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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055944
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ミラー装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20240412BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20240412BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
B81B3/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024029592
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2023020656の分割
【原出願日】2018-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2017155311
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大幾
(72)【発明者】
【氏名】大崎 拓真
(57)【要約】
【課題】ミラー部が撓むこと及び可動部が破損することの両方を抑制することができるミラー装置を提供する。
【解決手段】ミラー装置は、支持部と、可動部と、一対の第1トーションバーと、を備える。可動部において、梁構造は、可動部の中心側から第2軸線に平行な方向における一方の側に向かって第2軸線を挟んでV字状に延在する第1梁構造と、可動部の中心側から第2軸線に平行な方向における他方の側に向かって第2軸線を挟んでV字状に延在する第2梁構造と、可動部の中心側から第1軸線に平行な方向における一方の側に向かって第1軸線を挟んでV字状に延在する第3梁構造と、可動部の中心側から第1軸線に平行な方向における他方の側に向かって第1軸線を挟んでV字状に延在する第4梁構造と、含む。一対の第1トーションバーのそれぞれは、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合に可動部に近づくほど幅が大きくなる部分を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
可動部と、
第1軸線上における前記可動部の両側に配置され、前記第1軸線を中心線として前記可動部が揺動可能となるように、前記可動部を前記支持部に連結する一対の第1トーションバーと、を備え、
前記可動部の一方の表面には、ミラー面が設けられており、
前記可動部の他方の表面には、梁構造が設けられており、
前記梁構造は、
前記第1軸線及び前記第1軸線に垂直な第2軸線に垂直な方向から見た場合に、前記可動部の中心側から前記第2軸線に平行な方向における一方の側に向かって前記第2軸線を挟んでV字状に延在する第1梁構造と、
前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な前記方向から見た場合に、前記可動部の中心側から前記第2軸線に平行な前記方向における他方の側に向かって前記第2軸線を挟んでV字状に延在する第2梁構造と、
前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な前記方向から見た場合に、前記可動部の中心側から前記第1軸線に平行な方向における一方の側に向かって前記第1軸線を挟んでV字状に延在する第3梁構造と、
前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な前記方向から見た場合に、前記可動部の中心側から前記第1軸線に平行な前記方向における他方の側に向かって前記第1軸線を挟んでV字状に延在する第4梁構造と、を含み、
前記一対の第1トーションバーのそれぞれは、前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な前記方向から見た場合に前記可動部に近づくほど幅が大きくなる部分を有する、ミラー装置。
【請求項2】
前記梁構造は、前記第1梁構造、前記第2梁構造、前記第3梁構造及び前記第4梁構造の少なくとも一つにおいて、前記可動部の中心とは反対側の一対の先端部に接続された接続部分を更に含む、請求項1に記載のミラー装置。
【請求項3】
前記第1梁構造、前記第2梁構造、前記第3梁構造及び前記第4梁構造の少なくとも一つ、並びに、前記接続部分は、空間を包囲している、請求項2に記載のミラー装置。
【請求項4】
前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な前記方向から見た場合に、前記一対の第1トーションバーのそれぞれの外縁と前記可動部の外縁とは、曲率が連続するように互いに接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のミラー装置。
【請求項5】
前記可動部は、
前記一対の第1トーションバーが接続された枠状のフレームと、
前記フレームの内側に配置され、前記ミラー面及び前記梁構造が設けられたミラー部と、を有し、
前記ミラー部は、前記第2軸線に平行な前記方向における前記ミラー部の両側に位置する一対の第1接続領域のそれぞれにおいて前記フレームに接続されており、
前記ミラー部と前記フレームとの間の領域のうち前記一対の第1接続領域以外の領域は、空間である、請求項1~4のいずれか一項に記載のミラー装置。
【請求項6】
前記可動部は、
前記一対の第1トーションバーが接続された枠状のフレームと、
前記フレームの内側に配置され、前記ミラー面及び前記梁構造が設けられたミラー部と、を有し、
前記ミラー部は、前記第2軸線に平行な前記方向における前記ミラー部の両側に位置する一対の第1接続領域のそれぞれ、及び前記第1軸線に平行な前記方向における前記ミラー部の両側に位置する一対の第2接続領域のそれぞれにおいて、前記フレームに接続されており、
前記ミラー部と前記フレームとの間の領域のうち前記一対の第1接続領域及び前記一対の第2接続領域以外の領域は、空間である、請求項1~4のいずれか一項に記載のミラー装置。
【請求項7】
前記一対の第1接続領域は、前記第2軸線に平行な前記方向における前記一方の側に配置された一方の第1接続領域、及び前記第2軸線に平行な前記方向における前記他方の側に配置された他方の第1接続領域であり、
前記第1梁構造は、前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な前記方向から見た場合に、前記可動部の中心側から、前記第1軸線に平行な前記方向における前記一方の第1接続領域の両縁部に向かってV字状に延在しており、
前記第2梁構造は、前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な前記方向から見た場合に、前記可動部の中心側から、前記第1軸線に平行な前記方向における前記他方の第1接続領域の両縁部に向かってV字状に延在している、請求項5又は6に記載のミラー装置。
【請求項8】
ベースと、
前記第2軸線上における前記支持部の両側に配置され、前記第2軸線を中心線として前記支持部が揺動可能となるように、前記支持部を前記ベースに連結する一対の第2トーションバーと、を更に備え、
前記支持部は、枠状を呈しており、
前記支持部には、第5梁構造が設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載のミラー装置。
【請求項9】
前記第5梁構造は、前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な前記方向から見た場合に、枠状の前記支持部に沿って環状に延在している、請求項8に記載のミラー装置。
【請求項10】
前記第5梁構造のうち前記第2軸線に平行な前記方向に延在する部分の幅は、前記第5梁構造のうち前記第1軸線に平行な前記方向に延在する部分の幅よりも小さい、請求項8又は9に記載のミラー装置。
【請求項11】
前記第1軸線に平行な前記方向において、前記第5梁構造のうち前記第2軸線に平行な前記方向に延在する部分の中心位置は、前記支持部のうち前記第2軸線に平行な前記方向に延在し且つ前記一対の第1トーションバーのそれぞれが接続された部分の中心位置に対して、前記一対の第1トーションバーのそれぞれとは反対側に位置している、請求項8~10のいずれか一項に記載のミラー装置。
【請求項12】
コイルを更に備え、
前記コイルは、前記支持部における一方側の表面に埋設されており、
前記第5梁構造は、前記支持部における他方側の表面に設けられている、請求項8~11のいずれか一項に記載のミラー装置。
【請求項13】
前記一対の第1トーションバーのそれぞれは、直線状に延在しており、
前記一対の第2トーションバーのそれぞれは、蛇行状に延在している、請求項8~12のいずれか一項に記載のミラー装置。
【請求項14】
