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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055799
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】スポーツ障害の予防又は改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240411BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20240411BHJP
   A61K 31/4172 20060101ALI20240411BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240411BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20240411BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240411BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/7008
A61K31/122
A61K38/39
A61K31/19
A61K31/4172
A61P19/02
A61P19/04
A61P21/00
A61P43/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169780
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022162068
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506141225
【氏名又は名称】株式会社ユーグレナ
(74)【代理人】
【識別番号】110003432
【氏名又は名称】弁理士法人シアラシア
(72)【発明者】
【氏名】西村 和生
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE03
4B018MD07
4B018MD09
4B018MD18
4B018MD20
4B018MD27
4B018ME10
4B018ME14
4B018MF02
4C084AA02
4C084BA44
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZC54
4C084ZC75
4C086AA02
4C086BC38
4C086EA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZC54
4C086ZC75
4C206AA02
4C206CB27
4C206DA02
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA94
4C206ZA96
4C206ZC54
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明は、加齢に伴う運動パフォーマンスの低下や疲労・怪我等に悩む競技アスリートや運動習慣のある人に向けたスポーツ障害の予防又は改善用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るスポーツ障害の予防又は改善用組成物は、グルコサミン類、ユビキノン、コラーゲン類、HMB又はその塩及びエルゴチオネインを含有する。本発明に係るスポーツ障害の予防又は改善用組成物を摂取することで、スポーツ障害の予防又は改善が期待できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコサミン類、ユビキノン、コラーゲン類、HMB又はその塩及びエルゴチオネインを含有するスポーツ障害の予防又は改善用組成物。
【請求項2】
前記スポーツ障害が、関節の痛み、靭帯の痛み、筋肉痛、肉離れ及び全身倦怠感からなる群より選択される少なくとも一種以上である請求項1に記載のスポーツ障害の予防又は改善用組成物。
【請求項3】
グルコサミン、コエンザイムQ10、コラーゲンペプチド、HMBカルシウム及びエルゴチオネインを含有するスポーツ障害の予防又は改善用組成物。
【請求項4】
