の前記動作状態において前記回転カム(4)の回転中に前記回転カム(4)と接触したままであることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項10】
前記可動体(7)は、所定の時間後に前記後退位置から前記ロック位置に自動的に移行するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項11】
前記所定の時間は前記バレル(2)の1回転に相当することを特徴とする、請求項10に記載の時計モジュール。
【請求項12】
前記自動ロック手段(30)は前記可動体(7)を担持する中間レバー(8)を含み、前記中間レバー(8)は第1回転ピボット(21)を中心に動くことができることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項13】
前記中間レバー(8)は前記ブレーキレバー(14)を作動させて前記ブレーキレバー(14)を前記接触位置から前記離間位置に移行させるように構成され、前記中間レバー(8)は前記ブレーキレバー(14)に機械的に接続されることを特徴とする、請求項3に従属する請求項12に記載の時計モジュール。
【請求項14】
前記自動ロック手段(30)は前記可動体(8)を前記ロック位置から前記後退位置に移動させるオンデマンドの作動手段を含むことを特徴とする、請求項12に記載の時計モジュール。
【請求項15】
前記作動手段は初期位置と押込位置との間で第3回転ピボット(23)を中心に回転することができる制御レバー(18)を含み、前記制御レバー(18)が前記押込位置にあるときに前記制御レバー(18)は前記中間レバー(8)を作動させることを特徴とする、請求項14に記載の時計モジュール。
【請求項16】
前記作動手段は前記制御レバー(18)に作用して前記制御レバー(18)を前記初期位置に戻す第2戻しばね(16)を含むことを特徴とする、請求項15に記載の時計モジュール。
【請求項17】
請求項1に記載の時計モジュール(1)を含む、時計用の時計ムーブメント。
【請求項18】
請求項17に記載の時計ムーブメント(1)を含む時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、モジュールの動作を自動的にロックする手段を含む、散発的な瞬間に作動可能な時計モジュールに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、散発的な瞬間に作動し、所定の動作時間後の自動停止用の装置を必要とする、アニメーション機構又はリンギング機構などの時計モジュールに関する。
【0003】
本発明はまた、このような時計モジュールを含む、腕時計などの時計の時計ムーブメントに関する。
【背景技術】
【0004】
時計製造技術の分野では、所定の時間に起動するように構成された機構や要求に応じて作動可能な機構がある。
【0005】
例えば、リンギング機構では、リンギングは、例えば目覚まし機能の場合に、所与の時間に音を出すように構成される。ミニトリピータ機構と呼ばれる他のタイプのリンギング機構は、時刻を音声で示すために要求に応じて作動可能なリンギングである。
【0006】
他の、いわゆるアニメーション機構は、1つ以上の動きによってオブジェクト、例えばオートマトンをアニメーション化することで構成される。オートマトンのアニメーションは、所定の時間にプログラムすることも、作動手段によって要求に応じて起動することもできる。
【0007】
一般に、これらのリンギング機構又はアニメーション機構は、その動作に必要なエネルギーを供給するように配置されたバレルなどの特定の駆動手段を有する。バレルに接続された歯車列によって、オートマトン又はリンギングが作動する。
【0008】
機構は、バレルが完全に放出するまで作動させることができる。しかしながら、いくつかの機構は、特に同じ装填されたバレルで機構を複数回作動させることができるように、所定の時間後にアニメーション又はリンギングを停止する自動停止手段を含む。
【0009】
例えば、特許文献1には、アラーム機構をロックする手段を含む自動アラーム機構が記載されている。自動ロック手段は回転カムと協働するレバーを含み、カムはレバーをロックして機構が動作するのを防ぐ切欠きを含む。アラーム機構はまた、アラーム機構を解放するためにレバーを解放する手段を含む。レバーが切欠きから解放されると、機構は、レバーが切欠きによって保持されるまで、カムが1回転する時間動作する。カムは、カムが接続されている駆動手段によって駆動される。
