(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055953
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】テスト媒体
(51)【国際特許分類】
G07D 11/26 20190101AFI20240412BHJP
【FI】
G07D11/26
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031289
(22)【出願日】2024-03-01
(62)【分割の表示】P 2023002273の分割
【原出願日】2019-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】佐田 隆史
(57)【要約】
【課題】コスト増を抑制しつつ動作確認を行うことが可能となる紙葉類処理装置、テスト媒体および紙葉類処理装置の動作確認方法を提供する。
【解決手段】紙葉類を取り込む取込部と、取込部によって取り込まれた紙葉類を識別する識別部と、識別部による紙葉類の識別結果に基づいて、該紙葉類を複数の搬送先の中から一の搬送先に搬送する搬送部と、を備え、取込部は、紙葉類の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を取り込み、識別部は、取込部によって取り込まれたテスト媒体2の二次元コード51から紙葉類の識別情報を識別結果として読み取り、搬送部は、識別部がテスト媒体2の二次元コード51から読み取った紙葉類の識別結果に基づいて、テスト媒体を複数の搬送先の中から一の搬送先に搬送する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を識別する識別部の識別結果となる識別情報を含む二次元コードと、
前記二次元コードに含まれる前記識別情報の中の異常情報に関する記載と前記識別情報に含まれる異常情報とを示す選択欄とからなる異常表記部と、
を有するテスト媒体。
【請求項2】
前記二次元コードに含まれる紙葉類の識別情報が
搬送不良に関する情報と、紙幣の特性に関する特性情報と、紙幣の券種に関する券種情報と、紙幣の損券の判別に関する損券判別情報とを含んでいる
請求項1に記載のテスト媒体。
【請求項3】
前記券種情報は
通貨情報と額面情報と版数情報とを含み、
前記券種情報にあたる紙幣の大きさと同一の大きさに限らない大きさからなる請求項2に記載のテスト媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テスト媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取込部にセットされた紙幣を取り込んで識別部で識別し、識別部の識別結果に基づいて、正常紙幣と識別された紙幣を所定の集積部に集積させ、正常紙幣以外と識別された場合は、リジェクト部へ搬送する紙幣処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙幣処理装置において、オペレータの訓練や保守点検の際など、本物の紙幣が使用できない場合に、模擬紙幣を使用して動作の確認を行うことがある。しかしながら、識別部において所望の識別をさせるように種々のパターンの模擬紙幣を作成することは容易ではなくコスト増を招いてしまう。また、識別部において模擬紙幣に対し所望の識別をするようにそれぞれのパターンに合った識別ソフトを作成する場合もコスト増を招いてしまう。これらの課題は、紙幣に限らず、種々の紙葉類を処理する紙葉類処理装置において共通する課題である。
【0005】
したがって、本発明は、コスト増を抑制しつつ動作確認を行うことが可能となるテスト媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、紙葉類を識別する識別部の識別結果となる識別情報を含む二次元コードと、前記二次元コードに含まれる前記識別情報の中の異常情報に関する記載と前記識別情報に含まれる異常情報とを示す選択欄とからなる異常表記部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コスト増を抑制しつつ動作確認を行うことが可能となるテスト媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の全体構成を正面側から見た内部の概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の動作確認用のテスト媒体を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の動作確認用のテスト媒体の二次元コードに含まれる識別情報のデータフォーマットを示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の動作確認用のテスト媒体の二次元コードに含まれる特性情報のデータフォーマットを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の動作確認用のテスト媒体の二次元コードに含まれる券種情報のデータフォーマットを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の動作確認用のテスト媒体の二次元コードに含まれる損券判別情報のデータフォーマットを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の動作確認用のテスト媒体の異常表示部を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置の動作確認時の識別部の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る紙葉類処理装置、テスト媒体および紙葉類処理装置の動作確認方法を図面を参照して以下に説明する。
【0010】
図1は実施形態の紙葉類処理装置1であり、
図2は実施形態のテスト媒体2である。テスト媒体2は、紙葉類処理装置1の動作確認用であり、紙葉類処理装置1のメンテナンス時等に使用されるものである。言い換えれば、テスト媒体2は、紙葉類処理装置1とで紙葉類処理装置1の動作確認用のシステムを構成する。
【0011】
紙葉類処理装置1は、紙葉類として紙幣Sを設定された分類で分類処理するものである。紙葉類処理装置1は、投入された紙幣Sを、計数対象である計数対象紙幣と、計数対象ではないリジェクト紙幣とに分類し、計数対象紙幣をさらに予め設定された種類別に計数して種類別に取り出し可能に収容する。その際に、紙葉類処理装置1は、識別計数結果と収容先とを関連付けて表示する。以下、紙葉類処理装置1において、操作者側を装置前側、操作者とは反対側を装置後側、これらを結ぶ方向を装置前後方向とする。また、操作者から見て右側を装置右側、操作者から見て左側を装置左側、これらを結ぶ方向を装置左右方向とする。
【0012】
紙葉類処理装置1は、装置右側の下部に設けられて、装置右側の側面から装置前側の前面に亘って紙葉類処理装置1外に常時開口する取込部11と、装置右側の上部に設けられて、装置右側の側面から装置前側の前面に亘って紙葉類処理装置1外に常時開口するリジェクト用の収容部20と、を有している。また、紙葉類処理装置1は、取込部11および収容部20よりも装置左側に設けられて装置前側の前面に常時開口する複数、具体的には8つの収容部21~28を有している。
【0013】
取込部11は、紙葉類処理装置1において外部からの紙幣Sを受け付ける部分であり、複数枚の紙幣Sが、長辺部を装置前後方向に沿わせ、短辺部を装置左右方向に沿わせて、上下方向に集積された状態でセットされることになる。取込部11は、このようにセットされた集積状態の紙幣Sを最下のものから一枚ずつ分離し装置左側に繰り出して紙葉類処理装置1内に取り込む。取込部11で紙葉類処理装置1内に取り込まれる際に、紙幣Sは、その短辺部の延在方向に沿って移動する。
【0014】
紙葉類処理装置1は、その内部に、取込部11から繰り出された紙幣Sを、複数の収容部20~28のうちのいずれか一つに択一的に搬送する搬送部31を有している。複数の収容部20~28が、搬送部31による紙幣Sの搬送先であり、搬送部31で搬送される紙幣Sも、その短辺部の延在方向に沿って移動する。よって、紙葉類処理装置1は、紙幣Sを搬送方向に対し横長の状態で搬送する横搬送の紙葉類処理装置となっている。