前記スポーツ障害が、関節の痛み、靭帯の痛み、筋肉痛、肉離れ及び全身倦怠感からなる群より選択される少なくとも一種以上である請求項3に記載のスポーツ障害の予防又は改善用組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のスポーツ障害の予防又は改善用組成物を含む飲食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコサミン類、ユビキノン、コラーゲン類、HMB又はその塩及びエルゴチオネインを含有するスポーツ障害の予防又は改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
運動選手等のアスリートや日常的に運動をする人は、運動習慣のない人と比べて身体を酷使しているため、関節・靭帯の慢性的な痛み、筋肉の疲労及び肉離れ等の障害、全身の倦怠感に悩まされることが多い。疲労の回復には適切な食事と十分な休息をとることが基本であるが、加齢に伴う運動パフォーマンスの低下や疲労・怪我等のスポーツ障害により競技から引退を余儀なくされる現実がある。
【0003】
加齢に伴う筋肉量の低下や骨密度の減少を抑制するための組成物として、特許文献1にはクレアチン、ビタミンD、グルコサミン、ヒアルロン酸を組み合わせた骨・筋肉増強促進用組成物が開示されている。特許文献2には、動物の体内に存在するコラーゲンが減少すると皮膚、骨、関節に悪影響を及ぼすという課題に対し、コラーゲン由来のアミノ酸の吸収を高めるためコラーゲンと3-ヒドロキシイソ吉草酸(以下、「HMB」という)またはその塩を含む食品組成物が開示されている。特許文献3には、白色脂肪細胞への脂肪蓄積を抑制するため、α - リポ酸、コエンザイムQ10、分岐鎖アミノ酸、グルコサミン、ヒアルロン酸を含む脂肪蓄積剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-237070
【特許文献2】特開2009-159983
【特許文献3】特開2006-151909
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の食品組成物は、運動習慣のない一般的な人が運動機能の衰えにより歩行困難等の要介護になるリスクを低減するために骨、筋肉、関節、皮膚の強化を目的としており、加齢に伴う運動パフォーマンスの低下や疲労・怪我等のスポーツ障害を予防又は改善するものではなく、競技アスリートや運動習慣のある人の悩みを解決するものではなかった。本発明の目的は、加齢に伴う運動パフォーマンスの低下や疲労・怪我等に悩む競技アスリートや運動習慣のある人に向けたスポーツ障害の予防又は改善用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、以下の(1)~(5)を提供するものである。
(1)グルコサミン類、ユビキノン、コラーゲン類、HMB又はその塩及びエルゴチオネインを含有するスポーツ障害の予防又は改善用組成物。
(2)前記スポーツ障害が、関節の痛み、靭帯の痛み、筋肉痛、肉離れ及び全身倦怠感からなる群より選択される少なくとも一種以上である(1)に記載のスポーツ障害の予防又は改善用組成物。
(3)グルコサミン、コエンザイムQ10、コラーゲンペプチド、HMBカルシウム及びエルゴチオネインを含有するスポーツ障害の予防又は改善用組成物。
(4)前記スポーツ障害が、関節の痛み、靭帯の痛み、筋肉痛、肉離れ及び全身倦怠感からなる群より選択される少なくとも一種以上である(3)に記載のスポーツ障害の予防又は改善用組成物。
(5)(1)~(4)のいずれかに記載のスポーツ障害の予防又は改善用組成物を含む飲食品。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成された本発明のスポーツ障害の予防又は改善用組成物によれば、筋肉、関節及び靭帯に生じる障害を予防又は改善することができ、高い抗酸化効果を有するエルゴチオネインが加齢とともに低下する抗酸化作用を補うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、グルコサミン類、ユビキノン、コラーゲン類、HMB又はその塩及びエルゴチオネインを含有するスポーツ障害の予防又は改善剤に関する。以下、本発明に係るスポーツ障害の予防又は改善剤について、詳細に説明する。
【0009】
