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特開2024-5584墜落防止器具の検出装置及び監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005584
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】墜落防止器具の検出装置及び監視システム
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20240110BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240110BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A62B35/00 D
G08B21/02
H04M11/00 301
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105822
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】591091135
【氏名又は名称】株式会社日本パーカーライジング広島工場
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】越猪 哲也
【テーマコード(参考)】
2E184
5C086
5K201
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA11
2E184LA15
2E184MA01
5C086AA22
5C086CA01
5C086CA08
5C086CA10
5C086CA11
5C086CA12
5C086CB15
5C086CB16
5C086CB19
5C086CB23
5C086CB28
5C086DA08
5C086DA14
5C086EA08
5C086FA18
5K201AA07
5K201BA02
5K201CC01
5K201CC03
5K201CC05
5K201CC10
5K201DC02
5K201EB06
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】本発明は、省電力であって、誤検出が少なく現場の責任者が簡単に使用状況を管理することが可能な墜落防止器具の監視システムを提供することにある。
【解決手段】作業者が装着して使用する墜落防止器具(6)の使用状況を検出する検出装置(22)であって、墜落を防止するために墜落防止器具を開閉し対象物(9)に固定するフック(8)と、フックを引っ掛けるために開閉する開閉部(2)と、フックの開閉部もしくはフックのどちらかに装着した磁石(21)と、磁石の近傍に装着し、磁石の接近に伴い開閉部の開閉を検出する磁石検出部(4)と、磁石検出部と接続するマイクロコンピュータ(10)と、を備え、マイクロコンピュータ(10)は、開閉部の開閉に関するデータを無線通信によって外部に送信する送信手段を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が装着して使用する墜落防止器具の使用状況を検出する検出装置であって、
墜落を防止するために前記墜落防止器具を開閉し対象物に固定するフックと、
前記フックを引っ掛けるために開閉する開閉部と、
前記フックの開閉部もしくは前記フックのどちらかに装着した磁石と、
前記磁石の近傍に装着し、前記磁石の接近に伴い前記開閉部の開閉を検出する磁石検出部と、
前記磁石検出部と接続するマイクロコンピュータと、を備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記開閉部の開閉に関するデータを無線通信によって外部に送信する送信手段を備えたことを特徴とする墜落防止器具の検出装置。
【請求項2】
前記マイクロコンピュータは、光によって発電するソーラー発電装置と、前記ソーラー発電によって電力を蓄える蓄電池と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の墜落防止器具の検出装置。
【請求項3】
作業者が装着して使用する墜落防止器具の使用状況を検出する検出装置であって、
墜落を防止するために前記墜落防止器具を開閉し対象物に固定するフックと、
前記フックの近傍に装着し、前記対象物までの距離を検出する距離検出装置と、
