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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055861
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】微細気泡発生装置及び散水装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/232 20220101AFI20240411BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20240411BHJP
   B01F 23/231 20220101ALI20240411BHJP
   B01F 23/2326 20220101ALI20240411BHJP
   B01F 25/312 20220101ALI20240411BHJP
   B01F 25/45 20220101ALI20240411BHJP
【FI】
B01F23/232
B01F23/2373
B01F23/231
B01F23/2326
B01F25/312
B01F25/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174888
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2022162836
(32)【優先日】2022-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518189998
【氏名又は名称】株式会社アクアソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110003904
【氏名又は名称】弁理士法人MTI特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 優士
(72)【発明者】
【氏名】土屋 幸弘
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G035AC23
4G035AC26
(57)【要約】
【課題】シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる新しい微細気泡発生装置及び散水装置を提供する。
【解決手段】負荷発生部と乱流生成部Fとを少なくとも有し、負荷発生部は縮径流路Bと縮径流路Bに連続する小径流路Cとで構成され、乱流生成部Fは小径流路Cに連続する拡径流路Dと拡径流路Dに連続する大径流路Eとで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体7を有する微細気泡発生装置により上記課題を解決する。乱流生成構造体7は、大径流路Eの内周面6に沿って下流方向Yに円形状に設けられて液体18がぶつかってはね返る凹部7aと、大径流路Eの中心側に円形状に設けられて凹部7aを区画する凸部7bと、凸部7bの中心側に設けられてはね返った乱流液体19を下流方向Yに流す出口流路7cとで構成されている。
【選択図】図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷発生部と乱流生成部とを少なくとも有し、前記負荷発生部は縮径流路と該縮径流路に連続する小径流路とで構成され、前記乱流生成部は前記小径流路に連続する拡径流路と該拡径流路に連続する大径流路とで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体を有する、ことを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記乱流生成構造体は、前記大径流路の内周面に沿って下流方向に円形状に設けられて前記液体がぶつかってはね返る凹部と、前記大径流路の中心側に円形状に設けられて前記凹部を区画する凸部と、前記凸部の中心側に設けられて前記はね返った乱流液体を前記下流方向に流す出口流路とで構成されている、請求項1に記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記大径流路の中心側に連続して設けられた流路が、第2の負荷発生部であり、該第2の負荷発生部は、前記小径流路と同じ又は略同じ径からなる第2の小径流路で構成されている、請求項1又は2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記負荷発生部に流れる液体は、加圧された液体である、請求項1又は2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
