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特開2024-55934エレクトロルミネセンスデバイスのためのホスト材料
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  • 特開-エレクトロルミネセンスデバイスのためのホスト材料 図1
  • 特開-エレクトロルミネセンスデバイスのためのホスト材料 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055934
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】エレクトロルミネセンスデバイスのためのホスト材料
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/60 20230101AFI20240412BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20240412BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20240412BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240412BHJP
【FI】
H10K85/60
C07D403/14 CSP
H10K50/12
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028137
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2019212949の分割
【原出願日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】62/772,403
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/683,507
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ウォロハン
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・フリータム
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ブルックス
(72)【発明者】
【氏名】ラシャ・ハムゼ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェイ・トンプソン
(57)【要約】
【課題】有機光電子デバイス、特に有機発光デバイス(OLED)に用いたとき、従来の有機材料を上回る性能上の利点を有する新規有機材料の提供。
【解決手段】下記化合物A及びBに代表されるカルバゾール誘導体。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Iの有機発光デバイス(OLED)用材料。
【化1】
(式中、環Aは、5員環又は6員環の芳香族環であり;
、R、及びRは、それぞれ独立して、モノから最大許容可能な置換を表す、又は無置換を表し;
は、存在しない又は存在し、存在する場合、直接結合、O、S、Se、CRR’、NR、SiRR’、及びBRからなる群から選択され;
~Xは、それぞれN又はCRであり;
~Xの少なくとも1つは、Nであり;
~Aは、それぞれ独立して、C又はNであり;
各環内で互いに結合することができるN原子の最大数は、2であり;
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
R、R’、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル,スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり;
任意の2つの置換基は、共に結合又は縮合し、環を形成してもよい。)
【請求項2】
R、R’、R、R、及びRが、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基である請求項1に記載の材料。
【請求項3】
~XがそれぞれNである;
がCRであり、X及びXがNである;
がCRであり、X及びXがNである;又は
がNであり、X及びXがCRである請求項1に記載の材料。
【請求項4】
、R、R、及びRが、それぞれアリール又はヘテロアリールである;
及びRが、結合し、カルバゾール基を形成する;又は
下記条件(a)~(e):
(a)R及びRが結合し、カルバゾール基を形成する;
(b)R及びRが共に結合し、カルバゾール基を形成し、且つR及びRが結合し、カルバゾール基を形成する;
(c)AがCであり、且つ環Aが6員環の芳香族環である;
(d)R及びRが結合し、カルバゾール基を形成し、且つAがCであり、環Aが6員環の芳香族環である;及び
(e)R及びRが結合し、カルバゾール基を形成し、R及びRが共に結合し、カルバゾール基を形成し、且つAがCであり、且つ環Aが6員環の芳香族環である、
から選択される少なくとも1つが成り立つ請求項1に記載の材料。
【請求項5】
がNであり、環Aが5員環の芳香族環である;又は
~AがそれぞれCである請求項1に記載の材料。
【請求項6】
前記材料が、下記からなる群から選択される請求項1に記載の材料。
【化2】
(式中、R、R、R、R、及びRは、モノから最大許容可能な置換を表す、又は無置換を表し;
及びYは、それぞれ独立して、直接結合、O、S、Se、CRR’、NR、SiRR’、及びBRからなる群から選択される、又は存在せず:
~A25は、それぞれ独立して、C又はNであり;
各環内で互いに結合することができるN原子の最大数は、2であり;
~Zは、それぞれ独立して、O、S、Se、CRR’、NR、SiRR’、又はBRからなる群から選択され;
、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル,スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり;
任意の2つの置換基は、共に結合又は縮合し、環を形成してもよい。)
【請求項7】
前記材料が、番号付けされている式Hn-Bi-Bj-Bkに基づく、化合物H1-B1-B1-B1~化合物H50-B60-B60-B60からなる群から選択され、nは、1から50までの整数であり、i、j、及びkは、それぞれ独立して、1から60までの整数であり、H1~H50が、下記の構造を有する;
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
又は、前記材料が、番号付けされている式Hm-Bi-Bjに基づく、化合物H51-B1-B1~化合物H70-B60-B60からなる群から選択され、mは、51から70までの整数であり、i及びjは、それぞれ独立して、1から60までの整数であり、H51~H70が、下記の構造を有する請求項1に記載の材料。
【化7】
【化8】
(式中、B1~B60が、下記の構造を有する。)
【化9】
【化10】

【化11】
【化12】
【請求項8】
前記材料が、下記からなる群から選択される請求項1に記載の材料。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【請求項9】
式Iに係る化合物を含むことを特徴とする有機層。
【化23】
(式中、環Aは、5員環又は6員環の芳香族環であり;
、R、及びRは、それぞれ独立して、モノから最大許容可能な置換を表す、又は無置換を表し;
は、存在しない又は存在し、存在する場合、直接結合、O、S、Se、CRR’、NR、SiRR’、及びBRからなる群から選択され;
~Xは、それぞれN又はCRであり;
~Xの少なくとも1つは、Nであり;
~Aは、それぞれ独立して、C又はNであり;
各環内で互いに結合することができるN原子の最大数は、2であり;
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
R、R’、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル,スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり;
任意の2つの置換基は、共に結合又は縮合し、環を形成してもよい。)
【請求項10】
前記有機層が、発光体及びホストを含む発光層であり;前記発光体が、リン光発光体、蛍光発光体、遅延蛍光発光体、及びこれらの組合せからなる群から選択され;前記ホストが、式Iの化合物である請求項9に記載の有機層。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その開示内容の全体を参照によって援用する、2018年11月28日出願の米国特許仮出願第62/772,403号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ホストとして使用するための化合物、及びそれを含む有機発光ダイオードなどのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。若しくは、OLEDは、白色光を照射するように設計することができる。従来の、白色バックライトからの液晶ディスプレイ発光は、吸収フィルターを用いてフィルタリングされ、赤色、緑色、及び青色発光を生成する。同様の技術は、OLEDでも用いられることができる。白色OLEDは、単一のEMLデバイス又は積層体構造のいずれかであることができる。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