前記支持部、前記可動部、及び前記一対の第1トーションバーは、SOI基板によって一体的に形成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のミラー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスとして構成されたミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSデバイスとして、支持部と、ミラー部が設けられた可動部と、所定の軸線を中心線として可動部が揺動可能となるように可動部を支持部に連結する一対のトーションバーと、を備えるミラー装置が知られている。このようなミラー装置では、可動部が高速で(例えば、可動部の共振周波数レベル(数KHz~数十KHz)で)揺動させられた際にミラー部が撓むのを抑制するために、可動部において、ミラー部が、上記の軸線上に配置された一対の連結部を介して枠状のフレームに連結される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7619802号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなミラー装置においては、一対のトーションバー及び一対の連結部が同一の軸線上に配置されているため、可動部が高速で揺動させられると、一対のトーションバーの捩れに起因して一対の連結部に発生する応力が大きくなり、連結部において可動部が破損するおそれがある。
【0005】
本開示は、ミラー部が撓むこと及び可動部が破損することの両方を抑制することができるミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面のミラー装置は、支持部と、可動部と、第1軸線上における可動部の両側に配置され、第1軸線を中心線として可動部が揺動可能となるように、可動部を支持部に連結する一対のトーションバーと、を備え、可動部は、一対のトーションバーが接続された枠状のフレームと、フレームの内側に配置されたミラー部と、を有し、ミラー部は、第1軸線に垂直な第2軸線に平行な方向におけるミラー部の両側に位置する一対の第1接続領域のそれぞれにおいてフレームに接続されており、ミラー部とフレームとの間の領域のうち一対の第1接続領域以外の領域は、空間であり、ミラー部の外縁とフレームの内縁とは、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合に、一対の第1接続領域のそれぞれにおいて曲率が連続するように接続されている。
【0007】
このミラー装置では、枠状のフレームに接続された一対のトーションバーが第1軸線上に配置されており、ミラー部と枠状のフレームとが互いに接続された一対の第1接続領域が第1軸線に垂直な第2軸線に平行な方向におけるミラー部の両側に位置している。これにより、可動部が高速で揺動させられたとしても、例えば、一対の接続領域のみが第1軸線上に位置している場合や、1つの接続領域のみにおいてミラー部と枠状のフレームとが互いに接続されている場合等に比べ、一対のトーションバーの捩れに起因して一対の第1接続領域のそれぞれに発生する応力が小さくなる。更に、このミラー装置では、ミラー部の外縁とフレームの内縁とが、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合に、一対の第1接続領域のそれぞれにおいて曲率が連続するように接続されている。これにより、一対の第1接続領域のそれぞれにおいて応力集中が起こり難くなる。以上により、このミラー装置によれば、ミラー部が撓むこと及び可動部が破損することの両方を抑制することができる。
【0008】
本開示の一側面のミラー装置は、支持部と、可動部と、第1軸線上における可動部の両側に配置され、第1軸線を中心線として可動部が揺動可能となるように、可動部を支持部に連結する一対のトーションバーと、を備え、可動部は、一対のトーションバーが接続された枠状のフレームと、フレームの内側に配置されたミラー部と、を有し、ミラー部は、第1軸線に垂直な第2軸線に平行な方向におけるミラー部の両側に位置する一対の第1接続領域のそれぞれ、及び第1軸線に平行な方向におけるミラー部の両側に位置する一対の第2接続領域のそれぞれにおいて、フレームに接続されており、ミラー部とフレームとの間の領域のうち一対の第1接続領域及び一対の第2接続領域以外の領域は、空間であり、ミラー部の外縁とフレームの内縁とは、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合に、一対の第1接続領域のそれぞれにおいて曲率が連続するように接続されている。
【0009】
このミラー装置では、枠状のフレームに接続された一対のトーションバーが第1軸線上に配置されており、ミラー部と枠状のフレームとが互いに接続された一対の第1接続領域が第1軸線に垂直な第2軸線に平行な方向におけるミラー部の両側に位置している。更に、ミラー部と枠状のフレームとが互いに接続された一対の第2接続領域が第1軸線に平行な方向におけるミラー部の両側に位置している。これにより、可動部が高速で揺動させられたとしても、例えば、一対の接続領域のみが第1軸線上に位置している場合や、1つの接続領域のみにおいてミラー部と枠状のフレームとが互いに接続されている場合等に比べ、一対のトーションバーの捩れに起因して一対の第1接続領域のそれぞれ及び一対の第2接続領域のそれぞれに発生する応力が小さくなる。更に、このミラー装置では、ミラー部の外縁とフレームの内縁とが、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合に、一対の第1接続領域のそれぞれにおいて曲率が連続するように接続されている。これにより、一対の第1接続領域のそれぞれにおいて応力集中が起こり難くなる。以上により、このミラー装置によれば、ミラー部が撓むこと及び可動部が破損することの両方を抑制することができる。
【0010】
本開示の一側面のミラー装置では、ミラー部の外縁とフレームの内縁とは、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合に、一対の第2接続領域のそれぞれにおいて曲率が連続するように接続されていてもよい。これにより、一対の第2接続領域のそれぞれにおいて応力集中が起こり難くなる。
【0011】
本開示の一側面のミラー装置では、一対の第2接続領域は、第1軸線上におけるミラー部の両側に位置していてもよい。これにより、第1軸線周りにおける可動部の慣性モーメントを小さくすることができる。
【0012】
本開示の一側面のミラー装置では、一対の第1接続領域は、第2軸線上におけるミラー部の両側に位置していてもよい。これにより、一対のトーションバーのそれぞれと一対の第1接続領域のそれぞれとの間に十分な距離(一対のトーションバーの捩れの影響が一対の第1接続領域のそれぞれに及び難い距離)を確保することができる。したがって、可動部の構成を単純化しつつも、ミラー部が撓むこと及び可動部が破損することの両方を抑制することができる。
【0013】
本開示の一側面のミラー装置では、フレームは、ミラー部が接続され且つ第1軸線に平行な方向に延在する一対の第1部分を含み、第2軸線に平行な方向における一対の第1部分のそれぞれの幅は、一対の第1接続領域のそれぞれから離れるほど小さくなっていてもよい。これにより、一対のトーションバーの捩れに起因して発生する応力を、一対の第1部分のそれぞれにおいて幅が小さくなっている部分に分散させ、一対の第1接続領域のそれぞれに発生する応力をより小さくすることができる。更に、一対の第1接続領域のそれぞれでの接続強度を確保しつつも、一対の第1部分のそれぞれにおいて幅が小さくなっている分だけ可動部の慣性モーメントを小さくすることができる。可動部の慣性モーメントを小さくすることは、可動部を高速で揺動させる上で有利である。
【0014】
本開示の一側面のミラー装置では、フレームは、一対のトーションバーが接続され且つ第2軸線に平行な方向に延在する一対の第2部分を更に含んでもよい。これにより、一対のトーションバーの捩れに起因して発生する応力を、互いに連結又は接続される第1部分と第2部分との間の部分に分散させ、一対の第1接続領域のそれぞれに発生する応力をより小さくすることができる。
【0015】
本開示の一側面のミラー装置では、一対の第1部分のそれぞれの内縁と一対の第2部分のそれぞれの内縁とは、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される複数の領域のそれぞれにおいて曲率が連続するように互いに接続されていてもよい。これにより、第1部分の内縁と第2部分の内縁とが互いに接続される複数の領域のそれぞれにおいて応力集中が起こるのを抑制することができる。
【0016】
本開示の一側面のミラー装置では、一対の第1部分のそれぞれの外縁と一対の第2部分のそれぞれの外縁とは、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される複数の領域のそれぞれにおいて曲率が連続するように互いに接続されていてもよい。これにより、第1部分の外縁と第2部分の外縁とが互いに接続される複数の領域のそれぞれにおいて応力集中が起こるのを抑制することができる。
【0017】
