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特開2024-55849睡眠評価システム、睡眠評価装置、および睡眠評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055849
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】睡眠評価システム、睡眠評価装置、および睡眠評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A61B5/16 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174167
(22)【出願日】2023-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2022162051
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年8月3日から令和5年10月13日までの期間に、スリープクリニック調布、スリープクリニック銀座、スリープクリニック青山、スリープクリニック札幌にて睡眠点数表を患者に配布
(71)【出願人】
【識別番号】594175249
【氏名又は名称】キッセイコムテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】田口 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 建光
(72)【発明者】
【氏名】中野 泰志
(72)【発明者】
【氏名】太田 周作
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP05
(57)【要約】
【課題】睡眠評価のための計測の負担が少なく、評価結果を理解しやすい睡眠評価の手段を提案する。
【解決手段】睡眠評価システム1は、加速度センサを備える活動量計2および睡眠評価装置を有する。睡眠評価装置は、活動量計2の計測データに基づき睡眠評価レポート200を出力する。睡眠評価装置3は、体動の指標である運動量値Mcに基づいて複数の睡眠変数を演算する。活動量計は、起床中の活動の指標である活動量値を演算する。睡眠評価レポート200では、複数の睡眠変数から演算した指標、および、活動量値から演算した指標を少なくとも1つのレーダーチャートに表示する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサを備える活動量計と、前記活動量計の計測データに基づき前記活動量計を装着した人の睡眠および身体活動に対する評価を示す睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置と、を有する睡眠評価システムであって、
前記活動量計は、
前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定する姿勢判定部と、
前記加速度に基づいて体動の指標である運動量値を演算する運動量値演算部と、
前記加速度に基づいて起床中の活動の指標である活動量値を演算する活動量値演算部と、を備え、
前記睡眠評価装置は、
前記姿勢判定部の判定データに基づいて前記人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に前記運動量値に基づいて睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、
前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、
前記活動量値および前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、
前記睡眠評価レポートは、
前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を表示した少なくとも1つのレーダーチャートを備えることを特徴とする睡眠評価システム。
【請求項2】
前記睡眠評価レポートは、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠のリズムに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標、および、前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標を表示した単一のレーダーチャートを備え、
前記単一のレーダーチャートは、前記第1グループの指標が周方向に並ぶ第1領域、前記第2グループの指標が周方向に並ぶ第2領域、および、前記第3グループの指標が周方向に並ぶ第3領域を備えることを特徴とする請求項1に記載の睡眠評価システム。
【請求項3】
前記複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間、および睡眠効率を含み、
前記活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数を含み、
前記第1領域には、前記入眠潜時から演算した入眠指標、前記睡眠効率から演算した熟眠感指標、前記中途覚醒回数から演算した中途覚醒指標、前記姿勢変更回数から演算した寝返り指標、および、前記離床潜時から演算した寝起き指標が周方向に並んでおり、
前記第2領域には、前記入床時刻から演算した入床時刻指標、および、前記離床時刻から演算した起床時刻指標が周方向に並んでおり、
前記第3領域には、前記総就床時間から演算した活動時間指標、前記活動消費カロリーから演算した運動カロリー指標、および、前記歩数から演算した歩数指標が周方向に並んでいることを特徴とする請求項2に記載の睡眠評価システム。
【請求項4】
加速度センサを備える活動量計と、前記活動量計の計測データに基づき前記活動量計を装着した人の睡眠および身体活動に対する評価を示す睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置と、を有する睡眠評価システムであって、
前記活動量計は、
前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定する姿勢判定部と、
前記加速度に基づいて体動の指標である運動量値を演算する運動量値演算部と、
前記加速度に基づいて起床中の活動の指標である活動量値を演算する活動量値演算部と、を備え、
前記睡眠評価装置は、
前記姿勢判定部の判定データに基づいて前記人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に前記運動量値に基づいて睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、
前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、
前記活動量値および前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、
前記睡眠評価レポートは、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標をレーダーチャート上に表示した第1レーダーチャートと、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の長さに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標をレーダーチャート上に表示した第2レーダーチャートと、
前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標をレーダーチャート上に表示した第3レーダーチャートと、を含むことを特徴とする睡眠評価システム。
【請求項5】
前記複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間、および睡眠効率の少なくとも一部を含み、
前記活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数の一方もしくは両方を含み、
前記第1グループの指標、前記第2グループの指標、および前記第3グループの指標は、共通指標を含み、
前記共通指標は、前記入眠潜時から演算した入眠指標、および、前記離床潜時から演算した寝起き指標を含むことを特徴とする請求項4に記載の睡眠評価システム。
【請求項6】
前記第1レーダーチャートは、
前記入眠指標を表示する軸と、前記寝起き指標を表示する軸と、前記中途覚醒回数から演算した中途覚醒指標を表示する軸と、前記姿勢変更回数から演算した寝返り指標を表示する軸と、前記睡眠効率から演算した熟眠感指標を表示する軸を備え、
前記第2レーダーチャートは、
前記入眠指標を表示する軸と、前記寝起き指標を表示する軸と、前記入床時刻から演算した入床時刻指標を表示する軸と、前記離床時刻から演算した起床時刻指標を表示する軸と、前記総就床時間から演算した就寝時間指標を表示する軸を備え、
前記第3レーダーチャートは、
前記入眠指標を表示する軸と、前記寝起き指標を表示する軸と、前記総就床時間から演算した活動時間指標を表示する軸と、前記活動消費カロリーから演算した運動カロリー指標を表示する軸と、前記歩数から演算した歩数指標を表示する軸を備えることを特徴とする請求項5に記載の睡眠評価システム。
【請求項7】
休日を含む複数日を1サイクルとして繰り返す生活サイクルにおける前記1サイクル以上の連続期間にわたって前記活動量計による計測が行われ、前記睡眠評価装置に前記連続期間の前記計測データが入力された場合に、
前記睡眠評価レポート出力部は、
前記活動量値および前記複数の睡眠変数のそれぞれについて、前記1サイクルの平均値および標準誤差を算出して、前記平均値および標準誤差に基づいて前記睡眠評価レポートを出力することを特徴とする請求項1または4に記載の睡眠評価システム。
【請求項8】
加速度センサを備える活動量計の計測データに基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置であって、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、
前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、
前記睡眠評価レポートは、
前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を表示した少なくとも1つのレーダーチャートを備えることを特徴とする睡眠評価装置。
【請求項9】
前記睡眠評価レポートは、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠のリズムに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標、および、前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標を表示した単一のレーダーチャートを備え、
前記単一のレーダーチャートは、前記第1グループの指標が周方向に並ぶ第1領域、前記第2グループの指標が周方向に並ぶ第2領域、および、前記第3グループの指標が周方向に並ぶ第3領域を備えることを特徴とする請求項8に記載の睡眠評価装置。
【請求項10】
前記複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間、および睡眠効率を含み、
前記活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数を含み、
前記第1領域には、前記入眠潜時から演算した入眠指標、前記睡眠効率から演算した熟眠感指標、前記中途覚醒回数から演算した中途覚醒指標、前記姿勢変更回数から演算した寝返り指標、および、前記離床潜時から演算した寝起き指標が周方向に並んでおり、
前記第2領域には、前記入床時刻から演算した入床時刻指標、および、前記離床時刻から演算した起床時刻指標が周方向に並んでおり、
