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特開2024-55794ポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物を処理するための処理システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055794
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物を処理するための処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/88 20060101AFI20240411BHJP
   B29B 7/48 20060101ALI20240411BHJP
   B29B 7/60 20060101ALI20240411BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20240411BHJP
   B29B 7/84 20060101ALI20240411BHJP
   B29C 48/05 20190101ALI20240411BHJP
   B29C 48/345 20190101ALI20240411BHJP
   B29C 48/40 20190101ALI20240411BHJP
   B29C 48/285 20190101ALI20240411BHJP
   B29C 48/76 20190101ALI20240411BHJP
   B29K 27/00 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
B29B7/88
B29B7/48
B29B7/60
B29B9/06
B29B7/84
B29C48/05
B29C48/345
B29C48/40
B29C48/285
B29C48/76
B29K27:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023167381
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】22200348
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501164665
【氏名又は名称】コペリオン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン アレクサンダー シュヴァイクレ
(72)【発明者】
【氏名】マリア ヘルツェル
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
【Fターム(参考)】
4F201AA15
4F201AB11
4F201AB16
4F201AG14
4F201AJ08
4F201AL03
4F201AL09
4F201AL16
4F201AL21
4F201AR14
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC13
4F201BC37
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK26
4F201BK36
4F201BL08
4F207AA15
4F207AB11
4F207AB16
4F207AJ08
4F207AL03
4F207AL09
4F207AL16
4F207AL21
4F207AR14
4F207KA01
4F207KA17
4F207KF02
4F207KF12
4F207KK13
4F207KL47
4F207KL64
4F207KM13
4F207KM14
(57)【要約】
【課題】高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物の処理を可能にする処理システムを提供する。
【解決手段】処理システム(1)は、ポリマー-充填剤組成物(C)、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物を処理するためのものであり、多軸スクリューマシン(2)、第1供給装置(3)及び第2供給装置(4)を備える。第1供給装置(3)により、ポリマー(P)と第1比率(F)の無機充填剤(F)とが多軸スクリューマシン(2)に供給される。続いて、第2供給装置(4)により、第2比率(F)の無機充填剤(F)が多軸スクリューマシン(2)に供給される。無機充填剤(F)を段階的な混合により、ポリマー-充填剤組成物(C)中の無機充填剤(F)の高い比率(F)が達成される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物を処理するための処理システムであって、
ポリマー(P)及び無機充填剤(F)からなるポリマー-充填剤組成物(C)を処理するための多軸スクリューマシン(2)と、
前記ポリマー(P)と、第1比率(F)の前記無機充填剤(F)とを前記多軸スクリューマシン(2)に供給するための第1供給装置(3)とを備える処理システムにおいて、
第2比率(F)の前記無機充填剤(F)を前記多軸スクリューマシン(2)に供給するための第2供給装置(4)を備えることを特徴とする、処理システム。
【請求項2】
前記多軸スクリューマシン(2)は、第1供給開口部(40)と、搬送方向(10)の下流側に配置された第2供給開口部(63)とを備え、
前記第1供給装置(3)は、前記第1供給開口部(40)に開口し、前記第2供給装置(4)は前記第2供給開口部(63)に開口していることを特徴とする、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記多軸スクリューマシン(2)は、第1供給開口部(40)と、搬送方向(10)の下流側に配置された第2供給開口部(63)とを備え、
前記多軸スクリューマシン(2)は、前記第1供給開口部(40)と前記第2供給開口部(63)との間に、前記ポリマー(P)を溶融するための溶融ゾーン(34)を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記第1供給装置(3)は、第1供給スクリューマシン(44)を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項5】
前記第1供給装置(3)は、前記ポリマー(P)と前記無機充填剤(F)の予備混合物(B)を計量するための第1計量装置(42)と、前記無機充填剤(F)を計量するための第2計量装置(43)とを備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項6】
前記多軸スクリューマシン(2)及び/又は前記第1供給装置(3)は、前記ポリマー(P)及び前記第1比率(F)の前記無機充填剤(F)を脱気するための少なくとも1つの脱気開口部(57,60)を備えることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項7】
前記第2供給装置(4)は、第2供給スクリューマシン(66)及び/又は第3計量装置(65)を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項8】
前記多軸スクリューマシン(2)は、前記第2比率(F)の前記無機充填剤(F)を脱気するための少なくとも1つの脱気開口部(79,100)を備えることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項9】
前記第2比率(F)の前記無機充填剤(F)を脱気するための少なくとも1つの脱気開口部(79)は、搬送方向(10)において、前記多軸スクリューマシン(2)の第2供給開口部(63)の下流に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の処理システム。
【請求項10】
前記多軸スクリューマシン(2)は、前記第2供給開口部(63)と前記少なくとも1つの脱気開口部(79)との間に、前記溶融ポリマー(P)と前記第2比率(F)の前記無機充填剤(F)とを均質化するための第1均質化ゾーン(36)を形成することを特徴とする、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
前記多軸スクリューマシン(2)は、前記搬送方向(10)における前記少なくとも1つの脱気開口部(79)の下流に、前記溶融ポリマー(P)と前記第2比率(F)の前記無機充填剤(F)とを均質化するための第2均質化ゾーン(38)を形成することを特徴とする、請求項9又は10に記載の処理システム。
【請求項12】