本開示の一側面のミラー装置では、第1軸線に平行な方向における一対の第1部分のそれぞれの長さは、第2軸線に平行な方向における一対の第2部分のそれぞれの長さよりも長くてもよい。これにより、可動部の慣性モーメントの増大を抑制しつつも、一対のトーションバーのそれぞれと一対の第1接続領域のそれぞれとの間に十分な距離(一対のトーションバーの捩れの影響が一対の第1接続領域のそれぞれに及び難い距離)を確保することができる。
【0018】
本開示の一側面のミラー装置では、一対の第1接続領域のそれぞれと一対の第2部分の一方との距離、及び一対の第1接続領域のそれぞれと一対の第2部分の他方との距離は、第1軸線と一対の第1部分のそれぞれとの距離よりも長くてもよい。これにより、可動部の慣性モーメントの増大を抑制しつつも、一対のトーションバーのそれぞれと一対の第1接続領域のそれぞれとの間に十分な距離(一対のトーションバーの捩れの影響が一対の第1接続領域のそれぞれに及び難い距離)を確保することができる。
【0019】
本開示の一側面のミラー装置では、第1軸線及び第2軸線に垂直な方向から見た場合におけるミラー部の形状は、第1軸線に沿った長軸を有する楕円形であってもよい。これにより、可動部の慣性モーメントの増大を抑制しつつも、十分なミラー面の面積を確保することができる。
【0020】
本開示の一側面のミラー装置では、第1軸線に平行な方向における一対の第1接続領域のそれぞれの幅は、第1軸線に平行な方向におけるミラー部の幅の30%以下であってもよい。これにより、ミラー部とフレームとの十分な接続強度の確保、及び、一対のトーションバーのそれぞれと一対の第1接続領域のそれぞれとの間の十分な距離の確保の両立を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、ミラー部が撓むこと及び可動部が破損することの両方を抑制することができるミラー装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、一実施形態のミラー装置の平面図である。
図2図2は、図1に示されるミラー装置の可動部の平面図である。
図3図3は、図1に示されるミラー装置のトーションバーの平面図である。
図4図4は、図1に示されるミラー装置の主要部分の底面図である。
図5図5の(a)は、比較例の可動部の平面図である。図5の(b)は、実施例の可動部の平面図である。
図6図6の(a)は、比較例の可動部の平面図である。図6の(b)は、実施例の可動部の平面図である。
図7図7の(a)は、第1変形例の可動部の平面図である。図7の(b)は、第2変形例の可動部の平面図である。
図8図8は、第3変形例の可動部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[ミラー装置の構成]
【0024】
図1に示されるように、ミラー装置1は、ベース2と、支持部3と、可動部4と、一対のトーションバー5,6と、一対のトーションバー7,8と、磁界発生部10と、を備えている。ベース2、支持部3、可動部4、一対のトーションバー5,6及び一対のトーションバー7,8は、SOI(Silicon on Insulator)基板によって一体的に形成されている。つまり、ミラー装置1は、MEMSデバイスとして構成されている。磁界発生部10は、例えばハルバッハ配列がとられた永久磁石等によって構成されている。ミラー装置1では、互いに直交するX軸(第1軸線)及びY軸(第1軸線に垂直な第2軸線)のそれぞれを中心線として、ミラー部41が設けられた可動部4が揺動させられる。ミラー装置1は、例えば、光通信用光スイッチ、光スキャナ等に用いられる。
【0025】
ベース2は、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に例えば四角形状の外形を有しており、枠状に形成されている。ベース2は、磁界発生部10の一方の側に配置されている。支持部3は、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に例えば八角形状の外形を有しており、枠状に形成されている。支持部3は、磁界発生部10から離間した状態で、ベース2の内側に配置されている。可動部4は、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に例えば四角形状の外形を有している。可動部4は、磁界発生部10から離間した状態で、支持部3の内側に配置されている。
【0026】
一対のトーションバー5,6は、Y軸上における支持部3の両側に配置されている。一対のトーションバー5,6は、Y軸を中心線として支持部3が揺動可能となるように、支持部3をベース2に連結している。各トーションバー5,6は、強度の向上及び捩りばね定数の調整の容易化のために、蛇行状に延在している。一対のトーションバー7,8は、X軸上における可動部4の両側に配置されている。一対のトーションバー7,8は、X軸を中心線として可動部4が揺動可能となるように、可動部4を支持部3に連結している。各トーションバー7,8は、X軸に沿って直線状に延在している。
【0027】
ミラー装置1は、コイル9と、コイル11と、複数の配線12,13,14,15と、複数の電極パッド16,17,18,19と、を更に備えている。コイル9は、支持部3に設けられている。コイル9は、例えば支持部3に埋設された状態で、渦巻き状に延在している。コイル11は、可動部4に設けられている。コイル9は、例えば可動部4に埋設された状態で、渦巻き状に延在している。各コイル9,11は、例えば銅等の金属材料によって構成されている。なお、図面では、各コイル9,11が配置されている領域が、ハッチングで示されている。
【0028】
複数の電極パッド16,17,18,19は、ベース2に設けられている。各電極パッド16,17,18,19は、ベース2において、絶縁層21から外部に露出している。絶縁層21は、ベース2、支持部3、可動部4、一対のトーションバー5,6及び一対のトーションバー7,8の表面(磁界発生部10とは反対側の表面)を覆うように一体的に形成されている。絶縁層21は、例えば、二酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等によって構成されている。
【0029】
配線12は、コイル9の一端と電極パッド16とを電気的に接続している。配線12は、絶縁層21に埋設された状態で、コイル9の一端からトーションバー5を介して電極パッド16に延在している。配線13は、コイル9の他端と電極パッド17とを電気的に接続している。配線13は、絶縁層21に埋設された状態で、コイル9の他端からトーションバー6を介して電極パッド17に延在している。各配線12,13は、例えばアルミニウム等の金属材料によって構成されている。
【0030】
配線14は、コイル11の一端と電極パッド18とを電気的に接続している。配線14は、絶縁層21に埋設された状態で、コイル11の一端からトーションバー7、支持部3の一部及びトーションバー5を介して電極パッド18に延在している。配線15は、コイル11の他端と電極パッド19とを電気的に接続している。配線15は、絶縁層21に埋設された状態で、コイル11の他端からトーションバー8、支持部3の一部及びトーションバー6を介して電極パッド19に延在している。各配線14,15のうち各トーションバー7,8を通る部分は、例えばタングステン等の金属材料によって構成されており、その他の部分は、アルミニウム等の金属材料によって構成されている。後述するように、一対のトーションバー7,8には、固有振動数での可動部4の共振に伴う捩りが生じるため、各配線14,15のうち各トーションバー7,8を通る部分に、その他の部分よりも大きい負荷が掛かる。しかし、ミラー装置1では、各配線14,15のうち各トーションバー7,8を通る部分が、その他の部分よりも大きいビッカース硬さを有する金属材料によって構成されているため、各トーションバー7,8上で各配線14,15に金属疲労が生じ難い。なお、図面では、各配線14,15のうち各トーションバー7,8を通る部分が、ハッチングで示されている。
【0031】
以上のように構成されたミラー装置1では、電極パッド16,17及び配線12,13を介してコイル9にリニア動作用の駆動信号が入力されると、磁界発生部10が発生する磁界との相互作用によってコイル9にローレンツ力が作用する。当該ローレンツ力と一対のトーションバー5,6の弾性力とのつり合いを利用することで、Y軸を中心線としてミラー部41を支持部3と共にリニア動作させることができる。一方、電極パッド18,19及び配線14,15を介してコイル11に共振動作用の駆動信号が入力されると、磁界発生部10が発生する磁界との相互作用によってコイル11にローレンツ力が作用する。当該ローレンツ力に加え、固有振動数での可動部4の共振を利用することで、X軸を中心線としてミラー部41を共振動作させることができる。なお、固有振動数は、可動部4の慣性モーメント、一対のトーションバー7,8の捩りばね定数等で決まる。
[各部の構成]
【0032】