前記円形状に設けられた凸部には、高さ方向の切り込みが1又は2以上設けられている、請求項2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項6】
前記大径流路には、液体の流れを規制する遊離固体物が配置されている、又は、成分が徐々に減少する遊離固体物が配置されている、請求項1又は2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項7】
前記第2の小径流路には第2の拡径流路が連結されている、請求項3に記載の微細気泡発生装置。
【請求項8】
前記小径流路と前記拡径流路との境界部に、又は、前記小径流路の前記拡径流路側の端部に、吸気口が設けられている、請求項1又は2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置をグリップ部内に備える、ことを特徴とする散水装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置及びそれを備えた散水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細(「微小」ともいう。)な気泡を含む液体は、様々な産業分野で利用されることが期待されており、近年、種々の微細気泡の生成手段が提案されている。生成する気泡のうち1~100μmのものはマイクロバブルと呼ばれている。
【0003】
微細気泡の生成手段として、例えば特許文献1には、水道水の給水管と直結で家庭用の例えばシャワーヘッドや洗濯機等の機具に容易に取り付けることができる微細気泡水生成器が提案されている。この微細気泡水生成器は、本体ケースの第1円筒部でシャワーホースの給水側端部に接続されて、第2円筒部でシャワーヘッドの取水側端部に接続される。第1円筒部には、複数の取水孔が穿設されている取水プレートが嵌め込まれて、取水プレートの下流に配置されるノズルは、取水プレートを通過して流れる水道水の流れる方向に沿って径が漸次縮小していく第1通水路と、第1通水路の出口側に連通して水道水の流れ方向に沿って径が漸次増大していく第2通水路とから成る。取水孔は、その入口側から出口側に向けての中心軸が取水プレートの中心軸に対し傾斜している、というものである。
【0004】
また、特許文献2には、高いポンプ吐出圧を必要とせずに、径の一層小さな例えば1μm未満の高密度の気泡を短時間に大量に生成することができる気泡生成装置が提案されている。この気泡生成装置は、水を通す金属細管と、金属細管内に気体成分を含む水を圧送するポンプとを備える。金属細管の内側には、水の流れ方向の前後よりも水の通り道が狭くなっている絞り部が設けられている。絞り部は流れ方向に直交する断面形状が、矩形状である。絞り部への水の圧送により水に含まれる気体成分を水中に溶解させ、絞り部での圧力の低下により気泡を析出させ、絞り部で水に乱流を発生させ、そのせん断力で水中の気泡を粉砕し、絞り部から出た水に生じる遷音速流による衝撃波により、気泡を粉砕する、というものである。
【0005】
また、特許文献3には、ねじ部材を用いてキャビテーション処理を行なう構造の液体処理ノズルを用いた気体溶解処理を、従来よりも大幅に効率的に行うことができ、溶存気体量が欠乏した被処理液体を用いる場合においても、十分なキャビテーションを生じさせることができる液体処理装置が提案されている。この液体処理装置は、液体処理ノズルの上流側に螺旋状流路を有した気液ミキサーを設ける。これにより、混相流は気液ミキサーの螺旋状流路内を流通させることにより、強制的に生ずる螺旋流の遠心力により気相と液相との攪拌・混合が進むので、気相は細かい気泡に粉砕された状態で液体処理ノズルのねじ部材に供給される。これにより、気体を含有した液体とねじ谷との接触効率が上昇し、気体溶解効率を高めることができる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-25451号公報
【特許文献2】WO2018/021182
【特許文献3】特開2020-189274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
微細な気泡を含む液体は、洗浄、美容、農業、医療等、様々な分野でに応用が期待されている。本発明の目的は、シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる新しい微細気泡発生装置及びそれを備えた散水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る微細気泡発生装置は、負圧発生部と乱流生成部とを少なくとも有し、前記負圧発生部は縮径流路と該縮径流路に連続する小径流路とで構成され、前記乱流生成部は前記小径流路に連続する拡径流路と該拡径流路に連続する大径流路とで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体を有する、ことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、負荷発生部が縮径流路と該縮径流路に連続する小径流路とで構成されているので、流速が上がって液体に負圧を発生させ、キャビテーション効果により液体中の溶存空気から気泡を析出させることができる。