(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055836
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】無線信号受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/10 20060101AFI20240411BHJP
H01Q 21/10 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H04B1/10 A
H01Q21/10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173874
(22)【出願日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0127708
(32)【優先日】2022-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0121169
(32)【優先日】2023-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】596180076
【氏名又は名称】韓國電子通信研究院
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】218,Gajeong-ro Yuseong-gu Daejeon 34129,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】チョ、インクイ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャンヨル
(72)【発明者】
【氏名】オ、ジュンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョンジュン
【テーマコード(参考)】
5J021
5K052
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AB04
5J021FA15
5J021HA10
5K052AA01
5K052BB02
5K052DD02
5K052FF32
5K052GG31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】勾配測定機のように環境雑音を内部的に相殺させながら原無線通信信号を高い信号対雑音比で検出する信号受信装置及び方法を提供する。
【解決手段】信号受信装置は、第1信号検出素子と、前記第1信号検出素子と電気的に接続され、受信する電波信号の中で原信号を減衰させるための遮断部材が設けられている第2信号検出素子と、を具備する。信号受信装置は、第1信号検出素子が検出する第1検出信号と第2信号検出素子が検出する第2検出信号との差を、検出された受信信号として出力する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号検出素子;および
前記第1信号検出素子と電気的に接続され、受信される電波信号の中で原信号を減衰させるための遮断部材が設けられている第2信号検出素子;を具備し、
前記第1信号検出素子が検出する第1検出信号と前記第2信号検出素子が検出する第2検出信号の差を検出された受信信号として出力するように構成される、信号受信装置。
【請求項2】
前記第1信号検出素子と前記第2信号検出素子が直列で接続され、前記第1検出信号と前記第2検出信号が相殺されるように結線される、請求項1に記載の信号受信装置。
【請求項3】
前記第1信号検出素子で前記電波信号の受信による電流の方向が、前記第2信号検出素子で前記電波信号の受信による電流の方向と反対となるように前記第1信号検出素子と前記第2信号検出素子が接続される、請求項2に記載の信号受信装置。
【請求項4】
前記第1信号検出素子および前記第2信号検出素子は互いに反対方向に巻かれたループアンテナを含む、請求項3に記載の信号受信装置。
【請求項5】
前記第1信号検出素子は第1方向に巻かれている第1ループアンテナを含み、
前記第2信号検出素子は前記第1方向と反対となる第2方向に巻かれている第2ループアンテナを含む、請求項4に記載の信号受信装置。
【請求項6】
前記第1ループアンテナが形成する平面と前記第2ループアンテナが形成する平面が一致しないつつ互いに平行するように、前記第1ループアンテナと前記第2ループアンテナが配置される、請求項5に記載の信号受信装置。
【請求項7】
前記第1ループアンテナの中心軸と前記第2ループアンテナの中心軸が一致するように、前記第1ループアンテナと前記第2ループアンテナが配置される、請求項6に記載の信号受信装置。
【請求項8】
前記第1ループアンテナの巻きが終わる前記第1信号検出部の第2端部と、前記第2ループアンテナの巻きが始まる前記第2信号検出部の第1端部が連結部によって電気的に互いに連結される、請求項6に記載の信号受信装置。
【請求項9】
前記第1ループアンテナと前記第2ループアンテナが互いに同一の平面に配置される、請求項5に記載の信号受信装置。
【請求項10】
前記第1ループアンテナの巻きが終わる前記第1信号検出部の第2端部と、前記第2ループアンテナの巻きが始まる前記第2信号検出部の第1端部を連結する第1連結部;および
前記第2ループアンテナの巻きが終わる前記第2信号検出部の第2端部と給電線を連結する第2連結部;をさらに具備し、
前記第1連結部と前記第2連結部が交差するように配置される、請求項9に記載の信号受信装置。
【請求項11】
前記第2信号検出素子の前記遮断部材は前記原信号の周波数と同じ周波数の信号を減衰させるための周波数選択型表面装置(Frequency Selective Surface、FSS)である、請求項1に記載の信号受信装置。
【請求項12】
前記第2信号検出素子の前記遮断部材は前記原信号の偏波と同じ偏波特性を有する信号を減衰させるための偏波選択型表面装置(Polarization Selective Surface、PSS)である、請求項1に記載の信号受信装置。
【請求項13】
前記第2信号検出素子の前記遮断部材は前記第2信号検出素子の表面に形成されるコーティング層を含む、請求項1に記載の信号受信装置。
【請求項14】
前記第2信号検出素子の前記遮断部材は前記第2信号検出素子を収容するフレームの表面に設けられる、請求項1に記載の信号受信装置。
【請求項15】
前記第1信号検出素子および前記第2信号検出素子の検出信号の差を増幅する増幅器;をさらに具備する、請求項1に記載の信号受信装置。
【請求項16】
電波信号を検出して検出された受信信号を出力するアンテナ;および
前記受信信号を増幅し、復調および復号化を遂行して前記受信信号に含まれたデータを復元する信号処理回路;を含み、
前記アンテナが