緑色発光分子の一例は、下記の構造:
【化1】
を有する、Ir(ppy)と表示されるトリス(2-フェニル)イリジウムである。
【0007】
この図面及び本明細書における後出の図面中で、本発明者らは、窒素から金属(ここではIr)への配位結合を直線として描写する。
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、幾つかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0009】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第1の層が第2の層「の上に配置されている」と記述される場合、第1の層のほうが基板から遠くに配置されている。第1の層が第2の層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第1の層と第2の層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0010】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送されることができ、且つ/又は該媒質から堆積されることができるという意味である。
【0011】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0012】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるように、第1の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第1のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第2のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0013】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるように、第1の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第1の仕事関数は第2の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0014】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明の概要】
【0015】
下記の式Iの化合物。
【化2】
(式中、環Aは、5員環又は6員環の芳香族環であり;
、R、及びRは、それぞれ独立して、モノから最大許容可能な置換を表す、又は無置換を表し;
は、存在しない又は存在し、存在する場合、直接結合、O、S、Se、CRR’、NR、SiRR’、及びBRからなる群から選択され;
~Xは、それぞれN又はCRであり;
~Xの少なくとも1つは、Nであり;
~Aは、それぞれ独立して、C又はNであり;
各環内で互いに結合することができるN原子の最大数は、2であり;
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
R、R’、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル,スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり;
任意の2つの置換基は、共に結合又は縮合し、環を形成してもよい。)
【0016】
有機層中に本開示の化合物を含むOLEDも開示される。
【0017】
前記OLEDを含む消費者製品も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、有機発光デバイスを示す。
【0019】
図2図2は、別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。幾つかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0021】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0022】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、Nature、395巻、151~154、1998;(「Baldo-I」)及びBaldoら、「Very high-efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4~6(1999)(「Baldo-II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5~6段において更に詳細に記述されている。
【0023】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第1の導電層162及び第2の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6~10段において更に詳細に記述されている。
【0024】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板-アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p-ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm-MTDATAにF-TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n-ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を有するMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0025】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることができる。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。図2は、幾つかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0026】
図1及び図2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば図1及び図2に関して記述されている異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0027】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、図1及び図2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されているメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されているくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0028】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及び有機蒸気ジェット印刷(OVJP)等の堆積法の幾つかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0029】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を含む前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。非ポリマー材料に対するポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作製され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0030】
本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1つ以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。OLEDの有機層に本開示の化合物を含むOLEDを含む消費者製品が開示される。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又は1つ以上のある種の表示装置を含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、曲がったディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、丸めることができるディスプレイ、折り畳むことができるディスプレイ、伸ばすことができるディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDAs)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ(対角で2インチ未満のディスプレイ)、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール(video walls)、劇場又はスタジアムのスクリーン、光療法デバイス、及び看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20~25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40度~+80度で用いることもできる。
