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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055806
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 19/00 20060101AFI20240411BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20240411BHJP
   D06M 11/05 20060101ALI20240411BHJP
   D06M 23/04 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
D06M19/00
B08B3/08 Z
D06M11/05
D06M23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171507
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2022161736
(32)【優先日】2022-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 克也
(72)【発明者】
【氏名】富田 明宏
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 真也
(72)【発明者】
【氏名】粟野 陽二郎
【テーマコード(参考)】
3B201
4L031
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201BB94
3B201BC00
3B201CC11
4L031AA06
4L031AB01
4L031BA10
4L031DA00
(57)【要約】
【課題】不純物を十分に除去でき、羽毛の保温性を向上させることができる羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法を提供する。
【解決手段】羽毛洗浄方法は、羽毛を用意する工程と、気泡発生装置20が水Wの中に微細な気泡である微細気泡Bを発生させることで、微細気泡Bを含む微細気泡水を生成する工程と、羽毛に微細気泡水を与える工程と、微細気泡水が与えられた羽毛を乾燥させる工程と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽毛を用意する工程と、
気泡発生装置が水の中に微細な気泡である微細気泡を発生させることで、前記微細気泡を含む微細気泡水を生成する工程と、
前記羽毛に前記微細気泡水を与える工程と、
前記微細気泡水が与えられた前記羽毛を乾燥させる工程と、を備える、
羽毛洗浄方法。
【請求項2】
前記乾燥させる工程の後に、前記羽毛を冷却すると共に前記羽毛から不純物を除去する工程を更に備える、
請求項1に記載の羽毛洗浄方法。
【請求項3】
前記除去する工程の後に、前記羽毛を選別する工程を更に備える、
請求項2に記載の羽毛洗浄方法。
【請求項4】
前記水は、活性水である、
請求項1又は2に記載の羽毛洗浄方法。
【請求項5】
前記微細気泡水は、軟水である、
請求項1又は2に記載の羽毛洗浄方法。
【請求項6】
羽毛を用意する工程と、
前記羽毛を洗浄する工程と、
気泡発生装置が水の中に微細な気泡である微細気泡を発生させることで、前記微細気泡を含む微細気泡水を生成する工程と、を備え、
前記羽毛を洗浄する工程では、前記羽毛に前記微細気泡水を与えて前記羽毛を洗浄する、
羽毛洗浄方法。
【請求項7】
羽毛を用意する工程と、
気泡発生装置が水の中に微細な気泡である微細気泡を発生させることで、前記微細気泡を含む微細気泡水を生成する工程と、
前記羽毛に前記微細気泡水を与える工程と、
前記微細気泡水が与えられた前記羽毛を乾燥させる工程と、
乾燥させた前記羽毛を袋体に収容する工程と、
前記袋体を縫製する工程と、を備える、
羽毛製品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特表2010-505464号公報には、洗濯機による衣類の洗浄方法が記載されている。この洗浄方法では、洗剤組成物を含む洗浄水を用いて、家庭用前面投入型洗濯機で布地を洗浄し、すすぎ及び脱水プログラムの実行を行う。当該公報には、布地のすすぎ及び脱水プログラムの作動が、手又は機械による布地の洗浄に先行されないことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010-505464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
羽毛は、非常にデリケートな素材として知られている。よって、羽毛の洗浄に際しては、羽毛から不純物及び汚れを十分に除去することに加えて、羽毛に加わる力を軽減することが求められる。しかし、特許文献1に記載された洗浄方法のように、衣類等と同様に羽毛の洗浄を行った場合、羽毛に加わる力が過大となる結果、羽毛ひいては羽毛製品の寿命が縮む可能性がある。仮に、羽毛に加わる力を軽減するために、洗浄時間の短縮、又は洗濯機のドラムの回転速度の低減等を行った場合、羽毛の洗浄が不十分となって、羽毛の洗浄において羽毛から不純物が十分に除去されない可能性がある。更に、羽毛製品の品質を向上させる観点から、羽毛の保温性を向上させることが求められる。
【0005】
本開示は、不純物を十分に除去でき、羽毛の保温性を向上させることができる羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る羽毛洗浄方法は、(1)羽毛を用意する工程と、気泡発生装置が水の中に微細な気泡である微細気泡を発生させることで、微細気泡を含む微細気泡水を生成する工程と、羽毛に微細気泡水を与える工程と、微細気泡水が与えられた羽毛を乾燥させる工程と、を備える。
【0007】
この羽毛洗浄方法では、気泡発生装置が水の中に微細気泡を発生させることで、微細気泡を含む微細気泡水が生成される。この羽毛洗浄方法では、羽毛に微細気泡水が与えられ、微細気泡水が与えられた羽毛を乾燥させる。微細気泡水が与えられた羽毛を乾燥させることにより、羽毛を膨らませることができる。この結果、羽毛の嵩高を大きくすることができるので、羽毛の保温性を向上させることができる。また、この羽毛洗浄方法では、羽毛を乾燥させる前に羽毛に与える水として微細気泡水を用いる。乾燥させる前の羽毛に微細気泡水が与えられることにより、微細気泡水に含まれる気泡が羽毛から細かい汚れ等を落とす効果を発揮する。この結果、羽毛から不純物を十分に除去することができる。
【0008】
(2)上記(1)において、羽毛洗浄方法は、乾燥させる工程の後に、羽毛を冷却すると共に羽毛から不純物を除去する工程を更に備えてもよい。この場合、乾燥させた後の羽毛を冷却するときに羽毛から不純物が除去される。よって、羽毛から不純物を一層確実に除去できる。
【0009】
(3)上記(2)において、羽毛洗浄方法は、除去する工程の後に、羽毛を選別する工程を更に備えてもよい。この場合、不純物を除去した後に羽毛を選別する工程を備えることにより、不純物が除去された羽毛の中でも、更に良質な羽毛のみを選別することができる。これにより、更に良質な羽毛が選別されるので、羽毛の保温性を一層向上させることができる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、水は、活性水であってもよい。活性水は、活性水でない水と比較して、羽毛に対する浸透力、洗浄力及び抗酸化力に優れる。よって、活性水でない水の中に微細気泡を発生させることで生成した微細気泡水を羽毛に与える場合と比較して、羽毛から不純物を一層確実に除去することができ、羽毛の寿命を延ばすことができる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれかにおいて、微細気泡水は、軟水であってもよい。軟水は、硬水と比較して、金属イオンの含有率が低いことにより羽毛に対する洗浄力に優れる。よって、硬水である微細気泡水を羽毛に与える場合と比較して、羽毛から不純物を一層確実に除去することができる。
