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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005596
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】水処理施設
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20240110BHJP
   E04F 11/02 20060101ALI20240110BHJP
   E04F 11/032 20060101ALI20240110BHJP
   E04F 11/104 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C02F1/00 J
E04F11/02
E04F11/032
E04F11/104
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105846
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】大関 宗孝
(72)【発明者】
【氏名】三岡 善平
(72)【発明者】
【氏名】村野 耕作
(72)【発明者】
【氏名】後藤 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘輔
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301CC01
2E301CC34
2E301CC54
2E301CD12
2E301DD17
(57)【要約】
【課題】水処理施設内に設置された螺旋階段の機械的強度を高くする。
【解決手段】立坑100は、底版Bの上に、鉛直方向に沿った中心軸をもつ短い円筒形状のプレキャストコンクリートブロック100A~100Cが積層されて構成されることによって、長い円筒形状に形成されている。鉛直方向に沿った心柱10が螺旋階段1の中心軸となり、螺旋階段1は、共通の構造を有する多数の踏板20が心柱10に装着されて構成される。この螺旋階段1は、心柱10が底版Bに固定され、かつ3つの踏板支持部材30が踏板20のうちの3つ(踏板20X、20Y、20Z)と立坑100の内面に固定されることによって、この水処理施設200において固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立坑の内部において、鉛直方向に延伸する心柱を中心として複数の踏板が螺旋状に配置されることによって構成された螺旋階段が設置された水処理施設であって、
前記踏板は、前記心柱と交差する板状の構成を有する上板部を具備し、
水平方向に広がり前記上板部の下面側に固定される踏板支持面と、前記立坑の内面に固定され前記踏板支持面と交差する内面側支持面とを具備する踏板支持部材が、複数の前記踏板のうちの一部と、前記内面との間に設けられたことを特徴とする水処理施設。
【請求項2】
前記螺旋階段において、
複数の前記踏板は共通の構造を具備し、
鉛直方向で隣接する2つの前記踏板の間における前記心柱の周りの設定角度の差は、複数の前記踏板の間で一定とされたことを特徴とする請求項1に記載の水処理施設。
【請求項3】
前記螺旋階段における複数の前記踏板の配置は、鉛直方向に沿った高さに対して周期的とされ、
前記設定角度が同一とされた複数の前記踏板の各々に対して、前記踏板支持部材が固定されたことを特徴とする請求項2に記載の水処理施設。
【請求項4】
前記螺旋階段は、
前記踏板の、前記心柱を中心とした径方向外側の周方向の両側においてそれぞれ装着された、鉛直方向に沿って上方に延伸する踏板固定部材を具備し、
一方の側にある前記踏板固定部材は、前記心柱を中心とした周方向で隣接する他の前記踏板に装着された他方の側にある前記踏板固定部材と共通とされたことを特徴とする請求項2又は3に記載の水処理施設。
【請求項5】
前記踏板は、前記踏板固定部材の各々を挿通させる箇所においてそれぞれ設けられ、前記上板部よりも下側に突出した踏板固定部材支持部を具備し、
前記踏板固定部材を挿通させる貫通孔が前記上板部及び前記踏板固定部材支持部を貫通して形成され、
前記一方の側にある前記踏板固定部材支持部と前記他方の側にある前記踏板固定部材支持部との間における、前記上板部の下面に前記踏板支持面が固定されたことを特徴とする請求項4に記載の水処理施設。
【請求項6】
前記立坑は複数のプレキャスト部材が鉛直方向で積層されて構成され、