また、乱流生成部が小径流路に連続する拡径流路と該拡径流路に連続する大径流路とで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体を有するので、その乱流生成構造体が液体を乱流にするとともに加圧して気泡を細分化させることができる。その結果、シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる。
【0010】
本発明に係る微細気泡発生装置において、前記乱流生成構造体は、前記大径流路の内周面に沿って下流方向に円形状に設けられて前記液体がぶつかってはね返る凹部と、前記大径流路の中心側に円形状に設けられて前記凹部を区画する凸部と、前記凸部の中心側に設けられて前記はね返った乱流液体を前記下流方向に流す出口流路とで構成されている。
【0011】
この発明によれば、乱流生成構造体が前記凹部と前記凸部と前記出口流路とで構成されているので、大径流路の内周面に沿って流れる液体が凹部にぶつかってはね返り、乱流が発生する。発生した乱流液体は、凸部の中心側に設けられた流路で下流方向に流れる。
【0012】
本発明に係る微細気泡発生装置において、前記大径流路の中心側に連続して設けられた流路が、第2の負荷発生部であり、該第2の負荷発生部は、前記小径流路と同じ又は略同じ径からなる第2の小径流路で構成されている。
【0013】
この発明によれば、大径流路の中心側に連続して設けられた流路が第2の負荷発生部であり、その第2の負荷発生部が小径流路と同じ又は略同じ径からなる第2の小径流路で構成されているので、液体に再度負圧を発生させて液体中の溶存空気から気泡を析出させることができる。
【0014】
本発明に係る微細気泡発生装置において、前記負荷発生部に流れる液体は、加圧された液体である。この発明によれば、加圧された液体が負荷発生部に流れることで、その負荷発生部でのキャビテーション効果をより高めることができる。
【0015】
本発明に係る微細気泡発生装置において、前記円形状に設けられた凸部には、高さ方向の切り込みが1又は2以上設けられている。この発明によれば、大径流路に液体の流れを規制する固体物が存在する場合であっても、凸部の切り込みによって固形物で流路が塞がれないようにすることができる。
【0016】
本発明に係る微細気泡発生装置において、前記大径流路には、必要に応じて、液体の流れを規制する遊離固体物が配置されていてもよいし、成分が徐々に減少する遊離固体物が配置されていてもよい。この発明によれば、液体の流れを規制する遊離固体物を大径流路に任意に入れることで、液体の流れを大径流路の内周面により一層沿うように規制することができる。その結果、液体を凹部に効果的にぶつけて安定した乱流を発生させることができる。また、成分が徐々に減少する遊離固体物を大径流路に任意に入れることで、微細気泡含有流体にその成分を含有させることができる。その結果、その成分によって微細気泡含有流体を活用することができる。
【0017】
本発明に係る微細気泡発生装置において、前記第2の小径流路には第2の拡径流路が連結されている。
【0018】
本発明に係る微細気泡発生装置において、前記小径流路と前記拡径流路との境界部に、又は、前記小径流路の前記拡径流路側の端部に、吸気口が設けられている。この発明によれば、吸気口が小径流路の拡径流路側の端部又はその近傍(境界部)に設けられているので、用途に応じて吸気口から任意の気体を流路内に導入することができる。その結果、気体が導入された機能水とすることができ、気体の種類に応じた効果を実現できる。
【0019】
本発明に係る散水装置は、上記本発明に係る微細気泡発生装置をグリップ部内に備える、ことを特徴とする。この発明によれば、微細気泡発生装置が散水装置のグリップ部内に設けられるので、通常の形態と変わらない外観のグリップ部内で微細気泡を発生させることができる。その結果、シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる散水装置を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、負荷発生部で流速が上がって液体に負圧を発生させ、キャビテーション効果により液体中の溶存空気から気泡を析出させることができ、また、液体を乱流にするとともに加圧して気泡を細分化させることができるので、シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる。その結果、微細な気泡を含む液体は、洗浄、美容、農業、医療等、様々な分野での応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る微細気泡発生装置の一例を示す斜視図である。