文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同様の意味を有する。本明細書に記載されたものと同様又は同等の任意の方法及び材料は、本発明の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料を以下に記載する。
【0010】
(グルコサミン類)
本発明において、「グルコサミン類」とは、グルコサミン又はその誘導体のことである。グルコサミン類は、動物の体内ではN-アセチルグルコサミンの形で糖タンパク質、ヒアルロン酸等の構成成分として軟骨、腱、靭帯などの結合組織に分布しており、ヒアルロン酸は、軟骨に大量に存在するプロテオグリカン複合体の主要成分である。グルコサミン類は軟骨細胞を形成するための基礎的な栄養成分であり、関節部分の細胞の新陳代謝に重要な役割を果たしている。グルコサミンは変形性関節症の治療にも利用されている。グルコサミン類としては、特に限定されないが、グルコサミン及びその塩、N-アセチルグルコサミンが含まれ、特にグルコサミンが好適に用いられる。グルコサミンは、グルコースの2位の水酸基がアミノ基に置換されたアミノ糖の1種である。塩としては、特に限定されないが、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等が挙げられる。天然には貝の殻、動物の骨及び骨髄に存在しており、微生物由来の多糖、ムコ多糖、糖タンパク質、糖脂質等にも含まれる。工業的には、例えばキチンを加水分解することにより得られる。本発明におけるグルコサミン類は天然由来であっても化学合成品由来であってもよい。
【0011】
本発明の組成物中におけるグルコサミン類の含有量は、成人の一日の摂取量1,500mgに対して好ましくは25~75質量%の375~1,125mg、より好ましくは30~70質量%の450~1,050mgである。1日の摂取量に対して2/3(66.7質量%)の1,000mgを含有させると、関節の保護、関節の可動性向上の観点で好適である。
【0012】
(ユビキノン)
ユビキノンとは、ミトコンドリア内膜に多数存在する電子伝達体の1つである。ユビキノンはベンゼン環を有し、炭素、水素、酸素から成る有機化合物である。ベンゼン環の3位の炭素にはイソプレン側鎖が結合しており、イソプレン側鎖の数が10の化合物はコエンザイムQ10(CoQ10)と呼ばれる。ユビキノンを構成するベンゼン環の1位と3位の炭素には酸素原子が結合しており、ユビキノンの酸化と還元に関わっている。ユビキノンは1電子還元を受けると中間型のユビセミキノンとなり、2電子還元を受けるとユビキノールとなる。経口摂取したユビキノンは心筋細胞内のミトコンドリアに取り込まれ、虚血心筋に直接作用して低酸素状態での心筋エネルギー代謝を改善することから、基礎治療施行中の軽度・中度のうっ血性心不全症状の強心薬として用いられることが知られている。また、還元型ユビキノンは抗酸化作用を有することから、活性酸素から細胞を保護することで起床時の疲労感の軽減、睡眠の質の向上、一時的なストレスの緩和に貢献することが知られている。
【0013】
本発明において、「ユビキノン」は、特に限定されないが、酸化型ユビキノン、ユビセミキノン、ユビキノール、コエンザイムQ10が挙げられる。本発明におけるユビキノンは天然由来であっても化学合成品由来であってもよい。コエンザイムQ10は、酸化還元状態によって異なり、酸化型コエンザイムQ10、中間型コエンザイムQ10、還元型コエンザイムQ10が含まれ、いずれも好適に使用できる。本発明の組成物中におけるユビキノンの含有量は、成人の1日の摂取量30mgに対して好ましくは25~75質量%の7.5~22.5mg、より好ましくは30~70質量%の9~21mgである。1日の摂取量に対して2/3(66.7質量%)の20mgを含有させると、抗酸化効果の観点で好適である。
【0014】
(コラーゲン類)
コラーゲンは、主に脊椎動物の結合組織を構成する線維状タンパク質で、哺乳類では全タンパク質の30%近くを占める。経口摂取したコラーゲンは、オリゴペプチド、アミノ酸に分解・吸収され、コラーゲン合成の材料として使用される。また、線維芽細胞を活性化させることで、コラーゲンの合成能をあげるともいわれている。コラーゲンは肉類、魚類、ゼラチン、ゼリー等に含まれており、その安全性は明らかである。コラーゲンを経口摂取した際の効果としては、肌の弾力性の向上、肌の水分量の向上、しわの改善、関節の痛みの低減、関節動作の改善、関節炎の抑制、爪の乾燥の抑制などが知られている。
【0015】