前記距離検出装置と接続するマイクロコンピュータと、を備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記距離検出装置が検出した距離に関するデータを無線通信によって外部に送信する送信手段を備えたことを特徴とする墜落防止器具の検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の墜落防止器具の検出装置によって使用状況を確認することができる墜落防止器具の監視システムであって、
表示部を備えた管理装置と、
前記マイクロコンピュータによって送信された前記開閉部の時刻に関するデータを基に墜落防止器具の使用を開始した時刻を前記表示部に表示する開始時刻表示部と、
前記マイクロコンピュータによって送信された前記開閉部の時刻に関するデータを基に墜落防止器具の使用を終了した時刻を前記表示部に表示する終了時刻表示部と、を備えたことを特徴とする墜落防止器具の監視システム。
【請求項5】
前記墜落防止器具の検出装置から得られたデータを基に使用回数を前記表示部に表示する使用回数表示部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の墜落防止器具の監視システム。
【請求項6】
閾値を下回った使用回数の場合に前記表示部に注意喚起を促す表示を付す警告表示部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の墜落防止器具の監視システム。
【請求項7】
請求項3に記載の墜落防止器具の検出装置によって使用状況を確認することができる墜落防止器具の監視システムであって、
表示部を備えた管理装置と、
前記マイクロコンピュータによって送信された距離に関するデータを基に使用状況を前記表示部に表示する使用回数表示部を備えたことを特徴とする墜落防止器具の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業時に使用される墜落防止器具の使用状況を確認できる墜落防止器具の検出装置及び監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から高所作業車等や高い建物や鉄塔等の場所での高所作業時に、安全帯を装着した作業員は、もしもの時に落下しそうになっても落下を防ぐために、安全帯に取り付けられているフックを近傍の支柱等に引っ掛け作業を行っている。
作業員を監督する責任者は、その安全帯を装着し、フックを掛けて作業しているかどうかの確認を行うことが必要になってきており、多くの技術が提案されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1に、作業者に装着される胴ベルト31やハーネス32などの装着体3と、当該装着体3に連結されるロープ4と、当該ロープ4の他端側に取り付けられるフック5とを有してなる安全帯使用状況確認システム1において、フック5に加速度センサー6aを取り付ける。そして、この加速度センサー6aが、所定値以上の加速度を検出した場合に、作業現場の固定部8にフック5が係止されたと判断するとともに、係止検出手段71を用いて、作業パターンに応じた基準値と比較して、適正にフック5が係止されているか否かを判断する発明が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献2に、実施形態に係る安全帯フックかけ忘れ防止監視システムは、接触信号を生成する安全フックと前記接触信号を受信するまで警報を発出し前記警報に応じた警報信号を生成して発信する安全帯フックかけ忘れ報知機とを含む安全帯と、前記安全帯を装着した作業者が携帯し、前記警報信号を受信し自己の位置情報のデータを取得して送信することができる第1携帯通信端末と、管理者が携帯し、前記警報信号および前記位置情報のデータを受信し、これらにもとづいて、前記作業者の作業位置を表示し、前記安全フックが前記支持ロープに引っ掛けてあるか否かを表示する第2携帯通信端末と、を備える発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-5425号公報
【特許文献2】特開2020-00402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の墜落防止器具の監視システムは、加速度センサー等の検出センサーは、落下等があった場合には有効に働くが、未然に落下事故を防ぐための注意喚起を行うことはできず、実際にフックを掛けている否かの判断は困難であった。
【0007】
また、接触センサーの場合には、雨天の場合に水滴により誤作動が生じる恐れがありセンサーの誤検知等が懸念されていた。
また、これらのシステムにおいては電池式が主なものであるが、できるだけ電池の交換頻度を少なくし、省電力なシステムが要望されていた。