【0012】
本開示の別の側面に係る羽毛洗浄方法は、(6)羽毛を用意する工程と、羽毛を洗浄する工程と、気泡発生装置が水の中に微細な気泡である微細気泡を発生させることで、微細気泡を含む微細気泡水を生成する工程と、を備え、羽毛を洗浄する工程では、羽毛に微細気泡水を与えて羽毛を洗浄する。
【0013】
この羽毛洗浄方法では、微細気泡を含む微細気泡水を羽毛に与えて羽毛を洗浄する。羽毛を洗浄しているときに微細気泡水に含まれる微細気泡が羽毛から細かい汚れ等を落とすことで、羽毛から不純物を十分に除去することができる。また、微細気泡水に含まれる微細気泡を用いて優しく羽毛を洗浄することができるため、微細気泡水でない水で洗浄する場合と比較して洗浄時に羽毛に加わる力を軽減できる。この結果、羽毛の寿命を延ばすことができる。
【0014】
本開示に係る羽毛製品製造方法は、(7)羽毛を用意する工程と、気泡発生装置が水の中に微細な気泡である微細気泡を発生させることで、微細気泡を含む微細気泡水を生成する工程と、羽毛に微細気泡水を与える工程と、微細気泡水が与えられた羽毛を乾燥させる工程と、乾燥させた羽毛を袋体に収容する工程と、袋体を縫製する工程と、を備える。
【0015】
この羽毛製品製造方法では、羽毛に微細気泡水を与えた後に羽毛を乾燥させることで、羽毛を膨らませることができる。この結果、嵩高が大きい羽毛が袋体に収容されて羽毛製品が製造されるので、羽毛製品の内部に収容された羽毛による保温性を向上させることができる。また、この羽毛製品製造方法では、前述した羽毛洗浄方法と同様、乾燥前に羽毛に与える水として微細気泡水を用いる。したがって、微細気泡水に含まれる微細気泡によって羽毛から細かい汚れ等を落とすことができるので、羽毛から不純物を十分に除去することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、不純物を十分に除去でき、羽毛の保温性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、本実施形態に係る羽毛を模式的に示す図である。(b)は、本実施形態に係る羽毛製品の一例である羽毛布団を模式的に示す図である。
図2】本実施形態に係る羽毛洗浄方法の各工程の例を示すフローチャートである。
図3】本実施形態に係る気泡発生装置を用いて微細気泡水を生成する様子を模式的に示す図である。
図4】本実施形態に係る羽毛洗浄方法において用いられる袋を模式的に示す斜視図である。
図5図4の袋の内部から空気を吸引している状態を示す斜視図である。
図6図4の袋を圧縮した状態を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る羽毛製品製造方法の各工程の例を示すフローチャートである。
図8図7のフレッシュアップ加工の各工程の例を示すフローチャートである。
図9】(a)は、実施例に係る羽毛洗浄方法に関する評価試験結果を示す表である。(b)は、比較例に係る羽毛洗浄方法に関する評価試験結果を示す表である。
図10】(a)は、実施例に係る羽毛洗浄方法に関する評価試験結果を示す表である。(b)は、比較例に係る羽毛洗浄方法に関する評価試験結果を示す表である。
図11】(a)は、実施例に係る羽毛洗浄方法に関する評価試験結果を示す表である。(b)は、比較例に係る羽毛洗浄方法に関する評価試験結果を示す表である。
図12】変形例に係る気泡発生装置を用いて微細気泡水を生成する様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
本開示に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法は、羽毛から羽毛製品を製造又は販売する過程で用いられる。本開示において、「羽毛製品」は、羽毛を含む製品を示しており、例えば、羽毛がカバーの内部に収容された製品を示している。「羽毛製品」は、例えば、羽毛寝具を示している。
【0020】
「羽毛寝具」は、例えば、羽毛布団(羽毛掛け布団及び羽毛敷き布団を含む)、羽根布団、羽毛枕、羽毛クッション、羽毛座布団、羽毛マットレス、羽毛ベッドパッド及び羽毛ソファを含む。「羽毛製品」は、羽毛寝具以外のものを含んでもよい。羽毛製品は、例えば、衣類(一例として羽毛ウェア又はダウンジャケット)を含んでもよい。
【0021】
「微細気泡水」は、後述する気泡発生装置により水の中に微細な気泡である微細気泡を発生させることで生成された水を言う。微細気泡水は、微細な気泡である微細気泡を含む。「微細」とは、例えば、肉眼で外形を視認できない程度に小さいことを示している。本実施形態において、「微細気泡」とは、100μm以下の大きさを有する気泡を言う。当該大きさとは、一例として、気泡径の平均である。本開示において、「水」とは、気泡発生装置が水の中に微細気泡を発生させることで生成されたものでない水を言い、微細気泡水と区別される。
【0022】
図1(a)は、本実施形態に係る羽毛を模式的に示す図である。図1(b)は、本実施形態に係る羽毛製品の一例である羽毛布団を模式的に示す図である。図1(a)及び図1(b)に示されるように、本実施形態では、羽毛製品が羽毛Fから製造される羽毛布団1である例について説明する。
【0023】
羽毛布団1は、羽毛掛け布団である。平面視における羽毛布団1の形状は、例えば、長方形状である。羽毛布団1は、長方形状の表地2と、表地2の裏側に位置する裏地とを備える。表地2及び裏地の材料は、例えば、綿、ポリエステル、レーヨン又はリヨセル等であってもよく、表地2及び裏地の材料としては種々のものを用いることが可能である。
【0024】
羽毛布団1は、表地2と裏地との間の内部空間を仕切る直縫い部3(タタキキルト)を備える。例えば、羽毛布団1は、羽毛布団1の長手方向に延びる複数の直縫い部3と、羽毛布団1の短手方向に延びる複数の直縫い部3とを備え、複数の直縫い部3同士が互いに交差している。なお、羽毛布団1は、直縫い部3に代えて、又は直縫い部3と共に、マチ部(立体キルト)を備えていてもよい。
【0025】
例えば、複数の直縫い部3によって、羽毛布団1は、その内部空間の数が複数(一例として55)となるように仕切られており、仕切られた内部空間のそれぞれに羽毛Fが充填される。羽毛Fは、例えば、鳥(グース又はダック等)の綿毛であるダウン及びフェザーを含んでいる。
【0026】
羽毛布団1における羽毛Fのダウンの割合は、例えば、90%以上である。しかしながら、羽毛布団における羽毛のダウンの割合及びフェザーの割合は、適宜変更可能である。羽毛Fは、気温の低下に伴って空気を多く含み、気温の上昇に伴って収縮する。羽毛布団1では、膨らんだ羽毛Fの中に熱を閉じ込めることが可能となっており高い保温性を発揮する。
【0027】
次に、本実施形態に係る羽毛洗浄方法について説明する。以下では、羽毛布団1に収容される羽毛Fを洗浄する例について説明する。図2は、本実施形態に係る羽毛洗浄方法の各工程の例を示すフローチャートである。図1(a)及び図2に示されるように、まず、羽毛Fを用意する(羽毛を用意する工程、ステップS1)。
【0028】
