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特開2024-55804遠位カッティング電極を備えたプローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055804
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】遠位カッティング電極を備えたプローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023171331
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】22200337
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】アドラー・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】カルヒャー・フェリクス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK27
4C160KK36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来のアブレーションプローブに対してより改良されたプローブを提供する。
【解決手段】本発明に係るプローブは、その遠位端部にカッティング電極(34)を備え、カッティング電極(34)は、プローブの末端部分(17)上に形成されている。末端部分(17)から、ワイヤ(28)がプローブを貫通して全長にわたって延在する。ワイヤ(28)は、末端部分(17)への電流供給の働きをすることができる。本発明によれば、カッティング電極(34)は、接合部位(39)を含み、その接合部位(39)から、電極面(37、38)が少なくとも3方向に遠ざかるように延在する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HFアブレーション用のプローブ(10)であって、
可撓性を有するホース(11)を備え、前記ホース(11)は、遠位端部(13)に、カッティング電極(34)を有する導電性の末端部分(17)を含み、前記末端部分(17)は、絶縁体(35)に取り囲まれており、帯状の遠位電極面(37、38)は、前記絶縁体(35)によって覆われていない状態になっている
プローブ。
【請求項2】
前記末端部分(17)は、金属からなる
請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記遠位電極面(37、38)は、接合部位(39)を含み、前記接合部位(39)から少なくとも3つの異なる方向に遠ざかるように延在する
請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記遠位電極面(37、38)は、ピラミッド形状、円錐形状、楕円形状、またはボール形状に沿って配置されている
請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記末端部分(17)は、3以上の羽根を有するように構成されている
請求項1~4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項6】
前記末端部分(17)は、中心軸(M)から遠ざかるように延在する複数の羽根(F1、F2、F3)を含む
請求項5に記載のプローブ。
【請求項7】
前記末端部分(17)は、絶縁体(35)と、遠位端面において覆われていない金属体(36)とからなる
請求項1、3または4に記載のプローブ。
【請求項8】
前記絶縁体(35)は、前記金属体(36)のコーティングで形成されている
請求項7に記載のプローブ。
【請求項9】
前記末端部分(17)は、前記管腔(18)を貫通して延在するワイヤ(28)に接続されている
請求項1~4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項10】
前記末端部分(17)は、カッティング電流源(14)に接続可能に構成されている
請求項1~4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項11】
前記ホース(11)に、または前記ホース(11)上に、少なくとも1つの電極(15)が配置されている
請求項1~4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項12】
前記電極(15)は、アブレーション電圧源(14)に接続可能である
請求項11に記載のプローブ。
【請求項13】
前記電極(15)は、前記カッティング電極(34)から生じる電流を受けるために接続可能である