【0031】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0032】
「ハロ」、「ハロゲン」、又は「ハライド」という用語は、相互交換可能に使用され、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0033】
「アシル」という用語は、置換されたカルボニル基(C(O)-R)を指す。
【0034】
「エステル」という用語は、置換されたオキシカルボニル(-O-C(O)-R又は-C(O)-O-R)基を指す。
【0035】
「エーテル」という用語は、-OR基を指す。
【0036】
「スルファニル」又は「チオエーテル」という用語は、相互交換可能に使用され、-SR基を指す。
【0037】
「スルフィニル」という用語は、-S(O)-R基を指す。
【0038】
「スルホニル」という用語は、-SO-R基を指す。
【0039】
「ホスフィノ」という用語は、-P(R基を指し、各Rは、同じでも異なっていてもよい。
【0040】
「シリル」という用語は、-Si(R基を指し、各Rは、同じでも異なっていてもよい。
【0041】
上記のそれぞれにおいて、Rは、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であることができる。好ましいRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0042】
「アルキル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルキル基の両方を指し、含む。好ましいアルキル基としては、1個から15個までの炭素原子を含むものであり、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、及び2,2-ジメチルプロピル等が挙げられる。更に、前記アルキル基は、任意に置換されることができる。
【0043】
「シクロアルキル」という用語は、単環式、多環式、及びスピロアルキル基を指し、含む。好ましいシクロアルキル基は、3~12個の環炭素原子を含むものであり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[5.5]ウンデシル、アダマンチルなどが挙げられる。更に、前記シクロアルキル基は、任意に置換されることができる。
【0044】
「ヘテロアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それぞれ、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル基又はシクロアルキル基を指す。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。更に、前記ヘテロアルキル基又は前記ヘテロシクロアルキル基は、任意に置換される。
【0045】
「アルケニル」という用語は、直鎖及び分枝鎖のアルケン基の両方を指し、含む。アルケニル基は、本質的に、アルキル鎖中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むアルキル基である。シクロアルケニル基は、本質的に、シクロアルキル環中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むシクロアルキル基である。本明細書で使用される「ヘテロアルケニル」という用語は、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルケニル基を指す。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。好ましいアルケニル、シクロアルケニル、又はヘテロアルケニル基は、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルケニル、前記シクロアルケニル、又は前記ヘテロアルケニル基は、任意に置換される。
【0046】
「アルキニル」という用語は、直鎖及び分枝鎖アルキン基の両方を指し、含む。好ましいアルキニル基は、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルキニル基は、任意に置換される。
【0047】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」という用語は、相互交換可能に使用され、アリール基で置換されたアルキル基を指す。更に、前記アラルキル基は、任意に置換される。
【0048】
「複素環式基(ヘテロ環基;heterocyclic group)」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族及び非芳香族の環式基を指し、含む。任意に、前記少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。ヘテロ芳香族環式基は、ヘテロアリールと相互交換可能に使用され得る。好ましいヘテロ非芳香族環式基は、3~7個の環原子を含むものであって、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノなどの環式アミン、及び例えばテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェンなどの環式エーテル/チオエーテルを含む。更に、前記複素環式基は、任意に置換されることができる。
【0049】
「アリール」という用語は、単環式芳香族ヒドロカルビル基及び多環式芳香族環系の両方を指し、含む。多環とは、2つの隣接する環(前記環は、「縮合」している)に2つの炭素が共有されている2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つは、芳香族ヒドロカルビル基であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。好ましいアリール基は、6~30個の炭素原子を含むものであり、6~20個の炭素原子を含むものが好ましく、6~12個の炭素原子を含むものが更に好ましい。6個の炭素を有するアリール基、10個の炭素を有するアリール基、又は12個の炭素を有するアリール基が特に好ましい。好適なアリール基としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナンスレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレン等が挙げられ、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、フルオレン、及びナフタレンが好ましい。更に、前記アリール基は、任意に置換されることができる。
【0050】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む単環式ヘテロ芳香族基及び多環式芳香族環系の両方を指し、含む。ヘテロ原子としては、O、S、N、P、B、Si、及びSeが挙げられるが、これらに限定されない。多くの例においては、O、S、又はNが好ましいヘテロ原子である。ヘテロ単環式芳香族系は、好ましくは5個又は6個の環原子を有する単環であり、前記環は1~6個のヘテロ原子を有することができる。ヘテロ多環式環系は、2つの原子が2つの隣接する環(前記環は「縮合している」)に共通している2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つはヘテロアリールであり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。複素多環式芳香族環系は、多環式芳香族環系の環当たり1~6個のヘテロ原子を有することができる。好ましいヘテロアリール基は、3~30個の炭素原子を含むものであり、3~20個の炭素原子を含むものが好ましく、3~12個の炭素原子を含むものがより好ましい。好適なヘテロアリール基としては、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジンが挙げられ、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボリン、1,3-アザボリン、1,4-アザボリン、ボラジン、及びこれらのアザ類似体が好ましい。更に、前記ヘテロアリール基は、任意に置換されることができる。
【0051】
上記にリストされる前記アリール及び前記ヘテロアリール基のうち、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、及びベンズイミダゾールの基、並びにそのそれぞれのアザ類似体が、特に興味深い。
【0052】
本明細書において使用される用語であるアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アラルキル、複素環基、アリール、及びヘテロアリールは、独立して非置換である、又は1つ以上の一般的な置換基で置換される。