図2図1に示す微細気泡発生装置の正面図(A)と側面図(B)である。
図3図1に示す微細気泡発生装置の断面図である。
図4図1に示す微細気泡発生装置での液体の流れ図である。
図5】第2部材をフランジ部側から見た構成図である。
図6】本発明に係る微細気泡発生装置の他の一例を示す断面図である。
図7】乱流形成流路に固体物が配置された微細気泡発生装置の一例を示す断面図である。
図8】吸気口を備えた微細気泡発生装置の一例を示す断面図である。
図9】本発明に係る散水装置の一例であり、(A)は散水装置のグリップ部の外観図であり、(B)はグリップ部内に設けられた微細気泡発生装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る微細気泡発生装置及び散水装置について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の技術的思想の一例であり、本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面だけに限定されるものではなく、同様の技術的思想の発明を含んでいる。
【0023】
[基本構成]
本発明に係る微細気泡発生装置1は、図1図5に示すように、負荷発生部と乱流生成部Fとを少なくとも有し、負荷発生部は縮径流路Bとその縮径流路Bに連続する小径流路Cとで構成され、乱流生成部Fは小径流路Cに連続する拡径流路Dとその拡径流路Dに連続する大径流路Eとで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体7を有している。本発明に係る散水装置70は、前記した微細気泡発生装置1をグリップ部71内に備えたものである。
【0024】
この微細気泡発生装置1では、負荷発生部が縮径流路Bとその縮径流路Bに連続する小径流路Cとで構成されているので、流速が上がって液体に負圧を発生させ、キャビテーション効果により液体中の溶存空気から気泡を析出させることができる。また、乱流生成部Fが小径流路Cに連続する拡径流路Dとその拡径流路Dに連続する大径流路Eとで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体7を有しているので、液体を乱流にするとともに加圧して気泡を細分化させることができる。その結果、シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる。この微細気泡発生装置1が配管に連結され、そこに液体を流すことにより微細気泡が発生し、その微細気泡を含む液体を下流側に供給することができる。
【0025】
本発明において、「気泡」とは、液体の中に含まれた球状になったものを意味し、本発明で言う「微細気泡」と同義である。この気泡は、その直径が1~100μmのマイクロバブルのことであり、この微細気泡発生装置1は、直径1~100μmのマイクロバブルの発生装置として好ましく適用できる。
【0026】
各構成要素を詳しく説明する。
【0027】
<微細気泡発生装置>
微細気泡発生装置1は、負荷発生部と乱流生成部Fとを少なくとも有すればよく、それ以外の構成は特に限定されないが、例えば図1図5に示すような構造形態を例示できる。例示した微細気泡発生装置1は、流路の中央にある大径流路Eに乱流生成部Fがあるので、製造容易性から、その大径流路Eで2つの部材(第1部材10と第2部材20)が分割可能に連結されていることが好ましい。その連結は、第1部材10の下流側の開口部17の外周縁に設けられたフランジ部13と、第2部材20の上流側の開口部27の外周縁に設けられたフランジ部23とを、それぞれの連結用穴16,26で固定して行うことが好ましい。なお、図示の例では、第1部材10と第2部材20とが流れ方向Yで2つに分割し、流れ方向Yの中央の大径流路Eで連結しているが、これに限定されず、第1部材10と第2部材20とを流れ方向Yに平行な断面となるように縦割りし、縦割りした2つの部材を連結したものであってもよい(図示しない)。
【0028】
以下では、大径流路Eで2つの部材(第1部材10と第2部材20)が分割可能に連結された微細気泡発生装置1を、図1図5に基づいて、具体的な構造形態と、その構造形態で実現したAからHの各流路について説明する。
【0029】
(第1部材)
第1部材10は、図1図3に示すように、上流側には液体が流入する開口部11を備え、下流側には液体が第2部材20に流出する開口部17を備えている。本体部12には、流路が形成されている。その流路は、図3に示すように、上流側から、流入流路A、縮径流路B、小径流路(第1小径流路)C、拡径流路(第1拡径流路)Dの順で連続して配置されている。なお、本発明では、負荷発生部と乱流生成部Fとを少なくとも有するものであるが、その負圧発生部は、縮径流路Bと小径流路Cとによって好ましく構成することができる。
