(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055933
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】液滴吐出装置及びメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20240412BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
B41J2/17
B41J2/18
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028117
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2023569568の分割
【原出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2021209223
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都甲 真
(72)【発明者】
【氏名】穂積 大輔
(57)【要約】
【課題】液滴吐出ヘッド内の滞留物に起因した吐出不良を抑制すること。
【解決手段】液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと、供給部と、制御部とを備える。液滴吐出ヘッドは、着色液の液滴を吐出する。供給部は、液滴吐出ヘッドに着色液を供給する。制御部は、各部を制御する。また、制御部は、液滴吐出ヘッドから着色液の液滴を吐出する吐出期間の後のメンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、供給部を制御して、吐出期間における着色液よりも粘度が低い着色液を液滴吐出ヘッドに供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色液の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドに前記着色液を供給する供給部と、
各部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記液滴吐出ヘッドから前記着色液の液滴を吐出する吐出期間の後のメンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記供給部を制御して、前記吐出期間における前記着色液よりも粘度が低い着色液を前記液滴吐出ヘッドに供給する、液滴吐出装置。
【請求項2】
前記着色液は、せん断速度が増加するほど粘度が低下する擬塑性流体であり、
前記供給部は、前記液滴吐出ヘッドとの間を循環する前記着色液の循環流量を制御しつつ、前記液滴吐出ヘッドに前記着色液を供給する循環機構であり、
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を前記吐出期間における前記着色液の循環流量よりも増加させる、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を、前記メンテナンス期間に含まれる、第1期間と前記第1期間の次の第2期間とで変化させる、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を、前記第1期間では第1流量に設定し、前記第2期間では前記第1流量よりも低い第2流量に設定する、請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を、前記第1期間では第1流量に設定し、前記第2期間では前記第1流量よりも高い第2流量に設定する、請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記メンテナンス期間に、前記循環機構を制御して、所定時間だけ前記着色液の循環を停止させた後、前記着色液の循環流量を増加させる、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記液滴吐出ヘッドを姿勢変更可能に搭載するロボットアームをさらに備え、
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を増加させるとともに、前記ロボットアームを制御して、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させる、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記着色液の循環流量を増加させるタイミングで、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させる、請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記液滴吐出ヘッドは、
前記液滴吐出ヘッドの内部に着色液を供給するための供給口と、
前記液滴吐出ヘッドの内部から着色液を回収するための回収口と
を有し、
前記制御部は、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記供給口及び前記回収口のうち一方が他方よりも高くなる姿勢に変化させる、請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記供給口及び前記回収口のうち一方が他方よりも高くなる姿勢と前記供給口及び前記回収口のうち他方が一方よりも高くなる姿勢との間で変化させる、請求項9に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記液滴吐出ヘッドは、
ノズルと、前記ノズルに繋がる加圧室と、前記加圧室に前記ノズルから前記着色液の液滴を吐出させるための圧力を加える加圧部とを含む吐出ユニットと、
前記加圧室に繋がり、前記加圧室に前記着色液を供給する供給マニホールドと、
前記加圧室に繋がり、前記加圧室から前記着色液を回収する回収マニホールドと
を有し、
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を増加させつつ、前記加圧部によって前記加圧室に圧力を加える、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記着色液は、せん断速度が増加するほど粘度が低下する擬塑性流体であり、
前記供給部は、前記液滴吐出ヘッドとの間を循環する前記着色液の循環流量を制御しつつ、前記液滴吐出ヘッドに前記着色液を供給する循環機構であり、
前記液滴吐出ヘッドは、
ノズルと、前記ノズルに繋がる加圧室と、前記加圧室に前記ノズルから前記着色液の液滴を吐出させるための圧力を加える加圧部とを含む吐出ユニットと、
前記加圧室に繋がり、前記液滴吐出ヘッドの供給口側から供給される前記着色液を前記加圧室に供給する供給マニホールドと、
前記加圧室に繋がり、前記加圧室から前記着色液を回収して前記液滴吐出ヘッドの回収口側へ送り出す回収マニホールドと
を有し、
前記加圧室と前記供給マニホールドとは、個別供給流路を介して繋がっており、
前記加圧室と前記回収マニホールドとは、個別回収流路を介して繋がっており、
前記個別回収流路の流路抵抗が、前記個別供給流路の流路抵抗よりも小さく、
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記循環機構を制御して、前記回収口から前記供給口に向けて前記着色液を循環させる、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
着色液の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドに前記着色液を供給する供給機構と
を備える液滴吐出装置におけるメンテナンス方法であって、
前記液滴吐出ヘッドから前記着色液の液滴を吐出する吐出期間の後のメンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記供給機構を制御して、前記吐出期間における前記着色液よりも粘度が低い着色液を前記液滴吐出ヘッドに供給する、メンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、液滴吐出装置及びメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、インクジェット記録方式を利用したインクジェットプリンタやインクジェットプロッタが知られている。このようなインクジェット方式の印刷装置には、液体を吐出させるための液滴吐出ヘッドが搭載されている。
【0003】