前記第3領域には、前記総就床時間から演算した活動時間指標、前記活動消費カロリーから演算した運動カロリー指標、および、前記歩数から演算した歩数指標が周方向に並んでいることを特徴とする請求項9に記載の睡眠評価装置。
【請求項11】
加速度センサを備える活動量計の計測データに基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置であって、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、
前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、
前記睡眠評価レポートは、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標をレーダーチャート上に表示した第1レーダーチャートと、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の長さに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標をレーダーチャート上に表示した第2レーダーチャートと、
前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標をレーダーチャート上に表示した第3レーダーチャートと、を含むことを特徴とする睡眠評価装置。
【請求項12】
前記睡眠判定部は、前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定した姿勢データに基づいて前記活動量計を装着した人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に、前記体動の指標である運動量値に基づいて前記人が睡眠中か否かを判定することを特徴とする請求項8または11に記載の睡眠評価装置。
【請求項13】
前記複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数、姿
勢変更回数、総就床時間、および睡眠効率の少なくとも一部を含み、
前記活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数の一方もしくは両方を含み、
前記第1グループの指標、前記第2グループの指標、および前記第3グループの指標は、共通指標を含み、
前記共通指標は、前記入眠潜時から演算した入眠指標、および、前記離床潜時から演算した寝起き指標を含むことを特徴とする請求項11に記載の睡眠評価装置。
【請求項14】
加速度センサを備える活動量計の計測データが入力されるコンピュータに、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠/覚醒判定処理と、
前記睡眠/覚醒判定処理の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算処理と、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力処理と、を行わせ、
前記睡眠評価レポート出力処理は、
前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を少なくとも1つのレーダーチャート上に表示する処理を含むことを特徴とする睡眠評価プログラム。
【請求項15】
前記睡眠評価レポート出力処理は、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠のリズムに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標、および、前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標を表示した単一のレーダーチャートを表示する処理を含み、
前記単一のレーダーチャートは、前記第1グループの指標が周方向に並ぶ第1領域、前記第2グループの指標が周方向に並ぶ第2領域、および、前記第3グループの指標が周方向に並ぶ第3領域を備えることを特徴とする請求項14に記載の睡眠評価プログラム。
【請求項16】
前記複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間、および睡眠効率を含み、
前記活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数を含み、
前記第1領域には、前記入眠潜時から演算した入眠指標、前記睡眠効率から演算した熟眠感指標、前記中途覚醒回数から演算した中途覚醒指標、前記姿勢変更回数から演算した寝返り指標、および、前記離床潜時から演算した寝起き指標が周方向に並んでおり、
前記第2領域には、前記入床時刻から演算した入床時刻指標、および、前記離床時刻から演算した起床時刻指標が周方向に並んでおり、
前記第3領域には、前記総就床時間から演算した活動時間指標、前記活動消費カロリーから演算した運動カロリー指標、および、前記歩数から演算した歩数指標が周方向に並んでいることを特徴とする請求項15に記載の睡眠評価プログラム。
【請求項17】
加速度センサを備える活動量計の計測データが入力されるコンピュータに、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠/覚醒判定処理と、
前記睡眠/覚醒判定処理の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算処理と、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力処理と、を行わせ、
前記睡眠評価レポート出力処理は、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から第1グループの指標を演算して第1レーダーチャート上に表示する処理と、
前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の長さに関連する睡眠変数から第2グループの指標を演算して第2レーダーチャート上に表示する処理と、
前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標を演算して第3レーダーチャート上に表示する処理と、を含むことを特徴とする睡眠評価プログラム。
【請求項18】
前記睡眠/覚醒判定処理において、前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定した姿勢データに基づいて前記活動量計を装着した人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に、前記体動の指標である運動量値に基づいて前記人が睡眠中か否かを判定することを特徴とする請求項14または17に記載の睡眠評価プログラム。
【請求項19】
前記複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間、および睡眠効率の少なくとも一部を含み、
前記活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数の一方もしくは両方を含み、
前記第1グループの指標、前記第2グループの指標、および前記第3グループの指標は、共通指標を含み、
前記共通指標は、前記入眠潜時から演算した入眠指標、および、前記離床潜時から演算した寝起き指標を含むことを特徴とする請求項17に記載の睡眠評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサにより検出した体動に基づいて人の睡眠を評価する睡眠評価システム、睡眠評価装置、および睡眠評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象者に活動量計を装着させて生活させ、活動量計の計測データから覚醒/睡眠を判定する睡眠状態判断システムが記載される。覚醒/睡眠の判定結果は、横軸を時間軸とし、縦軸を運動量値とした活動量グラフにおいて、睡眠中と判定した区間にハッチングを付すなどの表示が行われる。活動量から睡眠状態を判定する技術は、レム睡眠やノンレム睡眠の区別はできないが、簡易な装置で長期間にわたって計測できるため、対象者の負担が少ないという利点がある。
【0003】
従来、睡眠状況の分析のために、生体情報から演算される各種の指標が用いられている。例えば、覚醒/睡眠の判定結果を用いて、睡眠効率、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数などの指標を演算して睡眠状況を分析する。あるいは、特許文献1に記載されるような活動量グラフから睡眠パターンを分析することも行われる。しかしながら、研究者でも医師でもない一般の人が自分自身の睡眠状況を理解しようとしたとき、活動量グラフや指標の数値をそのまま見せられても理解することは難しい。すなわち、大まかな睡眠状態を把握することもできないし、自分の睡眠のどこをどのように改善したらよいかもわからない。
【0004】
特許文献2には、睡眠中の心拍や体動、いびきの音量などを計測した計測データから睡眠指標を演算し、睡眠指標の数値をレーダーチャートに表示して、睡眠改善アドバイス情報とともに出力することが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-200386号公報
【特許文献2】特開2009-233027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2では、就寝中の計測データだけを睡眠評価に用いるため、睡眠中の状態は把握できるものの、起床中の活動との関連で睡眠を評価することができない。実際の生活では、睡眠は起床中の活動により変化するため、睡眠の原因把握や改善につなげようとした場合、就寝中の計測データだけでは不十分な場合がある。
【0007】
例えば、特許文献2では、就寝中の計測データを用いて演算した指標だけをレーダーチャートに表示している。そのため、起床中の活動との関連を把握できない。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、睡眠評価のための計測の負担が少なく、睡眠の原因把握や改善に有効な睡眠評価の手段を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の睡眠評価システムは、加速度センサを備える活動量計と、前記活動量計の計測データに基づき前記活動量計を装着した人の睡眠および身体活動に対する評価を示す睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置と、を有する睡眠評