更に、作業員を監督する責任者が後からでも使用状況を確認できる装置が要望されてきている。
【0008】
本発明は、省電力であって、誤検出が少なく現場の責任者が簡単に使用状況を管理することが可能な墜落防止器具の検出装置及び監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
作業者が装着して使用する墜落防止器具の使用状況を検出する検出装置であって、
墜落を防止するために前記墜落防止器具を開閉し対象物に固定するフックと、
前記フックを引っ掛けるために開閉する開閉部と、
前記フックの開閉部もしくは前記フックのどちらかに装着した磁石と、
前記磁石の近傍に装着し、前記磁石の接近に伴い前記開閉部の開閉を検出する磁石検出部と、
前記磁石検出部と接続するマイクロコンピュータと、を備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記開閉部の開閉に関するデータを無線通信によって外部に送信する送信手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の特徴によって、本発明は、検出装置が簡単な構成であるために故障が少なく、安価に検出装置を製造することが可能である。また、検出装置としての信頼性が高いのでデータを採種をする装置として採用することは有効である。また、検出装置は、雨天に左右されることがないので外での使用も有効である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態の墜落防止器具の監視システムの全体の構成を示す概要図である。
図2図2は、実施形態の落下防止器具の概要図である。
図3図3は、実施形態の別例の落下防止器具の概要図である。
図4図4は、実施形態の別例の落下防止器具を使用した状態を示す概要図である。
図5図5は、実施形態の別例の落下防止器具を使用した状態を示す概要図である。
図6図6は、実施形態の墜落防止器具の監視システムの構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態の墜落防止器具の監視システムのシーケンス図である。
図8図8は、実施形態の安全施設の監視システムの管理アプリケーションの表示画面の説明図である。
図9図9は、他の実施形態の墜落防止器具の監視システムの構成を示すブロック図である。
図10図10は、他の実施形態の墜落防止器具の監視システムのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる墜落防止器具の監視システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0013】
図1乃至図8を参照して、本実施形態の墜落防止器具の監視システム1を高所作業車における作業時に使用した例を示し以下に説明する。
【0014】
先ず、図1を参照し本実施形態の墜落防止器具の監視システム1の構成について説明する。
監視システム1は、主に墜落防止器具6及び監視用の携帯端末40から構成している。図1に示す監視システム1は、墜落防止器具6を高所作業車のパイプ等に引っ掛け、もしもの時に地面に落下しないように安全帯に装着されるフックの状態を監視するシステムである。
【0015】
その墜落防止器具6は、かぎ爪状のフック8に、マイクロコンピュータ10と、そのマイクロコンピュータ10から延びた配線31と接続するリードスイッチ22と、磁石21とを装着している。
【0016】
また、監視用の携帯端末40は、USB端子を介してUSB接続端末37と接続が可能である。また、無線ルータ35もUSB端子を介してUSB接続端末37と接続が可能である。無線ルータ35は、無線通信によりマイクロコンピュータ10及びUSB接続端末37と接続が可能である。
【0017】
また、スマートフォン等の携帯端末40は、USB接続端末37を接続した状態においても無線ルータ35及びマイクロコンピュータ10と接続が可能であり、データの送受信を行うことができる。
USB接続端末37を携帯端末40に接続することによって携帯端末40に備えていない周波数帯である928MHz帯の無線通信も可能である。
【0018】
尚、これら928MHz帯の通信だけでなく、868MHz帯及び915MHz帯等の無線規格を使用しても良く、これら無線規格は、消費電力が少なくてすむため、数ヶ月から年単位での電池等により駆動が可能である。
【0019】
また、近距離無線規格のIEEE802.15.4に代表される2.4GHz帯の無線規格や無線規格のIEEE802.15.4、IEEE802.11やIEEE802.15.1等の無線規格であっても良い。