【0015】
紙葉類処理装置1は、搬送部31の搬送経路における取込部11と、複数の収容部20~28との間に、搬送部31で搬送中の紙幣Sを識別しつつ計数する識別部32を有している。識別部32は、装置左右方向において、取込部11および収容部20と、収容部21~28との間に設けられている。識別部32は、取込部11によって取り込まれ搬送部31で搬送される紙幣Sを搬送部31の上流側の位置で識別することになり、搬送部31は、この識別部32による紙幣Sの識別結果に基づいて、紙幣Sを、識別部32よりも下流側にある複数の搬送先である複数の収容部20~28の中から一の搬送先となる収容部に搬送する。
【0016】
識別部32は、紙幣Sの表面および裏面それぞれの画像、紙幣Sの厚み、紙幣Sの磁気情報、紙幣Sの紫外線反射情報であるUV情報等を検出することになり、これらの情報から紙幣Sの、通貨種、真偽、金種、版数、損傷の有無、汚損の有無、テープの有無、折れの有無、外形(長さ、幅)、厚み異常(重送)、斜行やオーバーラン等の搬送異常の有無等を識別する。
【0017】
収容部20は、搬送部31で搬送されてきた紙幣Sを搬送順に集積させながら収容する。収容部20は紙葉類処理装置1外に常時開口しているため、収容部20に収容された紙幣Sは紙葉類処理装置1外に取り出し可能となる。
【0018】
収容部21~28も、それぞれが、搬送部31で搬送されてきた紙幣Sを搬送順に集積させながら収容する。収容部21~28も、それぞれが、紙葉類処理装置1外に常時開口しているため、収容部21~28に収容された紙幣Sは紙葉類処理装置1外に取り出し可能となる。
【0019】
紙葉類処理装置1は、装置前側の前面に、操作者による操作入力を受け付けるとともに操作者に向けて表示を行う操作表示部35を有している。操作表示部35は、識別部32による識別計数結果を表示することになり、また、各種の設定時に操作者による入力が行われる。紙葉類処理装置1は、その内部に、紙葉類処理装置1の全体を制御する制御部36と、データを記憶する記憶部37と、を有している。
【0020】
図2に示すように、テスト媒体2は、紙幣Sと同様、厚さが薄い長方形状の紙製であり、白色の用紙に部分的に印刷が施されて作成されている。テスト媒体2には、その厚さ方向一側の表面41における長辺部の延在方向一側かつ短辺部の延在方向一側の角部近傍に、券種および版数を目視判別可能となるようにテキストで表示する券種・版数表示部42が印刷されている。テスト媒体2は、表面41を見たときに、券種・版数表示部42が右上に配置された状態で、券種・版数表示部42の上下左右が適正な向きとなる。
【0021】
テスト媒体2において、短辺部の延在方向を媒体天地方向とし、この媒体天地方向における券種・版数表示部42が印刷されている側を天側とし、媒体天地方向における券種・版数表示部42が印刷されていない側を地側とする。また、テスト媒体2の表面41において、長辺部の延在方向を表面左右方向とし、この表面左右方向における券種・版数表示部42が印刷されている側を表面右側とし、表面左右方向における券種・版数表示部42が印刷されていない側を表面左側とする。
【0022】
テスト媒体2の厚さ方向一側の表面41には、表面左右方向の中間位置であって媒体天地方向の中間位置に、白色地に対し黒色で二次元コード51が印刷されている。なお、図示は略すが、テスト媒体2の厚さ方向他側の裏面には、二次元コードは印刷されていない。言い換えれば、テスト媒体2の表面41および裏面を判別する際には、二次元コード51が印刷されていれば表面41と判別でき、二次元コードが印刷されていなければ裏面と判別できることになる。これを用いて、識別部32はテスト媒体2の表裏を判別する。
【0023】
二次元コード51は、外観的に方向性を有しており、このように方向性を有する二次元コード51が規定の向きで印刷されたテスト媒体2は、二次元コード51の向きから天側と地側と表面左側と表面右側とが区別可能となっている。
【0024】
具体的に、二次元コード51は、QRコード(登録商標)であり、正方形状の表示エリア52の3つの角部に同形状の正方形状の基準部53~55を有している。また、正方形状の表示エリア52には、基準部53~55がない角部が存在する。二次元コード51は、例えばこれらの関係からその向きが規定されることになる。そして、二次元コード51は、これら基準部53~55のうちの中間に位置する基準部54が、天側かつ表面左側に、表示エリア52における基準部53~55がない角部が、地側かつ表面右側に配置されるように、テスト媒体2の表面41に印刷されている。このように、二次元コード51は、その向きが規定される形状であり、この二次元コード51が規定の向きで印刷されたテスト媒体2は、二次元コード51の向きから、その向き、すなわち媒体天地方向および表面左右方向が識別可能となっている。これを用いて、識別部32はテスト媒体2の方向を判別する。
【0025】
テスト媒体2の表面41は、二次元コード51を全周にわたって囲む所定の領域が、二次元コード51以外の一切の印刷が不可なデザイン禁止エリア61となっている。言い換えれば、デザイン禁止エリア61の内側範囲に全体が配置されるように二次元コード51が印刷されている。デザイン禁止エリア61は、地色である白色であり、表面41における表面左右方向の中央範囲に媒体天地方向の全長にわたって形成されている。上記した券種・版数表示部42は、表面41におけるデザイン禁止エリア61よりも外側に印刷されている。
【0026】
ここで、テスト媒体2の長辺部×短辺部の外形サイズは、紙葉類処理装置1において取り扱う紙幣の中で最小の紙幣(例えば、5euro紙幣:120mm×60mm)以上とされている。そして、テスト媒体2は、この最小の紙幣のサイズに応じて読み取り可能な二次元コード51の大きさが決定され、この二次元コード51の周辺がデザイン禁止エリア61として設定されている。
【0027】
二次元コード51は、紙幣の識別情報を含んでいる。二次元コード51は、これを読み取った識別部32から制御部36へ識別結果として通知する識別情報のデータを二次元コード化したものである。
【0028】
紙葉類処理装置1は、識別部32がテスト媒体2の二次元コード51から識別情報を読み取って、この識別情報を識別結果として制御部36に送信すると、制御部36が、この識別結果に基づいて搬送部31を制御して、複数の収容部20~28のうち、識別部32の識別結果に対して設定された収容部を搬送先として、このテスト媒体2を搬送する。また、このとき、制御部36が、この識別結果を操作表示部35に表示させる。
【0029】
二次元コード51に含まれる識別情報のデータフォーマットは、
図3に示すように、紙幣の搬送不良に関するオーバーラン情報と、紙幣の特性に関する特性情報と、紙幣の券種に関する券種情報と、紙幣の損券の判別に関する損券判別情報と、その他の予備情報と、を有している。
【0030】
特性情報は、
図4に示すように、磁気情報と、UV情報と、厚み情報と、を含んでいる。券種情報は、
図5に示すように、通貨情報と、額面情報と、版数情報と、偽券情報と、表裏情報と、方向情報と、を含んでいる。損券判別情報は、
図6に示すように、テープ情報と、外形情報と、損傷情報と、折れ情報と、汚損情報と、を含んでいる。
【0031】
データフォーマットのこれらの項目は、ビットのオンおよびオフ、測定値、レベルまたはコード等で表すことができ、動作確認を行う項目に応じて値が設定される。ただし、表裏情報および方向情報は、識別部32によるテスト媒体2の実際の検出結果で識別部32がデータを書き換えて制御部36側へ通知する。また、識別部32の厚みセンサによるテスト媒体2の実際の厚みの測定データで厚み異常が検出された場合は、厚み異常ありを示す情報を制御部36側へ通知する。
【0032】
二次元コード51に含まれる識別情報の一例について説明する。
【0033】
オーバーラン情報は、識別部32により検出される先行する紙幣との間隔のデータであり、オーバーランありと判定されるデータと、オーバーランなしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0034】
