(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055834
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】3Dプリンティングを用いたタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16J 15/447 20060101AFI20240411BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20240411BHJP
F01D 11/02 20060101ALI20240411BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240411BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240411BHJP
B22F 10/00 20210101ALI20240411BHJP
B22F 10/38 20210101ALI20240411BHJP
【FI】
F16J15/447
F01D25/00 X
F01D25/00 M
F01D11/02
B33Y10/00
B33Y80/00
B22F10/00
B22F10/38
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173670
(22)【出願日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0129128
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520054415
【氏名又は名称】ターボ パワーテク カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒョン キ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,テク ホ
(72)【発明者】
【氏名】ビョン,サム ソブ
【テーマコード(参考)】
3G202
3J042
4K018
【Fターム(参考)】
3G202KK05
3G202KK06
3G202KK17
3J042AA03
3J042AA04
3J042CA10
3J042DA02
4K018KA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】素材及び加工コストを削減して生産性を向上させることができるタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法を提供する。
【解決手段】タービンのダイヤフラムとタービンローターとの間に装着されるラビリンスシーリング装置(300)の製造方法であって、前記ラビリンスシーリング装置(300)は、リング状の胴体(310)と、前記リング状の胴体(310)の一面に突出するラビリンス部(320)で形成されているが、前記リング状の胴体(310)は、遠心鋳造又はリングミルで製造し、前記ラビリンス部(320)は、3Dプリンティングによって製造することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンローター100のような回転体がダイヤフラム200のような固定体内で回転するとき相互間の摩擦を最小化してタービンローター100の回転を円滑に誘導しながらもガスの漏れを防止するために、タービンのダイヤフラム200とタービンローター100との間に装着されるラビリンスシーリング装置300の製造方法であって、
前記ラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310と、前記リング状の胴体310の一面に突出するラビリンス部320とを含み、前記リング状の胴体310は遠心鋳造又はリングミルで製造し、前記ラビリンス部320は、3Dプリンティングによって製造することを特徴とする、3Dプリンティングを用いたタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項2】
前記リング状の胴体310と前記ラビリンス部320は、レーザクラッディング又はブレージングのうち選択して接合することで、互いに結合関係を有することを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンティングを用いたタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項3】
前記リング状の胴体310はステンレス材で製造し、前記ラビリンス部320はステンレス材とは異なる異種の材質で製造することを特徴とする、請求項2に記載の3Dプリンティングを用いたタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項4】
前記ラビリンス部320は、板材形状のベース321と、前記ベース321の一面に突出するトゥース部322で製造し、前記リング状の胴体310に前記ラビリンス部320の前記ベース321が接触するようにした後、レーザクラッディング又はブレージングで接合することを特徴とする、請求項3に記載の3Dプリンティングを用いたタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法。
【請求項5】
前記ラビリンス部320の前記ベース321は、前記リング状の胴体310と同じ材質で製造し、前記トゥース部322は、前記ベース321とは異なる異種の材質で製造することを特徴とする、請求項4に記載の3Dプリンティングを用いたタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法に関し、より詳細には、3Dプリンティングを用いたタービンのダイヤフラムとタービンローターとの間に装着されるラビリンスシーリング装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンは、流体の流れからエネルギーを抽出して運動エネルギーに切り替える回転式機械装置である。水蒸気を使用する蒸気タービン(steam turbine)、可燃性ガスを使用するガスタービン(gas turbine)などの作動原理、構造に応じて様々な種類がある。
【0003】
一般に、発電用タービンを用いて電力を生産することにおいて、ボイラから生成された高温高圧の蒸気がタービンストップ弁(stop valve)及びコントロール弁(control valve)を経由してタービンケーシング内に流入され、ケーシング内に流入した蒸気は、ダイヤフラム(diaphragm)を経てタービンローターに組み立てられた回転翼(Moving Blade)を回転させることで、タービンローターによって発電機が回転しながら電力が取得される。
【0004】