価システムであって、前記活動量計は、前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定する姿勢判定部と、前記加速度に基づいて体動の指標である運動量値を演算する運動量値演算部と、前記加速度に基づいて起床中の活動の指標である活動量値を演算する活動量値演算部と、を備え、前記睡眠評価装置は、前記姿勢判定部の判定データに基づいて前記人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に前記運動量値に基づいて睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、前記活動量値および前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、前記睡眠評価レポートは、前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を表示した少なくとも1つのレーダーチャートを備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明の別態様の睡眠評価システムは、加速度センサを備える活動量計と、前記活動量計の計測データに基づき前記活動量計を装着した人の睡眠および身体活動に対する評価を示す睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置と、を有する睡眠評価システムであって、前記活動量計は、前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定する姿勢判定部と、前記加速度に基づいて体動の指標である運動量値を演算する運動量値演算部と、前記加速度に基づいて起床中の活動の指標である活動量値を演算する活動量値演算部と、を備え、前記睡眠評価装置は、前記姿勢判定部の判定データに基づいて前記人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に前記運動量値に基づいて睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、前記活動量値および前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、前記睡眠評価レポートは、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標をレーダーチャート上に表示した第1レーダーチャートと、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の長さに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標をレーダーチャート上に表示した第2レーダーチャートと、前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標をレーダーチャート上に表示した第3レーダーチャートと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明およびその別態様によれば、人が活動量計を装着して生活するだけで、睡眠評価に必要な計測データ(姿勢データ、運動量値、活動量値)を収集できる。また、携帯型の装置で計測できるので、通常の生活を行いながら、睡眠中の体動データだけでなく、起床中の活動量のデータについても低負荷で、且つ、長期間にわたって無理なく収集できる。また、睡眠評価装置が出力する睡眠評価レポートにおいて、睡眠の指標および起床中の活動の指標を演算してレーダーチャート上に表示する。これにより、指標を数値で表示する場合と異なり、視覚的なパターンとしてとらえやすいので、直感的に把握しやすい。従って、専門家でなくても評価結果を理解しやすい。さらに、睡眠だけでなく、起床中の活動についても指標を演算してレーダーチャート上に表示するので、睡眠と起床中の生活状況との関連を把握しやすい。従って、良い睡眠のために何をするべきかを把握しやすい。また、別態様によれば、演算した指標を観点別のレーダーチャートに分けて表示するので、睡眠の特徴を把握しやすい。
【0012】
本発明において、前記睡眠評価レポートは、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠のリズムに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標、および、前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標を表示した単一のレーダーチャートを備え、前記単一のレーダーチャートは、前記第1グループの指標が周方向に並ぶ第1領域、前記第2グループの指標が周方向に並ぶ第2領域、および、前記第3グループの指標が周方向に並ぶ第3領域を備えることが好ましい。このようにすると、演算した指標を観点別の領
域にまとめて表示するので、単一のレーダーチャートに表示した場合でも、睡眠の特徴を把握しやすい。
【0013】
本発明において、前記複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間、および睡眠効率を含み、前記活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数を含み、前記第1領域には、前記入眠潜時から演算した入眠指標、前記睡眠効率から演算した熟眠感指標、前記中途覚醒回数から演算した中途覚醒指標、前記姿勢変更回数から演算した寝返り指標、および、前記離床潜時から演算した寝起き指標が周方向に並んでおり、前記第2領域には、前記入床時刻から演算した入床時刻指標、および、前記離床時刻から演算した起床時刻指標が周方向に並んでおり、前記第3領域には、前記総就床時間から演算した活動時間指標、前記活動消費カロリーから演算した運動カロリー指標、および、前記歩数から演算した歩数指標が周方向に並んでいることが好ましい。このようにすると、第1領域の表示が感覚的に睡眠の質の良否と合致する。また、第2領域の表示が感覚的に睡眠のリズムと合致する。さらに、第3レーダーチャートが感覚的に起床中の活動量およびその規則性と合致する。
【0014】
本発明の別態様において、前記複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時、離床潜時、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間、および睡眠効率の少なくとも一部を含み、前記活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数の一方もしくは両方を含むことが好ましい。このような指標を用いることにより、入眠および起床がスムーズであるかどうかを把握できる。また、中途覚醒の状況を把握できる。さらに、入床および起床の時刻の規則性と、睡眠の長さの規則性を把握できる。また、起床中の活動状況を把握できる。従って、これらの指標を用いることにより、睡眠について的確な評価を行うことができる。
【0015】
本発明の別態様において、前記第1グループの指標、前記第2グループの指標、および前記第3グループの指標は、共通指標を含み、前記共通指標は、前記入眠潜時から演算した入眠指標、および、前記離床潜時から演算した寝起き指標を含むことが好ましい。本発明者らは、睡眠研究において、入眠と寝起きは、睡眠にとって重要な指標であり、良い睡眠は、すぐ眠れて、すぐ起きられることであるとの知見を得ている。これら2つの共通指標を全てのレーダーチャートに含めることにより、他の指標と重要指標(共通指標)とを対比しやすいので、睡眠に対する評価を理解しやすい。
【0016】
本発明の別態様において、前記第1レーダーチャートは、前記入眠指標を表示する軸と、前記寝起き指標を表示する軸と、前記中途覚醒回数から演算した中途覚醒指標を表示する軸と、前記姿勢変更回数から演算した寝返り指標を表示する軸と、前記睡眠効率から演算した熟眠感指標を表示する軸を備え、前記第2レーダーチャートは、前記入眠指標を表示する軸と、前記寝起き指標を表示する軸と、前記入床時刻から演算した入床時刻指標を表示する軸と、前記離床時刻から演算した起床時刻指標を表示する軸と、前記総就床時間から演算した就寝時間指標を表示する軸を備え、前記第3レーダーチャートは、前記入眠指標を表示する軸と、前記寝起き指標を表示する軸と、前記総就床時間から演算した活動時間指標を表示する軸と、前記活動消費カロリーから演算した運動カロリー指標を表示する軸と、前記歩数から演算した歩数指標を表示する軸を備えることが好ましい。このようにすると、第1レーダーチャートが感覚的に睡眠の質の良否と合致する。また、第2レーダーチャートが感覚的に睡眠の長さおよび規則性と合致する。さらに、第3レーダーチャートが感覚的に起床中の活動量およびその規則性と合致する。
【0017】
本発明およびその別態様において、休日を含む複数日を1サイクルとして繰り返す生活サイクルにおける前記1サイクル以上の連続期間にわたって前記活動量計による計測が行われ、前記睡眠評価装置に前記連続期間の前記計測データが入力された場合に、前記睡眠評価レポート出力部は、前記活動量値および前記複数の睡眠変数のそれぞれについて、前
記1サイクルの平均値および標準誤差を算出して、前記平均値および標準誤差に基づいて前記睡眠評価レポートを出力することが好ましい。このように、休日を含む1サイクルの計測期間のデータを用いることにより、睡眠変数の平均値として適正な値を得ることができる。また、標準誤差を用いることにより、規則性に対する評価を加味することができる。従って、感覚と一致する睡眠評価レポートを提供できるので、良い睡眠のための適正な指針を得ることができる。
【0018】
次に、本発明の睡眠評価装置は、加速度センサを備える活動量計の計測データに基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置であって、前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、前記睡眠評価レポートは、前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を表示した少なくとも1つのレーダーチャートを備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の別態様の睡眠評価装置は、加速度センサを備える活動量計の計測データに基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置であって、前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、前記睡眠評価レポートは、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標をレーダーチャート上に表示した第1レーダーチャートと、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の長さに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標をレーダーチャート上に表示した第2レーダーチャートと、前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標をレーダーチャート上に表示した第3レーダーチャートと、を含むことを特徴とする。
【0020】
次に、本発明の睡眠評価プログラムは、加速度センサを備える活動量計の計測データが入力されるコンピュータに、前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠/覚醒判定処理と、前記睡眠/覚醒判定処理の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算処理と、前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力処理と、を行わせ、前記睡眠評価レポート出力処理は、前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を少なくとも1つのレーダーチャート上に表示する処理を含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の別態様の睡眠評価プログラムは、加速度センサを備える活動量計の計測データが入力されるコンピュータに、前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠/覚醒判定処理と、前記睡眠/覚醒判定処理の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算処理と、前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力処理と、を行わせ、前記睡眠評価レポート出力処理は、前記複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から第1グループの指標を演算して第1レーダーチャート上に表示する処理と、前記複数の睡眠変数のうちで