このとき、例えば、海外において予め洗浄されて輸入された羽毛Fの原料が袋に収容されて、複数の当該袋が束ねられた状態で用意される。また、未洗浄の羽毛Fが袋に収容された状態で用意されてもよい。そして、羽毛Fの原料が収容された袋が開封され、羽毛Fの原料が品質検査される。
【0029】
続いて、羽毛Fの原料からごみ等の不純物を除去する(ステップS2)。ステップS2では、羽毛Fの原料を除塵機に入れて羽毛Fの原料からごみを分離して当該ごみを除去する。除塵機は、例えば、ごみと羽毛Fとを分離するためのメッシュを含んでもよい。ステップS2は、羽毛Fの洗浄前に羽毛Fを前除塵する除塵工程であってもよい。
【0030】
また、微細気泡水を生成する(生成する工程、ステップS3)。微細気泡水の生成は、不純物の除去(ステップS2)よりも前に行われてもよいし、不純物の除去よりも後に行われてもよい。図3は、本実施形態に係る気泡発生装置を用いて微細気泡水を生成する様子を模式的に示す図である。ステップS3では、まず、図3に示される気泡発生装置20を水Wの中に配置する。具体的には、水槽WPに貯められた水Wの中に気泡発生装置20の後述する気泡発生ノズル23を配置する。そして、気泡発生装置20が水Wの中に微細な気泡である微細気泡Bを発生させることで、微細気泡Bを含む微細気泡水を生成する。気泡発生装置20は、送水装置21と、送気装置22と、気泡発生ノズル23とを有する。
【0031】
送水装置21は、水槽WP内に予め貯められた水Wを気泡発生ノズル23に送る。送水装置21は、水槽WPから水Wを汲み上げると共に当該水Wを気泡発生ノズル23に送る送水ポンプ24と、送水ポンプ24により水槽WPの中から汲み上げられる水Wが通る取水ホース25と、送水ポンプ24により気泡発生ノズル23に送られる水Wが通る送水ホース26とを有する。
【0032】
本実施形態では、水Wは、活性水である。例えば、微細気泡Bを発生させる対象となる水Wが活性水である。活性水は、一例として、水にセラミックス粒子が作用することでプラスに帯電したものを言う。活性水は、活性水でない水と比較して、羽毛Fに対する浸透力、洗浄力及び抗酸化力等に優れる。活性水は、例えば、活性水装置により製造されてもよい。活性水装置は、一例として、セラミックス粒子が収容されたタンクを備える。当該タンクの容量は、一例として、2L(2リットル)である。活性水を生成するに際し、例えば、タンク内に水を供給する。この水の流れによって、タンク内においてセラミックス粒子同士が衝突する、又は、水とセラミックス粒子の間に摩擦が生じる。この結果生じる電気エネルギが水に作用することで、水がプラスに帯電する。
【0033】
なお、水Wの種類は、特に限定されない。水Wは、海水であってもよいし、水道水であってもよいし、純水であってもよい。しかし、後述するように、水Wから生成された微細気泡水が羽毛Fの洗浄及び加湿に用いられる関係上、水Wは、羽毛Fの洗浄及び加湿に適する程度に清浄であることが好ましい。
【0034】
取水ホース25の一端は水槽WP内の水Wに沈められている。取水ホース25の他端は送水ポンプ24に接続されている。送水ホース26の一端は、送水ポンプ24に接続されている。送水ホース26の他端は、気泡発生ノズル23に接続されている。送水ポンプ24は、取水ホース25を介して水槽WP内の水Wを汲み上げると共に、送水ホース26を介して水Wを気泡発生ノズル23に送る。
【0035】
送気装置22は、水槽WPの外部の気体を気泡発生ノズル23に送る。気体は、例えば空気であってもよいし、ボンベに収容されたガスであってもよい。気体は、例えば、酸素、オゾン、二酸化炭素、水素、又はこれらの混合気体である。送気装置22は、エアチューブ27を含む。エアチューブ27の一端は、気泡発生ノズル23に接続されている。エアチューブ27の他端は、例えば、気体を送るための送気機器(一例としてボンベ)に接続されている。送気装置22は、エアチューブ27を介して気泡発生ノズル23に気体を送る。
【0036】
気泡発生ノズル23は、送水装置21から送られた水Wと送気装置22から送られた気体とを混合することで、微細気泡Bを発生させる。具体的には、送水装置21が気泡発生ノズル23に水Wを送り込むことで、気泡発生ノズル23内に渦流が発生する。そして、送気装置22により気泡発生ノズル23内に送り込まれた気体を当該渦流に接触させることで、気泡が水Wに発生する。この結果、水槽WP内に貯められた水Wから微細気泡水が生成される。ステップS3にかかる時間は、例えば、1日程度である。
【0037】
続いて、図2に示されるように、羽毛Fを洗浄する(羽毛を洗浄する工程、ステップS4)。ステップS4では、まず、羽毛FにステップS3で生成した微細気泡水を与える。そして、当該微細気泡水を用いて羽毛Fを洗浄する。例えば、送水装置(不図示)が水槽WP内に貯められた微細気泡水を羽毛Fの洗浄機に送る。そして、羽毛Fを当該洗浄機に投入して羽毛Fを微細気泡水及び洗剤によって洗浄する。この羽毛Fの洗浄では、羽毛Fに微細気泡水と洗剤が混ざり合って羽毛Fが洗浄されるので、微細気泡水によって羽毛Fをやさしく洗浄できると共に高い洗浄効果を得られる。
【0038】
例えば、羽毛洗浄後の洗浄機からの排水が清浄となるまで羽毛Fのすすぎが行われる。具体例として、羽毛Fを洗浄して得た排水を透視度計に収容し、透視度計の目印を視認可能かどうかを判断することによって当該排水が清浄か否かを検査してもよい。透視度計の容積は、一例として、1000mlである。
【0039】
続いて、羽毛Fを乾燥させる(ステップS5)。ステップS5では、例えば、羽毛Fを乾燥機の中に入れて羽毛Fに熱風を当てることによって羽毛Fを乾燥及び殺菌する。一例として、当該熱風の温度は100℃以上である。また、羽毛Fに熱風を当てて羽毛Fを乾燥させた後に羽毛Fを冷まし、冷却除塵を行ってもよい。この場合、羽毛Fの清浄度をより高めることが可能となる。
【0040】
次に、乾燥させた羽毛Fを選別機に投入して羽毛Fの選別を行う(ステップS6)。以下、ステップS6における羽毛Fの選別を第1選別と称することがある。このとき、羽毛Fから良質な羽毛Fのみを選別する。具体的には、選別機は、例えば、羽毛Fを収容する複数の区画を有し、羽毛Fにエアを噴きつけて最も遠くの区画まで飛んだ羽毛Fのみを選別する。この選別方法では、フェザー、未熟なダウン及びファイバーはエアを噴きつけてもあまり遠くまで飛ばないのに対し、良質なダウンはより遠くまで飛ぶという特性を用いており、より遠くまで飛んだ羽毛Fを良質なダウンとして選別する。
【0041】
ステップS6において、最も遠くの区画まで飛ばなかった羽毛Fについては、廃棄してもよいし、羽毛布団1の内容物以外の他の用途として再利用してもよい。例えば、羽毛Fは、クッション等の実用品の材料、又は衣類等の材料として再利用されてもよい。
【0042】
ステップS6では、羽毛Fに除電エアを噴きつけて羽毛Fに対してプラズマ加工を行ってもよい。具体的には、上記のように羽毛Fにエアを噴きつけるときに、羽毛Fに除電エアを噴きつけて羽毛Fの静電気を除去してもよい。これにより、羽毛Fを絡みにくくすることができると共に、羽毛Fから不純物等をより確実に分離させることが可能となる。
【0043】
例えば、除電エアは、プラズマ放電によって活性酸素を発生させ、陽イオンと陰イオンとを生成して空気中に放出するプラズマ放電器(一例としてプラズマクラスター(登録商標))から羽毛Fに噴きつけられてもよい。
【0044】
以上のように、羽毛Fの洗浄、乾燥及び選別を行った後に、羽毛Fを圧縮する(ステップS7)。ステップS7では、図4に示されるように、圧縮保管用の袋10を用意する。袋10は、一例として、ビニル製の真空袋である。袋10は、複数回使用な袋であってもよいし、転用可能な袋であってもよい。袋10の容積は、例えば、前述した羽毛布団1を収容可能な容積とされている。