図2に示されるように、可動部4は、ミラー部41に加え、枠状のフレーム42を有している。フレーム42には、一対のトーションバー7,8が接続されている。ミラー部41は、フレーム42の内側に配置されている。ミラー部41は、Y軸に平行な方向(以下、「Y軸方向」という)におけるミラー部41の両側に位置する一対の接続領域(第1接続領域)40a,40bのそれぞれにおいてフレーム42に接続されている。より具体的には、ミラー部41は、Y軸上におけるミラー部41の両側に位置する一対の接続領域40a,40bのそれぞれにおいてフレーム42に接続されている。ミラー部41とフレーム42との間の領域のうち一対の接続領域40a,40b以外の領域は、空間である。つまり、ミラー部41とフレーム42とは、一対の接続領域40a,40bのみにおいて互いに接続されている。X軸に平行な方向(以下、「X軸方向」という)における各接続領域40a,40bの幅(最小幅)W2は、X軸方向におけるミラー部41の幅(最大幅)W1の30%以下である。
【0033】
X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合におけるミラー部41の形状は、X軸とY軸との交点Oを中心とし且つX軸に沿った長軸及びY軸に沿った短軸を有する楕円形である。ミラー部41の表面(磁界発生部10とは反対側の表面)には、例えばアルミニウム等からなる金属膜によってミラー面41aが形成されている。
【0034】
フレーム42は、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に例えば四角形状の外形を有しており、枠状に形成されている。より具体的には、フレーム42は、X軸方向に延在する一対の第1部分43,44及びY軸方向に延在する一対の第2部分45,46によって、枠状に形成されている。X軸方向における各第1部分43,44の長さは、Y軸方向における各第2部分45,46の長さよりも長い。なお、X軸方向における各第1部分43,44の長さは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合における各第1部分43,44の外縁又は内縁の長さと捉えることができる。Y軸方向における各第2部分45,46の長さは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合における各第2部分45,46の外縁又は内縁の長さと捉えることができる。
【0035】
接続領域40aと第2部分45との距離、接続領域40aと第2部分46との距離、接続領域40bと第2部分45との距離、及び接続領域40bと第2部分46との距離のそれぞれは、X軸と第1部分43との距離、及びX軸と第1部分44との距離のそれぞれよりも長い。なお、接続領域40aと第2部分45との距離は、X軸方向に沿って、接続領域40aにおける第2部分45側の外縁から第2部分45の内縁に至る距離(最大距離)と捉えることができる。接続領域40aと第2部分46との距離は、X軸方向に沿って、接続領域40aにおける第2部分46側の外縁から第2部分46の内縁に至る距離(最大距離)と捉えることができる。接続領域40bと第2部分45との距離は、X軸方向に沿って、接続領域40bにおける第2部分45側の外縁から第2部分45の内縁に至る距離(最大距離)と捉えることができる。接続領域40bと第2部分46との距離は、X軸方向に沿って、接続領域40bにおける第2部分46側の外縁から第2部分46の内縁に至る距離(最大距離)と捉えることができる。X軸と第1部分43との距離は、Y軸方向に沿って、X軸から第1部分43の内縁に至る距離(最大距離)と捉えることができる。X軸と第1部分44との距離は、Y軸方向に沿って、X軸から第1部分44の内縁に至る距離(最大距離)と捉えることができる。
【0036】
ミラー部41は、第1部分43における内側(ミラー部41側)の側面43a及び第1部分44における内側(ミラー部41側)の側面44aに接続されている。トーションバー7は、第2部分45における外側(ミラー部41とは反対側)の側面45bに接続されている。トーションバー8は、第2部分46における外側(ミラー部41とは反対側)の側面46bに接続されている。
【0037】
ミラー部41の側面41bと第1部分43における内側の側面43aとは、接続領域40aにおいて曲率が連続するように接続されている。ミラー部41の側面41bと第1部分44における内側の側面44aとは、接続領域40bにおいて曲率が連続するように接続されている。つまり、ミラー部41の外縁とフレーム42の内縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、各接続領域40a,40bにおいて曲率が連続するように接続されている。なお、「曲率が連続するように接続されている」とは、曲率が不連続な点(例えば、尖った角部(鋭角、直角、鈍角のいずれの場合も含む)の頂点)が存在せずに接続されていることを意味する。したがって、曲率が不連続な点が存在しなければ、各接続領域40a,40bにおいてミラー部41の外縁及びフレーム42の内縁に直線部が含まれていてもよい(直線部の曲率の値は0とみなすことができる)。
【0038】
Y軸方向における第1部分43の幅は、接続領域40aからX軸方向に沿ってトーションバー7に近づくほど、また、接続領域40aからX軸方向に沿ってトーションバー8に近づくほど、小さくなっている。つまり、Y軸方向における第1部分43の幅は、接続領域40aから離れるほど小さくなっている。ここでは、第1部分43における外側(ミラー部41とは反対側)の側面43bがX軸に平行な平坦面となっており、第1部分43における内側の側面43aが接続領域40aから離れるほど側面43bに近づくようにミラー部41とは反対側に凹状に湾曲した湾曲面となっている。Y軸方向における第1部分44の幅は、接続領域40bからX軸方向に沿ってトーションバー7に近づくほど、また、接続領域40bからX軸方向に沿ってトーションバー8に近づくほど、小さくなっている。つまり、Y軸方向における第1部分44の幅は、接続領域40bから離れるほど小さくなっている。ここでは、第1部分44における外側(ミラー部41とは反対側)の側面44bがX軸に平行な平坦面となっており、第1部分44における内側の側面44aが接続領域40bから離れるほど側面44bに近づくようにミラー部41とは反対側に凹状に湾曲した湾曲面となっている。
【0039】
第1部分43における内側の側面43aと第2部分45における内側(ミラー部41側)の側面45aとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される領域において曲率が連続するように互いに接続されている。第1部分43における内側の側面43aと第2部分46における内側(ミラー部41側)の側面46aとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される領域において曲率が連続するように互いに接続されている。第1部分44における内側の側面44aと第2部分45における内側の側面45aとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される領域において曲率が連続するように互いに接続されている。第1部分44における内側の側面44aと第2部分46における内側の側面46aとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される領域において曲率が連続するように互いに接続されている。つまり、各第1部分43,44の内縁と各第2部分45,46の内縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。
【0040】
第1部分43における外側の側面43bと第2部分45における外側の側面45bとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される領域において曲率が連続するように互いに接続されている。第1部分43における外側の側面43bと第2部分46における外側の側面46bとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される領域において曲率が連続するように互いに接続されている。第1部分44における外側の側面44bと第2部分45における外側の側面45bとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される領域において曲率が連続するように互いに接続されている。第1部分44における外側の側面44bと第2部分46における外側の側面46bとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される領域において曲率が連続するように互いに接続されている。つまり、各第1部分43,44の外縁と各第2部分45,46の外縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。
【0041】
第2部分45には、Y軸方向に延在するスリット45cが形成されている。スリット45cは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、トーションバー7とミラー部41との間に位置している。第2部分46には、Y軸方向に延在するスリット46cが形成されている。スリット46cは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、トーションバー8とミラー部41との間に位置している。
【0042】