第1信号検出素子;および
前記第1信号検出素子と電気的に接続され、受信される電波信号の中で原信号を減衰させるための遮断部材が設けられている第2信号検出素子;を具備し、
前記第1信号検出素子が検出する第1検出信号と前記第2信号検出素子が検出する第2検出信号の差を前記検出された受信信号として出力するように構成される、信号受信装置。
【請求項17】
前記第1信号検出素子と前記第2信号検出素子が直列で接続され、前記第1検出信号と前記第2検出信号が相殺されるように結線される、請求項16に記載の信号受信装置。
【請求項18】
前記第1信号検出素子で前記電波信号の受信による電流の方向が、前記前記第2信号検出素子で前記電波信号の受信による電流の方向と反対となるように前記第1信号検出素子と前記第2信号検出素子が接続される、請求項17に記載の信号受信装置。
【請求項19】
通信信号と雑音信号を含むRF信号を第1検出素子によって検出して第1検出信号を形成する段階;
前記通信信号の属性に基づいて前記RF信号の中で通信信号のみを意図的に減衰させた後、第2検出素子によって検出して第2検出信号を形成する段階;および
前記第1および第2検出信号に含まれた雑音信号成分が相殺され得るように、前記第1および第2検出信号を結合して通信信号成分が含まれた受信信号を生成する段階;を含む、信号受信方法。
【請求項20】
前記第1信号検出素子および前記第2信号検出素子が大きさと利得が互いに同一であり、位相が180度差があり、直列連結されている、請求項19に記載の信号受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置に関し、より詳細には、高い信号対雑音比で信号を受信するためのアンテナ装置と、このようなアンテナを具備する信号受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信アンテナで信号対雑音比は常に重要なパラメータである。信号の干渉や環境雑音は通信品質を低下させるが、このような干渉や環境雑音によるノイズ信号は対応するのが容易でない。これを考慮して、無線通信システムで各送受信装置は制限された伝送距離と環境で通信を遂行するように設置される。また、受信機で、周辺信号の干渉を除去するために使われるフィルタは、帯域通過特性と共にスカート特性が優秀であるように設計される。ところが、伝送距離に対する制限と優秀な特性のフィルタを使うことはシステム構築と運用に多くの費用が必要とされる。
【0003】
一方、脳波検査、脳磁図測定、心磁図測定のための一部の医工学診断装置では、勾配測定機(gradiometer)を活用して環境雑音を除去して非常に低い信号を検出したりもする。勾配測定機は互いに同一の二つの検出素子を反対方向に配置して構成され、同じ信号を互いに相殺する動作特性を有する。原信号が脳波、脳磁図、心磁図信号のように空間上で急激に減衰される特性を有する場合に、環境雑音は同一に二つの検出素子に結合された後に相殺される反面、空間上で急激に減衰される原信号は二つの検出素子に異なる強度で結合された後、相殺後にも残っていることになる。すなわち、勾配測定機は強度が非常に微弱で環境雑音に埋まった信号を同一の時点で空間上の差分法を利用して検出する。ところが、進行波(traveling wave)が使われる無線通信信号の場合、勾配測定のために設けられ得る二つの検出素子の間で信号の減衰が殆どないので差分法が作動できない。このため、一般的な無線通信には差分法によって信号を検出するアンテナがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
勾配測定機のように、環境雑音を内部的に相殺させながら原無線通信信号を高い信号対雑音比で検出できる信号受信装置を提供する。
【0005】
また、環境雑音を内部的に相殺させながら原無線通信信号を高い信号対雑音比で検出できる信号受信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的実施例の一様態によると、信号受信装置は第1信号検出素子と、前記第1信号検出素子と電気的に接続され、受信される電波信号の中で原信号を減衰させるための遮断部材が設けられている第2信号検出素子を具備する。信号受信装置は第1信号検出素子が検出する第1検出信号と第2信号検出素子が検出する第2検出信号の差を検出された受信信号として出力するように構成される。
【0007】
前記第1信号検出素子と前記第2信号検出素子が直列で接続され、前記第1検出信号と前記第2検出信号が互いに相殺されるように結線され得る。
【0008】
前記第2信号検出素子は前記受信電波信号の受信による電流の方向が前記第1信号検出素子と反対となるように構成され得る。
【0009】
前記第1信号検出素子および前記第2信号検出素子は互いに反対方向に巻かれたループアンテナを含むことができる。
【0010】
前記第1信号検出素子は第1方向に巻かれている第1ループアンテナを含み、前記第2信号検出素子は前記第1方向と反対となる第2方向に巻かれている第2ループアンテナを含むことができる。
【0011】
前記第1ループアンテナが形成する平面と前記第2ループアンテナが形成する平面が一致しないつつ互いに平行するように、前記第1ループアンテナと前記第2ループアンテナが配置され得る。また、前記第1ループアンテナの中心軸と前記第2ループアンテナの中心軸が一致するように、前記第1ループアンテナと前記第2ループアンテナが配置され得る。前記第1ループアンテナの巻きが終わる前記第1信号検出部の第2端部と、前記第2ループアンテナの巻きが始まる前記第2信号検出部の第1端部が連結部によって電気的に互いに連結され得る。
【0012】
前記第1ループアンテナと前記第2ループアンテナが互いに同一の平面に配置され得る。信号受信装置は前記第1ループアンテナの巻きが終わる前記第1信号検出部の第2端部と、前記第2ループアンテナの巻きが始まる前記第2信号検出部の第1端部を連結する第1連結部と、前記第2ループアンテナの巻きが終わる前記第2信号検出部の第2端部と給電線を連結する第2連結部;をさらに具備することができる。この場合、前記第1連結部と前記第2連結部が交差するように配置され得る。
【0013】
前記第2信号検出素子の前記遮断部材は前記原信号の周波数と同じ周波数の信号を減衰させるように構成され得る。前記遮断部材は周波数選択型表面装置(Frequency Selective Surface、FSS)であり得る。このような構成は、隣接チャネル干渉によるノイズを除去または抑制するのに特に有用であり得る。
【0014】
前記第2信号検出素子の前記遮断部材は前記原信号の偏波と同じ偏波特性を有する信号を減衰させるように構成され得る。前記遮断部材は偏波選択型表面装置(Polarization Selective Surface、PSS)であり得る。
【0015】
前記第2信号検出素子の前記遮断部材は前記第2信号検出素子の表面に形成されるコーティング層を含むことができる。