【0010】
しかしながら、このような機構は実装が複雑で、場所を取る。
【0011】
特許文献2及び特許文献3には、オートマトン(ここでは鳥)を含み、オートマトンのアニメーションが歯車列を用いてバレルによって駆動される、アニメーション機構が設けられた腕時計が記載されている。
しかしながら、これらの文献には、バレルが完全に放出する前に機構をロックする手段が記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3460339号明細書
【特許文献2】欧州特許第2880650号明細書
【特許文献3】欧州特許第2880498号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような状況において、本発明の目的は、低減した体積を維持しながら、所定の動作時間後に自動的に停止させることができる、散発的な瞬間に作動可能な時計モジュールを提案することにより、前述の欠点の全部又は一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明は、時計ムーブメント用の時計モジュールであって、プレートと機械装置とを含み、機械装置は、機械装置がプレートに対して動かないアイドル状態から、機械装置が作動されたときに機械装置の少なくとも一部がプレートに対して動くことができる動作状態に移行することができ、時計モジュールは機械装置にエネルギーを供給するバレルを含み、機械装置はバレルによって作動可能な歯車列を含み、機械装置は機械装置の速度用のレギュレータをさらに含み、時計モジュールは機械装置を自動的にロックする手段を含む時計モジュールに関する。
【0015】
本発明は、自動ロック手段が機械装置をアイドル状態にするためにレギュレータをロックするように構成される点で注目に値する。
【0016】
したがって、本発明による時計機構は、機械装置を自動的に停止させるための革新的な技術的解決策を提案する。
【0017】
本発明により、コンパクトで効果的な、自動ロック手段が設けられた時計モジュールが得られる。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、レギュレータは歯車列によってバレルが回転しているときにバレルによって駆動される規制ピニオンを含み、規制ピニオンは規制シャフトに一体的に取り付けられ、自動ロック手段は規制シャフトをロックして機械装置をアイドル状態にするように構成される。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、自動ロック手段は規制シャフトと協働するブレーキレバーを含み、ブレーキレバーは、ブレーキレバーが規制シャフトと接触して規制シャフトをロックする接触位置と、ブレーキレバーが規制シャフトの回転を可能にする規制シャフトからの離間位置との間で第1回転ピボットを中心に動くことができる。
【0020】
本発明の特定の実施形態によれば、ブレーキレバーが接触位置にあるときに機械装置はアイドル位置にあり、ブレーキレバーが離間位置にあるときに機械装置は動作位置にある。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、自動ロック手段は、ブレーキレバーに作用してブレーキレバーを接触位置に保持する第1戻しばねを含む。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、自動ロック手段は、回転カムと、回転カムと協働する可動体とを含み、可動体は、機械装置がアイドル状態にあるロック位置と、機械装置が動作状態にある後退位置との間を動くことができる。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、回転カムはバレルに固定されて取り付けられる。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、回転カムには少なくとも1つの切欠きが設けられ、可動体には指状突起が設けられ、可動体がロック位置にあるときに指状突起は回転カムの切欠きに挿入され、可動体が後退位置にあるときに指状突起は切欠きの外側にある。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、可動体は、機械装置の動作状態において回転カムと接触したままである。