本発明において、「コラーゲン類」とは、コラーゲン及びコラーゲンペプチドのことである。発明におけるコラーゲン類は天然由来であっても化学合成品由来であってもよい。本発明の組成物中におけるコラーゲン類の含有量は、成人の1日の摂取量4,000mgに対して好ましくは25~75質量%の1,000~3,000mg、より好ましくは30~70質量%の1,200~2,800mgである。1日の摂取量に対して2/3(66.7質量%)の2,700mgを含有させると、抗酸化効果の観点で好適である。
【0016】
(HMB)
HMBとは、3-Hydroxy 3-MethylButyrate(3-ヒドロキシイソ吉草酸)の頭文字をとった略称であり、イソ吉草酸のβ位の炭素にヒドロキシ基が結合した短鎖分岐ヒドロキシ脂肪酸である。HMBは必須アミノ酸であるロイシンの代謝中間物であり、人体では1日当たり0.2~0.4gのHMBがロイシンから合成されている。HMBの塩としては、人体に有害でない限り特に限定されないが、カルシウム塩、マグネシウム塩などの二価の塩が挙げられる。HMBにはタンパク質合成促進効果、タンパク質分解抑制効果があることが知られており、これらの効果のためにはHMBのカルシウム塩(以下、「HMB-Ca」という)の使用が好適である。本発明におけるHMB又はその塩は天然由来であっても化学合成品由来であってもよい。
【0017】
本発明の組成物中におけるHMB又はその塩の含有量は、成人の1日の摂取量1,500mgに対して好ましくは25~75質量%の375~1,125mg、より好ましくは30~70質量%の450~1,050mgである。1日の摂取量に対して2/3(66.7質量%)の1,000mgを含有させると、タンパク質合成促進効果、タンパク質分解抑制効果の観点で好適である。
【0018】
(エルゴチオネイン)
本発明において、「エルゴチオネイン」は、下記の式(1)で表される化合物及びその誘導体を指す。下記式Iの構造式を有する全ての立体異性体が包含される。ここでいう誘導体としては、金属塩、水和物等が挙げられるが、下記の式(1)の骨格を有する限り、特に限定されない。
【0019】
【化1】
【0020】
エルゴチオネインは、希少アミノ酸誘導体に分類される天然成分であり、一部のキノコや麹菌、放線菌などの微生物によって作られる。エルゴチオネインが多く含まれるキノコとしては、タモギタケ、ヒラタケ、エリンギ、ハナビラタケ、エノキタケ、シイタケ等が挙げられ、特にタモギタケに多く含まれる。人間はエルゴチオネインを体内で合成することができないため、エルゴチオネインが含まれる食品を経口摂取することで体に取り込むことができる。エルゴチオネインは、非常に強い抗酸化活性を示すことが知られている。人間の体内に最も多い抗酸化物質であるグルタチオンと比較すると、最大で30倍ほども高い活性酸素種消去能を持つともいわれている。
【0021】
本発明におけるエルゴチオネインは、エルゴチオネインを含有するキノコ類等の原料から精製された天然由来であっても化学合成品由来であってもよい。あるいは、エルゴチオネインは、エルゴチオネインを含有するキノコ類等の原料の未精製の細砕物、乾燥粉末、濃縮エキス等として、本発明の組成物に含まれていてもよい。本発明の組成物中におけるエルゴチオネインの含有量は、成人の1日の摂取量5mgに対して好ましくは25~75質量%の1.25~3.75mg、より好ましくは30~70質量%の1.5~3.5mgである。1日の摂取量に対して2/3(66.7質量%)の3.3mgを含有させると、活性酸素種消去能の観点で好適である。
【0022】
(スポーツ障害)
本発明において、「スポーツ障害」とは、スポーツ・運動によって関節、靭帯、腱、骨等に繰り返し外力が加わることで引き起こされる障害のことである。スポーツ障害の例としては、サッカー等のボールを蹴るスポーツにおいて脛骨結節が徐々に突出することにより痛みが生じるオグリット病、繰り返しのランニングやジャンプを過度に行った場合に発症する過労性の脛骨骨膜炎であるシンスプリント、野球の投球動作を繰り返すことによって生じる関節包や肩関節に付着する腱や筋あるいは骨の損傷による野球肩、テニスを続けることで上腕骨の外側又は肘の内側に痛みが生じるテニス肘等が挙げられるが、これらに限られず、運動によって生じる関節の痛み、靭帯の痛み、筋肉痛、肉離れ及び全身倦怠感も含まれる。運動前のウオーミングアップ、運動後のアイシング、ストレッチなどで予防や改善を図ることができるが、無理をして悪化させてしまった場合、長期のスポーツ休止のみならず、良好なスポーツパフォーマンスを発揮できなくなる状態に陥ることもあり、アスリートが競技から引退を余儀なくされる一因となっている。