前記多軸スクリューマシン(2)の搬送方向(10)の下流に配置され、前記ポリマー-充填剤組成物(C)の圧力(p)を上昇させるための圧力上昇装置(6)を備えることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項13】
前記圧力上昇装置(6)は、異方向多軸圧力上昇スクリューマシン(104)を備えることを特徴とする、請求項12に記載の処理システム。
【請求項14】
特に、圧力上昇装置(6)の搬送方向(10)の下流に配置され、ポリマー-充填剤組成物(C)をペレット化するためのペレット化装置(7)を備えることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項15】
ポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物を処理する方法であって、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の処理システム(1)を提供するステップと、
前記ポリマー(P)と第1比率(F)の前記無機充填剤(F)を、前記第1供給装置(3)によって前記多軸スクリューマシン(2)に供給するステップと、
第2比率(F)の前記無機充填剤(F)を、前記第2供給装置(4)によって前記多軸スクリューマシン(2)に供給するステップと、
前記ポリマー(P)と前記無機充填剤(F)からなる前記ポリマー-充填剤組成物(C)を前記多軸スクリューマシン(2)によって処理するステップと、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物を処理するための処理システム及び処理方法に関する。ポリマー-充填剤組成物は、特にポリマー-充填剤マスターバッチである。同様に、ポリ塩化ビニル-充填剤組成物は、特にポリ塩化ビニル-充填剤マスターバッチである。マスターバッチとは、高い充填剤含有量を有する組成物を指す。ポリ塩化ビニル(PVC)は、好ましくは硬質ポリ塩化ビニル(硬質PVC)である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ポリマー-充填剤マスターバッチの処理方法を開示している。ポリマーと無機充填剤の予備混合物と追加の無機充填剤が、多軸スクリューマシンで処理するために供給される。予備混合物はドライブレンドと呼ばれる。予備混合物中に存在する無機充填剤及び追加的に供給される無機充填剤は、ポリマー-充填剤マスターバッチ中に60phr~900phrの合計充填剤含有量を有する。単位「phr」は、「parts per hundred resin」の略語であり、ポリマー100質量部に対する充填剤の質量比率を定義する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP 2 787 026 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物の処理を可能にする処理システムを提供することである。ポリマー-充填剤組成物又はポリ塩化ビニル-充填剤組成物は、特にポリマー-充填剤マスターバッチ又はポリ塩化ビニル-充填剤マスターバッチである。ポリ塩化ビニルは、特に硬質ポリ塩化ビニルである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する処理システムによって達成される。この処理システムは、ポリマー-充填剤組成物の連続処理に役立つ。この処理システムは2つの供給装置から構成されているので、無機充填剤を多軸スクリューマシンに徐々に供給することができ、その結果、無機充填剤をポリマー又はポリマーから生成されるポリマー溶融物と均質かつ高い比率で混合することができる。
【0006】
多軸スクリューマシンには、まず、第1供給装置によって、ポリマーと第1比率Fの充填剤が供給される。第1比率Fについて、特に:20phr≦F≦300phr、特に40phr≦F≦250phr、特に50phr≦F≦200phrである。単位「phr」は、「parts per hundred resin」の略語であり、ポリマー100質量部に対する無機充填剤の質量比率を定義する。
【0007】
本発明によれば、第1比率Fはポリマーの溶融中又は可塑化中に混合する必要があるため、無機充填剤の第1比率Fは、その大きさにおいて制限されること、すなわち高すぎてはならないことが認識されている。第1比率Fが高すぎると、多軸スクリューマシンへのポリマーと無機充填剤の引き込み又は供給、及び/又はポリマーの溶融と無機充填剤の混合に問題が生じる。特に、過剰な機械的エネルギーがポリマーに導入されたり、溶融及び混合時にポリマーが過度にせん断されたりして、望ましくない高温によりポリマーが劣化するおそれがある。
【0008】
第2供給装置によって、第2比率Fの無機充填剤を、多軸スクリューマシンの搬送方向におけるポリマーの供給及び第1比率Fの無機充填剤の供給の下流で、多軸スクリューマシンに供給することができる。第2比率Fについて、特に:300phr≦F≦1100phr、特に400phr≦F≦1000phr、特に500≦F≦900phrである。第2比率Fは、溶融ポリマーと混合された第1比率Fの無機充填剤との混合物に供給される。ポリマーは既に溶融しており、第1比率Fは既に溶融ポリマーに混合されているので、比較的高い第2比率Fを簡単な方法で均質に混合することが可能であり、その結果、得られるポリマー-充填剤組成物は、均質に混合された無機充填剤の高い合計比率Fを含む。特に、F<F≦20・F、特に2・F≦F≦10・F、及び特に3・F≦F≦5・Fである。
【0009】
合計比率Fについて、F=F+Fである。合計比率については、特に:350phr≦F≦1400phr、特に450phr≦F≦1300phr、特に550phr≦F≦1200phrである。
【0010】
ポリマーは特にポリ塩化ビニル(PVC)であり、好ましくは硬質ポリ塩化ビニル(硬質PVC)である。無機充填剤は、特に、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化アルミニウム及びタルクの群から選択される。
【0011】
ポリマー及び/又は無機充填剤の第1比率F、及び/又は無機充填剤の第2比率Fは、供給される際、特に粉末の形態である。
【0012】
多軸スクリューマシンは、特に、少なくとも2つのハウジングボアが形成されたハウジングを備える。少なくとも2つのハウジングボアは互いに貫通しており、特に少なくとも対になっている。1つの処理要素シャフトが、少なくとも2つのハウジングボアのそれぞれに配置される。したがって、多軸スクリューマシンは、少なくとも2つの処理要素シャフトを備える。少なくとも2つの処理要素シャフトは、好ましくは噛み合い設計及び/又は配列である。少なくとも2つの処理要素シャフトは、好ましくは、回転駆動可能であるか、又は対応する回転軸の周りで同一の回転方向に回転可能である。少なくとも2つの処理要素シャフト及び対応する回転軸は、特に互いに平行に整列される。多軸スクリューマシンは、好ましくは二軸スクリューマシンとして設計される。2つの処理要素シャフトは、特に、回転駆動可能であるか、又は対応する回転軸の周りで同一の回転方向に回転可能である。
【0013】
処理システムは、特に、多軸スクリューマシン及び/又は第1供給装置及び/又は第2供給装置を制御するための制御装置を備える。
【0014】
請求項2に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。多軸スクリューマシンは、特に、少なくとも2つのハウジングボアが形成されたハウジングを備える。1つの処理要素シャフトが、少なくとも2つのハウジングボアの各々において対応する回転軸の周りを回転可能であるように配置される。第1供給開口部及び第2供給開口部は、少なくとも2つのハウジングボア内に開口している。第2供給開口部は、多軸スクリューマシンの搬送方向において第1供給開口部の下流側に配置されている。ポリマー及び第1比率Fの無機充填剤は、第1供給装置によって、第1供給開口部を介して多軸スクリューマシン又はその少なくとも2つのハウジングボアに供給される。第2比率Fの無機充填剤は、第2供給装置によって、第2供給開口部を介して多軸スクリューマシン又はその少なくとも2つのハウジングボアに供給される。第2供給開口部は、搬送方向において第1供給開口部の下流側に配置されているので、まず、第2供給開口部の上流側でポリマーを溶融することが可能である。まず、第1比率Fの無機充填剤をポリマー溶融物に混合してから、第2比率Fの無機充填剤を多軸スクリューマシンに供給し、その後、ポリマー溶融物及び混合されている第1比率Fの充填剤との混合物に混合することができる。
【0015】