【0045】
袋10は、例えば、1辺に開口11bを有する矩形状を呈する。しかしながら、袋10の形状は適宜変更可能である。袋10は、一対のシート部材11によって形成されている。例えば、矩形状の一対のシート部材11の3辺が互いに接続されており、残り1辺が互いに離隔することによって開口11bが形成されている。
【0046】
袋10は、その内部に収容する物を密封可能な袋であって、開口11bにスライド式の開閉部材12を備える。開閉部材12は、開口11bに沿ってスライドするスライド部材12bと、スライド部材12bのスライドによって開口11bを開閉する開閉部12cとを有する。
【0047】
スライド部材12bは、例えば、手で摘まむことが可能な大きさとされている。一例として、スライド部材12bは、開口11bに沿って一方向(図4では左方向)に移動したときに開口11bを開放し、開口11bに沿って当該一方向の反対方向(図4では右方向)に移動したときに開口11bを封止する。
【0048】
開閉部12cは、例えば、一対のシート部材11の一方側に形成された凹部と、一対のシート部材11の他方側に形成されると共に当該凹部に嵌合する凸部とを含んでいる。スライド部材12bは、前述した反対方向に移動するときに当該凸部を当該凹部に嵌合させることによって袋10を封止し、前述した一方向に移動するときに一対のシート部材11を互いに離隔させて当該凹部への当該凸部の嵌合を解除することによって袋10を開放する。このように、手でスライド部材12bを一方向及び反対方向にスライドすることによって袋10の開閉を自在に行える。
【0049】
図4及び図5に示されるように、袋10は、袋10の内部の空気を吸引する吸引装置30が挿入される吸引装置挿入部13を備える。吸引装置30は、袋10の内部の空気を吸引するノズル31と、手で握られる把持部32と、ノズル31が吸引した空気を通すホース33とを備える。
【0050】
吸引装置挿入部13は、例えば、吸引装置30のノズル31を挿入可能な孔部13bと、孔部13bを封止する蓋部とを有する。孔部13bは、例えば、シート部材11に形成された孔に固定されたリング状の部分である。当該蓋部は、孔部13bに対して手で着脱自在とされており、孔部13bに取り付けられることによって袋10を封止し、孔部13bから外されることによって孔部13bを開放する。
【0051】
ステップS7では、袋10を開放した状態で袋10の中に洗浄乾燥済みの羽毛Fを収容し、スライド部材12bをスライドして袋10を密封する。その後、吸引装置挿入部13の蓋部を開けて孔部13bを開放し、手で把持部32を持ってノズル31を吸引装置挿入部13(シート部材11の孔)に挿入して袋10の内部の空気を吸引する。
【0052】
袋10の内部の空気を吸引しながら袋10の内部の羽毛Fを圧縮する。この圧縮は、例えば、袋10に対して外力を付与することによって行われる。一例として、作業者が手で外から袋10を押圧して袋10に外力を付与することによって袋10の内部の羽毛Fを圧縮する。
【0053】
図6は、圧縮が完了した羽毛F及び袋10を模式的に示す図である。図6に示されるように、袋10の内部から空気を吸引すると共に外力を付与して袋10の内部の羽毛を圧縮することにより、袋10の内部を真空(或いは、真空に近い状態)にする。そして、袋10が封止されていることを確認した後に、圧縮済みの袋10及び羽毛Fを一時保管して(ステップS8)、一連の工程を完了する。
【0054】
本実施形態において、「一時保管」とは、羽毛布団1等の羽毛製品を製造する前に羽毛Fを保管することを示しており、羽毛Fを保管する期間は、例えば、1年以内(一例として数ヶ月)である。但し、羽毛Fを保管する期間は、特に限定されず、必要に応じて適宜保管された羽毛Fを用いることは可能である。
【0055】
このように、羽毛Fを袋10に収容して羽毛Fを圧縮、及び袋10を密封することにより、袋10の内部の羽毛Fが空気に触れないようにすることができる。従って、羽毛Fに水分が吸収されたり、羽毛Fに臭いが生じたりすることを抑制することが可能となる。更に、羽毛Fの圧縮によって羽毛Fが嵩張らないので、大量の羽毛Fを長期間保管できる。
【0056】
羽毛Fの保管から一定期間経過後に、再度羽毛Fを圧縮する工程を行ってもよい。具体的には、保管している羽毛Fの袋10を保管から一定期間後(例えば1~3ヶ月後)に開封し、羽毛Fを別の袋10に収容した後に再度羽毛Fを圧縮する工程を実行してもよい。この場合、羽毛Fをより良質な状態で保管することが可能となる。
【0057】
次に、本実施形態に係る羽毛洗浄方法の続きの工程、及び羽毛製品製造方法の工程の例について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。まず、袋10を開封して袋10から羽毛Fを取り出す。例えば、袋10のスライド部材12bを移動させて袋10を開封して開封した袋10から羽毛Fを取り出す。
【0058】
そして、取り出した羽毛Fに対してフレッシュアップ加工(登録商標)を行う(ステップS11)。この場合、羽毛Fの保温力を高めて、羽毛Fを収容する羽毛製品の熱抵抗を高めることが可能となる。ステップS11の内容については、後述する。
【0059】
フレッシュアップ加工を行った羽毛Fを袋体に収容する(収容する工程、ステップS12)。このとき、袋体に羽毛Fを収容して羽毛製品の製造を行う。本開示において、「袋体」は、羽毛が収容される袋状のものを示している。「袋体」は、羽毛を覆うカバーの役割を果たすものであって、例えば、側地、表地、裏地又は芯地等、羽毛が収容される布地部分を示している。
【0060】
ステップS12では、充填機を用いて袋体に羽毛Fを充填してもよい。充填機は、例えば、羽毛Fに含まれる水分量に応じて、袋体に充填される羽毛Fの量を調整してもよい。羽毛製品が前述した羽毛布団1のように、直縫い部3を有する場合には、直縫い部3により仕切られた内部空間ごとに充填される羽毛Fの量を調整してもよい。
【0061】
羽毛Fを袋体に収容した後には、当該袋体を縫製する(縫製する工程、ステップS13)。より具体的には、羽毛布団1を製造するときに、例えば、裏地に表地2が重なった状態で当該裏地及び表地2の縁部の一部同士を縫製して袋体とする。そして、当該袋体の内部に羽毛Fを充填した後に直縫い部3を形成し、当該裏地及び表地2の縁部の残部同士を縫製することによって、羽毛布団1の製造が完了する。
【0062】
次に、図8を参照しながら、図7に示されたフレッシュアップ加工(ステップS11)の詳細について説明する。まず、ステップS8で一時保管された羽毛Fを袋10(図4参照)から取り出す。このとき、スライド部材12bを開口11bに沿って一方向に移動させて開口11bを開放する。そして、袋10から羽毛Fを取り出す。
【0063】
次に、袋10から取り出した羽毛Fの加湿を行う(微細気泡水を与える工程、ステップS21)。ステップS21では、羽毛FにステップS3で生成した微細気泡水を与える。具体的には、例えば、羽毛Fに霧状の微細気泡水を噴きつける。この場合、微細気泡水が羽毛Fに噴霧されることにより、簡易な方法でより効果的に羽毛Fに微細気泡水を浸透させることができる。
【0064】
次に、微細気泡水が与えられた羽毛Fを乾燥させる(乾燥させる工程、ステップS22)。このとき、羽毛Fに高温(一例として、110℃以上且つ120℃以下)の熱風を吹きかける。これにより、圧縮されていた羽毛Fを膨らませる。すなわち、羽毛Fに熱風を吹きかけて羽毛Fを乾燥させることで、羽毛Fを大きく膨らませる。この乾燥によって、羽毛Fのふっくらとした感覚と風合いが引き出される。なお、ステップS21,S22において、例えば、100℃以上の高温のスチームを羽毛Fに噴きつけて羽毛Fの乾燥及び殺菌を行ってもよい。