ここで、ダイヤフラムは、流入した蒸気又はガスが最適な蒸気方向を有する蒸気の流れ(Steam Flow)になるように誘導し、タービンローター(Turbine Rotor)に組み立てられた回転翼を回転させる役割を果たす。
【0005】
このようなタービンでタービンローターのような回転体及びタービンローターを外部で取り囲んでいるダイヤフラムのような固定体間のシーリング部で発生する蒸気の漏れはタービンの効率を低下させ、燃料コストを増加させるという主な要因であるため、蒸気の漏れを減らすためのシーリング装置の設計技術は極めて重要である。
【0006】
ここで、蒸気又はガスタービンのような高温及び高圧タービンに使用されるステンレス素材のシーリング装置は、蒸気やガスの漏れを防止して発電機のエネルギー生産効率を上昇させ、流体による回転体の振動防止に重要な役割を果たす。
【0007】
ここで、タービンローターのような回転体がダイヤフラムのような固定体内で回転するとき、相互間の摩擦を最小化してタービンローターの回転を円滑に誘導しながらもガスの漏れを防止するために、非接触式シーリング装置をタービンローターとダイヤフラムとの間に装着して使用している。
【0008】
代表的な非接触式シーリング装置として、ラビリンスシーリング装置が挙げられる。
【0009】
ラビリンスシーリング装置は、リング状の胴体と前記胴体の一面に突出したトゥース(Tooth)が形成されているもので、ラビリンスとタービンローターとの間に渦流を形成させることにより気密が保持されると同時に、複雑に突出している形態のトゥースとタービンローターとの間に接触されないことから、タービンローターの回転も容易にするものである。
【0010】
ラビリンスシーリング装置について、本出願人が2014年04月08日付で出願をして第10-1442739号(登録日2014年09月15日)に登録された韓国登録特許公報と、2014年05月29日付で出願をして第10-1449473号(登録日2014年10月02日)に登録された韓国登録特許公報を参照する。
【0011】
しかし、従来におけるラビリンスシーリング装置は、遠心鋳造又はリングミルによってリング状の胴体を形成した後、ラビリンスのトゥースを加工ツールで削って作る過程において、素材の無駄使いが発生することで生産原価が高まるという短所があり、また、トゥースの形態を製造することが容易ではなく、製造期間が長くなるなど、生産性が良くないという短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-0876603号(登録日2008年12月23日
【特許文献2】韓国登録特許公報第10-1442739号(登録日2014年09月15日)
【特許文献3】韓国登録特許公報第10-1449473号(登録日2014年10月02日)
【特許文献4】韓国登録特許公報第10-1546385号(登録日2015年08月17日)
【特許文献5】韓国登録特許公報第10-1950924号(登録日2019年02月15日)
【特許文献6】韓国登録特許公報第10-2293186号(登録日2021年08月18日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した問題を解決するために案出されたもので、リング状の胴体を製造した後、前記リング状の胴体に突出するトゥースは3Dプリンティングにより製造することで、素材及び加工コストを削減して生産性を向上させることができる、3Dプリンティングを用いたタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法は、タービンローターのような回転体がダイヤフラムのような固定体内で回転するとき、相互間の摩擦を最小化してタービンローターの回転を円滑に誘導しながらもガスの漏れを防止するために、タービンのダイヤフラムとタービンローターとの間に装着されているラビリンスシーリング装置の製造方法において、前記ラビリンスシーリング装置は、リング状の胴体と、前記リング状の胴体の一面に突出するラビリンス部で形成され、前記リング状の胴体は、遠心鋳造又はリングミルで製造し、前記ラビリンス部は3Dプリンティングによって製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述したように本発明における3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法は、リング状の胴体を製造した後、前記リング状の胴体に突出するラビリンス部は3Dプリンティングで製造することによって、素材及び加工コストを削減して生産性を向上させることができ、また、ラビリンス部を3Dプリンティングで製造するために、使用環境に応じてラビリンス部の形態を様々に製造できるなどの著しい効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】タービンにシーリング装置が装着された状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法によるラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
【
図4】本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法によるラビリンスシーリング装置がタービンに装着された状態を示す一部分の拡大詳細断面図である。
【
図5】本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法の更なる実施に係るラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法は、タービンローター100のような回転体がダイヤフラム200のような固定体内で回転するとき、相互間の摩擦を最小化してタービンローター100の回転を円滑に誘導しながらもガスの漏れを防止するために、タービンのダイヤフラム200とタービンローター100との間に装着されるラビリンスシーリング装置の製造方法において、前記ラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310と、前記リング状の胴体310の一面に突出するラビリンス部320からなり、前記リング状の胴体310は遠心鋳造又はリングミルで製造し、前記ラビリンス部320は、3Dプリンティングによって製造することを特徴とする。
【0018】
前記リング状の胴体310とラビリンス部320は、レーザクラッディング又はブレージングのうち選択して接合することで、互いに巧みに結合できることを特徴とする。
【0019】
そして、前記リング状の胴体310はステンレス材で製造し、ラビリンス部320は、ステンレス材とは異なる異種材質で製造できることを特徴とする。
【0020】
