(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055954
(43)【公開日】2024-04-19
(54)【発明の名称】極性流体がゲートの電界効果デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20240412BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G01N27/00 J
G01N33/483 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031345
(22)【出願日】2024-03-01
(62)【分割の表示】P 2022107238の分割
【原出願日】2017-06-30
(31)【優先権主張番号】62/356,729
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/356,742
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518447603
【氏名又は名称】グラフウェア テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラジャテシュ アール. グディバンデ
(72)【発明者】
【氏名】サウラブ ラダクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】アントワン ガランド
(72)【発明者】
【氏名】ミート ボラ
(57)【要約】
【課題】 デバイスを提供すること
【解決手段】 本件明細書には、ナノスケール電界効果トランジスタ(NFET)、例えば、物理的ゲートを持たない、グラフェンベース電界効果トランジスタ(GFET)が開示されているものである。物理的ゲートに代わって、それらの電界効果トランジスタは、極性流体によってゲート化される。そのようなトランジスタを使用するシステム、および方法も開示されている。一態様では、電界効果トランジスタが本明細書に開示されているものである。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年6月30日に出願された”DETECTION OF IONIC CONCENTRATION IN FLUID USING NANOSCALE
MATERIALS VIA A CAPACITIVE RESPONSE”と題する米国仮特許出願番号第62/356,729号、および2016年6月30日に出願された”LACTATE-OXIDASE-FUNCTIONALIZED GRAPHENE POLYMER COMPOSITES FOR LABEL-FREE DETECTION OF LACTATE IN SWEAT AND OTHER BODILY FLUIDS”と題する米国仮特許出願番号第62/356,742号に基づく優先権を主張しており、これら仮特許出願の各々は、その全体が、本明細書によって参考として本明細書中に援用される。
【0002】
発明の分野
本明細書に開示される本発明は、一般に、極性流体によってゲート化されたナノスケール電界効果トランジスタ(NFET)、特にグラフェン電界効果トランジスタ(GFET)の、設計、作製、および適用に関する。本開示は、一般に、電界効果トランジスタを使用した化学的および生物学的感知にも関し、より詳細には、グラフェンを含む生化学的に感受性のあるチャネルを備えた電界効果トランジスタを使用した、生化学的感知にも関する。
【背景技術】
【0003】
背景
電界効果トランジスタ(FET)は、デバイスの電気的挙動を制御するのに電界を使用するトランジスタである。一般に、FETは、3個の端子(例えば、ソース、ドレイン、およびゲート)と、アクティブチャネルとを有する。例えば半導体材料によって形成されたアクティブチャネルを通して、電荷担体(電子または正孔)はソースからドレインに流れる。
【0004】
ソース(S)は、担体がチャネルに進入する場所である。ドレイン(D)は、担体がチャネルから離れる場所である。ドレイン-ソース間電圧はVDSであり、ソース-ドレイン間電流はIDSである。ゲート(G)は、ソースとドレインとの間の電流が制御されるようにゲート電圧(VG)を印加することによって、チャネル伝導度を変調させる。
【0005】
グラフェン電界効果トランジスタ(GFET)などのナノスケール電界効果トランジスタ(NFET)は、バイオプローブ、インプラント、および同様のものなどの数多くの適用例で広く使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
当分野で必要とされるのは、FETのより良好な設計と、それを使用する新しい方法である。
【0007】
一態様では、電界効果トランジスタが本明細書に開示される。電界効果トランジスタは、ドレイン電極と、ドレイン電極と、ソース電極と、電気絶縁基板と、基板上に配置された、電気伝導性および化学感受性チャネルを部分的に画定するナノスケール材料層であり、ナノスケール材料層および前記チャネルが、ドレイン電極およびソース電極の間に延在
しかつこれらの電極に電気接続されているナノスケール材料層と、ナノスケール材料層に曝露された極性流体によって創出された、極性流体誘起ゲート端子と
を含む。一部の実施形態では、極性流体は、標的分析物を含む。一部の実施形態では、極性流体は、標的分析物に応答して電界効果トランジスタのゲート電圧対チャネル電流特性を最適化する極性流体ゲート電圧を誘起させるのに十分な電荷濃度を有する。
【0008】
一部の実施形態では、定電流または定電圧は、定電流ソースまたは定電圧ソースによって提供され、ソース電極およびドレイン電極の間に印加される。
【0009】
一部の実施形態では、ナノスケール材料は、グラフェン、CNT、MoS2、窒化ホウ素、金属ジカルコゲナイド、ホスホレン、ナノ粒子、量子ドット、フラーレン、2Dナノスケール材料、3Dナノスケール材料、0Dナノスケール材料、1Dナノスケール材料、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0010】
一部の実施形態では、極性流体は、極性分子を有する溶液、極性分子を有する気体、標的感知分析物、またはこれらの組合せを含む。
【0011】
一部の実施形態では、極性流体が、汗、息、唾液、耳垢、尿、精液、血漿、生物流体、化学流体、空気試料、気体試料、またはこれらの組合せを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
【0012】
一部の実施形態では、標的分析物は、電解質、グルコース、乳酸、IL6、サイトカイン、HER2、コルチゾール、ZAG、コレステロール、ビタミン、タンパク質、薬物分子、代謝物、ペプチド、アミノ酸、DNA、RNA、アプタマー、酵素、生体分子、化学分子、合成分子、またはこれらの組合せを含む。
【0013】
一部の実施形態では、電界効果トランジスタは、ナノスケール材料層上に堆積されたレセプタ層であって、標的分析物を標的とするレセプタを含むレセプタ層をさらに含む。
【0014】
一部の実施形態では、レセプタは、ピレンボロン酸(PBA)、ピレンN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(ピレン-NHS)、有機化学物質、芳香族分子、環状分子、酵素、タンパク質、抗体、ウイルス、一本鎖DNA(ssDNA)、アプタマー、無機材料、合成分子、生体分子を含む。
【0015】
一部の実施形態では、電界効果トランジスタは、さらなる機械的、電気的、化学的、生物学的機能性、またはこれらの組合せの支持をもたらすためにナノスケール材料層の下に裏面ポリマー層をさらに含む。
【0016】
一部の実施形態では、裏面ポリマー層は:炭素ポリマー、バイオポリマー、PMMA、PDMS、フレキシブルガラス、ナノスケール材料、シリカゲル、シリコーン、インク、印刷ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0017】
一態様では、本明細書には、極性流体中の標的分析物を感知するための方法が開示される。この方法は、極性流体試料を電界効果トランジスタに曝露するステップであって、電界効果トランジスタが、ドレイン電極と;ソース電極と;電気絶縁基板と;基板上に配置された、電気伝導性および化学感受性チャネルを少なくとも部分的に画定するナノスケール材料層であり、ナノスケール材料層およびチャネルが、ドレイン電極とソース電極の間に延在しかつこれらの電極に電気接続されている、ナノスケール材料層と;ナノスケール材料層に曝露された極性流体によって創出された、極性流体誘起ゲート端子であり、極性流体が、標的分析物を含みかつ分析物を検出するために電界効果トランジスタのゲート電
圧対チャネル電流特性を最適化する極性流体ゲート電圧を誘起させるのに十分な電荷濃度を有する、極性流体誘起ゲート端子とを含むステップ;第1の時点で第1のソース-ドレイン電圧を、第2およびその後の時点で第2のソース-ドレイン電圧を測定するステップ;ならびに第1および第2のソース-ドレイン電圧に基づいて極性流体中の標的分析物の濃度を決定するステップを含む。
【0018】
一部の実施形態では、ナノスケール材料は、グラフェン、CNT、MoS2、窒化ホウ素、金属ジカルコゲナイド、ホスホレン、ナノ粒子、量子ドット、フラーレン、2Dナノスケール材料、3Dナノスケール材料、0Dナノスケール材料、1Dナノスケール材料、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0019】
一部の実施形態では、電界効果トランジスタは、ナノスケール材料層上に堆積されたレセプタ層で機能化され、レセプタ層は、標的分析物を標的とするレセプタを含む。
【0020】
一部の実施形態では、レセプタは、ピレンボロン酸(PBA)、ピレンN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(ピレン-NHS)、有機化学物質、芳香族分子、環状分子、酵素、タンパク質、抗体、ウイルス、一本鎖DNA(ssDNA)、アプタマー、無機材料、合成分子、生体分子を含む。
【0021】