前記内面側支持面は、前記プレキャスト部材の前記内面に形成された凹部の内部において、固定具を用いて固定されたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水処理施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が昇降のために用いることができると共に、投入された水を案内する螺旋階段が設置された水処理施設の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛直方向に延伸する心柱に対して、平板状の上面を具備する複数の踏板が階段を形成するように螺旋状に装着された構造を具備する螺旋階段が、例えば特許文献1等に記載されている。ここで、防災用の大型の水処理施設内にこの螺旋階段を設ければ、作業者が作業の際にこの螺旋階段を昇降することができる。一方、この螺旋階段の上部から水が投入される構成とすれば、この螺旋階段を投入された水の案内のためにも用いることができる。
【0003】
特許文献1に記載されたように、心柱周りの角度を隣接する2つの踏板間で一定値だけずらし、かつこの2つの踏板の高さを一定値だけ変えることによってこれらの間で部分的に重複する領域を設けて段差を形成し、この2つの踏板で階段を構成することができ、多数の踏板を同様に心柱に対して装着することによって、螺旋階段を形成することができる。この際、例えば FRP(Fiber Reinforced Plastics)で構成された共通の構造の複数の踏板を用いることができる。これによって、この螺旋階段の機械的強度を高くし、かつ安価とすることができる。このため、この水処理施設を安価とすることができる。
【0004】
また、特許文献1に記載の技術においては、手摺を固定するための2本の手摺柱が単一の踏板に対して装着され、この2本の手摺柱の間に手摺が装着される。この際、隣接する踏板が重複した部分で1本の手摺柱を共有するような構成とすることによって、隣接する踏板の位置関係を固定することができる。この構成を全ての踏板間で採用することによって、全ての踏板間の位置関係が固定された螺旋階段を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-78313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような螺旋階段を水処理施設内に用いる場合においては、この螺旋階段に対する作業者の昇降の際の荷重に対する強度と、水が投入される際に印加される荷重に対する強度が共に要求される。
【0007】
前記のような螺旋階段においては、全ての踏板は、単一の細長い心柱に対して装着され、踏板に印加された荷重は全て心柱に加わるため、螺旋階段全体の機械的強度は細長い心柱に委ねられることになり、十分な機械的強度を得ることは容易ではなかった。
【0008】
このため、水処理施設内に設置された螺旋階段の機械的強度を高くすることが求められた。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明は、立坑の内部において、鉛直方向に延伸する心柱を中心として複数の踏板が螺旋状に配置されることによって構成された螺旋階段が設置された水処理施設であって、前記踏板は、前記心柱と交差する板状の構成を有する上板部を具備し、水平方向に広がり前記上板部の下面側に固定される踏板支持面と、前記立坑の内面に固定され前記踏板支持面と交差する内面側支持面とを具備する踏板支持部材が、複数の前記踏板のうちの一部と、前記内面との間に設けられたことを特徴とする。
本発明は、前記螺旋階段において、複数の前記踏板は共通の構造を具備し、鉛直方向で隣接する2つの前記踏板の間における前記心柱の周りの設定角度の差は、複数の前記踏板の間で一定とされたことを特徴とする。
本発明において、前記螺旋階段における複数の前記踏板の配置は、鉛直方向に沿った高さに対して周期的とされ、前記設定角度が同一とされた複数の前記踏板の各々に対して、前記踏板支持部材が固定されたことを特徴とする。
本発明において、前記螺旋階段は、前記踏板の、前記心柱を中心とした径方向外側の周方向の両側においてそれぞれ装着された、鉛直方向に沿って上方に延伸する踏板固定部材を具備し、一方の側にある前記踏板固定部材は、前記心柱を中心とした周方向で隣接する他の前記踏板に装着された他方の側にある前記踏板固定部材と共通とされたことを特徴とする。
本発明において、前記踏板は、前記踏板固定部材の各々を挿通させる箇所においてそれぞれ設けられ、前記上板部よりも下側に突出した踏板固定部材支持部を具備し、前記踏板固定部材を挿通させる貫通孔が前記上板部及び前記踏板固定部材支持部を貫通して形成され、前記一方の側にある前記踏板固定部材支持部と前記他方の側にある前記踏板固定部材支持部との間における、前記上板部の下面に前記踏板支持面が固定されたことを特徴とする。