また、インクジェット方式の印刷装置では、液滴吐出ヘッドに洗浄液を供給して液滴吐出ヘッドの目詰まりを抑止する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術では、液滴吐出ヘッド内の滞留物に起因した吐出不良を抑制するという点でさらなる改善の余地がある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、液滴吐出ヘッド内の滞留物に起因した吐出不良を抑制することができる液滴吐出装置及びメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様による液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと、供給部と、制御部とを備える。液滴吐出ヘッドは、着色液の液滴を吐出する。供給部は、液滴吐出ヘッドに着色液を供給する。制御部は、各部を制御する。また、制御部は、液滴吐出ヘッドから着色液の液滴を吐出する吐出期間の後のメンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、供給部を制御して、吐出期間における着色液よりも粘度が低い着色液を液滴吐出ヘッドに供給する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、液滴吐出ヘッド内の滞留物に起因した吐出不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る液滴吐出装置の構成例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る液滴吐出ヘッドの外観構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る液滴吐出ヘッドの平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る液滴吐出ヘッドの内部の流路を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る吐出ユニットの構成例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る循環機構を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る液滴吐出装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例1に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例2に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例3に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【
図12】
図12は、実施形態の変形例4に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【
図13】
図13は、実施形態の変形例5に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【
図14】
図14は、実施形態の変形例5に係る液滴吐出ヘッドの姿勢の一例を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態の変形例6に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【
図16】
図16は、実施形態の変形例7に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【
図17】
図17は、実施形態の変形例7に係る圧力波が伝播する様子を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態の変形例8に係る液滴吐出ヘッドの内部構造及び着色液の循環態様を説明するための説明図である。
【
図19】
図19は、実施形態の変形例8に係る液滴吐出ヘッドの内部構造及び着色液の循環態様を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する液滴吐出装置及びメンテナンス方法の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0013】
本願が開示する液滴吐出装置は、インクジェット記録方式を利用したインクジェットプリンタやインクジェットプロッタの他、インクジェット方式で液滴を吐出する各種装置に適用できる。
【0014】
<液滴吐出装置の外観構成例>
図1を用いて、実施形態に係る液滴吐出装置の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る液滴吐出装置の構成例を模式的に示す図である。
【0015】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ロボットアーム100と、循環機構200と、液滴吐出ヘッド300と、制御装置2とを備える。
【0016】
ロボットアーム100は、例えば室内又は室外の水平な床面に載置される基台10に組み付けられる。ロボットアーム100は、アーム部110を有する。アーム部110は、曲げ伸ばし、及び回転自在に組み付けられた複数の部品により構成される。アーム部110は、後述する制御部21からの指令に従って、アーム部110の先端に搭載された液滴吐出ヘッド300の移動や、かかる液滴吐出ヘッド300の位置、姿勢、並びに角度の変更などを行うことができる。
図1に例示するアーム部110は、液滴吐出ヘッド300にとって必要となる移動や、位置、姿勢、並びに角度などの変更が可能な自由度を備えていれば、
図1に示す構成に特に限定されるものではない。
【0017】
ロボットアーム100は、アーム部110によって、例えば、アーム部110の先端に搭載された循環機構200及び液滴吐出ヘッド300を所定の回転軸に沿って移動させることにより、垂直方向(Z軸方向)に移動させることができる。これにより、循環機構200及び液滴吐出ヘッド300は、例えば、
図1に示すように、対象物50の吹付面50SFに対して、液滴吐出ヘッド300の液体の吐出面30SFを平行に対面させた姿勢をとることができる。また、ロボットアーム100は、アーム部110によって、例えば、アーム部110の先端に組み付けられた循環機構200及び液滴吐出ヘッド300を所定の回転軸回りに回転させることができる。これにより、循環機構200及び液滴吐出ヘッド300は、例えば、長手方向の位置と短手方向の位置を入れ替えたり、上下の位置を反転させたりすることができる。
【0018】
循環機構200は、ロボットアーム100のアーム部110の先端部に設置される。循環機構200は、液滴吐出ヘッド300との間を循環する着色液の循環流量を制御しつつ、液滴吐出ヘッド300に着色液を供給する。循環機構200は、液滴吐出ヘッド300に着色液を供給する供給部として機能する。
【0019】
液滴吐出ヘッド300は、ロボットアーム100のアーム部110の先端部に設置された循環機構200に組み付けられる。液滴吐出ヘッド300は、対象物50に対して、着色液の液滴を吐出する液滴吐出部として機能する。着色液は、対象物50に塗布して着色することが可能な液体である。また、着色液は、せん断速度が増加するほど粘度が低下する擬塑性流体である場合を例示して説明するが、擬塑性流体でなくても構わない。着色液としては、例えば、インクや塗料等を用いることができる。
【0020】
制御装置2は、たとえばコンピュータであり、プロセッサ等の制御部21とメモリ等の記憶部22とを備える。記憶部22には、液滴吐出装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって液滴吐出装置1の動作を制御する。
【0021】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置2の記憶部22にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0022】
ところで、着色液の液滴を吐出した後の液滴吐出ヘッド300内には、種々の滞留物が滞留することがある。滞留物としては、例えば、着色液の固化物や気泡等が挙げられる。液滴吐出ヘッド300内に滞留物が滞留すると、着色液の流れが妨げられるため、液滴吐出ヘッド300の吐出不良が発生するおそれがある。この点に鑑み、本願は、液滴吐出ヘッド300内に残留する滞留物に起因した吐出不良を抑制することができる液滴吐出装置1を提案する。
【0023】
<液滴吐出ヘッドの構成例>
図2~
図4を用いて、実施形態に係る液滴吐出ヘッド300について説明する。
図2は、実施形態に係る液滴吐出ヘッドの外観構成を模式的に示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る液滴吐出ヘッドの平面図である。
図4は、実施形態に係る液滴吐出ヘッドの内部の流路を模式的に示す図である。
【0024】