【0030】
第1部材10の上流側には、配管部材(図示しない)と連結するための連結部(例えばねじ部)15が設けられている。第1部材10の下流側には、第2部材20と連結するためのフランジ部13が設けられている。このフランジ部13は、下流側の開口部17の外周縁に設けられており、第2部材20の上流側の開口部27の外周縁に設けられたフランジ部23とそれぞれの連結用穴16,26によって固定することができる。連結部15の形状は、配管部材の種類に応じて設計される。配管部材が螺合形態である場合は、図1等に示すように、連結部15もその配管部材に対応した螺合形態であることが好ましい。一方、配管部材がホースや塩化ビニル管である場合には、連結部15もその配管部材に対応した連結構造であることが好ましい。第1部材10の本体部12には、切り込み部14が設けられているが、この切り込み部14は、必須の構成ではないが、前記した配管部材(図示しない)と例えば螺合してネジ止めするような場合に、第1部材10を例えばスパナー等の工具で固定しつつ螺合するために設けられている。
【0031】
(第2部材)
第2部材20は、図1図3に示すように、上流側には第1部材10から流出した液体が流入する開口部27を備え、下流側には液体が流出する開口部21を備えている。本体部22には、流路が形成されている。その流路は、図3に示すように、上流側から、乱流形成流路(大径流路)E、乱流生成部F、小径流路(第2小径流路)G、拡径流路(第2拡径流路)H、の順で連続して配置されている。なお、本発明では、負荷発生部と乱流生成部Fとを少なくとも有するものであるが、乱流液体19は、拡径流路(第1拡径流路)Dと大径流路Eとで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体7で発生させることができる。また、乱流生成部Fに連続する負荷発生部は、第2小径流路Gと第2拡径流路Hで好ましく構成されるが、その設置は任意であり、必要に応じて設けられる。
【0032】
第2部材20の上流側には、第1部材10と連結するためのフランジ部23が設けられている。このフランジ部23は、上流側の開口部27の外周縁に設けられており、第1部材10の下流側の開口部17の外周縁に設けられたフランジ部13とそれぞれの連結用穴16,26によって固定することができる。図5は、第2部材20をそのフランジ部23の側から見た構成図であり、連結用穴26が4つ等間隔で設けられている例である。符号31は、シール部材を設置するシール部材設置部であり、2つのフランジ部13,23を連結する際には、シール部材設置部31にシール部材が配置される。
【0033】
第2部材20の下流側には、配管部材(図示しない)と連結するための連結部(例えばねじ部)25が設けられている。この連結部25の形状は、配管部材の種類に応じて設計される。配管部材が螺合形態である場合は、図1等に示すように、連結部25もその配管部材に対応した螺合形態であることが好ましい。一方、配管部材がホースや塩化ビニル管である場合には、連結部25もその配管部材に対応した連結構造であることが好ましい。第2部材20の本体部22には、切り込み部24が設けられているが、この切り込み部24は、必須の構成ではないが、前記した配管部材(図示しない)と例えば螺合してネジ止めするような場合に、第2部材20を例えばスパナー等の工具で固定しつつ螺合するために設けられている。
【0034】
(流路と液流)
図3に例示する微細気泡発生装置1の流路は、上流側から下流方向Yに向かって、流入流路A、縮径流路B、小径流路(第1小径流路)C、拡径流路(第1拡径流路)D、大径流路E、小径流路(第2小径流路)G、拡径流路(第2拡径流路)Hの順に構成されている。なお、乱流生成部Fは、小径流路Cに連続する拡径流路Dとその拡径流路Dに連続する大径流路Eとで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体7を有している。
【0035】
流入流路Aは、この微細気泡発生装置1に液体が流入した場合の最初の流路である。その内周面2の内径は、流路Aの全長で同一径になっている。その内径サイズは特に限定されないが、例えば内径5~15mm程度とすることができる。図示の例は約11mmの例である。なお、以下の各流路での内径は、あくまで一例であり、それぞれの記載に限定されない。
【0036】
縮径流路Bは、流入流路Aと第1小径流路Cとの間に連続して位置する流路である。その内周面3の内径は、下流方向の第1小径流路C側に向かって連続的に小さくなっている。その内径サイズは特に限定されないが、流入流路Aの側の内径(例えば約11mm)の3分の1程度(例えば約4mm)に縮径することができる。