本発明において、前記立坑は複数のプレキャスト部材が鉛直方向で積層されて構成され、前記内面側支持面は、前記プレキャスト部材の前記内面に形成された凹部の内部において、固定具を用いて固定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のように構成されているので、内部に設置された螺旋階段の機械的強度を高めた水処理施設を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る水処理施設の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る水処理施設の断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る水処理施設において用いられる螺旋階段の部分的な斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る水処理施設において用いられる螺旋階段の部分的な上面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る水処理施設において用いられる螺旋階段の踏板の斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る水処理施設において用いられる螺旋階段の踏板の上面図(a)、下面図(b)である。
図7】本発明の実施の形態に係る水処理施設において用いられる螺旋階段の踏板の2方向からみた側面図である
図8】踏板支持部材が固定された状態の踏板の下面図(a)、異なる方向からみた側面図(b)(c)である。
図9】踏板支持部材が固定される立坑の内面の構造の一例の斜視図である。
図10】踏板支持部材が固定される立坑の内面の構造の一例に対して踏板支持部材が固定される際の断面図である。
図11】踏板支持部材が固定される立坑の内面の構造の他の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る螺旋階段について説明する。図1は、この螺旋階段1が設けられる水処理施設200の構成を示す斜視図である。この水処理施設200においては、例えばhttps://www.nipponhume.co.jp/product/pcwellmeth.htmlに記載されたウェルマンである。ここで、ウェルマンは、PCウェル工法によって地中において円環状のプレキャストコンクリートブロックが積層されて構築された立坑100であり、地中で水を溜める構造として特に好ましく用いることができる。
【0014】
図1においては、立坑100は点線で簡略化されて記載され、底版Bの上に、鉛直方向(z方向)に沿った中心軸をもつ短い円筒形状のプレキャストコンクリートブロック(プレキャスト部材)100A~100Cが積層されて構成されることによって、長い円筒形状に形成されている。この内径は例えば4m~10mの範囲である。このため、作業者が昇降できる螺旋階段1を立坑100の内部に設置することができ、この螺旋階段1に沿って水を導入することもできる。図1における螺旋階段1に沿った矢印は、この際の作業者及び水の動きを示す。鉛直方向に沿った心柱10が螺旋階段1の中心軸となり、螺旋階段1は、共通の構造を有する多数の踏板20が心柱10に装着されて構成される。螺旋階段1の記載も図1において簡略化されて示され、ここでは心柱10と踏板20以外の構成要素の記載は省略されている。
【0015】
図2は、図1における心柱10に沿った断面図である。ここでは、構成を模式化して示すために、縦横の縮尺は実際のものとは異なる。また、各踏板20の断面形状は後述する形状とは異なり、単純化されて矩形形状とされている。この立坑100においては、図2における上側の流入口101から水が投入されて螺旋階段1に沿って水が溜められ、溜められた水は下側の流出口102から排出される。ただし、立坑100に流出口102が設けられている必要はない。この場合には、例えば立坑100の内部に溜められた水をポンプ等を用いて汲み上げることによって、水が排出される。
【0016】
ここで、鉛直方向に沿った心柱10が螺旋階段1の中心軸となり、螺旋階段1は、共通の構造を有する多数の踏板20が心柱10に装着されて構成される。この螺旋階段1は、心柱10が底版Bに固定され、かつ図1、2における3つの踏板支持部材30が踏板20のうちの3つ(踏板20X、20Y、20Z)と立坑100の内面に固定されることによって、この水処理施設200において固定される。踏板20X、20Y、20Xは、螺旋階段1においては、心柱10を中心とした周方向における同一の箇所において、異なる高さに設けられるため、この螺旋階段1は、3つの踏板支持部材30によって異なる高さで立坑100に対して固定される。