また、前記ラビリンス部320は、板材形状のベース321と、前記ベース321の一面に突出するトゥース部322で製造し、リング状の胴体310にラビリンス部320のベース321が接触されるようにした後、レーザクラッディング又はブレージングで接合することを特徴とする。
【0021】
前記ラビリンス部320のベース321はリング状の胴体310と同じ材質で製造し、トゥース部322は、ベース321とは異なる異種材質で製造することを特徴とする。
【0022】
以下、本発明3Dプリンティングを用いたタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法を添付した図面を参照して詳細に説明すれば、次の通りである。
【0023】
図1は、タービンにシーリング装置が装着された状態を示す断面図であり、
図2は、
図1に示す一部分の拡大詳細概要図である。
【0024】
図1~
図2に示すように、従来におけるラビリンス型シーリング装置5は、ケーシングに装着されているダイアフラム3の外部リングと内部リングに設けられている。
【0025】
ここで、前記ラビリンス型シーリング装置5は、タービンの非接触式の環状密封装置で幅広く使われており、鋭いトゥース6でタービン内に流れる流体に絞り作用(Throttling Process)を発生させて漏れ流量を低減させる。
【0026】
即ち、前記トゥース6を流体の流れ方向に沿って順に配列し、前記流体が絞りと拡大を繰り返す過程で発生する圧力降下の効果を介して前記流体の漏れ流量を低減させる。
【0027】
より詳細内容については、本出願人が2014年04月08日付で出願し、第10-1442739号(登録日付2014年09月15日)で登録された韓国登録特許公報を参照する。
【0028】
しかし、従来におけるトゥース6が形成されているラビリンス形態のシーリング装置は、遠心鋳造によってリング状の胴体を形成した後、ラビリンスを切削ツールで削って作る過程で素材の無駄遣いが激しく、また、ラビリンスの形態を製造することが容易ではなく製造期間が長くなるなど、生産性が良くないという短所があった。
【0029】
図3は、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法によるラビリンスシーリング装置の断面概要図、
図4は、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法によるラビリンスシーリング装置がタービンに装着された状態を示す一部分の拡大詳細断面図である。
【0030】
図3~
図4に示すように、本発明のラビリンスシーリング装置300は、タービンローター100のような回転体がダイヤフラム200のような固定体内で回転するとき、相互間の摩擦を最小化してタービンローター100の回転を円滑に誘導しながらもガスの漏れを防止するために、タービンのダイヤフラム200とタービンローター100との間に装着されるラビリンスシーリング装置300を3Dプリンティングを用いて製造する方法に関する。
【0031】
一般に、ラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310と、前記リング状の胴体310の一面に突出するラビリンス部320からなっている。
【0032】
本発明のラビリンスシーリング装置300は、リング状の胴体310は遠心鋳造又はリングミルで製造し、ラビリンス部320は3Dプリンティングによって製造する。
【0033】
ここで、リング状の胴体310とラビリンス部320は、レーザクラッディング又はブレージングのうち選択して接合することで、互いに巧みに結合関係を有することができる。状況に応じて他の接合方式を使用してもよい。
【0034】
特に、本発明におけるリング状の胴体310はステンレス材で製造され、ラビリンス部320はステンレス材質とは異なる異種の材質で製造されてもよい。
【0035】
一方、本発明において、ラビリンス部320を次のような方法で製造することで、ラビリンス部320を3Dプリンティングによって更に便利に製造すると共に、製造されたラビリンス部320をリング状の胴体310に巧みに接合してもよい。
【0036】
リング状の胴体310の形状は
図3に示された形状に限定されず、胴体310に対応するダイヤフラム200の形状に応じて様々な形状に製造され得る。
【0037】
図5は、本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法の更なる実施に係るラビリンスシーリング装置の断面概要図である。
【0038】
図5に示すように、更なる実施に係る本発明のラビリンス部320は、板材形状のベース321と、前記ベース321の一面に突出するトゥース部322で製造する。
【0039】
前記トゥース部322の形状もブラシ形態に製造したり、複数の薄い板材の形状など様々な形状に変形して製造してもよい。
【0040】
このように製造されたラビリンス部320は、リング状の胴体310にラビリンス部320のベース321が接触した後、ブレージング又はレーザクラッディングのような接合方式で接合することで、ラビリンス部320とリング状の胴体310は巧みな結合関係を有することができる。
【0041】
特に、本発明のラビリンス部320のベース321をリング状の胴体310と同じ材質で製造することで、本発明のラビリンス部320とリング状の胴体310は巧みな結合関係を有することができる。
【0042】
前記トゥース部322は、タービンローター100の材質や形状又はタービンローター100の性能による仕様に合わせて、ベース321とは異なる異種材質のうちの1つを選択して製造してもよい。
【0043】
一方、前記ラビリンス部320と胴体310のより巧みな結合関係を有するために、前記ベース321と胴体310の互いに接触している一面のいずれか1つの面には突出部(図示せず)を形成し、他方の一面には、前記突出部に対応する溝部(図示せず)を形成して組立ブロックのように組み立て、ブレージングにより結合することもできる。
【0044】
本発明のラビリンス部320の胴体310及びラビリンス部320の詳細な構成としてのベース321及びトゥース部322は、本明細書発明の権利範囲に属する範囲内で様々な形状に変形又は製造可能である。
【0045】
上述したように本発明の3Dプリンティングを利用したタービンのラビリンスシーリング装置の製造方法は、リング状の胴体を製造した後、前記リング状の胴体に突出するラビリンス部は、3Dプリンティングで製造することで素材及び加工コストを削減し、生産性を向上させることができ、また、ラビリンス部を3Dプリンティングで製造することに使用環境に応じてラビリンス部の形態を様々に製造できるなどの著しい効果がある。
【符号の説明】
【0046】
100:タービンローター
200:ダイヤフラム
300:ラビリンスシーリング装置
310:ラビリンス胴体
320:ラビリンス部
321:ベース
322:トゥース部
1:ローター部
2、20:ケーシング
3:ダイヤフラム
5:ラビリンス型シーリング装置
6:トゥース
【外国語明細書】