一部の実施形態では、標的分析物は、電解質、グルコース、乳酸、IL6、サイトカイン、HER2、コルチゾール、ZAG、コレステロール、ビタミン、タンパク質、薬物分子、代謝物、ペプチド、アミノ酸、DNA、RNA、アプタマー、酵素、生体分子、化学分子、合成分子、またはこれらの組合せを含む。
【0022】
一部の実施形態では、極性流体は、極性分子を含む溶液、極性分子を含む気体、標的感知分析物、またはこれらの組合せを含む。
【0023】
一部の実施形態では、方法は、第1および第2のソース-ドレイン電圧の間の分数変化率を計算するステップをさらに含む。
【0024】
一部の実施形態では、方法は、電界効果トランジスタのソース電極およびドレイン電極の間に定電流を印加するステップをさらに含む。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、電界効果トランジスタのソース電極およびドレイン電極の間に定電圧を印加するステップをさらに含む。
【0026】
一部の実施形態では、極性流体は、汗、息、唾液、耳垢、尿、精液、血漿、生物流体、化学流体、空気試料、気体試料、またはこれらの組合せを含む。
【0027】
一部の実施形態では、方法は、さらなる機械的、電気的、化学的、生物学的機能性、またはこれらの組合せの支持をもたらすためにナノスケール材料の下に裏面ポリマー層をさらに含む。
【0028】
一部の実施形態では、裏面ポリマー層は、炭素ポリマー、バイオポリマー、PMMA、PDMS、フレキシブルガラス、ナノスケール材料、シリカゲル、シリコーン、インク、印刷ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0029】
一態様では、本明細書には、電界効果トランジスタ、および下記を含むシステムが開示される。
【0030】
電界効果トランジスタに電気接続される定電流ソースまたは定電圧ソース。電界効果トランジスタは、ドレイン電極と;ソース電極と;電気絶縁基板と;基板上に配置された、電気伝導性および化学感受性チャネルを少なくとも部分的に画定するナノスケール材料層であり、ナノスケール材料層およびチャネルが、ドレイン電極とソース電極の間に延在しかつこれらの電極に電気接続されている、ナノスケール材料層と;ナノスケール材料層に曝露された極性流体によって創出された、極性流体誘起ゲート端子とを含む。一部の実施形態では、極性流体は、標的分析物を含む。一部の実施形態では、極性流体は、標的分析物に応答して電界効果トランジスタのチャネル電流特性に対してゲート電圧を最適化させる、極性流体ゲート電圧を誘起させるのに十分な電荷濃度を有する。
【0031】
一部の実施形態では、定電流ソースは、電界効果トランジスタを通して定電流を維持する。
【0032】
一部の実施形態では、定電圧ソースは、電界効果トランジスタ上を経て定電圧を維持する。
【0033】
一部の実施形態では、電圧出力または電流出力は、有線または無線伝送を通してデジタルプラットフォームに伝達される。
【0034】
一部の実施形態では、デジタルプラットフォームは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートウォッチ、車内エンターテイメントシステム、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、コンピュータ端末、テレビジョンシステム、電子ブックリーダ、ウェアラブルデバイス、またはデジタル入力を処理する任意のその他のタイプのコンピューティングデバイスを含む。
【0035】
当業者に公知のように、本明細書に開示される任意の実施形態は、単独でまたは他の実施形態と組み合わせて、本発明の任意の態様と併せて使用することができる。
【0036】
当業者なら、以下に示す図面は単なる例示を目的とすることが理解されよう。図面は、本発明の教示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1A】
図1Aは、グラフェン電界効果トランジスタ(gFET)を例示する、先行技術の実施形態を図示する。
【0038】
【
図1B】
図1Bは、ゲート電圧によって制御されるときのソースおよびドレイン間の電流を示す、先行技術の実施形態を図示する。
【0039】
【
図2A】
図2Aは、ゲートレスグラフェン電界効果(g-gFET)を示す、例示的な実施形態を図示する。
【0040】
【
図2B】
図2Bは、g-gFETを示す、例示的な実施形態を図示する。
【0041】
【
図2C】
図2Cは、g-gFETを示す、例示的な実施形態を図示する。
【0042】
【
図2D】
図2Dは、g-gFETを示す、例示的な実施形態を図示する。
【0043】
【
図3A】
図3Aは、極性流体が運動していない極性流体ゲート端子(PFGT)を示す、例示的な実施形態を図示する。
【0044】
【
図3B】
図3Bは、極性流体が第1の方向に流れる極性流体ゲート端子を示す、例示的な実施形態を図示する。
【0045】
【
図3C】
図3Cは、極性流体が第2の方向に流れる極性流体ゲート端子を示す、例示的な実施形態を図示する。
【0046】
【
図4A】
図4Aは、誘電体およびゲート金属を備えた
図2A~2Dに図示されるベースデバイスを示す、例示的な実施形態を図示する。ゲート電位は、ゲート金属および接地の間で測定される。
【0047】
【
図4B】
図4Bは、PFGT内に、追加の金属電極を備えた
図2A~2Dに図示されるベースデバイスを示す、例示的な実施形態を図示する。ゲート電位は、金属電極および接地の間で測定される。
【0048】
【
図4C】
図4Cは、PFGT内に、誘電体およびゲート金属と金属電極が増補された
図2A~2Dに図示されるベースデバイスを示す、例示的な実施形態を図示する。2つのゲート電位は、指示されるように測定される。
【0049】
【
図5A】
図5Aは、定電流ソースと併せて使用されるGFETを示す、例示的な実施形態を図示する。
【0050】
【
図5B】
図5Bは、定電圧ソースと併せて使用されるGFETを示す、例示的な実施形態を図示する。
【0051】
【
図6】
図6は、DI水中でのNaCl応答の選択性測定値を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0052】
【
図7】
図7は、DI水中でのNaCl応答に関する感度測定値を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0053】
【
図8】
図8は、汗の中での塩化物応答を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0054】
【
図9】
図9は、DI水中でのグルコース応答の選択性測定値を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0055】
【
図10】
図10は、DI水中でのグルコース応答に対するNaCl中でのグルコース応答を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0056】
【
図11】
図11は、NaCl水中でのグルコース応答の選択性測定値を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0057】
【
図12】
図12は、DI水中のD-グルコースの感度測定値を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0058】
【
図13】
図13は、GFET製作によって視覚化された機能化ステップを示す、例示的な実施形態を例示する。
【0059】
【
図14】
図14は、汗の中のD-グルコース応答を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0060】
【
図15】
図15は、血液中のD-グルコース応答を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0061】
【
図16】
図16は、血糖と汗中グルコースとの間の測定値の相関を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0062】
【
図17】
図17は、DI水中の乳酸応答の選択性測定値を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0063】
【
図18】
図18は、様々な溶液中の乳酸応答の選択性測定値を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0064】
【
図19】
図19は、DI水中の乳酸応答に対するNaCl中の乳酸応答を示す、例示的な実施形態を例示する。
【0065】
【
図20】
図20は、GFET製作によって視覚化された乳酸機能化ステップを示す、例示的な実施形態を例示する。
【0066】
【
図21】
図21は、汗中のナトリウム濃度に対するセンサの相関に関するモデルを示す、例示的な実施形態を例示する。
【0067】
【
図22】
図22は、汗中のグルコース濃度に対するセンサの相関に関するモデルを示す、例示的な実施形態を例示する。
【0068】
【
図23】
図23は、PFTに関するトランスコンダクタンス曲線を示す、例示的な実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0069】
発明の詳細な説明
本明細書には、ナノスケール電界効果トランジスタと、それを作製し使用する方法が開示される。
一般的なグラフェン電界効果トランジスタ
【0070】
グラフェンは顕著な機械抵抗を保有し、このことにより、単層または二重層程度の厚さを、その主たる電気的性質を失うことなくかなりの機械応力に供することが可能になる。そのような機械強度は、グラフェンを、インジウムスズ酸化物(ITO)によりもたらされた透明伝導性酸化物(TCO)の電流発生の代わりになる理想的な候補にする。グラフェンとは異なって、ITOは、脆くかつ機械応力を受け易く;しかしその低いシート抵抗および高い透明度は、その高い材料コストを相殺するのに十分である。一方、大面積および低シート抵抗のグラフェンシートの生成は、化学気相成長(CVD)を使用する比較的単純で拡張性あるプロセスであり、適正な処理後に、90%よりも高い透明度および100よりも低いシート抵抗を持つ少数の原子層をもたらす。
【0071】