請求項3に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。多軸スクリューマシンは、特に、少なくとも2つのハウジングボアが形成されたハウジングを備える。それぞれの処理要素シャフトは、少なくとも2つのハウジングボア内の対応する回転軸の周りを回転可能であるように配置される。少なくとも2つの処理要素シャフトは、好ましくは、回転軸の周りを同じ回転方向に回転可能である。第1供給開口部及び第2供給開口部は、少なくとも2つのハウジングボア内に開口している。ポリマー及び第1比率Fの無機充填剤は、第1供給装置によって第1供給開口部を介して多軸スクリューマシン又はその少なくとも2つのハウジングボアに供給される。第2供給開口部は、多軸スクリューマシンの搬送方向において第1供給開口部の下流側に配置されているので、ポリマーは、第2供給開口部の上流側の溶融ゾーンにおいて溶融することができる。溶融ゾーンは、ポリマーが第2供給開口部の上流で溶融され、第1比率Fの無機充填剤が溶融ポリマー又はポリマー溶融物に少なくとも部分的に混合されるように設計されことが好ましい。第2比率Fの無機充填剤は、第2供給装置によって、第2供給開口部を介して多軸スクリューマシン又はその少なくとも2つのハウジングボアに供給される。第2比率Fの無機充填剤は、ポリマー溶融物に、又はポリマー溶融物と第2供給開口部の下流で既に混合された第1比率Fの無機充填剤との混合物に、単純に混合することができる。
【0016】
少なくとも2つの処理要素シャフトは、外径D及び搬送方向の長さLを有する。外径Dは特に最大外径である。L/D比について、特に:32≦L/D≦56、特に34≦L/D≦44、特に36≦L/D≦40である。
【0017】
溶融ゾーンは、搬送方向に長さLを有する。溶融ゾーンは、少なくとも2つの処理要素シャフトのそれぞれの第1混練要素から始まり、第2供給開口部で終わる。したがって、長さLは、少なくとも2つの処理要素シャフトのそれぞれの第1混練要素と第2供給開口部との間に規定される。第1混練要素は、特に混練プレートとして設計されている。L/D比について、特に:6≦L/D≦14、特に7≦L/D≦13、特に8≦L/D≦12である。L/D比が小さすぎると、ポリマーが満足に溶融せず、及び/又は第1比率Fの無機充填剤が十分に混合されないおそれがある。L/D比が高すぎる場合、滞留時間が長すぎるためポリマーが劣化するおそれがある。
【0018】
請求項4に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。第1供給スクリューマシンは、簡単な方法で、ポリマー及び第1比率Fの無機充填剤の計量供給を可能にする。第1供給スクリューマシンは、特に、多軸スクリューマシンのハウジングに形成された第1供給開口部に開口している。第1供給スクリューマシンは、特に、多軸スクリューマシンのハウジングに横方向に接続されている。第1供給スクリューマシンは、特に、多軸スクリューマシンのハウジングに形成された少なくとも2つのハウジングボアに開口している。第1供給スクリューマシンは、特に横方向充填機として設計されている。第1供給スクリューマシンは、特に、少なくとも1つのハウジングボアが形成されたハウジングを備える。1つの搬送要素シャフトが、それぞれの場合において、少なくとも1つのハウジングボア内に回転可能に配置される。第1供給スクリューマシンは、好ましくは二軸設計である。第1供給スクリューマシンは、特に、2つのハウジングボアが形成されたハウジングを備える。2つのハウジングボアは互いに貫通しており、断面に横8の字形状を有している。1つの搬送要素シャフトが、2つのハウジングボアのそれぞれに回転可能に配置される。したがって、第1供給スクリューマシンは、特に、2本の搬送要素シャフトを備える。2つの搬送要素シャフトは、好ましくは、回転可能であるか、又は同じ方向に回転駆動可能である。ポリマー及び第1比率Fの無機充填剤の搬送により、第1比率Fの無機充填剤とポリマーとが少なくとも部分的に混合される。第1供給スクリューマシンは、高い処理能力での供給も可能にする。
【0019】
特に、少なくとも1つの脱気開口部が、第1供給スクリューマシンのハウジングに形成される。好ましくは、第1供給装置は、少なくとも1つの脱気開口部に接続される脱気ユニットを備える。このようにして、粉末状ポリマー及び/又は第1比率Fの粉末状無機充填剤を脱気することができる。特に、空気を、第1供給スクリューマシン及び/又はポリマー及び/又は第1比率Fの無機充填剤から除去することができる。脱気により、ポリマー及び第1比率Fの無機充填剤を、高い処理能力で簡単な方法で多軸スクリューマシンに供給することができる。特に、多軸スクリューマシンでの取込み問題を回避することができる。
【0020】
請求項5に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。第1計量装置及び/又は第2計量装置は、重量測定式及び/又は容量測定式である。第1計量装置は、ポリマーと無機充填剤の基本比率F11との予備混合物の計量に役立つ。予備混合物はドライブレンドとも呼ばれる。対照的に,第2計量装置は,無機充填剤の追加比率F12の計量に役立つ。基本比率F11と追加比率F12の合計が、無機充填剤の第1比率Fを与える。したがって、F=F11+F12である。
【0021】
基本比率F11について、特に:1phr≦F11≦70phr、特に10phr≦F11≦60phr、特に20phr≦F11≦50phr、及び特に30phr≦F11≦40phrである。
【0022】
追加比率F12について、特に:10phr≦F12≦230phr、特に70phr≦F12≦200phr、及び特に90phr≦F12≦180phrである。好ましくは:F11≦F12≦20・F11、特に2・F11≦F12≦15・F11、及び特に3・F11≦F12≦10・F11である。
【0023】
予備混合物中の基本比率F11は,その大きさに関して制限される。なぜなら、基本比率F11が高すぎる場合、ポリマーと無機充填剤は、輸送時又は中間貯蔵時に分離してしまうからである。追加比率F12により、無機充填剤の第1比率Fを簡単な方法で増加させることができる。
【0024】
請求項6に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。少なくとも1つの脱気開口部により、ポリマー及び第1比率Fの無機充填剤を高い処理能力で簡単に供給することができる。
【0025】
第1供給装置、特に第1供給スクリューマシンは、好ましくは少なくとも1つの脱気開口部を有する。少なくとも1つの脱気開口部は、特に第1供給スクリューマシンのハウジングに形成される。第1供給装置は、好ましくは、少なくとも1つの脱気開口部に接続された脱気ユニットを備える。
【0026】
多軸スクリューマシンは、好ましくは、少なくとも1つの脱気開口部を有する。少なくとも1つの脱気開口部は、特に、多軸スクリューマシンの第1取込みゾーンに配置され、及び/又は多軸スクリューマシンの第1供給開口部に隣接して配置される。少なくとも1つの脱気開口部は、特に多軸スクリューマシンのハウジングに形成される。少なくとも1つの脱気開口部は、特に、多軸スクリューマシンの搬送方向において第1供給開口部の上流側に配置される。多軸スクリューマシンは、好ましくは、多軸スクリューマシンの少なくとも1つの脱気開口部に接続された脱気ユニットを備える。脱気ユニットは、特に大気圧設計である。脱気ユニットは、特に大気圧脱気(degassing)又は大気圧脱気(deaeration)のために機能する。
【0027】
多軸スクリューマシンは、第1脱気開口部を備え、第1供給スクリューマシンは、第2脱気開口部を備えることが好ましい。多軸スクリューマシンは、好ましくは、第1脱気開口部に接続された第1脱気ユニットを備える。第1供給装置は、特に、第2脱気開口部に接続された第2脱気ユニットを備える。第1脱気ユニット及び/又は第2脱気ユニットは、特に大気圧設計である。第1脱気ユニット及び/又は第2脱気ユニットは、特に大気圧脱気(degassing)又は大気圧脱気(deaeration)のために機能する。
【0028】
それぞれの脱気ユニットは、安全ガード、脱気インサート、脱気ドーム、脱気スクリューマシン及び/又は真空ポンプを備えてもよい。
【0029】
請求項7に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。第2供給装置は、簡単な方法で、第2比率Fの無機充填剤を多軸スクリューマシンに定量供給することを保証する。第3計量装置は、特に第2供給スクリューマシンに開口している。第3計量装置は、重量測定式又は容積測定式である。第2供給スクリューマシンは、特に多軸スクリューマシンのハウジングに形成された第2供給開口部に開口している。
【0030】