【0016】
前記第2信号検出素子の前記遮断部材は前記第2信号検出素子を収容するフレームの表面に設けられ得る。
【0017】
信号受信装置は前記第1信号検出素子および前記第2信号検出素子の検出信号の差を増幅する増幅器をさらに具備することができる。
【0018】
例示的実施例の他の様態によると、信号受信装置は電波信号を検出して検出された受信信号を出力するアンテナと、前記受信信号を増幅し、復調および復号化を遂行して前記受信信号に含まれたデータを復元する信号処理回路を含む。前記アンテナは第1信号検出素子と、前記第1信号検出素子と電気的に接続され、受信される電波信号の中で原信号を減衰させるための遮断部材が設けられている第2信号検出素子を具備する。前記アンテナは前記第1信号検出素子が検出する第1検出信号と前記第2信号検出素子が検出する第2検出信号の差を検出された受信信号として出力するように構成される。
【0019】
前記第1信号検出素子と前記第2信号検出素子が直列で接続され、前記第1検出信号と前記第2検出信号が互いに相殺されるように結線され得る。
【0020】
前記第2信号検出素子は前記受信電波信号の受信による電流の方向が前記第1信号検出素子と反対となるように構成され得る。
【0021】
例示的実施例のさらに他の様態によると、信号受信方法は、通信信号と雑音信号を含むRF信号を第1検出素子によって検出して第1検出信号を形成する段階;前記通信信号の属性に基づいて前記RF信号の中で通信信号のみを意図的に減衰させた後、第2検出素子によって検出して第2検出信号を形成する段階;および前記第1および第2検出信号に含まれた雑音信号成分が相殺され得るように、前記第1および第2検出信号を結合して通信信号成分が含まれた受信信号を生成する段階を含む。
【0022】
前記第1信号検出素子および前記第2信号検出素子は大きさと利得が互いに同一であり、位相が180度差があり、直列連結されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
例示的実施例によると、無線通信で発生する環境雑音を、位相が180度差がある二つの素子を具備する物理的なアンテナ内で自ら相殺させて減少させながら、原信号を高い信号対雑音比で検出することができる。すなわち、いずれか一つの検出素子に入射する原信号成分を急激に減衰させて、位相が180度差がある二つの検出素子によって差分法による相殺が雑音信号に対してのみなされるようにする。これにより、原信号成分は維持されつつ、雑音信号成分は殆ど除去され得、信号対雑音比が大きく向上する。
【0024】
本発明は環境雑音とその他の通信信号の干渉などの無線環境雑音が高く、受信機の最小感度を十分に活用できない場合にも、最大受信感度で信号を受信できるようになり、これに伴い、送信信号の伝送距離を拡張したり受信特性乃至信号品質を改善できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の例示的実施例に係る通信システムの概略図である。
【
図2】例示的実施例に係る信号受信装置のブロック図である。
【
図3】例示的実施例に係る信号受信装置の等価回路図である。
【
図4】例示的実施例に係る信号受信装置の動作原理を説明するための図面である。
【
図5】例示的実施例に係る信号受信装置の動作原理を説明するための図面である。
【
図7】
図6に図示されたアンテナの動作を説明するための図面である。
【
図8】周波数選択型表面装置(FSS)を使って原信号の周波数帯域信号成分を減衰させる実施例において、アンテナに入射する電波信号の周波数帯域による成分と時間ドメインでの波形を例示的に示す。
【
図9】周波数選択型表面装置を使って原信号の周波数帯域信号成分を減衰させる実施例において、第1信号検出素子のスペクトルマスクと、第1信号検出素子によって出力される第1受信信号の周波数スペクトルおよび時間ドメイン波形を示す。
【
図10】周波数選択型表面装置を使って原信号の周波数帯域信号成分を減衰させる実施例において、第2信号検出素子のスペクトルマスクと、第2信号検出素子によって出力される第2受信信号の周波数スペクトルおよび時間ドメイン波形を示す。
【
図11】周波数選択型表面装置を使って原信号の周波数帯域信号成分を減衰させる実施例において、第1受信信号と第2受信信号の差分として決定される受信信号の周波数スペクトルおよび時間ドメイン波形を示す。
【
図12】偏波選択型表面装置(Polarization Selective Surface、PSS)の作動原理の一例を示す図面である。
【
図13】本発明の他の実施例に係るアンテナの斜視図である。
【
図14】
図13に図示されたアンテナの動作を説明するための図面である。
【
図15】本発明のさらに他の実施例に係るアンテナの斜視図である。
【
図16】
図15に図示されたアンテナの動作を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定実施例を図面に例示して詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0027】
第1、第2等の用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。「および/または」という用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0028】
本出願の実施例で、「AおよびBのうち少なくとも一つ」は「AまたはBのうち少なくとも一つ」または「AおよびBのうち一つ以上の組み合わせのうち少なくとも一つ」を意味し得る。また、本出願の実施例で、「AおよびBのうち一つ以上」は「AまたはBのうち一つ以上」または「AおよびBのうち一つ以上の組み合わせのうち一つ以上」を意味し得る。
【0029】
或る構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたりまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、或る構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0030】
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0031】
異なって定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで使われるすべての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0032】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施例をより詳細に説明しようとする。本発明を説明するにおいて、全体的な理解を容易にするために図面上の同一の構成要素に対しては同一の参照符号を使用し、同一の構成要素に対して重複する説明は省略する。