図1Aに図示されるように、グラフェンFETは一般に、SiO2層で覆われたSiウエハ上に製作され、グラフェンはトランジスタチャネルを形成する。グラフェントランジスタは、3つの端子、グラフェンチャネルに接触するソースおよびドレイン金属電極と、ドープSi基板により動作可能になるグローバルバックゲートからなる。これらの特徴は、Grat-FETにおけるグラフェンの特徴的両極性輸送挙動を容易にし-基板で適正なゲート電圧によりバイアスされたときにn型およびp型の両方の輸送を実現する。任意の適用可能な方法は、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許公開
番号WO2015/164,552に開示された情報も含め、GFETを製作するのに適用することができる。
【0072】
図1Bは、ゲート電圧により制御されたときのソースとドレインとの間の電流を例示する。ゲート電圧の方向および大きさを変化させることにより、ソースとドレインとの間に得られる電流の曲線は、「V」字形をとる。V字形曲線の先端でのゲート電圧の小さい変化は、チャネル電流(I
DS)に、有意で検出可能な変化をもたらし、V字形曲線の2つの端点で平坦になっていく傾向にある。
ゲートレス電界効果トランジスタ
【0073】
一態様では、本明細書には、物理的ゲートを持たない新しいタイプの電界効果トランジスタ(FET)が開示される。
【0074】
図2Aから2Dまでは、物理的ゲートを持たないFETの様々な実施形態を図示する。
図2Aは、基板1、ソース電極2、ドレイン電極3、レセプタ4、グラフェン層5、および裏面ポリマー6を含む、例示的なグラフェンベースFET210を図示する。本明細書に開示されるように、基板1は、ポリアミド、PET、PDMS、PMMA、その他のプラスチック、二酸化ケイ素、ケイ素、ガラス、酸化アルミニウム、サファイア、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、ケイ素とゲルマニウムとの合金、布地、織物、絹、紙、セルロースをベースにした材料、絶縁体、金属、半導体であり得、剛性の、可撓性の、またはこれらの任意の組合せとすることができる。一部の実施形態では、基板1を炭化ケイ素基板とすることができ、グラフェン層5は、炭化ケイ素基板からのケイ素の昇華によって直接、炭化ケイ素基板上にエピタキシャル成長させることができる(
図2B)。
【0075】
ソース電極2は、電界効果トランジスタの電極領域であり、そこから大多数の担体が電極間伝導性チャネルに流入する。ソース電極として使用することができる例示的な材料には、銀、金、炭素、グラファイトインク、伝導性の布地、伝導性の織物、金属、伝導性材料、伝導性ポリマー、伝導性ゲル、イオン性ゲル、伝導性インク、非金属伝導性材料が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0076】
ドレイン電極3は、ソース電極2の対向する側にある電極である。ソース電極として使用することができる例示的な材料には、銀、金、炭素、グラファイトインク、伝導性の布地、伝導性の織物、金属、伝導性材料、伝導性ポリマー、伝導性ゲル、イオン性ゲル、伝導性インク、非金属伝導性材料が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0077】
一部の実施形態では、グラフェン層5は、均一な厚さ、好ましくは所定の厚さの、グラフェンの1つまたは複数の単層を有することができる。厚さは、電気的性質、例えばバンドギャップ、担体濃度などをもたらすので、均一で好ましくは所定の厚さは、感知性質の制御を提供し、個々のセンサ間のばらつきが少ない再現性あるデバイスの形成を可能にする。
【0078】
一部の実施形態では、グラフェン層5をエピタキシャル層とすることができ、グラフェン層の基板は、その上にグラフェン層をエピタキシャル成長させた基板であってもよい。グラフェン層を成長の基板上に残すことにより、典型的にはナノの薄さのグラフェン層および構造を必ずしも取り扱う必要はない。トランジスタの製造中に薄いグラフェン層に損傷を与えるリスクも、グラフェン層を基板上に残すことができる場合には低減される。
【0079】
一部の実施形態では、グラフェン層5は、選択されたタイプの分析物のみがグラフェン層によって検出されるように、選択性に関してレセプタ4で表面処理することができる。
例示的なレセプタ4には、ピレンボロン酸(PBA)、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(ピレン-NHS)、有機化学物質、芳香族分子、環状分子、酵素、タンパク質、抗体、ウイルス、一本鎖DNA(ssDNA)、アプタマー、無機材料、合成分子、生体分子が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0080】
一部の実施形態では、グラフェン層5および/または、したがってある特定のタイプの化学物質は、化学感受性チャネルに到達するのが防止される。表面処理は、金属粒子および/またはポリマーの堆積を含んでもよい。
【0081】
裏面ポリマー6は、機械的支持をグラフェンに対して行うために使用される。また、ドープされたときに、感知応答に対して新しいモダリティを付加することができる。例えば、裏面ポリマーには、特定の標的に結合することもでき、かつトランジスタチャネルの抵抗変化に関与することができる、生体分子をドープすることができる。
【0082】
デバイス220、230、および240は、デバイス210の変形例である。デバイス220では、裏面ポリマー層6は省略されている。デバイス230では、レセプタ層4が省略されている。デバイス240では、裏面ポリマー層6とレセプタ層4の両方が省略されている。
【0083】
本明細書に開示されるように、デバイスまたはベースデバイスは、デバイス210、220、230、および240のいずれかにすることができる。
極性流体ゲート端子(PFGT)
【0084】
グラフェンは、二次元の原子規模の六角格子の形をとりその1つの原子が各頂点を形成する、炭素の同素体である。これは、グラファイト、木炭、カーボンナノチューブ、およびフラーレンを含む、その他の同素体の基本的な構造要素である。それは、無限に大きい芳香族分子として、平坦な多環式芳香族炭化水素のファミリーの最終的な場合と考えることができる。一部の実施形態では、グラフェンは、炭素原子の単層である。グラフェン中の各炭素原子は、4個の電子を有する。これらの電子の3個を通して、炭素原子は3個の最近接する炭素原子に結合して、六角格子を形成する。原子ごとに、全グラフェン層上で4個の電子が非局在化し、電子流の伝導が可能になる。
【0085】
極性流体がグラフェン層上に堆積されるとき、グラフェンの特別の電子特性は、極性流体中での電荷の再編成を引き起こして液体誘起ゲート電圧を形成することになり、ソース電極およびドレイン電極間の電流を変調させることができる。
【0086】
図3Aは、極性流体が運動していない極性流体ゲート端子を示す、例示的な実施形態を図示する。図示されるように、極性またはイオン性成分の電荷は、極性流体中の再分布であり、その結果、極性流体ゲート端子(PFGT)および誘起流体ゲート電圧(V
FG)が創出される。この電圧は、V字形電流対流体ゲート電圧曲線において、x軸(電圧)でシフトをもたらすことができる。留意されるように、V字形曲線の先端では、ゲート電圧の小さい変化が、有意で検出可能な変化をチャネル電流(I
DS)にもたらすことができ、V字形曲線の2つの端点で平坦になっていく傾向がある。V字形曲線の先端に向かうシフトは、増大した感度をもたらすことができ、電流の変化に応答する電圧の非常に小さい変化を検出することができる。同様に、電圧の変化に応答する電流の非常に小さい変化も検出することができる。
【0087】
上述のように、V字形曲線の先端に向かうシフトは、より良好な感度をもたらすことができる。そのようなシフトは、極性液体誘起ゲート電圧によって引き起こすことができる。一部の実施形態では、極性液体誘起ゲート電圧は、極性流体中の荷電粒子の濃度に関連
付けられる。一部の実施形態では、濃度は、全ての負に帯電した粒子または全ての正に帯電した粒子の総量を反映することができる。V字形曲線のシフトは、広範な荷電粒子濃度に相関させることができる。一部の実施形態では、シフトが、1フェムトg/L程度に低い荷電粒子濃度に相関する(例えば、NaCl)。一部の実施形態では、シフトは、300g/L程度に高い荷電粒子濃度に相関する(例えば、NaCl)。これら結果は、電流感知システムが弾力的であり、広範な電荷濃度に耐えることができることを示唆する。
【0088】
図3Bは、極性流体が第1の方向に流れる極性流体ゲート端子を示す、例示的な実施形態を図示する。ゲート電位(V
FG)の大きさは、極性流体の流量に正比例する。V
FGの符号または方向は、極性流体が流れる方向;例えば、ソースドレイン端子に沿った、ソースドレイン端子を横断する方向に依存する。例えば、ゲート電圧がソースドレイン方向に沿って正である場合、逆方向では負になり、かつその逆も同様である。極性流体がソースドレイン電圧を横断して流れるとき、ゲート電圧がY方向に沿って正である場合には、Y方向で負になり、その逆も同様である。極性流体の流れの方向が変化するとき、ゲート電圧の方向も変化する可能性がある。
【0089】
図3Cは、極性流体が第1の方向とは反対の第2の方向に流れる、極性流体ゲート端子を示す、例示的な実施形態を図示する。
極性流体ゲート端子でのゲート電圧の検出
【0090】
図4Aから4Cまでは、極性流体ゲート端子(PFGT)でのゲート電圧が決定される、構成を例示する。
【0091】
図4Aは、誘電体層7およびゲート金属8を備えたベースデバイスを示す、例示的な実施形態を図示する。ここでベースデバイスは、210、220、230、および240など、
図2A~2Dに図示されるいずれかとすることができる。ゲート電位は、ゲート金属と接地との間で測定される。誘電体層7は、ベースデバイスの基板の下に付加される(例えば、
図2Aから2Dまでに図示されるような基板1)。ゲート金属8は、誘電体層7の下に付加される。ゲート金属8は、誘起ゲート電圧を測定するためにのみ付加され、電圧は、ゲート金属8を通して印加されない。一部の実施形態では、Vg1は、PFGTデバイス特性およびチャネルのタイプに依存して非線形的に変化させることができる。例えば、チャネルがグラフェンである場合(両極性)、Vg1は、グラフェンデバイスに典型的なトランスコンダクタンス応答に従うことができる。