第2供給スクリューマシンは、特に多軸スクリューマシンのハウジングに横方向に接続されている。第2供給スクリューマシンは、特に多軸スクリューマシンのハウジングに形成された少なくとも2つのハウジングボアに開口している。第2供給スクリューマシンは、特に横充填機として設計されている。第2供給スクリューマシンは、特に、少なくとも1つのハウジングボアが形成されたハウジングを備える。1つのスクリュー要素シャフトが、それぞれの場合に、少なくとも1つのハウジングボア内に回転可能に配置される。第2供給スクリューマシンは、好ましくは2軸設計である。第2供給スクリューマシンは、特に、2つのハウジングボアが形成されたハウジングを備える。2つのハウジングボアは互いに貫通しており、断面が横8の字形状を有している。1つの搬送要素シャフトは、2つのハウジングボアのそれぞれに回転可能に配置されている。したがって、第2供給スクリューマシンは、特に2本の搬送要素シャフトを備える。2つの搬送要素シャフトは、好ましくは、回転可能であり、又は同じ方向に回転駆動可能である。第2供給スクリューマシンにより、高い処理能力で第2比率Fの無機充填剤を供給することが可能になる。
【0031】
特に、少なくとも1つの脱気開口部が、第2供給スクリューマシンのハウジングに形成されている。第2供給装置は、好ましくは、少なくとも1つの脱気開口部に接続された脱気ユニットを備える。その結果、第2比率Fの粉末状無機充填剤を脱気することができる。特に、第2供給スクリューマシン及び/又は第2比率Fの無機充填剤から、空気を除去することができる。脱気により、第2比率Fの無機充填剤は、簡単な方法で多軸スクリューマシンに、高い処理能力で供給することができる。特に、多軸スクリューマシンの取込み問題を回避することができる。
【0032】
請求項8に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。少なくとも1つの脱気開口部により、簡単な方法で、無機充填剤の第2比率Fを計量添加が可能になる。第2比率Fの無機充填剤は、特に粉末の形態で多軸スクリューマシンに供給される。脱気は特に空気を除去し、第2比率Fと共に供給される空気が多軸スクリューマシンの上流に流れ込んで溶融ポリマーの搬送を損なわないようにする。
【0033】
少なくとも1つの脱気開口部は、特に、多軸スクリューマシンの第2供給開口部の上流及び/又は下流に配置される。少なくとも1つの脱気開口部は、好ましくは、それぞれの脱気ユニットに接続される。脱気装置は、特に大気圧設計である。脱気装置は、特に大気圧脱気(degassing)又は大気圧脱気(deaeration)のために機能する。
【0034】
多軸スクリューマシンは、好ましくは、第2供給開口部の下流側に配置された第3脱気開口部と、第2供給開口部の領域、特に第2供給開口部の上流側に配置された第4脱気開口部とを備える。多軸スクリューマシンは、特に、第3脱気開口部に接続された第3脱気ユニットと、第4脱気開口部に接続された第4脱気ユニットとを備える。第3脱気ユニットは、特に脱気スクリューマシンを備える。第4脱気ユニットは、特に大気圧設計である。
【0035】
第2供給装置の第2供給スクリューマシンは、好ましくは、第2供給開口部に開口している。第2供給スクリューマシンは、特に、少なくとも1つの脱気開口部を有する。多軸スクリューマシン及び/又は第2供給装置は、好ましくは、少なくとも1つの脱気開口部に接続された脱気ユニットを備える。脱気ユニットは、特に脱気スクリューマシンを備える。脱気スクリューマシンは、特に2軸設計である。脱気スクリューマシンは、特に多軸スクリューマシンのハウジングに横方向に接続されている。
【0036】
それぞれの脱気ユニットは、安全ガード、脱気インサート、脱気ドーム、脱気スクリューマシン及び/又は真空ポンプを備えてもよい。
【0037】
請求項9に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。少なくとも1つの脱気開口部が、搬送方向において第2供給開口部の下流側に配置されているので、無機充填剤の第2比率Fを溶融ポリマーに混合する間に脱気を行うことができる。脱気開口部は、好ましくは、多軸スクリューマシンのハウジングの横方向に形成される。この脱気開口部には、特に脱気スクリューマシンが接続されている。脱気スクリューマシンのハウジングは、特に多軸スクリューマシンのハウジングに横方向に接続されている。脱気スクリューマシンは特に2軸設計である。これにより、混合中の効率的な方法での脱気が保証される。
【0038】
請求項10に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。第1均質化ゾーンは、搬送方向において、第2供給開口部から下流方向で第2供給開口部に最も近い脱気開口部まで延びている。多軸スクリューマシンは、外径Dを有する少なくとも2つの処理要素シャフトを備える。外径Dは特に最大外径である。第1均質化ゾーンは、特に、搬送方向に長さLH1を有する。比LH1/Dについて、特に:4≦LH1/D≦12、特に5≦LH1/D≦11、及び特に6≦LH1/D≦10である。第1均質化ゾーンにおいて、少なくとも2つの処理要素シャフトは、それぞれ少なくとも1つの混練要素を有する。少なくとも1つの混練要素は、特に混練プレートとして、好ましくは複数の混練プレートが一体的に連結された混練ブロックとして設計される。第1均質化ゾーンは、溶融ポリマーと、そこに混合された第1比率Fの無機充填剤と第2比率Fの無機充填剤とを均質化する役割を果たす。
【0039】
請求項11に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。第2均質化ゾーンでは、特に、第2比率Fの無機充填剤の最終分散が行われる。供給によって導入された空気の脱気又は除去後、これは簡単かつ効率的な方法で可能である。少なくとも1つの脱気開口部が、搬送方向において第2供給開口部の下流に配置されているため、搬送方向における脱気又は搬送方向に導入された空気の除去が可能であり、溶融ポリマー及び混合された第1比率Fの無機充填剤の搬送を損なわない。第2均質化ゾーンは、第2供給開口部から下流側に最も離れた脱気開口部と多軸スクリューマシンの排出開口部との間に延びている。多軸スクリューマシンは、外径Dを有する少なくとも2つの処理要素シャフトを備える。外径Dは、特に最大外径である。第2均質化ゾーンは、搬送方向に長さLH2を有する。比LH2/Dについて、特に:2≦LH2/D≦8、特に3≦LH2/D≦7、特に4≦LH2/D≦6である。第2均質化ゾーンにおいて、少なくとも2つの処理要素シャフトはそれぞれ少なくとも1つの混練要素を備える。少なくとも1つの混練要素は、特に混練プレートとして、好ましくは複数の混練プレートが一体的に連結された混練ブロックとして設計される。
【0040】
請求項12に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。ポリマー-充填剤組成物のペレット化には、圧力上昇が必要である。別個の圧力上昇装置のため、多軸スクリューマシンは圧力上昇のために使用されない。多軸スクリューマシンは、本質的にポリマー-充填剤組成物を処理するためにのみ使用されるので、ポリマー-充填剤組成物は、本質的に、排出される前に後退することがない。これにより、不要なエネルギー入力と、その結果として生じるポリマー-充填剤組成物の劣化が回避される。多軸スクリューマシン内の圧力上昇の結果として排出前の過剰な後退は、機械的エネルギーがポリマー-充填剤組成物に望ましくない程度に導入され、せん断感受性のポリマー-充填剤組成物の温度を望ましくない方法で上昇させ、結果としてポリマー-充填剤組成物を劣化させるおそれがあり、不利となるであろう。
【0041】
圧力上昇装置は、特に、単軸圧力上昇スクリューマシン及び/又は多軸圧力上昇スクリューマシンを備える。処理システムは、好ましくは、多軸圧力上昇スクリューマシンを圧力上昇装置に接続する接続装置を備える。接続装置は特に、接続要素、例えば多軸スクリューマシンの少なくとも1つの排出開口部を圧力上昇装置の供給開口部に接続する閉鎖シャフトを備える。接続装置は特に、脱気ユニットを備える。脱気ユニットは、例えば、接続要素、特に閉鎖シャフトに接続される。ポリマー-充填剤組成物は、好ましくは常圧で圧力上昇装置に供給される。この目的のために、例えば、多軸スクリューマシンからポリマー-充填剤組成物を排出するための少なくとも1つの排出開口部が、重力方向において圧力上昇装置の供給開口部の上方に配置される。圧力上昇装置は、好ましくは、圧力上昇Δpの増加を可能にする。ここで、特に:1bar≦Δp≦100bar、特に2bar≦Δp≦80bar、及び特に3bar≦Δp≦60barである。
【0042】