図2に示すように、液滴吐出ヘッド300は、箱型の部材310と略平板形状の部材320とを含む筐体を備えている。液滴吐出ヘッド300の筐体には、液滴吐出ヘッド300の内部に着色液を供給するための供給口321と、液滴吐出ヘッド300の内部から着色液を回収するための回収口322とが設けられている。供給口321には、循環機構200からヘッド内部に着色液を供給するための第1の流路RT
1が、接続されている。回収口322には、ヘッド内部で回収された着色液を循環機構200に送り出す返すための第2の流路RT
2が接続されている。
【0025】
図3に示すように、液滴吐出ヘッド300は、供給リザーバ301と、供給マニホールド302と、回収マニホールド303と、回収リザーバ304と、吐出ユニット305とを有している。
【0026】
供給リザーバ301は、液滴吐出ヘッド300の長手方向(Y軸方向)に伸びた細長い形状を有し、供給マニホールド302と繋がっている。供給リザーバ301は、内部に流路を有する。
図4に示すように、第1の流路RT
1及び供給口321通じて供給リザーバ301に供給され、供給リザーバ301の流路に貯留された着色液は、供給マニホールド302へと送り出される。
【0027】
供給マニホールド302は、液滴吐出ヘッド300の短手方向(X軸方向)に回収リザーバ304の手前まで延伸した細長い形状を有する。供給マニホールド302は、供給リザーバ301が有する流路及び吐出ユニット305に連通した流路を内部に有する。
図4に示すように、供給リザーバ301から供給マニホールド302へと送り出された着色液は、供給マニホールド302から吐出ユニット305へと送り出される。
【0028】
回収マニホールド303は、液滴吐出ヘッド300の短手方向(X軸方向)に供給リザーバ301の手前まで延伸した細長い形状を有する。回収マニホールド303は、回収リザーバ304が有する流路及び吐出ユニット305と連通した流路を内部に有する。
図4に示すように、吐出ユニット305から外部へ吐出されなかった着色液は、回収マニホールド303へと送り出される。
【0029】
回収リザーバ304は、液滴吐出ヘッド300の長手方向(Y軸方向)に伸びた細長い形状を有し、回収マニホールド303と繋がっている。回収リザーバ304は、内部に流路を有する。
図4に示すように、回収マニホールド303から回収リザーバ304に送り出され、回収リザーバ304の流路に貯留された着色液は、回収口322及び第2の流路RT
2を通じて、タンク201(
図6参照)へと送り返される。
【0030】
図5は、実施形態に係る吐出ユニットの構成例を模式的に示す図である。
図5に示すように、吐出ユニット305は、ノズル351と、加圧室352と、変位素子353とを有する。ノズル351は、液滴吐出ヘッド300の吐出面30SF(
図1参照)に開口している吐出孔である。
【0031】
加圧室352は、ノズル351に繋がっている。加圧室352は、変位素子353によって圧力が付与される本体部361と、本体部361とノズル351とを繋ぐ流路であるディセンダ362とを有する。加圧室352と供給マニホールド302とは、個別供給流路354を介して繋がっている。供給マニホールド302から吐出ユニット305へと送り出された着色液は、個別供給流路354を通じて、加圧室352に供給される。また、加圧室352と回収マニホールド303とは、個別回収流路355を介して繋がっている。ノズル351から外部へ吐出されなかった着色液は、加圧室352から回収マニホールド303へと回収される。
【0032】
変位素子353は、加圧室352の本体部361のディセンダ362とは反対側の面に位置している。変位素子353は、所定の駆動信号に応じて変形する素子である。変位素子353は、加圧室352にノズル351から着色液の液滴を吐出させるための圧力を加える加圧部として機能する。すなわち、変位素子353が変形することにより、加圧室352に圧力(正圧及び負圧)が加えられ、ノズル351から着色液の液滴が吐出される。変位素子353は、制御装置2に電気的に接続されており、制御装置2によって制御される。
【0033】
かかる構成を有する吐出ユニット305は、加圧室352に加えられた負圧によって供給マニホールド302から着色液を吸引し、吸引した着色液を加圧室352に加えられた正圧によってノズル351から対象物50に向かって吐出させる。
【0034】
<循環機構の構成例>
続いて、実施形態に係る循環機構200の構成例を説明する。
図6は、実施形態に係る循環機構を模式的に示す図である。
【0035】
図6に示すように、循環機構200は、タンク201と、吐出ポンプ202と、吸引ポンプ203と、第1比例弁204と、第2比例弁205と、ヒーター206とを備える。また、循環機構200は、第1圧力センサ208と、第2圧力センサ209と、第3圧力センサ210と、第4圧力センサ211と、流量計212とを備える。
【0036】
また、循環機構200は、第1の流路RT
1と、第2の流路RT
2とを備える。第1の流路RT
1は、タンク201と液滴吐出ヘッド300との間を連通し、タンク201に貯留された着色液を液滴吐出ヘッド300の内部に流入させるための流路である。第2の流路RT
2は、タンク201と液滴吐出ヘッド300との間を連通し、液滴吐出ヘッド300に流入した着色液をタンク201に還流させるための流路である。第2の流路RT
2を通じて、液滴吐出ヘッド300から外部に吐出されずに、液滴吐出ヘッド300内で回収された着色液はタンク201に送り返される。第1の流路RT
1及び第2の流路RT
2は、例えば、着色液の成分との相互作用がない所定の材料で形成された配管により実装できる。かかる各部を有する循環機構200は、制御部21による制御に従って、例えば、
図6に示すように、タンク201と液滴吐出ヘッド300との間を右回りに循環する着色液の循環流量を制御する。
【0037】
タンク201は、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液を貯留する。タンク201は、液滴吐出ヘッド300に供給する着色液を貯留する貯留部として機能する。
【0038】
吐出ポンプ202は、第1の流路RT1を通じて、タンク201に貯留された着色液を液滴吐出ヘッド300に送給する。吐出ポンプ202は、タンク201に貯留された着色液を液滴吐出ヘッド300に送り出すための正圧を発生させる。吐出ポンプ202は、例えば、予め設定された一定の供給圧力で、タンク201に貯留された着色液を液滴吐出ヘッド300に送出できる。
【0039】
吸引ポンプ203は、第2の流路RT2を通じて、液滴吐出ヘッド300において回収された着色液をタンク201に送給する。吸引ポンプ203は、液滴吐出ヘッド300において回収された着色液を吸引して、タンク201に送り返すための負圧を発生させる。吸引ポンプ203は、例えば、予め設定された一定の回収圧力で、液滴吐出ヘッド300から吸引した着色液をタンク201に送出できる。
【0040】
吐出ポンプ202及び吸引ポンプ203は、ギアポンプなどの回転ポンプや、ダイヤフラムポンプなど容積式ポンプにより実装できる。
【0041】
第1比例弁204は、タンク201と液滴吐出ヘッド300との間の第1の流路RT1に介挿され、液滴吐出ヘッド300に供給する着色液の流量を比例制御する。第1比例弁204は、着色液の流路断面積を0~100%の間で連続的に変更可能であり、着色液の流量を所望の流量に制御する。例えば、第1比例弁204は、着色液の流路断面積を小さくすることにより、液滴吐出ヘッド300に着色液を供給する際の供給流量を小さくできる。一方、第1比例弁204は、液体の流路断面積を大きくすることにより、液滴吐出ヘッド300に液体を供給する際の供給流量を大きくできる。
【0042】
第2比例弁205は、タンク201と液滴吐出ヘッド300との間の第2の流路RT2に介挿され、液滴吐出ヘッド300からタンク201に送給される着色液の流量を比例制御する。第2比例弁205は、第1比例弁204と同様に、液体の流路断面積を0~100%の間で連続的に変更可能であり、着色液の流量を所望の流量に制御する。例えば、第2比例弁205は、着色液の流路断面積を小さくすることにより、液滴吐出ヘッド300から着色液を回収する際の回収流量を小さくできる。一方、第2比例弁205は、着色液の流路断面積を大きくすることにより、液滴吐出ヘッド300から着色液を回収する際の回収流量を大きくできる。
【0043】
第1比例弁204及び第2比例弁205は、電磁式の比例切換弁、又は空気式の比例切換弁により実装できる。
【0044】
ヒーター206は、第1の流路RT1、或いは第1の流路RT1に隣接して設けられ、第1の流路RT1を流れる着色液を加温する。
【0045】
第1圧力センサ208は、吐出ポンプ202により、タンク201から液滴吐出ヘッド300に送給される着色液の圧力を測定する。第1圧力センサ208は、循環機構200における着色液の循環方向において吐出ポンプ202よりも下流側の圧力を測定する。第1圧力センサ208は、測定結果を制御部21に送る。
【0046】
