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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000559
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】乳化型クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20231226BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K8/31
A61Q19/10
A61K8/06
A61K8/39
A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099272
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】306018365
【氏名又は名称】クラシエホームプロダクツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】駒場 加奈枝
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA162
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC402
4C083AC441
4C083AC442
4C083AD092
4C083AD352
4C083BB12
4C083BB36
4C083CC23
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
マッサージ時の転相が速く、かつダブル洗顔不要な乳化型クレンジング化粧料を提供する。
【解決手段】
下記(A)及び(D)を含有することを特徴とする乳化型クレンジング化粧料により上記課題を解決する。好ましくは、(A)と(D)の配合比(=(D)/(A))が0.06以上であり、更に(B)及び(C)を含有する。
(A)25℃において液状の炭化水素油 10%以上
(B)水溶性高分子
(C)融点が75℃以上の固形脂下記成分
(D)脂肪酸の種類と数の異なる2種以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(D)を含有することを特徴とする乳化型クレンジング化粧料。
(A)25℃において液状の炭化水素油 10%以上
(D)脂肪酸の種類と数の異なる2種以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
【請求項2】
前記(A)と(D)の配合比(=(D)/(A))が0.06以上である請求項1に記載の乳化型クレンジング化粧料。
【請求項3】
さらに下記(B)及び(C)を含有する請求項1又は2に記載の乳化型クレンジング化粧料。
(B)水溶性高分子
(C)融点が75℃以上の固形脂
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ時の転相が速く、かつダブル洗顔不要な乳化型クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
クレンジング化粧料は、皮膚上の皮脂汚れやメイクアップ化粧料を除去することを目的に、さまざまな剤型が開発されている。油性成分を界面活性剤により乳化したミルクタイプ、クリームタイプ、ジェルタイプ、油成分を配合しないか微量配合したローションタイプ、液状油を主成分とするオイルタイプ等種々の洗浄料が開発され、生活者はそれぞれの剤型の有する特徴的な機能や使用感触を軸に、好みの商品を選定していると思われる。
【0003】
油性成分を多量に配合したO/W乳化型のクリームタイプは、使用時に転相感(肌へ塗布後、塗り伸ばし時のみずみずしい感触があり、さらに塗り伸ばしを続けたときに乳化滴が壊れ、油性成分が肌に広がることで、マッサージの負荷に変化を与える感触)を得られることが特徴的である。また、使用中に転相することにより、皮膚上の皮脂汚れやメイクアップ化粧料などの油性の汚れに対して、高いクレンジング効果を発揮する。
【0004】
その一方で、油性成分を多量に配合したO/W乳化型クレンジングクリームは、すすぎ時に皮膚上に油性成分が残存してしまい、水で洗い流した後にべたつきを感じられるという課題があった。
【0005】
特許文献1では、アシルアミノ酸系界面活性剤、ノニオン界面活性剤、糖アルコール、水溶性高分子を組み合わせることで、洗浄後の肌にしっとり感、やわらかい肌感触を付与できる皮膚洗浄剤組成物を提案しているが、洗浄後の肌のしっとり感をべたつきと感じる使用者もいるため、ダブル洗顔不要なクレンジング化粧料とは言いがたい。
【0006】
また、マッサージ時の転相の速さに関して、特許文献2には、アルキルグルコシド、1価の多価アルコール、液状油に脂肪酸せっけんを組み合わせ、マッサージ時の転相の速さを向上する提案がなされている。しかしながら、水中油型クレンジングクリームにおける転相現象については、これまで十分に検討されたことが少なく、消費者が求めるような品質を達成するのは困難であった。