【0053】
多くの例において、前記一般的な置換基は、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、環状アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0054】
幾つかの例において、好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0055】
幾つかの例において、好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アリール、ヘテロアリール、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0056】
更に他の例においては、より好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0057】
「置換された」及び「置換」という用語は、関連する位置(例えば炭素又は窒素)に結合されているH以外の置換基を指す。例えば、Rがモノ置換を表す場合、1つのRはH以外でなければならない(即ち、置換)。同様に、Rがジ置換を表す場合、Rの2つはH以外でなければならない。同様に、Rが無置換を表す場合、Rは、例えば、ベンゼンにおける炭素原子及びピロール中の窒素原子の場合のように、環原子の利用可能な原子価における水素であることができる、又は完全に満たされた原子価を有する環原子(例えば、ピリジン中の窒素)の場合には単に何も表さない。環構造において可能な置換の最大数は、環原子における利用可能な原子価の総数に依存する。
【0058】
本明細書中で使用される場合、「これらの組合せ」は、適用されるリストから当業者が想到することができる知られた又は化学的に安定な配置を形成するために、適用されるリストの1つ以上のメンバーが組み合わされることを示す。例えば、アルキル及び重水素は、組み合わされて、部分的又は完全に重水素化されたアルキル基を形成することができる;ハロゲン及びアルキルは、組み合わされて、ハロゲン化アルキル置換基を形成することができる;ハロゲン、アルキル、及びアリールは、組み合わされて、ハロゲン化アリールアルキルを形成することができる。1つの例においては、置換という用語は、リストされた基の2~4個の組合せを含む。別の例においては、置換という用語は、2~3個の基の組合せを含む。更に別の例では、置換という用語は、2個の基の組合せを含む。置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素でない50個までの原子を含むもの、又は水素又は重水素ではない40個までの原子を含むもの、又は水素若しくは重水素ではない30個までの原子を含むものである。多くの例においては、置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素ではない20個までの原子を含む。
【0059】
本明細書において記述されるフラグメント、例えば、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾチオフェン等の中の「アザ」という名称は、各芳香族環中のC-H基の1つ以上が窒素原子に置き換わることができることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素類似体を容易に想像することができ、このような類似体全てが本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。
【0060】
本明細書で使用される場合、「重水素」は、水素の同位体を指す。重水素化化合物は、当該分野で公知の方法を用いて容易に調製されることができる。例えば、それらの内容の全体を参照によって援用する、米国特許第8,557,400号明細書、国際公開第WO2006/095951号、及び米国特許出願公開第2011/0037057号には、重水素で置換された有機金属錯体の作製が記載されている。更なる参照は、それらの内容の全体を参照によって組み込まれる、Tetrahedron 2015,71,1425~30(Ming Yanら)及びAngew.Chem.Int.Ed.(Reviews)2007,46,7744~65(Atzrodtら)によって為され、ベンジルアミン中のメチレン水素の重水素化及び芳香族環水素を重水素で置換する効率的な経路が、それぞれ記載されている。
【0061】
分子フラグメントが置換基であるとして記述される、又は他の部分に結合されているものとして記述される場合、その名称は、フラグメント(例えば、フェニル、フェニレン、ナフチル、ジベンゾフリル)又は分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるように記載されることがあることを理解されたい。本明細書においては、置換基又は結合フラグメントの表示の仕方が異なっていても、これらは、等価であると考える。
【0062】
ある例においては、対の隣接する置換基は、任意に結合又は縮合し、環を形成することができる。好ましい環は、5員環、6員環、又は7員環の炭素環又は複素環であり、対の置換基によって形成される環の部分が飽和されている例及び対の置換基によって形成される環の部分が不飽和である例の両方を含む。本明細書中で使用される「隣接する」は、安定した縮合環系を形成することができる限り、関連する2つの置換基が、互いに隣り合って同じ環上にあることができる、又はビフェニルにおける2位と2’位、及びナフタレンにおける1位と8位など、2つの最も近い利用可能な置換可能位置を有する2つの隣どうしの環上にあることができることを意味する。
【0063】
1つの態様においては、本発明は、下記の式Iの化合物を含む。
【化3】
(式中、環Aは、5員環又は6員環の芳香族環であり;
、R、及びRは、それぞれ独立して、モノから最大許容可能な置換を表す、又は無置換を表し;
は、存在しない又は存在し、存在する場合、直接結合、O、S、Se、CRR’、NR、SiRR’、及びBRからなる群から選択され;
~Xは、それぞれN又はCRであり;
~Xの少なくとも1つは、Nであり;
~Aは、それぞれ独立して、C又はNであり;
各環内で互いに結合することができるN原子の最大数は、2であり;
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
R、R’、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル,スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり;
任意の2つの置換基は、共に結合又は縮合し、環を形成してもよい。)
【0064】
1つの実施形態においては、R、R’、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基である。
【0065】
1つの実施形態においては、X~Xは、それぞれNである。1つの実施形態においては、XはCRであり、X及びXはNである。1つの実施形態においては、XはCRであり、X及びXはNである。1つの実施形態においては、XはNであり、X及びXはCRである。
【0066】
1つの実施形態においては、各RはHである。
【0067】
1つの実施形態においては、各RはHである。
【0068】
1つの実施形態においては、各RはHである。
【0069】
1つの実施形態においては、各RはHである。
【0070】
1つの実施形態においては、R、R、R、及びRは、それぞれアリール又はヘテロアリールである。
【0071】
1つの実施形態においては、R及びRは、結合し、カルバゾール基を形成する。
【0072】
1つの実施形態においては、R及びRは、結合し、カルバゾール基を形成する。
【0073】
1つの実施形態においては、R及びRは、結合し、カルバゾール基を形成し、R及びRは、結合し、カルバゾール基を形成する。
【0074】
1つの実施形態においては、A~Aは、それぞれCである。1つの実施形態においては、AはCであり、環Aは、6員環の芳香族環である。1つの実施形態においては、AはNであり、環Aは、5員環の芳香族環である。
【0075】
1つの実施形態においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化4】
【化5】
(式中、R、R、R、R、及びRは、モノから最大許容可能な置換を表す、又は無置換を表し;
及びYは、それぞれ独立して、直接結合、O、S、Se、CRR’、NR、SiRR’、及びBRからなる群から選択される、又は存在せず:
~A25は、それぞれ独立して、C又はNであり;
各環内で互いに結合することができるN原子の最大数は、2であり;
~Zは、それぞれ独立して、O、S、Se、CRR’、NR、SiRR’、又はBRからなる群から選択され;
、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル,スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり;
任意の2つの置換基は、共に結合又は縮合し、環を形成してもよい。)
【0076】
1つの実施形態においては、前記化合物は、番号付けされている式Hn-Bi-Bj-Bkに基づく、化合物H1-B1-B1-B1~化合物H50-B60-B60-B60からなる群から選択され、nは、1から50までの整数であり、i、j、及びkは、それぞれ独立して、1から60までの整数であり、H1~H50は、下記の構造を有する;