コイル11は、各第1部分43,44においては外側の各側面43b,44bに沿って延在している。第1部分43においてコイル11が延在する領域の中心位置(Y軸方向における幅の中心位置)は、第1部分43の中心位置(Y軸方向における幅の中心位置)よりも外側(接続領域40aとは反対側)に位置している。第1部分44においてコイル11が延在する領域の中心位置(Y軸方向における幅の中心位置)は、第1部分44の中心位置(Y軸方向における幅の中心位置)よりも外側(接続領域40bとは反対側)に位置している。
【0043】
コイル11は、各第2部分45,46においては内側の各側面45a,46aに沿って延在している。第2部分45においてコイル11が延在する領域の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)は、第2部分45の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)よりも内側(トーションバー7とは反対側)に位置している(ここでは、スリット45cよりも内側に位置している)。第2部分46においてコイル11が延在する領域の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)は、第2部分46の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)よりも内側(トーションバー8とは反対側)に位置している(ここでは、スリット46cよりも内側に位置している)。
【0044】
図3に示されるように、トーションバー7における両方の側面7aと第2部分45における外側の側面45bとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。つまり、トーションバー7の外縁と第2部分45の外縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。トーションバー7における両方の側面7aと支持部3における内側(ミラー部41側)の側面3aとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。つまり、トーションバー7の外縁と支持部3の内縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。第2部分45の外縁に接続される領域におけるトーションバー7の外縁の曲率は、支持部3の内縁に接続される領域におけるトーションバー7の外縁の曲率よりも小さい。
【0045】
同様に、トーションバー8における両方の側面と第2部分46における外側の側面46bとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている(図1及び図2参照)。つまり、トーションバー8の外縁と第2部分46の外縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。トーションバー8における両方の側面と支持部3における内側の側面3aとは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている(図1及び図2参照)。つまり、トーションバー8の外縁と支持部3の内縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。第2部分46の外縁に接続される領域におけるトーションバー8の外縁の曲率は、支持部3の内縁に接続される領域におけるトーションバー8の外縁の曲率よりも小さい(図1及び図2参照)。
【0046】
図3に示されるように、コイル9は、支持部3における外側(ミラー部41とは反対側)の側面3bに沿って延在している。支持部3のうちトーションバー7が接続される部分においてコイル9が延在する領域の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)は、当該部分の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)よりも外側(トーションバー7とは反対側)に位置している。支持部3のうちトーションバー8が接続される部分においてコイル9が延在する領域の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)は、当該部分の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)よりも外側(トーションバー8とは反対側)に位置している(図1及び図2参照)。
【0047】
図4に示されるように、支持部3の裏面(磁界発生部10側の表面)には、梁構造31が設けられている。梁構造31は、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、枠状の支持部3に沿って環状に延在している。梁構造31のうちY軸方向に延在する部分の幅(X軸方向における幅)は、梁構造31のうちX軸方向に延在する部分の幅(Y軸方向における幅)よりも小さい。梁構造31のうちX軸方向に延在する部分には、Y軸を横切る中間部分を除き、複数の肉抜き31aが形成されている。各肉抜き31aの大きさは、Y軸から離れるほど大きくなっている。
【0048】
梁構造31のうちトーションバー7側においてY軸方向に延在する部分の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)は、支持部3のうちY軸方向に延在し且つトーションバー7が接続された部分の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)よりも外側(トーションバー7とは反対側)に位置している。梁構造31のうちトーションバー8側においてY軸方向に延在する部分の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)は、支持部3のうちY軸方向に延在し且つトーションバー8が接続された部分の中心位置(X軸方向における幅の中心位置)よりも外側(トーションバー8とは反対側)に位置している。
【0049】
ミラー部41の裏面(磁界発生部10側の表面)には、複数の梁構造47,48,49が設けられている。梁構造47は、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、交点OからX軸方向における接続領域40aの両縁部に向かってV字状に延在している。梁構造48は、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、交点OからX軸方向における接続領域40bの両縁部に向かってV字状に延在している。梁構造49は、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、交点OからX軸方向における両側にX字状に延在している。
[作用及び効果]
【0050】
ミラー装置1では、枠状のフレーム42に接続された一対のトーションバー7,8がX軸上に配置されており、ミラー部41と枠状のフレーム42とが互いに接続された一対の接続領域40a,40bがY軸方向におけるミラー部41の両側に位置している。これにより、X軸を中心線として可動部4が高速で揺動させられたとしても、例えば一対の接続領域40a,40bのみがX軸上に位置している場合や、1つの接続領域40a(又は40b)のみにおいてミラー部41と枠状のフレーム42とが互いに接続されている場合等に比べ、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して各接続領域40a,40bに発生する応力が小さくなる。更に、ミラー装置1では、ミラー部41の外縁とフレーム42の内縁とが、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、各接続領域40a,40bにおいて曲率が連続するように接続されている。これにより、各接続領域40a,40bにおいて応力集中が起こり難くなる。以上により、ミラー装置1によれば、ミラー部41が撓むこと及び可動部4が破損することの両方を抑制することができる。
【0051】
ミラー装置1では、一対の接続領域40a,40bが、Y軸上におけるミラー部41の両側に位置している。これにより、各トーションバー7,8と各接続領域40a,40bとの間に十分な距離(一対のトーションバー7,8の捩れの影響が各接続領域40a,40bに及び難い距離)を確保することができる。したがって、可動部4の構成を単純化しつつも、ミラー部41が撓むこと及び可動部4が破損することの両方を抑制することができる。
【0052】
ミラー装置1では、フレーム42が、ミラー部41が接続され且つX軸方向に延在する一対の第1部分43,44を含み、Y軸方向における各第1部分43,44の幅が、各接続領域40a,40bから離れるほど小さくなっている。これにより、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して発生する応力を、各第1部分43,44において幅が小さくなっている部分に分散させ、各接続領域40a,40bに発生する応力をより小さくすることができる。更に、各接続領域40a,40bでの接続強度を確保しつつも、各第1部分43,44において幅が小さくなっている分だけ、X軸を回転軸とした場合における可動部4の慣性モーメントを小さくすることができる。X軸を回転軸とした場合における可動部4の慣性モーメントを小さくすることは、X軸を中心線として可動部4を高速で揺動させる上で有利である。特に、第1部分43における内側の側面43aが接続領域40aから離れるほど第1部分43における外側の側面43bに近づくようにミラー部41とは反対側に凹状に湾曲した湾曲面となっており、第1部分44における内側の側面44aが接続領域40bから離れるほど第1部分44における外側の側面44bに近づくようにミラー部41とは反対側に凹状に湾曲した湾曲面となっているため、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して発生する応力をより確実に分散させ、各第1部分43,44において応力集中が起こるのを抑制することができる。