【0033】
図1は、本発明の例示的実施例に係る通信システムの概略図である。
【0034】
図1を参照すると、通信システム100は複数の通信ノード110-1、110-2、110-3、120-1、120-2、130-1、130-2、130-3、130-4、130-5、130-6を含むことができる。複数の通信ノードは3GPP(3rd generation partnership project)標準に規定された4G通信(例えば、LTE(long term evolution)、LTE-A(advanced)、5G通信(例えば、NR(new radio))等を支援することができる。
【0035】
例えば、4G通信および5G通信のために、複数の通信ノードはCDMA(code division multiple access)基盤の通信プロトコル、WCDMA(wideband CDMA)基盤の通信プロトコル、TDMA(time division multiple access)基盤の通信プロトコル、FDMA(frequency division multiple access)基盤の通信プロトコル、OFDM(orthogonal frequency division multiplexing)基盤の通信プロトコル、Filtered OFDM基盤の通信プロトコル、CP(cyclic prefix)-OFDM基盤の通信プロトコル、DFT-s-OFDM(discrete Fourier transform-spread-OFDM)基盤の通信プロトコル、OFDMA(orthogonal frequency division multiple access)基盤の通信プロトコル、SC(single carrier)-FDMA基盤の通信プロトコル、NOMA(Non-orthogonal Multiple Access)、GFDM(generalized frequency division multiplexing)基盤の通信プロトコル、FBMC(filter bank multi-carrier)基盤の通信プロトコル、UFMC(universal filtered multi-carrier)基盤の通信プロトコル、SDMA(Space Division Multiple Access)基盤の通信プロトコルなどを支援することができる。
【0036】
通信システム100を構成する複数の通信ノード110-1、110-2、110-3、120-1、120-2、130-1、130-2、130-3、130-4、130-5、130-6それぞれは基地局または端末として動作することができる。例えば、通信システム100は複数の基地局(base stations)110-1、110-2、110-3、120-1、120-2、複数の端末130-1、130-2、130-3、130-4、130-5、130-6を含むことができる。
【0037】
基地局110-1、110-2、110-3、120-1、120-2および端末130-1、130-2、130-3、130-4、130-5、130-6を含む通信システム100は、「アクセスネットワーク」と指称され得る。第1基地局110-1、第2基地局110-2および第3基地局110-3それぞれはマクロセル(macro cell)を形成することができる。第4基地局120-1および第5基地局120-2それぞれはスモールセル(small cell)を形成することができる。第1基地局110-1のセルカバレッジ(cell coverage)内に第4基地局120-1、第3端末130-3および第4端末130-4が属することができる。第2基地局110-2のセルカバレッジ内に第2端末130-2、第4端末130-4および第5端末130-5が属することができる。第3基地局110-3のセルカバレッジ内に第5基地局120-2、第4端末130-4、第5端末130-5および第6端末130-6が属することができる。第4基地局120-1のセルカバレッジ内に第1端末130-1が属することができる。第5基地局120-2のセルカバレッジ内に第6端末130-6が属することができる。
【0038】
一方、通信システム100はコアネットワーク(core network;図示されず)をさらに含むことができる。通信システム100が4G通信を支援する場合、コアネットワークはS-GW(serving-gateway)、P-GW(PDN(packet data network)-gateway)、MME(mobility management entity)等を含むことができる。通信システム100が5G通信を支援する場合、コアネットワークはUPF(user plane function)、SMF(session management function)、AMF(access and mobility management function)等を含むことができる。
【0039】
複数の基地局110-1、110-2、110-3、120-1、120-2それぞれはノードB(NodeB)、高度化ノードB(evolved NodeB)、BTS(base transceiver station)、無線基地局(radio base station)、無線トランシーバー(radio transceiver)、アクセスポイント(access point)、アクセスノード(node)、RSU(road side unit)、RRH(radio remote head)、TP(transmission point)、TRP(transmission and reception point)、gNBなどと指称され得る。
【0040】
複数の基地局110-1、110-2、110-3、120-1、120-2それぞれは互いに異なる周波数帯域で動作でき、同じ周波数帯域で動作してもよい。複数の基地局110-1、110-2、110-3、120-1、120-2それぞれはアイディアルバックホールリンク(ideal backhaul link)またはナン(non)-アイディアルバックホールリンクを通じて連結され得、アイディアルバックホールリンクまたはナン-アイディアルバックホールリンクを通じて情報を交換することができる。複数の基地局110-1、110-2、110-3、120-1、120-2それぞれはアイディアルバックホールリンクまたはナン-アイディアルバックホールリンクを通じてコアネットワークと連結され得る。複数の基地局110-1、110-2、110-3、120-1、120-2それぞれはコアネットワークから受信した信号を該当端末130-1、130-2、130-3、130-4、130-5、130-6に伝送でき、該当端末130-1、130-2、130-3、130-4、130-5、130-6から受信した信号をコアネットワークに伝送することができる。