【化6】
【化7】
【化8】
又は、前記化合物は、番号付けされている式Hm-Bi-Bjに基づく、化合物H51-B1-B1~化合物H70-B60-B60からなる群から選択され、mは、51から70までの整数であり、i及びjは、それぞれ独立して、1から60までの整数であり、H51~H70は、下記の構造を有し;
【化9】
【化10】
式中、B1~B60は、下記の構造を有する。)
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0077】
1つの実施形態においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0078】
他の態様においては、本発明は、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、式Iに係る化合物を含む有機層と、を含む有機発光デバイス(OLED)を含む。
【0079】
1つの実施形態においては、前記OLEDは、増感剤を更に含み、前記有機層は、アクセプター及びホストを含み;前記アクセプターは、蛍光発光体、遅延蛍光発光体、及びそれらの組合せからなる群から選択され;前記ホストは、式Iの化合物である。
【0080】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、可撓性があること、丸めることができること、折り畳むことができること、伸ばすことができること、曲げることができることからなる群から選択される1つ以上の特性を有する。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、透明又は半透明である。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、カーボンナノチューブを含む層を更に含む。
【0081】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、遅延蛍光発光体を含む層を更に含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、RGB画素配列又は白色及びカラーフィルター画素配列を含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はウェアラブルデバイスである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、10インチ未満の対角線又は50平方インチ未満の面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、少なくとも10インチの対角線又は少なくとも50平方インチの面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、照明パネルである。
【0082】
発光体ドーパントは、リン光ドーパント及び/又は蛍光ドーパントであることができる。前記有機層は、ホストとして本明細書に記載される、式Iに係る化合物、及びそのバリアントを含むことができる。
【0083】
1つの実施形態においては、前記有機層は、発光層であり、前記化合物は、発光ドーパント又は非発光ドーパントである。
【0084】
1つの実施形態においては、前記有機層は、発光層であり、前記化合物は、発光ドーパント又は非発光ドーパントである。
【0085】
1つの実施形態においては、前記有機層は、発光体及びホストを含む発光層であり;前記発光体は、リン光発光体、蛍光発光体、遅延蛍光発光体、及びこれらの組合せからなる群から選択され;前記ホストは、式Iの化合物である。
【0086】
1つの実施形態においては、前記リン光発光体は、下記からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を有する、又は前記配位子が二座超である場合には前記配位子の一部を有する遷移金属錯体である。
【化25】
【化26】
(式中、Y~Y13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Y’は、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO、CR、SiR、及びGeRからなる群から選択され;
及びRは、縮合又は結合して環を形成してもよく;
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、モノ置換から置換の最大可能数を表す、又は無置換を表してもよく;
、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル,スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
、R、R、及びRの任意の2つの隣接する置換基は、縮合又は結合して環を形成する、又は多座配位子を形成してもよい。)
【0087】
他の態様においては、本発明は、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、式Iに係る化合物を含む有機層と、を含む有機発光デバイス(OLED)を含む消費者製品を含む。
【0088】
他の態様によれば、本明細書に記載される化合物を含む配合物(formulation)も開示される。
【0089】
本明細書に開示されるOLEDは、消費者製品、電子部品モジュール、及び照明パネルの1つ以上に組み込まれることができる。
【0090】
本開示の更に他の態様においては、本明細書に開示される新規化合物を含む配合物が記載される。前記配合物は、本明細書に開示される溶媒、ホスト、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロッキング材料、正孔ブロッキング材料、及び電子輸送層材料からなる群から選択される1つ以上の成分を含むこともできる。
【0091】
本開示は、本開示の新規化合物、又はその一価又は多価のバリアントを含む任意の化学構造を包含する。言い換えれば、本発明化合物又はその一価又は多価のバリアントは、より大きな化学構造の一部であることができる。そのような化学構造は、モノマー、ポリマー、巨大分子、及び超分子(supramolecule)(超分子(supermolecule)としても知られている)からなる群から選択されることができる。本明細書中で使用される、「化合物の一価のバリアント」は、1個の水素が除去され、化学構造の残りへの結合で置き換えられていることを除いては、前記化合物と同一である部分を指す。本明細書中で使用される、「化合物の多価のバリアント」は、1個超の水素が除去され、化学構造の残りへの結合(bond or bonds)で置き換えられていることを除いては前記化合物と同一である部分を指す。超分子の例においては、発明化合物は、共有結合なしで前記超分子錯体に組み込まれることもできる。
他の材料との組合せ
【0092】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
伝導性(導電性)ドーパント:
【0093】
電荷輸送層は、伝導性ドーパントでドープされ、電荷キャリアの密度を大きく変え、それによりその伝導性を変えることとなる。伝導性は、マトリックス材料中の電荷キャリアを生成することで、又はドーパントのタイプに応じて増加され、半導体のフェルミ準位における変化も達成することができる。正孔輸送層は、p型伝導性ドーパントでドープされることができ、n型伝導性ドーパントは、電子輸送層中に用いられる。
【0094】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる伝導性ドーパントの非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
EP01617493、EP01968131、EP2020694、EP2684932、US20050139810、US20070160905、US20090167167、US2010288362、WO06081780、WO2009003455、WO2009008277、WO2009011327、WO2014009310、US2007252140、US2015060804、US20150123047、及びUS2012146012
【化27】
【化28】
HIL/HTL:
【0095】
本発明において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを有するポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoO等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0096】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造を含むがこれらに限定されない。
【化29】
【0097】
ArからArのそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。各Arは、無置換であることができる、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基によって置換されることができる。
【0098】
一態様において、ArからArは、
【化30】
からなる群から独立に選択される。