請求項11に記載のプローブ。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか1項に記載のプローブを腫瘍に挿入する方法であって、
処置を必要とする領域、例えば腫瘍を有する組織に前記プローブ(10)を挿入し、前記末端部分(17)にカッティング電圧を電圧供給するステップと、
前記腫瘍に穿刺し、前記処置を必要とする組織内に少なくとも1つの電極(15)を位置決めするか、または、健康な組織に達するまで前記カッティング電極(34)を前記腫瘍に刺入し、前記処置を必要とする組織内に少なくとも1つの電極(15)を位置決めするステップとを含む
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に生体組織のHFアブレーション用の、プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
HFアブレーション用プローブは、例えば、組織切片の失活化、例えば組織(例えば肺または肝臓)に入り込んだ腫瘍などの失活化の働きをする。
【0003】
特許文献1、特許文献2および特許文献3にはそれぞれ、発電機の出力部に接続される電極がホース状本体上に保持された、指示された構成のアブレーションプローブが開示されている。それらの電極は、アブレーションプローブが組織に穿刺される場合、電流を印加することによって組織を加熱する働きをする。電極に直接接触している組織が乾燥によりオーム抵抗が大きくならず、湿ったまま、ひいてはオーム抵抗が小さいままであるように、電極は冷却される。この目的のために、そのようなアブレーション電極のホースの管腔(ルーメン)内に流体毛細管が配置され、その流体毛細管を介して、冷却流体が流出し、電極を冷却する。
【0004】
生体組織へのプローブの穿刺は、特に腫瘍処置の場合には、重大な作業である。特に、通過しにくい、被包化された腫瘍または上流に位置する構造体への刺入が可能にならなければならない。さらに、加える力が大きいと、腫瘍を貫通する可能性があるため、大きい力を加えない制御された穿刺を可能にしなければならない。そのような貫通は、下流の構造体の損傷または腫瘍細胞のキャリーオーバーを引き起こすであろう。腫瘍を貫通した場合、腫瘍細胞が健康な組織に運び込まれ得ることも避けなければならない。
【0005】
特許文献4から、遠位端部の外側にブラケット形状の電極が設けられた生検器具が知られている。その電極は、電流供給部に接続され、作動する場合、組織を切開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3788974号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1181896号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0010201号明細書
【特許文献4】米国特許第6454727号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それらを起点とし、本発明の目的は、改良されたプローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載のプローブによって達成される。
【0009】
本プローブは、可撓性を有するホースを備え、そのホース上に、2以上の電極がホースの軸方向に互いに距離をおいて配置され得る。そのため、そのような電極は、ホースの全周、および、(遠位端部と近位端部との間で測定される)軸方向長さにわたって延在できることが好ましい。電極は、きつい側面湾曲に追従できるように可撓性を有することが好ましい。この目的のために、電極は、らせんばねのタイプで構成することができる。
【0010】
電極は、それぞれの電極からホースの近位端部まで延在し、かつ、その近位端部で適切な接続手段によって供給ジェネレータに接続可能な電気ラインに接続されている。供給ジェネレータは、高周波交流電圧を供給し、ひいては高周波電流を出力するように構成されていることが好ましい。
【0011】
ホースは、ホースの近位端部から遠位端部まで延在し、かつ遠位端部で閉じられている管腔を取り囲んでいる。遠位端部には、ホースと強固に接続され、かつホースの管腔を閉じることができる末端部分が設けられている。管腔内部には、ホースの近位端部から電極まで遠位方向に延在する流体供給ラインが配置されている。近位端部において、流体供給ラインには、例えば供給装置内に配置されている極低温流体源に接続するために、適切な接続デバイスを設けることができる。したがって、供給装置は、極低温流体源と、電極に電流を供給するためのジェネレータとを1つの装置内に含むことができる。また、分離された構成も可能である。そのような別個の装置を、適切なインタフェース、例えばBUSによって接続し、装置システムを形成することができる。
【0012】