【0017】
図3は、この螺旋階段1における13枚の踏板20に対応した部分の構成を示す斜視図であり、ここでは図1、2で省略された構成要素も記載されているが、踏板支持部材30の記載は省略されている。ここでは、下側から順に踏板20A~20Mが心柱10に対して、下側からみて右回りで上側に向かう螺旋状で装着されている。各踏板は、下側からみて右回りで上側に向かう螺旋状で心柱10に装着されている。ここで、ある一つの踏板20(例えば踏板20E)は、その下側で隣接する踏板20(踏板20D:下側踏板)、その上側で隣接する踏板20(踏板20F:上側踏板)と、鉛直方向から見て(平面視において)部分的に重複する。
【0018】
図4は、螺旋階段1における心柱10と踏板20A~20Kまでの位置関係を示す上面図である。図4において、ある一つの踏板20(例えば踏板20E)に対して、その下側で隣接する踏板20(踏板20D:下側踏板)は、中心(心柱10)の周りで時計回りの側(第1の側)で30°ずれた角度で存在し、これらは平面視において部分的に重複する。同様に、踏板20Eに対して、その上側で隣接する踏板20(踏板20F:上側踏板)は、心柱10の周りで反時計回りの側(第2の側)で30°ずれた角度で存在し、これらは平面視において部分的に重複する。同様の位置関係は、上端部と下端部の踏板20以外の全てで成立するため、全ての踏板によって螺旋状に階段が形成される。この際、この螺旋階段1は、連続した12枚の踏板20を一周期とした周期的構造を有する。
【0019】
また、図3、4に示されるように、各踏板20における心柱10からみた外側には、第1の側、第2の側のそれぞれにおいて、鉛直方向に沿って上側に延伸する側壁部材支持柱(踏板固定部材)41が設置される。ここで、例えば踏板20Eにおける第1の側の側壁部材支持柱41は、踏板20Eを下側に向けて上下方向で貫通し、下側の踏板20Dにおける第2の側の側壁部材支持柱41となっており、踏板20Eにおける第2の側の側壁部材支持柱41は、踏板20Eを上側に向けて上下方向で貫通し、上側の踏板20Fを貫通し、踏板20Fにおける第1の側の側壁部材支持柱41となっている。他の踏板においても、同様に側壁部材支持柱41が装着され、これによって鉛直方向で隣接する2つの踏板20間の水平方向における位置関係が定まる。
【0020】
図3、4に示されるように、隣接する側壁部材支持柱41間には、鉛直方向に広がる板状の側壁部材42が固定されている。側壁部材42とその下側の踏板20との間には隙間が生じないように設定される。側壁部材42は、作業者がこの螺旋階段1を昇降する際の手摺になると共に、水をこの螺旋階段1に流す際に、水を螺旋階段1に沿って流し外側に漏らさないために機能する。側壁部材支持柱(踏板固定部材)41は、側壁部材42を支持するため、及び前記のように上下方向で隣接する踏板20の水平方向の位置関係を固定するために機能する。上記のような踏板20、側壁部材支持柱41、側壁部材42の関係は、特許文献1に記載されたものと同様である。
【0021】
図5は、この踏板20の構造を示す、上側かつ第1の側(下側踏板がある側)からみた斜視図(a)、上側かつ第2の側(上側踏板がある側)からみた斜視図(b)である。また、図6は、この踏板20の上面図(a)、下面図(b)である。図5等において、鉛直方向をz方向(上側を正とする)、径方向をx方向(心柱10からみた外側を正とする)、z方向及びx方向と垂直な方向をy方向(第1の側を正とする)とする。図7は、図6(a)における図中上側(心柱10を中心とした径方向外側:x方向正側)からみた側面図(a)、図中左側(y方向負側)からみた側面図(b)である。
【0022】
これらの図に示されるように、踏板20は、平面視において、心柱10を中心とする円弧形状の外周と、心柱10がある側からこの外周側に向かうそれぞれ第1の側(y方向正側)、第2の側(y方向負側)における2つの側面を具備する。また、図5(b)に示されるように、この踏板20の上側には、水平(xy方向)に広がる上面を具備する板状の上板部21が設けられる。踏板20の上面側はこの上板部21で占められる。上板部21には、心柱10が挿通する孔部である心柱挿入用孔21Aと、心柱10からみた外側において側壁部材支持柱(踏板固定部材)41が挿通する孔部である側壁部材支持柱挿入用孔(踏板固定部材挿入用孔)21B(2つ)が設けられる。踏板20の上面側(上板部21)は、これらの孔部以外では平坦な水平面を構成する。このため、作業者は上板部21の上面に足を乗せることができる。
【0023】