【0026】
本発明の特定の実施形態によれば、可動体は、所定の時間後に後退位置からロック位置に自動的に移行するように構成される。
【0027】
本発明の特定の実施形態によれば、所定の時間はバレルの1回転に相当する。
【0028】
本発明の特定の実施形態によれば、自動ロック手段は可動体を担持する中間レバーを含み、中間レバーは第1回転ピボットを中心に動くことができる。
【0029】
本発明の特定の実施形態によれば、中間レバーはブレーキレバーを作動させてブレーキレバーを接触位置から離間位置に移行させるように構成され、中間レバーはブレーキレバーに機械的に接続される。
【0030】
本発明の特定の実施形態によれば、自動ロック手段は可動体をロック位置から後退位置に移動させるオンデマンド作動手段を含む。
【0031】
本発明の特定の実施形態によれば、作動手段は初期位置と押込位置との間で第3回転ピボットを中心に回転することができる制御レバーを含み、制御レバーが押込位置にあるときに制御レバーは中間レバーを作動させる。
【0032】
本発明の特定の実施形態によれば、作動手段は制御レバーに作用して制御レバーを初期位置に戻す第2戻しばねを含む。
【0033】
本発明の特定の実施形態によれば、自動ロック手段は制御レバーと協働する爪車を含む。
【0034】
本発明はまた、このような時計モジュールを含む時計ムーブメントに関する。
【0035】
本発明はまた、このような時計ムーブメントを含む時計に関する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の目的、利点及び特徴は、以下の図を参照して以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
図1】本発明による時計モジュールの実施形態の概略斜視図である。
図2】歯車列が取り外された、図1の時計モジュールの実施形態の概略斜視図である。
図3図2の時計モジュールの一部の概略平面図であり、時計モジュールはアイドル状態にある。
図4】機械装置10が起動された瞬間の、図2の時計モジュールの一部の概略平面図である。
図5図2の時計モジュールの一部の概略平面図であり、時計モジュールは動作状態にある。
図6図2の時計モジュールの一部の概略平面図であり、時計モジュールは動作状態からアイドル状態に移行している。
【0037】
すべての図において、それとは反対に明記されていない限り、共通の要素には同じ符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1から図3に示すように、本発明は、時計ムーブメント用の時計モジュール1に関する。
【0039】
時計ムーブメント1は、モジュール1の部品が配置されるプレート2を含む。時計モジュール1は特に、散発的な瞬間に起動することができる機械装置10、例えば、本実施形態ではオートマトンをアニメーション化する機械装置を含む。機械装置10は、機械装置10がプレート2に対して動かないアイドル状態から、機械装置10が作動されたときにプレート2に対して動くことができる動作状態に移行することができる。
【0040】
機械装置10は、例えばオートマトンを駆動するように構成された歯車列20を含む。したがって、歯車列20の作動時には、機械装置10は動作状態にある。
【0041】
オートマトンの動きを規制するために、機械装置10は、規制シャフト15に一体的に取り付けられた規制ピニオン19が設けられたレギュレータを含む。規制シャフト15は、規制ピニオン19の回転を可能にするように回転可能である。
【0042】
レギュレータには様々な種類があり、いくつかのレギュレータは摩擦式のものであり、他のレギュレータは磁場ブレーキを有するものである。当業者にはよく知られているレギュレータは、摩擦によって又は磁気ブレーキによってシャフトを保持することにより、シャフトの過度に速い回転を防止する。したがって、規制シャフト15の回転速度、ひいては規制ピニオン19の回転速度は、レギュレータによって制御される。
【0043】
機械装置10、特に歯車列20にエネルギーを供給するために、時計モジュール1はバレル3を含む。バレル3は、外周歯6が設けられた円筒状のケースを含む。ケースは、ケースと外周歯6とが回転軸を中心に回転するように、内部にバレルばねを含むように構成される。