二次元コード51のオーバーラン情報が、オーバーランありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2をオーバーランありの搬送異常券と識別することになって、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、オーバーランありの紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51のオーバーラン情報が、オーバーランなしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2をオーバーランなしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0035】
特性情報のうちの磁気情報は、識別部32の磁気センサで読み取られる磁気データであり、券種に対応せず磁気異常ありと判定されるデータと、券種に対応していて磁気異常なしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0036】
二次元コード51の磁気情報が、磁気異常ありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を磁気異常ありの磁気異常券と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、磁気異常ありの紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51の磁気情報が、磁気異常なしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を磁気異常なしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0037】
特性情報のうちのUV情報は、識別部32の紫外線センサで読み取られる紫外線反射データであり、券種に対応していないUV異常ありと判定されるデータと、券種に対応していてUV異常なしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0038】
二次元コード51のUV情報がUV異常ありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2をUV異常ありのUV異常券と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、UV異常ありの紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51のUV情報がUV異常なしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2をUV異常なしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0039】
特性情報のうちの厚み情報は、識別部32の厚みセンサで検出される厚みデータであり、厚み異常ありと判定されるデータと、厚み異常なしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。二次元コード51の厚み情報が、厚み異常ありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を厚み異常の搬送異常券と識別することになって、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、厚み異常の紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51の厚み情報が、厚み異常なしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を厚み異常なしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0040】
ただし、識別部32の厚みセンサにより検出されるテスト媒体2の実際の厚みデータが許容範囲にないと判定される場合は、厚み異常ありを示す情報を制御部36に送信する。すると、制御部36は、厚みデータが許容範囲にないテスト媒体2を、厚み異常ありとして、複数の収容部20~28のうち、厚み異常ありの紙幣を収容する収容部に搬送する。つまり、厚み異常が検出された場合は、二次元コードに設定された厚み情報より実際に検出された厚み異常ありを示す情報が優先されることになる。
【0041】
券種情報のうちの通貨情報は、例えば、米ドル、日本円等の通貨の種類を示すデータであり、額面情報は、米ドルでは1、5、10、20、50、及び100、日本円では、1000(千円券)、2000(二千円券)、5000(五千円券)、及び10000(一万円券)等の通貨の額面を示すデータである。これらの通貨情報および額面情報が、テスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになり、これらも識別部32で読み取られると識別結果として制御部36に送信される。
【0042】
券種情報のうちの版数情報は、紙幣のデザインが変わると更新される版数を示すデータであり、最新の版数と判定されるデータと、古い版数と判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0043】
二次元コード51の版数情報が、最新のものよりも古い版数のデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を古い版数と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、古い版数の紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51の版数情報が、最新の版数のデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を最新の版数と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0044】
券種情報のうちの偽券情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られる表裏面の画像データであり、偽券でないと判定されるデータと、偽券であると判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0045】
二次元コード51の偽券情報が偽券であると判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を偽券であると識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、偽券を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51の偽券情報が偽券でないと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を偽券でないと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0046】
券種情報のうちの表裏情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られるテスト媒体2の表面41および裏面が識別部32に対していずれの向きに向いているかを示すデータであり、予め所定のデータに設定されているものの、識別部32でのテスト媒体2の識別時にイメージセンサで検出した実際の二次元コード51の向きに基づく表裏データに書き換えられることになり、これが識別結果として制御部36に送信される。すると、制御部36は、紙幣を表裏で分類する設定の場合には、テスト媒体2の表券は複数の収容部20~28のうち表券を収容する収容部に搬送し、テスト媒体2の裏券は複数の収容部20~28のうち裏券を収容する収容部に搬送する。
【0047】
券種情報のうちの方向情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られるテスト媒体2の例えば天地が搬送部31での搬送方向において上流側および下流側のいずれの向きに向いているかを示すデータであり、予め所定のデータに設定されているものの、識別部32でのテスト媒体2の識別時にイメージセンサで検出した実際の二次元コード51の向きに基づく方向データに書き換えられることになり、これが識別結果として制御部36に送信される。すると、制御部36は、紙幣を天地の向きで分類する設定の場合には、天側が下流側となる向きのテスト媒体2は、複数の収容部20~28のうち、この向きの券を収容する収容部に搬送し、地側が下流側となる向きのテスト媒体2は、複数の収容部20~28のうち、この向きの券を収容する収容部に搬送する。言い換えれば、識別部32は、テスト媒体2の二次元コード51の読み取りの向きにより、このテスト媒体2の方向を識別する。なお、テスト媒体2は、表裏データと天地の方向データとで表面左右方向も決まることになる。