【0092】
図4Bは、PFGT内に付加された金属電極を伴う、
図2A~2Dに図示されるベースデバイスを示す、例示的な実施形態を図示する。ゲート電位は、金属電極と接地との間で測定される。Vg2は、付加された金属電極とアクティブチャネルとの間の二重層キャパシタンスによって形成されるトップゲート電圧である。Vg2は、PFGTデバイス特性およびチャネルのタイプに応じて非線形的に変化することができる。例えば、チャネルがグラフェンである場合(両極性)、Vg2は、グラフェンデバイスに典型的なトランスコンダクタンス応答に従う(例えば、
図23参照)。
【0093】
図4Cは、誘電体およびゲート金属とPFGT内の金属電極とが増強された、
図2A~2Dに図示されるベースデバイスを示す、例示的な実施形態を図示する。2つのゲート電位は、指示されるように測定される。2つのゲート電位(Vg1およびVg2)は、ソースドレイン電流/電圧および誘起PFGを使用して変調される電気出力である。Vg1およびVg2の同時測定は、開発された次世代マイクロプロセッサ、論理ゲート、計算回路、無線周波数(RF)デバイス、センサ、および同様のものを使用することができるトライゲート化構造(tri-gated structure)を創出する。
【0094】
図4Cは、誘電体およびゲート金属とPFGT内の金属電極とが増強された、
図2A~2Dに図示されるベースデバイスを示す、例示的な実施形態を図示する。2つのゲート電圧(例えば、Vg1およびVg2)はPFGTに供給されて、所望の適用例に合わせてPFGTデバイスの全体の電気特性を変調させる。Vg1およびVg2による同時変調は、最小限のエネルギーを使用してより制御された様式で、所望の電気性能にデバイスの動作をシフトさせるように使用することができる、トライゲート化構造を創出する。そのようなデバイスは、次世代マイクロプロセッサ、論理ゲート、計算回路、無線周波数(RF)デバイス、センサ、および同様のものを開発するのに使用することができる。
【0095】
図5Aは、極性流体グラフェン電界効果トランジスタ(PFGFET)を介してセンサの読出しに使用される回路を示す、例示的な実施形態を図示する。
図5Aでは、定電流(I
C)がPFGFETに供給される。出力電圧(V
OUT)は、分割器および電流抵抗器(R)を使用して、PFGFETを経由して読み取る。次いで電圧出力を、感知される分析物の濃度に対して較正する。
【0096】
図5Bは、PFGFETを介してセンサの読出しに使用される別の回路を示す、例示的な実施形態を図示する。ここでは、定電圧(Vs)がPFGFETに供給される。電流または充電器(charger)(Ian)は、電流抵抗器(R)を使用して、PFGFETから読み取る。次いで電流出力を、感知される分析物の濃度に対して較正する。
【0097】
本発明について詳細に記載してきたが、添付される特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、修正例、変形例、および均等な実施形態が可能であることが明らかにされよう。さらに、本開示における全ての例は、非限定的な例として提供されることを理解すべきである。
【実施例0098】
下記の非限定的な例は、本明細書に開示される本発明の実施形態をさらに例示するために提供される。当業者なら、以下に続く実施例に開示される技法は、本発明の実施に際して十分に機能することが見出された手法を表し、したがってその実施のための形態の実施例を構成するとみなすことができることを、理解すべきである。しかし当業者なら、本開示に照らして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態で多くの変更を行うことができ、それでも同様のまたは類似の結果が得られることが理解されよう。
(実施例1)
ナノスケール電界効果トランジスタの実験条件
【0099】
デバイスは、物理的ゲート端子なしの、二端子NFETの担体チャネルとしてグラフェンで製作した。
【0100】
ポリマーを、通常は0.5mm未満の厚さでグラフェン上に配置し、次いでグラフェンを成長させた触媒基板から分離した。感知システム用のフレキシブルポリマープラットフォームを、グラフェンポリマー複合体および2つの金属電気接点のステージングに使用した。グラフェンポリマー複合体を、フレキシブルポリマープラットフォームに結合させた。所望のリンカー分子の溶液を、グラフェンポリマー複合体上に堆積して、インキュベートする。過剰なリンカー分子溶液をグラフェンポリマー複合体から除去し;2つの金属電気接点を、グラフェンポリマー複合体の両縁に堆積した。
【0101】
次いでグラフェンポリマー複合体を、テフロン(登録商標)、ポリイミド、および同様のものなどのポリマー基板上に置き、次いで1~10分間、摂氏80~150度で加熱して、あらゆる不純物を除去した。
【0102】
次いでGFETセンサを、使用できる状態にした。一部の場合では、特定の分析物用のレセプタをグラフェン層上に堆積した。
【0103】
汗を通じた分析物感知のためのセンサシステムは、下記から構成された:
○ (カプトン)で作製されたフレキシブルポリマープラットフォーム;
○ フレキシブルポリマープラットフォームに結合されたグラフェンポリマー複合体;
○ 同様にフレキシブルポリマープラットフォームに結合された、グラフェンポリマー複合体の層の対向する縁部に、センサ構成内に位置付けられたソース電極およびドレイン電極;
○ 伝導性金属から構成されたソース電極およびドレイン電極のそれぞれ;
○ グラフェンポリマー複合体層は、2つの電極間で、所望の分析物バイオセンシングのためにリンカー分子で機能化し;かつ
○ センサシステムは、分析されるべき汚れていない汗の源に、緊密に近接させて保持した。
【0104】
汗を通じた分析物濃度を決定する方法は、下記のステップを含んだ:
○ 伝導チャネルを有する、機能化されたグラフェンポリマー複合体センサに、定バイアス電圧を印加すること;
○ センサを経由して第1のソース-ドレイン電圧を測定すること;
○ 伝導チャネルを、汗の源に緊密に近接させるようにすることによって、汚れていない汗に曝露すること;
○ 分析物を、リンカーを通してチャネルに電子を放出することによりリンカー分子に結合し、チャネルを横切って電位に変化をもたらすこと;
○ センサを経由して、第2のソース-ドレイン電圧を測定すること;
○ 第1のソース-ドレイン電圧と第2のソース-ドレイン電圧との間の分数変化率に基づいて、分析物の濃度を決定すること。
【0105】
分析中、固定された電流または電圧をセンサに通した。GFETセンサの電気応答を、陰性対照として脱イオン(DI)水中の分析物を使用して、極性溶液中の分析物に関して記録した。機能化GFETに対するDI水応答も測定した。分析物は、NaCl、D-グルコース、および乳酸を含んだ。
(実施例2)
NaCl試料の分析
【0106】
これらの実施例では、固定された電流または電圧をGFETに通した。GFETセンサの電気応答を、下記に関して記録した:DI水中のNaCl濃度または非機能化GFET上でのDI水応答について。
【0107】
選択性:DI水中の様々なNaCl濃度の応答を、GFET上で測定して、NaClに対するセンサの感度を研究した。DI水中で0から1g/Lに及ぶ様々な濃度のNaClを含む溶液を調製した。試験は、2ulの最低濃度をGFET上に導入することから開始し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様にした;例えば、
図6に示される例における0.05g/Lから0.1まで。これを、全ての濃度がGFET上に導入されるまで継続した。
【0108】
図6は、GFETが、DI水だけには有意な応答を与えず、線形応答は、DI水中の高いNaCl濃度に対するものであることを示す。増加する濃度は、チャネルを横切って電圧を変化させ、それによって、対照としてDI水においてNaClに対して高い選択性が示された。
【0109】
感度:DI水中の様々なNaCl濃度の応答も、GFET上で測定して、NaClに対するセンサの感度を研究した。DI水中で0.1ng/dLから10mg/dLに及ぶ指数関数的に増大する濃度のD-グルコースを含む溶液を調製した。試験は、GFET上に2ulの最低濃度を導入することから開始し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様であった。ここで、濃度は対数的に増加した、例えば、0.1ng/dLからlng/dL、その後、lOng/dL、その後、0.1ug/dLまで、そして同様。これを、全ての濃度がGFET上に導入されるまで継続した。
【0110】
図7は、GFETが、DI水だけには有意な応答を与えず、指数関数的応答は、DI水中の最低濃度のNaClから開始して最高濃度のNaClに至ることを示す。増加する濃度は、チャネルを横切って電圧を変化させ、それによって、対照としてDI水中のNaClに向けて約250フェムトグラム/リットルの高い感度を示した。
【0111】
汗中の塩化物応答:ヒトの汗中塩化物濃度の測定を、ヒト対象で行った。この試験は、対象に対してランニングなどの身体活動を行わせ、時々で水和するために水を用いる必要があった。
【0112】
GFETを、ヒト対象が前腕および腰(エクリン汗腺)に装着した。汗の中の塩化物濃度に起因する電気応答を、対象が激しい身体活動(ランニングなど)を行っている間、連続的(500ミリ秒ごと)に伝達し記録した。汗の中の塩化物濃度の変化は、
図8に例示されるように、電圧の分数変化率によって表された状態で観察した。
【0113】
図8は、皮膚に取着したPFGFETを使用した、2名のヒト対象の汗の浸透圧の、実時間濃度を示す。汗の中の浸透圧濃度は、個人の身体能力に直接相関した。対象1は短距離走者であり、対象2はジョギングする人であった。短距離走者(対象1)は、ジョギングする人(対象2およびラン2)に比べてより速いペース(ラン1)で、同じ距離を走った。対象の身体活動が激しくなるほど、測定される身体浸透圧濃度は高くなることが観察された。身体浸透圧のピークは、最も激しい身体活動の期間中に観察された。身体浸透圧は、激しい身体活動の期間中に低減することも観察された。これは、対象が塩分を適正に補わない状態で水を非常に多く消費したときに引き起こされた。データでは、曲線の勾配が0に向かう場合は低ナトリウム血症を示す。この期間中、身体は、できる限り多くの塩を保持しようとし(イオン平衡を維持するため)、したがって全体的な身体浸透圧の濃度は非常にゆっくりと変化する。