【0041】
複数の端末130-1、130-2、130-3、130-4、130-5、130-6それぞれは基地局110-1、110-2、110-3、120-1、120-2と対応する動作、基地局110-1、110-2、110-3、120-1、120-2により支援される動作を遂行できる。複数の端末130-1、130-2、130-3、130-4、130-5、130-6それぞれは使用者装置(user equipment、UE)、ターミナル(terminal)、アクセスターミナル(access terminal)、モバイルターミナル(mobile terminal)、ステーション(station)、加入者ステーション(subscriber station)、モバイルステーション(mobile station)、携帯加入者ステーション(portable subscriber station)、ノード(node)、デバイス(device)、IoT(Internet of Thing)装置、搭載装置(mounted module/device/terminalまたはon board device/terminalなど)等と指称され得る。
【0042】
一方、端末のうち少なくとも一部は基地局の制御下でサイドリンクを通じて端末間直接通信(device-to-device communication、D2D)をすることができる。例えば、第1基地局110-1、第2基地局110-2および第3基地局110-3それぞれは第4端末130-4と第5端末130-5間のD2Dを制御でき、第4端末130-4および第5端末130-5それぞれは第2基地局110-2および第3基地局110-3それぞれの制御によってD2Dを遂行できる。
【0043】
図1の通信システム100において、信号を送信するノード(以下、「信号送信装置」という)は特定の信号特性を有する無線信号を送信することができ、信号を受信するノード(以下、「信号受信装置」という)はこのように特定の信号特性を有する無線信号を受信することができる。一実施例において、信号送信装置が送信する電波信号が一定周波数帯域、特に非常に狭い周波数帯域で帯域限定された信号であり得、信号受信装置は前記周波数帯域の無線信号を受信することができる。変形された実施例においては、信号送信装置が送信する電波信号が特定の偏波特性を有することができる。例えば、信号送信装置が送信する電波信号は右旋円偏波(Right-Hand Circular Polarized、RHCP)信号であり得る。
【0044】
図2は例示的実施例に係る信号受信装置のブロック図であり、
図3は例示的実施例に係る信号受信装置の等価回路図である。信号受信装置はアンテナ200と信号処理回路299を含む。アンテナ200はRF帯域またはミリメートル波帯域の電波信号を検出して、検出された受信信号を出力することができる。アンテナ200により検出され得る前記電波信号は、信号送信装置によって放射された後にチャネルを伝播(propagation)してきた原信号と無線チャネル環境で生成または混入される雑音信号を含むことができる。信号処理回路299は受信信号を増幅し、復調および復号化を遂行して受信信号に含まれたデータを復元することができる。アンテナ200は互いに電気的に接続されている第1信号検出素子210および第2信号検出素子230を含むことができる。第1信号検出素子210および第2信号検出素子230は直列連結されていてもよい。
【0045】
第1信号検出素子210および第2信号検出素子230はループ(loop)構造アンテナ、タイポール(dipole)構造アンテナ、ホーン構造アンテナ、またはその他の構造のアンテナで具現され得る。第1信号検出素子210および第2信号検出素子230は同じ大きさと性能を有する素子であり得、外部信号に対する利得が互いに同一であり、ただし位相が180度差があり得る。これに伴い、第1信号検出素子210および第2信号検出素子230の検出信号は結合されて部分的に相殺され、アンテナ200は第1信号検出素子210および第2信号検出素子230の検出信号の差分を信号処理回路299に供給される受信信号として出力することになる。このような差分導き出し動作が物理的には第1信号検出素子210および第2信号検出素子230を含むアンテナ200の線路すなわち導体上でなされるが、
図3の等価回路ではこの差分動作が減算器250によってなされるものとモデリングされている。
【0046】
第1信号検出素子210および第2信号検出素子230のうちいずれか一つの外側には、受信される電波信号の中で原信号を減衰させるための遮断部材240が設けられる。遮断部材240は第1信号検出素子210および第2信号検出素子230のうちいずれか一つに設けられ得るが、説明の便宜上、請求の範囲を含んで本明細書では遮断部材240が第2信号検出素子230に設けられると仮定する。すなわち、二つの信号検出素子210、230の中で遮断部材240が設けられたものを第2信号検出素子230と称し、他の一つを第1信号検出素子210と称することにする。一実施例において、前記遮断部材240は第2信号検出素子230の表面に形成されるコーティング層を含むことができる。他の実施例では、遮断部材240が第2信号検出素子230を囲む厚い選択的遮蔽体を含むことができる。 他の変形実施形態では、第2信号検出素子230の外部に第2信号検出素子230を収容する収納容器、例えばフレーム乃至ハウジングが設けられ、遮断部材240が前記収納容器の表面に形成されるコーティング層または選択的遮蔽構造で具現され得る。
【0047】
遮断部材240は第2信号検出素子230に流入する電波信号の中で、雑音信号成分は除いて原信号成分のみを急激に減衰させて第1信号検出素子210と第2信号検出素子230間に原信号の受信電力差が大きくなるようにする。一実施例において、遮断部材240が周波数選択型表面装置(Frequency Selective Surface、FSS)であり得、特定周波数帯域の電波信号を減衰させることができる。例えば、遮断部材240は原信号が存在する周波数帯域の信号を減衰させて該当周波数帯域のみが抑制された信号を第2信号検出素子230に伝達することができる。代案としての実施例では、遮断部材240が偏波選択型表面装置(Polarization Selective Surface、PSS)であり得、特定の偏波特性を有する電波信号を減衰させることができる。例えば、遮断部材240は右旋偏波選択型表面装置(Right-Hand Circular Polarization Selective Surface、Right-Hand CPSS)であるので、右旋円偏波(Right-Hand Circular Polarized、RHCP)信号である原信号成分は減衰させて実質的に遮断し、偏波特性が異なる信号は内側の第2信号検出素子230で透過させることができる。その他にも、第2信号検出素子230に流入する電波信号の中で雑音信号成分は除いて原信号成分のみを狭い空間的範囲内で急激に減衰させることができる装置はいずれであっても遮断部材240として使われ得る。