【0007】
また、このタイプのクレンジング化粧料は熱力学的に不安定であり、クレンジング効果を十分に発揮できる油性成分を配合し保存安定性を確保することは困難であり、経時での保存安定性を確保するために、種々の検討がなされている。
【0008】
例えば、特許文献3には、特定のショ糖脂肪酸エステルと非極性液状油、極性液状油を組み合わせることで、また、特許文献4には、極性油とHLB値の異なる2種のノニオン界面活性剤、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、アシルアミノ酸型界面活性剤を組み合わせることで、マッサージ性が良好で、かつ保存安定性の高い水中油型洗浄料が提案されている。しかしながら、油性成分を多量に配合しており、またメイクアップ化粧料との馴染みが速い乳化型クレンジング化粧料は、高温での経時安定性が悪く、著しい粘度低下や分離が生じる傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017-214372号公報
【特許文献2】特開2014-43398号公報
【特許文献3】特開2021-161095号公報
【特許文献4】特開2011-126809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、マッサージ時の転相が速く、かつダブル洗顔不要な乳化型クレンジング化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、25℃において液状の炭化水素油に2種以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを組み合わせる乳化型クレンジング化粧料により、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、下記(A)及び(D)成分を含有することを特徴とする乳化型クレンジング化粧料を提供する。
(A)25℃において液状の炭化水素油 10%以上
(D)脂肪酸の種類と数の異なる2種以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
【0013】
本発明は、前記(A)と(D)の配合比(=(D)/(A))が0.06以上であることが好ましい。また、下記(B)及び(C)を含有することが好ましい。
(B)水溶性高分子
(C)融点が75℃以上の固形脂
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マッサージ時の転相が速く、かつダブル洗顔不要の乳化型クレンジング化粧料を提供することができる。さらに高温での経時安定性が良好な乳化型クレンジング化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0016】
本明細書において、「マッサージ時の転相が速い」とは、乳化型クレンジング化粧料を顔全体に塗布し、手でマッサージすることにより肌上で乳化組成物が転相し、水中油型エマルションから油中水型エマルションに変化するとともにのびが非常に軽くなるまでに要する時間が30秒以内であることを意味する。
【0017】
また、「ダブル洗顔不要」とは、メイクアップ化粧料を乳化型クレンジング化粧料にてクレンジングし、水又はぬるま湯で洗い流したあとに、顔にべとつき感がなく、あらためて洗顔料で洗顔をする必要がないことを意味する。
【0018】
また、「高温での経時安定性が良好」とは、40℃以上の高温条件下における経時での油浮きや分離、粘度の著しい低下が認められず、製剤が均一であることを意味する。
【0019】
また、「コク感」とは、製剤を肌に塗布する際に適度な抵抗を感じられ、しっとりとした油性感があることを意味する。
【0020】
本発明は、下記(A)及び(D)成分を含有することを特徴とする乳化型クレンジング化粧料である。
(A)25℃において液状の炭化水素油 10%以上
(D)脂肪酸の種類と数の異なる2種以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
【0021】
本発明は、前記(A)と(D)の配合比(=(D)/(A))が0.06以上であることが好ましい。また、下記(B)及び(C)を含有することが好ましい。
(B)水溶性高分子
(C)融点が75℃以上の固形脂
【0022】
<(A)成分>
本発明で使用する(A)成分は、25℃において液状の炭化水素油である。(A)成分は、クレンジング料の油性基剤として用いられ、(A)成分がメイク汚れとなじみ、汚れを肌から浮き上がらせる作用を有する。(A)成分の含有量が多ければ、マッサージ時の転送速度が速くなり、メイク落としも良好となる傾向がある。
【0023】
(A)成分を具体的に例示すれば、ミネラルオイル、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ポリブテン、水添ポリブテン、揮発性イソパラフィン等が挙げられる。これら液状炭化水素油は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