【0048】
損券判別情報のうちのテープ情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られる表裏面の画像データであり、テープが貼り付けられているテープありと判定されるデータと、テープが貼り付けられていないテープなしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0049】
二次元コード51のテープ情報がテープありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2をテープありのテープ券と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、テープありの紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51のテープ情報がテープなしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2をテープなしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0050】
損券判別情報のうちの外形情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られる画像データから割り出される外形サイズのデータであり、外形サイズに異常がある外形異常ありと判定されるデータと、異常がない外形異常なしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0051】
二次元コード51の外形情報が外形異常ありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を外形異常ありの外形異常券と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、外形異常ありの紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51の外形情報が外形異常なしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を外形異常なしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0052】
損券判別情報のうちの損傷情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られる画像データから割り出されるデータであり、穴や欠け等の損傷がある損傷ありと判定されるデータと、損傷がない損傷なしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0053】
二次元コード51の損傷情報が損傷ありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を損傷ありの損傷券と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、損傷ありの紙幣を収容する収容部に搬送する。二次元コード51の損傷情報が損傷なしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を損傷なしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0054】
損券判別情報のうちの折れ情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られる画像データから割り出されるデータであり、折れがある折れありと判定されるデータと、折れがない折れなしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0055】
二次元コード51の折れ情報が折れありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を折れありの折れ券と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、折れありの紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51の折れ情報が折れなしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を折れなしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0056】
損券判別情報のうちの汚損情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られる画像データから割り出されるデータであり、汚損がある汚損ありと判定されるデータと、汚損がない汚損なしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになる。
【0057】
二次元コード51の汚損情報が汚損ありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を汚損ありの汚損券と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、汚損ありの紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51の汚損情報が汚損なしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を汚損なしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0058】
なお、二次元コード51には、上記以外の他の情報を含めることもできる。この場合、例えば、上記したデータフォーマットの予備情報にこの情報を含めることができる。例えば、予備情報として、紙幣の記番号の情報を含めるようにしてもよい。2次元コード51に紙幣の記番号の情報を含めることで、テスト媒体2を用いて、記番号を操作表示部35に表示させるテストや、記番号を記憶部37に記憶させるデータ収集テスト等の動作確認を行うことができる。
【0059】
また、紙幣の記番号の情報は、識別部32のイメージセンサで読み取られる画像データから文字認識されるデータであり、紙幣の記番号の異常(読み取り不良など)がある記番号異常ありと判定されるデータと、紙幣の記番号の異常がない記番号異常なしと判定されるデータとのうちのいずれか一方がテスト媒体2に応じて設定されて、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報に含められることになっていてもよい。
【0060】
二次元コード51の予備情報が記番号異常ありと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を記番号異常券と識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。すると、制御部36は、このテスト媒体2を、複数の収容部20~28のうち、記番号異常ありの紙幣を収容する収容部に搬送する。また、二次元コード51の予備情報が記番号異常なしと判定されるデータに設定されている場合、この二次元コード51を読み取った識別部32は、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を記番号異常なしと識別して、これを識別結果として制御部36に送信する。
【0061】
ここで、テスト媒体2の二次元コード51に含まれる通貨情報、額面情報および版数情報は、このテスト媒体2の券種・版数表示部42に印刷されているテキストと一致するように設定される。