【0065】
ステップS22の後に、加湿乾燥を行った羽毛Fに対して冷却除塵を行う(羽毛を冷却すると共に羽毛から不純物を除去する工程、ステップS23)。ステップS23では、羽毛Fを冷却すると共に羽毛Fから不純物を除去する。ステップS22で高温の状態とされた羽毛Fを常温(一例として、20℃)まで冷却させた後に、除塵機に羽毛Fを投入する。これにより、羽毛Fから不純物(例えば、ファイバー等)を除去する。このとき、ステップS2で用いた除塵機のメッシュよりも目が細かいメッシュを備えた除塵機を用いてもよい。これにより、ステップS2で除去した不純物よりも細かい不純物を羽毛Fから除去することができる。
【0066】
ステップS23の後に、冷却除塵を行った羽毛Fの選別を行う(ステップS24)。以下、ステップS24における羽毛Fの選別を第2選別と称することがある。第2選別では、まず、選別機に羽毛Fを投入する。このとき、第1選別で選別した羽毛Fから更に良質な羽毛Fを選別する。本実施形態では、羽毛Fの選別を複数回(2回)行う。これにより、更に高品質な羽毛Fを選別できるので、一層良質な羽毛布団1を製造できる。上記の選別機は、例えば、羽毛Fを収容する複数(一例として2つ)の区画を有する。当該複数の区画は、仕切壁によって互いに仕切られている。一の区画に収容された羽毛Fにエアを吹き付けて羽毛Fを上方に吹き上げ、仕切壁を越えて別の区画に飛んだ羽毛Fを良質な羽毛Fとして選別する。
【0067】
次に、本実施形態に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法の作用効果について詳細に説明する。本実施形態に係る羽毛洗浄方法では、気泡発生装置20が水Wの中に微細な気泡である微細気泡Bを発生させることで、微細気泡Bを含む水である微細気泡水が生成される。この羽毛洗浄方法では、羽毛Fに微細気泡水が与えられ、微細気泡水が与えられた羽毛Fを乾燥させる。微細気泡水が与えられた羽毛Fを乾燥させることにより、羽毛Fを膨らませることができる。この結果、羽毛Fの嵩高を大きくすることができるので、羽毛Fの保温性を向上させることができる。また、この羽毛洗浄方法では、羽毛Fを乾燥させる前に羽毛Fに与える水として微細気泡水を用いる。乾燥させる前の羽毛Fに微細気泡水が与えられることにより、微細気泡水に含まれる微細気泡Bが羽毛Fから細かい汚れ等を落とす効果を発揮する。例えば、微細気泡水は、羽毛Fの細かな隙間まで入り込み、埃等の不純物を取り除く。この結果、羽毛Fから不純物を十分に除去することができる。
【0068】
本実施形態に係る羽毛洗浄方法は、羽毛Fを乾燥させる工程の後に、羽毛Fを冷却すると共に羽毛Fから不純物を除去する工程を更に備える。これにより、乾燥させた後の羽毛Fを冷却するときに羽毛Fから不純物が除去される。よって、羽毛Fから不純物を一層確実に除去できる。
【0069】
本実施形態に係る羽毛洗浄方法は、前記除去する工程の後に、羽毛Fを選別する工程を更に備える。不純物を除去した後に羽毛Fを選別する工程を備えることにより、不純物が除去された羽毛Fの中でも、更に良質な羽毛Fのみを選別することができる。これにより、更に良質な羽毛Fが選別されるので、羽毛Fの保温性を一層向上させることができる。
【0070】
本実施形態に係る羽毛洗浄方法では、水Wは、活性水である。活性水は、活性水でない水と比較して、羽毛に対する浸透力、洗浄力及び抗酸化力等に優れる。この場合、活性水でない水に微細気泡を発生させることで生成した微細気泡水を羽毛Fに与える場合と比較して、羽毛Fに水Wを一層確実に浸透させることができ、羽毛Fの酸化をより確実に抑制できる。この結果、羽毛Fから不純物を一層確実に除去することができ、羽毛Fの寿命を一層延ばすことができる。
【0071】
本実施形態に係る羽毛洗浄方法では、微細な気泡である微細気泡Bを含む微細気泡水を羽毛Fに与えて羽毛Fを洗浄する。羽毛Fを洗浄しているときに微細気泡水に含まれる微細気泡Bが羽毛Fから細かい汚れ等を落とすことで、羽毛Fから不純物を十分に除去することができる。また、微細気泡水に含まれる微細気泡Bを用いて優しく羽毛Fを洗浄することができるため、微細気泡水でない水(例えば純水)で洗浄する場合と比較して洗浄時に羽毛Fに加わる力を軽減できる。この結果、羽毛Fの寿命を延ばすことができる。
【0072】
また、一例として、羽毛Fを洗浄する際には、羽毛Fの洗浄後の洗浄機からの排水が清浄となるまで羽毛Fの洗浄及び排水が繰り返し行われてもよい。しかし、本実施形態に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法では、微細気泡水を用いて羽毛Fを洗浄することにより、高い洗浄効果を実現できるので、洗浄及び排水の回数を減らすことが可能である。よって、羽毛Fの洗浄に使用される水量を節約できる。
【0073】
本実施形態に係る羽毛製品製造方法では、羽毛Fに微細気泡水を与えた後に羽毛Fを乾燥させることで、羽毛Fを膨らませることができる。この結果、嵩高が大きい羽毛Fが袋体に収容されて羽毛布団1が製造されるので、羽毛布団1の内部に収容された羽毛Fによる保温性を向上させることができる。また、この羽毛製品製造方法では、前述した羽毛洗浄方法と同様、乾燥前に羽毛Fに与える水として微細気泡水を用いる。したがって、微細気泡水に含まれる微細気泡Bによって羽毛Fから細かい汚れ等を落とすことができるので、羽毛Fから不純物を十分に除去することができる。
【0074】
以上、本開示に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法の各工程の内容及び順序は、前述の実施形態に限られず、適宜変更可能である。
【0075】
例えば、前述の実施形態では、シート部材11、開閉部材12及び吸引装置挿入部13を備える袋10に羽毛Fを入れて袋10の密封及び圧縮を行う例について説明した。しかしながら、袋は、袋10以外の袋であってもよく、袋の形、大きさ、材料及び構造は適宜変更可能である。
【0076】
また、前述の実施形態では、羽毛布団1を製造するときに、羽毛の洗浄、乾燥、圧縮及び保管を行う例について説明した。しかしながら、本開示に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法は、羽毛布団1を製造するとき以外にも適用可能である。例えば、羽毛布団1をメンテナンスするときに、羽毛布団1を解体し、羽毛布団1の内部の羽毛Fの洗浄、乾燥及び圧縮を行ってもよいし、メンテナンスが行われた羽毛布団1を袋10に入れて圧縮した状態で店舗又は顧客の自宅等に搬送してもよい。
【0077】
また、ステップS4において羽毛Fを洗浄するに際し、微細気泡水に加えて、羽毛溶解液を用いてもよい。羽毛溶解液とは、羽毛を溶解させることで得られる液体であり、例えば、ケラチンを含む。羽毛Fに羽毛溶解液を与えて羽毛Fを洗浄することで、羽毛Fに潤いを与えることができる。同様に、ステップS21において羽毛Fの加湿を行うに際しても、微細気泡水に加えて羽毛溶解液を用いてもよい。
【0078】
また、ステップS21において羽毛Fの加湿を実施するに際し、微細気泡水に加えて、青森藍(登録商標)から抽出した液体を噴きつけてもよい。当該液体は、例えば、トリプタンスリン及びリモネンの少なくともいずれかを含む。当該液体は、羽毛Fの抗菌剤として作用する。
【0079】