【0023】
(組成物)
本発明のグルコサミン類、ユビキノン、コラーゲン類、HMB又はその塩及びエルゴチオネインを含有する組成物は、スポーツ障害の予防効果又はスポーツ障害の改善効果を発揮することができる。
【0024】
本発明の組成物におけるグルコサミン類、ユビキノン、コラーゲン類、HMB又はその塩及びエルゴチオネインのそれぞれの含有量は、所望の効果を損なわない限り特に制限は無く、また適応される被投与生体の年齢、状態などの種々の要因により適宜変えることができる。目的の効果を得るために好ましい含有量は各成分の1日の摂取量に対して2/3の量であるが、組成物の用途により適宜設定すればよい。
【0025】
本発明の組成物は、上記の成分を有効成分としていればよく、上記以外の成分を有していてもよい。上記以外の成分としては、薬理学的に許容される基剤が例示される。薬理学的に許容される基剤の一例としては、主に貯蔵および流通における安定性を確保する成分(例えば保存安定剤など)が挙げられる。その他、目的の最終製品(例えば、飲食品、栄養補助食品、医薬品、医薬部外品)を構成する諸成分から選ばれる1または2種類以上の成分を含有していてもよい。
【0026】
本発明の組成物は、そのままの形態で、最終製品として用いることもできる。また、飲食品用の添加剤、栄養補助食品用の添加剤、医薬品用の添加剤、医薬部外品用の添加剤として用いることができる。これにより、飲食品、栄養補助食品、医薬品、医薬部外品に各種効果を付与することができる。
【0027】
薬理学的に許容される基剤は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されない。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤及び界面活性剤などの中から、製剤に必要な諸特性(例えば、製剤安定性)を損なわないものであって、最終製品(例えば、飲食品、栄養補助食品、医薬品及び医薬部外品)の剤形に応じたものを1種または2種以上選択することができる。
【0028】
本発明の組成物が薬理学的に許容される基材を含む場合、有効成分(2種以上の成分の組み合わせである場合には、合計量)の配合量は、有効量であれば特に限定されないが、通常は0.01~80質量%の範囲である。
【0029】
本発明の組成物の剤形は、飲食品、栄養補助食品、医薬品及び医薬部外品のいずれとするかによって適宜決定することができ、特に限定されない。経口投与される際の剤形の例としては、液状、シロップ状、錠剤、カプセル状、粉末状、顆粒状、細粒、ソフトカプセル状、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。
【0030】
本発明の組成物は、健康食品、健康飲料、機能性食品、機能性飲料、栄養補助食品、栄養補助飲料、特定保健用食品、特定保健用飲料、医療用食品、医療用飲料、病者用食品、病者用飲料、乳児用食品、乳児用飲料、介護用食品、介護用飲料、高齢者用食品、高齢者用飲料等の飲食品として利用してもよい。
【実施例0031】
以下、具体的実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
<試験例1>
1. 試験食の製造
実施例1
以下の表1に示す通り、グルコサミン(プロテインケミカル株式会社製)1,000 mg、CoQ10(株式会社カネカ製)40 mg、コラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製)2,700 mg、HMB-Ca(小林香料株式会社製)1,000 mg、エルゴチオネイン1%エキス末(株式会社エル・エス・コーポレーション製)330 mgを混合して実施例1の粉末を得た。
【0033】
比較例1
以下の表1に示す通り、グルコサミン(プロテインケミカル株式会社製)1,000 mg、CoQ10(株式会社カネカ製)40 mg、コラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製)2,700 mg、HMB-Ca(小林香料株式会社製)1,000 mgを混合して比較例1の粉末を得た。
【0034】
比較例2