【0020】
次に、墜落防止器具6に装着するマイクロコンピュータ10と検出する検出装置について、実施例1から3について以下に説明する。
【0021】
(実施例1)
図2に示す墜落防止器具6は、リードスイッチ22と磁石21を備えている。墜落防止器具6は、かぎ爪状のフック8と、板バネやスプリングバネによって付勢され常時閉じている。また開閉する際には、α方向に開閉する留め部2と、開閉する動作するリンク機構を持つ機構部3とが連動し開閉動作を行う。
【0022】
フック8に設けられた磁石21と留め部2に受けられるリードスイッチ22とが検出センサーである。
リードスイッチ22は、磁石21によって接点が閉じてフック8と留め部2が閉じた状態を検出可能である。また、リードスイッチ22は、磁石21から離れると接点が開きフック8と留め部2が開いた状態を検出可能である。このリードスイッチ22は、誤検出が少なく耐久性もあるために何度も開閉する動作には適用である。リードスイッチ22及び磁石21は、接着剤や接着テープで墜落防止器具6に固定されている。
【0023】
監視システム1は、後から装着が可能なように、墜落防止器具6のリードスイッチ22と配線31で接続するマイクロコンピュータ10は、安全帯7を接続する貫通した孔である貫通孔9に通した固定バンド5によって配線31を固定することにより、墜落防止器具6に固定される。また、マイクロコンピュータ10は、無線アンテナ11によって無線通信が可能である。
【0024】
(実施例2)
本実施例は、実施例1と同じ構成については同じ符号を付し、説明は省略する。
図3に示す墜落防止器具6は、リードスイッチ22と磁石21を備えている。墜落防止器具6は、かぎ爪状のフック8と、板バネやスプリングバネによって付勢され常時閉じているが開閉するα方向に開閉する留め部2と、開閉する動作のリンク機構を持つ機構部3とにより開閉動作を行う。
【0025】
フック8に設けられた磁石21と留め部2に受けられるリードスイッチ22とが検出センサーである。
リードスイッチ22は、磁石21によって接点が閉じてフック8と留め部2が閉じた状態を検出可能である。また、リードスイッチ22は、磁石21から離れると接点が開きフック8と留め部2が開いた状態を検出可能である。このリードスイッチ22は、誤検出が少なく耐久性もあるために何度も開閉する動作には適用である。リードスイッチ22及び磁石21は、接着剤や接着テープで墜落防止器具6に固定されている。
【0026】
監視システム1は、後から装着が可能なように、墜落防止器具6のリードスイッチ22と配線31で接続するマイクロコンピュータ10は、フック8の外部に固定し、フック8の内部や外部に接着剤や接着テープにより固定している。
【0027】
(実施例3)
本実施例は、実施例1と同じ構成については同じ符号を付し、説明は省略する。
図4及び図5に示す墜落防止器具6は、実施例1及び実施例2に使用するリードスイッチ22と磁石21の他に、ToFセンサー27を備えている。
【0028】
ToFセンサー27は、レーザー、赤外線若しくは超音波を照射し、物体に光や超音波が反射し戻ってくるまでの時間を計測し、物体までの距離を検出する距離の測定用センサーである。
また、ToFセンサー27は、配線31でマイクロコンピュータ10に接続されており、図4(B及びC)の上方から視た平面図に示すように、墜落防止器具6のフック8を引っ掛け使用する支柱9までの距離(β)を検出する。
【0029】
ToFセンサー27は、図4(C)に示すように、物体までの距離(β)がなければ、長い時間の間、反射光を受信できないことになるため、フック8が支柱9に掛かっていないと判定することが可能である。
【0030】
図4(B)、(C)は、上方から視た平面図であって支柱9と墜落防止器具6を表示している。ToFセンサー27は、作業員が実際に使用する際に、安全に墜落防止器具6が引っ掛けられているか否かの判定が可能である。ToFセンサー27は、支柱9の断面の円の中心に向かって設置されている。
【0031】
図5は、墜落防止器具6のフック8を支柱9に引っ掛ける際の側面から視た概要図である。
墜落防止器具6のフック8は、重力によりフック8の下方の弧の頂点と支柱9の円の頂点と合わさる位置に配置する。その頂点の位置(M)にToFセンサー27を装着することによって、絶えず支柱9に向かって検出することが可能である。
【0032】
例えば図5のように、左に墜落防止器具6のフック8が回転移動しても(M)、絶えず支柱9に向かってToFセンサー27のレーザーや赤外線を照射しているので、誤差なくフック8が掛けられているか否かの検出が可能である。