【0053】
図5の(a)は、比較例の可動部4の平面図であり、図5の(b)は、実施例の可動部4(上述した可動部4)の平面図である。図6の(a)は、比較例の可動部4の平面図であり、図6の(b)は、実施例の可動部4の平面図である。図5の(a)に示される比較例の可動部4では、Y軸方向における各第1部分43,44の幅が一定であり、Y軸方向における可動部4の幅が、図5の(b)に示される実施例の可動部4における当該幅と等しい。図6の(a)に示される比較例の可動部4では、Y軸方向における各第1部分43,44の幅が一定であり、Y軸方向における可動部4の幅が、図6の(b)に示される実施例の可動部4における当該幅よりも小さい。
【0054】
図5の(a)に示される比較例の可動部4と図6の(a)に示される比較例の可動部4とを対比すると、図5の(a)に示される比較例の可動部4では、X軸を回転軸とした場合における可動部4の慣性モーメントが大きくなり、図6の(a)に示される比較例の可動部4では、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して発生する応力を緩和しきれない。これらに対し、図5の(b)及び図6の(b)に示される実施例の可動部4によれば、図5の(a)に示される比較例の可動部4に比べ、X軸を回転軸とした場合における可動部4の慣性モーメントを小さくすることができる。また、図5の(b)及び図6の(b)に示される実施例の可動部4によれば、図6の(a)に示される比較例の可動部4に比べ、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して発生する応力を緩和することができる。
【0055】
ミラー装置1では、フレーム42が、一対の第1部分43,44に加え、一対のトーションバー7,8が接続され且つY軸方向に延在する一対の第2部分45,46を含んでいる。これにより、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して発生する応力を、互いに接続される各第1部分43,44と各第2部分45,46との間の部分に分散させ、各接続領域40a,40bに発生する応力をより小さくすることができる。
【0056】
ミラー装置1では、各第1部分43,44の内縁と各第2部分45,46の内縁とが、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。これにより、各第1部分43,44の内縁と各第2部分45,46の内縁とが互いに接続される各領域において応力集中が起こるのを抑制することができる。
【0057】
ミラー装置1では、各第1部分43,44の外縁と各第2部分45,46の外縁とが、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。これにより、各第1部分43,44の外縁と各第2部分45,46の外縁とが互いに接続される各領域において応力集中が起こるのを抑制することができる。
【0058】
ミラー装置1では、X軸方向における各第1部分43,44の長さが、Y軸方向における各第2部分45,46の長さよりも長い。これにより、X軸を回転軸とした場合における可動部4の慣性モーメントの増大を抑制しつつも、各トーションバー7,8と各接続領域40a,40bとの間に十分な距離(一対のトーションバー7,8の捩れの影響が各接続領域40a,40bに及び難い距離)を確保することができる。
【0059】
ミラー装置1では、接続領域40aと第2部分45との距離、接続領域40aと第2部分46との距離、接続領域40bと第2部分45との距離、及び接続領域40bと第2部分46との距離のそれぞれは、X軸と第1部分43との距離、及びX軸と第1部分44との距離のそれぞれよりも長い。これにより、X軸を回転軸とした場合における可動部4の慣性モーメントの増大を抑制しつつも、各トーションバー7,8と各接続領域40a,40bとの間に十分な距離(一対のトーションバー7,8の捩れの影響が各接続領域40a,40bに及び難い距離)を確保することができる。
【0060】
ミラー装置1では、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合におけるミラー部41の形状が、X軸に沿った長軸を有する楕円形である。これにより、X軸を回転軸とした場合における可動部4の慣性モーメントの増大を抑制しつつも、十分なミラー面41aの面積を確保することができる。
【0061】
ミラー装置1では、X軸方向における各接続領域40a,40bの幅が、X軸方向におけるミラー部41の幅の30%以下である。これにより、ミラー部41とフレーム42との十分な接続強度の確保、及び、各トーションバー7,8と各接続領域40a,40bとの間の十分な距離の確保の両立を図ることができる。
【0062】
ミラー装置1では、コイル11が、各第1部分43,44においては外側の各側面43b,44bに沿って延在しており、各第2部分45,46においては内側の各側面45a,46aに沿って延在している。これにより、各接続領域40a,40b及び各トーションバー7,8からコイル11が離れることになるため、一対のトーションバー7,8の捩れに起因してコイル11に発生する応力が小さくなる。したがって、コイル11に金属疲労が生じるのを抑制することができる。上述したように、各接続領域40a,40bでは、ミラー部41の撓み及び可動部4の破損に繋がらない程度にまで応力が低減されるが、コイル11の金属疲労に繋がる程度の応力は残存するおそれがある。そのため、コイル11を各第1部分43,44において外側の各側面43b,44bに沿って延在させ、各接続領域40a,40bからコイル11を離すことは、安全面から有効である。
【0063】
ミラー装置1では、トーションバー7とミラー部41との間に位置するスリット45cが第1部分43に形成されており、トーションバー8とミラー部41との間に位置するスリット46cが第1部分44に形成されている。これにより、一対のトーションバー7,8の捩れの影響がコイル11に及び難くなる。したがって、コイル11に金属疲労が生じるのを抑制することができる。更に、一対のトーションバー7,8の捩れの影響が各接続領域40a,40bにも及び難くなる。したがって、ミラー部41が撓むこと及び可動部4が破損することの両方をより確実に抑制することができる。
【0064】
ミラー装置1では、コイル9が、支持部3における外側の側面3bに沿って延在している。これにより、各トーションバー7,8からコイル9が離れることになるため、一対のトーションバー7,8の捩れに起因してコイル9に発生する応力が小さくなる。したがって、コイル9に金属疲労が生じるのを抑制することができる。
【0065】
ミラー装置1では、第2部分45の外縁に接続される領域におけるトーションバー7の外縁の曲率が、支持部3の内縁に接続される領域におけるトーションバー7の外縁の曲率よりも小さい。同様に、第2部分46の外縁に接続される領域におけるトーションバー8の外縁の曲率が、支持部3の内縁に接続される領域におけるトーションバー8の外縁の曲率よりも小さい。フレーム42に接続される領域において各トーションバー7,8の外縁の曲率を小さくすることで、一対のトーションバー7,8の捩れに起因してフレーム42に発生する応力を小さくすることができる。一方、支持部3に接続される領域において各トーションバー7,8の外縁の曲率を大きくすることで、各トーションバー7,8の長さを確保し、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して発生する応力自体を小さくすることができる。なお、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して発生する応力については、支持部3側で小さくするよりも、リニア動作させられる可動部4側で小さくするほうが、有効である。
【0066】