第2圧力センサ209は、吸引ポンプ203により液滴吐出ヘッド300から吸引され、タンク201に送給される着色液の圧力を測定する。第2圧力センサ209は、循環機構200における着色液の循環方向において吸引ポンプ203よりも上流側の圧力を測定する。第2圧力センサ209は、測定結果を制御部21に送る。
【0047】
第3圧力センサ210は、第1の流路RT1を通じて、第1比例弁204と液滴吐出ヘッド300との間を流れる着色液の圧力を供給圧力として測定する第1の圧力測定部として機能する。第3圧力センサ210は、測定結果を制御部21に送る。
【0048】
第4圧力センサ211は、第2の流路RT2を通じて、第2比例弁205と液滴吐出ヘッド300との間を流れる着色液の圧力を回収圧力として測定する第2の圧力測定部として機能する。第4圧力センサ211は、測定結果を制御部21に送る。
【0049】
流量計212は、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の流量を測定する。流量計212は、測定結果を制御部21に送る。
【0050】
(ポンプの制御)
制御部21は、第1圧力センサ208の測定結果及び第3圧力センサ210の測定結果に基づいて、吐出ポンプ202が着色液を送り出す際に着色液に印加する正圧を一定に保つように調整する。例えば、制御部21は、第3圧力センサ210の測定結果から得られる着色液の圧力よりも、第1圧力センサ208の測定結果の測定結果から得られる着色液の圧力が1.2~3倍程度大きい圧力を保つように、吐出ポンプ202の正圧を調整する。
【0051】
また、制御部21は、第2圧力センサ209及び第4圧力センサ211の測定結果に基づいて、吸引ポンプ203が着色液を吸引する際に着色液に印加する負圧を一定に保つように調整する。例えば、制御部21は、第4圧力センサ211の測定結果から得られる着色液の圧力よりも、第2圧力センサ209の測定結果の測定結果から得られる着色液の圧力が1.2~3倍程度低い圧力を保つように、吸引ポンプ203の負圧を調整する。
【0052】
制御部21は、吐出ポンプ202が着色液に印加する正圧と、吸引ポンプ203が着色液に印加する負圧との間の圧力差を一定に保つように調整することにより、タンク201と液滴吐出ヘッド300との間で着色液を循環させる。
【0053】
<液滴吐出装置の具体的動作>
次に、
図7を用いて、実施形態に係る液滴吐出装置の具体的動作を説明する。
図7は、実施形態に係る液滴吐出装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図7に示す各処理は、制御部21の制御に従って実行される。
【0054】
図7に示すように、液滴吐出装置1では、まず、液滴吐出ヘッド300から着色液の液滴を吐出する吐出処理が行われる(ステップS101)。吐出処理において、制御部21は、液滴吐出ヘッド300が備える変位素子353を制御して加圧室352に圧力を加えることにより、ノズル351から対象物50に向かって着色液を吐出する。以下では、吐出処理が行われる累計処理期間を「吐出期間」と呼ぶ。
【0055】
なお、制御部21は、吐出処理の開始前に、吐出ポンプ202及び吸引ポンプ203を制御して、タンク201と液滴吐出ヘッド300との間での着色液の循環を開始させておく。
【0056】
つづいて、液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド300のメンテナンス処理を行うためのメンテナンス期間が到来したか否かが判定される(ステップS102)。ステップS102の判定は、例えば、吐出期間が所定期間を超えたか否かに基づいて行われる。メンテナンス期間が未だ到来していない場合(ステップS102;No)、処理がステップS101に戻され、吐出処理が継続して行われる。
【0057】
一方、メンテナンス期間が到来した場合(ステップS102;Yes)、液滴吐出ヘッド300のメンテナンス処理が行われる(ステップS103)。メンテナンス処理において、制御部21は、循環機構200を制御して、循環機構200と液滴吐出ヘッド300との間を循環する着色液の循環流量を調整する。循環機構200と液滴吐出ヘッド300との間を循環する着色液の循環流量の調整態様については、後述する。メンテナンス処理を終えると、制御部21は、液滴吐出装置1における一連の処理を終了する。
【0058】
<循環流量の調整態様>
以下、
図8を用いて、循環機構200と液滴吐出ヘッド300との間を循環する着色液の循環流量の調整態様について説明する。
図8は、実施形態に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【0059】
図8には、吐出期間及びメンテナンス期間における「循環流量」及び「粘度」の時間変化を示している。「循環流量」は、循環機構200と液滴吐出ヘッド300との間を循環する着色液の循環流量を指し、「粘度」は、循環機構200から液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の粘度を指す。
【0060】
図8に示すように、制御部21は、吐出期間の後のメンテナンス期間に、循環機構200を制御して、着色液の循環流量を吐出期間における着色液の循環流量よりも増加させる。ここで、上述の通り、着色液は、せん断速度が増加するほど粘度が低下する擬塑性流体であり、着色液の循環流量の増加に伴って、着色液の循環方向に対するせん断速度が増加し、着色液の粘度が低下する。このため、制御部21は、メンテナンス期間に、着色液の循環流量を増加させることにより、吐出期間における着色液よりも粘度が低い着色液を液滴吐出ヘッド300に供給することができる。
【0061】
例えば、制御部21は、循環機構200における第1比例弁204及び第2比例弁205の流路断面積を変更して着色液の供給流量及び回収流量を変更することにより、循環流量を吐出期間における着色液の循環流量F1から循環流量F2(>F1)に増加させる。これにより、制御部21は、メンテナンス期間に、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の粘度を吐出期間における着色液の粘度V1から粘度V2(<V1)に低下させることができる。
【0062】
このように、吐出期間の後のメンテナンス期間に、着色液の循環流量を吐出期間における着色液の循環流量よりも増加させることで、吐出期間における着色液の粘度に比べて着色液の粘度を低下させることができる。
【0063】
実施形態に係る液滴吐出装置1によれば、液滴吐出ヘッド300内に着色液の固化物や気泡等の滞留物が滞留する場合でも、着色液の粘度を低下させることで、液滴吐出ヘッド300内の流路の内壁から滞留物を引き剥がし易くすることができる。これにより、液滴吐出ヘッド300の外部に滞留物が円滑に排出されることから、液滴吐出ヘッド300内の流路において滞留物が着色液の流れを妨げることを抑制することができる。結果として、液滴吐出ヘッド300内に残留する滞留物に起因した吐出不良を抑制することができる。
【0064】
なお、
図8に示す例においては、メンテナンス期間の全ての期間に、着色液の循環流量を吐出期間における着色液の循環流量よりも増加させる例を示したが、メンテナンス期間のうち一部の期間に、着色液の循環流量を増加させてもよい。要するに、制御部21は、メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、循環機構200を制御して、着色液の循環流量を吐出期間における着色液の循環流量よりも増加させてもよい。
【0065】
<循環流量の調整態様の各種変形例>
次に、実施形態に係る循環流量の調整態様の各種変形例について
図9~
図17を参照して説明する。
【0066】
図9は、実施形態の変形例1に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
【0067】
図9に示すように、制御部21は、循環機構200を制御して、着色液の循環流量を、メンテナンス期間に含まれる、第1期間と第1期間の次の第2期間とで変化させる。これにより、制御部21は、着色液の粘度を、メンテナンス期間に含まれる、第1期間と第1期間の次の第2期間とで変化させることができる。
【0068】
例えば、制御部21は、循環機構200における第1比例弁204及び第2比例弁205の流路断面積を変更して着色液の供給流量及び回収流量を変更することにより、循環流量を第1期間では循環流量F2に設定し、第2期間では循環流量F3(<F2)に設定する。これにより、制御部21は、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の粘度を第1期間では粘度V2に設定し、第2期間では粘度V3(>V2)に設定することができる。
【0069】
このように、変形例1では、着色液の循環流量を変化させることで、相対的に低粘度の着色液及び相対的に高粘度の着色液を液滴吐出ヘッド300に供給することができる。これにより、変形例1では、相対的に低粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド300内の流路の内壁から滞留物を引き剥がし、相対的に高粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド300内に残留する滞留物を押し流すことができる。