本発明における(A)成分の含有量は、全体質量中10質量%以上、好ましくは20~70質量%である。10質量%以上であれば、マッサージ時の転相の速さが良好となる。
【0025】
<(B)成分>
本発明で使用する(B)成分は、水溶性高分子である。(B)成分は、親水性の増粘剤として用いられる。本発明においては、(B)成分配合により、高温での経時安定性を高めることができる。
【0026】
本発明で用いられる成分(B)の水溶性高分子としては、特に限定的ではなく、通常の化粧料に用いられるものであればよく、キサンタンガム、アラビアゴム、グァーガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド(褐藻エキス)、スイゼンジノリ多糖体等の植物系高分子、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン類似物質等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等が挙げられ、一種又は二種以上を用いることができる。
【0027】
それらの中でも、ビニル系高分子、もしくは植物系高分子が好ましく、特に、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムが、高温で
の経時安定性に優れるため、より好ましい。
【0028】
(B)成分として用いられるカルボキシビニルポリマーは、カルボキシル基を有する水溶性のビニルポリマーであり、例えば、ポリアクリル酸が挙げられる。具体的には、カーボポール940、カーボポール941、カーボポール980、カーボポール981(以上、Lubrizol Advanced Materials,Inc.社)、シンタレン(和光純薬工業株式会社)、AQUPEC HV-501E(住友精化株式会社)などの市販品を使用することができる。
【0029】
また、(B)成分として用いられるアルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体である。例えば、PEMULEN TR-1、PEMUREN TR-2(以上、Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)等の市販品を使用することができる。
【0030】
本発明における(B)成分の含有量は、好ましくは全体質量中0.5質量%以下である。0.5質量%以下であれば、マッサージ時の転相の速さ、すすぎ性がいずれも良好であり、製剤ののびの悪さやべたつきといった使用性の低下が認められない。
【0031】
<(C)成分>
本発明で使用する(C)成分は、融点が75℃以上の固形脂である。(C)成分は、油性基剤として用いられ、クレンジング化粧料を塗布する際のコク感を付与することに寄与する。
【0032】
(C)成分を具体的に例示すれば、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ等が挙げられる。これら固形脂は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
本発明における(C)成分の含有量は、好ましくは全体質量中0.1~10質量%である。0.1質量%以上であれば、高温での経時安定性が良好となり、かつ製剤にコク感を付与することができ、10質量%以下であれば高温での経時安定性及びすすぎ性が共に良好となる。
【0034】
<(D)成分>
本発明で用いられる(D)成分は、脂肪酸の種類と数の異なる2種以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。(D)成分は、一般的に乳化剤として用いられる。
【0035】
本発明では、前記(A)成分に(D)成分を組み合わせることが必要である。(A)成分に(D)成分を組み合わせることにより、マッサージ時の転相が速いながらも、水洗時のべとつきも減少しダブル洗顔が不要な製剤となる。(D)成分は親水性のノニオン界面活性剤であるため、すすぎ時に皮膚上に製剤が残りにくく、さっぱり感を得やすくなるためと推測される。
【0036】
さらに、本発明では、(D)成分が、脂肪酸の種類と数が異なる2種以上からなることが必要である。脂肪酸の種類と数が異なる2種以上の乳化剤を組み合わせることにより、油水界面で(D)成分がバランス良く密に配向するため界面膜が安定し、(A)成分を効率的に乳化することができる。また、(D)成分は高HLBであるため水洗い時に皮膚上に残ることなく洗い流され、水洗い後のべとつき感が良好となる。また、(D)成分が(A)成分を含む油性成分を密にパッキングするため、高温での経時安定性も良好となる。
【0037】
(D)成分を具体的に例示すれば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)等が挙げられる。これらポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、いずれか2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0038】