式中、kは1から20までの整数であり;X101からX108はC(CHを含む)又はNであり;Z101はNAr、O、又はSであり;Arは、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0099】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式を含むがこれに限定されない。
【化31】
式中、Metは、40より大きい原子量を有し得る金属であり;(Y101-Y102)は二座配位子であり、Y101及びY102は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L101は補助配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0100】
一態様において、(Y101-Y102)は2-フェニルピリジン誘導体である。別の態様において、(Y101-Y102)はカルベン配位子である。別の態様において、Metは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。更なる態様において、金属錯体は、Fc/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0101】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるHIL材料及びHTL材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
CN102702075、DE102012005215、EP01624500、EP01698613、EP01806334、EP01930964、EP01972613、EP01997799、EP02011790、EP02055700、EP02055701、EP1725079、EP2085382、EP2660300、EP650955、JP07-073529、JP2005112765、JP2007091719、JP2008021687、JP2014-009196、KR20110088898、KR20130077473、TW201139402、US06517957、US20020158242、US20030162053、US20050123751、US20060182993、US20060240279、US20070145888、US20070181874、US20070278938、US20080014464、US20080091025、US20080106190、US20080124572、US20080145707、US20080220265、US20080233434、US20080303417、US2008107919、US20090115320、US20090167161、US2009066235、US2011007385、US20110163302、US2011240968、US2011278551、US2012205642、US2013241401、US20140117329、US2014183517、US5061569、US5639914、WO05075451、WO07125714、WO08023550、WO08023759、WO2009145016、WO2010061824、WO2011075644、WO2012177006、WO2013018530、WO2013039073、WO2013087142、WO2013118812、WO2013120577、WO2013157367、WO2013175747、WO2014002873、WO2014015935、WO2014015937、WO2014030872、WO2014030921、WO2014034791、WO2014104514、WO2014157018


【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
EBL:
【0102】
電子ブロッキング層(EBL)は、発光層から出る電子及び/又は励起子の数を減らすために使用されることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して、大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接した発光体よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。1つの態様においては、EBL中に用いられる前記化合物は、下記に記載されるホストの1つとして用いられる、同じ分子又は同じ官能基を含む。
追加のホスト:
【0103】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光ドーパント材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いた1以上の追加のホスト材料を含むことができる。前記ホスト材料としては特に限定されず、前記ホストの三重項エネルギーがドーパントのものよりも大きければ、任意の金属錯体又は有機化合物が用いられることができる。いずれのホスト材料も、三重項の基準が満たされる限り、任意のドーパントと共に用いられることができる。
【0104】
ホスト材料として使用される金属錯体の例は、下記の一般式を有することが好ましい。
【化39】
式中、Metは金属であり;(Y103-Y104)は二座配位子であり、Y103及びY104は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0105】
一態様において、金属錯体は、下記の錯体である。
【化40】
式中、(O-N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0106】
別の態様において、Metは、Ir及びPtから選択される。更なる態様において、(Y103-Y104)はカルベン配位子である。
【0107】
1つの態様においては、前記ホスト化合物は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される群の少なくとも1つを含む。各基は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基によって、更に置換される。
【0108】
1つの態様においては、ホスト化合物は、分子中に、下記の基の少なくとも1つを含む。
【化41】
(式中、R101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは0から20又は1から20までの整数である。X101~X108は、独立して、C(CHを含む)又はNから選択される。Z101及びZ102は、独立して、NR101、O、又はSから選択される。)
【0109】
本明細書において開示されるホスト化合物と組み合わせて、OLED中に用いられることができる追加のホスト材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
EP2034538、EP2034538A、EP2757608、JP2007254297、KR20100079458、KR20120088644、KR20120129733、KR20130115564、TW201329200、US20030175553、US20050238919、US20060280965、US20090017330、US20090030202、US20090167162、US20090302743、US20090309488、US20100012931、US20100084966、US20100187984、US2010187984、US2012075273、US2012126221、US2013009543、US2013105787、US2013175519、US2014001446、US20140183503、US20140225088、US2014034914、US7154114、WO2001039234、WO2004093207、WO2005014551、WO2005089025、WO2006072002、WO2006114966、WO2007063754、WO2008056746、WO2009003898、WO2009021126、WO2009063833、WO2009066778、WO2009066779、WO2009086028、WO2010056066、WO2010107244、WO2011081423、WO2011081431、WO2011086863、WO2012128298、WO2012133644、WO2012133649、WO2013024872、WO2013035275、WO2013081315、WO2013191404、WO2014142472、US20170263869、US20160163995、US9466803
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
発光体:
【0110】
発光体の例としては、特に限定されず、前記化合物が典型的に発光体材料として用いられるものであれば、いずれの化合物も用いられることができる。好適な発光体材料としては、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも言われる;例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第15/700,352号明細書参照)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる化合物が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、前記発光ドーパントは、ラセミ混合物であることができる、又は1つのエナンチオマーに富む(enriched)ことができる。