【0044】
歯車列20は、プレート上に配置された2つの歯車可動装置、すなわち、第1歯付ホイール9と第1歯付ホイール9上に配置された第1歯付ピニオン13とが設けられた第1可動装置と、第2歯付ホイール11と第2歯付ホイール11の下に配置された第2歯付ピニオン(図示せず)とが設けられた第2可動装置とを含む。歯車列20はさらに、第3歯付ホイール12を含む。
【0045】
第1可動装置、第2可動装置及び第3歯付ホイール12は順々に配置される。第1歯付ホイール9は部分的にバレル3の下に配置される。第2歯付ホイール11は部分的に第1歯付ホイール11の上に配置され、第3歯付ホイール12は第2歯付ホイール11に近接して配置される。
【0046】
第1ピニオン13はバレル3の外歯6と噛み合い、第2ピニオンは第1ギアホイール9と噛み合う。第3歯付ホイール12は第2歯付ホイール11と噛み合う。
【0047】
バレル3が回転し始めると、バレル3は第1可動装置、第2可動装置及び第3歯付ホイール12を駆動する。したがって、規制ピニオン19及び規制シャフト15はバレル3が歯車列20によって回転しているときにバレル3によって駆動され、規制ピニオン19は第3歯付ホイール12と噛み合う。
【0048】
したがって、歯車列20の回転速度は、オートマトンの回転、ひいてはアニメーションが制御されるようにレギュレータにより調整される。
【0049】
時計モジュール1は、機械装置10を自動的にロックする手段30を含む。この目的のために、自動ロック手段30は、機械装置10をアイドル状態にロックすること及び機械装置10を所定の時間、動作状態にしておくことができるように構成される。
【0050】
自動ロック手段30は回転カム4を含み、回転カム4は回転軸を中心に回転するように配置される。カムは、切欠き5が設けられた周面を有する。
【0051】
回転カム4はバレル3に取り付けられ、バレル3の回転と一体である。回転カム4の円形の周面はバレル3の外周歯6の上にある。切欠き5は周面に形成され、回転カム4の内側に向かって湾曲した形状を有する。
【0052】
自動ロック手段30はさらに、回転カム4に向かって延びる指状突起26が設けられた可動体7を含む。可動体7は実質的に平行六面体形状を有し、指状突起26は回転カム4の平面内で、横方向に延びる。
【0053】
可動体7は、指状突起26が回転カム4の切欠き5に挿入されるロック位置と、指状突起26が切欠き5の外側に留まるように可動体7が回転カム4から離れている後退位置との間を移動することができる。
【0054】
図5に示すように、回転カム4の回転中、可動体7は後退位置に留まり、可動体7の指状突起26の端部は、回転カム4がバレル3と共に回転する間、回転カム4の周面に接触している。より正確には、可動体7は、可動体7を回転カム4に当てて保持する戻し力を受ける。戻し力の発生源及び効果については、段落68から70の記載で後述する。
【0055】
この戻し力により、図6に示すように、指状突起26が切欠き5に挿入できるようになると、可動体7は自動的にロック位置に移動する。したがって、指状突起26が切欠き5に面するとすぐに、可動体7は回転カム4の周面によって後退位置に押し込まれることがなくなり、指状突起26はロック位置に戻ることができ、指状突起26は切欠き5に挿入される。
【0056】
指状突起26が周面の切欠き5に挿入できない限り、バレル3は回転し続け、機械装置10は動作状態にある。この戻し力により、自動ロック手段30が得られる。
【0057】
本実施形態では、可動体7が後退位置にあるとき、バレル3は切欠き5が再び可動体7の指状突起26に面するまで一回転する。これは、回転カム4が単一の切欠き5を含むため、自動ロック手段30がバレル3を再び停止させる前に、バレル3が全回転するからである。
【0058】
図示しない変形実施形態では、回転カムは2つ以上の切欠きを含み、バレル及び機械装置をそれぞれの切欠きで停止させるようになっている。その結果、機械装置は2つの切欠き間でのバレルの回転中のみ、すなわちバレルの1回転未満の期間のみ動作する。
【0059】
可動体7を担持しかつ移動させるために、自動ロック手段30は、プレート2上に配置された中間レバー8を含み、可動体7は中間レバー8の第1端部27に取り付けられる。中間レバー8は、可動体7の位置をロック位置から後退位置まで傾斜及び変更することができるように、第2回転ピボット21に取り付けられる。