市販品としては、レオドール TW-O120V、レオドール TW-S120V、レオドール TW-S320V、レオドール TW-L120(以上、花王社製)、ソルボンT-20(以上、東邦化学工業社製)等が挙げられる。
【0039】
本発明における(D)成分の配合量は、(A)成分と(D)の配合比(=(D)/(A))が0.06以上であることが好ましい。0.06以上であれば、クレンジング料の洗い流し後のべとつき感がなく、ダブル洗顔不要と感じる頻度が高くなる。
【0040】
<水>
本発明の乳化型クレンジング化粧料において水相を構成し、系を維持するために水を用いる。本発明における水の含有量は、保存安定性を向上させ、使用後にさっぱりとした感触が得られる観点から、5~60質量%であることが好ましい。
【0041】
本発明の乳化型クレンジング化粧料は、上記成分に加えて必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で通常使用されている任意の成分を使用することが出来る。これらの成分としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、油分、紫外線吸収剤、防腐剤、保湿剤、ポリマー類、アミノ酸誘導体、糖誘導体、香料、アルコール、増粘剤、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、薬剤、香料等が挙げられる。
【実施例0042】
次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、これに限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0043】
<マッサージ時の転相の速さ(絶対評価)>
10名の専門パネルが、顔に市販のパウダーファンデーション、マスカラ、及び口紅を塗布し、約4時間おいて乾燥させた。次に、実施例・比較例に記載のクレンジング化粧料を約1.2g取り、鏡を見ながら顔全体に伸ばして、人差し指、中指及び薬指で円を描きながらマッサージし、のびが非常に軽くなるまでの時間を測定した。
(評価基準)マッサージ時の転相の速さ
5点:15秒未満
4点:15秒以上30秒未満
3点:30秒以上45秒未満
2点:45秒以上60秒未満
1点:60秒以上
全パネルによる平均が、4点以上を◎、3点以上を○.2点以上を△、2点未満を×とした。
【0044】
<ダブル洗顔不要の評価試験(官能評価)>
10名の専門パネルが、顔に市販のパウダーファンデーション、マスカラ、及び口紅を塗布し、約4時間おいて乾燥させた。次に、実施例・比較例に記載のクレンジング化粧料を約1.2g取り、鏡を見ながら顔全体に伸ばして、メイクとなじませ、その後水で洗い流し、下記評価基準に基づいて評価した。
【0045】
(評価基準)ダブル洗顔不要
5点:べとつき感がまったくなく、さっぱりしており、ダブル洗顔必要なし。
4点:べとつき感がなく、ダブル洗顔必要なし。
3点:べとつき感は弱いがしっとり感がかなり強く、ダブル洗顔が好ましく感じる。
2点:べとつき感が残っており、ダブル洗顔したい。
1点:かなりべとつき感が強く、ダブル洗顔は必須である。
全パネルによる平均が、4点以上を◎、3点以上を○.2点以上を△、2点未満を×とした。
【0046】
<高温での経時安定性評価試験>
実施例・比較例の試料を50mLの透明ガラス製容器に入れて密封し、45℃の恒温槽に3か月保存し、視覚判定により下記の基準で評価を行った。
【0047】
(評価基準)
5点:試料外観の変化が観察されない
4点:試料表面にごくわずかな油浮きや粘度低下が認められる
3点:試料表面に明確な油浮きや部分的な分離、著しい粘度低下が認められる
2点:試料全体に分離が認められる
1点:調製直後から分離が認められる
4点以上を◎、3点以上を○.2点以上を△、2点未満を×とした。
【0048】
実施例1~7、比較例1~9
表1~2に示した処方の乳化型クレンジング化粧料を常法に準じて調製し、上記各試験を実施した。その結果を表1および表2に併せて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1~2より明らかなように本発明の成分を用いた実施例の乳化型クレンジング化粧料はいずれも優れた性能を有していた。一方、比較例では、マッサージ時の転相の速さ、すすぎ性、高温での経時安定性のいずれかの面で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0052】
次に現行市販品の乳化型クレンジング化粧料、先行技術文献に記載の乳化型クレンジング化粧料及び本発明品について比較評価した結果を表3に示す。現行市販品及び先行技術文献に記載の乳化型クレンジング化粧料は、いずれもマッサージ時の転相の速さ、ダブル洗顔不要、高温での経時安定性を両立できるものはなかった。
【0053】
【表3】