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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055803
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】アブレーション器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023171154
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】22200312
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】アンデル・ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】アドラー・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】カルヒャー・フェリクス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可撓性が高いと同時に機械的に安定しているアブレーションプローブを提供する。
【解決手段】アブレーション器具10は、らせんばねのタイプで構成され、電気的接続のために設けられたそれぞれの端部が軸方向の延長部として構成されている電極21、22を特徴としている。電極は、支持部として働く内部ホース上に配置され、延長部は、電極の巻線よりも、縦軸までの距離が小さいところに配置されている。延長部と巻線との間に巻線セクションが構成され、巻線セクションに沿って、縦中心軸への距離が半径からより低い値に減少し、その結果、延長部は、巻線に対して内方に、すなわち中心軸に、より近接して配置されている。この延長部の収容および関連する電気的接続のために、内部ホースは、トラフを含む。全体として、信頼性および可撓性を有すると同時にロバストの構成が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にRFアブレーション用のアブレーション器具(10)であって、
可撓性を有するホース部(12)を備え、前記ホース部(12)上に第1電極(21)が配置され、
前記第1電極(21)は、一定の半径(R)で中心軸(M)に巻き付き、かつ、らせん線に沿って配置されている複数の巻線(23、24、25)を含み、前記中心軸(M)は、縦方向(L)を規定しており、
前記第1電極(21)から前記縦方向(L)に対して平行、または鋭角に遠ざかるように延在する延長部(26)に、末端巻線(25)が接続され、
前記末端巻線(25)と前記延長部(26)との間に、巻線セクション(27)が配置され、
前記中心軸(M)と前記巻線セクション(27)との間に距離(A)が規定され、前記距離(A)は、前記末端巻線(25)から前記延長部(26)に向かって減少している
アブレーション器具。
【請求項2】
前記ホース部(12)は、少なくとも1つの内部ホース(13)と、前記内部ホース(13)上に配置された少なくとも1つのコーティング(14)とを含む
請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項3】
前記内部ホース(13)は、円形断面を有する
請求項2に記載のアブレーション器具。
【請求項4】
前記内部ホース(13)は、少なくとも1つの位置に、径方向内方に凹んだ凹部(28)を含む
請求項2または3に記載のアブレーション器具。
【請求項5】
前記凹部(28)は、少なくとも部分的に前記第1電極(21)の下方に配置されている
請求項4に記載のアブレーション器具。
【請求項6】
前記第1電極(21)から縦方向(L)に距離をおいて、少なくとも1つの追加電極(22)が設けられている
請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項7】
前記追加電極(21)は、前記第1電極(21)と一致するように構成されている
請求項6に記載のアブレーション器具。
【請求項8】
2つの前記電極(21、22)間に絶縁体(31)が配置されている
請求項6または7に記載のアブレーション器具。
【請求項9】
前記絶縁体(31)は、らせん線に沿った少なくとも1つの面(32、33)を有する
請求項8に記載のアブレーション器具。
【請求項10】
前記絶縁体(31)は、中空円筒状に構成され、前記延長部(26)を中に配置するためのキャビティ(34)を含む