電極を支持するホースを閉じるための末端部分は、例えばプラスチックもしくはセラミックなどの絶縁材料、またはさらに金属からなり得る。特に、末端部分はまた、電気絶縁材料と導電材料との組合せからもなり得る。末端部分の導電領域は、例えば、生体組織へのプローブの穿刺を助けるために、電極として使用することができる。特に、末端部分は、カッティング電極として働く延長部を含み、延長部は、絶縁体によって取り囲まれており、帯状の遠位端面は、覆われていない状態になっている。覆われていない端面は、絶縁体からわずかにだけ突出しているか、または突出していないことが好ましい。そのように形成されたカッティング電極により、生体組織へのプローブの穿刺が助けられ、組織の横方向の損傷が低く抑えられる。特に、それにより、その後のアブレーションに悪影響を及ぼすことなく、組織を貫通することが可能になる。また、アブレーションされる組織のインピーダンスの増加をもたらすであろう、刺入位置周りの過剰に大きい凝固ゾーンの形成を避けることができる。特に、それによって、悪性組織が健康な組織内にキャリーオーバーされ、または刺入中に加えられた力によって意図せず健康な組織を損傷させることなく、悪性組織または硬組織構造を貫通することが可能になる。
【0013】
本発明に係るプローブの遠位カッティング電極は、さらに、組織、特にコンパクトな腫瘍組織への刺入中における機械抵抗を低減する。カッティング電極は、容易に組織内に入ることができるように、穿刺中、その前に位置する組織を失活させ、切開することができる。そうすることで、カッティング電極なしで機械的のみの刺入と比較して、加えなければならないスラスト力が著しく低くなるため、ここではプローブを特に可撓性を有するように構成することが可能である。これにより、アブレーション電極のさらなる小型化が容易になり、すなわち、直径が特に小さいプローブを実現することができる。さらに、非常に小さい曲げ半径を得ることができ、それにより、適用の範囲および処置の可能性が広がる。
【0014】
末端部分は、末端部分からプローブの管腔を貫通して当該プローブの近位端部まで延在し、かつ、その近位端部で固定されている抗張力ワイヤに接続されていることが好ましい。そのワイヤは、患者、特に患者の組織からプローブを取り外している間、引張力を支持する働きをする。ワイヤは、いずれの場合も、例えばアブレーション電極が組織に付着することによる処置問題の場合にも、プローブを確実に取り出すことができるようにホースに引張力がかからないようにする。その牽引ワイヤは、外力、例えばアクセスシステムの曲げによって引き起こされる変形の後の復元力が高いことが好ましい。
【0015】
プローブの末端部分は、導電セラミック、または、例えばステンレス鋼もしくは硬質金属などの金属からなり得る。末端部分には、コーティング、例えば銀コーティングを、全体に、またはさらに延長部の領域のみに、またはさらにカッティング電極として働く端面のみに施すことができる。そうすることで、切開特性に良い影響を及ぼす可能性がある。
【0016】
プローブの遠位端面は、接合部位を含むことができ、その接合部位から、複数のセクションが延在する。その接合部位は、軸を中心として配置することができる。切開効果を有する帯状領域は、この方法で組織内にチャネルを開き、プローブは、そのチャネルを容易に、かつ、組織のキャリーオーバーもなく通り抜けることができる。
【0017】
本発明に係るプローブにおいて、それらのセクションは、ピラミッド形状、円錐形状、楕円形状、または球形状に沿って配置することができる。カッティング電極による切開によって開かれた組織チャネルは、この方法で容易に広げることができる。このことは、プローブの延長部が3以上の羽根を有して構成される場合、特に当てはまる。この目的のために、延長部は、中心軸から径方向に遠ざかるように延在することが好ましい複数の羽根を含むことができる。
【0018】
プローブの末端部分は、絶縁体と、遠位端面において覆われていない金属体とからなり得る。しかしながら、絶縁体が、金属体のコーティングで形成されることも可能である。それにより、コーティングは、セラミックまたはプラスチックからなる非導電性コーティングにすることができ、当該コーティングは、末端部分の遠位面の一部を覆うが、覆われた部分間の、カッティング電極を形成するセクションは覆わない。
【0019】
プローブの末端部分は、カッティング電流源に接続可能に構成することができる。さらに、ホースに、またはホース上に、1以上の電極を配置することができる。これらの電極の少なくとも1つは、アブレーション電圧源に接続可能にすることができ、この方法で、カッティング電極から生じる電流用のリターン電極(中性電極)として働くことができる。しかしながら、患者に取り付けられた幅広い電極を、中性電極として別の位置で使用することも可能である。
【0020】