睡眠の長さに関連する睡眠変数から第2グループの指標を演算して第2レーダーチャート上に表示する処理と、前記活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標を演算して第3レーダーチャート上に表示する処理と、を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明およびその別態様の睡眠評価プログラムにおいて、前記睡眠判定部、および、前記睡眠/覚醒判定処理においては、前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定した姿勢データに基づいて前記活動量計を装着した人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に、前記体動の指標である運動量値に基づいて前記人が睡眠中か否かを判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、加速度センサを備えた活動量計を用いて、低負荷で睡眠評価に必要な計測データを収集できる。また、睡眠評価レポートにおいて、睡眠変数から演算した指標および起床中の活動量値から演算した指標をレーダーチャート上に表示するので、視覚的なパターンとしてとらえやすく、直感的に把握しやすい。従って、専門家でなくても評価結果を理解しやすい。さらに、睡眠だけでなく、起床中の活動についても指標を演算してレーダーチャート上に表示するので、睡眠と起床中の生活状況との関連を把握しやすい。従って、良い睡眠のために何をするべきかを把握しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】睡眠評価システムの説明図である。
図2】活動量計の外観図および活動量計を人が装着した状態の説明図である。
図3】活動量計のブロック図である。
図4】睡眠評価装置の主要部を示すブロック図である。
図5】運動量値の演算処理および姿勢判定処理を示すフローチャートである。
図6】睡眠/覚醒判定処理を示すフローチャートである。
図7】活動量グラフの表示例である。
図8】実施形態1の睡眠評価レポートの表示例である。
図9】実施形態2の睡眠評価レポートの表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る睡眠評価システム、睡眠評価装置、および睡眠評価プログラムの実施の形態を説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は、睡眠評価システム1の説明図である。睡眠評価システム1は、活動量計2および睡眠評価装置3を備える。本形態では、活動量計2の計測データを睡眠評価装置3に入力する。睡眠評価装置3は、活動量計2の計測データに基づき、活動量計2を装着した人の睡眠および身体活動に対する評価を表示した睡眠評価レポート100を出力する。
【0027】
(活動量計)
図2(a)は、活動量計2の外観図である。図2(b)は、活動量計2を人が装着した状態の説明図である。図2(a)に示すように、活動量計2の外形は略直方体状である。図2(b)に示すように、活動量計2は、人の腰部に装着される。これにより、活動量計2の動きが人の体動と一致し、活動量計2の姿勢が人の姿勢と一致する。活動量計2は、互いに直交する3軸の加速度を検出して加速度信号を出力する加速度センサを備える。図2(a)に示すX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交する方向である。活動量計2は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の加速度を検出する。
【0028】
図3は、活動量計2のブロック図である。活動量計2は、センサ部21と、制御部22
と、記憶部23と、表示部24と、入力部25と、通信部26を備える。センサ部21は、活動量計2の動きを検出する。センサ部21は、3軸の加速度センサを備える。制御部22は、記憶部23に記憶されるプログラムを読み出して演算を行う演算素子を備える。制御部22は、記憶部23に記憶されるプログラムに基づき、センサ部21の検出信号を用いて後述する演算および判定を行う。記憶部23は、プログラムおよび計測データを記憶する不揮発性記憶素子を備える。
【0029】
制御部22は、姿勢判定部27と、運動量値演算部28と、活動量値演算部29を備える。姿勢判定部27、運動量値演算部28、および活動量値演算部29の機能は、記憶部23に記憶されたプログラムを演算素子が読み込んで実行することにより実現される。姿勢判定部27は、センサ部21の検出信号を用いて姿勢を判定する。運動量値演算部28は、センサ部21の検出信号を用いて運動量値を演算する。活動量値演算部29は、センサ部21の検出信号および身体データを用いて、運動強度、運動量(運動強度×時間)、総消費カロリー、活動消費カロリー、歩数などの活動量値を演算する。記憶部23に蓄積される計測データは、制御部22により演算された運動量値、姿勢判定結果(姿勢データ)、および活動量値のデータを含む。
【0030】
活動量値の演算に用いる身体データは、活動量計2を装着する人の身体データであり、例えば、年齢、身長、性別、体重を含む。身体データは、活動量計2の使用開始前に入力部25を介して入力するものとする。図2(a)に示すように、本形態では、入力部25はボタンの操作により入力する構成であるが、タッチパネルや音声入力により入力する構成であってもよい。表示部24は、液晶表示パネルである。表示部24には、入力部25の操作に応じて、制御部22により演算された身体活動量のデータが表示される。
【0031】
なお、活動量計2は、入力部25および表示部24を省略した構成としてもよい。この場合は、通信部26を介して、非接触通信によりコンピュータから身体データを活動量計2に送信することができる。また、活動量計2の外形は、直方体状に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
【0032】
通信部26は、非接触通信により睡眠評価装置3との間でデータの送受信を行う。例えば、図1に示すように、近距離無線通信用のリーダライタ4を介して睡眠評価装置3との間でデータの送受信を行う。非接触通信の手段は、FeliCa(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信の規格に対応するものでもよいし、赤外線通信を用いてもよい。通信部26は、記憶部23に記憶された計測データを、非接触通信により睡眠評価装置3に送信する。
【0033】
制御部22は、センサ部21から出力される検出信号に基づき、姿勢判定部27による姿勢判定、および運動量値演算部28による運動量値の演算を定期的に行う。
【0034】
(睡眠評価装置)
図1に示す例は、睡眠評価装置3として汎用のノートパソコンを用いた場合の例である。睡眠評価装置3は、図1とは異なる形態の汎用のパーソナルコンピュータであってもよいし、タブレット端末やスマートフォンなどの各種の携帯端末を用いてもよい。図1に示す睡眠評価装置3は、キーボード31が一体に形成されたコンピュータ本体30と、液晶表示パネル32と、コンピュータ本体30の入力端子に接続されるマウス33を備える。
【0035】
コンピュータ本体30には、活動量計2と非接触通信を行うためのリーダライタ4が接続される。リーダライタ4は、コンピュータ本体30に内蔵される構成であってもよい。コンピュータ本体30は、通信インターフェースを備えており、通信インターフェースを介して活動量計2との間でデータの送受信を行う。また、コンピュータ本体30は、通信
インターフェースを介して、プリンターなどの周辺機器にデータを出力する機能や、ネットワークを介して外部機器と通信を行う機能を備えていてもよい。
【0036】
コンピュータ本体30は、RAM、ROM、HDDなどの記憶部と、ROMもしくはHDDに記憶されたプログラムを読み出して実行するCPUなどの演算素子を備える。記憶部は、HDDに代えてSSDを備えていても良い。あるいは、CD-ROMやフラッシュメモリなどの記憶媒体からプログラムを読み出して実行する構成としてもよい。
【0037】
コンピュータ本体30において実行されるプログラムは、睡眠評価装置3の機能を実現するためのアプリケーションプログラム(睡眠評価プログラム)、リーダライタ4を介して活動量計2との間でデータの送受信を行うための通信プログラム、液晶表示パネル32に各種の表示を行わせるためのプログラム、外部機器との間で通信を行うためのプログラム、プリンターに印刷を行わせるためのプログラム等を含む。
【0038】
図4は、睡眠評価装置3の主要部を示すブロック図である。図4に示すように、睡眠評価装置3は、睡眠判定部34と、睡眠変数演算部35と、睡眠評価レポート出力部36を備える。睡眠判定部34、睡眠変数演算部35、および睡眠評価レポート出力部36の機能は、上記のように、コンピュータ本体30の演算素子がコンピュータ本体30の記憶部あるいは記憶媒体から睡眠評価プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0039】
(運動量値の演算処理および姿勢判定処理)
次に、活動量計2において行われる運動量値の演算処理、姿勢判定処理、および活動量値の演算処理について説明する。図5は、運動量値の演算処理および姿勢判定処理を示すフローチャートである。運動量値演算部28は、図5のフローチャートを2分毎に繰り返すことにより、2分毎に運動量値Mcを算出する。なお、演算周期は、2分以外の周期でもよく、数秒~数分の間の任意の周期とすることができる。また、姿勢判定部27は、運動量値Mcの演算と同一周期で姿勢判定を行う。
【0040】
まず、ステップST1において、運動カウンタUtおよび時間値tを初期化する。次に、ステップST2~ST7において運動量値Mcを演算する。ステップST2では、センサ部21が備える3軸の加速度センサからX軸方向の加速度信号、Y軸方向の加速度信号、および、Z軸方向の加速度信号を一定周期で取得する。加速度信号を取得する周期は、数十ms~数百msの間の任意の周期とすることができ、例えば125msとすることができる。
【0041】
ステップST3では、直近に取得した加速度信号と、直近の所定期間(例えば、直近の8回(すなわち直近の1秒間))の加速度信号の平均値との差分の絶対値を、3軸のそれぞれについて演算する。以下、ステップST3の演算結果をx比較値、y比較値、z比較値と呼ぶ。
【0042】
ステップST4では、x比較値、y比較値、z比較値のいずれかが閾値Th以上であるか否か判定する。閾値Th以上である場合(ステップST4:Yes)、ステップST5へ進む。ステップST5では、運動カウンタUtに一定値(例えば、0.5)を加算する。なお、加算値は0.5以外の値(例えば、1)でもよい。また、閾値Th以上の比較値の数に応じて、運動カウンタUtに加算する数を決定してもよい。例えば、閾値Th以上の比較値の数が3の場合は運動カウンタUtに3を加算してもよい。
【0043】
ステップST4において、x比較値、y比較値、z比較値が全て閾値Th未満の場合(ステップST4:No)、ステップST6へ進む。ステップST6では、時間値tが閾値T以上か否かを判定する。閾値Tは、運動量値Mcの演算周期であり、例えば、2分であ
る。ステップST6において、時間値tが閾値T未満の場合(ステップST6:No)、ステップST2へ戻る。
【0044】
時間値tが閾値T以上の場合(ステップST6:Yes)、ステップST7へ進み、運動カウンタUtの値から運動量値Mcを演算する。運動量値Mcの演算は、演算式により行うこともできるし、あるいは、運動カウンタUtの値と運動量値Mcとを対応づけたテーブルを用いて行ってもよい。本形態では、運動カウンタUtの値と、32段階の運動量値Mcとを対応づけたテーブルを用いて、運動カウンタUtの値から運動量値Mcを決定する処理を行う。
【0045】
続いて、ステップST8へ進み、姿勢判定を行う。姿勢判定部27は、直近の2分間に一定周期毎(例えば、125m毎)に取得した3軸の加速度信号を用いて姿勢判定を行う。例えば、3軸の加速度信号を取得する毎に、加速度信号の値から重力方向を判定する。そして、2分間の間の重力方向の判定データから、以下に説明する6種類の姿勢(倒立、立位、左仰臥位、右仰臥位、伏臥位、仰臥位)のうち、どの姿勢でいた時間が最も長かったかを判定する。ステップST8では、2分間の中で最も長い間該当した姿勢の番号を、判定結果とする処理を行う。