請求項8に記載のアブレーション器具。
【請求項11】
前記絶縁体(31)は、少なくとも1つの接着剤リザーバを含む
請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項12】
前記接着剤リザーバは、前記面のキャビティ(34、35)によって形成されている
請求項11に記載のアブレーション器具。
【請求項13】
前記延長部(26)は、電気ライン(30)に接続されている
請求項1に記載のアブレーション器具。
【請求項14】
前記延長部(26)と前記電気ライン(30)とは、圧着バレル(29)によって互いに接続されている
請求項13に記載のアブレーション器具。
【請求項15】
前記内部ホース(13)は、少なくとも1つの出口開口部(38)を有する供給ホース(20)が内部に配置されている管腔(17)を取り囲んでいる
請求項1に記載のアブレーション器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、いわゆる高周波アブレーション中に組織を凝固させるための、アブレーション器具、特に可撓性を有するアブレーション器具に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのアブレーションブローブは、特許文献1、特許文献2、特許文献3、または特許文献4から明らかなように、一般に知られている。そのような器具を肺腫瘍の凝固中に使用することは、特許文献5から明らかである。
【0003】
高周波アブレーション中、アブレーションプローブは、そのアクティブな遠位端を用いて処置対象の組織構造内に直接配置される。例えば、組織は、処置を必要とする組織、例えば腫瘍が位置する肺、肝臓または他の組織である。プローブの遠位端には、高周波交流電流が供給される1以上の電極が設けられている。高周波交流電流は、組織内に熱壊死を引き起こす。望ましくない加熱を避けるために、電極を能動的に冷却することができる。この目的のために、特許文献6および特許文献7では、アブレーションプローブの遠位端に内部冷却を備えることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0754075号明細書
【特許文献2】国際公開第94/11059号
【特許文献3】欧州特許第2768563号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1181896号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第3763314号明細書
【特許文献6】欧州特許第2309941号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第3769706号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、肺組織の処置中、気管支がより小さくなっている気管支樹を通って、処置を必要とする組織までアブレーション器具を案内する必要がある。それによって肺実質の任意の領域に実質的に到達するために、理想的な場合には15mm未満の可能な限り小さい曲げ半径と、理想的な場合には145°を越える大きい角度とを得ることができるように、一方ではアブレーション器具の直径が非常に小さく、他方ではアブレーション器具の可撓性が可能な限り高いことが所望される。その一方、プローブは、処置対象のそれぞれの組織に穿刺できるよう十分剛性を有するものとする。さらに、使用時の応力、特に、器具の冷却によって生じる引張力および圧力に耐え得るのに十分な医療強度が要求される。同様の課題が、内視鏡検査でのみ到達可能な他の組織にも生じ得る。
【0006】
上記のことから、本発明の根本的な目的は、極めて可撓性が高いと同時に、機械的に安定しているアブレーションプローブを提供することができる概念を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、請求項1に記載のアブレーションプローブによって達成される。
【0008】
本発明に係るアブレーション器具は、可撓性を有するホース部を備え、ホース部上に少なくとも1つの第1電極が配置されている。好ましい場合には、少なくとも1つの追加電極をホース部上に配置することができる。電極は、らせんばねのタイプで構成されているため、一定の半径で中心軸に巻き付き、かつ、らせん線に沿って配置されている複数の巻線を含む。中心軸は、可撓性を有するホース部の縦方向に相当する縦方向を規定している。電極の少なくとも末端巻線は、電気的接続の働きをし、かつ、残りの電極から突出している延長部に接続されている。それにより、延長部は、縦方向、すなわち中心軸に対して平行、または鋭角に方向付けられている。