【0048】
図4および
図5は、例示的実施例に係る信号受信装置の動作原理を説明するための図面である。原信号300および雑音信号310を含んだ電波信号は第1信号検出素子210および第2信号検出素子230に入射し得る。第1信号検出素子210および第2信号検出素子230間の距離が十分に小さいので、原信号300および雑音信号310それぞれが同じ強度すなわち電力で各素子側に入射すると仮定する。
【0049】
第1信号検出素子210に結合される原信号300は第1信号検出素子210により電気的受信信号すなわち、第1受信原信号300R1として検出され、第1信号検出素子210に結合される雑音信号310は第1受信雑音信号310R1として検出される。第2信号検出素子230側に入射する原信号300は遮断部材240により大きく減衰された後に第2信号検出素子230に結合され、第2信号検出素子230により第2受信原信号300R2として検出される。この時、遮断部材240は入射する電波信号の中で実質的に原信号成分のみを選択的に減衰されるようにすることができる。一方、第2信号検出素子230に入射する雑音信号310は減衰されていない状態で第2信号検出素子230に結合され、第2信号検出素子230により第2受信雑音信号310R2として検出される。検出された受信信号300R1、310R1、300R2、310R2は結合されて足され、足された信号が受信信号として信号処理回路299に提供される。
【0050】
この時、第1信号検出素子210および第2信号検出素子230が利得が互いに同一であり位相が180度差があるので、第1受信雑音信号310R1と第2受信雑音信号310R2は互いに相殺され、二つの信号の差分である受信雑音信号310Rは非常に微弱な強度を有することができる。一方、第2受信原信号300R2は遮断部材240により大きく減衰された後に検出されるので、第1受信原信号300R1と第2受信原信号300R2の差分である受信原信号300Rは第1受信原信号300R1と類似する強度を有する。これに伴い、アンテナ出力端すなわち、第1信号検出素子210および第2信号検出素子230の出力端が信号処理回路299に供給する受信信号で、原信号成分はアンテナに印加される信号と類似する強度を有するが、雑音信号成分は非常に微弱に残存することになる。換言すると、遮断部材240による第2信号検出素子230に入射する原信号成分の減衰作用によって第1受信原信号300R1と第2受信原信号300R2の間に大きな強度の差があるので、差分法による相殺が原信号に対してはなされずに雑音信号に対してのみなされることになる。これに伴い、原信号成分は維持されつつ雑音信号成分はほとんど除去され得、信号対雑音比が画期的に改善された値を有することができる。
【0051】
図6は、一実施例に係るアンテナの斜視図である。本実施例に係るアンテナは下端に配置されており、導線が第1方向(例えば上側から見た時時計回り方向)に巻かれている第1信号検出部410と、第1信号検出部410の上側に配置されて導線が第2方向(例えば上側から見た時反時計回り方向)に巻かれている第2信号検出部430を含む。すなわち、第1信号検出部410と第2信号検出部430は互いに反対となる方向に巻かれている第1および第2ループアンテナでそれぞれ具現され得る。第1ループアンテナが形成する平面と第2ループアンテナが形成する平面は一致しないつつ互いに平行であり得、第1ループアンテナの中心軸と第2ループアンテナの中心軸は一致することができる。第1信号検出部410の巻きが始まる第1端部412と、第2信号検出部430の巻きが終わる第2端部434は給電線460a、460bにより信号処理回路299の、例えば低雑音増幅器に接続され得る。第1ループアンテナの巻きが終わる第1信号検出部410の第2端部414と、第2ループアンテナの巻きが始まる第2信号検出部430の第1端部432は連結部420により電気的に互いに連結され得る。
【0052】
一実施例において、第1信号検出部410、連結部420、および第2信号検出部430はただ一つの導線を使って具現され得る。しかし、他の実施例では、第1信号検出部410、連結部420、および第2信号検出部430の組み合わせが電気的に直列接続された二以上の部材で具現されてもよい。第1信号検出部410と第2信号検出部430は導線の巻かれた方向を除いては同じ大きさと形態を有することができる。図面では第1信号検出部410と第2信号検出部430で導線が円形に巻かれているが、本発明はこれに限定されるものではなく、導線は長方形、正四角形、または他の断面を有する形態で巻かれてもよい。
【0053】
第2信号検出部430の外側には原信号を減衰させるための遮断部材440が設けられる。一実施例において、遮断部材440は第2信号検出部430の表面に形成されるコーティング層を含むことができる。他の実施例では、遮断部材440が第2信号検出部430を囲む厚い選択的遮蔽体を含むことができる。さらに他の実施例では、第2信号検出部430の外部に第2信号検出部430を囲むフレーム乃至ハウジングが設けられ、遮断部材440が前記フレーム乃至ハウジングの表面に形成されるコーティング層または選択的遮蔽構造で具現され得る。遮断部材440は第2信号検出部430に流入する電波信号の中で雑音信号成分は除いて原信号成分のみを急激に減衰させ、第1信号検出部410と第2信号検出部430間に原信号の受信電力差が大きくなるようにする。一実施例において、遮断部材440は特定周波数帯域、例えば原信号の周波数帯域の電波信号を減衰させることができる周波数選択型表面装置(FSS)であり得る。他の実施例においては、遮断部材440が特定の偏波特性を有する電波信号を減衰させることができる偏波選択型表面装置(PSS)であり得る。さらに他の実施例では、遮断部材440が第2信号検出部430に流入する電波信号の中で雑音信号成分は除いて原信号成分のみを急激に減衰させることができるその他の装置を含むことができる。
【0054】
図7は、
図6に図示されたアンテナの動作を説明するための図面である。原信号および雑音信号は第1信号検出部410および第2信号検出部430に流入することができる。アンテナの大きさが十分に小さく、原信号および雑音信号それぞれが同じ強度で第1信号検出部410および第2信号検出部430側に入射すると仮定することができる。第1信号検出部410側に流入する原信号および雑音信号は第1信号検出部410の利得により第1信号検出部410に結合され得る。第2信号検出部430側に流入する原信号成分と雑音信号成分の中で、原信号成分は第2信号検出部430の外側にある遮断部材440により大きく減衰され得るが、殆どの雑音信号成分は遮断部材440を全透過することができる。雑音信号成分と減衰された原信号成分は第2信号検出部430の利得により第2信号検出部430に結合され得る。