【0046】
6種類の姿勢とその姿勢番号は、例えば、以下のように設定する。図2(a)に示すように、X軸方向の一方側を+X、X軸方向の他方側を-X、Y軸方向の一方側を+Y、Y軸方向の他方側を-Y、Z軸方向の一方側を+Z、Z軸方向の他方側を-Zとしたとき、重力方向が+Y方向を含む所定の角度範囲にあるときの姿勢番号を1とし、重力方向が-Y方向を含む所定の角度範囲にあるときの姿勢番号を2とする。また、重力方向が+X方向を含む所定の角度範囲にあるときの姿勢番号を3とし、重力方向が-X方向を含む所定の角度範囲にあるときの姿勢番号を4とする。そして、重力方向が+Z方向を含む所定の角度範囲にあるときの姿勢番号を5とし、重力方向が-Z方向を含む所定の角度範囲にあるときの姿勢番号を6とする。
【0047】
上記のように決定した姿勢番号と、活動量計2を装着した人の姿勢との対応関係は、以下のようになる。姿勢番号1は「倒立」、姿勢番号2は「立位」、姿勢番号3は「左仰臥位」、姿勢番号4は「右仰臥位」、姿勢番号5は「伏臥位」、姿勢番号6は「仰臥位」である。運動量値演算部28および姿勢判定部27は、図5のフローチャートを2分毎に繰り返すことにより、2分毎に運動量値Mcおよび姿勢番号を記憶部23に蓄積する。
【0048】
(活動量値の演算)
活動量値演算部29は、入力部25から入力された身体データを記憶部23から読み出して、身体データおよび加速度センサの信号に基づいて身体活動に関する指標(以下、活動量値という)を演算する。例えば、活動量値として、運動強度、運動量(運動強度×時間)、総消費カロリー、活動消費カロリー、歩数等の指標を演算する。演算したデータは、記憶部23に蓄積する。運動量(運動強度×時間)、総消費カロリー、活動消費カロリー、および歩数などの値は、例えば、1日ごとの累積値(24時間の累積値)を算出する。
【0049】
活動量計2から睡眠評価装置3に送信される計測データは、例えば、運動量値Mcおよび姿勢番号を時刻に対応づけたデータと、活動量値を時刻や計測日に対応づけたデータを含む。これらのデータは、活動量計2を装着した人を特定する個人情報(例えば、ID、氏名等)に対応づけられている。
【0050】
(睡眠/覚醒判定処理)
図6は、睡眠/覚醒判定処理を示すフローチャートである。睡眠評価装置3は、活動量
計2から睡眠評価装置3に送信される計測データの中から運動量値Mcおよび姿勢番号のデータを用いて睡眠/覚醒判定を行う。
【0051】
睡眠判定部34は、図6のフローチャートを実行することにより、活動量計2から受信した計測データの全期間にわたって、一定周期(例えば、2分毎)で睡眠中か否かの判定を行う。ステップST11では、時刻tにおいて活動量計2を装着した人が横になっているか否かを判定する。本形態では、以下に説明するZ値を睡眠/覚醒判定に用いるため、時刻tの初期値は、計測データの3つ目の運動量値Mcに対応づけられた時刻である。
【0052】
具体的には、ステップST11では、姿勢番号が3、4、5、6(すなわち、左仰臥位、右仰臥位、伏臥位、仰臥位)のいずれかと一致するか否かを判定する。一致する場合は、横になっていると判定して(ステップST11:Yes)、ステップST12に進む。一致しない場合は、横になっていないと判定して(ステップST11:No)、ステップST16に進む。
【0053】
ステップST12、ST13では、時刻tにおいて活動量計2を装着した人が睡眠中か否かの判定(睡眠/覚醒判定)を行い、判定結果を睡眠評価装置3の記憶部に蓄積する。この判定には、時刻tの運動量値Mcを含む連続した5つの運動量値Mcから演算したZ値を用いる。時刻tの運動量値McをXとし、その1つ前の運動量値McをX-1とし、その2つ前の運動量値McをX-2とし、時刻tの1つ後の運動量値McをX+1とし、その2つ後の運動量値McをX+2とした場合に、ステップST12において、以下の式によりZ値を演算する。
Z=0.24669X-2+0.2562X-1+0.408771X+0.155046X+1+0.136726X+2
【0054】
ステップST13では、Z値が1以上であれば覚醒と判定し、Z値が1未満であれば睡眠中と判定する。ステップ14では、判定結果を時刻tにおける睡眠/覚醒状態のデータとして、睡眠評価装置3の記憶部に蓄積する。
【0055】
続いて、ステップST15では、計測データ中に、直前のZ値の演算に用いた運動量値Mcよりも後の運動量値Mc(すなわち、上記の式におけるX+2よりも後の運動量値Mc)が残っているか否かを判定する。運動量値Mcが残っていない場合は(ステップST15:No)は、睡眠/覚醒判定を終了する。運動量値Mcが残っている場合は(ステップST15:Yes)、ステップST16に進む。ステップST16では、時刻tを一定時間(本形態では、2分)進める。そして、ステップST11に戻る。
【0056】
このようにして、睡眠判定部34は、計測データの3個目の運動量値Mcの計測時点から、一定周期(本形態では、2分毎)で睡眠/覚醒判定を行い、判定結果のデータを蓄積する。これにより、睡眠評価装置3の記憶部には、2分毎の時刻情報に対して、睡眠/覚醒判定結果を対応づけたデータが蓄積される。
【0057】
(睡眠変数の演算)
睡眠変数演算部35は、睡眠判定部34による2分毎の睡眠/覚醒判定のデータ、および、活動量計2において判定された姿勢データ(姿勢判定部27による判定データ)を用いて、以下の睡眠変数を演算する。
・入床時刻(就床時刻)
・離床時刻(起床時刻)
・入眠潜時(睡眠潜時(SL))
・離床潜時(BOT)
・中途覚醒回数
・姿勢変更回数
・中途覚醒時間(WASO)
・総就床時間(全就床時間(TIB))
・総睡眠時間(TST)
・睡眠効率(SE)
【0058】
入床時刻(就床時刻)は、ふとんに入った時刻である。離床時刻(起床時刻)は、ふとんから出た時刻である。入眠潜時(睡眠潜時(SL))は、ふとんに入ってから入眠するまでの時間である。離床潜時(BOT)は、目覚めてからふとんを出るまでの時間である。中途覚醒回数は、入眠から目覚めるまでの間に、所定時間以上(例えば、8分以上)起きていた回数である。姿勢変更回数は、入床(就床)から離床(起床)までの間に、姿勢を変更した回数である。中途覚醒時間(WASO)は、所定時間以上(例えば、8分以上)起きていた時間の合計時間である。総就床時間(全就床時間(TIB))は、ふとんにいた時間の長さであり、入床時刻から離床時刻までの時間の長さである。総睡眠時間(TST)は、眠っていた時間の長さであり、総就床時間(TIB)から入眠潜時(SL)、離床潜時(BOT)、および中途覚醒時間(WASO)を減じた時間の長さである。睡眠効率(SE)は、ふとんの中にいた時間(総就床時間(TIB))のうちで眠っていた時間(総睡眠時間(TST))の割合(%)である。
【0059】
睡眠変数演算部35は、例えば、睡眠/覚醒判定のデータから入床時刻および離床時刻を推定する。また、入床時刻および離床時刻から総就床時間(TIB)を推定する。
【0060】
また、睡眠変数演算部35は、睡眠/覚醒判定のデータから、以下の判定基準1、2を用いて睡眠変数の演算を行う。
<判定基準1>7分以下の連続した覚醒判定は睡眠とする
<判定基準2>14分以上の連続した睡眠判定の先頭時刻を入眠時刻とする
【0061】
例えば、睡眠変数演算部35は、判定基準2を用いて入眠時刻を推定し、入眠時刻および入床時刻(就床時刻)の推定結果を用いて、入眠潜時(SL)を演算する。また、睡眠変数演算部35は、判定基準1を用いて中途覚醒期間を推定する。例えば、判定基準1から、8分以上連続して覚醒判定が続いた期間を中途覚醒期間であると推定する。そして、中途覚醒期間の推定結果を用いて、中途覚醒回数、および、中途覚醒時間(WASO)を演算する。
【0062】
さらに、睡眠変数演算部35は、総就床時間(TIB)から中途覚醒時間(WASO)、入眠潜時(SL)、および離床潜時(BOT)を減じることにより総睡眠時間(TST)を演算する。また、総就床時間(TIB)および総睡眠時間(TST)から睡眠効率(SE)を演算する。
【0063】
図7は、活動量グラフの表示例である。図7の横軸は時刻であり、縦軸は運動量値Mc(32段階の値)である。睡眠評価装置3は、図7に示すように、運動量値Mcの変動を示すグラフ上に睡眠/覚醒判定の結果を重ねて表示する機能を備える。図7の横軸上に示すT1のマークは入床時刻の推定結果であり、T2のマークは離床時刻の推定結果である。また、符号Sを付した期間は睡眠中と推定した期間であり、符号Wを付した期間は中途覚醒と推定した期間である。
【0064】
図7に示す活動量グラフを睡眠評価装置3の液晶表示パネル32に表示することにより、睡眠変数演算部35により推定された入床時刻T1や離床時刻T2を確認することができる。もし、入床時刻T1および離床時刻T2の推定結果が実際に入床した時間や離床した時間とずれている場合には、液晶表示パネル32に表示された入床時刻T1および離床時刻T2の推定値を示すマークをマウス操作で移動させることにより、入床時刻T1およ
び離床時刻T2の修正入力を行うことが可能である。
【0065】
(睡眠評価レポート)
図8は、実施形態1の睡眠評価レポート100の表示例である。睡眠評価装置3は、睡眠変数演算部35により演算された上記の睡眠変数、および、活動量計2から出力された活動量値のデータを用いて、図8に示す睡眠評価レポート100を出力する。例えば、出力の態様としては、図1に示すように睡眠評価装置3の表示画面(液晶表示パネル32)に表示する態様とすることができる。あるいは、プリンターに印刷データを出力して紙などの印刷媒体に印刷する態様でもよいし、外部端末に睡眠評価レポートのイメージデータを送信する態様とすることもできる。
【0066】
睡眠評価レポート100は、図8に示すように、第1レーダーチャート110、第2レーダーチャート120、および第3レーダーチャート130と、点数表140と、解説表示150を含む。また、活動量計2を装着した人の氏名やIDなどの個人情報160を含む。
【0067】
(レーダーチャート)
第1レーダーチャート110は「睡眠の質」に関連する5つの指標をレーダーチャート上に表示したものである。第1グループの指標は「入眠」、「寝起き」、「寝返り」、「熟眠感」、および「中途覚醒」の5つである。第2レーダーチャート120は「睡眠の長さ」に関連する5つの指標をレーダーチャート上に表示したものである。第2グループの指標は「入眠」、「寝起き」、「入床時刻」、「起床時刻」、および「就寝時間」の5つである。第3レーダーチャート130は「活動」に関連する5つの指標をレーダーチャート上に表示したものである。第3グループの指標は「入眠」、「寝起き」、「活動時間」、「運動カロリー」、および「歩数」の5つである。
【0068】
上記のように、第1グループの指標、第2グループの指標、および第3グループの指標は、共通指標を含む。共通指標は「入眠」と「寝起き」である。第1グループおよび第2グループの指標は、全て、睡眠変数を用いて演算した指標である。第3グループの指標は、共通指標である「入眠」と「寝起き」、および「活動時間」は睡眠変数から演算されるが、他の2つの指標(「運動カロリー」と「歩数」)は、活動量値から演算した指標である。
【0069】
睡眠評価装置3は、活動量計2から複数日にわたる計測データを受信すると、睡眠変数演算部35により、上記の各睡眠変数を1日毎に演算する。例えば、計測データの中から最新の所定日数(例えば、1週間分)の計測データを抽出して、1週間分の睡眠変数を演算する。続いて、睡眠評価レポート出力部36は、1週間分の睡眠変数のデータから各睡眠変数の平均値および標準誤差を演算する。また、睡眠評価レポート出力部36は、計測データの中から最新の1週間分の活動量値(例えば、活動消費カロリーと歩数)のデータを抽出して、各活動量値の平均値および標準誤差を演算する。
【0070】
睡眠評価レポート出力部36は、上記の一週間分の睡眠変数および活動量値の平均値および標準誤差から、以下のように第1グループの指標、第2グループの指標、および第3グループの指標を演算する。
【0071】