図2に示す例では、券種が米100ドル紙幣であって版数が3版であることを示す「USD100_3」のテキストがテスト媒体2の券種・版数表示部42に印刷されており、よって、このテスト媒体2の二次元コード51には、券種が米100ドル紙幣であって版数が3版であることを示す情報が含まれている。
【0062】
テスト媒体2の表面41には、表面41におけるデザイン禁止エリア61よりも外側に、二次元コード51に含まれる識別情報の中の異常情報を、目視判別可能となるようにテキストを含んで表記する異常表記部71が印刷されている。言い換えれば、異常表記部71は、どのような動作確認を行うためのテスト媒体2であるかを視認可能に表示している。異常表記部71は、表面41における券種・版数表示部42と同じ表面右側に印刷されている。さらに、二次元コード51が紙幣の記番号の情報を含んでいる場合は、二次元コード51に含まれる紙幣の記番号の情報を、目視判別可能にテスト媒体2の表面41に印刷するようにしてもよい。
【0063】
図7に示すように、異常表記部71は、表形式であり、各種の異常が記載され、テスト媒体2が有する異常部分を「●」で示している。
図7に示す例では、各種の異常として、オーバーランありを示す「Overrun」と、磁気異常ありを示す「MG」と、UV異常ありを示す「UV」と、古い版数であることを示す「Issue」と、偽券であることを示す「Counterfeit」と、テープありを示す「Tape」と、が表示されており、これらのそれぞれの地側に隣り合って選択欄が記載されている。また、異常表記部71は、各種の異常として、外形異常ありを示す「Dimention」と、損傷ありを示す「Hole,Tear」と、折れありを示す「Fold」と、汚損ありを示す「Dirt」と、が表示されており、これらそれぞれの地側に隣り合って選択欄が記載されている。
【0064】
図7に示す例では、異常表記部71の磁気異常ありを示す「MG」の地側に隣り合う選択欄に「●」が印刷されており、よって、この異常表記部71が印刷されたテスト媒体2は、券種が米100ドル紙幣であって版数が3版であって、異常表記部71に表示された異常のうち、磁気異常ありの異常のみを有し、オーバーランなし、UV異常なし、テープなし、外形異常なし、損傷なし、折れなしおよび汚損なしであって、古い版数ではなく、偽券ではない紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2となっている。
【0065】
ここで、オーバーランなし、磁気異常なし、UV異常なし、テープなし、外形異常なし、損傷なし、折れなしおよび汚損なしであって、古い版数ではなく、偽券でないテスト媒体2が、正券のテスト媒体2となる。この正券のテスト媒体2は、異常表記部71のいずれの選択欄にも「●」が印刷されていないものになる。
【0066】
テスト媒体2には、その表面41および裏面の、それぞれ短辺部を含む両側の端縁部に、地色である白色に対して色が異なる有色の着色領域81が帯状に形成されている。両側の着色領域81は、同色であり、券種によって異なる色に印刷されている。言い換えれば、テスト媒体2は、着色領域81の色が券種に一対一で対応している。
【0067】
紙葉類処理装置1においては、操作表示部35への入力で、複数の収容部20~28への紙幣の振り分け方が種々設定可能となっている。
【0068】
例えば、紙幣の振り分け方の設定後等に紙葉類処理装置1の動作確認を行う場合、収容部20への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、収容部21への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、収容部22への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、収容部23への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、収容部24への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、を準備する。加えて、収容部25への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、収容部26への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、収容部27への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、収容部28への振り分け条件に合致した紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2と、を準備する。そして、これらのテスト媒体2を用いて紙葉類処理装置1の動作確認を行う。
【0069】
操作者が、操作表示部35を介して紙葉類処理装置1を、テスト媒体2を使用して動作確認を行う模擬紙モードにして、上記のように準備したテスト媒体2を取込部11にセットする。なお、このとき、テスト媒体2は、紙幣と同様に、長辺部を装置前後方向に沿わせ、短辺部を装置左右方向に沿わせて、上下方向に集積された状態で取込部11にセットされることになる。
【0070】
操作表示部35にスタート操作が入力されると、制御部36が、取込部11および搬送部31を駆動する。すると、取込部11は、紙幣と同様に、セットされた集積状態のテスト媒体2を最下のものから一枚ずつ分離して紙葉類処理装置1内に取り込む。これが、紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を取込部11で取り込む工程となる。
【0071】
また、搬送部31も、紙幣と同様に、取込部11によって取り込まれたテスト媒体2を搬送する。そして、取込部11によって取り込まれ搬送部31によって搬送されるテスト媒体2を、識別部32が、これを通過する際に識別する。
【0072】
この模擬紙モードにおいて、識別部32は、
図8に示すフローチャートに沿って作動する。すなわち、識別部32は、識別部32に搬送されてきたテスト媒体2を検知すると、イメージセンサにより紙幣データサンプリングを行い(ステップS1)、パターン処理により、このテスト媒体2の二次元コード51の情報を読み込む(ステップS2)。
【0073】
そして、このように読み込んだ二次元コード51に含まれる紙幣の識別情報にある、搬送状態情報であるオーバーラン情報と、特性情報の磁気情報およびUV情報と、券種情報の通貨情報、額面情報、版数情報および偽券情報と、損券判別情報のテープ情報、外形情報、損傷情報、折れ情報および汚損情報を、この二次元コード51が印刷されたテスト媒体2の識別結果とする。
【0074】
さらに、このようにイメージセンサにより読み取った二次元コード51の向きから割り出されるテスト媒体2の表裏を表裏情報に書き換え、これを識別結果とし、同じく読み取った二次元コード51の向きから割り出されるテスト媒体2の方向を方向情報に書き換えて、これを識別結果とする(ステップS3)。
【0075】
以上のようにして、識別部32は、取込部11によって取り込まれたテスト媒体2の二次元コード51から紙幣の識別情報を識別結果として読み取る。これが、取込部11によって取り込まれたテスト媒体2の二次元コード51から識別部32によって紙幣の識別情報を識別結果として読み取る工程となる。
【0076】
加えて、識別部32は、厚みセンサにより検出されたテスト媒体2の厚みの測定データをもとに、テスト媒体2の厚み異常の有無、すなわち厚みが適正範囲にはなく厚み異常があるか、厚みが適正範囲内にあって厚み異常がないかを判定する(ステップS4)。
【0077】
そして、識別部32は、上記判定において厚み異常があれば(ステップS5:YES)、厚み異常ありを示す情報を制御部36に送信する(ステップS6)。すると、制御部36は、厚み異常と識別されたテスト媒体2を搬送部31で、複数の収容部20~28の中からリジェクト用の一の収容部20に搬送し、この収容部20に収容する。
【0078】
また、識別部32は、上記判定において厚み異常がなければ(ステップS5:NO)、二次元コード51の識別情報を含む識別結果を制御部36に送信する(ステップS7)。すると、制御部36は、厚み異常なしと識別されたテスト媒体2を、上記の識別結果に基づいて、搬送部31によって複数の収容部21~28の中から一の収容部に搬送し、この収容部に収容する。
【0079】