【0033】
(監視システムの構成)
図1又は図6から図8を参照し、監視システム1の構成及び処理について説明する。
監視システム1は、図6に示すように、上述したToFセンサー27とリードスイッチ22を配線31で繋いだマイクロコンピュータ10を備えている。マイクロコンピュータ10は、図示しないCPUの他にROMやRAMを内蔵している。
【0034】
また、マイクロコンピュータ10は、ソーラー電池15を側面に備え、蓄電池17に電力を供給し蓄電池17に充電している。このソーラー電池15は、室内等の僅かな光量でも発電可能であるため、蓄電池17の容量がなくなる心配はなく、絶えず無線通信することが可能である。また、無線通信規格も上述した省電力で作動する周波数帯を使用しているため、蓄電池17の容量を心配する必要はない。
【0035】
無線ルータ35は、マイクロコンピュータ10の無線が届かない範囲にある場合の中継用として使用することが可能である。無線ルータ35に、USB接続端末37を接続することによって、USB接続端末3に内蔵する記憶領域にマイクロコンピュータ10からの各種データを記憶することが可能である。
【0036】
また、USB接続端末37は、無線通信の端末としても利用が可能である。例えば、携帯端末40に接続し、マイクロコンピュータ10からの各種データを携帯端末40に記憶することが可能である。
【0037】
図7は、監視システム1のシーケンス図を示し、マイクロコンピュータ10が各センサーによって検出したデータの流れを示している。 また、図8は、携帯端末40が各種データを処理し表示画面39に表示する例を示している。
【0038】
各種データは、マイクロコンピュータ10に個々に付されるIDやリードスイッチ22の開閉が行われた時刻、開閉の頻度、ToFセンサー27による使用状況の判定データや距離に関するデータや距離と時刻に関するデータ等が含まれる。
また、マイクロコンピュータ10は、時刻と共に測定した生データをそのまま配信しても良く、また携帯端末40にそのまま表示できるように加工したデータを無線通信により配信しても良い。
【0039】
携帯端末40にUSB端末37を装着した場合の例を示す。携帯端末40は、アプリケーションソフトによってプログラムされた処理を行っている。
アプリケーションソフトに作業者とマイクロコンピュータ10とを関連付けて作業者ID51(図8)を携帯端末40に登録を行う(S1)。
【0040】
次に、図7及び図8に示すように、USB端末37を装着した携帯端末40は、表示画面39に示す監視開始ボタン41を操作すると(S2)、携帯端末40は、データの受信待ちになり監視を開始する。
【0041】
墜落防止器具6を装着した作業者は、高所作業車に搭乗し作業を行う。作業者は、作業中、フック8を支柱9に掛けて作業を行う。その際マイクロコンピュータ10の電源を入れると、マイクロコンピュータ10は、少なくとも作業者IDとリードスイッチ22がON及びOFFした時刻即ち作業者がフック8を開いたり、閉じたりした時刻のデータの送信を始める(S3)。
【0042】
また、マイクロコンピュータ10は、ToFセンサー27が距離に応じて支柱9を検出していれば、フック8が掛けられている状態と判定した結果又は測定した距離の生データ又は検出した距離に応じて判定し、使用中であるか否かを判定した結果のデータを時刻毎に送信する(S3)。
【0043】
マイクロコンピュータ10は、定期的に無線通信により各種データを送信しているが、電池容量を考慮し、適宜送信タイミングを決定する。送信タイミングは、1分単位や10分単位等に適宜変更が可能である。
次に、無線ルータ35は、上述した各種データを中継し再配信を行っている(S4)。
【0044】
無線ルータ35から受信したデータを保存、集計、判定及び表示を行う(S5)。携帯端末40は、表示画面39に作業者ID表示欄51、開始時刻表示欄52、終了時刻表示欄53、使用回数表示欄54及び警告表示欄55を表示する(S5)。
【0045】
そして、受信したデータを集計及び判定し、上述した各欄にデータを表示する。例えば、作業者IDが「0001」の場合、作業者が最初に開始した時刻である開始時刻「08:09」、作業者が最後使用した時刻である最終時刻「15:17」、フック8を使用した使用回数「69」である。この場合には、作業時刻も回数も適度であると判断しているので正常な表示となっている。
【0046】
作業者IDが「0003」の場合、作業者が最初に開始した時刻である開始時刻「08:17」、作業者が最後に使用した時刻である最終時刻「15:01」、フック8を使用した使用回数「15」である。この場合には、使用回数が少なく、閾値を越えない作業者には使用回数の頻度が少なく星マーク57を付して警告を行っている。