腫瘍または他の組織にプローブを挿入する方法は、処置を必要とする領域、例えば腫瘍を有する組織にプローブが穿刺される本発明の一部である。穿刺中、末端部分にはカッティング電圧が印加される。これによって、組織、特により硬い組織への刺入が簡単になる。それにより、プローブは、形成された刺入チャネルに沿った組織のキャリーオーバーを心配する必要なく、感度良く位置決めすることができる。
【0021】
処置を行った後、プローブは、腫瘍のアブレーション後に刺入チャネルを通って引き抜かれる。腫瘍細胞のキャリーオーバーを避けるために、先端電極および/またはアブレーション電極には、特別なモードで電流が供給されることを規定することができる。そうすることで、刺入チャネルを取り囲む組織を、アブレーション後に凝固させることができる。
【0022】
本発明の有利な実施の形態のさらなる詳細は、従属請求項の主題である。図面には、本発明の実施の形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、供給装置に接続された本発明に係るプローブの斜視原理図である。
図2図2は、縦方向に切断されたプローブの遠位端部における管腔内の図である。
図3図3は、図1または図2によるプローブの末端部分の斜視分解図である。
図4図4は、図3による末端部分の部分斜視図である。
図5図5は、絶縁体を有する図3による末端部分の切断側面図である。
図6図6は、絶縁体の異なる変形例の斜視図である。
図7図7は、絶縁体の異なる変形例の斜視図である。
図8図8は、カッティング電極と、絶縁材料を配置するためのポケット部とを有する末端部分の斜視図である。
図9図9は、プローブ無しの穿刺孔を有する生体組織の図である。
図10図10は、プローブ有りの穿刺孔を有する生体組織の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、例えば腫瘍または他の組織(例えば肺腫瘍)の失活化のための、内視鏡用途に使用可能であるが、他の目的にも使用可能であるようなプローブ10を示す。プローブ10は、プローブ10の近位端部12から遠位端部13まで延在する、可撓性を有する長尺のホース11を備える。近位端部12には、プローブ10を供給装置14に接続するために、1以上のプラグまたは別の適切な接続デバイスが設けられている。
【0025】
ホース11は、適切な生体適合性プラスチック、例えばPE/PET、PEEKなどから作られている可撓性プラスチックホースであることが好ましい。ホース11の長さは、数メートルにすることができるが、直径は、1mm~3mmの範囲内にあることが好ましい。用途に応じて他の寸法も可能であり、用途によっては他の寸法が都合がよい。
【0026】
プローブ10の遠位端部13は、軸方向Aに互いに離れている1以上の電極15、16を含むことができる。電極15と、必要に応じて設けることができる少なくとも1つの追加電極16とは、組織アブレーションの働きをすることができる。
【0027】
ホース11には、さらに、その遠位端部に、図2から明らかな内部管腔18を遠位側で閉じる末端部分17が設けられている。
【0028】
ホース11は、この管腔18を取り囲んでおり、それによって、ギャップも途切れもなく構成されていることが好ましい。電極15、16は、ホース11に形成されたトラフ19の領域のホース11上に配置されている。電極15、16の接続部20、21は、トラフ19内に配置されている。接続部20、21から、電気ライン22、23が、ホース11に沿って外側に近位方向に端部12まで延在する。その端部12において、電気ライン22、23は、装置14用のプラグまたは別の接続デバイスに接続されている。
【0029】
ライン22、23は、ホース11と、非常に可撓性を有する摺動性プラスチックから形成されていることが好ましいカバーホース24との間のギャップを貫通して延在する。電極15、16間には、スリーブ形状の絶縁体25を配置することができる。さらに、遠位電極15と末端部分17との間に、別の絶縁体を配置することができる。
【0030】
末端部分17は、その遠位外面が丸みを帯びていることが好ましい。例えば、末端部分17は、半球状に構成することができる。半球ヘッドから、シャンク27が管腔内に延在し、それにより、シャンク27は、形状嵌合によって、および/または、接着剤もしくは他の適切な取付手段によって、ホース11に固定されている。さらに、末端部分17は、引張力を近位端部から遠位端部13上に確実に伝達するために、末端部分から、例えばプローブ10の近位端部12に配置されたプローブ10の力伝達部まで延在するワイヤ28に接続されていることが好ましい。プローブ10の力伝達部は、また、プローブ10の長さの途中に配置することもできる。
【0031】