ここで、識別部32の制御において、上記のように実際に検出された厚み異常の情報を優先する理由は、紙幣が重送された場合は二次元コード51をイメージセンサで正確に読み取れていない可能性があるためである。言い換えれば、重送されたテスト媒体2からイメージセンサで読み取った二次元コード51のデータからでは、テスト媒体2の正しい搬送先が特定できないおそれがあるためである。
【0080】
なお、ステップS7において、厚みセンサで検出されたテスト媒体2の厚みデータに異常がない場合でも、二次元コード51に厚み異常ありと判定されるデータが設定されている場合は、厚み異常ありを示す情報を制御部36に送信することになる。このように、二次元コード51に厚み異常ありを示す情報を含ませれば、厚み異常のテスト媒体2の動作確認を行うことが可能になる。
【0081】
以上のようにして、搬送部31が、識別部32がテスト媒体2の二次元コード51から読み取った紙幣の識別結果等に基づいて、テスト媒体2を複数の搬送先である収容部20~28の中から一の搬送先である収容部に搬送する。これが、識別部32がテスト媒体2の二次元コード51から読み取った紙幣の識別結果に基づいて、このテスト媒体2を搬送部31によって複数の搬送先である収容部20~28の中から一の搬送先である収容部に搬送する工程となる。
【0082】
そして、取込部11にセットされたテスト媒体2が全て収容部20~28のいずれかに搬送されると、制御部36は、識別部32による識別および計数の結果から、各収容部20~28へ収容したテスト媒体2の枚数と、各収容部20~28へ収容したテスト媒体2の識別結果とを操作表示部35に表示する。すると、操作者は、操作表示部35のこの表示内容と、実際に各収容部20~28へ収容したテスト媒体2の枚数および識別情報との一致を確認することで、振り分け動作が正常に行われたか否かを判断する。すなわち、すべて一致していれば振り分け動作が正常に行われたと判断し、いずれかが一致しなければ振り分け動作が正常に行われていないと判断する。
【0083】
ここで、複数の収容部20~28に、どのような紙幣を搬送するかは、設定により任意に変更することができる。例えば、8つの収容部21~28に8種類の異なる券種の紙幣を券種毎に振り分けて収容し、偽券は収容部20に収容する設定とすることが可能である。
【0084】
また、例えば、4つの収容部21~24に、識別部32で正券と判断した紙幣を収容し、3つの収容部25~27に、識別部32で損券と判断した紙幣および古い版数券と判断した紙幣を収容し、1つの収容部28に、識別部32で偽券と判断した紙幣を収容する。その際に、4つの収容部21~24には、紙幣を、券種別に分類したり、方向別(表裏、天地)等に分類したりすることが可能である。また、3つの収容部25~27には、紙幣を、券種別に分類したり、方向別(表裏、天地)に分類したり、テープ券、外形異常券、折れ、古い版数券等の特定の要因別に分類したりすることもできる。そして、8つの収容部21~28で受け入れ不可能な識別不能券や搬送不良券(オーバーラン、斜行、ニアフィード、重送等)などは、収容部20に搬送する。すなわち、この場合、識別部32は、取込部11にセットされたすべての紙幣を、正券と、損券と、古い版数券と、偽券と、識別不能券と、搬送不良券とのうちのいずれか一つに判断することになる。
【0085】
具体的に、例えば、正券と識別された万円券を収容部21に、正券と識別された五千円券を収容部22に、正券と識別された二千円券を収容部23に、正券と識別された千円券を収容部24に、損券と識別された万円券および古い版数券と識別された万円券を収容部25に、損券と識別された五千円券、損券と識別された二千円券、古い版数券と識別された五千円券および古い版数券と識別された二千円券を収容部26に、損券と識別された千円券および古い版数券と識別された千円券を収容部27に、偽券と識別された紙幣を収容部28に、磁気異常ありやUV異常ありの識別不能券と、オーバーランあり等の搬送不良券とを収容部20にそれぞれ振り分ける設定として、その動作確認を行う場合について説明する。
【0086】
まず、4つの収容部21~24に収容されるべきテスト媒体2を準備する。すなわち、異常表記部71の選択欄のいずれにも「●」が記載されていない正券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2を準備する。
【0087】
また、3つの収容部25~27に収容されるべきテスト媒体2を準備する。すなわち、異常表記部71の「Tape」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されているテープ券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、異常表記部71の「Dimention」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている外形異常券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、異常表記部71の「Hole,Tear」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている損傷券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、異常表記部71の「Fold」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている折れ券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、異常表記部71の「Dirt」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている汚損券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、異常表記部71の「Issue」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている古い版数券の、万円券、五千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、を準備する。
【0088】
さらに、1つの収容部28に収容されるべきテスト媒体2を準備する。すなわち、異常表記部71の「Counterfeit」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている偽券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2を準備する。
【0089】
加えて、1つの収容部20に収容されるべきテスト媒体2を準備する。すなわち、異常表記部71の「Overrun」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている搬送不良券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、異常表記部71の「MG」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている磁気異常券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、異常表記部71の「UV」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されているUV異常券の、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのテスト媒体2と、を準備する。
【0090】
そして、操作者は、操作表示部35への入力で、紙葉類処理装置1を模擬紙モードとし、取込部11に上記したテスト媒体2をセットして、スタート操作を入力する。すると、取込部11がテスト媒体2を一枚ずつに分離して繰り出し、搬送部31が搬送する。その搬送中に、識別部32がテスト媒体2の二次元コード51の識別情報を識別結果として読み取る。識別部32が、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報から万円券の正券のテスト媒体2と識別して、その識別結果を制御部36に送信すると、制御部36は、搬送部31を制御して、このテスト媒体2を収容部21に搬送する。同様に、五千円券の正券と識別したテスト媒体2を収容部22に、二千円券の正券と識別したテスト媒体2を収容部23に、千円券の正券と識別したテスト媒体2を収容部24に搬送する。