【0009】
略軸方向に延在する延長部と、その延長部に接続された巻線との間に、巻線セクションが配置され、巻線セクションは、一方では連続的に周方向を向いているが、それにより、その半径(中心軸までの距離)は、延長部に向かって減少している。この形状により、電極の半径を越えて突出していない絶縁体の下方に、電極の電気的接続を実現することができる。同様に、電気的接続は、隣接する電極の下方、またはさらに、隣接する電極に対して近位に配置することができる。そうすることで、器具のどの部分も、アブレーション器具の外輪郭(伸びた状態では円筒状である)を越えて突出せず、器具が小さい曲げ半径で大きく角度が付けられている場合も、実際に突出しないことが達成される。電極は、器具の剛性箇所を形成せず、すなわち、可撓性を実質的に低下させない。器具の電極領域を曲げている間、電極のいずれの部分も、器具の他の部分も、外方に押し出されることはなく、特に、末端巻線も外方に押し出されない。
【0010】
可撓性を有するホース部は、内部ホースと、内部ホース上に配置されたコーティングとを含むことが好ましい。例えば、内部ホースは、プラスチックPEEKからなることができる。内部ホースは、コーティングが除去されている領域で1以上の電極を支持し、電極への電流供給を遮断しない。むしろ、内部ホースは、途切れのないように(すなわち、壁を貫通する開口部を有することなく)構成されている。各電極の電流供給ラインは、コーティングと内部ホースとの間に配置することができる。この目的のために、コーティングと内部ホースとの間にギャップを設けることができる。例えば、コーティングは、プラスチックPAからなり得る。さらに、プラスチックには、滑り剤を施すことができる。これにより、内部ホースとコーティングとの間の相対的な縦方向の動きが可能になり得る。さらに、滑り剤によって、内視鏡のワーキングチャネルに器具を挿入しやすくすることができる。
【0011】
内部ホースは、電極の延長部と、延長部を電気ラインに接続する接続手段とを配置するために、断面が他の円形断面からずれている領域を含むことができる。この目的のために、内部ホースは、少なくとも1つの位置に凹部を含むことができ、凹部は、径方向内方に凹んでおり、例えば、縦方向に延在するトラフを形成する。トラフは、エンボス加工処理によって、それぞれのホース領域で凹ませることができる。
【0012】
2つの電極が縦方向距離をおいて存在する場合、それらの間に絶縁体を配置することができる。絶縁体は、少なくとも一方の面側に、好ましくは両方の面側に、らせん線に沿った面を有することが好ましい。そうすることで、らせん形状の電極のそれぞれの最終巻線は、絶縁体の面側にギャップなく当接することが可能になり、その結果、電極と絶縁体との間の均質かつエッジフリーの移行が保証される。これにより、内視鏡などのようなそれぞれのアクセス提供システムへの器具の最適な挿入動作が得られる。器具は、簡単にワーキングチャネルに挿入することができ、どこにも引っかかることなく、ワーキングチャネル内を摺動することができる。
【0013】
さらに、絶縁体は、巻線セクションから始まる延長部が、鋭角に曲がることなく、内部ホースに形成されたトラフ内に突出することができるように、電極の延長部を中に配置するためのキャビティを有することができる。これにより、さらに、そうでなければ延長部と、例えば圧着バレルによって形成された、ラインへの電気的接続とにより増加し得たであろう器具の曲げ抵抗が減少する。圧着バレルは、電極に隣接して、またはさらに、より大きい軸方向距離をおいて電極の近位に配置することができる。絶縁体にキャビティが形成されているため、延長部および巻線セクションが径方向にわずかに動くことができ、これは、器具の可撓性に有益である。
【0014】
さらに、絶縁体は、接着剤リザーバとして働く追加キャビティを含むことができる。接着剤は、絶縁体および/または電極を内部ホース上に固定する働きをすることができる。
【0015】
本発明の有利な実施の形態のさらなる詳細は、従属請求項、図面または明細書からもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、概略的に示した供給装置に接続されている本発明に係るアブレーション器具の斜視概観図である。
図2図2は、アブレーション器具の遠位端の、正確な縮尺ではない縦切断概略図である。