請求項13に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。異方向多軸圧力上昇(二重反転多軸圧力上昇)スクリューマシンは、少なくとも2つのハウジングボアが形成されたハウジングを備える。1つの圧力上昇シャフトが、少なくとも2つのハウジングボアのそれぞれに回転可能に配置される。少なくとも2本の圧力上昇シャフトは、逆回転(二重反転)しており、すなわち回転可能又であるか、又は反対方向に回転駆動可能である。少なくとも2本の圧力上昇シャフトは、好ましくは、相互に噛み合う設計及び/又は配置である。圧力上昇装置は、好ましくは、異方向二軸圧力上昇スクリューマシンを備える。多軸圧力上昇スクリューマシンは、特に、取込みゾーン及び圧力上昇ゾーンを形成する。多軸圧力上昇スクリューマシンは、好ましくは、専ら取込みゾーン及び圧力上昇ゾーンを形成する。
【0043】
多軸圧力上昇スクリューマシンは、特に、少なくとも2つの圧力上昇シャフトを有する。多軸圧力上昇スクリューマシンの圧力上昇効果は、特に、少なくとも2つの圧力上昇シャフトの勾配(傾斜)又は搬送角度、少なくとも2つの圧力上昇シャフトのフライト数及び/又はフライト深さ、及び/又は少なくとも2つの圧力上昇シャフトのランド幅及び/又はランドクリアランスによって最適化することができる。圧力上昇効果は、例えば、傾斜又は搬送角度に反比例して、フライト深さに反比例して、フライト数に反比例して、及び/又はランド隙間に反比例して増大する。
【0044】
少なくとも2本の圧力上昇シャフトは、搬送方向に長さL、及び外径Dを有する。外径Dは、特に最大外径である。比L/Dについて、特に:3≦L/D≦10、特に4≦L/D≦9、及び特に5≦L/D≦8である。
【0045】
ポリマー-充填剤組成物は、無機充填剤の高い比率Fのため、粘性がある。異方向多軸圧力上昇スクリューマシンは、その後のペレット化のための連続的かつ均一な圧力上昇を効果的に可能にする。
【0046】
請求項14に記載の処理システムは、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物の処理を保証する。この処理システムは、特に、圧力上昇装置及び/又はペレット化装置を制御するための制御装置を備える。ペレット化装置は、特に、直径b及び長さcを有するペレット又はペレット粒子が生成されるように、設計され及び/又は制御装置によって作動される。直径bについて、特に、2mm≦b≦12mm、特に3mm≦b≦10mm、及び特に4mm≦b≦8mmである。長さcについて、特に、0.5mm≦c≦4mm、特に1mm≦c≦3mm、及び特に1.5mm≦c≦2mmである。
【0047】
生成されたペレット粒子は平坦な構造、すなわち直径bに対して相対的に短い長さcを有するので、溶融ポリマー-充填剤組成物の急速冷却が可能になる。これにより、ペレット粒子内で過度に長時間の熱接触による分解反応が回避されるため、ペレットの高品質が保証される。圧力上昇装置による比較的小さな圧力上昇は、ポリマー-充填剤組成物の均質性ひいては品質を維持しながら、ポリマー-充填剤組成物の不要な圧縮を防止する。
【0048】
製造されたペレットは、特に空気圧で搬送され、ペレット化装置の下流で冷却される。その結果、ペレットの温度は急速に、好ましくは40℃未満の温度に達する。
【0049】
本発明の目的はまた、高比率の無機充填剤を有する均質なポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物の処理を可能にする方法を創出することである。
【0050】
この目的は、請求項15の特徴を有する方法によって達成される。本発明による方法の利点は、本発明による処理システムの既に述べた利点に対応する。この方法は、特に、処理システムに関連して説明した少なくとも1つの特徴を用いて発展することができる。
【0051】
本発明のさらなる特徴、利点及び詳細は、以下の実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】ポリマー-充填剤組成物、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物を処理するための多軸スクリューマシン、ポリマー及び第1比率の無機充填剤を供給するための第1供給装置、及び第2比率の無機充填剤を供給するための第2供給装置を備えた処理システムの部分的な横方向断面図である。
図2】搬送方向における多軸スクリューマシンの下流側に配置された圧力上昇装置と、ペレット化装置を備えた処理システムの部分横断面図である。
図3図1の多軸スクリューマシンと供給装置の部分的な上方向断面図である。
図4図2の圧力上昇装置とペレット化装置の部分的な上方向断面図である。
図5図3のV-V線に沿った多軸スクリューマシン及び第1供給装置の断面図である。
図6図3の断面線VI-VIに沿った多軸スクリューマシン及び第2供給装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1図6に示す処理システム1は、ポリマーP、特にポリ塩化ビニルと無機充填剤Fとから構成されるポリマー-充填剤組成物C、特にポリ塩化ビニル-充填剤組成物の連続処理に役立つ。ポリマー-充填剤組成物Cは、特にポリマー-充填剤マスターバッチであり、又はポリ塩化ビニル-充填剤組成物は、特にポリ塩化ビニル-充填剤マスターバッチである。ポリ塩化ビニル(PVC)は、特に硬質ポリ塩化ビニル(硬質PVC)である。無機充填剤(鉱物充填剤)Fは、例えば、炭酸カルシウム(CaCO)又はチョーク、水酸化アルミニウム及び/又はタルクである。
【0054】
処理システム1は、多軸スクリューマシン2、第1供給装置3、第2供給装置4、接続装置5、圧力上昇装置6、ペレット化装置7、及び制御装置8を備える。
【0055】
多軸スクリューマシン2は、ポリマーPと無機充填剤Fとからなるポリマー-充填剤組成物Cの連続処理に役立つ。多軸スクリューマシン2は、共回転二軸スクリューマシンとして設計されている。多軸スクリューマシン2は、搬送方向10に連続して配置され、相互に連結された複数のハウジング部11~22から形成されたハウジング9を備える。最後のハウジング部22は、排出開口部23を形成している。ハウジング9には、相互に平行で相互に貫通する2つのハウジングボア24,25が形成されている。ハウジングボア24,25の断面形状は、横8の字形状である。
【0056】
ハウジングボア24,25内に配置された2つの処理要素シャフト26,27は、対応する回転軸28,29の周りで同じ回転方向に回転駆動可能である。回転駆動のために、多軸スクリューマシン2は、駆動モータ30と分配トランスミッション31とを備え、これらの間にカップリング32が配置されている。処理要素シャフト26,27は、分配トランスミッション31を介して駆動モータ30によって回転軸28,29の周りに同じ方向に回転駆動される。
【0057】
多軸スクリューマシン2は、搬送方向10に、第1取込みゾーン33、溶融ゾーン34、第2取込みゾーン35、第1均質化ゾーン36、脱気ゾーン37、第2均質化ゾーン38及び排出ゾーン39を形成する。
【0058】
第1供給開口部40は、ハウジング9の第1取込みゾーン33に形成されている。第1供給開口部40は、ハウジングボア24,25に横方向に開口している。第1供給開口部40は、例えば、ハウジング部12に形成される。第1取込みゾーン33において、処理要素シャフト26,27は、搬送要素41,41’を備える。
【0059】
第1供給装置3は、ポリマーPと無機充填剤Fの第1比率Fを第1取込みゾーン33に供給するように機能する。第1供給装置3は、第1計量装置42、第2計量装置43及び第1供給スクリューマシン44を備える。第1供給スクリューマシン44は、二軸横充填機機として設計されている。第1供給スクリューマシン44は、2つの相互に貫通するハウジングボア46,47が形成されたハウジング45を備える。ハウジングボア46,47の断面形状は、横8の字形状である。ハウジングボア46,47内には、対応する回転軸50,51の周りで同じ回転方向に回転駆動可能な2つの搬送要素シャフト48,49が配置されている。回転駆動のために、第1供給スクリューマシン44は、駆動モータ52と分配伝動装置53とを備える。供給漏斗55は、ハウジング45に形成された供給開口部54に開口している。ハウジング45は、端部が閉鎖されておらず、したがって、搬送要素シャフト48、49が貫通する充填開口部56を形成している。ハウジング45は、充填開口部56が第1供給開口部40に開口するように、多軸スクリューマシン2のハウジング9に接続されている。搬送要素シャフト48,49は、第1供給開口部40内に延びている。
【0060】