【0055】
これに伴い、図面に示されたように、第1信号検出部410に結合されて検出される第1受信原信号300R1と第2信号検出部430に結合されて検出される第2受信原信号300R2の間に大きな強度の差があることになる。これに対し、第1信号検出部410に結合されて検出される第1受信雑音信号310R1と第2信号検出部430に結合されて検出される第2受信雑音信号310R2は同一であるか類似する強度を有することができる。第1受信原信号300R1と第2受信原信号300R2間の大きな強度の差によって、第1受信原信号300R1が第2受信原信号300R2と相殺される量は微小であり、第1受信原信号300R1および第2受信原信号300R2の差分は受信原信号として残存する。ところが、第1受信雑音信号310R1と第2受信雑音信号310R2が相殺されることによって、雑音成分は除去されるか少なくとも非常に微弱な強度でのみ残存することになる。
【0056】
このように原信号が周波数あるいは偏波などによって多様な雑音から区別されるように生成され、遮断部材440により原信号成分のみが減衰されるようにした後、差分法によって雑音信号成分は相殺されるようにする。つまり、原信号成分300Rはアンテナに印加される信号と類似する強度を有するが、雑音信号成分310Rは非常に微弱に残存することになる。これに伴い、信号対雑音比が大きく向上する。
【0057】
図8~
図11は遮断部材440で周波数選択型表面装置(FSS)を使って原信号の周波数帯域の電波信号を減衰させる実施例において、各信号の周波数帯域と時間ドメインでの波形を示す。
【0058】
まず、
図8(a)はアンテナに入射する電波信号の周波数帯域による成分を示す。前述した通り、前記電波信号は信号送信装置によって放射された後にチャネルを伝播してきた原信号成分を含む。原信号成分には一つ以上のキャリアまたは複数のサブキャリアによる周波数成分が含まれていてもよい。また、電波信号には隣接チャネル干渉による雑音信号成分が含まれる。このような帯域外干渉信号は原信号の復調過程に影響を及ぼし、信号対雑音比を低下させることができるため、除去したり減少させることが好ましい。特に、以下の説明では隣接チャネル干渉による雑音信号成分には-6dBの隣接チャネル干渉成分と-20dBの隣接チャネル干渉成分が含まれていると仮定する。
図8(b)の時間ドメイン波形には干渉と無関係な原信号成分と、-6dBの隣接チャネル干渉成分と-20dBの隣接チャネル干渉成分が例示的に図示されており、実際にこれら成分は重なった状態でアンテナに入射する。
【0059】
図9は、第1信号検出素子410のスペクトルマスクと、第1信号検出素子410により出力される第1受信信号の周波数スペクトルおよび時間ドメイン波形を示す。第1信号検出素子410が十分に広い周波数帯域に亘って非常に高い受信利得で信号を検出すると仮定する場合、第1受信信号の周波数スペクトルおよび時間ドメイン波形は
図8に図示された入射電波信号の周波数スペクトルおよび時間ドメイン波形と非常に類似するようになる。
【0060】
図10は、第2信号検出素子430のスペクトルマスクと、第2信号検出素子430により出力される第2受信信号の周波数スペクトルおよび時間ドメイン波形を示す。遮断部材440が原信号の周波数帯域と同じ帯域に対して原信号を十分に減衰させることができ、第2信号検出素子430が十分に広い周波数帯域に亘って非常に高い受信利得で信号を検出すると仮定する場合、第2受信信号で原信号成分は大きく抑制され、隣接チャネル干渉による帯域外雑音成分はほとんどそのまま維持されることを確認することができる。これに伴い、
図10(b)の時間ドメイン波形で原信号成分は振幅が減少する。そして雑音成分の中で遮断部材440の遮断帯域に隣接した雑音成分も微小に減衰され得るが、実質的な差は殆どないように設計され得る。
【0061】
図11は、第1受信信号と第2受信信号の差分として決定される受信信号の周波数スペクトルおよび時間ドメイン波形を示す。第1受信信号と第2受信信号間に強度の差がある原信号成分は最終受信信号内に維持され得るが、第1受信信号と第2受信信号間に実質的な差がない雑音成分は相殺されて最終受信信号内にほとんど含まれなくなる。
【0062】
一方、前述した通り、他の実施例においては遮断部材440が偏波選択型表面装置(PSS)であり得、特定の偏波特性を有する電波信号を減衰させることができる。
図12は、偏波選択型表面装置(PSS)の作動原理の一例を示す図面である。例えば、遮断部材440は右旋偏波選択型表面装置(Right-Hand CPSS)であるので、右旋円偏波(Right-Hand Circular Polarized、RHCP)信号である原信号成分は減衰させて実質的に遮断し、偏波特性が異なる信号は内側の第2信号検出素子430で透過させることができる。
図12には説明の便宜上遮断部材440の一例として異方性媒質のスラブを図示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遮断部材440は第2信号検出素子430の表面に形成されるコーティング層、第2信号検出素子430を収容するフレーム乃至ハウジングに形成されるコーティング層または遮蔽構造、または他の形態で具現され得る。一方、図面で第1および第2信号検出素子410、430の大きさ、数量、および/または厚さは特徴を鮮明に目立たせて明細書の理解度を高め得るように誇張して表示したものであり得、実際にはこれとは異なって構成され得る。
【0063】
図13は、本発明の他の実施例に係るアンテナの斜視図である。本実施例に係るアンテナは導線が第1方向(例えば上側から見た時反時計回り方向)に巻かれている第1信号検出部510と、導線が第2方向(例えば上側から見た時時計回り方向)に巻かれている第2信号検出部530を含む。本実施例において、第1信号検出部510と第2信号検出部530は同一平面にあるように形成され得る。第1信号検出部510の巻きが始まる第1端部512と、第2信号検出部530の巻きが終わる第2端部534は給電線560a、560bにより信号処理回路299の、例えば低雑音増幅器に接続され得る。第1信号検出部510の巻きが終わる第2端部514と、第2信号検出部530の巻きが始まる第1端部532は第1連結部520により電気的に互いに連結され得る。第1信号検出部510と第2信号検出部530の間に対称性を最大限確保するために、第2信号検出部530の第2端部534と給電線560bの端部は第2連結部522を通じて連結され得る。第1連結部520と第2連結部522は撚られて交差するように配置される。これに伴い、第1信号検出部510および第2信号検出部530を含むアンテナは撚られたループ(twisted loop)形態を有することになる。
【0064】