まず、第1グループの指標について説明する。「入眠」指標は、入眠潜時(SL)の平均値AV1、および入眠潜時(SL)の標準誤差SE1を用いて算出する。例えば、AV1およびSE1がいずれも0の場合に100点となる演算式を用いる。また、AV1の値が大きくなるほど点数が下がり、SE1の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「入眠」指標の値は92.7点である。
【0072】
「寝起き」指標は、離床潜時(BOT)の平均値AV2、および離床潜時(BOT)の標準誤差SE2を用いて算出する。例えば、AV2およびSE2がいずれも0の場合に100点となる演算式を用いる。また、AV2の値が大きくなるほど点数が下がり、SE2の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「寝起き」指標の値は95.6点である。
【0073】
「寝返り」指標は、姿勢変更回数の平均値AV3、および姿勢変更回数の標準誤差SE3を用いて算出する。例えば、AV3およびSE3がいずれも0の場合に100点となる演算式を用いる。また、AV3の値が大きくなるほど点数が下がり、SE3の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「寝返り」指標の値は89.0点である。
【0074】
「中途覚醒」指標は、中途覚醒回数の平均値AV4、および中途覚醒回数の標準誤差SE4を用いて算出する。例えば、AV4およびSE4がいずれも0の場合に100点となる演算式を用いる。また、AV4の値が大きくなるほど点数が下がり、SE4の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「中途覚醒」指標の値は89.6点である。
【0075】
「熟眠感」指標は、睡眠効率(SE)の平均値AV5、および睡眠効率(SE)の標準誤差SE5を用いて算出する。例えば、AV5が100%で、且つ、SE5が0の場合に100点となる演算式を用いる。また、AV4の値が小さくなるほど点数が下がり、SE4の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「熟眠感」指標の値は91.1点である。
【0076】
次に、第2グループの指標について説明する。「入眠」指標と「寝起き」指標は上記の通りである。「入床時刻」指標は、入床時刻の平均値AV6、および入床時刻の標準誤差SE6を用いて算出する。例えば、AV6と夜11時半(23時半)との時間差が0で、且つ、SE6の値が0の場合に100点となる演算式を用いる。また、AV6と夜11時半(23時半)と時間差が大きくなるほど点数が下がり、SE6の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「入床時刻」指標の値は75.9点である。
【0077】
「起床時刻」指標は、離床時刻(起床時刻)の平均値AV7、および離床時刻の標準誤差SE7を用いて算出する。例えば、AV7と朝6時半との時間差が0で、且つ、SE7の値が0の場合に100点となる演算式を用いる。また、AV7と朝6時半と時間差が大きくなるほど点数が下がり、SE7の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「起床時刻」指標の値は95.4点である。
【0078】
「就寝時間」指標は、総就床時間(TIB)の平均値AV8、および総就床時間(TIB)の標準誤差SE8を用いて算出する。例えば、AV8と7時間とが一致し、且つ、SE8の値が0の場合に100点となる演算式を用いる。また、AV8と7時間との差が大きくなるほど点数が下がり、SE6の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「就寝時間」指標の値は71.0点である。
【0079】
次に、第3グループの指標について説明する。「入眠」指標と「寝起き」指標は上記の通りである。「活動時間」指標は、「就寝時間」指標と同様に、総就床時間(TIB)の平均値AV8、および総就床時間(TIB)の標準誤差SE8を用いて算出する。ここで、活動時間は、起床している時間の長さを示す指標であり、24時間から総就床時間(TIB)を減じた値である。この場合、「就寝時間」指標が適正値であるときには、「活動
時間」も適正値であり、「就寝時間」が適正値でないときには、「活動時間」も適正値でない値となる。そこで、本形態では、「活動時間」指標として、「就寝時間」指標と同一の値を用いることとした。図8に示す例では、「活動時間」指標の値は71.0点である。
【0080】
なお、「活動時間」指標は、24時間から総就床時間(TIB)を減じた値の平均値およびその標準偏差を用いて演算してもよい。
【0081】
「歩数」指標は、1日に歩いた歩数の平均値AV9、および1日に歩いた歩数の標準誤差SE9を用いて算出する。例えば、AV9が1万1千歩以上で、且つ、標準誤差SE9の値が0の場合に100点となり、1万1千歩より少なくなるほど点数が下がる演算式を用いる。また、標準誤差SE9の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「歩数」指標の値は39.3点である。
【0082】
「運動カロリー」指標は、活動消費カロリーの平均値AV10、および活動消費カロリーの標準誤差SE10を用いて算出する。例えば、AV10が350キロカロリー以上で、且つ、SE10の値が0の場合に100点となり、AV1が350より少なくなるほど点数が下がる演算式を用いる。また、SE10の値が大きくなるほど点数が下がる演算式を用いる。図8に示す例では、「活動カロリー」指標の値は100点である。
【0083】
(総合点)
図8に示すように、睡眠評価レポート100は、第1総合点N1、第2総合点N2、および第3総合点N3の数値表示を含む。第1総合点N1は、「睡眠の質」の総合点であり、第1グループの5つの指標(AV1、AV2、AV3、AV4、AV5)の平均値である。第2総合点N2は、「睡眠の長さ」の総合点であり、第2グループの5つの指標(AV1、AV2、AV6、AV7、AV8)の平均値である。第3総合点N3は、「活動」の総合点であり、第3グループの5つの指標(AV1、AV2、AV8、AV9、AV10)の平均値である。
【0084】
第1総合点N1、第2総合点N2、および第3総合点N3は、各レーダーチャートの上に「質は92点」「長さは86点」「活動は80点」のように表示される。また、3つの点数を点数表140にまとめて表示する。なお、本形態では、第1総合点N1、第2総合点N2、および第3総合点N3は、それぞれ、5つの指標の単純平均を求める演算により算出しているが、加重平均により算出してもよい。
【0085】
(解説表示)
睡眠評価レポート100は、3つのレーダーチャートおよび点数表140を表示したエリアの下に表示されるコメント欄を備える。コメント欄には、レーダーチャートに表示される指標の内容を解説した解説表示150が配置される。解説表示150は、どのような場合に点数が100点となるのかを端的に説明した文章である。
【0086】
本形態では、指標の中で点数が低い指標がある場合には、注意喚起表示を行う。すなわち、基準点(例えば、80点)よりも低い点数の指標がある場合は、点数の具体値、および、どのように基準点から外れているかを表示する。例えば、図8の例では、「歩数」指標が39点であるため、点数(39点)および「少ない」との表示を行う。
【0087】
(実施形態1の主な作用効果)
以上のように、実施形態1の睡眠評価システム1は、加速度センサを備える活動量計2と、活動量計2の計測データに基づき活動量計2を装着した人の睡眠および身体活動に対する評価を示す睡眠評価レポート100を出力する睡眠評価装置3を有する。活動量計2
は、加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定する姿勢判定部27と、加速度センサにより検出された加速度に基づいて体動の指標である運動量値Mcを演算する運動量値演算部28と、加速度センサにより検出された加速度に基づいて起床中の活動の指標である活動量値を演算する活動量値演算部29を備える。睡眠評価装置3は、姿勢判定部27の判定データに基づいて人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に運動量値Mcに基づいて睡眠中か否かを判定する睡眠判定部34と、睡眠判定部34の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部35と、活動量値および複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポート100を出力する睡眠評価レポート出力部36を備える。睡眠評価レポート100は、複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算される第1グループの指標をレーダーチャート上に表示した第1レーダーチャート110と、複数の睡眠変数のうちで睡眠の長さに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標をレーダーチャート上に表示した第2レーダーチャート120と、活動量値から演算される指標を含む第3グループの指標をレーダーチャート上に表示した第3レーダーチャート130と、を含む。
【0088】
実施形態1によれば、人が活動量計2を装着して生活するだけで、睡眠評価に必要な計測データ(姿勢データ、運動量値Mc、活動量値)を収集できる。また、携帯型の装置で計測できるので、通常の生活を行いながら、睡眠中の体動のデータだけでなく、起床中の活動量のデータについても低負荷で、且つ、長期間にわたって無理なく収集できる。また、睡眠評価装置3が出力する睡眠評価レポートにおいて、睡眠の指標および起床中の活動の指標を演算してレーダーチャート上に表示する。これにより、指標を数値で表示する場合と異なり、視覚的なパターンとしてとらえやすいので、直感的に把握しやすい。従って、専門家でなくても評価結果を理解しやすい。また、観点によってレーダーチャートを分けて表示するので、睡眠の特徴を把握しやすい。さらに、睡眠だけでなく、起床中の活動についても指標を演算してレーダーチャート上に表示するので、睡眠と起床中の活動との関連を把握しやすい。従って、良い睡眠のために何をするべきかを把握しやすい。
【0089】
実施形態1では、レーダーチャート上に表示する指標を演算するために用いる複数の睡眠変数は、入床時刻、離床時刻、入眠潜時(SL)、離床潜時(BOT)、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間(TIB)、および睡眠効率(SE)である。また、レーダーチャート上に表示する指標を演算するために用いる活動量値は、活動消費カロリーおよび歩数である。このような指標を用いることにより、入眠および起床がスムーズであるかどうかを把握できる。また、中途覚醒の状況を把握できる。さらに、入床および起床の時刻の規則性と、睡眠の長さの規則性を把握できる。また、起床中の活動状況を把握できる。従って、これらの指標を用いることにより、睡眠について的確な評価を行うことができる。
【0090】
なお、レーダーチャート表示に用いる睡眠変数として、入床時刻、離床時刻、入眠潜時(SL)、離床潜時(BOT)、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間(TIB)、および睡眠効率(SE)の一部のみを用いてもよい。あるいは、他の睡眠変数を加えてもよい。また、活動量値として、活動消費カロリーと歩数の一方のみを用いてもよい。あるいは、他の活動量値(例えば、運動量(運動強度×時間)や、総消費カロリー)を用いてもよい。レーダーチャート表示に使用する睡眠変数および活動量値を増減する場合、レーダーチャートの軸の数は4本以下、あるいは、6本以上とする。
【0091】
実施形態1では、第1グループの指標、第2グループの指標、および第3グループの指標は、共通指標を含み、共通指標は、入眠潜時(SL)から演算した入眠指標、および、離床潜時(BOT)から演算した寝起き指標を含む。睡眠研究の知見から、入眠と寝起きは、睡眠にとって重要な指標とされ、良い睡眠は、すぐ眠れて、すぐ起きられることとされる。従って、これら2つの共通指標を全てのレーダーチャートに含めることにより、他