【0037】
第1小径流路Cは、縮径流路Bと第1拡径流路Dとの間に連続して位置する流路である。その内周面4の内径は、流路Cの全長で、縮径流路Bの下流側の径と同一径になっている。その内径サイズは特に限定されないが、例えば上記同様、約4mm程度とすることができる。
【0038】
第1拡径流路Dは、第1小径流路Cと大径流路Eとの間に連続して位置する流路である。その内周面5の内径は、下流方向の大径流路E側に向かって連続的に大きくなっている。その内径サイズは特に限定されないが、第1小径流路Cの側の内径(例えば約4mm)の3倍程度(例えば約11mm)に拡径して、例えば流入流路Aと同じ内径にすることができる。
【0039】
大径流路Eは、第1拡径流路Dと第2小径流路Gとの間に連続して位置する流路である。その内周面6の内径は、流路Eの全長で、第1拡径流路Dの下流側の径と同一径になっている。その内径サイズは特に限定されないが、例えば上記同様、約11mm程度とすることができる。
【0040】
第2小径流路Gは、大径流路Eと第2拡径流路Hとの間に連続して位置する流路である。この第2小径流路Gの役割は、前記した第1小径流路Cと同じである。その内周面8の内径は、流路Gの全長で、大径流路Eの下流側に設けられている出口流路7cの内径と同一径になっている。その内径サイズは特に限定されないが、例えば第1小径流路Cと同じ約4mm程度とすることができる。
【0041】
第2拡径流路Hは、第2小径流路Gに連続して位置する流路である。その内周面9の内径は、下流方向に向かって連続的に大きくなっている。その内径サイズは特に限定されないが、第2小径流路Gの側の内径(例えば約4mm)の3~4倍程度(例えば約11~17mm)に拡径した内径にすることができる。
【0042】
これら各流路での液体18の液流f1~f9を図4に示す。図4に示すように、流入流路Aでの液流f1は、縮径流路Bで中心側に向かう液流f2になり、第1小径流路Cでは下流側に真っ直ぐ進む液流f3となる。その後、第1拡径流路Dでは、そのまま真っ直ぐ進む液流f5と拡開した内周面5に沿って進む液流f4となる。拡開した内周面5に沿って進む液流f4は、大径流路Eの内周面6に沿って進み、乱流生成構造体7を構成する凹部7aに突き当たって乱流19となった液流f6は、出口流路7cから流出する液流f7となる。その後、第2小径流路Gを流れる液流f8は、第2拡径流路H内の液流f9となって開口部21から流出する。
【0043】
<気泡の析出>
負荷発生部は、縮径流路Bと、その縮径流路Bに連続する小径流路Cとで構成されている。負荷発生部が、縮径流路Bとその縮径流路Bに連続する小径流路Cとで構成されているので、流速が上がって液体に負圧を発生させ、キャビテーション効果により液体中の溶存空気から気泡を析出させることができる。
【0044】
負荷発生部に流れる液体は、加圧された液体であることが好ましい。0.15MPa以下の圧力では気泡が発生しにくく、0.15MPa以上で気泡が発生しやすかったことから、その圧力は0.15MPa以上であることが好ましい。また、その上限は特に限定されないが、圧力が高いほど気泡の数が増えるので高いことが好ましい。なお、上限としては、耐圧・耐久性能が簡易的に接続して使用できる動噴等の許容圧力に対応できるシンプルな構造という理由により、5.0MPaとすることができる。0.15~5MPaの範囲の圧力の液体が負荷発生部に流れ込むことで、流速が上がり、キャビテーション効果をより高めることができ、溶存空気から気泡が析出し易くなる。
【0045】
<乱流の発生>
乱流生成部Fは、小径流路Cに連続する拡径流路Dと、その拡径流路Dに連続する大径流路Eとで構成された流路を流れる液流が衝突する乱流生成構造体7を有している。乱流生成部Fが、小径流路Cに連続する拡径流路Dと、その拡径流路Dに連続する大径流路Eとで構成されているので、図4に示すよう、第1拡径流路Dではそのまま真っ直ぐ進む液流f5と拡開した内周面5に沿って進む液流f4となる。拡開した内周面5に沿って進む液流f4は、大径流路Eの内周面6に沿って進み、乱流生成構造体7を構成する凹部7aに突き当たって乱流液体19となる。さらにその乱流液体19は、小径の出口流路7cの通過時に加圧されるので、前記した負荷発生部で生じた気泡を細分化させることができる。その結果、シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる。
【0046】
乱流生成部Fを構成する乱流生成構造体7は、図4及び図5に示すように、大径流路Eの内周面6に沿って下流方向Yに円形状に設けられて液体18がぶつかってはね返る凹部7aと、大径流路Eの中心側に円形状に設けられて凹部7aを区画する凸部7bと、凸部7bの中心側に設けられてはね返った乱流液体19を下流方向Yに流す出口流路7cとで構成されている。この微細気泡発生装置1では、乱流生成構造体7が、凹部7aと凸部7bと出口流路7cとで構成されているので、上記のように、大径流路Eの内周面6に沿って流れる液体が凹部7aにぶつかってはね返り、乱流となった液流f6が発生する。発生した乱流液体19は、凸部7bの中心側に設けられた出口流路7cで下流方向Yに流れる。