警告表示欄55を確認した責任者は、閾値を超えない作業者に対して、墜落防止器具6を適正に使用していないことが考えられるので、その作業者に注意を促すことができる。
【0047】
そして、リセットボタン43を操作すると、携帯端末40は、使用状況の各欄の表示の一覧をクリアする(S6)。また、監視終了ボタン42を操作すると、携帯端末40は、データの受信を打ち切り、監視を終了する(S7)。
尚、携帯端末40は、スマートフォンの他に、パーソナルコンピュータ、タブレット型のパーソナルコンピュータ及びノート型パーソナルコンピュータの何れかであっても良い。
【0048】
(別例の監視システムの構成)
図8図9又は図10を参照し、別例の監視システム1の構成及び処理について説明する。尚、上述した構成と同じ箇所には同じ符号を付し説明を省略する。
監視システム1は、図9に示すように、上述したToFセンサー27とリードスイッチ22を配線31で繋いだマイクロコンピュータ10を備えている。マイクロコンピュータ10は、図示しないCPUの他にROMやRAMを内蔵している。
【0049】
また、マイクロコンピュータ10は、ソーラー電池15を側面に備え、蓄電池17に電力を供給し蓄電池17に充電している。このソーラー電池15は、室内等の僅かな光量でも発電可能であるため、蓄電池17の容量がなくなる心配はなく、絶えず無線通信することが可能である。また、無線通信規格も上述した省電力で作動する周波数帯を使用しているため、蓄電池17の容量を心配する必要はない。尚、マイクロコンピュータ10の電池の容量の減少は、サーバー60が受信する電波の強弱によって判断しても良い。
【0050】
サーバー60は、マイクロコンピュータ10の無線が届かない範囲にある場合の中継用以外にマイクロコンピュータ10に記憶するプログラムによってブラウザ上での表示や集計等を処理することが可能である。サーバー60は、マイクロコンピュータ10が送信する各種データを記憶することが可能である
【0051】
サーバー60は、無線内蔵のデータ変換器61及び無線内蔵のマイクロコンピュータ62及び外部からモバイルバッテリーやUSB電源から電力を供給可能なようにマイクロC等のUSBの端子である電源端子63を備えている。
【0052】
無線内蔵のデータ変換器61は、928MHz帯等の周波数帯で送られてくるマイクロコンピュータ10の無線データを受信し、データを変換して無線内蔵のマイクロコンピュータ62にデータの受け渡しをしている。
【0053】
また、無線内蔵のマイクロコンピュータ62は、サーバー60としての役割を持ち、2.4GHz帯の無線規格のIEEE802.15.4に適合した無線によって、管理装置70と直接的に接続することが可能である。サーバー60は、有線LAN又は無線LANであるLAN67により接続しインターネット回線網65に接続することが可能である。そのため、管理装置70は、インターネットへの接続環境があれば遠隔地からでも作業者の状況を確認することが可能である。
【0054】
管理装置70は、携帯端末40の他にパーソナルコンピュータ等の表示する装置を備えた機器であれば使用が可能である。
本システムの利点は、サーバー60である無線内蔵のマイクロコンピュータ62がブラウザ上での表示や集計等を処理することが可能であるため、管理装置70にアプリケーションソフト等のプログラムを予めインストールする必要がないため、ブラウザ表示が可能な端末であればあらゆる端末の使用が可能である。
【0055】
図10は、監視システム1のシーケンス図を示し、マイクロコンピュータ10が各センサーによって検出したデータの流れを示している。
各種データは、マイクロコンピュータ10に個々に付されるIDやリードスイッチ22の開閉が行われた時刻、開閉の頻度、ToFセンサー27による使用状況の判定データや距離に関するデータや距離と時刻に関するデータ等が含まれる。
【0056】
また、マイクロコンピュータ10は、電源を入れると、各種データの配信を開始する。マイクロコンピュータ10は、時刻と共に測定した生データをそのまま配信しても良く、また管理装置70にそのまま表示できるように加工したデータを無線通信により配信しても良い。
【0057】
管理装置70の場合の例を示す。管理装置70は、インターネット回線網65又は無線によってサーバー60と接続する(S1)。サーバー60は、管理装置70から作業者の入力が行われると(S2)、サーバー60に作業者とマイクロコンピュータ10とを関連付けて作業者ID51の登録を行う(S3)。
【0058】