図3図3は、図2による器具のIII-III線に沿って切断された断面図である。
図4図4は、図2による器具のIV-IV線に沿って切断された断面図である。
図5図5は、図1および図2による器具における電極の、正確な縮尺ではない正面図である。
図6図6は、2つの電極と、それらの間に配置された絶縁体とを有する図1による器具の断面図である。
図7図7は、圧着バレルによって形成された、電極の延長部と電気ラインとの電気的接続の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、特に肺の組織の処置に、しかしながら一般には他の組織タイプの処置にも提供され、適している高周波アブレーション器具の形態の器具10が示されている。器具10は、通常、内視鏡を通って肺の気管支樹に挿入され、続いて、そこから処置を必要とする組織に正確に穿刺される。それぞれの内視鏡および処置される患者は、図1に示されていない。器具10は、図1に概略的にのみ示された供給装置11または供給装置システムに接続されている。供給装置11または供給装置システムは、冷却流体と、組織の処置用の電流とを器具に供給する働きをする。
【0018】
器具10は、ホース部12を備え、その構成は、図2図4から特に明らかである。内部ホース13と、内部ホース13上に配置されたコーティング14とは、ホース部12の一部である。内部ホース13およびコーティング14は、それぞれプラスチック、好ましくは異なるプラスチックからなる。内部ホースは、塑性変形可能なプラスチック、例えば、エンボス加工によって溝、凹部などのような構造を形成することができるPEEKからなることが好ましい。コーティングは、摺動性プラスチック、例えばPAからなることが好ましい。さらに、コーティングには、滑り剤を施すことができる。
【0019】
管腔17が、内部ホースの近位端15(図1)から遠位端16まで貫通して延在する。牽引ワイヤ18が、管腔17を貫通して延在し、牽引ワイヤ18の遠位端は、一方端で管腔17を閉じる閉鎖部分19に連結されている。牽引ワイヤ18は、物質結合、特に接着結合または溶接によって、閉鎖部分19に連結することができる。
【0020】
閉鎖部分19は、遠位側に丸みを帯びたヘッドと、内部ホース13内に延在するシャンクとを有することができる。閉鎖部分19は、プラスチック、セラミックまたは金属からなることができ、器具10の遠位端を形成する。閉鎖部分19は、また、複数の部分、例えば、電極として働き得るであろう1以上の金属部分が中に配置された絶縁体からなることもできる。牽引ワイヤ18を介して電流が供給され得る可能性のあるこの電極によって、器具を組織に穿刺し易くなる。あるいは、閉鎖部分は、外側に絶縁コーティングが設けられている巨大金属部分として構成することができる。遠位端の覆われていない箇所は、電極として働くことができ、それらに、例えば牽引ワイヤ18を介して電流が供給される場合、アブレーション器具を組織に穿刺し易くなる。
【0021】
牽引ワイヤは、引張強度を有する金属、例えばニチノールからなることができる。牽引ワイヤは、器具10を組織から確実に引き抜くことができるように、引張力を器具10に伝達する働きをする。牽引ワイヤ18は、カバー部分19が電極としてさらに電気的機能を提供する場合、同時に電気ラインとして働くことができる。さらに、例えばニチノールからなる、好ましくはばね剛性を有する牽引ワイヤ18は、アブレーション器具10の寸法安定性を助ける。特に、アブレーション器具を小さい曲げ半径で曲げた後、アブレーション器具は、変形したままではなく、伸びた形状に自動的に戻る。
【0022】
管腔17の内部には、供給ホース20がさらに配置され、供給ホース20は、近位端15から遠位端16まで、そして遠位端16内に延在することができ、器具10の遠位端16に冷却流体を供給する働きをする。供給ホースは、また、1以上の開口部を含むことができ、その開口部を介して、冷却流体を器具10の遠位端16に正確に放出することができる。その後、冷却流体は、管腔を介して装置11に戻すことができる。
【0023】
内部ホース13上には、好ましくは、コーティングが除去されている遠位端16のセクションにおいて、処置対象の組織に電流を供給する働きをする少なくとも1つの第1電極21が配置されている。任意選択で、第1電極に対して遠位方向距離をおいて、内部ホース13上に追加電極22を設けることができ、追加電極22は、第1電極21と同一に構成できることが好ましい。よって、第1電極21の以下の説明は、具体的に言及しなくても、電極22にも対応して適用される。そのような追加の電極は、必要に応じて設けることができる。