【0070】
また、変形例1では、着色液の循環流量を相対的に高い流量(例えば、循環流量F2)から相対的に低い流量(例えば、循環流量F3)に変化させることとした。これにより、変形例1では、相対的に低粘度の着色液を液滴吐出ヘッド300に供給した後に、相対的に高粘度の着色液を液滴吐出ヘッド300に供給することができる。すなわち、相対的に低粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド300内の流路の内壁から滞留物を引き剥がした上で、相対的に高粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド300内に残留する滞留物を押し流すことができる。その結果、変形例1によれば、液滴吐出ヘッド300の外部に滞留物をより円滑に排出することができる。
【0071】
図10は、実施形態の変形例2に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。変形例1においては、着色液の循環流量を相対的に高い流量から相対的に低い流量に変化させたが、変形例2においては、着色液の循環流量を相対的に低い流量から相対的に高い流量に変化させる。
【0072】
図10に示すように、制御部21は、循環機構200を制御して、循環流量を第1期間では循環流量F
2に設定し、第2期間では循環流量F
3(>F
2)に設定する。これにより、制御部21は、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の粘度を第1期間では粘度V
2に設定し、第2期間では粘度V
3(<V
2)に設定することができる。
【0073】
このように、変形例2では、着色液の循環流量を相対的に低い流量(例えば、循環流量F2)から相対的に高い流量(例えば、循環流量F3)に変化させることとした。これにより、変形例1では、相対的に高粘度の着色液を液滴吐出ヘッド300に供給した後に、相対的に低粘度の着色液を液滴吐出ヘッド300に供給することができる。すなわち、相対的に高粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド300内に残留する滞留物を押し流した上で、相対的に低粘度の着色液によって滞留物を液滴吐出ヘッド300内の流路の下流側へ高速に輸送することができる。その結果、変形例1によれば、液滴吐出ヘッド300の外部に滞留物をより円滑に排出することができる。
【0074】
なお、変形例1及び変形例2では、着色液の循環流量を、メンテナンス期間に含まれる、第1期間と第1期間の次の第2期間とで1回変化させる例を示したが、開示技術はこれに限定されない。例えば、制御部21は、循環機構200を制御して、メンテナンス期間に、着色液の循環流量を変化させる処理を複数回繰り返し行ってもよい。
【0075】
図11は、実施形態の変形例3に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。液滴吐出ヘッド300内には、滞留物として着色液の固化物(以下適宜「固化物」と呼ぶ。)が滞留する。これに対し、変形例3においては、着色液が、着色液の固化物を溶解可能な溶解成分を含んでおり、液滴吐出ヘッド300内に滞留する固化物がかかる溶解成分によって溶解される。
【0076】
図11に示すように、制御部21は、メンテナンス期間に、循環機構200を制御して、液滴吐出ヘッド300内に滞留する固化物が溶解成分に溶解するための所定時間だけ着色液の循環を停止させた後、着色液の循環流量を増加させる。
【0077】
例えば、制御部21は、循環機構200における第1比例弁204及び第2比例弁205の流路断面積を0に変更して着色液の循環を所定時間だけ停止することにより、循環流量を0とする。所定時間が経過すると、制御部21は、循環機構200における第1比例弁204及び第2比例弁205の流路断面積を0よりも大きくすることにより、循環流量を吐出期間における着色液の循環流量F1よりも高い循環流量F2に増加させる。これにより、制御部21は、所定時間の経過後に、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の粘度を吐出期間における着色液の粘度V1よりも低い粘度V2に低下させることができる。
【0078】
このように、変形例3では、着色液の循環流量を増加させる前に、所定時間だけ着色液の循環を停止させることとした。これにより、変形例3では、液滴吐出ヘッド300内に滞留する固化物を着色液に含まれる溶解成分に溶解させ、溶解後の固化物を着色液によって液滴吐出ヘッド300内の流路の下流側へ高速に輸送することができる。その結果、変形例3によれば、液滴吐出ヘッド300の外部に着色液の固化物をより円滑に排出することができる。
【0079】
図12は、実施形態の変形例4に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
図12には、吐出期間及びメンテナンス期間における「ヘッド姿勢」の時間変化を示している。「ヘッド姿勢」は、ロボットアーム100に搭載された液滴吐出ヘッド300の姿勢を指す。
【0080】
図12に示すように、制御部21は、吐出期間の後のメンテナンス期間に、循環機構200を制御して、着色液の循環流量を増加させるとともに、ロボットアーム100を制御して、液滴吐出ヘッド300の姿勢を変化させる。
【0081】
例えば、制御部21は、循環機構200における第1比例弁204及び第2比例弁205の流路断面積を変更して着色液の供給流量及び回収流量を変更することにより、循環流量を吐出期間における着色液の循環流量F1から循環流量F2(>F1)に増加させる。これにより、制御部21は、メンテナンス期間に、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の粘度を吐出期間における着色液の粘度V1から粘度V2(<V1)に低下させることができる。
【0082】
また、例えば、制御部21は、吐出期間に、液滴吐出ヘッド300の姿勢を一定の姿勢P1に維持し、メンテナンス期間に、ロボットアーム100のアーム部110を動作させることにより、液滴吐出ヘッド300の姿勢を複数の任意の姿勢に順次変化させる。
【0083】
このように、変形例4では、吐出期間の後のメンテナンス期間に、液滴吐出ヘッド300の姿勢を変化させることで、重力の方向に対する液滴吐出ヘッド300の傾きを変化させることができる。液滴吐出ヘッド300内に滞留する着色液の固化物は、重力を受けて重力の方向に移動する傾向がある。液滴吐出ヘッド300内に滞留する気泡は、浮力を受けて重力の方向とは反対の方向に移動する傾向がある。したがって、変形例4では、液滴吐出ヘッド300の姿勢を変化させることで、液滴吐出ヘッド300内に滞留する着色液の固化物や気泡等の滞留物を重力の方向および重力の方向とは反対の方向に効率的に移動させることができる。これにより、変形例4では、重力の方向および重力の方向とは反対の方向への滞留物の移動を促進することができることから、液滴吐出ヘッド300の外部に滞留物を円滑に排出することができる。
【0084】
また、変形例4では、着色液の循環流量を増加させるタイミングで、液滴吐出ヘッド300の姿勢を変化させることとした。言い換えると、変形例4では、液滴吐出ヘッド300の姿勢変化を開始させるタイミングを、着色液の循環流量を増加させるタイミングに一致させた。これにより、変形例4では、重力の方向および重力の方向とは反対の方向への滞留物の移動をより促進することができることから、液滴吐出ヘッド300の外部に滞留物をより円滑に排出することができる。
【0085】
なお、
図12に示す例においては、メンテナンス期間の全ての期間に、液滴吐出ヘッド300の姿勢を変化させる例を示したが、メンテナンス期間のうち一部の期間に、液滴吐出ヘッド300の姿勢を変化させてもよい。要するに、制御部21は、メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、循環機構200を制御して、着色液の循環流量を増加させるとともに、ロボットアーム100を制御して、液滴吐出ヘッド300の姿勢を変化させてもよい。
【0086】
図13は、実施形態の変形例5に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
図14は、実施形態の変形例5に係る液滴吐出ヘッドの姿勢の一例を模式的に示す図である。変形例5は、変形例4における液滴吐出ヘッド300の姿勢変化のバリエーションに関する。
【0087】
図13及び
図14に示すように、制御部21は、吐出期間の後のメンテナンス期間に、ロボットアーム100を制御して、液滴吐出ヘッド300の姿勢を、回収口322が供給口321よりも高くなる姿勢P
2に変化させる。
【0088】