【0114】
下記の新規な結果および/または特徴が観察された。
【0115】
高選択性:PFGTで変調したGFET(NFET)は、高い選択的応答(>97%)を、種々の対照流体中のNaCl濃度に与えた。
【0116】
高感度:PBAで機能化されたGFETは、NaClに高感度を示し、その検出限界(LOD)は250フェムトグラム/リットルであった。GFETセンサは、高い信号対雑音比を有し、高感度であり、また結合のための表面積が広いことに起因して、表面と分子との間の結合はより強力である。これらの因子の全ては、GFETを高感度にするのに非常に大きな差別化する役割を演ずる。
【0117】
極性分子に起因したゲート変調:極性流体(水、塩など)では、極性分子(イオンなど)がNFET上に極性流体ゲート端子(PFGT)を形成することが観察された。グラフェン表面付近の極性分子は、誘電効果を誘起させ、電荷移動のためのチャネルを創出した。PFGTのゲート強度は、流体中の極性分子の電荷と濃度の両方に依存した。そのよう
な第3の極性流体ゲート端子(PFGT)は、極性流体中のNaCl濃度からの電気応答を変調させた。
【0118】
連続モニタリング:イオンの濃度を、誘起極性流体ゲート端子からのNFETチャネル電流の変調により、流体中で連続的に測定した。イオン性溶液をNFETの表面から除去したら、極性流体ゲートNFETの電気応答は、元の裸のまたは初期の値に戻った。
【0119】
NFETの表面での極性流体の誘起運動:極性流体(DI水中のNaClなど)は、NFET表面と極性流体との間の高い疎水性に起因して、NFETからすぐに弾かれまたは除かれるようになると考えられる。流体中の極性分子(例えば、NaCl)の濃度が高くなるほど、PFGTの強度が高くなり、したがって反発作用が大きくなる。NFET上のNaCl分子によるPFGTに起因した電気応答の変調と組み合わされたこの反発作用は、より高い感度の選択的および連続モニタリング電解質システムを可能にした。
【0120】
ヒトの汗における実時間連続塩化物モニタリング:例として、GFETを、ヒト対象が前腕および腰(エクリン汗腺)に装着した。汗は、希釈され限外濾過された血液である。汗の中の塩化物濃度に起因する電気応答を、対象が、a)激しい身体活動(トレーニング)、b)激しくない身体活動(事務机への着席および食事など)を行っている間、連続的(500ミリ秒ごと)に伝達し記録した。汗の中のバックグラウンドイオン濃度(主に、NaCl)は、二端子GFETデバイス上にPFGTを形成することが観察された。Clイオンに起因するGFET上の誘導PFGTのゲート強度の変化は、ヒトの汗の中のClイオン分子の、連続的な非侵襲的モニタリングを可能にした。汗は、高度に希釈され限外濾過されるので、連続的に塩化物濃度を測定するのに非常に良好な極性流体であることが観察された。
(実施例3)
D-グルコース試料の分析
【0121】
これらの実施例では、固定された電流または電圧をGFETに通した。
【0122】
GFET/PBAセンサの電気応答を、下記に関して記録した:
○ DI水中のD-グルコース濃度
○ 人工汗(DI+NaCl+乳酸)中のD-グルコース濃度
○ 非機能化GFET上でのDI水中のD-グルコース濃度
○ 機能化デバイス上でのDI水中のラクトース濃度(対照1)
○ 機能化デバイス上での人工汗濃度(対照2)
○ 機能化GFETでのDI水応答
○ ヒト汗グルコース測定:グルコース濃度の実時間連続モニタリングを、装着可能なGFET/PBAセンサを使用して、ヒトの汗で行った。実時間連続汗グルコース応答は、市販のグルコース測定器を使用した血糖測定値に相関していた。
【0123】
機能化:例として、グラフェンFETを、流体中のグルコース分子に特異的に結合するリンカー分子(ロック)で機能化した。例として、GFETを、ピレンボロン酸(PBA)で機能化した。ピレンボロン酸は、π-π結合を使用してグラフェン表面に結合する。PBAは、D-グルコースと共に可逆的ホウ素陰イオン錯体を形成する。製作ステップは、下記の通りである:
○ ポリマーを、通常は0.5mm未満の厚さでグラフェン上に配置し、次いでそれを上に成長させた触媒基板から分離した。
○ 次いでグラフェンポリマー複合体を、テフロン(登録商標)、ポリイミドなどのポリマー基板上に置き、1~10分間、摂氏80~150度で加熱して、いかなる不純物も除去した。
○ 次いでグラフェンポリマーを、室温で機能化するために、5~20分にわたりPBAの溶液に導入した。
○ 機能化ステップの後、センサは使用できる状態になる。
【0124】
DI水中の様々なD-グルコース濃度の応答を、GFET上で測定して、D-グルコースに対する機能化センサの感度を研究した。
【0125】
DI水中で0.1から100mg/dLに及ぶ様々な濃度のD-グルコースを含む溶液を調製し、それと共に、DI水中に様々な濃度のラクトースを調製した。試験は、5ulの最低濃度をGFET上に導入することから開始し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様にした。これを、全ての濃度がGFET上に導入されるまで継続した。
【0126】
図9は、GFETが、DI水またはラクトース溶液だけには有意な応答を与えず、指数関数的応答は、DI水中の高いD-グルコース濃度に対するものであることを示す。増加する濃度は、チャネルを横切って電圧を変化させ、それによって、対照としてDI水を持つD-グルコースに対して高い選択性が示された。
【0127】
NaCl中のグルコース応答対DI水中のグルコース応答:DI水およびNaCl溶液中の様々なD-グルコース濃度の応答を、GFET上で測定して、DI水中のD-グルコース対NaCl中のD-グルコースに対する機能化センサの感度を研究し、NaCl溶液の作用を理解した。
【0128】
DI水およびNaCl中でそれぞれ0.1から100mg/dLに及ぶ様々な濃度のD-グルコースを含む溶液を調製した。試験は、GFET上に5ulの最低濃度を導入することから開始し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様であった。ここで、濃度は対数的に増加した。これを、全ての濃度がGFET上に導入されるまで継続した。
【0129】
図10は、NaCl中のD-グルコース応答が、DI水中のD-グルコース応答よりも増幅されることを示す。GFET上にPFGTを提供する極性溶液は、チャネルを経由する電気応答を増幅させ、それによって感度が増加し、可逆性を提供した。
【0130】
NaCl溶液中のグルコース応答の選択性測定:NaCl中の様々なD-グルコース濃度の応答を、GFET上で測定して、D-グルコースに対する機能化センサの感度を研究した。
【0131】
NaCl溶液中で0.1から100mg/dLに及ぶ様々な濃度のD-グルコースを含む溶液を調製し、それと共に、DI水中で様々な濃度のNaClを調製した。試験は、GFET上に5ulの最低濃度を導入することから開始し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様であった。ここで、濃度は対数的に増加した。これを、全ての濃度がGFETに導入されるまで継続した。
【0132】
図11は、GFETがNaCl溶液だけには有意な応答を与えず、増加するNaCl濃度の溶液に対して、固定されたNaCl濃度で増加するD-グルコース濃度の溶液は、線形応答を示した。増加する濃度は、チャネルを横切って電圧を変化させ、それによって、D-グルコースに対して高い選択性が示された。PBAで機能化されたGFET(NFET)は、グルコース濃度に対して高い選択的応答(95%)を与えた。
【0133】
図11は、機能化グルコースセンサがNaClに対して感度がなく(オレンジの曲線がかなり平らであるので)、それに対してグルコース曲線は、NaCl溶液中に存在するグルコースの濃度が増加するにつれて上昇するというアイデアを与える。
【0134】
DI水中のD-グルコース応答の感度測定:DI中の様々なD-グルコース濃度応答を、GFET上で測定して、D-グルコースに対する機能化センサの感度範囲を研究した。
【0135】
DI水中で250フェムトグラム/Lから100mg/Lに及ぶ、グルコースの指数関数的に増加する濃度を含む溶液を、調製した。試験は、GFET上に、3分ごとに5ulのDI水を導入することを3回行うことから開始し、その後、最低濃度の5ulを導入し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様であった。ここで、濃度は対数的に増加し;例えば0.25pg/lから、次いで2.5pg/l、以下同様であった。これを、全ての濃度がGFET上に導入されるまで継続した。
【0136】
図12は、GFETがDI水だけには有意な応答を与えず、線形応答が、最低濃度から開始して最高濃度に至り、濃度が増加することでチャネルを横切って電流が変化し、それによって、D-グルコースに対して約250フェムトグラム/リットル(即ち、1.38e
-12mmol/l)の高感度が示されたことを示す。
【0137】
機能化ステップ:
図13には、機能化前、機能化後、およびグルコースがセンサ上に導入された後の、グラフェンセンサに関する電流応答が示される。このことは、GFET製作ステップの各段階と、各段階後にGFETの電流応答がどのように変化するかの理解を助ける。例えば、
図13には、機能化前(青)に比べて機能化後(オレンジ)に電流応答が増加することが示され、これは、リンカー分子がπ-π結合によって結合されかつグラフェンの表面上の全ての電荷が増加することによって生じる。リンカー分子はグルコース分子を引き付け、これらの電荷雲を使用することによってそれに結合し、それによって、その以前の状態に比べてGFET上での電流が低減される。
【0138】
汗および血液中のD-グルコース応答:ヒトの汗中グルコース濃度の測定を、ヒト対象で行った。この試験は、対象に対してランニングなどの身体活動を行わせ、血液試料を採取し、グルコース測定器を使用して数分ごとに血糖を測定する必要があった。GFETを、ヒト対象が前腕および腰(エクリン汗腺)に装着した。汗の中のD-グルコース濃度に起因する電気応答を、対象が激しい身体活動(ランニングなど)を行っている間、連続的(500ミリ秒ごと)に伝達し記録した。