【0091】
また、識別部32が、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報から万円券のテープ券のテスト媒体2と識別して、その識別結果を制御部36に送信すると、制御部36は、搬送部31を制御して、このテスト媒体2を収容部25に搬送する。同様に、万円券の外形異常券と識別したテスト媒体2、万円券の損傷券と識別したテスト媒体2、万円券の折れ券と識別したテスト媒体2、万円券の汚損券と識別したテスト媒体2および万円券の古い版数券と識別したテスト媒体2を、収容部25に搬送する。
【0092】
同様に、五千円券のテープ券と識別したテスト媒体2、五千円券の外形異常券と識別したテスト媒体2、五千円券の損傷券と識別したテスト媒体2、五千円券の折れ券と識別したテスト媒体2、五千円券の汚損券と識別したテスト媒体2、五千円券の古い版数券と識別したテスト媒体2、二千円券のテープ券と識別したテスト媒体2、二千円券の外形異常券と識別したテスト媒体2、二千円券の損傷券と識別したテスト媒体2、二千円券の折れ券と識別したテスト媒体2および二千円券の汚損券と識別したテスト媒体2を収容部26に搬送する。
【0093】
同様に、千円券のテープ券と識別したテスト媒体2、千円券の外形異常券と識別したテスト媒体2、千円券の損傷券と識別したテスト媒体2、千円券の折れ券と識別したテスト媒体2、千円券の汚損券と識別したテスト媒体2および千円券の古い版数券と識別したテスト媒体2を収容部27に搬送する。
【0094】
また、識別部32が、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報から万円券の偽券のテスト媒体2と識別して、その識別結果を制御部36に送信すると、制御部36は、搬送部31を制御して、このテスト媒体2を収容部28に搬送する。同様に、五千円券の偽券のテスト媒体2と識別したテスト媒体2、二千円券の偽券のテスト媒体2と識別したテスト媒体2および千円券の偽券のテスト媒体2と識別したテスト媒体2を収容部28に搬送する。
【0095】
さらに、識別部32が、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報から万円券の搬送不良券のテスト媒体2と識別して、その識別結果を制御部36に送信すると、制御部36は、搬送部31を制御して、このテスト媒体2を収容部20に搬送する。同様に、五千円券の搬送不良券と識別したテスト媒体2、二千円券の搬送不良券と識別したテスト媒体2および千円券の搬送不良券と識別したテスト媒体2を収容部20に搬送する。
【0096】
加えて、識別部32が、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報から万円券の磁気異常券のテスト媒体2と識別して、その識別結果を制御部36に送信すると、制御部36は、搬送部31を制御して、このテスト媒体2を収容部20に搬送する。同様に、五千円券の磁気異常券と識別したテスト媒体2、二千円券の磁気異常券と識別したテスト媒体2および千円券の磁気異常券と識別したテスト媒体2を収容部20に搬送する。
【0097】
また、識別部32が、テスト媒体2の二次元コード51の識別情報から万円券のUV異常券のテスト媒体2と識別して、その識別結果を制御部36に送信すると、制御部36は、搬送部31を制御して、このテスト媒体2を収容部20に搬送する。同様に、五千円券のUV異常券と識別したテスト媒体2、二千円券のUV異常券と識別したテスト媒体2および千円券のUV異常券と識別したテスト媒体2を収容部20に搬送する。
【0098】
そして、取込部11にセットされたテスト媒体2が全て収容部20~28のいずれかに搬送されると、制御部36は、識別部32による識別および計数の結果から、各収容部20~28へ収容したテスト媒体2の枚数と、各収容部20~28へ収容したテスト媒体2の識別結果と、を操作表示部35に表示する。
【0099】
すると、操作者は、操作表示部35に表示されている万円券の正券の収容部21への収容枚数と、異常表記部71の選択欄のいずれにも「●」が記載されていない万円券の正券のテスト媒体2の収容部21に実際に収容されている枚数との一致を確認する。また、このとき、収容部21に収容されるべきではない、万円券の正券のテスト媒体2以外のテスト媒体2の収容部21への収容の有無も確認する。
【0100】
操作者は、同様に、五千円券の正券の、操作表示部35に表示されている収容部22への収容枚数と、五千円券の正券のテスト媒体2の収容部22への実際の収容枚数との一致と、収容部22に収容されるべきではないテスト媒体2の収容部22への収納の有無と、を確認する。また同様に、二千円券の正券の、操作表示部35に表示されている収容部23への収容枚数と、二千円券の正券のテスト媒体2の収容部23への実際の収容枚数との一致と、収容部23に収容されるべきではないテスト媒体2の収容部23への収納の有無と、を確認する。また同様に、千円券の正券の、操作表示部35に表示されている収容部24への収容枚数と、千円券の正券のテスト媒体2の収容部24への実際の収容枚数との一致と、収容部24に収容されるべきではないテスト媒体2の収容部24への収納の有無と、を確認する。
【0101】
また、操作者は、万円券のテープ券、万円券の外形異常券、万円券の損傷券、万円券の折れ券、万円券の汚損券および万円券の古い版数券の、それぞれの操作表示部35に表示されている収容部25への収容枚数と、異常表記部71の「Tape」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている万円券のテープ券のテスト媒体2、異常表記部71の「Dimention」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている万円券の外形異常券のテスト媒体2、異常表記部71の「Hole,Tear」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている万円券の損傷券のテスト媒体2、異常表記部71の「Fold」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている万円券の折れ券のテスト媒体2、異常表記部71の「Dirt」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている万円券の汚損券のテスト媒体2および異常表記部71の「Issue」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている万円券の古い版数券のテスト媒体2の、それぞれの収容部25の実際の収容枚数との、対応するもの同士の一致を確認する。また、このとき、万円券のテープ券のテスト媒体2、万円券の外形異常券のテスト媒体2、万円券の損傷券のテスト媒体2、万円券の折れ券のテスト媒体2、万円券の汚損券のテスト媒体2および万円券の古い版数券のテスト媒体2のいずれでもない、収容部25に収容されるべきではないテスト媒体2の収容部25への収容の有無も確認する。
【0102】
操作者は、同様に、五千円券のテープ券、五千円券の外形異常券、五千円券の損傷券、五千円券の折れ券、五千円券の汚損券、五千円券の古い版数券、二千円券のテープ券、二千円券の外形異常券、二千円券の損傷券、二千円券の折れ券および二千円券の汚損券の、それぞれの操作表示部35に表示されている収容部26への収容枚数と、これらのテスト媒体2の収容部26の実際の収容枚数との、対応するもの同士の一致と、収容部26に収容されるべきではないテスト媒体2の収容部26への収容の有無と、を確認する。また同様に、千円券のテープ券、千円券の外形異常券、千円券の損傷券、千円券の折れ券、千円券の汚損券および千円券の古い版数券の、それぞれの操作表示部35に表示されている収容部27への収容枚数と、これらのテスト媒体2の収容部27の実際の収容枚数との、対応するもの同士の一致と、収容部27に収容されるべきではないテスト媒体2の収容部27への収容の有無と、を確認する。
【0103】