一実施例において、第1信号検出部510、第1連結部520、第2信号検出部530、および第2連結部522はただ一つの導線を使って具現され得る。ところが、他の実施例では、第1信号検出部510、第1連結部520、第2信号検出部530、および第2連結部522が電気的に直列接続された二以上の部材で具現されてもよい。第1信号検出部510と第2信号検出部530は導線の巻かれた方向を除いては同じ大きさと形態を有することができる。図面では第1信号検出部510と第2信号検出部530で導線が円弧状に巻かれているが、本発明はこれに限定されるものではなく、導線は長方形、正四角形、または他の断面を有する形態で巻かれてもよい。
【0065】
第2信号検出部530の外側には原信号を減衰させるための遮断部材540が設けられる。一実施例において、遮断部材540は第2信号検出部530の表面に形成されるコーティング層を含むことができる。他の実施例では、遮断部材540が第2信号検出部530を囲む厚い選択的遮蔽体を含むことができる。さらに他の実施例では、第2信号検出部530の外部に第2信号検出部530を囲むフレーム乃至ハウジングが設けられ、遮断部材540が前記フレーム乃至ハウジングの表面に形成されるコーティング層または選択的遮蔽構造で具現され得る。遮断部材540は第2信号検出部530に流入する電波信号の中で雑音信号成分は除いて原信号成分のみを急激に減衰させて、第1信号検出部510と第2信号検出部530間に原信号の受信電力差が大きくなるようにする。一実施例において、遮断部材540は特定周波数帯域の電波信号を減衰させることができる周波数選択型表面装置(FSS)であり得る。他の実施例においては、遮断部材540が特定の偏波特性を有する電波信号を減衰させることができる偏波選択型表面装置(PSS)であり得る。さらに他の実施例では、遮断部材540が第2信号検出部530に流入する電波信号の中で雑音信号成分は除いて原信号成分のみを急激に減衰させることができるその他の装置を含むことができる。
【0066】
図14は、
図13に図示されたアンテナの動作を説明するための図面である。原信号および雑音信号は第1信号検出部510および第2信号検出部530に流入することができる。アンテナの大きさが十分に小さく、原信号および雑音信号それぞれが同じ強度で第1信号検出部510および第2信号検出部530側に入射すると仮定することができる。第1信号検出部510側に流入する原信号および雑音信号は第1信号検出部510の利得により第1信号検出部510に結合され得る。第2信号検出部530側に流入する原信号および雑音信号の中で、原信号は第2信号検出部530の外側にある遮断部材540により大きく減衰され得、周波数または偏波特性などの側面で原信号成分でない他の信号成分は遮断部材540を全透過することができる。雑音信号と減衰された原信号は第2信号検出部530の利得により第2信号検出部530に結合され得る。
【0067】
これに伴い、図面に示されたように、第1信号検出部510に結合されて検出される第1受信原信号300R1と第2信号検出部530に結合されて検出される第2受信原信号300R2の間に大きな強度の差があることになる。これに対し、第1信号検出部510に結合されて検出される第1受信雑音信号310R1と第2信号検出部530に結合されて検出される第2受信雑音信号310R2は同一であるか類似する強度を有することになる。第1受信原信号300R1と第2受信原信号300R2間の大きな強度の差によって、第1受信原信号300R1が第2受信原信号300R2と相殺される量は微小であり、第1受信原信号300R1および第2受信原信号300R2の差分は受信原信号として残存する。ところが、第1受信雑音信号310R1と第2受信雑音信号310R2が相殺されることによって、雑音成分は除去されるか少なくとも非常に微弱な強度でのみ残存することになる。したがって出力される受信信号で、原信号成分300Rはアンテナに印加される信号と類似する強度を有するが、雑音信号成分310Rは非常に微弱に残存することになる。
【0068】
以上では、理解を助けるためにループ構造のアンテナ素子を使う例示的実施例を説明したが、本発明の接近方法はダイポール構造および多様な通信アンテナにも適用が可能である。
図15は、本発明のさらに他の実施例に係るアンテナの斜視図である。本実施例に係るアンテナはダイポール基盤アンテナ素子を採用する受信アンテナであり得、例えば特定周波数帯域内にある原信号または右旋円偏波(RHCP)からなる原信号を検出するのに適合なものであり得る。本実施例に係るアンテナは第1信号検出部610、第2信号検出部630、および前記第2信号検出部630の外側に設けられる遮断部材640を含むことができる。前述した通り、第1信号検出部610および第2信号検出部630それぞれはダイポールアンテナまたはクアドロポールアンテナを使って、またはこのようなアンテナに基づいて具現され得る。
【0069】
図16は、
図10に図示されたアンテナの動作を説明するための図面である。原信号および雑音信号は第1信号検出部610および第2信号検出部630に流入することができる。アンテナの大きさが十分に小さく、原信号および雑音信号それぞれが同じ強度で第1信号検出部610および第2信号検出部630側に入射すると仮定することができる。第1信号検出部610側に流入する原信号および雑音信号は第1信号検出部610の利得により第1信号検出部610に結合され得る。第2信号検出部630側に流入する原信号および雑音信号の中で、原信号は第2信号検出部630の外側にある遮断部材640により大きく減衰され得、原信号と周波数帯域が異なるか原信号と偏波特性が異なる信号は遮断部材640を全透過することができる。雑音信号と減衰された原信号は第2信号検出部630の利得により第2信号検出部630に結合され得る。
【0070】
これに伴い、第1信号検出部610に結合されて検出される第1受信原信号300R1と第2信号検出部630に結合されて検出される第2受信原信号300R2の間に大きな強度の差があることになる。これに対し、第1信号検出部610に結合されて検出される第1受信雑音信号310R1と第2信号検出部630に結合されて検出される第2受信雑音信号310R2は同一または類似する強度を有することになる。第1受信原信号300R1と第2受信原信号300R2間の大きな強度の差によって、第1受信原信号300R1が第2受信原信号300R2と相殺される量は微小であり、第1受信原信号300R1および第2受信原信号300R2の差分は受信原信号として残存する。ところが、第1受信雑音信号310R1と第2受信雑音信号310R2が相殺されることによって、雑音成分は除去されるか少なくとも非常に微弱な強度でのみ残存することになる。したがって出力される受信信号で、原信号成分300Rはアンテナに印加される信号と類似する強度を有するが、雑音信号成分310Rは非常に微弱に残存することになる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。