次に、上述した各種データを管理装置70から表示画面39に示す監視開始ボタン41を操作し監視開始指示を行うと(S4)、サーバー60は、データの受信待ちになり監視を開始する(S5)。
次に、墜落防止器具6を装着した作業者は、マイクロコンピュータ10電源を入れ、高所作業車に搭乗し作業を行う。作業者は、作業中、フック8を支柱9に掛けて作業を行う。
【0059】
マイクロコンピュータ10は、少なくとも作業者IDとリードスイッチ22がON及びOFFした時刻即ち作業者がフック8を開いたり、閉じたりした時刻のデータを送信をする(S6)。
また、マイクロコンピュータ10は、ToFセンサー27が距離に応じて支柱9を検出していれば、フック8が掛けられている状態と判定した結果又は測定した距離の生データ又は検出した距離に応じて判定し、使用中であるか否かを判定した結果のデータを時刻毎に送信をする(S6)。
【0060】
マイクロコンピュータ10は、定期的に無線通信により各種データを送信しているが、電池容量を考慮し、適宜送信タイミングを決定する。送信タイミングは、1分単位や10分単位等に適宜変更が可能である。
【0061】
サーバー60は、マイクロコンピュータ10から受信したデータを保存、集計、判定及び表示を行う(S7)。表示画面39に作業者ID表示欄51、開始時刻表示欄52、終了時刻表示欄53、使用回数表示欄54及び警告表示欄55を表示する(S7)。
【0062】
そして、受信したデータを集計及び判定し、上述した各欄にデータを表示する。例えば、作業者IDが「0001」の場合、作業者が最初に開始した時刻である開始時刻「08:09」、作業者が最後使用した時刻である最終時刻「15:17」、フック8を使用した使用回数「69」である。この場合には、作業時刻も回数も適度であると判断しているので正常な表示となっている。
【0063】
作業者IDが「0003」の場合、作業者が最初に開始した時刻である開始時刻「08:17」、作業者が最後に使用した時刻である最終時刻「15:01」、フック8を使用した使用回数「15」である。この場合には、使用回数が少なく、閾値を越えない作業者には使用回数の頻度が少なく星マーク57を付して警告を行っている。
警告表示欄55を確認した責任者は、閾値を超えない作業者に対して、墜落防止器具6を適正に使用していないことが考えられるので、その作業者に注意を促すことができる。
【0064】
そして、管理装置70からリセットボタン43を操作しリセット指示をおこなうと(S8)、サーバー60は、使用状況の各欄の表示の一覧をクリアする(S9)。また、管理装置70から監視終了ボタン42を操作し監視終了指示をおこなうと(S10)、サーバー60は、データの受信を打ち切り、監視を終了する(S11)。そして、管理装置70は、サーバー60との接続を打ち切る(S12)。
【0065】
尚、管理装置70は、スマートフォンの他に、パーソナルコンピュータ、タブレット型のパーソナルコンピュータ及びノート型パーソナルコンピュータの何れかであっても良い。
【0066】
(技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧に内に示すが、特に限定するものでもなく例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
【0067】
<第1の特徴点>
作業者が装着して使用する墜落防止器具(例えば、主に墜落防止器具6)の使用状況を検出する検出装置(例えば、主にリードスイッチ22)であって、
墜落を防止するために前記墜落防止器具を開閉し対象物(例えば、主に支柱9)に固定するフック(例えば、主にフック8)と、
前記フックを引っ掛けるために開閉する開閉部(例えば、主に留め部2)と、
前記フックの開閉部もしくは前記フックのどちらかに装着した磁石(例えば、主に磁石21)と、
前記磁石の近傍に装着し、前記磁石の接近に伴い前記開閉部の開閉を検出する磁石検出部(例えば、主に作業現場4)と、
前記磁石検出部と接続するマイクロコンピュータ(例えば、主にマイクロコンピュータ10)と、を備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記開閉部の開閉に関するデータを無線通信によって外部に送信する送信手段(例えば、主にマイクロコンピュータ10の無線通信)を備えたことを特徴とする。
【0068】
以上の特徴によって、本発明は、検出装置が簡単な構成であるために故障が少なく、安価に検出装置を製造することが可能である。また、検出装置としての信頼性が高いのでデータを採種をする装置として採用することは有効である。また、検出装置は、雨天に左右されることがないので外での使用も有効である。