気泡発生装置は水Wの中に配置される気泡発生装置20に限定されない。気泡発生装置は、水に気体を接触させることで微細気泡水を生成するものであってもよい。気泡発生装置は、例えば、前述した活性水装置に取り付けられるものであってもよい。この場合、気泡発生装置は、例えば、活性水装置により生成された活性水を通す流路と、当該流路に取り付けられた外気取入部材とを有してもよい。気泡発生装置は、流路内を流れる活性水に外気取入部材に取り入れられた気体を接触させることで、微細気泡水を生成する。
【0080】
気泡発生装置は、水道管又は蛇口に取り付けられる装置であってもよい。この場合、気泡発生装置は、例えば、水道管又は蛇口から供給された水を通す流路を含む。気泡発生装置は、気体を流路に取り込む機能と、取り込んだ気体を流路内の水に接触させる機能と、当該気体を含む水を撹拌して微細気泡水を生成する機能とを有する。気泡発生装置が水道管又は蛇口に取り付けられる装置である場合、前述した気泡発生装置20よりも装置を小型化することができる。更に、気泡発生装置は、ホースからの水を受け入れるシャワーヘッドを有するハンドシャワータイプの装置であってもよい。この場合、シャワーヘッドは、気体をシャワーヘッドの内部に取り込む機能と、取り込んだ気体をホースからの水に接触させる機能とを有する。このハンドシャワータイプの気泡発生装置では、シャワーヘッドを手で持って微細気泡水を散布することが可能である。よって、羽毛に対する微細気泡水の供給をより効果的に行うことができる。
【0081】
前述の実施形態では、気泡発生装置20は、送水装置21及び送気装置22により水Wと気体とを互いに接触させることで微細気泡水を生成する例について説明した。しかし、気泡発生装置20は、送水装置21を有していなくてもよい。この場合、気泡発生装置20は、送気装置22により気泡発生ノズル23に気体を送ることで、水槽WPに貯められた水Wから微細気泡水を生成する。
【0082】
前述の実施形態では、ステップS3において、水槽WPに予め貯められた水Wの中に微細気泡Bを発生させることで微細気泡水を生成する例について説明した。しかし、微細気泡水を生成する工程(ステップS3)を実行するタイミング及び当該工程の内容は、適宜変更されてもよい。微細気泡水を生成する工程は、羽毛Fを洗浄する工程(ステップS4)の前まで、又は、羽毛Fの加湿を行う工程(ステップS21)の前までに実行されればよい。微細気泡水を生成する工程では、例えば、ステップS21において羽毛Fの加湿乾燥が行われる加湿乾燥機の付近に設置された貯水タンクに水が貯められる。貯水タンクの容量は、一例として、60L(60リットル)である。そして、例えば、貯水タンク内において気泡発生装置により微細気泡水を生成した後に、生成した微細気泡水を羽毛Fの加湿乾燥機に送る。加湿乾燥機に送られた微細気泡水は、羽毛Fの加湿に供される。水として活性水を用いる場合には、前述した活性水装置が貯水タンク内に設置されてもよい。
【0083】
微細気泡水W1を生成するステップS3では、微細気泡水W1の生成に図12に示される微細気泡水生成装置40が用いられてもよい。微細気泡水生成装置40は、水Wの中に微細気泡B(図3参照)を発生させることで、微細気泡水W1を生成する。本変形例では、微細気泡水W1に含まれる微細気泡Bは、1μm未満の大きさを有する。微細気泡水W1に含まれる微細気泡Bは、例えば、ナノバブルである。ナノバブルは、超微細気泡であって浮力が小さく水中で静止状態を保つため、水から長期間抜けないようにすることが可能である。また、微細気泡Bは、目に見えない程度に径が小さいウルトラファインバブル(登録商標)であってもよい。
【0084】
本変形例に係る微細気泡水W1の密度(単位体積当たりの微細気泡水W1に含まれる微細気泡Bの数)は、1μm以上の大きさを有する微細気泡Bを含む微細気泡水の密度よりも大きい。すなわち、微細気泡水W1では、単位体積当たりの水に含まれる微細気泡Bの数をより増やすことができるので羽毛の洗浄力をさらに高めることが可能となる。微細気泡水生成装置40は、送水装置41と、気泡発生装置20Aと、送水装置42と、軟水化装置43とを有する。
【0085】
送水装置41は、貯水部61に予め貯められた水Wを水槽62に送る。送水装置41は、ポンプ63と、取水ホース64とを有する。ポンプ63は、貯水部61から水Wを汲み上げる。取水ホース64は、ポンプ63により貯水部61から汲み上げられた水Wが通る。ポンプ63は、例えば、取水ホース64の一端に設けられている。取水ホース64の他端は、水槽62内の水Wに沈められる。
【0086】
貯水部61は、例えば井戸である。貯水部61に貯められた水Wは、例えば砂及び塵等の不純物を含む。貯水部61に貯められた水Wは、例えば軟水である。但し、水Wは、硬水でもよい。水槽62は、例えば地下に設けられた貯水槽である。水槽62の容量は、例えば40000L以上かつ100000L以下(一例として70000L)である。水槽62の容量が70000Lである場合、水槽62の使用可能容量は、例えば60000Lである。水槽62の使用可能容量とは、例えば、微細気泡水生成装置40の稼働時において、実際に水槽62に収容可能な水Wの容量である。水槽62の下部には、貯水部61から汲み上げられた水Wに含まれる不純物が沈殿する。この結果、水槽62の上部には、水槽62の下部に位置する水Wよりも清浄な(不純物の含有量が低い)水Wが貯められる。
【0087】
気泡発生装置20Aは、水槽62から水Wを汲み上げ、汲み上げた水Wに微細気泡Bを発生させることで微細気泡水W1を生成する。気泡発生装置20Aは、例えば、1分間に200L以上かつ1000L以下(一例として500L)の微細気泡水W1を生成する。微細気泡水生成装置40は、複数の気泡発生装置20Aを有してもよい。例えば、1分間に500Lの微細気泡水W1を生成可能な2台の気泡発生装置20Aを用いることにより、1分間に1000Lの微細気泡水W1を生成してもよい。気泡発生装置20Aは、生成した微細気泡水W1を水槽62に送る。気泡発生装置20Aは、気泡発生部65と、取水ホース66と、送水ホース67とを有する。
【0088】
気泡発生部65は、水槽62から汲み上げられた水Wに気体を供給することによって水Wに微細気泡Bを発生させる。気泡発生装置20Aは、例えば、水槽62から気泡発生部65に水Wを汲み上げるためのポンプ(不図示)を含む。取水ホース66は、当該ポンプにより水槽62の中から汲み上げられた水Wが通る。取水ホース66の一端は、水槽62内の水Wに沈められている。例えば、取水ホース66の一端は、水槽62の底から所定距離離隔した位置に配置されている。当該所定距離は、水槽62の下部に沈殿する不純物が取水ホース66の一端から取水ホース66の内部に流れ込みにくい程度の距離とされている。取水ホース66の他端は、気泡発生部65に接続されている。送水ホース67は、気泡発生部65から水槽62に送られる微細気泡水W1が通る。送水ホース67の一端は、気泡発生部65に接続されている。送水ホース67の他端は、水槽62内の水Wに沈められている。
【0089】
気泡発生装置20Aが生成した微細気泡水W1が水槽62に送られることで、水槽62に微細気泡水W1が貯められる。この結果、水槽62内に貯められていた水Wが微細気泡水W1に変化する。水槽62内の水Wを微細気泡水W1に変化させるために要する時間は、例えば、40分以上かつ100分以下(一例として60分)である。
【0090】
送水装置42は、水槽62に貯められた微細気泡水W1を軟水化装置43に送る。送水装置42は、ポンプ68と、取水ホース69と、圧力タンク70と、送水ホース71とを有する。ポンプ68は、水槽62から微細気泡水W1を汲み上げる。取水ホース69は、ポンプ68により水槽62から汲み上げられた微細気泡水W1が通る。ポンプ68は、例えば、取水ホース69の一端に設けられている。取水ホース69の他端は、圧力タンク70に接続されている。