【0139】
この特定の場合、身体活動は、食物を食べることであった。対象が食べ始めるにつれ、対象のグルコースは、汗および血液中のグルコースの両方で見られるように、上昇し始める。人が食事を行った後、グルコースレベルは低下し始め、安定する。
【0140】
ランニングの場合、走り始めるにつれ、身体はグルコースを使用し、それを分解してランニング用のエネルギーを得る。したがってグルコースの低下が見られる。しかし、いくつかの時点の後、身体のインスリンは作用し始め、総グルコース値は再び上昇し始める。
【0141】
図14は、電圧の分数変化率によって表される、汗中D-グルコース濃度の変化を示す。
【0142】
図15の血糖データを、トレーニングの全期間にわたって時間に対してもプロットした。汗中グルコース測定値は、血糖測定値に相関していた。ここで、対応する血糖値に対する汗中グルコース値を、血液に対して再びプロットして(血液対汗)、相関R
2を得、汗中グルコースが血糖に対してどのようにうまく一致するかというアイデアが得られた。
【0143】
図16はさらに、血糖と汗中グルコースとの間の測定値の相関を示す。ここで、3つの異なるセンサを、同じ人に対して同じ時間で使用した。汗中グルコースに関して150を
超える曲線を、それらの研究の全所要時間での血糖と共に、10名のヒト対象から収集し、相関させた。対象は、身体活動(トレーニング、ランニングなど)を行い、または身体活動を行わなかった(机に座るなど)。これら150の曲線に関し、計算された相関は、
図16に示されるように、汗と血液との間でR
2=84%であった。
【0144】
下記の新規な結果および/または特徴が観察された。
【0145】
高選択性:PBAで機能化されたGFET(NFET)は、高い選択的応答(>95%)を、種々の対照流体中のグルコース濃度に与えた。
【0146】
高感度:PBAで機能化されたGFETは、D-グルコースに高感度を示し、その検出限界(LOD)は250フェムトグラム/リットル、即ち1.38e-12mmol/lであった。既存のグルコース測定器は、0.3~1.1mmol/lの間のLODを有する。PBAで機能化されたGFETは、既存の標準的なグルコース測定デバイスよりも感度が約1010倍高い。GFETセンサは、高い信号対雑音比を有し、高感度であり、また結合のための表面積が広いことに起因して、表面とレセプタ分子との間の結合はより強力である。これらの因子の全ては、GFETを高感度にするのに非常に大きな差別化する役割を演ずる。
【0147】
極性分子に起因したゲート変調:極性流体(水、塩など)では、極性分子(イオンなど)がNFET上に極性流体ゲート端子(PFGT)を形成することが観察された。グラフェン表面付近の極性分子は、誘電効果を誘起させ、電荷移動のためのチャネルを創出した。PFGTのゲート強度は、流体中の極性分子の電荷と濃度の両方に依存した。そのような第3の極性流体ゲート端子(PFGT)は、極性流体中のグルコース濃度からの電気応答を変調させた。
【0148】
連続グルコースモニタリング:グラフェン表面でのPBA-グルコース結合の可逆性は、極性流体中に形成されたNFET上の極性流体ゲート端子に起因して、電荷変調により大きく増大した。極性流体中の極性分子(イオンなど)の濃度が高くなるほど、PBA-D-グルコース結合の可逆性が大きくなることが観察された。センサに結合したグルコース濃度が、そのギブスの自由エネルギーに起因して汗の中のグルコース濃度よりも高くなると、グルコース分子はPBAから解放されるようになり、可逆的特質が観察されるが、このことは、グルコースの濃度が一瞬低下するように
図14に記録された電気応答に明らかに見られるものである。このため、極性流体中のD-グルコース分子の、再使用可能な実時間継続モニタリングが可能になる。
【0149】
センサ表面上の極性流体の運動に起因したグルコースセンサの再使用可能性:NFET上での極性流体(塩中のグルコースなど)の運動は、リンカー分子からの、結合されたグルコース分子の除去を増大させることが観察された。例として、グルコース溶液がGFETのグラフェンの表面から除去されたとき、GFETの電気応答は元の裸の値に戻った。
【0150】
NFETの表面での極性流体の誘起運動:極性流体(塩中のグルコースなど)は、NFET表面と極性流体との間の高い疎水性に起因して、NFETからすぐに弾かれまたは除かれるようになると考えられる。流体中の極性分子の濃度が高くなるほど、PFGTの強度が高くなり、したがって反発作用が大きくなる。この反発作用は、結合されたグルコース分子の除去と組み合わされ(上記セクションeで記載された)、NFET上のPFGTに起因した電気応答の変調は、より高い感度の選択的および連続モニタリンググルコースシステムを可能にした。
【0151】
ヒトの汗における実時間連続グルコースモニタリング:PBAで機能化されたGFET
を、ヒト対象が前腕および腰(エクリン汗腺)に装着した。汗は、希釈され限外濾過された血液である。汗の中のD-グルコース濃度に起因する電気応答を、対象が、a)激しい身体活動(トレーニング)およびb)激しくない身体活動(事務机への着席および食事など)を行っている間、連続的(500ミリ秒ごと)に伝達し記録した。汗中グルコース応答は、活動の長さ(典型的には20分から6時間を超える)にわたって血糖測定器を使用して数分ごとに得られた血糖読み取り値に、相関していた。汗の中のバックグラウンドイオン濃度(主に、NaCl)は、二端子GFET/PBAデバイス上にPFGTを形成することが観察された。GFET上のPFGTに起因するPBAおよびD-グルコース結合の間の増大した可逆性は、ヒトの汗の中のグルコース分子の、連続的な非侵襲的モニタリングを可能にした。84%(R2)の相関が、血糖および汗中グルコース測定の間で計算された。相関は、様々な身体活動条件下、10名のヒト対象から収集された150の汗中グルコース応答に関して計算された。汗は、高度に希釈され限外濾過されるので、連続的にグルコースを測定するのに非常に良好な極性流体であることが観察された。
(実施例4)
乳酸試料の分析
【0152】
これらの実施例では、固定された電流または電圧をGFETに通した。
【0153】
機能化:グラフェンFETを、流体中の乳酸分子に特異的に結合するリンカー分子(ロック)で機能化した。例としてGFETを、乳酸オキシダーゼ(LOx)を用い、中間体であるピレン-NHSの連結化学を使用してグラフェン表面に機能化した。
○ ポリマーを、通常は0.5mm未満の厚さでグラフェン上に配置し、次いでそれを上に成長させた触媒基板から分離する。
○ 次いでグラフェンポリマー複合体を、テフロン(登録商標)、ポリイミドなどのポリマー基板上に置き、1~10分間、摂氏80~150度で加熱して、いかなる不純物も除去する。
○ 次いでグラフェンポリマーを、室温で機能化するために、5~20分にわたりピレン-NHSの溶液に導入する。
○ 次いでグラフェンポリマーを、室温で520分間にわたり結合させるためにLOxの溶液に導入する。
○ 機能化ステップの後、センサは使用できる状態になる。
【0154】
GFET/LOxセンサの電気応答を、下記に関して記録した:
○ DI水中の乳酸濃度
○ 人工汗(DI+NaCl+グルコース)中の乳酸濃度
○ 非機能化GFETでのNaCl中の乳酸濃度
○ 機能化GFETでのNaCl中の乳酸濃度
○ 機能化デバイスでの人工汗濃度(対照2)
○ 機能化GFETでのDI水応答。
【0155】
DI水中の乳酸応答の選択性測定:DI中の様々な乳酸濃度の応答を、GFET上で測定して、乳酸に対する機能化センサの感度を研究した。DI水中0~25mMに及ぶ様々な濃度の乳酸の溶液を、調製した。試験は、2ulの最低濃度をGFET上に導入することから開始し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様にした。これを、全ての濃度がGFET上に導入されるまで継続した。
【0156】
図17は、GFETが、DIだけには有意な応答を与えず、多項式応答は、DI水中の高い乳酸濃度に対するものであることを示し、増加する濃度は、チャネルを横切って電圧を変化させ、それによって、DI水を対照として使用して、DI水中の乳酸に対して高い選択性が示された。
【0157】
様々な溶液中の乳酸応答の選択性測定:様々な溶液中の様々な乳酸濃度の応答を、GFET上で測定して、乳酸に対する機能化センサの感度および非機能化センサ上での応答を研究した。NaClおよびNaClグルコース中で0から25mMに及ぶ様々な濃度の乳酸を含む溶液を調製した。試験は、GFET上に2ulの最低濃度を導入することから開始し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様であった。これを、それぞれの溶液について別個に、全ての濃度がGFET上に導入されるまで継続した。
【0158】
図18は、GFETがNaClおよびNaClグルコース対照だけには有意な応答を与えず、NaClおよびNaClグルコース溶液中で増加する乳酸濃度に対して多項式応答を与えた。増加する濃度は、チャネルを横切って電圧を変化させ、それによって、乳酸に対して高い選択性が示された。乳酸NaCl溶液に関して非機能化センサでは有意な応答はなく、乳酸に対するセンサの選択性および感度がさらに強調された。
【0159】
NaCl中の乳酸応答対DI水中の乳酸応答:DI水およびNaCl溶液中の様々な乳酸濃度の応答を、GFET上で測定して、DI水中の乳酸対NaCl中の乳酸に対する機能化センサの感度を研究し、NaCl溶液の作用を理解した。DI水およびNaCl中で、それぞれ、0.1から100mg/dLに及ぶ、乳酸の様々な濃度を含む溶液を調製した。試験は、GFET上に、2ulの最低濃度を導入することから開始し、その後、次に高い濃度を3分後に導入し、以下同様であった。これを、全ての濃度がGFET上に導入されるまで継続した。
【0160】
図19は、NaCl中の乳酸応答が、DI水中の乳酸応答よりもそれほど増幅されないことを示す。
【0161】
GFET製作を通じて視覚化された乳酸機能化ステップ:機能化前、機能化後、および乳酸をセンサ上に導入した後の、グラフェンセンサに関する電流応答を、
図20に図示する。これは、GFET製作ステップの各段階と、各段階後にGFETの電流応答がどのように変化するかの理解を助ける。例えば