ミラー装置1では、枠状の支持部3に沿って環状に延在する梁構造31が支持部3の裏面に設けられている。これにより、支持部3の変形を抑制することができる。しかも、梁構造31が一続きに形成されているため、梁構造31が断続的に形成されている場合に比べ、応力集中が起こるのを抑制することができる。また、ミラー装置1では、梁構造31のうちY軸方向に延在する部分の幅(X軸方向における幅)が、梁構造31のうちX軸方向に延在する部分の幅(Y軸方向における幅)よりも小さい。これにより、Y軸を回転軸とした場合における支持部3の慣性モーメントを小さくすることができる。また、ミラー装置1では、梁構造31のうちX軸方向に延在する部分に形成された各肉抜き31aの大きさが、Y軸から離れるほど大きくなっている。これにより、Y軸を回転軸とした場合における支持部3の慣性モーメントを小さくすることができる。また、ミラー装置1では、梁構造31のうちY軸を横切る中間部分に肉抜き31aが形成されていない。これにより、X軸を回転軸とした場合における支持部3の慣性モーメントを大きくし、X軸を中心線として支持部3が揺動するのを抑制することができる。更に、ミラー装置1では、梁構造31のうちY軸方向に延在する部分の中心位置が、支持部3のうちY軸方向に延在する部分の中心位置よりも外側に位置している。これにより、梁構造31のうちトーションバー7側においてY軸方向に延在する部分がトーションバー7から離れ、梁構造31のうちトーションバー8側においてY軸方向に延在する部分がトーションバー8から離れることになるため、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して梁構造31に発生する応力を小さくすることができる。
【0067】
ミラー装置1では、交点OからX軸方向における接続領域40aの両縁部に向かってV字状に延在する梁構造47、及び交点OからX軸方向における接続領域40bの両縁部に向かってV字状に延在する梁構造48が、ミラー部41の裏面に設けられている。これにより、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して各接続領域40a,40bに発生する応力を小さくすることができる。
[変形例]
【0068】
本開示は、上述した実施形態に限定されない。例えば、各部の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。一例として、フレーム42は、枠状に形成されていれば、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に例えば四角形以外の多角形状等の外形を有していてもよい。また、ミラー面41aは、ミラー部41における少なくとも一部に形成されていればよい。また、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合におけるミラー部41の形状は、円形状等であってもよい。また、ミラー装置1の駆動方式は、電磁駆動式に限定されず、静電駆動式、圧電駆動式、熱駆動式等であってもよい。また、ベース2及び一対のトーションバー5,6がミラー装置1に設けられておらず、支持部3がベースとして機能してもよい。
【0069】
また、一対のトーションバー7,8が第1軸線上における可動部4の両側に配置されている場合には、一対の接続領域40a,40bは、第1軸線に垂直な第2軸線に平行な方向におけるミラー部41の両側に位置していればよい。一例として、多角形枠状に形成されたフレーム42の一対の部分(対辺を構成する部分)が第2軸線と交差する場合には、当該一対の部分内に一対の接続領域40a,40bが配置されていればよい。上述した実施形態であれば、一対の第1部分43,44内に一対の接続領域40a,40bが配置されていればよい。或いは、フレーム42の形状に拘わらず、第1軸線と第2軸線との交点を中心点として第1軸線から一方向に45度以上135度以下の領域、及び第1軸線から他方向に45度以上135度以下の領域に、一対の接続領域40a,40bが配置されていればよい。なお、各接続領域40a,40bは、物理的に分離された複数の領域によって構成されていてもよい。
【0070】
また、Y軸方向における第1部分43の幅は、接続領域40aから離れるほど小さくなっていれば、図7の(a)に示されるように、第1部分43における内側の側面43aが、接続領域40aから離れるほど第1部分43における外側の側面43bに近づくように傾斜した平坦面であってもよい。同様に、Y軸方向における第1部分44の幅は、接続領域40bから離れるほど小さくなっていれば、図7の(a)に示されるように、第1部分44における内側の側面44aが、接続領域40bから離れるほど第1部分44における外側の側面44bに近づくように傾斜した平坦面であってもよい。
【0071】
また、Y軸方向における第1部分43の幅は、接続領域40aから離れるほど小さくなっていれば、図7の(b)に示されるように、第1部分43における内側の側面43aが、接続領域40aから離れるほど第1部分43における外側の側面43bに近づくようにステップ状に屈曲した屈曲面であってもよい。同様に、Y軸方向における第1部分44の幅は、接続領域40bから離れるほど小さくなっていれば、図7の(b)に示されるように、第1部分44における内側の側面44aが、接続領域40bから離れるほど第1部分44における外側の側面44bに近づくようにステップ状に屈曲した屈曲面であってもよい。
【0072】
また、第3変形例の可動部4では、図8に示されるように、ミラー部41が、Y軸方向におけるミラー部41の両側に位置する一対の接続領域(第1接続領域)40a,40bのそれぞれ、及びX軸方向におけるミラー部41の両側に位置する一対の接続領域(第2接続領域)40c,40dのそれぞれにおいて、フレーム42に接続されている。ミラー部41とフレーム42との間の領域のうち一対の接続領域40a,40b及び一対の接続領域40c,40d以外の領域は、空間である。つまり、ミラー部41とフレーム42とは、一対の接続領域40a,40b及び一対の接続領域40c,40dのみにおいて互いに接続されている。
【0073】
ミラー部41の側面41bと第1部分43における内側の側面43aとは、接続領域40aにおいて曲率が連続するように接続されている。ミラー部41の側面41bと第1部分44における内側の側面44aとは、接続領域40bにおいて曲率が連続するように接続されている。つまり、ミラー部41の外縁とフレーム42の内縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、各接続領域40a,40bにおいて曲率が連続するように接続されている。
【0074】
ミラー部41の側面41bと第2部分45における内側の側面45aとは、接続領域40dにおいて曲率が連続するように接続されている。ミラー部41の側面41bと第2部分46における内側の側面46aとは、接続領域40cにおいて曲率が連続するように接続されている。つまり、ミラー部41の外縁とフレーム42の内縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、各接続領域40c,40dにおいて曲率が連続するように接続されている。
【0075】
Y軸方向における第1部分43の幅は、接続領域40aから離れるほど小さくなっている。ここでは、第1部分43における外側の側面43bがX軸に平行な平坦面となっており、第1部分43における内側の側面43aが接続領域40aから離れるほど側面43bに近づく面となっている。Y軸方向における第1部分44の幅は、接続領域40bから離れるほど小さくなっている。ここでは、第1部分44における外側の側面44bがX軸に平行な平坦面となっており、第1部分44における内側の側面44aが接続領域40bから離れるほど側面44bに近づく面となっている。
【0076】
なお、第1部分43における内側の側面43aは、接続領域40aから離れるほど第1部分43における外側の側面43bに近づくように傾斜した平坦面であってもよい。同様に、第1部分44における内側の側面44aは、接続領域40bから離れるほど第1部分44における外側の側面44bに近づくように傾斜した平坦面であってもよい。また、第1部分43における内側の側面43aは、接続領域40aから離れるほど第1部分43における外側の側面43bに近づくようにステップ状に屈曲した屈曲面であってもよい。同様に、第1部分44における内側の側面44aは、接続領域40bから離れるほど第1部分44における外側の側面44bに近づくようにステップ状に屈曲した屈曲面であってもよい。
【0077】
X軸方向における第2部分45の幅は、接続領域40dから離れるほど小さくなっている。ここでは、第2部分45における外側の側面45bがY軸に平行な平坦面となっており、第2部分45における内側の側面45aが接続領域40dから離れるほど側面45bに近づく面となっている。X軸方向における第2部分46の幅は、接続領域40cから離れるほど小さくなっている。ここでは、第2部分46における外側の側面46bがY軸に平行な平坦面となっており、第2部分46における内側の側面46aが接続領域40cから離れるほど側面46bに近づく面となっている。
【0078】
なお、第2部分45における内側の側面45aは、接続領域40dから離れるほど第2部分45における外側の側面45bに近づくように傾斜した平坦面であってもよい。同様に、第2部分46における内側の側面46aは、接続領域40cから離れるほど第2部分46における外側の側面46bに近づくように傾斜した平坦面であってもよい。また、第2部分45における内側の側面45aは、接続領域40dから離れるほど第2部分45における外側の側面45bに近づくようにステップ状に屈曲した屈曲面であってもよい。同様に、第2部分46における内側の側面46aは、接続領域40cから離れるほど第2部分46における外側の側面46bに近づくようにステップ状に屈曲した屈曲面であってもよい。
【0079】