【0069】
<第2の特徴点>
前記マイクロコンピュータは、光によって発電するソーラー発電装置(例えば、主にリードスイッチ22)と、前記ソーラー発電によって電力を蓄える蓄電池(例えば、主にリードスイッチ22)と、を備えたことを特徴とする。
【0070】
以上の特徴によって、本発明は、ソーラー発電装置により蓄電池に貯めることができるので、電池が切れてデータを送信できないような心配はなく、随時データを送信することが可能である。
【0071】
<第3の特徴点>
作業者が装着して使用する墜落防止器具の使用状況を検出する検出装置(例えば、主にToFセンサー27)であって、
墜落を防止するために前記墜落防止器具を開閉し対象物に固定するフック(例えば、主にフック8)と、
前記フックの近傍に装着し、前記対象物までの距離を検出する距離検出装置(例えば、主にToFセンサー27)と、
前記距離検出装置と接続するマイクロコンピュータ(例えば、主にマイクロコンピュータ10)と、を備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記距離検出装置が検出した距離に関するデータを無線通信によって外部に送信する送信手段(例えば、主にマイクロコンピュータ10の無線通信)を備えたことを特徴とする。
【0072】
以上の特徴によって、本発明は、墜落防止器具が固定する対象物に対して確実に固定されているかの判定に利用することができるので、今までのように仮想的にフックが引っ掛けられているかの判断とは異なり、正確に墜落防止器具が使用されているか否かの判定が可能である。
【0073】
<第4の特徴点>
請求項1に記載の墜落防止器具の検出装置によって使用状況を確認することができる墜落防止器具の監視システム(例えば、主に監視システム1)であって、
表示部(例えば、主に表示画面39)を備えた管理装置(例えば、主に管理装置70(携帯端末40))と、
前記マイクロコンピュータによって送信された前記開閉部の時刻に関するデータを基に墜落防止器具の使用を開始した時刻を前記表示部に表示する開始時刻表示部(例えば、主に開始時刻表示欄52)と、
前記マイクロコンピュータによって送信された前記開閉部の時刻に関するデータを基に墜落防止器具の使用を終了した時刻を前記表示部に表示する終了時刻表示部(例えば、主に終了時刻表示欄53)と、を備えたことを特徴とする。
【0074】
以上の特徴によって、本発明は、責任者が使用状況を画面上で確認ができるので監視作業が簡易的にすることができる。
【0075】
<第5の特徴点>
前記墜落防止器具の検出装置から得られたデータを基に使用回数を前記表示部に表示する使用回数表示部(例えば、主に使用回数表示欄54)を備えたことを特徴とする。
【0076】
以上の特徴によって、本発明は、責任者が使用状況を画面上で確認ができるので監視作業を簡易的にすることができる。
【0077】
<第6の特徴点>
閾値を下回った使用回数の場合に前記表示部に注意喚起を促す表示を付す警告表示部(例えば、主に警告表示欄55)を備えたことを特徴とする請求項5に記載の墜落防止器具の監視システム。
【0078】
以上の特徴によって、本発明は、責任者が使用状況を画面上で確認ができるので注意喚起を促しやすくなる。
【0079】
<第7の特徴点>
表示部(例えば、主に表示画面39)を備えた管理装置(例えば、主に管理装置70(携帯端末40))と、
前記マイクロコンピュータによって送信された距離に関するデータを基に使用状況を前記表示部に表示する使用回数表示部(例えば、主に使用回数表示欄54)を備えたことを特徴とする。
【0080】
以上の特徴によって、本発明は、信頼性の高いデータによって責任者が使用状況を画面上で確認ができるので監視作業が簡易的であって信頼性の高いものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
高所作業車だけでなく、建築現場や高層ビルでの清掃作業等の安全帯を使用する作業場であれば良く、また安全帯に限らず、墜落を防止する器具に使用し監視する目的であれば適用は可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…監視システム、2…留め部、6…墜落防止器具、9…支柱、
10…マイクロコンピュータ、21…磁石、22…リードスイッチ、
27…ToFセンサー、39…表示画面、40…携帯端末、54…使用回数表示欄、
55…警告表示欄、60…サーバー、70…管理装置。
図1
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