【0024】
電極21は、らせん線に沿って形成された導電体によって形成されている。電極21は、例えばステンレス鋼からなる、ばね弾性ワイヤ、らせんスリット付きスリーブなどによって形成することができ、また、必要に応じてコーティング、例えば銀または金コーティングを施すことができる。例えば、電極21は、複数の巻線23、24、25を有するらせんばねの形状を有することができる。電極21を電気的に接続するために、電極21の近位巻線であることが好ましい最終巻線25は、器具10の略縦方向に延在する延長部26に移行する。器具10の縦方向は、図2において鎖点線Lで示されている。この鎖点線Lは、同時に、巻線23、24、25が沿うらせん線の中心軸である。同時に、縦軸Lは、器具10の(遠位から近位への)縦方向、したがって、さらにはホース部12、ひいては内部ホース13およびコーティング14の縦方向を示す。
【0025】
好ましくは縦方向Lと平行に(または、縦方向に対して鋭角に)配置された延長部26と、らせん線に沿った巻線25との間に、巻線セクション27が設けられ、巻線セクション27は、周方向に延在しつつ、径方向内方に曲がっている巻線25の延長上にある。図3および図5では、明確にするために、このことがやや極端に示されている。巻線23、24、25は、一定の半径Rを有しているが、巻線セクション27のそれぞれの領域と、中心線Lとの距離は、半径Rにほぼ相当する大きい距離A1から、より小さい距離A2、およびさらに小さい距離A3まで減少している。巻線セクション27は、電極のセクションの一部に沿って、好ましくは少なくとも10度以上にわたって延在する。
【0026】
少なくとも延長部26の範囲において、内部ホース13は、電極21の電気的接続が中に配置される、内方に変形したトラフセクションを含む。この接続は、適切な接続手段、例えば圧着バレル29によって形成されている。圧着バレル29は、図7に示されるように、一端部には延長部26が、他端部には電気ライン30が挿入されている、小さい導電性チューブである。圧着バレルは、略縦方向Lに延在する。圧着バレルは、ライン30または延長部26の剛性よりも大きい剛性を有することができる。
【0027】
電気ライン30は、圧着バレル29から器具10の近位端15まで延在し、近位端15にて、図示されていないジェネレータと電気的に接続されている。これにより、ライン30は、コーティング14と内部ホース13とのギャップ内に位置する。複数の電極21、22が存在する場合、そのようなライン30が複数、対応して設けられる。例えば、ライン30は、エナメル線、例えば銅エナメル線、銀エナメル線、または他の適切な線として構成することができる。圧着バレル29は、例えば、収縮ホースによって外側を絶縁することができる。
【0028】
図2に示されたように、第2電極22の圧着バレル29aは、電極21の下方に横になった姿勢でトラフ28内部に延在してもよい。電気的短絡は、圧着スリーブ29aのそれぞれの絶縁によって有効に避けられる。トラフ28は、圧着バレル29aが、トラフ内部において動きの自由度をある程度有するように、圧着バレル29aの外径よりも長い径方向深さを有することができる。あるいは、圧着バレル29aは、また、延長部26aが対応する長さで構成されるならば、トラフ28内部において、第1電極21と比べて近位側に位置決めすることができる。圧着バレル29、29aおよび延長部26、26aには、適切な絶縁材、例えば収縮ホースが設けられている。
【0029】
2つの電極21、22間に絶縁体31を設けることができ、絶縁体31は、例えば、剛性またはさらに可撓性を有するプラスチックからなることができる。絶縁体は、図6に示されるように、それぞれの電極21、22の輪郭に適応した形状を有する面32、33を有することができる。したがって、面32、33は、2つの電極21、22の巻線の傾きに沿っている。そうすることで、絶縁体31と電極22との間と全く同様に、電極21と絶縁体31との間の段差におけるオープンギャップの形成が避けられる。さらに、絶縁体31は、面33から遠ざかるように延在し、かつ、延長部26を中に配置するキャビティ34を有することができる。そうすることにより、絶縁体が、延長部26を径方向内方に、ひいては、延長部26の反対側に位置している隣接する巻線の一部を径方向外方に押圧することが避けられる。さらに、器具10の可撓性は、この領域で向上する。キャビティ34は、圧着バレル29aの剛性が器具に伝達されないように、圧着バレル29aに接続された延長部26に、径方向の動きの自由度を与えることができる。