以下の表1に示す通り、グルコサミン(プロテインケミカル株式会社製)1,000 mg、CoQ10(株式会社カネカ製)40 mg、コラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製)2,700 mgを混合して比較例2の粉末を得た。
【0035】
比較例3
以下の表1に示す通り、グルコサミン(プロテインケミカル株式会社製)1,000 mg、CoQ10(株式会社カネカ製)40 mgを混合して比較例3の粉末を得た。
【0036】
比較例4
以下の表1に示す通り、グルコサミン(プロテインケミカル株式会社製)1,000 mgの粉末のみを比較例4とした。
【0037】
比較例5
試験食を摂取しない対照区を比較例5とした。
【0038】
【表1】
【0039】
2. 試験食の摂取とアンケート評価
(1)試験概要
試験概要を以下に示す。
試験期間:実施例1、比較例1~5の継続摂取を各4週間
試験食の摂取量:表1に示す合計量を1日2回に分けて摂取
被験者:男性1名( Age 53歳、継続的に運動をしている人)
【0040】
(2)材料及び方法
被験者に対して、実施例1の試験食を朝食後と夕食後の1日2回、4週間継続して摂取させた。摂取期間終了後に表2に示すアンケート項目に5段階評価で評価を記載させた。その後、試験食の評価を正確に行うため、試験食を摂取しないウォッシュアウト期間を2週間設けた。
次に、比較例1の試験食を朝食後と夕食後の1日2回、4週間継続して摂取させた。摂取期間終了後に表2に示す計7つのアンケート項目(「瞬発力」、「持久力」、「関節の痛み」、「筋肉の痛み」、「靭帯の痛み」、「運動中の疲労感」、「運動翌日の疲労感」)に5段階評価で評価を記載させた。ここで、「瞬発力」とは、スポーツ等において瞬時に発揮する力のことをいう。「持久力」とは、一定の運動を長時間続けることができる体力や粘り強さのことをいう。「筋肉の痛み」とは、スポーツ等の運動に伴って起こる骨格筋の痛みのことをいう。「靭帯の痛み」とは、スポーツでの激しい動きや転倒、事故等によって靭帯に生じた痛みのことをいう。「運動中の疲労感」とは、運動を行っている最中に感じる疲労感をいう。「運動翌日の疲労感」とは、運動によって生じた筋肉痛や筋肉のはり、身体のだるさを総合して感じる疲労感のことをいう。摂取期間が終了した後、試験食を摂取しないウォッシュアウト期間を2週間設けた。
このように4週間の試験食の摂取、アンケート回答、2週間のウォッシュアウト期間を1サイクルとして、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5を同様のサイクルで繰り返し、計34週間の試験を実施した。
【0041】
【表2】
【0042】
(3)結果及び考察
実施例1、比較例1~比較例5のアンケート評価の結果を表3に示す。グルコサミンを摂取した比較例4は、非摂取の対象区である比較例5に対して関節の痛みが大きく改善していた。グルコサミンに加えてCoQ10を摂取した比較例3では、筋肉の痛み、運動中の疲労感の改善がみられた。グルコサミン、CoQ10に加えてコラーゲンペプチドを摂取した比較例2では、比較例3と比較して靭帯の痛みの改善がみられた。グルコサミン、CoQ10、コラーゲンペプチド、HMB-Caを摂取した比較例1では比較例2と比較してさらに翌日の疲労感の改善が認められ、平均3.9の評価であった。
比較例1~5に対し、エルゴチオネイン1%エキス末をさらに含む実施例1は、全評価項目においてさらなる改善が認められ、平均4.9の評価であった。
以上より、グルコサミン、CoQ10、コラーゲンペプチド、HMB-Caを継続的に摂取することですスポーツ障害の予防又は改善ならびにパフォーマンスの向上が認められるが、さらにエルゴチオネインを摂取するとスポーツ障害の予防又は改善ならびに運動パフォーマンスの向上効果が顕著に増加することが示された。
【0043】
【表3】
【0044】
<試験例2>
1.試験食の製造
実施例2
以下の表4に示す通り、グルコサミン(プロテインケミカル株式会社製)1,000 mg、CoQ10(日清ファルマ株式会社製)20 mg、コラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製)2,700 mg、HMB-Ca(株式会社公知貿易)1,000 mg、エルゴチオネイン1%エキス末(株式会社エル・エス・コーポレーション製)330 mgを混合して実施例2の粉末を得た。
【0045】
【表4】
【0046】
2. 試験食の摂取とアンケート評価
(1)試験概要