【0060】
中間レバー8は、第1端部27に接続された実質的に平行な2つの湾曲アームを前部に含む湾曲形状を有し、2つのアームが開放空間の境界を定める。中間レバー8は、後方に向かって延びて中間レバー8の第2端部28を形成する第3湾曲アームを有する。3つのアームは、第2回転ピボット21が設けられた中間接合部29によって接続される。
【0061】
中間レバー8の第2端部28に戻し力が作用し、可動体7が指状突起26によって回転カム4の周面に接触した状態を維持する。したがって、周面の切欠き5が指状突起26に面する位置にあるとき、可動体7をロック位置に自動的に戻すために、中間レバー8の第1端部27を回転カム4に向かって押すばね効果が得られる。
【0062】
本実施形態では、時計モジュール1は、規制シャフト15に接触して規制シャフト15が回転するのを防ぐブレーキレバー14を含む。ブレーキレバー14は、規制シャフトに接触可能なブレーキが設けられた第1端部31を含む。
【0063】
ブレーキレバー14が接触位置にあるときに機械装置10はアイドル位置にあり、ブレーキレバー14が離間位置にあるときに機械装置10は動作位置にある。
【0064】
本発明によれば、ブレーキレバー14が接触位置にあるときに機械装置10は停止される。換言すれば、ブレーキレバー14による規制シャフト15のロックによって機械装置10は停止される。これは、規制シャフト15がロックされると、規制ピニオン19が第3ホイール12を保持するため、歯車列20が回転できなくなるからである。
【0065】
本実施形態では、可動要素7の指状突起26が回転カム4の切欠き5に挿入されたとき、機械装置10はバレル3のロックによって停止されない。可動装置7、指状突起26及び切欠き5の唯一の機能は、所定の時間後にブレーキレバー14を規制シャフト15との接触位置に傾けることによって機械装置10のロックを引き起こすことである。
【0066】
変形実施形態では、自動ロック手段30は、バレル3の回転と規制シャフト15の回転とを同時にロックするように構成される。したがって、可動要素7の指状突起26が回転カム4の切欠き5に入ると、バレル3がロックされ、同時にブレーキレバー14が規制シャフト15との接触位置になって規制シャフト15をロックする。
【0067】
ブレーキレバー14は、規制シャフト15との接触位置から、規制シャフト15を自由に回転できるようにする離間位置に傾くことができるように、第1回転ピボット22を中心に回転するように取り付けられる。ブレーキレバー14は折れ曲がった形状を有し、第1回転ピボット22は曲がりの湾曲部に配置される。
【0068】
自動ロック手段30はまた、接触位置において、ブレーキレバー14の第1端部31を圧迫してブレーキレバー14を規制シャフト15との接触状態に保持する、第1戻しばね16を含む。第1戻しばね16は、一方の側がプレートに取り付けられ、他方の側が自由になっている、湾曲した可撓性のブレードを含み、自由部分は、ブレーキレバー14の第1端部31から延びる第1ピンに折り返される。
【0069】
この目的のために、ブレーキレバー14は、中間レバー8の第2端部28が圧迫する第2端部32を含む。ブレーキレバー14の第2端部32には、中間レバー8の平面内に位置するピン33が設けられる。ブレーキレバー14のピンは、中間レバー8の第2端部28を圧迫する。
【0070】
したがって、ピン33によって、第1戻しばね16の戻し力が中間レバー8に伝達され、中間レバー8が可動体7を回転カム4に当てる位置にあるようにする。
【0071】
時計モジュール1はさらに、中間レバー8を傾斜させ、その結果としてブレーキレバー14を傾斜させ、可動体7がロック位置から後退位置に移動し、同時に規制シャフト15が解放されるようにする、オンデマンドの作動手段を含む。
【0072】
この目的のために、作動手段は、第3回転ピボット23を中心に回転するように取り付けられた制御レバー18を含む。
【0073】
制御レバー18は、作動プッシャを形成する第1端部35を含む。制御レバー18は、第1端部35を含む短いセグメントと、その中間に第3回転ピボット23が配置される長いセグメントとを含みた折れ曲がった形状を有する。制御レバー18の第2端部36は、長いセグメントの端部にある。
【0074】
制御レバー18は、部分的に中間レバー8の下に取り付けられる。
【0075】