【0030】
絶縁体31および/または電極21を内部ホース13上に固定するために、面32から始まる追加キャビティ35を、接着剤リザーバとして使用することができる。
【0031】
器具は、第1電極21およびコーティング14の前にセンタリング体36を備えることができる。このセンタリング体36は、その面が、図6による絶縁体31の面33に対応するように、電極21に対向するよう構成することができる。センタリング体36は、電極21と反対に面する側に、コーティングに隣接する環状平面を有し得る。センタリング体36は、内部ホース13とコーティング14との間の規定された環状ギャップを保証する穴あき金属リングとして構成することができる。
【0032】
同様に、閉鎖部分19と第2電極22との間に絶縁体37を配置することができ、それによって、絶縁体37は、少なくとも1つの環状平面で閉鎖部分19に当接する。絶縁体37は、電極22に対向するその面が、図6による絶縁体31の面32に対応するように構成することができる。
【0033】
これまで説明した器具10は、以下のように動作する。
【0034】
医療用途において、器具10は、患者に内視鏡的に挿入され、遠位端16は、電極21が組織に接触するように処置対象の組織に穿刺される。器具10は、2つの電極21、22を備える場合、両方の電極21、22が組織に接触するように穿刺される。その後、装置11は、電極21、22の一方または両方に電流を供給し、電流は、アブレーションされる組織を流れる。同時に、電極21、22を冷却するために、冷却流体が供給ホース20を介して器具10の遠位端16に供給される。使用された冷却流体は、管腔17を通って装置11に戻る。
【0035】
器具10は、極めて高い可撓性を有して構成されている。器具10は、患者に内視鏡的に挿入されている間、小さい曲げ半径に追従することができる。これにより、器具10は、特に、電極21、22が変形した状態でも、それによって個々の巻線を器具10の円形外輪郭を越えるように押圧することなく、遠位端16の領域内で曲がり得る。圧着バレル29aの剛性は、器具10、特にホース部12から、すなわち所望の曲げ半径の観点において、ほぼ切り離されている。そうすることで、不都合に位置している腫瘍または処置の必要な他の組織にも、上手く到達することができる。さらに、提示した概念では、2mm未満の外径を有する器具を提供することができ、それによって、器具10を非常に深く挿入し、また、狭い構造に挿入することができる。さらに、内部ホース13は、途切れることなく構成されている。電気ライン30は、内部ホース13内のどこにも通っていない。むしろ、電気ライン30は、内部ホース13とコーティング14とのギャップ内に案内されている。これにより、曲げ荷重がかかる領域にシール箇所が存在しないため、漏れに対する安全性が高まる。また、それによって、器具10は、誤動作に対する信頼性がある。本発明に係る器具10は、高度の患者安全性を有する。
【0036】
本発明に係るアブレーション器具10は、らせんばねのタイプで構成されている少なくとも1つ、好ましくは複数の電極21、22であって、電気的接続のために設けられたそれぞれの端部が軸方向の延長部として構成されている電極21、22を特徴としている。電極21、22は、支持部として働く内部ホース13上に配置され、延長部は、電極の巻線よりも、縦軸までの距離が小さいところに配置されている。それぞれの延長部26とそれぞれの巻線25との間に巻線セクション27が構成され、巻線セクション27に沿って、縦中心軸への距離が半径Rからより低い値に減少し、その結果、延長部26は、巻線23、24、25に対して内方に、すなわち中心軸Lに、より近接して配置されている。この延長部の収容および関連する電気的接続のために、内部ホース13は、トラフ28を含む。全体として、信頼性および可撓性を有すると同時にロバストの構成が得られる。
【符号の説明】
【0037】
10 器具
11 装置
12 ホース部
13 内部ホース
14 コーティング
15 近位端
16 遠位端
17 管腔
18 牽引ワイヤ
19 閉鎖部分
20 供給ホース
21 第1電極
22 追加電極
23~25 巻線
L 縦方向
M 中心線/中心軸
26 延長部
27 巻線セクション
28 トラフセクション
29 圧着バレル
30 ライン
31 絶縁体
32、33 面
34、35 キャビティ
36 センタリング体
37 絶縁体
38 出口開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7