第1計量装置42は、ポリマーPと無機充填剤Fの予備混合物Bを計量する役割を果たす。第1計量装置42は、重量測定式又は容積測定式である。第1計量装置42は、供給漏斗55に開口している。予備混合物Bは粉状である。予備混合物Bはドライブレンドとも呼ばれる。予備混合物Bは、ポリマーPと、無機充填剤Fの基本比率F11とを含む。基本比率F11については、特に:1phr≦F11≦70phr、特に10phr≦F11≦60phr、特に20phr≦F11≦50phr、特に30phr≦F11≦40phrである。「phr」という単位は、「parts per hundred resin」の略称であり、ポリマーPの100質量部に対する無機充填剤Fの質量比率を定義する。
【0061】
第2計量装置43は、無機充填剤Fの追加比率F12を計量する役割を果たす。第2計量装置43は、重量測定式又は容積測定式である。第2計量装置43は、供給漏斗55に開口している。追加比率F12については、特に:10phr≦F12≦230phr、特に70phr≦F12≦200phr、特に90phr≦F12≦180phrである。好ましくは、F11≦F12≦20・F11、特に2・F11≦F12≦15・F11、特に3・F11≦F12≦10・F11である。
【0062】
したがって、第1供給スクリューマシン44によって供給される無機充填剤Fの第1比率Fは、以下のように加算される:F=F11+F12。第1比率Fについては、特に、20phr≦F≦300phr、特に40phr≦F≦250phr、特に50phr≦F≦200phrである。
【0063】
ポリマーP及び第1比率Fの無機充填剤Fの脱気のために、第1脱気開口部57が多軸スクリューマシン2のハウジング9に形成される。第1脱気開口部57は、搬送方向10において第1供給開口部40の上流側に形成される。第1脱気開口部57は、例えば、ハウジング部11に形成される。多軸スクリューマシン2は、第1脱気開口部57に接続された第1脱気ユニット58を備える。第1脱気ユニット58は、ガス、特に空気を、吸引によって、又はハウジングボア24,25から導出することによって除去する役割を果たす。第1脱気ユニット58は、例えば、大気脱ガスユニット又は大気脱気ユニットとして設計される。
【0064】
第1供給装置3は、第2脱気開口部60に接続された第2脱気ユニット59を備える。第2脱気開口部60は、第1供給スクリューマシン44のハウジング45に形成されている。第2脱気ユニット59は、ガス、特に空気を、吸引によって又はハウジングボア46,47から導出することによって除去する役割を果たす。
【0065】
溶融ゾーン34は、ポリマーPを溶融し、第1比率Fの無機充填剤Fを溶融ポリマーP又はポリマー溶融物に混合する役割を果たす。溶融ゾーン34において、処理要素シャフト26,27は、混練要素61,61’及び搬送要素62,62’を有する。混練要素61,61’は特に、複数の混練プレートが一体的に連結された混練ブロック及び/又は個々の混練プレートを備える。溶融ゾーン34は、搬送方向10において第1混練要素61,61’から始まり、第2供給開口部63で終わる。第2供給開口部63については、以下で詳細に説明する。
【0066】
処理要素シャフト26,27は外径Dを有する。外径Dは特に最大外径である。
【0067】
処理要素シャフト26,27は、第1供給開口部40と溶融ゾーン34の第1混練要素61,61’との間の長さLを有する。比L/Dについて、特に:2≦L/D≦7、特に3≦L/D≦6、特に4≦L/D≦5である。
【0068】
処理要素シャフト26,27は、溶融ゾーン34において長さLを有する。L/D比について、特に:6≦L/D≦14、特に7≦L/D≦13、特に8≦L/D≦12である。
【0069】
多軸スクリューマシン2は、第2取込みゾーン35に第2供給開口部63を有する。第2供給開口部63は、搬送方向10において第1供給開口部40の下流側に配置されている。第2供給開口部63は、ハウジング9、例えばハウジング部16の横方向に形成され、ハウジングボア24,25に開口している。このようにして、溶融ゾーン34は、第1供給開口部40と第2供給開口部63との間に形成される。
【0070】
第2供給装置4は、第2比率Fの無機充填剤Fを多軸スクリューマシン2に供給する役割を果たす。この目的のために、第2供給装置4は第2供給開口部63に開口する。第2取込みゾーン35において、処理要素シャフト26,27は、搬送要素64,64’を有する。第2比率Fは、特に300phr≦F≦1100phr、特に400phr≦F≦1000phr、特に500≦F≦900phrである。特にF<F≦20・F、特に2・F≦F≦10・F、特に3・F≦F≦5・Fである。
【0071】
第2供給装置4は、第3計量装置65と第2供給スクリューマシン66とを備える。第2供給スクリューマシン66は、特に、二軸横方向充填機として設計されている。第2供給スクリューマシン66は、2つのハウジングボア68,69が形成されたハウジング67を備える。ハウジングボア68,69内に配置された2つの搬送要素シャフト70,71は、対応する回転軸72,73の周りで同じ回転方向に回転駆動可能である。回転駆動のために、第2供給スクリューマシン66は、駆動モータ74と分配伝動装置75とを備える。搬送要素シャフト70、71は、分配伝動装置75を介して駆動モータ74によって回転軸72、73の周りで同じ方向に回転駆動される。供給漏斗77は、ハウジング67に形成された供給開口部76に開口している。第3計量装置65は、重量測定式又は容積測定式である。第3計量装置65は、供給漏斗77に開口している。ハウジング67は閉鎖されておらず、充填開口部78を形成している。充填開口部78は第2供給開口部63に開口している。このため、ハウジング67は、多軸スクリューマシン2のハウジング9に接続されている。搬送要素シャフト70,71は、ハウジング67の上方に立設され、第2供給開口部63内に延在している。
【0072】
第2供給装置4又は第2供給スクリューマシン66は、第1供給スクリューマシン44と同様に、1つの脱気ユニットが接続される脱気開口部を備えてもよい。対応する詳細を参照されたい。
【0073】
第1均質化ゾーン36は、無機充填剤Fの第2比率Fを、溶融ポリマーP及び無機充填剤Fの第1比率Fで既に混合されたものに混合する役割を果たす。第1均質化ゾーン36は、第2供給開口部63から第3脱気開口部79まで搬送方向10に延びる。第3脱気開口部79は、以下において詳細に説明する。第1均質化ゾーン36において、処理要素シャフト26,27は、混練要素80、80’及び搬送要素81、81’を備える。混練要素80,80’は、特に、一体の形態で互いに接続された複数の混練プレートを有する混練ブロック及び/又は個々の混練プレートを備える。第1均質化ゾーン36は、搬送方向10に長さLH1を有する。比率LH1/D比について、特に:4≦LH1/D≦12、特に5≦LH1/D≦11、及び特に6≦LH1/D≦10である。
【0074】
脱気ゾーン37は、第2比率Fの無機充填剤Fを脱気する役割を果たす。無機充填剤Fは、第2供給開口部63を通ってハウジングボア24,25に粉末形態で供給される。脱気ゾーン37は、特に、第2比率Fの無機充填剤Fから、及びハウジングボア24,25から空気を排除する役割を果たす。
【0075】
第3脱気開口部79は、ハウジング9内の脱気ゾーン37に形成されている。したがって、第3脱気開口部79は、搬送方向10において第2供給開口部63の下流側に配置されている。第3脱気開口部79は、ハウジング9の横方向、例えばハウジング部19に形成されている。脱気ゾーン37において、処理要素シャフト26,27は、搬送要素82,82’を備える。
【0076】
多軸スクリューマシン2は、第3脱気開口部79に接続された第3脱気ユニット83を備える。第3脱気ユニット83は、脱気スクリューマシン84と減圧発生装置85とを備える。脱気スクリューマシン84は、特に二軸横脱気装置として設計されている。脱気スクリューマシン84は、互いに貫通する2つのハウジングボア87,88が形成されたハウジング86を備える。ハウジングボア87,88は、横8の字形の断面形状を有する。ハウジングボア87,88内に配置された2つの搬送要素シャフト89,90は、対応する回転軸91,92の周りで同じ回転方向に回転駆動可能である。回転駆動のために、脱気スクリューマシン84は、駆動モータ93と分配伝動装置94とを備える。搬送要素シャフト89,90は、分配伝動装置94を介して駆動モータ93によって回転軸91,92の周りで同じ回転方向に回転駆動される。ハウジング86には吸引開口部95が形成されている。減圧発生装置85は、吸引開口部95に接続されている。ハウジング86は閉鎖されておらず、接続開口部96を形成している。接続開口部96は第3脱気開口部79に開口している。このため、ハウジング86は、多軸スクリューマシン2のハウジング9に接続されている。搬送要素シャフト89,90は、接続開口部96を通って第3脱気開口部79に延びている。