の指標と重要指標(共通指標)とを対比しやすい。従って、睡眠に対する評価を理解しやすい。
【0092】
実施形態1では、第1レーダーチャート110は、入眠指標を表示する軸と、寝起き指標を表示する軸と、中途覚醒回数から演算した中途覚醒指標を表示する軸と、姿勢変更回数から演算した寝返り指標を表示する軸と、睡眠効率から演算した熟眠感指標を表示する軸を備える。第2レーダーチャート120は、入眠指標を表示する軸と、寝起き指標を表示する軸と、入床時刻から演算した入床時刻指標を表示する軸と、離床時刻から演算した起床時刻指標を表示する軸と、総就床時間(TIB)から演算した就寝時間指標を表示する軸を備える。第3レーダーチャート130は、入眠指標を表示する軸と、寝起き指標を表示する軸と、総就床時間(TIB)から演算した活動時間指標を表示する軸と、活動消費カロリーから演算した運動カロリー指標を表示する軸と、歩数から演算した歩数指標を表示する軸を備える。このような指標の組み合わせを用いることにより、第1レーダーチャート110が感覚的に睡眠の質の良否と合致するものとなる。また、第2レーダーチャート120が感覚的に睡眠の長さおよび規則性と合致するものとなる。そして、第3レーダーチャート130が感覚的に起床中の活動量およびその規則性と合致するものとなる。
【0093】
実施形態1の睡眠評価レポート100は、第1グループの指標から演算した第1総合点N1の数値表示と、第2グループの指標から演算した第2総合点N2の数値表示と、第3グループの指標から演算した第3総合点N3の数値表示を含んでいる。このように、数値で表示することにより、量的な評価が容易となる。例えば、複数回の睡眠評価を行った場合に、結果を比較しやすく、改善効果が現れているかどうかを評価しやすい。
【0094】
実施形態1の睡眠評価レポート100は、第1グループの指標、第2グループの指標、および第3グループの指標のそれぞれに関する解説表示150を含む。このような表示があれば、睡眠評価レポート100の詳細な理解に役立つとともに、良い睡眠のために何をすべきかを明確に理解しやすい。例えば、規則的な睡眠行動により点数が上がり、睡眠の長さの観点で良好な評価をとなりやすいことを理解しやすい。
【0095】
実施形態1では、休日を含む複数日を1サイクル(例えば、1週間)として繰り返す生活サイクルにおける1サイクル以上の連続期間にわたって活動量計2による計測が行われ、睡眠評価装置3に連続期間の計測データが入力された場合に、睡眠評価レポート出力部36は、身体活動量および複数の睡眠変数のそれぞれについて、1サイクルの平均値および標準誤差を算出して、平均値および標準誤差に基づいて睡眠評価レポート100を出力する。このように、休日を含む1サイクル分の計測データを用いることにより、睡眠変数の平均値として適正な値を得ることができる。また、標準誤差を用いることにより、規則性に対する評価を加味することができる。従って、感覚と一致する睡眠評価レポートを提供できるので、良い睡眠のための適正な指針を得ることができる。
【0096】
(睡眠評価レポートに対する評価)
実施形態1の睡眠評価システム1を用いて、61名の被験者に対して睡眠評価を行った。睡眠評価レポート100を被験者に提供して、睡眠評価レポート100の内容、自身の睡眠理解、自身の感覚との合致についてアンケートを実施した。結果は、以下の通りであった。おおむね良い評価が得られたといえる。
・睡眠点数表(睡眠評価レポート)の内容が理解しやすい:88.5%
・自身の睡眠の理解に役立った:91.7%
・自身の感覚と合致していた:76.7%
【0097】
(睡眠評価装置および睡眠評価プログラムの発明)
以上のように、実施形態1は、活動量計2と睡眠評価装置3からなる睡眠評価システム
1の発明であるが、実施形態1は、加速度センサを備える活動量計2の計測データに基づいて睡眠評価レポートを出力する機能を備える睡眠評価装置3の発明、および、コンピュータを睡眠評価装置3として機能させる睡眠評価プログラムの発明を含む。
【0098】
すなわち、実施形態1の睡眠評価装置3は、加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定した姿勢データに基づいて活動量計2を装着した人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に、加速度に基づいて演算された体動の指標である運動量値Mcに基づいて人が睡眠中か否かを判定する睡眠判定部34と、睡眠判定部34の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部35と、加速度に基づいて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポート100を出力する睡眠評価レポート出力部36を備える。
【0099】
また、実施形態1の睡眠評価プログラムは、加速度センサを備える活動量計2の計測データが入力されるコンピュータ(実施形態1の睡眠評価装置3)に、以下に説明する睡眠/覚醒判定処理と、睡眠変数演算処理と、睡眠評価レポート出力処理を行わせる。睡眠/覚醒判定処理は、加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定した姿勢データに基づいて活動量計2を装着した人が横になっているか否かを判定し、活動量計2を装着した人が横になっていると判定した場合に、加速度センサにより検出された加速度に基づいて演算された体動の指標である運動量値Mcに基づいて活動量計2を装着した人が睡眠中か否かを判定する処理である。睡眠変数演算処理は、睡眠/覚醒判定処理の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する処理である。睡眠評価レポート出力処理は、加速度センサにより検出された加速度に基づいて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、睡眠変数演算処理において演算された複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポート100を出力する処理である。
【0100】
(実施形態2)
次に、実施形態2の睡眠評価システムを説明する。図9は、実施形態2の睡眠評価レポート200の表示例である。実施形態2の睡眠評価システムは、実施形態1と同様に、活動量計2および睡眠評価装置を備える。活動量計2は、実施形態1の睡眠評価システム1に用いたものと同一である。睡眠評価装置は、睡眠評価レポート出力部が、図8の睡眠評価レポート100に代えて図9の睡眠評価レポート200を出力する点だけが実施形態1とは異なり、他の構成は実施形態1の睡眠評価装置3と同一である。
【0101】
実施形態2の睡眠評価レポート200は、図9に示すように、単一のレーダーチャート210と、点数表240と、解説表示250を含む。また、活動量計2を装着した人の氏名やIDなどの個人情報260を含む。レーダーチャート210は、睡眠変数から演算される指標と、活動量値から演算される指標を単一のレーダーチャート上に表示したものである。
【0102】
レーダーチャート210は、「睡眠の質」に関連する第1グループの指標と、「睡眠のリズム」に関連する第2グループの指標と、「活動」に関連する第3グループの指標を含む。図9に示すように、レーダーチャート210においては、「睡眠の質」を単に「睡眠」と表示する。また、「睡眠のリズム」を単に「リズム」と表示する。また、レーダーチャート210には、各指標の今回の値を実線で結んだ形状を表示するとともに、評価のための参考値として、各指標の平均点を破線で結んだ形状を表示する。平均点は、同一の被験者のこれまでの平均点であってもよいし、複数の被験者の平均点であってもよい。
【0103】
実施形態2では、第1グループの指標として、「入眠」、「熟眠感」、「中途覚醒」、「寝返り」、および「寝起き」の5つを表示する。第2グループの指標として、「入床時刻」および「起床時刻」の2つを表示する。第3グループの指標として、「活動時間」、
「運動カロリー」、および「歩数」の3つを表示する。各指標の内容、および、計測データからの演算方法は、実施形態1で説明した通りである。第1グループおよび第2グループの指標は全て睡眠変数から演算される。第3グループの指標は、「活動時間」が睡眠変数から演算され、「運動カロリー」と「歩数」は活動量値から演算される。
【0104】
レーダーチャート210は、これら10個の指標を、グループ毎に領域を分けて表示する。図9に示すように、レーダーチャート210は、第1領域211、第2領域212、および第3領域213を備えており、周方向に3分割されている。第1領域211には、第1グループの5個の指標が周方向に並んで配置される。第2領域212には、第2グループの2個の指標が周方向に並んで配置される。第3領域213には、第3グループの3個の指標が周方向に並んで配置される。なお、実施形態2では、レーダーチャート210上に各指標の軸を表示していないが、軸を表示してもよい。
【0105】
点数表240は、「睡眠の長さ」を示す得点N、「睡眠の質」を示す第1総合点N1、「睡眠のリズム」を示す第2総合点N2、および「活動」を示す第3総合点N3の4つの数値表示を含む。点数表240においては、「睡眠の長さ」を単に「長さ」と表示する。また、レーダーチャート210と同様に、「睡眠の質」「睡眠のリズム」をそれぞれ、単に「睡眠」「リズム」と表示する。点数表240には、4種類の点数のそれぞれについて、今回の得点、平均点、および評価を表示する。評価は、今回の得点が平均点を上回るか否かの判定結果をマークで表示したものである。
【0106】
得点Nは、実施形態1の「就寝時間」と同一の演算により演算される。図9に示す例では、得点Nの値は77.6点である。第1総合点N1は、第1グループの5つの指標のうち4つ(「入眠」、「熟眠感」、「中途覚醒」、「寝返り」)の平均値である。より具体的には、実施形態1で説明したAV1、AV3、AV4、AV5の平均値である。図9に示す例では、第1総合点N1は83.7点である。第2総合点N2および第3総合点N3は、実施形態1と同一の演算により演算される。すなわち、第2総合点N2は、睡眠変数から演算される5つの指標(AV1、AV2、AV6、AV7、AV8)の平均値である。第3総合点N3は、睡眠変数および活動量から演算される5つの指標(AV1、AV2、AV8、AV9、AV10)の平均値である。図9に示す例では、第2総合点N2は92.9点であり、第3総合点N3は88.0点である。
【0107】
睡眠評価レポート200は、実施形態1と同様に、レーダーチャート210および点数表240を表示したエリアの下に表示されるコメント欄を備える。コメント欄には、レーダーチャートに表示される指標の内容を解説した解説表示250が配置される。
【0108】
(実施形態2の主な作用効果)
以上のように、実施形態2の睡眠評価システム1は、加速度センサを備える活動量計2と、活動量計2の計測データに基づき活動量計2を装着した人の睡眠および身体活動に対する評価を示す睡眠評価レポート200を出力する睡眠評価装置を有する。活動量計2は、加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定する姿勢判定部27と、加速度センサにより検出された加速度に基づいて体動の指標である運動量値Mcを演算する運動量値演算部28と、加速度センサにより検出された加速度に基づいて起床中の活動の指標である活動量値を演算する活動量値演算部29を備える。実施形態2の睡眠評価装置は、姿勢判定部27の判定データに基づいて人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に運動量値Mcに基づいて睡眠中か否かを判定する睡眠判定部34と、睡眠判定部34の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部35と、活動量値および複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポート200を出力する睡眠評価レポート出力部を備える。実施形態2の睡眠評価レポート出力部が出力する睡眠評価レポート200は、複数の睡眠変数のうちで睡眠の質に関連する睡眠変数から演算され