このように、変形例5では、液滴吐出ヘッド300の姿勢を回収口322が供給口321よりも高くなる姿勢に変化させることで、液滴吐出ヘッド300内に滞留する気泡を重力の方向とは反対の方向に効率的に移動させることができる。これにより、変形例5では、供給口321から回収口322へ向かう方向の気泡の移動を促進することができることから、回収口322から液滴吐出ヘッド300の外部に気泡を円滑に排出することができる。
【0089】
なお、
図13及び
図14に示す例においては、液滴吐出ヘッド300の姿勢を回収口322が供給口321よりも高くなる姿勢に変化させる例を示したが、供給口321及び回収口322の高さ位置は逆であってもよい。すなわち、制御部21は、液滴吐出ヘッド300の姿勢を、供給口321が回収口322よりも高くなる姿勢に変化させてもよい。この場合、液滴吐出ヘッド300内に滞留する着色液の固化物を重力の方向に効率的に移動させることができる。これにより、供給口321から回収口322へ向かう方向の着色液の固化物の移動を促進することができることから、回収口322から液滴吐出ヘッド300の外部に着色液の固化物を円滑に排出することができる。
【0090】
図15は、実施形態の変形例6に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。変形例6は、変形例5における液滴吐出ヘッド300の姿勢変化のバリエーションに関する。
【0091】
図15に示すように、制御部21は、吐出期間の後のメンテナンス期間に、液滴吐出ヘッド300の姿勢を、回収口322が供給口321よりも高くなる姿勢P
2と供給口321が回収口322よりも高くなる姿勢P
3との間で変化させる。
【0092】
このように、液滴吐出ヘッド300の姿勢を、回収口322が相対的に高くなる姿勢と供給口321が相対的に高くなる姿勢との間で変化させることで、供給口321と回収口322との間での着色液の固化物及び気泡の移動を促進することができる。その結果、変形例6によれば、回収口322から液滴吐出ヘッド300の外部に着色液の固化物及び気泡を円滑に排出することができる。
【0093】
図16は、実施形態の変形例7に係る循環流量の調整態様を説明するための説明図である。
図16には、吐出期間及びメンテナンス期間における「印加圧力」の時間変化を示している。「印加圧力」は、液滴吐出ヘッド300おいて変位素子353から加圧室352に加えられる圧力を指す。
【0094】
図16に示すように、制御部21は、吐出期間の後のメンテナンス期間に、循環機構200を制御して、着色液の循環流量を増加させつつ、変位素子353によって加圧室352に圧力を加える。
【0095】
例えば、制御部21は、吐出期間に、変位素子353によって加圧室352に圧力C1を加え、メンテナンス期間に、循環流量を循環流量F2(>F1)に増加させつつ、変位素子353から加圧室352への圧力の印可を維持する。これにより、制御部21は、メンテナンス期間に、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の粘度を吐出期間における着色液の粘度V1から粘度V2(<V1)に低下させることができる。
【0096】
このように、吐出期間の後のメンテナンス期間に、着色液の循環流量を増加させつつ、加圧室352に圧力を加えることで、液滴吐出ヘッド300に供給される着色液の粘度を低下させつつ、加圧室352において圧力波を発生させることができる。
【0097】
変形例7によれば、着色液の粘度を低下させることで、加圧室352を流れる着色液の粘度と加圧室352に繋がる供給マニホールド302及び回収マニホールド303(以下「マニホールド」と総称する。)を流れる着色液の粘度との差を小さくすることができる。加圧室352を流れる着色液の粘度とマニホールドを流れる着色液の粘度との差が小さくなることで、
図17に示すように、加圧室352において発生させた圧力波PWが加圧室352だけでなくマニホールドにも伝播し易くなる。
図17は、実施形態の変形例7に係る圧力波が伝播する様子を示す図である。このように、加圧室352において発生させた圧力波PWがマニホールドに伝播することで、マニホールド内に滞留する滞留物を圧力波PWによって集中的に除去することができる。
【0098】
なお、
図16に示す例においては、吐出期間に加圧室352に加えられる圧力とメンテナンス期間に加圧室352に加えられる圧力とがいずれも圧力C
1である例を示した。これに限らず、メンテナンス期間に加圧室352に加えられる圧力は、吐出期間に加圧室352に加えられる圧力(つまり、ノズル351から着色液を吐出させるための圧力)よりも小さくてもよい。
【0099】
<着色液の循環態様の変形例>
次に、実施形態に係る着色液の循環態様の変形例について
図18及び
図19を参照して説明する。
【0100】
図18及び
図19は、実施形態の変形例8に係る液滴吐出ヘッド300の内部構造及び着色液の循環態様を説明するための説明図である。
【0101】
図18及び
図19に示す液滴吐出ヘッド300では、吐出ユニット305の加圧室352と回収マニホールド303とを繋ぐ個別回収流路355の流路抵抗が、加圧室352と供給マニホールド302とを繋ぐ個別供給流路354の流路抵抗よりも小さい。例えば、個別回収流路355の流路幅を個別供給流路354の流路幅よりも大きくすることで、個別回収流路355の流路抵抗を個別供給流路354の流路抵抗よりも小さくすることができる。
【0102】
制御部21は、吐出期間の後のメンテナンス期間に、循環機構200を制御して、回収口322から供給口321に向けて着色液を循環させる。例えば、メンテナンス期間に含まれる第1期間において、制御部21は、
図18に示すように、循環機構200を制御して、供給口321から回収口322に向けて着色液を循環させる。そして、メンテナンス期間に含まれる、第1期間の次の第2期間において、制御部21は、例えば
図19に示すように、循環機構200を制御して、着色液の流れ方向を逆転させ、回収口322から供給口321に向けて着色液を循環させる。
【0103】
変形例8では、着色液の循環方向(流れ方向)を、供給口321から回収口322へ向かう方向から回収口322から供給口321へ向かう方向に変更することとした。これにより、変形例8では、着色液が、回収リザーバ304、回収マニホールド303、個別回収流路355、吐出ユニット305、個別供給流路354、供給マニホールド302及び供給リザーバ301をこの順番で流れる。ここで、個別回収流路355の流路抵抗が個別供給流路354の流路抵抗よりも小さい。このため、個別回収流路355において着色液のせん断速度が増加して着色液の粘度が低下し、粘度が低下した着色液が吐出ユニット305、個別供給流路354を経由して供給マニホールド302へ流れ込んで供給マニホールド302の先端部分302aまで到達する。その結果、変形例8によれば、供給マニホールド302の先端部分302aに滞留する比較的高粘度の着色液を比較的低粘度の着色液によって置換することができる。
【0104】
(その他の変形例)
実施形態では、循環機構200が液滴吐出ヘッド300に着色液を供給する例を示したが、液滴吐出ヘッド300に着色液を供給する供給部は、循環機構200に限定されない。例えば、供給部は、粘度が異なる複数の着色液をそれぞれ供給する複数の液供給源と、複数の液供給源と液滴吐出ヘッド300とを繋ぐ供給流路と、液供給源ごとに供給流路に設けられた開閉弁とを含む液供給機構であってもよい。供給部がかかる液供給機構である場合、制御部21は、吐出期間の後のメンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、液供給機構の開閉弁を制御して、吐出期間における着色液よりも粘度が低い着色液を液滴吐出ヘッド300に供給してもよい。かかる場合、着色液は、擬塑性流体でなくてもよい。また、このような場合、液滴吐出ヘッド300は、ノズル351と、ノズル351に繋がる加圧室352と、加圧室352に圧力を加えるアクチュエータ(変位素子353)とを少なくとも有していればよい。
【0105】
上述してきたように、実施形態に係る液滴吐出装置(例えば、液滴吐出装置1)は、液滴吐出ヘッド(例えば、液滴吐出ヘッド300)と、供給部(例えば、循環機構200)と、制御部(例えば、制御部21)とを備える。液滴吐出ヘッドは、着色液の液滴を吐出する。供給部は、液滴吐出ヘッドに着色液を供給する。制御部は、各部を制御する。また、制御部は、液滴吐出ヘッドから着色液の液滴を吐出する吐出期間の後のメンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、供給部を制御して、吐出期間における着色液よりも粘度が低い着色液を液滴吐出ヘッドに供給する。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、液滴吐出ヘッド内の滞留物に起因した吐出不良を抑制することができる。
【0106】