試験概要を以下に示す。
試験期間:実施例2の継続摂取を4週間
試験食の摂取量:表4に示す合計量を1日2回に分けて摂取
被験者:20歳代~60歳代の男女、合計41名(継続的に運動をしている人)
【0047】
(2)被験者
被験者は継続的に運動をしている20歳以上64歳以下の男女41名であり、男性は36名、女性は5名であった。被験者の内訳を表5に示す。表5の「30歳未満」は20歳以上30歳未満を意味し、男性が4名、女性が1名であった。30歳以上34歳以下は男性が4名、女性が0名、35歳以上39歳未満は男性が5名、女性が2名、40歳以上44歳以下は男性が10名、女性が1名、45歳以上49歳未満は男性が5名、女性が1名、50歳以上54歳以下は男性が5名、女性が1名、55歳以上54歳以下は男性が1名、女性が0名、60歳以上64歳以下は男性が2名、女性が0名であった。
【0048】
【表5】
【0049】
(3)材料及び方法
被験者に対して、実施例2の試験食を朝食後と夕食後の1日2回、4週間継続して摂取させた。試験食の摂取開始前と摂取期間終了後にアンケート調査を実施した。アンケート調査は、表6の調査項目に示す「瞬発力」、「持久力」、「集中力」、「技術・精度」、「関節の痛み」、「筋肉の痛み」、「靭帯の痛み」、「運動中の疲労感」、「運動後当日の疲労感」、「運動翌日の疲労感」の計11項目であり、各項目について表6に示す5段階評価で被験者が点数をつけた。ここで、「集中力」とは、一つの事柄に注意を集中して物事に取り組む能力をいう。「技術・精度」における技術とは、スポーツの競技種目における課題を合理的に解決するための方法・手段をいい、精度とは技術を実行する際の正確性のことをいう。「関節の痛み」とは、関節の炎症等によって生じる痛みのことをいう。「運動後当日の疲労感」とは、運動直後から就寝までの間に感じる疲労感をいう。「瞬発力」、「持久力」、「筋肉の痛み」、「靭帯の痛み」、「運動中の疲労感」、「運動翌日の疲労感」の7項目の意味については試験例1と同様である。5段階評価の数値が大きいほど、スポーツ障害の予防又は改善ならびに運動パフォーマンスの向上効果があることを意味する。
【0050】
【表6】
【0051】
(4)結果及び考察
各調査項目における被験者全員の試験食摂取開始前のアンケート評価の平均点(A)、摂取期間終了後のアンケート評価の平均点(B)、(B)から(A)を減算した値{(B)-(A)}、(A)と(B)の有意差検定をt検定により行ったP値(P値が0.001以下の場合は「P<0.001」と表示した。)を表7に示す。
【0052】
【表7】
【0053】
パフォーマンスに関連する項目について、試験食の摂取前後で「瞬発力」は3.5から4.0に、「持久力」は3.1から3.8に、「集中力」は3.3から4.0に、「技術・精度」は3.2から3.8に、それぞれ統計的に有意に向上していた。痛みに関連する項目について、試験食の摂取前後で「関節の痛み」は2.8から3.5に、「筋肉の痛み」は3.4から4.0に、「靭帯の痛み」は3.1から4.1に、それぞれ統計的に有意に向上していた。疲労に関連する項目について、試験食の摂取前後で「運動中の疲労感」は2.8から3.5に、「運動後当日の疲労感」は2.7から3.4に、「運動翌日の疲労感」は2.8から3.7に、それぞれ統計的に有意に向上していた。また、全11項目の平均点は、試験食摂取前の3.1から試験食摂取後の3.8に0.7向上していた。このときにP値は0.001未満であり、試験食摂取前後における総合評価の向上は統計的に有意であった。
【0054】
以上により、被験者41名によるアンケート調査によって、グルコサミン、CoQ10、コラーゲンペプチド、HMB-Ca及びエルゴチオネインを含有する試験食(実施例2)を1日2回、4週間継続摂取することで、運動パフォーマンス(「瞬発力」、「持久力」、「集中力」、「技術・精度」)、スポーツ障害による痛み(「関節の痛み」、「筋肉の痛み」、「靭帯の痛み」)、運動による疲労(「運動中の疲労感」、「運動後当日の疲労感」、「運動翌日の疲労感」)が統計的に有意に向上又は改善することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の組成物は、継続的に経口摂取することでスポーツ障害の予防又は改善ならびに運動パフォーマンスの向上効果を有するため、加齢に伴う運動パフォーマンスの低下や疲労・怪我等に悩む競技アスリートや運動習慣のある人に向けた組成物として、産業上の利用可能性を有する。