【0047】
円形状に設けられた凸部7bには、図5に示すように、高さ方向の切り込みが1又は2以上設けられていることが好ましい。なお、図5の例では2箇所設けられている。この微細気泡発生装置1では、大径流路Eに液体の流れを規制する固体物(例えば後述する遊離固体物41)が存在する場合であっても、凸部7bの切り込み7dによって固形物で流路が塞がれないようにすることができる。なお、図6は、そうした切り込み7dが設けられていない場合の本発明に係る微細気泡発生装置1の他の一例である。切り込み7dは必須の構成ではなく、必要に応じて任意に設けることができ、その切り込み深さも任意に選択することができる。
【0048】
<第2の気泡の析出>
大径流路Eの中心側の出口流路7cに連続して設けられている流路は、第2の負荷発生部である。第2の負荷発生部は、前記した小径流路Cと同じ又は略同じ径からなる第2小径流路Gで構成されている。この微細気泡発生装置1では、大径流路Eの中心側に連続して設けられた流路が、乱流生成部Fに連続する第2の負荷発生部であり、その第2の負荷発生部が前記した第1小径流路Cと同じ又は略同じ径からなる第2小径流路Gで構成されているので、液体に再度負圧を発生させて液体中の溶存空気から気泡を析出させることができる。なお、先に説明した負圧発生部を第1に負圧発生部といい、この第2の負圧発生部と区別して説明することがある。
【0049】
この第2の負圧発生部を流れる液体には、前記した第1の負圧発生部で説明した圧力と同程度の圧力が加わっていることが好ましい。ここではその説明を省略する。
【0050】
<遊離固体物>
大径流路Eには、必要に応じて、液体の流れを規制する遊離固体物41が配置されていてもよいし、成分が徐々に減少する遊離固体物41が配置されていてもよい。この微細気泡発生装置1では、液体の流れを規制する遊離固体物41を大径流路Eに任意に入れることで、液体の流れを大径流路Eの内周面6により一層沿うように規制することができる。その結果、液体を凹部7aに効果的にぶつけて安定した液流f6(乱流)を発生させることができる。
【0051】
また、成分が徐々に減少する遊離固体物41を大径流路Eに任意に入れることで、微細気泡含有流体にその成分を含有させることができる。その結果、その成分によって微細気泡含有流体を活用することができる。そうした成分は、この微細気泡発生装置1の用途に応じて選択でき、例えば、洗浄関連分野で使用する場合は洗剤成分を含む遊離固体物とすることができ、美容関連分野で使用する場合には美容成分を含む遊離固体物とすることができ、農業関連分野で使用する場合には栄養成分や農薬成分や害虫対策成分等を含む遊離固体物とすることができ、医療関連分野で使用する場合には薬効成分を含む遊離固体物とすることができる。
【0052】
遊離固体物41の大きさや形状は特に限定されないが、大径流路E内に入って過度に液流を阻害することなく、流れを適度に規制できる大きさと形状とすることが好ましい。形状についても特に限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲で、球体、立方体、異形体等から選択できる。
【0053】
なお、遊離固体物41は、大径流路E内に固定されずに遊離した態様で存在するので、無造作に動く。そのため、流体の圧力によっては、液体に起こる振動数と遊離固体物41の振動数が等しくして共鳴を起こすことも可能である。共鳴が起こったとき、通常よりもさらに気泡を析出させることができる。
【0054】
<気泡の気化>
本発明に係る微細気泡発生装置1は、上記したように、キャビテーション効果により液体中の溶存空気から気泡を析出させることができるという特徴があるが、一方で、微細気泡含有流体がノズルから放水された後においては、析出した気泡が気化する。このように、液体中に予め存在する溶存酸素が析出しその後気化することにより、液体の脱気を行うことができる。脱気した脱気水は、浸透性の向上や抗酸化作用等の効果が生じるという利点があるので、用途や目的に応じて液体を脱気させて活用することもできる。
【0055】
<吸気口>
図8は、吸気口61を備えた微細気泡発生装置1の一例を示す断面図である。微細気泡発生装置1では、吸気口61が、小径流路Cと拡径流路Dとの境界部に設けられていてもよいし、図8に示すように小径流路Cの拡径路側の端部に設けられていてもよい。吸気口61が小径流路Cの拡径流路D側の端部又はその近傍(境界部)に設けられているので、用途に応じて吸気口61から任意の気体を流路内に導入することができる。その結果、気体が導入された機能水とすることができ、気体の種類に応じた効果を実現できる。