【0111】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる発光体材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
CN103694277、CN1696137、EB01238981、EP01239526、EP01961743、EP1239526、EP1244155、EP1642951、EP1647554、EP1841834、EP1841834B、EP2062907、EP2730583、JP2012074444、JP2013110263、JP4478555、KR1020090133652、KR20120032054、KR20130043460、TW201332980、US06699599、US06916554、US20010019782、US20020034656、US20030068526、US20030072964、US20030138657、US20050123788、US20050244673、US2005123791、US2005260449、US20060008670、US20060065890、US20060127696、US20060134459、US20060134462、US20060202194、US20060251923、US20070034863、US20070087321、US20070103060、US20070111026、US20070190359、US20070231600、US2007034863、US2007104979、US2007104980、US2007138437、US2007224450、US2007278936、US20080020237、US20080233410、US20080261076、US20080297033、US200805851、US2008161567、US2008210930、US20090039776、US20090108737、US20090115322、US20090179555、US2009085476、US2009104472、US20100090591、US20100148663、US20100244004、US20100295032、US2010102716、US2010105902、US2010244004、US2010270916、US20110057559、US20110108822、US20110204333、US2011215710、US2011227049、US2011285275、US2012292601、US20130146848、US2013033172、US2013165653、US2013181190、US2013334521、US20140246656、US2014103305、US6303238、US6413656、US6653654、US6670645、US6687266、US6835469、US6921915、US7279704、US7332232、US7378162、US7534505、US7675228、US7728137、US7740957、US7759489、US7951947、US8067099、US8592586、US8871361、WO06081973、WO06121811、WO07018067、WO07108362、WO07115970、WO07115981、WO08035571、WO2002015645、WO2003040257、WO2005019373、WO2006056418、WO2008054584、WO2008078800、WO2008096609、WO2008101842、WO2009000673、WO2009050281、WO2009100991、WO2010028151、WO2010054731、WO2010086089、WO2010118029、WO2011044988、WO2011051404、WO2011107491、WO2012020327、WO2012163471、WO2013094620、WO2013107487、WO2013174471、WO2014007565、WO2014008982、WO2014023377、WO2014024131、WO2014031977、WO2014038456、WO2014112450
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
HBL:
【0112】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接した発光体よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。
【0113】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストに用いられる場合と同じ分子又は同じ官能基を含む。
【0114】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含む。
【化53】
式中、kは1から20までの整数であり;L101は他の配位子であり、k’は1から3までの整数である。
ETL:
【0115】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0116】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化54】
【化55】
式中、R101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ及びこれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。ArからArは、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは1から20までの整数である。X101からX108はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0117】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式を含有するがこれらに限定されない。
【化56】
式中、(O-N)又は(N-N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;L101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0118】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるETL材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。CN103508940、EP01602648、EP01734038、EP01956007、JP2004-022334、JP2005149918、JP2005-268199、KR0117693、KR20130108183、US20040036077、US20070104977、US2007018155、US20090101870、US20090115316、US20090140637、US20090179554、US2009218940、US2010108990、US2011156017、US2011210320、US2012193612、US2012214993、US2014014925、US2014014927、US20140284580、US6656612、US8415031、WO2003060956、WO2007111263、WO2009148269、WO2010067894、WO2010072300、WO2011074770、WO2011105373、WO2013079217、WO2013145667、WO2013180376、WO2014104499、WO2014104535
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
電荷発生層(CGL)
【0119】
タンデム型、又は積層型のOLED中で、CGLは、性能において重要な役割を果たし、それぞれ、電子及び正孔の注入ためのn-ドープ層及びp-ドープ層からなる。電子及び正孔は、前記CGL及び電極から供給される。前記CGL中の消費された電子及び正孔は、それぞれカソード及びアノードから注入された電子及び正孔によって再び満たされ、その後バイポーラ電流が徐々に安定した状態に達する。典型的なCGL材料は、輸送層で用いられるn型及びp型伝導性ドーパントを含む。
【0120】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンを包含する。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスも、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンを包含する。
【0121】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