また、図5(a)、図6に示されるように、踏板20の第1の側(y方向正側)においては、上板部21から下側に向けて突出する板状の側板部22が設けられる。側板部22は、心柱10を中心とした径方向(x方向)、及び鉛直方向(z方向)に広がる、上板部21と直交する板状とされる。図3の構成においては、側板部22の下端は、この踏板20の下側で隣接する踏板20の上板部21に当接する。このため、図5(a)における上板部21、側板部22と、この踏板20の下側で隣接する踏板20の上板部21で、階段が形成される。
【0024】
また、上板部21の下側かつ径方向外側における側壁部材支持柱挿入用孔21Bに対応する2箇所には、鉛直方向に延伸する柱状の側壁部材支持柱支持部(踏板固定部材支持部)25が設けられ、前記の側壁部材支持柱挿入用孔21Bは、上板部21と側壁部材支持柱支持部25を貫通するように形成される。これによって、側壁部材支持柱41をこの踏板20で強固に支持することができる。同様に、心柱挿入用孔21Aに対応した柱状の心柱支持部26が心柱10側かつ上板部21の下側に設けられ、心柱挿入孔21は上板部21と心柱支持部26を貫通するように形成される。踏板20をFRPで構成すれば、上板部21、側板部22、側壁部材支持柱支持部25、心柱支持部26を一体化して容易に形成することができる。また、上板部21の下面側には、上板部21(踏板20)の機械的強度を補強するための構造(リブ構造等)を適宜向けてもよい。
【0025】
図3、4等に示されるように、この踏板20は心柱10の周りの設定角度が上側からみて30°ずつ反時計回りにずれるように下側から順次装着され、この設定角度は踏板12枚で一回りするように、平面視における周期的な構成を具備する。このため、図1、2において、立坑100の内面に最も近接する踏板20は、この周期で存在し、ここでは図示された3つの踏板20X、20Y、20Zがこれに該当する。踏板支持部材30は、これらに対して固定される。
【0026】
図8は、踏板支持部材30が踏板20(踏板20X、20Y、20Z)に対して固定された際の形態を示し、図8(a)は、この場合における下面図、図8(b)はx方向正側からみた側面図、図8(c)はy方向負側からみた側面図をそれぞれ示す。図8(a)は図6(b)、図8(b)、(c)はそれぞれ図7(a)、(b)に対応する。図8(a)(c)においては、踏板支持部材30が固定される立坑100(プレキャストコンクリートブロック100A~100Cのいずれか)も記載されている。
【0027】
ここで示されるように、踏板支持部材30は、上板部21の下面側に固定されxy方向に広がる板状の踏板支持面31と、踏板支持面31と直交して踏板支持面31の径方向外側(x方向正側)に設けられる内面側支持面32を具備する。また、踏板支持面31と内面側支持面32は、y方向の両側においてxz方向に広がる板状の踏板支持部材側面33で連結されている。
【0028】
図8において、踏板支持面31はx方向、y方向にそれぞれ2つ並んだ計4つの固定具51で上板部21の下側に固定されている。固定具51は、例えば周知のボルトとナットで構成される。同様に、内面側支持面32は、y方向に2つ並んだ固定具52で立坑100に対して固定されている。これによって、この踏板20は踏板支持部材30を介して立坑100に対して固定される。このように、踏板支持部材30において、固定のために用いられるのは踏板支持面31と内面側支持面32のみであるが、側面でこれらと直交する踏板支持部材側面33は、踏板支持部材30の補強のために設けられる。
【0029】
踏板支持面31、上板部21の各々には、固定具51を構成するボルトを挿通させる貫通孔が形成され、このボルトがこれらの貫通孔を挿通した状態でナットがこのボルトに装着される事によって、踏板支持部材30が踏板20に固定される。同様に、内面側支持面32、立坑100の各々には、固定具51、52を構成するボルトを挿通させる貫通孔が形成され、このボルトがこれらの貫通孔を挿通した状態でナットがこのボルトに装着される事によって、踏板支持部材30が立坑100に固定される。
【0030】
この場合、踏板支持部材30が固定される踏板20に対しては、踏板支持部材30が固定されない踏板20(図5~7)において上記の貫通孔を形成するための加工を施せばよい。このため、実際には図2における全ての踏板20として、共通のものを用いることができる。
【0031】
また、前記のように図2における踏板20の配置を周期的とすれば、踏板支持部材30が固定される踏板20X、20Y、20Zと立坑100との間の位置関係は同様となるため、共通の構造の踏板支持部材30を用いることができる。この際、3つの踏板支持部材30は異なる高さに設けられるため、これによってこの螺旋階段1が立坑100に対して強固に固定される。
【0032】