【0077】
さらに、多軸スクリューマシン2は、第2取込みゾーン35において、ハウジング9又はハウジング部16に、第2供給開口部63よりも搬送方向10の上流側に形成された第4脱気開口部100を有している。多軸スクリューマシン2は、第4脱気開口部100に接続された第4脱気ユニット129を備える。第4脱気ユニット129は、ガス、特に空気を、吸引又は導出により除去するため、及び/又はガス又は空気を第2比率Fの無機充填剤Fから導出するために機能する。第4脱気ユニット129は、特に大気脱ガス又は大気脱気として設計されている。
【0078】
第2均質化ゾーン38は、第2比率Fの無機充填剤Fを溶融ポリマーP及び既に混合されている第1比率Fの無機充填剤Fに混合し、均質化するために機能する。更なる混合及び均質化は、特に第2比率Fの無機充填剤Fの脱気後に続く。更なる混合及び均質化は、特にハウジングボア24,25からの空気の除去後に続く。第2均質化ゾーン38は、搬送方向10において脱気ゾーン37又は第3脱気開口部79の下流に配置されている。第2均質化ゾーン38は、搬送方向10において第1均質化ゾーン36の下流にも配置されている。第2均質化ゾーン38の処理要素シャフト26,27は、搬送要素97,97’及び混練要素98,98’を備える。混練要素98,98’は、特に、一体の形態で互いに接続された混練プレートを有する混練ブロック及び/又は個別の混練プレートを備える。第2均質化ゾーン38は第3脱気開口部79の後に始まり、搬送方向10の最後の混練要素98,98’で終わる。第2均質化ゾーン38は搬送方向10に長さLH2を有する。比率LH2/Dについて、特に:2≦LH2/D≦8、特に3≦LH2/D≦7、特に4≦LH2/D≦6である。
【0079】
排出ゾーン39は、生成されたポリマー-充填剤組成物Cを排出する役割を果たす。ポリマー-充填剤組成物Cは、溶融ポリマーPに均一に混合された排出ゾーン39の無機充填剤Fの高い比率Fを有する。合計比率Fは、以下のように加算される:F=F+F。合計比率Fについて、特に:350phr≦F≦1400phr、特に450phr≦F≦1300phr、特に550phr≦F≦1200phrである。
【0080】
排出ゾーン39において、処理要素シャフト26,27は、搬送要素99,99’を備える。搬送要素99,99’は、排出開口部23を通してポリマー-充填剤組成物Cを本質的に常圧で排出する役割を果たす。
【0081】
処理要素シャフト26,27は、搬送方向10において全長Lを有する。外径Dに対する全長Lの比L/Dについて、特に32≦L/D≦56、特に34≦L/D≦44、特に36≦L/D≦40である。
【0082】
多軸スクリューマシン2は、接続装置5によって圧力上昇装置6に接続されている。接続装置5は、閉鎖シャフトとして設計された接続要素101を備える。接続要素101は、ハウジング9及び圧力上昇装置6の供給漏斗102に接続されている。接続装置5は、接続要素101又は接続要素101の脱気開口部に接続された脱気ユニット103を備える。
【0083】
圧力上昇装置6は、ポリマー-充填剤組成物Cの圧力pを上昇させる役割を果たす。圧力上昇装置6は、搬送方向10において多軸スクリューマシン2の下流側に配置されている。
【0084】
圧力上昇装置6は、圧力上昇スクリューマシン104を備える。圧力上昇スクリューマシン104は、異方向多軸圧力上昇スクリューマシン、特に異方向二軸圧力上昇スクリューマシンとして設計されている。圧力上昇スクリューマシン104は、互いに貫通する2つのハウジングボア106,107が形成されるハウジング105を備える。ハウジングボア106,107は、横8の字形の断面形状を有する。ハウジングボア106,107内に配置された圧力上昇シャフト108,109は、対応する回転軸110,111の周りで反対の回転方向に回転駆動可能である。回転駆動のために、圧力上昇装置6は、駆動モータ112と分配伝動装置113とを備える。駆動モータ112と分配伝動装置113との間には、カップリング114が配置されている。圧力上昇シャフト108,109は、分配伝動装置113及びカップリング114を介して、駆動モータ112によって、回転軸110,111の周りで反対方向に回転駆動可能である。
【0085】
圧力上昇スクリューマシン104は、搬送方向115に取込みゾーン116と圧力上昇ゾーン117を形成する。ハウジング105の取込みゾーン116に、供給開口部118が形成されている。供給漏斗102は、供給開口部118に開口している。多軸スクリューマシン2の排出開口部100は、重力方向Gに関して供給開口部118の上方に配置されている。その結果、ポリマー-充填剤組成物Cは、排出開口部23から出た後、重力により供給漏斗102に落下する。
【0086】
取込みゾーン116において、圧力上昇シャフト108,109は、搬送要素119、119’を備える。ポリマー-充填剤組成物Cは、取込みゾーン116に流入すると第1圧力pを有する。取込みゾーン116において、ポリマー-充填剤組成物Cは、圧力上昇ゾーン117に搬送される。
【0087】
圧力上昇ゾーン117では、ポリマー-充填剤組成物Cの圧力pが上昇する。圧力上昇ゾーン117の下流端では、ポリマー-充填剤組成物Cは圧力pを有する。圧力上昇Δpについて、Δp=p-pである。圧力上昇ゾーン117では、圧力上昇シャフト108,109は、特に搬送要素として設計された圧力上昇要素120,120’を有する。このように、圧力上昇スクリューマシン104は、取込みゾーン116と圧力上昇ゾーン117のみを有する。
【0088】
圧力上昇Δpについて、特に1バール≦Δp≦100バール、特に2バール≦Δp≦80バール、特に3バール≦Δp≦60バールである。
【0089】
圧力pについて、特に:p≒patmであり、patmは大気圧を表し、約1バールである。
【0090】
圧力pについて、特に:1bar≦p≦100bar、特に2bar≦p≦80bar、及び特に3bar≦p≦60barである。
【0091】
2つの圧力上昇シャフト108,109は、搬送方向115に長さL及び外径Dを有する。外径Dは、特に最大外径である。比率L/Dについて、特に:3≦L/D≦10、特に4≦L/D≦9、及び特に5≦L/D≦8である。
【0092】
ペレット化装置(造粒装置)7は、搬送方向10又は搬送方向115において、圧力上昇装置6の下流側に配置されている。ペレット化装置7は、ペレット化ハウジング121、多孔板122、ペレット化ブレード123、及び駆動装置124を備える。多孔板122は、圧力上昇スクリューマシン104のハウジング105に接続されている。したがって、多孔板122は、ハウジング105を終端する。多孔板122は、多数の通路開口部125を有する。通路開口部125は、ポリマー-充填剤組成物Cからストランドを形成するの役割を果たす。圧力上昇スクリューマシン104から離れた多孔板122の側には、ペレット化ブレード123が配置されている。ペレット化ブレード123は、駆動装置124によって、対応する回転軸126の周りで回転駆動可能である。ペレット化ブレード123の回転の結果、ポリマー-充填剤組成物Cのストランドは切断されてペレット形状Gに切断になる。ペレット化ハウジング121は、多孔板122、ペレット化ブレード123、及び駆動装置124を取り囲んでいる。ペレット化ハウジング121は、圧力上昇スクリューマシン104のハウジング105に接続されている。ペレット化ハウジング121は排出開口部127を有する。排出開口部127は、ペレット粒子Gを輸送する役割を果たす。排出開口部127は、輸送導管128に接続されている。輸送導管128は、ペレット粒子Gを空気圧で輸送する役割を果たす。
【0093】
制御装置8は、処理システム1を制御する役割を果たし、特に多軸スクリューマシン2、第1供給装置3、第2供給装置4、接続装置5、圧力上昇装置6、及びペレット化装置7と信号接続されている。
【0094】
処理システム1の動作方法は、以下の通りである。
【0095】
第1計量装置42は、予備混合物Bを計量して、第1供給スクリューマシン44の供給漏斗55に入れる。予備混合物Bは、ポリマーP及び基本比率F11の無機充填剤Fを含む。第1計量装置42の処理量は、例えば、20kg/h~200kg/hである。同時に、第2計量装置43は、無機充填剤Fの追加比率F12を計量して、第1供給スクリューマシン44の供給漏斗55に入れる。第2計量装置43の処理量は、例えば、10kg/h~100kg/hである。予備混合物B及び無機充填剤Fは粉末状である。
【0096】