第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1では、枠状のフレーム42に接続された一対のトーションバー7,8がX軸上に配置されており、ミラー部41と枠状のフレーム42とが互いに接続された一対の接続領域40a,40bがY軸方向におけるミラー部41の両側に位置している。更に、ミラー部41と枠状のフレーム42とが互いに接続された一対の接続領域40c,40dがX軸方向におけるミラー部41の両側に位置している。これにより、X軸を中心線として可動部4が高速で揺動させられたとしても、例えば一対の接続領域40a,40bのみがX軸上に位置している場合や、1つの接続領域40a(又は40b)のみにおいてミラー部41と枠状のフレーム42とが互いに接続されている場合等に比べ、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して各接続領域40a,40b,40c,40dに発生する応力が小さくなる。更に、第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1では、ミラー部41の外縁とフレーム42の内縁とが、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、各接続領域40a,40bにおいて曲率が連続するように接続されている。これにより、各接続領域40a,40bにおいて応力集中が起こり難くなる。以上により、第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1によれば、ミラー部41が撓むこと及び可動部4が破損することの両方を抑制することができる。
【0080】
第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1では、ミラー部41の外縁とフレーム42の内縁とが、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、各接続領域40c,40dにおいて曲率が連続するように接続されていている。これにより、各接続領域40c,40dにおいて応力集中が起こり難くなる。
【0081】
第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1では、一対の接続領域40c,40dが、X軸上におけるミラー部41の両側に位置している。これにより、X軸周りにおける可動部の慣性モーメントを小さくすることができる。
【0082】
一対のトーションバー7,8が第1軸線上における可動部4の両側に配置されている場合には、一対の接続領域40c,40dは、第1軸線に平行な方向におけるミラー部41の両側に位置していればよい。一例として、多角形枠状に形成されたフレーム42の一対の部分(対辺を構成する部分)が第1軸線と交差する場合には、当該一対の部分内に一対の接続領域40c,40dが配置されていればよい。第3変形例の可動部4であれば、一対の第2部分45,46内に一対の接続領域40c,40dが配置されていればよい。或いは、フレーム42の形状に拘わらず、第1軸線と第2軸線との交点を中心点として第2軸線から一方向に45度以上135度以下の領域、及び第2軸線から他方向に45度以上135度以下の領域に、一対の接続領域40c,40dが配置されていればよい。なお、各接続領域40c,40dは、物理的に分離された複数の領域によって構成されていてもよい。
【0083】
第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1では、Y軸方向における各第1部分43,44の幅が、各接続領域40a,40bから離れるほど小さくなっており、X軸方向における各第2部分45,46の幅が、各接続領域40c,40dから離れるほど小さくなっている。これにより、一対のトーションバー7,8の捩れに起因して発生する応力を、各第1部分43,44及び各第2部分45,46において幅が小さくなっている部分に分散させ、各接続領域40a,40b,40c,40dに発生する応力をより小さくすることができる。更に、各接続領域40a,40b,40c,40dでの接続強度を確保しつつも、各第1部分43,44及び各第2部分45,46において幅が小さくなっている分だけ、X軸を回転軸とした場合における可動部4の慣性モーメントを小さくすることができる。ただし、X軸方向における各第2部分45,46の幅は、各接続領域40c,40dから離れるほど小さくなっていなくてもよい。
【0084】
第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1では、トーションバー7とミラー部41との間に位置するスリット45cが第1部分43に形成されており、トーションバー8とミラー部41との間に位置するスリット46cが第1部分44に形成されている。更に、第2部分45の外縁に接続される領域におけるトーションバー7の外縁の曲率が、支持部3の内縁に接続される領域におけるトーションバー7の外縁の曲率よりも小さい。同様に、第2部分46の外縁に接続される領域におけるトーションバー8の外縁の曲率が、支持部3の内縁に接続される領域におけるトーションバー8の外縁の曲率よりも小さい。これらにより、第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1では、4つの接続領域40a,40b,40c,40dによってミラー部41の安定的な支持が実現されつつも、一対のトーションバー7,8の捩れの影響が一対の接続領域40c,40dに及び難くなっている。
【0085】
上述した実施形態における各構成は、第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1にも適用されている。例えば、各第1部分43,44の内縁と各第2部分45,46の内縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。また、各第1部分43,44の外縁と各第2部分45,46の外縁とは、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に、互いに接続される各領域において曲率が連続するように互いに接続されている。また、X軸方向における各第1部分43,44の長さは、Y軸方向における各第2部分45,46の長さよりも長い。また、接続領域40aと第2部分45との距離、接続領域40aと第2部分46との距離、接続領域40bと第2部分45との距離、及び接続領域40bと第2部分46との距離のそれぞれは、X軸と第1部分43との距離、及びX軸と第1部分44との距離のそれぞれよりも長い。また、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合におけるミラー部41の形状は、X軸に沿った長軸を有する楕円形である。また、X軸方向における各接続領域40a,40bの幅は、X軸方向におけるミラー部41の幅の30%以下である。また、コイル11は、各第1部分43,44においては外側の各側面43b,44bに沿って延在しており、各第2部分45,46においては内側の各側面45a,46aに沿って延在している。また、コイル9は、支持部3における外側の側面3bに沿って延在している。また、支持部3の裏面には、枠状の支持部3に沿って環状に延在する梁構造31が設けられている。また、ミラー部41の裏面には、交点OからX軸方向における接続領域40aの両縁部に向かってV字状に延在する梁構造47、及び交点OからX軸方向における接続領域40bの両縁部に向かってV字状に延在する梁構造48が設けられている。
【0086】
第3変形例の可動部4を備えるミラー装置1においても、各部の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。一例として、フレーム42は、枠状に形成されていれば、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に例えば四角形以外の多角形状等の外形を有していてもよい。また、ミラー面41aは、ミラー部41における少なくとも一部に形成されていればよい。また、X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合におけるミラー部41の形状は、円形状等であってもよい。
【0087】
上述した実施形態及び各変形例では、可動部4を揺動させるためのコイル11が可動部4に設けられており、支持部3を揺動させるためのコイル9が支持部3に設けられていたが、可動部4を揺動させるためのコイル、及び支持部3を揺動させるためのコイルが、それぞれ、支持部3に設けられていてもよいし、或いは、可動部4を揺動させ且つ支持部3を揺動させるための単一のコイルが、支持部3に設けられていてもよい。
【0088】
上述した一の実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…ミラー装置、3…支持部、4…可動部、7,8…トーションバー、40a,40b…接続領域(第1接続領域)、40c,40d…接続領域(第2接続領域)、41…ミラー部、42…フレーム、43,44…第1部分、45,46…第2部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8