制御レバー18はさらに、制御レバー18の第2端部36に回転可能に取り付けられたフック37を含む。フック37は、制御レバー18の第2端部36に近接して配置された爪車34と協働する。
【0076】
自動ロック手段30は、フック37を爪車34と関係させようとする力を働かせるために、フック37を圧迫するように構成された、第1戻しばね16と同様の第2戻しばね17を含む。
【0077】
制御レバー18はまた、中間レバー8に取り付けられたブロムスタッド24を取り囲む楕円形の貫通孔25によって中間レバー8に接続される。したがって、制御レバー18が回動すると、制御レバー18は中間レバー8のブロムスタッド24を引っ張って、ひいては中間レバー8を傾かせ、可動体7を後退位置に移動させてバレル3を解放する。同時に、中間レバー8は、規制シャフト15、規制ピニオン19、ひいては動作位置に入る機械装置10を解放するためにブレーキレバー14を圧迫する。
【0078】
図4において、使用者が第1端部35を押すと、制御レバー18が作動し、制御レバー18は第1方向に回転する。制御レバー18は、中間レバー8を第1方向とは反対の第2方向に回転するように引っ張る。そして、中間レバー8は、ブレーキレバー14を第1方向に押して、前述の方法に従って規制シャフト15を解放する。
【0079】
機械装置10の動作及びバレル3の回転中に、図5に示すように、使用者が端部35を解放すると、制御レバー18は第2戻しばね16によってその初期位置に戻り、一方、可動要素7が後退位置にある限り、中間レバー8及びブレーキレバー14は実質的に同じ位置に留まる。
【0080】
使用者が制御レバー18を解放しなければ、自動停止を引き起こすことはできず、バレルは回転し続け、歯車列20を駆動し続ける。
【0081】
図6において、可動体7の指状突起26がロック位置で切欠き5に入るとすぐに、中間レバー8はその初期位置に戻る。ブレーキレバー14は中間レバー8によって押されなくなるので、ブレーキレバー14は第1戻しばね16によって与えられる戻し力によって、その規制シャフト15との接触位置に戻り、機械装置10の規制ピニオン19及び歯車列20をロックする。
【0082】
同時ロックの変形実施形態では、可動体7はまた、回転カム4の切欠き5に指状突起26が挿入されるとバレル3の回転をロックする。
【0083】
したがって、時計モジュール1の機械装置10はバレル3の一回転後に停止されるが、バレル3が完全に放出していない限り、制御レバー18を作動させることによって機械装置10を再び動作させることができる。
【0084】
本発明はまた、上述のような時計モジュール1を含む時計ムーブメント及びこのような時計ムーブメントを含む時計に関する。
【0085】
当然のことながら、本発明は、図面を参照して説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく変形例を想定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメント用の時計モジュール(1)、例えばオートマトン又はリンギング機構であって、プレート(2)と機械装置(10)とを含み、前記機械装置(10)は、前記機械装置(10)が前記プレート(2)に対して動かないアイドル状態から、前記機械装置が作動されたときに前記機械装置(10)の少なくとも一部が前記プレート(2)に対して動くことができる動作状態に移行することができ、前記時計モジュール(1)は前記機械装置(10)にエネルギーを供給するバレル(3)を含み、前記機械装置(10)は前記バレル(3)によって作動可能な歯車列(20)を含み、前記機械装置(10)は前記機械装置(10)の速度用のレギュレータをさらに含み、前記時計モジュール(1)は前記機械装置(10)を自動的にロックする自動ロック手段(30)を含み、前記自動ロック手段(30)は前記機械装置(10)を前記アイドル状態にするために前記レギュレータをロックするように構成されることを特徴とする、時計モジュール(1)。
【請求項2】
前記レギュレータは、前記歯車列(20)によって前記バレル(3)が回転しているときに前記バレル(3)によって駆動される規制ピニオン(19)を含み、前記規制ピニオン(19)は規制シャフト(15)に固定されて取り付けられ、前記自動ロック手段(30)は、前記機械装置(10)を前記アイドル状態にするために前記規制シャフト(15)をロックするように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の時計モジュール。