予備混合物B及び追加の無機充填剤Fは、供給開口部54を通ってハウジングボア46,47に入る。ハウジングボア46,47内に存在する空気、及び/又は予備混合物B及び追加の無機充填剤Fの供給によってハウジングボア46,47内に導入された空気は、第2脱気ユニット59によって第2脱気開口部60を通って除去される。予備混合物B及び追加の無機充填剤Fは、搬送要素シャフト48,49によって充填開口部56に搬送され、搬送中に少なくとも部分的に互いに混合されて、混合物Mが得られる。
【0097】
混合物Mは、第1供給開口部40を通って多軸スクリューマシン2のハウジングボア24,25内に供給される。ハウジングボア24,25内に存在する空気、及び/又は混合物M内に存在する空気は、第1脱気ユニット58によって第1脱気開口部57を通って除去される。
【0098】
第1取込みゾーン33において、投入された混合物Mは、搬送方向10において溶融ゾーン34に搬送される。溶融ゾーン34において、ポリマーPが溶融されてポリマー溶融物Sが得られる。溶融ゾーン34において、ポリマー溶融物Sは、第1比率Fの無機充填剤Fと混合される。
【0099】
第2取込みゾーン35において、第2比率Fの無機充填剤Fは、第2供給開口部63を通ってハウジングボア24,25内に供給される。この目的のために、無機充填剤Fは、第3計量装置65によって第2供給スクリューマシン66に供給される。第3計量装置65は、例えば、60kg/h~600kg/hの処理量で運転される。少なくとも1つの第2比率Fの無機充填剤Fは、粉末の形態で供給される。第2比率Fの無機充填剤Fは、供給漏斗77及び供給開口部76を通ってハウジングボア68,69に入り、搬送要素シャフト70,71によって充填開口部78及び第2供給開口部63を通って多軸スクリューマシン2に供給される。ハウジングボア68,69内に存在する空気、及び/又は第2比率Fの無機充填剤Fの投入によってハウジングボア68,69内に導入された空気、及び/又はハウジングボア24,25内に存在する空気は、第4脱気ユニット129によって、第4脱気開口部100を通って除去される。
【0100】
第1均質化ゾーン36において、第2比率Fの無機充填剤Fは、ポリマー溶融物Sと、そこに既に混合されている第1比率Fの無機充填剤Fとに混合される。ハウジングボア24,25内に存在する空気、及び/又は第2比率Fの無機充填剤Fを介してハウジングボア24,25内に導入された空気は、搬送方向10に脱気ゾーン37に向かって押され、第3脱気ユニット83によって第3脱気開口部79を通って除去される。脱気スクリューマシン84は、無機充填剤Fが混合されたポリマー溶融物Sが、第3脱気開口部79を通って逃げない(漏れない)ようにする。この目的のために、搬送要素シャフト89,90は、ポリマー溶融物S及びその中に混合された無機充填剤Fが、第3脱気開口部79を通って逃げられないように、第3脱気開口部79に向かって搬送する。同時に、空気は、例えば真空ポンプとして設計された減圧発生装置85によって、吸引開口部95を介して、第3脱気開口部79及びハウジングボア87,88を通って吸引される。
【0101】
第2均質化ゾーン38において、ポリマー溶融物Sと無機充填剤Fが混合され、再び均質化される。第2均質化ゾーン38の終わりでは、ポリマー-充填剤組成物Cが形成されている。ポリマー-充填剤組成物Cは均質であり、無機充填剤Fの高い合計比率Fを有する。比率Fの合計は、F=F+Fとなる。
【0102】
排出ゾーン39では、ポリマー-充填剤組成物Cは、排出プレート23の排出開口部100を通して、本質的に周囲圧力で排出される。
【0103】
ポリマー-充填剤組成物Cは、接続装置5を介して圧力上昇装置6の供給漏斗102に供給される。接続要素101は、脱気ユニット103によって脱気される密閉シャフトとして設計されており、ポリマー-充填剤組成物Cが圧力上昇装置6に供給される際に、空気が導入されないようにしている。
【0104】
供給漏斗102及び供給開口部118を通って、ポリマー-充填剤組成物Cは、異方向二軸圧力上昇スクリューマシン104に入る。取込みゾーン116において、ポリマー-充填剤組成物Cは、圧力上昇ゾーン117に搬送される。圧力上昇シャフト108,109は、分配伝動装置113を介して駆動モータ112によって、回転軸110,111の周りで反対方向に回転駆動される。異方向二軸圧力上昇スクリューマシン104は、内蔵型チャンバー搬送を有するので、ハウジングボア106,107内のポリマー-充填剤組成物Cの逆流又は漏れ流は最小限である。これにより、せん断感応性のポリマー-充填剤組成物Cに機械的エネルギーを不要に導入することなく、圧力上昇ゾーン117内の良好な圧力上昇が可能になる。異方向二軸圧力上昇スクリューマシン104内で圧力Δpが増加し、ポリマー-充填剤組成物Cが圧力上昇ゾーン117の端部で圧力pを有するようになる。
【0105】
ポリマー-充填剤組成物Cは、圧力上昇スクリューマシン104からペレット化装置7の多孔板122を通って排出される。多孔板122の通路開口部125は、回転ペレット化ブレード123によってペレット粒子Gに切断されるポリマー-充填剤組成物Cのストランドを生成する。ペレット粒子Gは、除去開口部127を通してペレット化ハウジング121から除去され、輸送導管128によって空気圧で輸送され、冷却される。
【0106】
制御装置は、ペレット粒子Gが直径b及び長さcを有するように、圧力上昇装置6及びペレット化装置7を制御する。ペレット粒子Gは特に、平坦な構造、すなわち長さcに対して高い直径bを有するため、ペレット粒子Gは急速に冷えて固化する。これにより、ペレット化されたポリマー-充填剤組成物Cの高い品質が保証される。
【0107】
ポリマー-充填剤組成物Cは、無機充填剤Fの比率/合計比率Fが高いため、改善された機械的特性を有する製品を製造することが可能である。さらに、製品製造において、ポリマーPの量を減らすことが可能であり、これはコストを削減し、持続可能性を増加させる。ポリマーPは、特にポリ塩化ビニル(PVC)、特に硬質ポリ塩化ビニル(硬質PVC)である。無機充填剤Fは、特に炭酸カルシウムである。この組成物は、特にマスターバッチである。
【符号の説明】
【0108】
1 処理システム
2 多軸スクリューマシン
3 第1供給装置
4 第2供給装置
5 接続装置
6 圧力上昇装置
7 ペレット化装置
8 制御装置
9,45,67,86,105 ハウジング
10,115 搬送方向
11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22 ハウジング部
23,100,127 排出開口部
24,25,46,47,68,69,87,88,106,107 ハウジングボア
26,27 処理要素シャフト
28,29,50,51 回転軸
30,52,74,93,112 駆動モータ
31 分配トランスミッション
32 カップリング
33 第1取込みゾーン
34 溶融ゾーン
35 第2取込みゾーン
36 第1均質化ゾーン
37 脱気ゾーン
38 第2均質化ゾーン
39 排出ゾーン
40 第1供給開口部
41,41’ 搬送要素
42 第1計量装置
43 第2計量装置
44 第1供給スクリューマシン
48,49,70,71,89,90 搬送要素シャフト
53 分配伝動装置
54,76,118 供給開口部
55 供給漏斗
56,78 充填開口部
57 第1脱気開口部
58 第1脱気ユニット
59 第2脱気ユニット
60 第2脱気開口部
61,61’ 混練要素
62,62’,64,64’ 搬送要素
63 第2供給開口部
65 第3計量装置
66 第2供給スクリューマシン
72,73,91,92,110,111,126 回転軸
75 分配伝動装置
77 供給漏斗
79 第3脱気開口部
80,80’ 混練要素
81,81’,82,82’,97,97’,99,99’,119,119’ 搬送要素
83 第3脱気ユニット
84 脱気スクリューマシン
85 減圧発生装置
94 分配伝動装置
95 吸引開口部
96 接続開口部
98,98’ 混練要素
100 第4脱気開口部
101 接続要素
102 供給漏斗
103 脱気ユニット
104 異方向二軸圧力上昇スクリューマシン
108,109 圧力上昇シャフト
113 分配伝動装置
114 カップリング
116 取込みゾーン
117 圧力上昇ゾーン
120,120’ 圧力上昇要素
121 ペレット化ハウジング
122 多孔板
123 ペレット化ブレード
124 駆動装置
125 通路開口部
127 除去開口部
128 輸送導管
129 第4脱気ユニット
B 予備混合物
C ポリマー-充填剤組成物
F 無機充填剤
11 基本比率
12 追加比率
第1比率
第2比率
合計比率
G ペレット粒子
M 混合物
P ポリマー
S ポリマー溶融物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】