図20は、電流応答が、機能化前(青)に比べて機能化後(オレンジ)に低下することを示す。リンカー分子は乳酸分子を引き付け、それに結合し、それによって、その以前の状態に比べてGFET上での電流が低減される。
【0162】
下記の新規な結果および/または特徴が観察された。
【0163】
高選択性:LOxで機能化されたGFET(NFET)は、高い選択的応答(>94%)を、種々の対照流体中の乳酸濃度に与えた。
【0164】
高感度:ピレンNHSで機能化されたGFETは、乳酸に高感度を示し、その検出限界(LOD)は250フェムトグラム/リットル、即ち2.78e-12mmol/lであった。既存の乳酸測定器は、0.001~10mmol/lの間のLODを有する。ピレンNHSで機能化されたGFETは、既存の標準的な乳酸測定デバイスよりも感度が約108倍高い。GFETセンサは、高い信号対雑音比を有し、高感度であり、また結合のための表面積が広いことに起因して、表面とレセプタ分子との間の結合はより強力である。これらの因子の全ては、GFETを高感度にするのに非常に大きな差別化する役割を演ずる。
【0165】
極性分子に起因したゲート変調:極性流体(水、塩など)では、極性分子(イオンなど)がNFET上に極性流体ゲート端子(PFGT)を形成することが観察された。グラフェン表面付近の極性分子は、誘電効果を誘起させ、電荷移動のためのチャネルを創出した。PFGTのゲート強度は、流体中の極性分子の電荷と濃度の両方に依存した。そのよう
な第3の極性流体ゲート端子(PFGT)は、極性流体中の乳酸濃度からの電気応答を変調させた。
【0166】
NFETの表面での極性流体の誘起運動:極性流体(人工汗中の乳酸など)は、NFET表面と極性流体との間の高い疎水性に起因して、NFETからすぐに弾かれまたは除かれるようになると考えられる。流体中の極性分子の濃度が高くなるほど、PFGTの強度が高くなり、したがって反発作用が大きくなる。NFET上のPFGTに起因した電気応答の変調と組み合わされたこの反発作用は、より高い感度の選択的および連続モニタリング乳酸システムを可能にした。
(実施例5)
追加の分析
【0167】
汗中塩濃度の相関:
図21は、対応する汗中ナトリウム濃度に関する、汗センサ応答を表す。
【0168】
高濃度のNaCl(0.1mg/dlから100mg/dl)を、グラフェンセンサに3分ごとに添加した。試験は、2ulの最低濃度(例えば、0.1mg/dl)を滴下することから開始し、その後、次に高い濃度(例えば、0.2mg/dl)を滴下し、以下同様に、3分の間隔で滴下した。対応する電圧の分数変化率を測定した。これを10個の異なるセンサで繰り返し、最大誤差15%が観察された。これは、汗中ナトリウムと対応する電圧変化との間の相関のモデルとして働く。
【0169】
汗中グルコース濃度の相関:
図22は、対応する汗中グルコース濃度に関する、汗センサ応答を表す。
【0170】
高濃度のグルコース(0.1mg/dlから100mg/dl)を、グラフェンセンサに3分ごとに添加した。試験は、5ulの最低濃度(例えば、0.1mg/dl)を滴下することから開始し、その後、次に高い濃度(例えば、0.2mg/dl)を滴下し、以下同様に、3分の間隔で滴下し、対応する電圧の分数変化率を測定した。これを10個の異なるセンサで繰り返し、最大誤差5%が観察された。これは、汗中グルコースと対応する電圧変化との間の相関のモデルとして働く。
【0171】
トランスコンダクタンス曲線:
図23は、PFGTデバイスに関するトランスコンダクタンス曲線を表す。
【0172】
0.1ng/dlから1mg/dlに及ぶ高濃度のNaCl溶液を、センサ上に3分ごとに滴下する。試験は、2ulの最低濃度(例えば、0.1ng/dl)を滴下することから開始し、その後、次に高い濃度(例えば、1ng/dl)を滴下し、以下同様に、3分の間隔で滴下した。
【0173】
極性流体が導入されるにつれ、デバイ層がグラフェンセンサ上に形成され、ゲート効果が観察され、デバイ長およびゲート効果の両方が、極性分子の濃度の関数になる。NaCl溶液の初期濃度に関し、DIは、より大部分を占め、それに起因して、より多くの正孔が創出され、電圧降下が見られる。しかし、数滴後、NaClの濃度が溶液中で増加したときにはそれが大部分を占め、より多くの電子がデバイ層付近に創出され、それによって電圧の増加が示される。
【0174】
これは、極性流体でゲート化されたグラフェンセンサのトランスコンダクタンス特性を示す。
【0175】
上述の様々な方法および技法は、本発明を実施するいくつかの手法を提供する。当然ながら、本明細書に記載される任意の特定の実施形態に従って、必ずしも記載される全ての目的または利点を実現し得る必要がないことが理解されよう。したがって例えば、当業者なら、方法は、本明細書に教示されまたは提示され得るようなその他の目的または利点を必ずしも実現することなく、本明細書に教示されるような1つの利点または利点の群を実現しまたは最適化するように行うことができることが理解されよう。様々な有利なおよび不利な代替例が本明細書に記述される。一部の好ましい実施形態は、1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴を特に含み、一方、その他は特に、1つの、別の、またはいくつかの不利な特徴を排除し、一方、さらなるその他は特に、1つ、別の、またはいくつかの有利な特徴を含むことによって本発明の不利な特徴を緩和することを理解されたい。
【0176】
さらに当業者なら、異なる実施形態からの様々な特徴の適用可能性が理解されよう。同様に、上記論じた様々な要素、特徴、およびステップ、ならびにそのような要素、特徴、およびステップに関するその他の公知の均等物を、本明細書に記載される原理に従い方法が行われるように、当業者が混合し適合させることができる。様々な要素、特徴、およびステップの中で、多様な実施形態ではいくつかが特に含まれ、その他は特に排除される。
【0177】
本発明は、ある特定の実施形態および実施例の文脈で開示されてきたが、当業者なら、本発明の実施形態が、特に開示された実施形態を超えてその他の代替の実施形態および/または使用とそれらの修正例および均等物にまで拡張されることが理解されよう。
【0178】
多くの変形例および代替要素が、本発明の実施形態で開示されてきた。さらに他の変形例および代替要素が、当業者に明らかにされよう。
【0179】
一部の実施形態では、本発明のある特定の実施形態を記載し特許請求するのに使用される、構成成分の量を表す数値、分子量などの性質、反応条件、および同様のものは、「約」という用語によって場合によっては修飾されていることを理解されたい。したがって一部の実施形態では、書かれた説明および添付された特許請求の範囲で述べられる数値パラメータは、特定の実施形態により得ることが求められる所望の性質に応じて変化することができる近似値である。一部の実施形態では、数値パラメータは、報告された有効桁の数に照らしてかつ通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるべきである。本発明の一部の実施形態の広い範囲について述べる数値範囲およびパラメータが、近似値であるにも関わらず、特定の実施例で述べる数値は、実用可能な限り厳密に報告される。本発明の一部の実施形態で提示される数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差から得られるある特定の誤差を必ず含有していてもよい。
【0180】
一部の実施形態では、本発明の特定の実施形態について記載する文脈(特に、以下の特許請求の範囲のある特定の文脈)で使用される「a」および「an」および「the」という用語、ならびに類似の言及は、単数形および複数形の両方を包含すると解釈することができる。本明細書の値の範囲の列挙は、その範囲内に包含されるそれぞれ別個の値を個々に指す簡略な方法を単に意図するものである。本明細書で他に指示しない限り、個々の値のそれぞれは、本明細書に個々に列挙されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記述された全ての方法は、本明細書で他に指示しない限りまたは文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書のある特定の実施形態に関して提示される、任意のおよび全ての実施例、または例示的な言語(例えば、「~など」)の使用は、単に本発明をより良く例示することを意図するものであり、別様に特許請求されている本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書では、本発明の実施に必須の任意の、特許請求の範囲に記載されていない要素を示すと解釈されるべき言語はない。
【0181】
本明細書に開示される本発明の代替の要素または実施形態のグループ分けは、制限するものとは解釈されない。各群の構成要素は、個々に、または群のその他の構成要素もしくは本明細書に見出されるその他の要素との任意の組合せで、言及しかつ特許請求することができる。群の1つまたは複数の構成要素は、便宜上および/または特許性の理由で、群に含めることができまたは群から削除することができる。任意のそのような包含または削除が生じた場合、本明細書は、ここに修飾された群を含有するとみなされ、したがって添付される特許請求の範囲で使用される全てのMarkush群の、書かれた説明を満足させる。
【0182】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態に関する変形例は、前述の説明を読むことによって当業者に明らかにされよう。当業者は、そのような変形例を適切に用いることができ、本発明は、本明細書に特に記載した以外に実施することができることが企図される。したがって、本発明の多くの実施形態は、適用法により許可されるような本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される主題の全ての修正例および均等物を含む。さらに、それらの全ての可能性ある変形例における上述の要素の任意の組合せは、他に本明細書で指示しない限りまたは他に文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0183】