実験セクション
【化61】
化合物Aの合成
9,9’-(6-クロロ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)の合成:
【化62】
【0122】
火炎乾燥させた2Lのフラスコに、窒素下で9H-カルバゾール(54.4g、325mmol)及び無水THF(1L)を投入した。得られた溶液を-70℃に冷却し、n-BuLi(130ml、325mmol)を滴下した。得られた混合物を室温に加温させ、その後窒素下で挿管を介して、THF(200mL)中2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン(30g、163mmol)の溶液を含む三つ口の3Lのフラスコに徐々に移した。得られた混合物をその後60℃に一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水でクエンチした。得られた沈殿物を濾過し、水、その後温EtOH(約500mL)で洗浄し、乾燥させ、黄色固体として、9,9’-(6-クロロ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)(53.8g、121mmol、収率74.2%)を得た。
9-(2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾールの合成:
【化63】
【0123】
撹拌機棒及びサーモウェルを備えた、火炎乾燥させた1Lの三つ口のフラスコに、窒素下で9-(2-ブロモフェニル)-9H-カルバゾール(40g、124mmol)及び無水THF(621ml)を添加した。得られた溶液を-72℃に冷却し、40分間かけてsec-ブチルリチウム(155ml、217mmol)を滴下した。混合物を90分間かけて-40℃に加温させた。TLCによって9-(2-ブロモフェニル)-9H-カルバゾールの完全な消費を確認した後、混合物を-78℃に冷却し、2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(44.3ml、217mmol)を滴下した。反応混合物を徐々に室温に加温させ、一晩撹拌した。その後、反応混合物を氷浴で冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)、その後100mLの水で注意深くクエンチした。有機相を分離し、水相をCHClで抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮し、乾燥させ、オフホワイトの固体として、9-(2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール(44.3g、120mmol、収率97%)を得た。
9,9’-(6-(2-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン2,4-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)(化合物A)の合成:
【化64】
【0124】
圧力バイアル(pressure vial)に、9,9’-(6-クロロ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)(18.11g、40.6mmol)、9-(2-(4,4,5,5テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール(15g、40.6mmol)、及びKCO(16.84g、122mmol)を投入した。THF(148ml)及び水(55.4ml)を添加し、混合物を窒素で10分間脱気した。その後、Pd(PhP)(4.69g、4.06mmol)を添加し、得られた混合物を窒素で更に脱気した。反応混合物を封止し、90℃で72時間加熱した。反応物を室温に冷却し、その後水(100mL)でクエンチした。得られた灰色の沈殿物を濾過し、MeOHで洗浄した。その後、固体をDCM(1L)に溶解し、ショートシリカプラグに通し、MeOH(1L)で再沈殿させた。アセトン(750mL)で粉砕し、一晩かけて固体を濾過して、23.1g(収率87%)の9,9’-(6-(2-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)(化合物A)を得た。
化合物Bの合成
9,9’-(2-クロロピリミジン-4,6-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)の合成:
【化65】
【0125】
火炎乾燥させた5Lのフラスコに、水素化ナトリウム(60wt%、80g、2009mmol)及びTHF(1605ml)を投入した。窒素下で混合物を攪拌し、-5℃に冷却した。その後、9H-カルバゾール(112g、670mmol)を少しずつ添加し、得られた混合物を15分間撹拌した。THF(1958ml)中2,4,6-トリクロロピリミジン(82g、447mmol)の溶液を-5℃で滴下し、その後室温に加温させた。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、水(250mL)でクエンチした。得られた固体を濾過し、ヘプタン(1L)、その後EtOAc(1L)でその後粉砕した。THF及びEtOHで更に粉砕し、白色固体として、9,9’-(2-クロロピリミジン-4,6-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)(57g、128mmol、収率38.3%)を得た。
9,9’-(6-(2-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン2,4-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)(化合物B)の合成:
【化66】
【0126】
圧力バイアルに、9,9’-(2-クロロピリミジン-4,6-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)(21.57g、48.5mmol)、9-(2-(4,4,5,5テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール(20g、48.5mmol)、及びK2CO3(20.10g、145mmol)を投入した。THF(176ml)及び水(66ml)を添加し、混合物を窒素で10分間脱気した。その後、Pd(Ph3P)4(5.6g、4.85mmol)を添加し、得られた混合物をその後窒素で脱気した。反応混合物を封止し、90℃で72時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、その後水(100mL)でクエンチした。得られた灰色の沈殿物を濾過し、水及びMeOHで洗浄し、30g(収率95%)の9,9’-(2-(2-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)ピリミジン-4,6-ジイル)ビス(9H-カルバゾール)を得た。
デバイス化合物:
【化67】
【0127】
この化学式を有する材料は、大幅に増加した安定性をもたらすことが観察された。表1では、電子型ホストE-ホスト-1と化合物Aのデバイス特性を比較する。化合物AはE-ホスト-1より16.7倍安定していることを見出した。
【表1】
【0128】
化合物Bは、E-ホスト-2と比較すると、大幅に増加した安定性を有することも見出された(表2参照)。ここで、各表で比較されるE-ホストのエネルギーレベルは、殆ど同じであることに留意する。
【表2】
【0129】
15Ω/平方のシート抵抗を有する酸化インジウムスズ(ITO)層が事前に塗布されたガラス基板上で、OLEDデバイスを成長させた。有機層の堆積又は塗布の前に、基板を溶剤で脱脂し、その後、100mTorrで50Wにおいて、酸素プラズマで1.5分間、且つUVオゾンで5分間処理した。
【0130】
表1及び表2におけるデバイスは、高真空下(<10-6Torr)における熱蒸着で作製した。アノード電極は、750Åの酸化インジウムスズ(ITO)であった。デバイス例は、ITO表面から順に、100Å厚の化合物1(HIL)と、250Åの化合物2の層(HTL)と、50Åの化合物3(EBL)と、60%E-型ホスト及び12%の化合物4をドープした、300Åの化合物3(EML)と、50ÅのE-型ホスト(BL)と、35%の化合物6をドープした300Åの化合物5(ETL)と、10Åの化合物5(EIL)と、1,000ÅのAl(カソード)と、からなる有機層を有した。デバイスはいずれも、作製後直ちに、窒素グローブボックス(<1ppmのH2O及びO2)中で、エポキシ樹脂で封止したガラス製の蓋で封入し、水分ゲッターをパッケージに入れた。ドーピング率は、体積パーセントである。10mA/cm及び1000ニトでのデバイス特性は、比較化合物E-ホスト-1及びE-ホスト-2のものを基準とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【符号の説明】
【0132】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第1の導電層
164 第2の導電層
170 バリア層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード

図1
図2