管腔18内部には、細いプラスチックホースとして構成できるが、必要に応じて金属毛細管としても構成できる流体供給ライン29を配置することができる。流体供給ライン29は、その遠位端部30または1以上の側面開口部31、32で冷却流体を放出する働きをする。流体供給ラインの遠位端部は、それに応じて、開けておくか、または、例えば接着剤もしくはストッパによって、閉じておくことができる。流体は、電極15、16を冷却し、その後、管腔18を通って装置14に流れ戻る。流体は、装置14もしくはプローブ10の近位端部12で環境中に放出することができ、または、回収およびリサイクルすることもできる。
【0032】
電極15、16に対する開口部31、32の十分に正確な軸方向相対位置を保証するために、流体供給ライン29は、その遠位端部で軸方向に固定することができる。この目的のために、流体供給ライン29は、例えば収縮ホース33、クランプなどによって、ワイヤ28に接続することができる。ワイヤは、ばね鋼、または、ニチノールなどの、好ましくは変形後の回復傾向が高い、特に引張抵抗を有する別の材料から作ることができる。また、プラスチックワイヤを使用することも可能である。あるいは、牽引ワイヤ28は、中空に構成し、流体供給ライン29として働くことができる。図5に示すように、末端部分17は、引張抵抗を有する方法で、例えば、溶接され、圧接され、かつ/または接着接続されて、牽引ワイヤ28に接続されている。特に、その接続部は、導電性を有する。
【0033】
末端部分17は、図3および図4それぞれから明らかである。末端部分17は、カッティング電極34を形成し、この目的のために、例えば金属体36として、炭化タングステンまたはさらに導電性セラミックからなる硬質金属体として、導電材料から完全に作ることができる。末端部分17は、中心軸Mから、好ましくは径方向外方に延在する複数(少なくとも3つ)の羽根F1、F2、F3を含むことができ、それらの羽根F1、F2、F3上に、カッティング電極34が形成されている。
【0034】
図3および図4に示すように、末端部分17には絶縁体35を割り当てることができ、その絶縁体は、末端部分17のうちのカッティング電極として働かない領域を外部まで覆い、ひいては絶縁する。絶縁体は、羽根F1、F2、F3を保持することができる。
【0035】
金属体36は、その丸みを帯びた端面(例えば、羽根F1、F2、F3)に、絶縁体35のそれぞれの開口部を貫通して延在し、かつカッティング電極34を形成する電極面37、38を有する。カッティング電極34は、絶縁体35を越えてわずかに遠位側に突出することもできる。例えば、金属体36は、それによって、図3に示すように、その遠位端部で十字形にすることができる。しかしながら、この場合、電極面37、38は、閉鎖部分17の遠位端部のほぼ球状の湾曲に沿って、中央接合部位39から径方向に分岐している。接合部位39から延在する電極セクションが互いに90°の角度をなしている、4つの羽根を有する電極構造体が得られる。したがって、電極面37、38は、接合部位39から4つの異なる方向に分岐している。しかしながら、電極面が接合部位39から3つの方向に(径方向)外方に分岐するように、電極面間の角度が120°の3つの羽根を有する電極構造体を設けることもできる。また、5以上の羽根を有する構造体を選択することもでき、それによって、電極面は、接合部位39から5以上の方向に(径方向)外方に分岐する。
【0036】
絶縁体35は、プラスチック、特に高温およびクリープ電流に強いプラスチック、または、セラミックから作られていることが好ましい。絶縁体35は、電極面37、38の形状に適合した開口部を有し、その開口部の縁部が電極面に隣接している。絶縁体35は、図3に示すように別個の部分として構成することができ、または、代替的に、単一の共通部分を形成するように絶縁体26と共に一体的に構成することもできる。
【0037】
絶縁体26、35のそのような変形例を図6および図7に示す。図6は、スリーブ形状の絶縁体26の王冠状の延長部として描かれている絶縁体35を示す。絶縁体26をホース11の遠位端部に適用した後、図6に示した絶縁体35の4つの部分を、絶縁体35が図7による形状をとるように径方向内方に変形させることができる。しかしながら、絶縁体26、35を取り囲んでいる本体も、プローブに取り付けられる前に図7に示した形状を有することができ、末端部分17をホース11の端部に挿入した後に、本体をこの形状でホース11の遠位端部に配置することができる。
【0038】
さらに、末端部分17のそれぞれ形作られた凹部またはポケット部41に配置されているインレーまたはコーティング40を絶縁することによって、絶縁体35を構成することが可能である。図8は、これらのポケット部41が金属の裸電極面37、38間に形成されているような末端部分17を示す。インレーまたはコーティングは、プラスチック、セラミック、ガラス、または別の非導電体からなり得る。次に、電極面37、38は、図示するように4つの羽根を有する電極を形成することができるが、あるいは、3つ、5つまたはそれ以上の羽根を有する電極を形成することもできる。しかしながら、3つまたは4つの羽根の変形例が、最良の実施の形態であると考えられる。