また、操作者は、万円券の偽券、五千円券の偽券、二千円券の偽券および千円券の偽券の、それぞれの操作表示部35に表示されている収容部28への収容枚数と、異常表記部71の「Counterfeit」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている万円券の偽券のテスト媒体2、同様の五千円券の偽券のテスト媒体2、同様の二千円券の偽券のテスト媒体2および同様の千円券の偽券のテスト媒体2の、それぞれの収容部28の実際の収容枚数との、対応するもの同士の一致を確認する。また、このとき、万円券の偽券のテスト媒体2、五千円券の偽券のテスト媒体2、二千円券の偽券のテスト媒体2および千円券の偽券のテスト媒体2のいずれでもない、収容部28に収容されるべきではないテスト媒体2の収容部28への収容の有無も確認する。
【0104】
また、操作者は、異常表記部71の「オーバーラン」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれの搬送不良券のテスト媒体2と、異常表記部71の「MG」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれの磁気異常券のテスト媒体2と、異常表記部71の「UV」の地側に隣り合う選択欄のみに「●」が記載されている、万円券、五千円券、二千円券および千円券のそれぞれのUV異常券のテスト媒体2とが、収容部20に収容されていることを確認する。また、このとき、収容部20へ収容されるべきではないテスト媒体2の収容部20への収容の有無も確認する。
【0105】
以上に述べた実施形態の紙葉類処理装置1によれば、取込部11が、二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を取り込むと、識別部32が、このテスト媒体2の二次元コード51から紙幣の識別情報を識別結果として読み取ることになり、この紙幣の識別結果に基づいて、搬送部31が、テスト媒体2を複数の搬送先としての収容部20~28の中から一の搬送先となる収容部に択一的に搬送する。このように、テスト媒体2に紙幣の識別情報を含む二次元コード51を印刷し、この二次元コード51から識別部32が読み取った紙幣の識別結果で、動作を確認することになる。よって、識別部32において所望の識別をさせるように二次元コード51に紙幣の識別情報を含ませれば良いため、テスト媒体2を容易に作成することができる。また、識別部32においてテスト媒体2に対し所望の識別を行うように識別ソフトを作成することも容易となる。したがって、コスト増を抑制しつつ動作確認を効率良く行うことが可能となる。
【0106】
具体的に、例えば、新しいテスト媒体2を追加する時に、テスト媒体2の認識パターンを考える必要がなくなり、判定ソフトを作成する必要もなくなるため、対応するプログラムを作成する負担を軽減でき、テスト媒体2を作成する負担を軽減できる。また、紙葉類処理装置1の動作確認時に任意の識別情報を含む二次元コード51をテスト媒体2に印刷するだけで可能になり、効率的に動作確認を行うことができる。また、従来のテスト媒体では、磁気異常ありの紙幣や、UV異常ありの紙幣の搬送確認を行うことができなかったが、これを行うことができる。さらに、二次元コード51を自由に印刷可能なため、所望の特徴のテスト媒体2を容易に作成することが可能となる。
【0107】
また、二次元コード51に含まれる紙幣の識別情報が、損券に関する情報を含んでいるため、識別部32において損券に関する所望の識別をさせるようにテスト媒体2を作成することが容易にできる。また、識別部32においてテスト媒体2に対し損券に関する所望の識別を行うように識別ソフトを作成することも容易となる。すなわち、従来のテスト媒体では、損券の搬送確認は、テスト媒体を折ったり、切ったり、損傷させる必要があり、作成に手間がかかった。また、このように作成しても、必ずしも、識別部で損券と判定するとは限らなかった。これに対し、二次元コード51に紙幣の損券に関する情報を含む識別情報を記憶させて、識別部32でこれを読み込むと、損券と識別することから、テスト媒体2の形状はそのままで、損券の搬送確認を確実に行うことができる。
【0108】
また、二次元コード51に含まれる紙幣の識別情報が、搬送不良に関する情報を含んでいるため、識別部32において搬送不良に関する所望の識別をさせるようにテスト媒体2を作成することが容易にできる。また、識別部32においてテスト媒体2に対し搬送不良に関する所望の識別を行うように識別ソフトを作成することも容易となる。従来、オーバーラン紙幣等の搬送異常券の搬送確認は、紙葉類処理装置1側の取り込み具合により再現していたため、紙幣のセット方法や調整が難しかったが、二次元コード51に、紙幣の搬送不良に関する情報を含む識別情報を記憶させて、識別部32でこれを読み込むと、搬送異常券と識別することから、このような調整を行うことなく、搬送異常券の搬送確認を行うことができる。
【0109】
また、二次元コード51に含まれる紙幣の識別情報が、紙幣の記番号に関する情報を含んでいるため、識別部32において紙幣の記番号に関する所望の識別をさせるようにテスト媒体2を作成することが容易にできる。また、識別部32においてテスト媒体2に対し紙幣の記番号に関する所望の識別を行うように識別ソフトを作成することも容易となる。
【0110】
また、識別部32がテスト媒体2の二次元コード51の読み取りの向きによりテスト媒体2の方向を識別するため、識別部32において方向違いに関する所望の識別をさせるように異なる二次元コード51を有する複数種のテスト媒体2を作成する必要がなくなる。よって、テスト媒体2の種類を減らすことができる。
【0111】
また、実施形態のテスト媒体2によれば、紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されているため、紙葉類処理装置1は、この二次元コード51から識別部32が読み取った紙幣の識別結果で動作を確認することになる。よって、紙葉類処理装置1の識別部32において所望の識別をさせるように二次元コード51に紙幣の識別情報を含ませれば良いため、容易に作成することができる。また、識別部32においてテスト媒体2に対し所望の識別を行うように紙葉類処理装置1の識別ソフトを作成することも容易となる。したがって、コスト増を抑制しつつ紙葉類処理装置1の動作確認を効率良く行うことが可能となる。
【0112】
また、テスト媒体2の外形は関係なく処理を行うので、テスト媒体2の外形サイズを実際の紙幣に合わせる必要がなくなり、テスト媒体2の作成が容易となる。もちろん、テスト媒体2の外形サイズを実際の紙幣に合わせるようにしてもよい。
【0113】
また、実施形態の紙葉類処理装置1の動作確認方法によれば、紙幣の識別情報を含む二次元コード51が印刷されたテスト媒体2を取込部11で取り込む工程と、取込部11によって取り込まれたテスト媒体2の二次元コード51から識別部32によって紙幣の識別情報を識別結果として読み取る工程と、識別部32がテスト媒体2の二次元コード51から読み取った紙幣の識別結果に基づいて、このテスト媒体2を搬送部31によって複数の搬送先である収容部20~28の中から一の搬送先である収容部に搬送する工程と、を含む。このように、テスト媒体2に紙幣の識別情報を含む二次元コード51を印刷し、この二次元コード51から識別部32が読み取った紙幣の識別結果で、動作を確認することになる。よって、識別部32において所望の識別をさせるように二次元コード51に紙幣の識別情報を含ませれば良いため、テスト媒体2を容易に作成することができる。また、識別部32においてテスト媒体2に対し所望の識別を行うように識別ソフトを作成することも容易となる。したがって、コスト増を抑制しつつ動作確認を効率良く行うことが可能となる。
【0114】
以上の実施形態では、紙幣を搬送方向に対し横長の状態で搬送する横搬送の紙葉類処理装置1を例にして、テスト媒体2についても横搬送する場合を説明したが、紙幣を搬送方向に対し縦長の状態で搬送する縦搬送の紙葉類処理装置にも、上記技術は適用可能である。
【0115】
また、以上の実施形態では、紙葉類として紙幣を処理する紙葉類処理装置1を例にとり説明したが、上記技術は、紙葉類として、証券や、金券等を処理する紙葉類処理装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 紙葉類処理装置
2 テスト媒体
11 取込部
20~28 収容部(搬送先)
31 搬送部
32 識別部
51 二次元コード
S 紙幣(紙葉類)