図2図8においては、踏板支持部材30における内面側支持面32が固定具52を用いて立坑100の内面に対して固定された。しかしながら、この固定のための構造を立坑100側に設けることができ、これによって踏板支持部材30あるいは螺旋階段1をより強固に立坑100に対して固定することができる。このような固定のための構造を設けることは、前記のように立坑100をPCウェル工法で構築する場合には、このような構造を図1、2におけるプレキャストコンクリートブロック100A~100Cに形成することが容易である。
【0033】
図9は、このような構造として、立坑100の内面において凹部を形成した例について示す斜視図である。図9においては、プレキャストコンクリートブロック100Bにおいてこのような凹部である固定用凹部103が形成された場合における、プレキャストコンクリートブロック100B(立坑100)の一部を内面側からみた斜視図である。プレキャストコンクリートブロック100Bは、施工現場(水処理施設200が設置される場所)とは異なる工場で型枠を用いて作成されるため、このような構造のプレキャストコンクリートブロック100Bを型枠を用いて容易に製造することができる。
【0034】
図10は、この場合において踏板支持部材30をプレキャストコンクリートブロック100Bに対して固定した際の形態を示す、踏板20の径方向及び鉛直方向に沿った断面図である。ここでは、固定用凹部103内部の上面に対して踏板支持面31が例えばアンカー(アンカーナット)を用いた固定具53で、固定用凹部103内部の奥側の面に対して内面側支持面32が同様の固定具54で固定される。この構造によって、踏板支持部材30あるいは螺旋階段1をより強固に立坑100に対して固定することができる。
【0035】
また、固定用凹部として、図9のような形態ではなく、プレキャストコンクリートブロック100Bの上下の端部から形成された溝を用いることもできる。図11は、このような場合の形態を図9に対応させて示す図である。ここでは、便宜上プレキャストコンクリートブロック100Bに対して3つの踏板支持部材30が装着されるように構成されている。図11においては3つの固定用凹部が形成され、鉛直方向中央の固定用凹部103Aは、図9の固定用凹部103と同様である。下側の固定用凹部103Bはプレキャストコンクリートブロック100Bの下端側と連結して形成され、上側の固定用凹部103Cはプレキャストコンクリートブロック100Bの上端側と連結して形成される。下側の固定用凹部103B内においても、図10の場合と同様に踏板支持部材30を固定できることは明らかである。上側の固定用凹部103C内においても、図10の場合における固定具54を用いて同様に踏板支持部材30を固定できることは明らかである。
【0036】
このような、立坑(プレキャストコンクリートブロック)側の凹部、及びこれに対する踏板支持部材の形状に応じて適宜設定できる。このような凹部が設けられたプレキャストコンクリートブロックは、周知の手法によって容易に製造することができる。
【0037】
なお、前記の例においては、図4に示されたように、隣接する踏板20の間のなす角度が30°であるものとした。しかしながら、この設定は適宜行うことができる。例えば、螺旋階段が平面視において大きな場合には、隣接する踏板の間の角度をより小さくすることができる。ただし、、隣接する2つの踏板の間のなす角度(°)を、360の整数分の1とすることが、複数の踏板支持部材を平面視における同一の箇所において異なる高さで設置することができ、これによって共通の構造、大きさの踏板支持部材を用いることができるため、特に好ましい。また、前記の例では、上板部21の上面は心柱10の延伸方向(z方向)と垂直とされたが、これらの間が厳密に垂直である必要はない。
【0038】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0039】
1 螺旋階段
10 心柱
20、20A~20M、20X、20Y、20Z 踏板
21 上板部
21A 心柱挿入用孔
21B 側壁部材支持柱挿入用孔(踏板固定部材挿入用孔)
22 側板部
25 側壁部材支持柱支持部(踏板固定部材支持部)
26 心柱支持部
30 踏板支持部材
31 踏板支持面
32 内面側支持面
33 踏板支持部材側面
41 側壁部材支持柱(踏板固定部材)
42 側壁部材
51~54 固定具
100 立坑
100A~100C プレキャストコンクリートブロック(プレキャスト部材)
101 流入口
102 流出口
103、103A~103C 固定用凹部
200 水処理施設
B 底版
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11