さらに、数多くの参照が、本明細書の全体を通して特許および印刷された刊行物に対して行われてきた。上記引用された参考文献および印刷された刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に個々に組み込まれる。
【0184】
最後に、本明細書に開示された本発明の実施形態は、本発明の原理の例示であることを理解されたい。用いることができるその他の修正例は、本発明の範囲内とすることができる。したがって例として、限定することなく、本発明の代替の構成は、本明細書の教示に従い利用することができる。したがって本発明の実施形態は、厳密に示され記載されるものに限定するものではない。
【0185】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
ドレイン電極と、
ソース電極と、
電気絶縁基板と、
前記基板上に配置された、電気伝導性および化学感受性チャネルを部分的に画定するナノスケール材料層であり、前記ナノスケール材料層および前記チャネルが、前記ドレイン電極およびソース電極の間に延在しかつこれらの電極に電気接続されているナノスケール材料層と、
前記ナノスケール材料層に曝露された極性流体によって創出された、極性流体誘起ゲート端子と
を含む、電界効果トランジスタであって、
前記極性流体が、標的分析物を含み、
前記極性流体が、前記標的分析物に応答して前記電界効果トランジスタのゲート電圧対チャネル電流特性を最適化する極性流体ゲート電圧を誘起させるのに十分な電荷濃度を有する、電界効果トランジスタ。
(項2)
定電流または定電圧が、定電流ソースまたは定電圧ソースによって提供され、前記ソース電極およびドレイン電極の間に印加される、上記項1に記載の電界効果トランジスタ。(項3)
前記ナノスケール材料が、グラフェン、CNT、MoS2、窒化ホウ素、金属ジカルコゲナイド、ホスホレン、ナノ粒子、量子ドット、フラーレン、2Dナノスケール材料、3
Dナノスケール材料、0Dナノスケール材料、1Dナノスケール材料、またはこれらの任意の組合せを含む、上記項1または2に記載の電界効果トランジスタ。
(項4)
前記極性流体が、極性分子を有する溶液、極性分子を有する気体、標的感知分析物、またはこれらの組合せを含む、上記項1から3のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
(項5)
前記極性流体が、汗、息、唾液、耳垢、尿、精液、血漿、生物流体、化学流体、空気試料、気体試料、またはこれらの組合せを含む、上記項1から4のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
(項6)
前記標的分析物が、電解質、グルコース、乳酸、IL6、サイトカイン、HER2、コルチゾール、ZAG、コレステロール、ビタミン、タンパク質、薬物分子、代謝物、ペプチド、アミノ酸、DNA、RNA、アプタマー、酵素、生体分子、化学分子、合成分子、またはこれらの組合せを含む、上記項1から5のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
(項7)
前記ナノスケール材料層上に堆積されたレセプタ層であって、標的分析物を標的とするレセプタを含むレセプタ層をさらに含む、上記項1から6のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
(項8)
前記レセプタが、ピレンボロン酸(PBA)、ピレンN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(ピレン-NHS)、有機化学物質、芳香族分子、環状分子、酵素、タンパク質、抗体、ウイルス、一本鎖DNA(ssDNA)、アプタマー、無機材料、合成分子、生体分子を含む、上記項7に記載の電界効果トランジスタ。
(項9)
追加の機械的、電気的、化学的、生物学的機能性、またはこれらの組合せの支持をもたらすために前記ナノスケール材料層の下に裏面ポリマー層をさらに含む、上記項1から8のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
(項10)
前記裏面ポリマー層が、炭素ポリマー、バイオポリマー、PMMA、PDMS、フレキシブルガラス、ナノスケール材料、シリカゲル、シリコーン、インク、印刷ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む、上記項9に記載の電界効果トランジスタ。
(項11)
極性流体中の標的分析物を感知するための方法であって、
極性流体試料を電界効果トランジスタに曝露するステップであり、前記電界効果トランジスタが、
ドレイン電極と、
ソース電極と、
電気絶縁基板と、
前記基板上に配置された、電気伝導性および化学感受性チャネルを少なくとも部分的に画定するナノスケール材料層であり、前記ナノスケール材料層および前記チャネルが、前記ドレイン電極およびソース電極の間に延在しかつこれらの電極に電気接続されているナノスケール材料層と、
前記ナノスケール材料層に曝露された前記極性流体によって創出された、極性流体誘起ゲート端子であり、前記極性流体が、前記標的分析物を含みかつ前記分析物を検出するために前記電界効果トランジスタのゲート電圧対チャネル電流特性を最適化する極性流体ゲート電圧を誘起させるのに十分な電荷濃度を有する、極性流体誘起ゲート端子と
を含むステップ、
第1の時点で第1のソース-ドレイン電圧を、第2およびその後の時点で第2のソース
-ドレイン電圧を測定するステップ、ならびに
前記第1および第2のソース-ドレイン電圧に基づいて前記極性流体中の前記標的分析物の濃度を決定するステップ
を含む方法。
(項12)
前記ナノスケール材料が、グラフェン、CNT、MoS2、窒化ホウ素、金属ジカルコゲナイド、ホスホレン、ナノ粒子、量子ドット、フラーレン、2Dナノスケール材料、3Dナノスケール材料、0Dナノスケール材料、1Dナノスケール材料、またはこれらの任意の組合せを含む、上記項11に記載の方法。
(項13)
前記電界効果トランジスタが、前記ナノスケール材料層上に堆積されたレセプタ層であって、標的分析物を標的とするレセプタを含むレセプタ層で機能化される、上記項11または12のいずれか一項に記載の方法。
(項14)
前記レセプタが、ピレンボロン酸(PBA)、ピレンN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(ピレン-NHS)、有機化学物質、芳香族分子、環状分子、酵素、タンパク質、抗体、ウイルス、一本鎖DNA(ssDNA)、アプタマー、無機材料、合成分子、生体分子を含む、上記項13に記載の方法。
(項15)
前記標的分析物が、電解質、グルコース、乳酸、IL6、サイトカイン、HER2、コルチゾール、ZAG、コレステロール、ビタミン、タンパク質、薬物分子、代謝物、ペプチド、アミノ酸、DNA、RNA、アプタマー、酵素、生体分子、化学分子、合成分子、またはこれらの組合せを含む、上記項11から14のいずれか一項に記載の方法。
(項16)
前記極性流体が、極性分子を有する溶液、極性分子を有する気体、標的感知分析物、またはこれらの組合せを含む、上記項11から15のいずれか一項に記載の方法。
(項17)
前記第1および第2のソース-ドレイン電圧間の分数変化率を計算するステップ
をさらに含む、上記項11から16のいずれか一項に記載の方法。
(項18)
前記電界効果トランジスタの前記ソース電極およびドレイン電極間に定電流を印加するステップ
をさらに含む、上記項11から17のいずれか一項に記載の方法。
(項19)
前記電界効果トランジスタの前記ソース電極およびドレイン電極間に定電圧を印加するステップをさらに含む、上記項11から18のいずれか一項に記載の方法。
(項20)
前記極性流体が、汗、息、唾液、耳垢、尿、精液、血漿、生物流体、化学流体、空気試料、気体試料、またはこれらの組合せを含む、上記項11から19のいずれか一項に記載の方法。
(項21)
追加の機械的、電気的、化学的、生物学的機能性、またはこれらの組合せの支持をもたらすために前記ナノスケール材料層の下に裏面ポリマー層をさらに含む、上記項11から20のいずれか一項に記載の方法。
(項22)
前記裏面ポリマー層が、炭素ポリマー、バイオポリマー、PMMA、PDMS、フレキシブルガラス、ナノスケール材料、シリカゲル、シリコーン、インク、印刷ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む、上記項21に記載の方法。
(項23)
電界効果トランジスタと
電界効果トランジスタと電気接続された定電流ソースまたは定電圧ソースと
を含むシステムであって、
前記電界効果トランジスタは、
ドレイン電極と、
ソース電極と、
電気絶縁基板と、
前記基板上に配置された、電気伝導性および化学感受性チャネルを部分的に画定するナノスケール材料層であり、前記ナノスケール材料層および前記チャネルが、前記ドレイン電極およびソース電極の間に延在しかつこれらの電極に電気接続されているナノスケール材料層と、
前記ナノスケール材料層に曝露された極性流体によって創出された、極性流体誘起ゲート端子と
を含み、
前記極性流体が、標的分析物を含み、
前記極性流体が、前記標的分析物に応答して前記電界効果トランジスタのゲート電圧対チャネル電流特性を最適化する極性流体ゲート電圧を誘起させるのに十分な電荷濃度を有する、システム。
(項24)
前記定電流ソースが、前記電界効果トランジスタを通して定電流を維持する、上記項23に記載のシステム。
(項25)
前記定電圧ソースが、前記電界効果トランジスタ上で定電圧を維持する、上記項23に記載のシステム。
(項26)
電圧出力または電流出力が、有線または無線伝送を通してデジタルプラットフォームに伝達される、上記項23に記載のシステム。
(項27)
前記デジタルプラットフォームが、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートウォッチ、車内エンターテイメントシステム、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、コンピュータ端末、テレビジョンシステム、電子ブックリーダ、ウェアラブルデバイス、またはデジタル入力を処理する任意のその他のタイプのコンピューティングデバイスを含む、上記項26に記載のシステム。