着色液は、せん断速度が増加するほど粘度が低下する擬塑性流体であってもよい。供給部は、液滴吐出ヘッドとの間を循環する着色液の循環流量を制御しつつ、液滴吐出ヘッドに着色液を供給する循環機構(例えば、循環機構200)であってもよい。また、制御部は、メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、循環機構を制御して、着色液の循環流量を吐出期間における着色液の循環流量よりも増加させてもよい。このように、吐出期間の後のメンテナンス期間に、着色液の循環流量を吐出期間における着色液の循環流量よりも増加させることで、吐出期間における着色液の粘度に比べて着色液の粘度を低下させることができる。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、液滴吐出ヘッド内の流路の内壁から滞留物を引き剥がし易くすることができる。
【0107】
制御部は、循環機構を制御して、着色液の循環流量を、メンテナンス期間に含まれる、第1期間と第1期間の次の第2期間とで変化させてもよい。このように、着色液の循環流量を変化させることで、相対的に低粘度の着色液及び相対的に高粘度の着色液を液滴吐出ヘッドに供給することができる。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、相対的に低粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド内の流路の内壁から滞留物を引き剥がし、相対的に高粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド内に残留する滞留物を押し流すことができる。
【0108】
制御部は、循環機構を制御して、着色液の循環流量を、第1期間では第1流量に設定し、第2期間では第1流量よりも低い第2流量に設定してもよい。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、相対的に低粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド内の流路の内壁から滞留物を引き剥がした上で、相対的に高粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド内に残留する滞留物を押し流すことができる。
【0109】
制御部は、循環機構を制御して、着色液の循環流量を、第1期間では第1流量に設定し、第2期間では第1流量よりも高い第2流量に設定してもよい。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、相対的に高粘度の着色液によって液滴吐出ヘッド内に残留する滞留物を押し流した上で、相対的に低粘度の着色液によって滞留物を液滴吐出ヘッド内の流路の下流側へ高速に輸送することができる。
【0110】
制御部は、メンテナンス期間に、循環機構を制御して、所定時間だけ着色液の循環を停止させた後、着色液の循環流量を増加させてもよい。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、着色液の固化物を溶解可能な溶解成分を着色液が含んでいる場合に、液滴吐出ヘッド内に滞留する固化物を着色液に含まれる溶解成分に溶解させ、溶解後の固化物を着色液によって液滴吐出ヘッド内の流路の下流側へ高速に輸送することができる。所定時間としては、例えば、液滴吐出ヘッド内に滞留する固化物が溶解成分に溶解するのに要する時間とすることができるが、それより短くてもよく、長くてもよい。
【0111】
実施形態に係る液滴吐出装置は、ロボットアーム(例えば、ロボットアーム100)をさらに備えてもよい。ロボットアームは、液滴吐出ヘッドを姿勢変更可能に搭載する。また、制御部は、メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、循環機構を制御して、着色液の循環流量を増加させるとともに、ロボットアームを制御して、液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させてもよい。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、重力の方向および重力の方向とは反対の方向への滞留物の移動を促進することができることから、液滴吐出ヘッドの外部に滞留物を円滑に排出することができる。
【0112】
制御部は、着色液の循環流量を増加させるタイミングで、液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させてもよい。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、重力の方向および重力の方向とは反対の方向への滞留物の移動をより促進することができることから、液滴吐出ヘッドの外部に滞留物をより円滑に排出することができる。
【0113】
液滴吐出ヘッドは、液滴吐出ヘッドの内部に着色液を供給するための供給口(例えば、供給口321)と、液滴吐出ヘッドの内部から着色液を回収するための回収口(例えば、回収口322)とを有してもよい。また、制御部は、液滴吐出ヘッドの姿勢を、供給口及び回収口のうち一方が他方よりも高くなる姿勢に変化させてもよい。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、回収口から液滴吐出ヘッドの外部に着色液の固化物又は気泡を円滑に排出することができる。
【0114】
制御部は、液滴吐出ヘッドの姿勢を、供給口及び回収口のうち一方が他方よりも高くなる姿勢と供給口及び回収口のうち他方が一方よりも高くなる姿勢との間で変化させてもよい。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、回収口から液滴吐出ヘッドの外部に着色液の固化物及び気泡を円滑に排出することができる。
【0115】
液滴吐出ヘッドは、吐出ユニット(例えば、吐出ユニット305)と、供給マニホールド(例えば、供給マニホールド302)と、回収マニホールド(例えば、回収マニホールド303)とを有してもよい。吐出ユニットは、ノズル(例えば、ノズル351)と、加圧室(例えば、加圧室352)と、加圧部(例えば、変位素子353)とを含んでもよい。加圧室は、ノズルに繋がる。加圧部は、加圧室にノズルから着色液の液滴を吐出させるための圧力を加える。供給マニホールドは、加圧室に繋がり、加圧室に着色液を供給する。回収マニホールドは、加圧室に繋がり、加圧室から着色液を回収する。また、制御部は、メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、循環機構を制御して、着色液の循環流量を増加させつつ、加圧部によって加圧室に圧力を加えてもよい。これにより、加圧室を流れる着色液の粘度と加圧室に繋がるマニホールドを流れる着色液の粘度との差を小さくすることができることから、加圧室において発生させた圧力波が加圧室だけでなくマニホールドにも伝播し易くなる。その結果、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、マニホールド内に滞留する滞留物を圧力波によって集中的に除去することができる。
【0116】
液滴吐出ヘッドは、吐出ユニット(例えば、吐出ユニット305)と、供給マニホールド(例えば、供給マニホールド302)と、回収マニホールド(例えば、回収マニホールド303)とを有してもよい。吐出ユニットは、ノズル(例えば、ノズル351)と、加圧室(例えば、加圧室352)と、加圧部(例えば、変位素子353)とを含んでもよい。加圧室は、ノズルに繋がる。加圧部は、加圧室にノズルから着色液の液滴を吐出させるための圧力を加える。供給マニホールドは、加圧室に繋がり、液滴吐出ヘッドの供給口(例えば、供給口321)側から供給される着色液を加圧室に供給する。回収マニホールドは、加圧室に繋がり、加圧室から着色液を回収して液滴吐出ヘッドの回収口(例えば、回収口322)側へ送り出す。加圧室と供給マニホールドとは、個別供給流路(例えば、個別供給流路354)を介して繋がっていてもよい。加圧室と回収マニホールドとは、個別回収流路(例えば、個別回収流路355)を介して繋がっていてもよい。個別回収流路の流路抵抗が、個別供給流路の流路抵抗よりも小くてもよい。また、制御部は、メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、循環機構を制御して、回収口から供給口に向けて着色液を循環させてもよい。これにより、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、供給マニホールドの先端部分(例えば、先端部分302a)に滞留する比較的高粘度の着色液を比較的低粘度の着色液によって置換することができる。
【0117】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 液滴吐出装置
2 制御装置
10 基台
21 制御部
22 記憶部
50 対象物