【0091】
圧力タンク70は、取水ホース69を介して水槽62から汲み上げられた微細気泡水W1を軟水化装置43に圧送する。圧力タンク70が微細気泡水W1を圧送することで、水槽62から軟水化装置43に微細気泡水W1を効率的に送ることができる。送水ホース71は、圧力タンク70により圧送された微細気泡水W1が通る。送水ホース71の一端は、圧力タンク70に接続されている。送水ホース71の他端は、軟水化装置43に含まれる軟水器72(後述)に接続されている。
【0092】
軟水化装置43は、送水装置42から送られた微細気泡水W1の硬度を低下させ、硬度を低下させた微細気泡水W1を微細気泡水生成装置40の外部に送る。本実施形態では、軟水化装置43は、微細気泡水W1から金属イオンを除去することで、微細気泡水W1の硬度を低下させる。「硬度」は、例えば、JIS K 0101:1998等に記載された試験方法により測定された値であってもよい。軟水化装置43は、軟水器72と、送水ホース73とを有する。
【0093】
軟水器72は、送水装置42から送られた微細気泡水W1の硬度を低下させる。軟水器72は、例えばフィルタ72aを含む。フィルタ72aは、例えば、微細気泡水W1に含まれる金属イオン(一例としてカルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を取り除く。軟水器72は、微細気泡水W1をフィルタ72aに通すことで微細気泡水W1の硬度を低下させる。送水ホース73は、軟水器72により硬度が低下した微細気泡水W1が通る。送水ホース73の一端は、軟水器72に接続されている。送水ホース73の他端は、微細気泡水生成装置40の外部に接続されている。微細気泡水W1は、例えば、羽毛Fを扱う(一例として、羽毛Fの洗浄を行う)工場に送られる。
【0094】
微細気泡水生成装置40により生成された微細気泡水W1は、例えば、ステップS4(図2参照)における羽毛Fの洗浄に用いられてもよく、ステップS21(図8参照)における羽毛Fの加湿に用いられてもよい。
【0095】
本変形例では、微細気泡水生成装置40は、1μm未満の大きさを有する微細気泡Bを含む微細気泡水W1を生成する。当該微細気泡水W1が羽毛Fに与えられることにより、微細気泡水W1に含まれる微細気泡Bが羽毛Fから細かい汚れ等を落とす効果を発揮する。1μm以上の大きさを有する微細気泡Bを含む微細気泡水を羽毛Fに与える場合と比較して、微細気泡水生成装置40により生成された微細気泡水W1は、羽毛Fのさらに細かな隙間まで入り込み、不純物を取り除く。したがって、羽毛Fの洗浄効果を一層向上できる。
【0096】
羽毛Fの洗浄効果を一層向上できるので、羽毛Fの洗浄の際に添加される洗剤の量を一層減少させることができる。また、羽毛Fの洗浄効果を一層向上できるので、洗浄及び排水の回数をさらに減らすことが可能となり、羽毛Fの洗浄等に使用される水量を一層節約できる。さらに、1μm未満の大きさを有する微細気泡Bは、1μm以上の大きさを有する微細気泡Bと比較して、微細気泡水W1から消えにくいという特徴を有する。したがって、本変形例によれば、微細気泡水W1に含まれる微細気泡Bを長時間維持できるので、微細気泡水W1の品質を維持し易い。
【0097】
本変形例では、微細気泡水W1は、軟水である。軟水は、硬水と比較して、羽毛Fに対する洗浄力に優れる。よって、硬水である微細気泡水W1を羽毛Fに与える場合と比較して、羽毛Fから不純物を一層確実に除去することができる。
【0098】
本変形例では、気泡発生装置20Aに含まれる取水ホース66の一端は、水槽62の底から所定距離離隔した位置に配置されている。これにより、水槽62の下部に沈殿する不純物が取水ホース66の一端から取水ホース66の内部に流れ込む可能性を低減できる。したがって、一層清浄な微細気泡水W1を生成できる。
【0099】
微細気泡水生成装置40により生成された微細気泡水W1は、羽毛製品のリフォーム加工に用いられてもよい。リフォーム加工は、例えば、古い羽毛製品を再生することを意味する。リフォーム加工に要する時間は、例えば、70分以上かつ80分以下である。リフォーム加工は、例えば、羽毛製品から羽毛を取り出す工程と、除塵工程と、羽毛を洗浄する工程と、羽毛を乾燥する工程と、冷却除塵を行う工程と、羽毛を袋体(側地)に収容する工程と、袋体を縫製する工程と、を備える。
【0100】
羽毛製品から羽毛を取り出す工程では、例えば、古い羽毛製品を解体して羽毛を取り出す。羽毛製品から羽毛を取り出す工程では、例えば、羽毛を収容する袋体から羽毛を取り出す。羽毛製品から羽毛を取り出す工程に要する時間は、例えば10分である。除塵工程では、例えば、羽毛製品から羽毛を取り出す工程において取り出された羽毛を前除塵する。「前除塵」とは、羽毛の洗浄の前に行われる除塵を意味する。除塵工程では、例えば除塵機を用いて羽毛から不純物を除去する。除塵工程に要する時間は、例えば5分である。
【0101】
羽毛を洗浄する工程では、例えば、除塵工程において前除塵された羽毛を洗浄する。羽毛を洗浄する工程では、例えば、洗濯機に微細気泡水生成装置40が生成した微細気泡水W1と羽毛とを入れることにより羽毛の洗濯及びすすぎを行う。羽毛を洗浄する工程に要する時間は、例えば35分である。羽毛を乾燥する工程では、例えば、羽毛を洗浄する工程において洗浄された羽毛を乾燥する。羽毛を乾燥する工程では、例えば、乾燥機を用いて、羽毛の乾燥を行う。羽毛を乾燥する工程に要する時間は、例えば10分である。
【0102】
冷却除塵を行う工程では、羽毛を冷却すると共に羽毛から不純物を除去する。冷却除塵を行う工程では、羽毛を乾燥する工程で高温の状態とされた羽毛を常温まで冷却させた後に、除塵機に羽毛を投入し、羽毛から不純物を除去する。冷却除塵を行う工程に要する時間は、例えば、10分である。
【0103】
羽毛を袋体に収容する工程では、例えば、袋体に羽毛を充填することで羽毛を袋体に収容する。当該袋体は、羽毛製品から羽毛を取り出す工程において解体された羽毛製品の袋体でもよいし、予め準備された別の袋体でもよい。羽毛を袋体に収容する工程では、例えば、充填機を用いて、袋体に羽毛を充填する。袋体を縫製する工程では、例えば、羽毛を袋体に収容した後に当該袋体を縫製する。羽毛を袋体に収容する工程に要する時間、及び、袋体を縫製する工程に要する時間の合計は、例えば5分である。以上の工程を経て、羽毛製品のリフォーム加工が完了する。
【0104】
微細気泡水生成装置40により生成された微細気泡水W1は、羽毛製品を取り扱うクリーニング施設において用いられてもよい。クリーニング施設は、例えば、クリーニング施設の利用者から羽毛製品を受け取り、洗濯機及び乾燥機を用いて羽毛製品の洗濯及び乾燥を行う施設でもよく、クリーニング施設の利用者自らが洗濯機及び乾燥機を用いて羽毛製品の洗濯及び乾燥を行う施設でもよい。本変形例では、微細気泡水生成装置40により生成された微細気泡水W1を羽毛製品の洗濯に用いることで、羽毛製品の洗浄効果を一層向上できる。
【0105】
更に、本開示に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法が適用される対象は、掛け布団である羽毛布団1に限られず、種々の羽毛製品に対して用いることが可能である。
【0106】
(実施例)
続いて、本開示に係る羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例の内容に限定されない。本実施例では、後述する実施例1~9及び比較例1~9に係る羽毛製品に対し、評価試験を実施した。本評価試験では、羽毛製品の発塵性について評価した。まず、本評価試験における実施例1~9及び比較例1~9について説明する。