【請求項3】
前記自動ロック手段(30)は前記規制シャフト(15)と協働するブレーキレバー(14)を含み、前記ブレーキレバー(14)は、前記ブレーキレバー(14)が前記規制シャフト(15)と接触して前記規制シャフト(15)をロックする接触位置と、前記ブレーキレバー(14)が前記規制シャフト(15)の回転を可能にする前記規制シャフト(15)から離れた離間位置との間で第回転ピボット(22)を中心に動くことができることを特徴とする、請求項2に記載の時計モジュール。
【請求項4】
前記ブレーキレバー(14)が前記接触位置にあるときに前記機械装置(10)は前記アイドル状態にあり、前記ブレーキレバー(14)が前記離間位置にあるときに前記機械装置(10)は前記動作状態にあることを特徴とする、請求項3に記載の時計モジュール。
【請求項5】
前記自動ロック手段(30)は、前記ブレーキレバー(14)に作用して前記ブレーキレバー(14)を接触位置に保持する第1戻しばね(16)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の時計モジュール。
【請求項6】
前記自動ロック手段(30)は、回転カム(4)と、前記回転カム(4)と協働する可動体(7)とを含み、前記可動体(7)は、前記機械装置(10)が前記アイドル状態にあるロック位置と、前記機械装置(10)が前記動作状態にある後退位置との間を動くことができることを特徴とする、請求項1に記載の時計モジュール。
【請求項7】
前記回転カム(4)は前記バレル(3)に固定されて取り付けられることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項8】
前記回転カム(4)には少なくとも1つの切欠き(5)が設けられ、前記可動体(7)には指状突起(26)が設けられ、前記可動体(7)が前記ロック位置にあるときに前記指状突起(26)は前記回転カム(4)の切欠き(5)に挿入され、前記可動体(7)が前記後退位置にあるときに前記指状突起(26)は前記切欠き(5)の外側にあることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項9】
前記可動体(7)は、前記機械装置(10)の前記動作状態において前記回転カム(4)の回転中に前記回転カム(4)と接触したままであることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項10】
前記可動体(7)は、所定の時間後に前記後退位置から前記ロック位置に自動的に移行するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項11】
前記所定の時間は前記バレル()の1回転に相当することを特徴とする、請求項10に記載の時計モジュール。
【請求項12】
前記自動ロック手段(30)は前記可動体(7)を担持する中間レバー(8)を含み、前記中間レバー(8)は第回転ピボット(21)を中心に動くことができることを特徴とする、請求項6に記載の時計モジュール。
【請求項13】
前記中間レバー(8)は前記ブレーキレバー(14)を作動させて前記ブレーキレバー(14)を前記接触位置から前記離間位置に移行させるように構成され、前記中間レバー(8)は前記ブレーキレバー(14)に機械的に接続されることを特徴とする、請求項3に従属する請求項12に記載の時計モジュール。
【請求項14】
前記自動ロック手段(30)は前記可動体()を前記ロック位置から前記後退位置に移動させるオンデマンドの作動手段を含むことを特徴とする、請求項12に記載の時計モジュール。
【請求項15】
前記作動手段は初期位置と押込位置との間で第3回転ピボット(23)を中心に回転することができる制御レバー(18)を含み、前記制御レバー(18)が前記押込位置にあるときに前記制御レバー(18)は前記中間レバー(8)を作動させることを特徴とする、請求項14に記載の時計モジュール。
【請求項16】
前記作動手段は前記制御レバー(18)に作用して前記制御レバー(18)を前記初期位置に戻す第2戻しばね(16)を含むことを特徴とする、請求項15に記載の時計モジュール。
【請求項17】
請求項1に記載の時計モジュール(1)を含む、時計用の時計ムーブメント。
【請求項18】
請求項17に記載の時計ムーブメントを含む時計。
【外国語明細書】