【0056】
吸気口61の口径や長さは特に限定されない。その吸気口61には、吸気管(図示しない)が嵌合、溶接又は螺合等されて接続され、その吸気管にて気体供給管又は気体供給チューブが接続されて気体が供給される。気体の種類は、目的や用途に応じて選択され、空気、水素、酸素、窒素、炭酸ガス等を挙げることができるが、これら以外の気体であってもよい。用途については、例えば微細気泡含有流体に任意の気体を含有させることにより洗浄効果等を高める等の種々の応用に期待できる。例えば水素を含有させることで抗酸化作用を発揮させたり、酸素を含有させることで農業分野での作物の成長を促進させたり、窒素を含有させることで生鮮食品の鮮度保持を行ったりすることが期待できる。
【0057】
なお、図1図7では、第1部材10と第2部材20をフランジ部13,23で接続しているが、図8に示す微細気泡発生装置1では、フランジ部が設けられておらず、第1連結部(雌ネジ部)51と第2連結部(雄ネジ部)52とで接続している。こうした接続形態は、微細気泡発生装置1の大きさ(特に外径)を小さくできるという利点があり、図1図7の微細気泡発生装置1にも同様に適用できる。なお、符号53は任意に設けられるシール部(例えばパッキン)を示している。
【0058】
<散水装置>
図9は、本発明に係る散水装置70の一例である。本発明に係る散水装置70は、本発明に係る微細気泡発生装置1をグリップ部71内に備えている。図9(A)は散水装置70のグリップ部71の外観図であり、図9(B)はグリップ部71内に設けられた微細気泡発生装置1の部分断面図である。微細気泡発生装置1が散水装置70のグリップ部71内に設けられることにより、通常の形態と変わらない外観のグリップ部内で微細気泡を発生させることができる。その結果、シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる散水装置70を提供できる。
【0059】
図9において、符号72は水を取り込む取水部であり、その取水部72にはホース(図示しない)が差し込まれる。符号73グリップ部71を通過した水を先端ノズル(図示しない)に送るためのパイプ部であり、そのパイプ部73の先端には散水ノズル(図示しない)が接続されている。符号74は水量調節レバーであり、この水量調節レバー74を指で前後方向に移動させることにより、内部の流路が拡大したり絞られたりして水量が調節される。なお、グリップ部71、取水部72、パイプ73、水量調節レバー74の構造形態はず9の例に限定されるものではなく、各種の構造形態とすることができる。また、グリップ部71内に設けられる微細気泡発生装置1の大きさや長さも特に限定されず、グリップ部71の大きさや長さにより任意に設計することができる。
【0060】
以上説明した微細気泡発生装置1によれば、負荷発生部で流速が上がって液体に負圧を発生させ、キャビテーション効果により液体中の溶存空気から気泡を析出させることができ、また、液体を乱流にするとともに加圧して気泡を細分化させることができるので、シンプルで且つ効果的に微細気泡を発生させることができる。その結果、微細な気泡を含む液体は、洗浄、美容、農業、医療等、様々な分野での応用が期待できる。例えば、この微細気泡発生装置1は、洗浄関連分野、美容関連分野、農業関連分野、医療関連分野等に好ましく適用されることが期待される。また、飲食関連分野、薬品関連分野、化粧品関連分野、太陽電池、二次電池、半導体装置等の電子機器分野、機能材料分野等の産業分野で用いることも期待される。
【符号の説明】
【0061】
1 微細気泡発生装置
2 A流路の内周面
3 B流路の内周面
4 C流路の内周面
5 D流路の内周面
6 E流路の内周面
7 乱流生成構造体
7a 凹部
7b 凸部
7c 出口流路
7d 切り込み
8 G流路の内周面
9 H流路の内周面
10 第1部材
11 開口部
12 本体部
13 フランジ部
14 切り込み部
15 連結部
16 連結用穴
17 開口部
18 液体
19 乱流液体
20 第2部材
21 開口部
22 本体部
23 フランジ部
24 切り込み部
25 連結部
26 連結用穴
27 開口部
31 シール部材設置部
41 遊離固体物
51 第1連結部(雌ネジ部)
52 第2連結部(雄ネジ部)
53 シール材
61 吸気口
70 散水装置
71 グリップ部
72 取水部
73 パイプ部
74 水量調節レバー
A 流入流路
B 縮径流路
C 小径流路(第1小径流路)
D 拡径流路(第1拡径流路)
E 大径流路(乱流形成流路)
F 乱流生成部
G 小径流路(第2小径流路)
H 拡径流路(第2拡径流路)
f1~f9 A~Fの流路での液流
Y 下流方向(流れ方向)



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9