る第1グループの指標、複数の睡眠変数のうちで睡眠の長さに関連する睡眠変数から演算される第2グループの指標、および、活動量値から演算される第3グループの指標を表示した単一のレーダーチャートを備える。単一のレーダーチャートは、第1グループの指標が周方向に並ぶ第1領域211、第2グループの指標が周方向に並ぶ第2領域212、および、第3グループの指標が周方向に並ぶ第3領域213を備える。
【0109】
実施形態2では、実施形態1と同様に、睡眠中の体動のデータおよび起床中の活動量のデータを低負荷で、且つ、長期間にわたって無理なく収集できる。また、睡眠評価レポート200は、睡眠の指標および起床中の活動の指標を演算してレーダーチャート上に表示するので、指標を数値で表示する場合と異なり、視覚的なパターンとしてとらえやすいので、直感的に把握しやすい。従って、専門家でなくても評価結果を理解しやすい。さらに、睡眠だけでなく、起床中の活動についても指標を演算してレーダーチャート210上に表示するので、睡眠と起床中の活動との関連を把握しやすい。従って、良い睡眠のために何をするべきかを把握しやすい。また、実施形態2では、単一のレーダーチャート210に全ての指標を表示しているが、観点によって領域を分けてグループごとに指標を表示するので、睡眠の特徴を把握しやすい。
【0110】
実施形態2では、レーダーチャート210の第1領域211は、入眠潜時から演算した入眠指標、睡眠効率から演算した熟眠感指標、中途覚醒回数から演算した中途覚醒指標、姿勢変更回数から演算した寝返り指標、および、離床潜時から演算した寝起き指標が周方向に並ぶ。第2領域212は、入床時刻から演算した入床時刻指標、および、離床時刻から演算した起床時刻指標が周方向に並ぶ。第3領域213は、総就床時間から演算した活動時間指標、活動消費カロリーから演算した運動カロリー指標、および、歩数から演算した歩数指標が周方向に並ぶ。このような表示により、第1領域211の表示が感覚的に睡眠の質の良否と合致するものとなる。また、第2領域212の表示が感覚的に睡眠のリズムや規則性と合致するものとなる。そして、第3領域213の表示が感覚的に起床中の活動量およびその規則性と合致するものとなる。
【0111】
(睡眠評価装置および睡眠評価プログラムの発明)
実施形態1と同様に、実施形態2は、加速度センサを備える活動量計2の計測データに基づいて睡眠評価レポートを出力する機能を備える睡眠評価装置の発明、および、コンピュータを睡眠評価装置として機能させる睡眠評価プログラムの発明を含む。
【0112】
すなわち、実施形態2の睡眠評価装置は、睡眠判定部34と、睡眠変数演算部35と、活動量値および複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポート200を出力する睡眠評価レポート出力部を備える。また、実施形態2の睡眠評価プログラムは、加速度センサを備える活動量計2の計測データが入力されるコンピュータ(実施形態2の睡眠評価装置)に、睡眠/覚醒判定処理と、睡眠変数演算処理と、睡眠評価レポート出力処理を行わせる。睡眠/覚醒判定処理および睡眠変数演算処理は、実施形態1において説明した通りである。睡眠評価レポート出力処理は、活動量値および複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポート200を出力する処理である。
【0113】
(別の態様の睡眠評価レポートを出力する実施形態)
本発明に係る睡眠評価システム、睡眠評価装置、および睡眠評価プログラムは、図8図9に示す睡眠評価レポート100、200を出力する構成に限定されない。すなわち、睡眠点数表に表示するレーダーチャートの数、および、レーダーチャートに表示する指標の数および指標の内容は、図8図9と同一でなくてもよい。また、レーダーチャートに表示する指標の演算に用いる睡眠変数として、入床時刻、離床時刻、入眠潜時(SL)、離床潜時(BOT)、中途覚醒回数、姿勢変更回数、総就床時間(TIB)、および睡眠効率(SE)の一部のみを用いてもよい。あるいは、他の睡眠変数を加えてもよい。また
、活動量値として、活動消費カロリーと歩数の一方のみを用いてもよい。あるいは、他の活動量値(例えば、運動量(運動強度×時間)や、総消費カロリー)を用いてもよい。
【0114】
すなわち、本発明に係る睡眠評価システムの実施形態として、以下の(A)を採用することができる。また、本発明に係る睡眠評価装置の実施形態として、以下の(B)を採用することができる。さらに、本発明に係る睡眠評価プログラムの実施形態として、以下の(C)を採用することができる。
【0115】
(A)
加速度センサを備える活動量計と、前記活動量計の計測データに基づき前記活動量計を装着した人の睡眠および身体活動に対する評価を示す睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置と、を有する睡眠評価システムであって、
前記活動量計は、
前記加速度センサにより検出された加速度に基づいて姿勢を判定する姿勢判定部と、
前記加速度に基づいて体動の指標である運動量値を演算する運動量値演算部と、
前記加速度に基づいて起床中の活動の指標である活動量値を演算する活動量値演算部と、を備え、
前記睡眠評価装置は、
前記姿勢判定部の判定データに基づいて前記人が横になっているか否かを判定し、横になっていると判定した場合に前記運動量値に基づいて睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、
前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、
前記活動量値および前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、
前記睡眠評価レポートは、
前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を表示した少なくとも1つのレーダーチャートを備えることを特徴とする睡眠評価システム。
【0116】
(B)
加速度センサを備える活動量計の計測データに基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価装置であって、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠判定部と、
前記睡眠判定部の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算部と、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて前記睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力部と、を備え、
前記睡眠評価レポートは、
前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を表示した少なくとも1つのレーダーチャートを備えることを特徴とする睡眠評価装置。
【0117】
(C)
加速度センサを備える活動量計の計測データが入力されるコンピュータに、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて前記活動量計を装着した人が睡眠中か否かを判定する睡眠/覚醒判定処理と、
前記睡眠/覚醒判定処理の判定データに基づいて複数の睡眠変数を演算する睡眠変数演算処理と、
前記加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された起床中の活動の指標である活動量値、および、前記複数の睡眠変数に基づいて睡眠評価レポートを出力する睡眠評価レポート出力処理と、を行わせ、
前記睡眠評価レポート出力処理は、
前記複数の睡眠変数から演算される指標、および前記活動量値から演算される指標を少なくとも1つのレーダーチャート上に表示する処理を含むことを特徴とする睡眠評価プログラム。
【0118】
(他の実施形態)
(1)上記各形態は、活動量計2が姿勢の判定、運動量値Mcの演算、および活動量値(活動消費カロリー、歩数等)の演算を行う機能を備えているが、これらの判定および演算のうちの一部あるいは全部を、睡眠評価装置3において行うように構成してもよい。例えば、活動量計2は計測データとして加速度センサの信号を出力し、睡眠評価装置3が姿勢判定部27、運動量値演算部28、および活動量値演算部29の機能を備える構成を採用することができる。あるいは、活動量計2は姿勢判定部27、運動量値演算部28、および活動量値演算部29のうちの一部の機能を備え、睡眠評価装置3が残りの機能を備える構成を採用することができる。
【0119】
(2)上記各形態は、体動の指標である運動量値として、図5のフローチャートの演算処理により求めた運動量値Mcを用いるものであったが、運動量値を演算するアルゴリズムは、図5のフローチャートの演算処理に限定されるものではない。また、体動の指標として用いる値は、運動量値Mcに限定されるものではない。すなわち、睡眠判定部34が行う睡眠/覚醒判定処理は、活動量計2の加速度センサにより検出された加速度を用いて演算された体動の指標に基づいて、活動量計2を装着した人が睡眠中か否かを判定する処理であればよい。体動の指標は、活動量計2において演算してもよいし、活動量計2から出力された加速度などの計測データを用いて睡眠評価装置3において演算してもよい。
【0120】
(3)上記各形態は、睡眠/覚醒判定処理として、図6のフローチャートの演算処理を行うものであったが、睡眠/覚醒判定処理のアルゴリズムは、図6のフローチャートの演算処理に限定されるものではない。また、睡眠/覚醒判定処理に用いるZ値の演算式は、上記と異なっていても良い。例えば、Z値の演算式における5つの運動量値Mcの係数の値は、上記と異なっていても良い。
【0121】
(4)上記各形態は、睡眠変数の演算を行う際に上記の判定基準1、2を用いるが、判定基準の内容は上記に限定されるものではない。例えば、7分とは異なる長さ(例えば、5分)以下の連続した覚醒判定を睡眠と推定することもできる。
【0122】
(5)睡眠評価プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して睡眠評価プログラムの機能を提供するものとすることもできる。すなわち、睡眠評価プログラムは、端末用プログラムと、評価装置用プログラムを備えるものとすることができる。例えば、端末用プログラムは、端末装置に睡眠評価アプリケーション画面を表示して、端末装置に入力された計測データを評価装置用プログラムに送信する。評価装置用プログラムは、端末装置からの要求に応じて睡眠/覚醒判定処理、睡眠変数演算処理、および睡眠評価レポート出力処理を評価装置(コンピュータ)に行わせる。睡眠評価レポート出力処理は、睡眠評価レポートのデータを端末用プログラムに送信する処理を含み、端末用プログラムは、評価装置用プログラムから受信した睡眠評価レポートのデータに基づき、端末装置の睡眠評価アプリケーション画面において睡眠評価レポートを表示する。
【符号の説明】
【0123】
1…睡眠評価システム、2…活動量計、3…睡眠評価装置、4…リーダライタ、21…センサ部、22…制御部、23…記憶部、24…表示部、25…入力部、26…通信部、27…姿勢判定部、28…運動量値演算部、29…活動量値演算部、30…コンピュータ本体、31…キーボード、32…液晶表示パネル、33…マウス、34…睡眠判定部、35
…睡眠変数演算部、36…睡眠評価レポート出力部、100、200…睡眠評価レポート、110…第1レーダーチャート、120…第2レーダーチャート、130…第3レーダーチャート、210…レーダーチャート、211…第1領域、212…第2領域、213…第3領域、140、240…点数表、150、250…解説表示、160、260…個人情報、N…得点、N1…第1総合点、N2…第2総合点、N3…第3総合点、S…睡眠中と推定した期間、T1…入床時刻、T2…離床時刻、W…中途覚醒と推定した期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9