【0107】
(実施例1)
実施例1では、前述した羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法を用いて羽毛布団を製造した。実施例1では、ステップS4における羽毛の洗浄に微細気泡水を用いた。また、実施例1では、ステップS21における羽毛の加湿を実施するに際し、羽毛に微細気泡水を与えた。
【0108】
実施例1では、ステップS4において、まず羽毛を洗浄機に投入した。羽毛の重量は60kgであった。次に、微細気泡水の中に羽毛を入れた状態として、当該微細気泡水に洗剤を添加して羽毛を洗浄した。羽毛の洗浄に使用した微細気泡水の重量は5tであり、洗浄時間は10分以上且つ15分以下(一例として10分)とした。そして、羽毛を複数回(一例として4回)すすいだ。1回のすすぎに使用した微細気泡水の重量は8tであり、1回のすすぎに要した時間は5分以上且つ6分以下(一例として6分)であった。最後に、羽毛の脱水を行った。脱水に要した時間は5分であった。
【0109】
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様にして羽毛布団を製造した。
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同様にして羽毛布団を製造した。
(実施例4)
実施例4では、実施例1~3に係る羽毛布団の製造から一定期間をあけて、実施例1と同様にして羽毛布団を製造した。
(実施例5)
実施例5では、実施例4と同様にして羽毛布団を製造した。
(実施例6)
実施例6では、実施例4と同様にして羽毛布団を製造した。
【0110】
(比較例1)
比較例1では、ステップS4における羽毛の洗浄に微細気泡水でない水(以下では単に「水」とする)を用いた。また、ステップS21における羽毛の加湿を実施するに際し、羽毛に水を与えた。これらの点を除き、実施例1と同様にして羽毛布団を製造した。
【0111】
(比較例2)
比較例2では、比較例1と同様にして羽毛布団を製造した。
(比較例3)
比較例3では、比較例1と同様にして羽毛布団を製造した。
(比較例4)
比較例4では、比較例1~3に係る羽毛布団の製造から一定期間をあけて、比較例1と同様にして羽毛布団を製造した。
(比較例5)
比較例5では、比較例4と同様にして羽毛布団を製造した。
(比較例6)
比較例6では、比較例4と同様にして羽毛布団を製造した。
【0112】
(実施例7)
実施例7では、前述した羽毛洗浄方法及び羽毛製品製造方法のうち、ステップS24を実施しなかった点を除き、実施例1と同様にして羽毛布団を製造した。実施例7では、ステップS23における冷却除塵を実施した後、ステップS24における第2選別を実施することなく、ステップS12,S13を実施した。つまり、実施例7では、第2選別を実施していない羽毛を袋体に収容し、当該袋体を縫製することで羽毛布団を製造した。
【0113】
(実施例8)
実施例8では、実施例7と同様にして羽毛布団を製造した。
(実施例9)
実施例9では、実施例7と同様にして羽毛布団を製造した。
【0114】
(比較例7)
比較例7では、ステップS4における羽毛の洗浄に水を用いた。また、ステップS21における羽毛の加湿を実施するに際し、羽毛に水を与えた。これらの点を除き、実施例7と同様にして羽毛布団を製造した。
【0115】
(比較例8)
比較例8では、比較例7と同様にして羽毛布団を製造した。
(比較例9)
比較例9では、比較例7と同様にして羽毛布団を製造した。
【0116】
(試験方法)
実施例1に係る羽毛布団を製造した。その後、床の上に羽毛布団を広げて載置した。次に、当該羽毛布団の上に物体を落とし、このとき羽毛布団から発した塵等の不純物の大きさ及び数を測定した。
【0117】
羽毛布団の上に落とした物体の材料は、鉛とした。物体の形状は、平面視において円柱形状であり、底面は平坦であった。平面視における物体の面積(すなわち、物体の底面の面積)は、65cmであった。物体の重量は、2500gであった。また、物体を羽毛布団に落とすに際し、羽毛布団を載置した床面から鉛直方向に10cm離れた位置から物体を落とした。
【0118】
不純物の大きさ及び数を測定するに際しては、羽毛布団から不純物が生じる様子を撮像装置で撮影し、その映像から不純物の大きさ及び数を測定した。この測定と同様の測定を実施例2~9及び比較例1~9のそれぞれの羽毛布団に対しても実施した。
【0119】
(試験結果)
図9(a)、図9(b)、図10(a)、図10(b)、図11(a)及び図11(b)は、前述した測定の結果を示す図表である。これらの図表において、一番左の列は不純物の大きさを示しており、左から2~4番目の列では実施例1~9及び比較例1~9のそれぞれの羽毛布団から生じた不純物の数を示している。これらの図表において、一番右の列は生じた不純物の数を不純物の大きさごとに示している。図9(a)に示されるように、実施例1では、0.3μmの不純物が21616個生じ、0.5μmの不純物が3968個生じた。1.0μmの不純物が3643個生じ、2.0μmの不純物が2406個生じた。5.0μmの不純物が1187個生じ、10.0μmの不純物が679個生じた。実施例1では、合計33499個の不純物が羽毛布団から生じた。
【0120】
図9(a)及び図9(b)に示されるように、実施例1~3において、羽毛布団から生じた不純物の数の合計は、97576個であった。これに対し、比較例1~3において、羽毛布団から生じた不純物の数の合計は、98069個であった。よって、羽毛の洗浄及び加湿に微細気泡水を用いた実施例1~3は、羽毛の洗浄及び加湿に水を用いた比較例1~3に比べて、羽毛布団から生じる不純物の数を1%削減できることが確認された。
【0121】
図10(a)及び図10(b)に示されるように、実施例4~6において、羽毛布団から生じた不純物の数の合計は、134073個であった。これに対し、比較例4~6において、羽毛布団から生じた不純物の数の合計は、143148個であった。よって、実施例4~6は、比較例4~6に比べて、羽毛布団から生じる不純物の数を18%削減できることが確認された。
【0122】
図11(a)及び図11(b)に示されるように、実施例7~9において、羽毛布団から生じた不純物の数の合計は、117936個であった。これに対し、比較例7~9において、羽毛布団から生じた不純物の数の合計は、143360個であった。よって、実施例7~9は、比較例7~9に比べて、羽毛布団から生じる不純物の数を6%削減できることが確認された。
【0123】
以上より、羽毛の洗浄及び加湿に微細気泡水を使用する場合、羽毛の洗浄及び加湿に水を用いる場合よりも発塵を低減でき、羽毛から不純物を十分に除去することができることが確認された。
【符号の説明】
【0124】
1…羽毛布団(羽毛製品)、2…表地、3…直縫い部、10…袋、11…シート部材、11b…開口、12…開閉部材、12b…スライド部材、12c…開閉部、13…吸引装置挿入部、13b…孔部、20,20A…気泡発生装置、21,41,42…送水装置、22…送気装置、23…気泡発生ノズル、24…送水ポンプ、25,64,66,69…取水ホース、26,67,71,73…送水ホース、27…エアチューブ、30…吸引装置、31…ノズル、32…把持部、33…ホース、40…微細気泡水生成装置、43…軟水化装置、61…貯水部、63,68…ポンプ、65…気泡発生部、70…圧力タンク、72…軟水器、72a…フィルタ、B…微細気泡、F…羽毛、W…水、W1…微細気泡水、WP,62…水槽。
図1
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