100 ロボットアーム
110 アーム部
200 循環機構
201 タンク
202 吐出ポンプ
203 吸引ポンプ
204 第1比例弁
205 第2比例弁
206 ヒーター
208 第1圧力センサ
209 第2圧力センサ
210 第3圧力センサ
211 第4圧力センサ
212 流量計
300 液滴吐出ヘッド
301 供給リザーバ
302 供給マニホールド
303 回収マニホールド
304 回収リザーバ
305 吐出ユニット
321 供給口
322 回収口
351 ノズル
352 加圧室
353 変位素子
354 個別供給流路
355 個別回収流路
361 本体部
362 ディセンダ
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色液の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドに前記着色液を供給する供給部と、
各部を制御する制御部と、
前記液滴吐出ヘッドを姿勢変更可能に搭載するロボットアームと
を備え、
前記制御部は、
前記液滴吐出ヘッドから前記着色液の液滴を吐出する吐出期間の後のメンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記ロボットアームを制御して、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させる、液滴吐出装置。
【請求項2】
前記液滴吐出ヘッドは、
前記液滴吐出ヘッドの内部に前記着色液を供給するための供給口と、
前記液滴吐出ヘッドの内部から前記着色液を回収するための回収口と
を有し、
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記供給口及び前記回収口のうち一方が他方よりも高くなる姿勢に変化させる、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記供給口及び前記回収口のうち一方が他方よりも高くなる姿勢と前記供給口及び前記回収口のうち他方が一方よりも高くなる姿勢との間で変化させる、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記回収口が前記供給口よりも高くなる姿勢に変化させる、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記供給口が前記回収口よりも高くなる姿勢に変化させる、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記供給部を制御して、前記吐出期間における前記着色液より粘度が低い着色液を前記液滴吐出ヘッドに供給する、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記着色液は、せん断速度が増加するほど粘度が低下する擬塑性流体である、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記着色液は、せん断速度が増加するほど粘度が低下する擬塑性流体であり、
前記供給部は、前記液滴吐出ヘッドとの間を循環する前記着色液の循環流量を制御しつつ、前記液滴吐出ヘッドに前記着色液を供給する循環機構であり、
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を前記吐出期間における前記着色液の循環流量よりも増加させる、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記着色液の循環流量を増加させるタイミングで、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させる、請求項8に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を、前記メンテナンス期間に含まれる、第1期間と前記第1期間の次の第2期間とで変化させる、請求項8または9に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を、前記第1期間では第1流量に設定し、前記第2期間では前記第1流量よりも低い第2流量に設定する、請求項10に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を、前記第1期間では第1流量に設定し、前記第2期間では前記第1流量よりも高い第2流量に設定する、請求項10に記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記メンテナンス期間に、前記循環機構を制御して、所定時間だけ前記着色液の循環を停止させた後、前記着色液の循環流量を増加させる、請求項8または9に記載の液滴吐出装置。
【請求項14】
前記液滴吐出ヘッドは、
ノズルと、前記ノズルに繋がる加圧室と、前記加圧室に前記ノズルから前記着色液の液滴を吐出させるための圧力を加える加圧部とを含む吐出ユニットと、
前記加圧室に繋がり、前記加圧室に前記着色液を供給する供給マニホールドと、
前記加圧室に繋がり、前記加圧室から前記着色液を回収する回収マニホールドと
を有し、
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記循環機構を制御して、前記着色液の循環流量を増加させつつ、前記加圧部によって前記加圧室に圧力を加える、請求項8または9に記載の液滴吐出装置。
【請求項15】
前記着色液は、せん断速度が増加するほど粘度が低下する擬塑性流体であり、
前記供給部は、前記液滴吐出ヘッドとの間を循環する前記着色液の循環流量を制御しつつ、前記液滴吐出ヘッドに前記着色液を供給する循環機構であり、
前記液滴吐出ヘッドは、
ノズルと、前記ノズルに繋がる加圧室と、前記加圧室に前記ノズルから前記着色液の液滴を吐出させるための圧力を加える加圧部とを含む吐出ユニットと、
前記加圧室に繋がり、前記液滴吐出ヘッドの供給口側から供給される前記着色液を前記加圧室に供給する供給マニホールドと、
前記加圧室に繋がり、前記加圧室から前記着色液を回収して前記液滴吐出ヘッドの回収口側へ送り出す回収マニホールドと
を有し、
前記加圧室と前記供給マニホールドとは、個別供給流路を介して繋がっており、
前記加圧室と前記回収マニホールドとは、個別回収流路を介して繋がっており、
前記個別回収流路の流路抵抗が、前記個別供給流路の流路抵抗よりも小さく、
前記制御部は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記循環機構を制御して、前記回収口から前記供給口に向けて前記着色液を循環させる、請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項16】
着色液の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドに前記着色液を供給する供給機構と、
前記液滴吐出ヘッドを姿勢変更可能に搭載するロボットアームと
を備える液滴吐出装置におけるメンテナンス方法であって、
前記液滴吐出ヘッドから前記着色液の液滴を吐出する吐出期間の後のメンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記ロボットアームを制御して、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させる、メンテナンス方法。
【請求項17】
前記液滴吐出ヘッドは、
前記液滴吐出ヘッドの内部に前記着色液を供給するための供給口と、
前記液滴吐出ヘッドの内部から前記着色液を回収するための回収口と
を有し、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記供給口及び前記回収口のうち一方が他方よりも高くなる姿勢に変化させる、請求項16に記載のメンテナンス方法。
【請求項18】
前記液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させる処理は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記供給口及び前記回収口のうち一方が他方よりも高くなる姿勢と前記供給口及び前記回収口のうち他方が一方よりも高くなる姿勢との間で変化させる、請求項17に記載のメンテナンス方法。
【請求項19】
前記液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させる処理は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記回収口が前記供給口よりも高くなる姿勢に変化させる、請求項17に記載のメンテナンス方法。
【請求項20】
前記液滴吐出ヘッドの姿勢を変化させる処理は、
前記メンテナンス期間のうち少なくとも一部の期間に、前記液滴吐出ヘッドの姿勢を、前記供給口が前記回収口よりも高くなる姿勢に変化させる、請求項17に記載のメンテナンス方法。