【0039】
引張力を支持する牽引ワイヤ28には、装置14から電圧および電流を供給するために、近位端部12に電気的接続デバイスを設けることができる。そうすることで、金属インレー36の電極面37、38は、例えば生体組織へのプローブ10の刺入中、カッティング電極として有効になる。
【0040】
これまで説明したプローブ10は、以下のように動作する。
【0041】
プローブ10は、単独で、または、それぞれのアクセス器具、例えば内視鏡を介して、もしくは肺腫瘍のアブレーションの場合には気管支鏡を介して、患者の気管支樹に挿入される。その後、プローブ10は、内視鏡から、処置を必要とする組織、例えば肺腫瘍に向かって遠位方向にさらに動かされ、当該組織に穿刺される。この目的のために、電極面37、38によって形成されたカッティング電極には、組織切開を達成するのに十分な量の電圧が供給される。電極面37、38は、まず、図9に概略的に示すように、生体組織42に、凝固境界部44を有する十字形切開部43を形成する。プローブ10の前進中、十字形切開部は、プローブ10によって広げられ、それにより、プローブは、凝固境界部44の凝固面に沿って摺動する。プローブの外形が滑らかであり、切開部43が電気的に形成されるため、プローブ10を組織42に穿刺するのに、小さいスラスト力しか必要ない。したがって、プローブ10は、非常に細く、可撓性を有するように設計することができる。さらに、組織42を凝固し、凝固境界部44を形成することから、腫瘍への刺入中における穿刺方向への組織のキャリーオーバーが避けられる。
【0042】
プローブ10の穿刺後、電極15および16には、処置電圧が印加され、処置電流が供給される。同時にまたは直前/直後に、冷却流体が流体供給ライン29に供給され、その結果、開口部31、32から流出する。冷却流体、例えば二酸化炭素は、数十バール(例えば65バール)の高圧下で流体供給ラインに供給され、開口部31、32を通過して、数バール以下のより低い圧力が存在する管腔18に入る。そのため、開口部31、32は、スロットル開口部として働き、それによって、ジュール・トムソン効果により冷たさが発生する。固定された位置合わせ、すなわち、電極15、16に対する開口部31、32の軸方向位置合わせにより、冷却効果は、各電極15、16のほぼ均一な冷却が保証されるように、特に電極15、16に対して略中心に生じる。そうすることで、プローブ10の直径が、例えば2.3mm以下の非常に低い値まで縮小され、その結果、電極15、16における電流密度が高くなる場合でも、電極15、16の広範囲すぎる加熱、ひいては当接する組織の乾燥が避けられる。しかしながら、本発明による概念によって、電極冷却の改善および均一化が行われ、それによって、アブレーション処置の品質が向上する。
【0043】
プローブ10は、上述したように、アブレーションプローブとして設けることができるだけでなく、電極15、16を使用せずに例えば凍結プローブとして、または、内部冷却なしで、組織42に刺入するための、すなわち、凝固境界部43が設けられたチャネルを形成するための電気針として、設けることもできることに留意しなければならない。
【0044】
本発明に係るプローブ10は、その遠位端部にカッティング電極34を備え、カッティング電極34は、プローブ10の末端部分17上に形成されている。末端部分17から、ワイヤ28がプローブ10を貫通して全長にわたって延在する。ワイヤ28は、末端部分17への電流供給の働きをすることができる。本発明によれば、カッティング電極34は、接合部位39を含み、その接合部位39から、電極面37、38が少なくとも3方向に遠ざかるように延在する。
【符号の説明】
【0045】
10 プローブ
11 ホース
12 プローブ10の近位端部
13 プローブ10と、ホース11との遠位端部
14 装置/装置群、カッティング電流源、アブレーション電圧源、冷却流体源
15 第1電極
16 第2電極
17 末端部分
18 ホース11の管腔
19 トラフ
20、21 電極15、16の接続部
22、23 ライン
24 カバーホース
25、26 絶縁体
27 シャンク
28 牽引ワイヤ
29 流体供給ライン
30 流体供給ラインの遠位端部
31 第1側面開口部/ノズル開口部
32 第2側面開口部/ノズル開口部
33 収縮ホース
34 カッティング電極
F1~F3 羽根
M 中心軸
35 絶縁体
36 金属体
37、38 電極面
39 接合部位
40 インレー/コーティング
41 ポケット部
42 組織
43 切開部
44 凝固境界部
図1
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【外国語明細書】
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